説明

台紙と鋸鞘との取付構造

【課題】台紙を真直ぐな状態に保持でき、カバーを使用しなくても、鋸、鞘、吊下ベルトを台紙に容易に脱落することなく確実にセットして保持することができる台紙と鋸鞘との取付構造の提供を課題とする。
【解決手段】鋸鞘20と台紙10とを相互に嵌め合わせて固定するようにした台紙と鋸鞘との取付構造であって、台紙10には嵌合穴を設け、鋸鞘20の裏面には嵌合穴に丁度嵌り合うベース部25aを設け、これによりベース部25aが嵌合穴11に嵌り込んだ状態において、鋸鞘20の裏面が台紙10の表面10aに沿った状態に載置されるよう構成し、且つ鋸30を台紙10の表面10a側で鋸鞘20に挿入するか若しくは吊下ベルト40を裏面10b側で連結用部25に連結することで、台紙10と鋸鞘20の離脱不能化を完了させる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は台紙と鋸鞘との取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
鋸等は包丁等に比べて比較的寸法が大きいことから、古くは、折畳鋸以外は鞘を付属させないことが多く、鋸の販売においても、鞘等のない鋸そのものを、ほぼそのままの状態で、或いは鋸刃の部分を台紙等による簡単な包装状態で、或いは高価な鋸については木枠のケース等に入れて販売することが一般的であった。
一方、近年においては、折畳鋸以外の鋸であっても鞘を付属させたものも多くなり、これらの鞘付鋸については、例えば厚紙等の台紙の上に鞘付鋸を配置し、更にその上をプラスチックケースで被ったような、いわゆるブリスターパックと称される包装体乃至包装容器を用いた販売が多くなされている。ブリスターパックでは、商品を透明のカバー体と台紙との間に収容して、陳列等に供するものであるが、透明カバー体とスライド台紙等との結合を強化するためにホッチキス針を用いて両者を綴じるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2−93258号公報
【特許文献2】特開2000−109153号公報
【特許文献3】特開2001−180776公報
【特許文献4】実開昭63−99862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1は替刃式鋸の台紙兼用包装ケースに関し、表紙(1)の一部が切欠部(8)となって、握り柄(10)の部分が包装の邪魔にならないようにした技術が開示されている。この特許文献1の発明では、鞘のいない鋸についての包装を構成するものであることから、台紙(a)の一部のみを切欠部(8)とするだけで、平坦な鋸刃が台紙(a)にきれいに接面した状態に包装することができる。
しかしながら、文献1において、鞘を付加し、刃部(9)を挿入した状態の鞘を台紙(a)の上に配置しようとした場合には、鞘は刃部(9)のようには平面ではなく立体的であることから、鞘と台紙(a)との接面性が悪くなる問題が生じる。特に、鞘の裏面等に吊下用のジョイント部やそのジョイントに連結される吊下げ紐を一緒に設備する鞘を用いる場合には、そのような鞘を台紙の上に安定して接面配置することが非常に難しくなり、また鞘が載せられる台紙(a)をきれいな平面状態に維持することが難しくなる。即ち、台紙(a)が折れ曲がったり、歪んだりする問題が生じる。台紙(a)を折れ曲がったり歪んだりすることなく保持することは、その台紙(a)に文字や図形等を印刷等して表示に供する上で非常に重要なことである。
更に文献1の場合、カバー部(c)を一緒に用いない場合には、鋸(b)は容易に台紙から離脱してしまう。即ち、台紙(a)が単なる添え板である特許文献1の発明では、カバー部Cが必須の要素となって、包装が成り立つことになる。
【0005】
特許文献2は包装用ケースに関し、包丁(13)の柄部(19)に相当する部分に嵌入穴(24)を設けた台紙(12)と、凹所(20、21、23)を設けた表裏のカバー(14、16)からなる包装用ケース(11)とからなる構成が開示されている。しかしながら、この特許文献2の場合も特許文献1と同様に、包丁(13)の刃部(22)に鞘を取り付けたものを包装する包装構造を開示するものではない。特に、表面の凹凸が大きい鞘を取り付けた刃部(22)を台紙(12)上に配置するのに適した構造を開示するものではない。そして包丁(13)は、台紙(12)に対して単純に嵌り込んでいるだけであり、容易に台紙(12)から離脱する状態であることから、包装用ケース(11)が必須となる包装となっている。
特許文献3は包丁類の包装ケースに関し、第一の包装材(台紙)(5)の上には包丁(1)の刃体(2)だけを載せ、第二の包装材(6)でカバーをする構成が開示されている。
しかしながら、この特許文献3の場合も上記特許文献1の場合とほとんど同様に、凹凸の大きい鞘を取り付けた刃体(2)を包装するのに適したものではない。また第一の包装材(台紙)(5)には刃体(2)が単に載っているだけであり、第二の包装材(6)がなければ、包丁(1)を第一の包装材(5)に保持することができず、第二の包装材(6)が必須要素となり、部品点数、コストの問題がある。
特許文献4は車輪を備えた有輪玩具の包装用台紙に関し、台紙(1a)の一部に切込み(2)を入れ、切込み(2)部分をリング状に起立させて帯状保持部(3)とした構成が開示されている。この構成により、台紙(1a)上に載せた玩具(a)の車輪(6)を前記帯状保持部(3)に嵌め込むことで、玩具(a)を台紙(1a)上に保持するようにしている。
しかしながら、この特許文献4の発明では、台紙(1a)の一部に切込みを入れ、その部分を起立させる必要があることから、台紙(1a)が歪み易くなる欠点がある。加えて、玩具(a)の一部に台紙(1a)そのものを引っ掛けた構成となっているので、台紙(1a)が一層容易に歪み易いという問題が生じる。
【0006】
そこで本発明は上記従来技術の問題を解消し、鋸を鞘付き、吊下ベルト付きのセットで販売するに際して、それら鋸、鞘、吊下ベルトを台紙上に容易にセットすることができ、且つ台紙が歪んだりすることなく真直ぐな状態で保持することができ、勿論、別にカバーを使用しなくても、それら鋸、鞘、吊下ベルトが台紙から容易に脱落してしまうことなく保持することができる、台紙と鋸鞘との取付構造の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するため本発明の台紙と鋸鞘との取付構造は、鋸と該鋸の鋸刃を受け入れる鋸鞘と該鋸鞘の裏面に突出して配置される連結用部に対して着脱自在に連結される吊下ベルトとを、台紙と共にセットして販売するため、前記鋸鞘と台紙とを相互に嵌め合わせて固定するようにした、台紙と鋸鞘との取付構造であって、前記台紙には前記鋸鞘の連結用部を台紙の表面側から裏面側に挿通させることができる嵌合穴を設け、前記鋸鞘の裏面には、前記連結用部のベースとなるベース部を前記台紙の嵌合穴に丁度嵌り合う形状にして設け、これによって鋸鞘のベース部が前記嵌合穴に嵌り込んだ状態において、前記連結用部のベース部を除く鋸鞘の裏面が台紙の表面に沿った状態に載置されるようにし、且つ少なくとも、前記鋸を台紙の表面側で鋸鞘に挿入するか若しくは前記吊下ベルトを台紙の裏面側で連結用部に連結することで、台紙と鋸鞘との離脱不能化を完了させる構成としたことを第1の特徴としている。
また本発明の台紙と鋸鞘との取付構造は、上記第1の特徴に加えて、台紙の先端近くの側縁に折曲用片を突出して構成し、該折曲用片を折り曲げて前記鋸鞘の連結用部に連結された吊下ベルトに差し込むことで、吊下ベルトを台紙に沿った位置に保持する構成としたことを第2の特徴としている。
また本発明の台紙と鋸鞘との取付構造は、上記第1又は第2の特徴に加えて、台紙の末端近くには、鋸鞘の末端付近を台紙に紐結束するための一対の紐通穴を構成してあることを第3の特徴としている。
また本発明の台紙と鋸鞘との取付構造は、上記第1〜第3の何れかの特徴に加えて、連結用部のベース部は、連結用部の基端側の部分を用いて、台紙の嵌合穴に丁度嵌り合う大きさに構成すると共に、該ベース部で前記鋸鞘の鋸受入口に設けられる鋸受入ガイド片を兼ねる構成としてあることを第4の特徴としている。
また本発明の台紙と鋸鞘との取付構造は、上記第1〜第3の何れかの特徴に加えて、連結用部のベース部は、鋸鞘から立ち上がる連結用部の立ち上がり部とし、これによって台紙の嵌合穴に対して連結用部の全体が丁度嵌り合うと共に裏面側に突出する構成としてあることを第5の特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の台紙と鋸鞘との取付構造によれば、鋸鞘の裏面に突出して載置された連結用部が、台紙に設けられた嵌合穴から台紙の裏側に挿通され、その連結用部のベース部が前記台紙の嵌合穴に丁度嵌り合う。これによって、鋸鞘の裏面側突出部分である連結用部は台紙の裏面側に突出した状態となり、鋸鞘の残る裏面は台紙の表面に沿った状態となる。前記連結用部のベース部で台紙の嵌合穴に嵌り合っただけの状態では、容易に鋸鞘が台紙から外れることになる。しかしながら本発明では、少なくとも、前記台紙の裏側に出た連結用部に対して吊下ベルトが連結するか若しくは台紙の表側にある鋸鞘に対して鋸の鋸刃を挿入することにより、それら吊下ベルトや鋸が台紙の裏側や表側に沿った障壁となるようにしているので、結果として台紙と鋸鞘との離脱を阻止することができる。即ち、この状態では台紙と鋸鞘とが離脱不能化される。従って鋸鞘、鋸、吊下ベルトの全てを台紙にセットした形での販売を容易に行うことができる。
台紙に取り付けられた鋸鞘等の離脱は、鋸を鋸鞘から抜き出して離脱させるか若しくは吊下ベルトを鋸鞘の連結用部から外して離脱させ、或いは鋸と吊下ベルトの両方を離脱させることにより、鋸鞘と台紙との離脱を容易に行うことができる。
前記台紙は、その嵌合穴で鋸鞘の連結用部のベース部に嵌り合うものの、台紙に沿って配置された状態の鋸鞘からは大きな圧迫を受けることがないので、台紙が歪んだり変形したりするのを回避して、真直ぐな状態で保持することができる。
よって請求項1に記載の台紙と鋸鞘との取付構造によれば、鋸、鞘、吊下ベルトを台紙上に容易にセットすることができ、その状態で容易に販売することが可能となる。そして台紙が歪んだりすることなく真直ぐな状態で保持することができるので、見た目もよく、台紙上の印字、印刷が見難くなる等の問題も無くすことができる。またカバー等を併せて使用しなくても、鋸、鞘、吊下ベルトを台紙から容易に脱落してしまうことなく保持することができるので、部品点数の低減やコストの低減を図ることができる。勿論、ホッチキス針等の存在も無くすことができる。
【0009】
また請求項2に記載の台紙と鋸鞘との取付構造によれば、上記請求項1に記載の構成による作用効果に加えて、台紙の先端近くの側縁に折曲用片を突出して構成し、該折曲用片を折り曲げて前記鋸鞘の連結用部に連結された吊下ベルトに差し込むことで、吊下ベルトを台紙に沿った位置に保持する構成としたので、
台紙に突出して設けた折曲用片を利用して、吊下ベルトを台紙の裏に沿った状態で、ブラブラすることなく維持することができる。よって、台紙を中心とした鋸鞘と吊下ベルトとのセット状態を一層安定した取り付け状態とすることができる。
【0010】
また請求項3に記載の台紙と鋸鞘との取付構造によれば、上記請求項1又は2に記載の構成による作用効果に加えて、台紙の末端近くには、鋸鞘の末端付近を台紙に紐結束するための一対の紐通穴を構成してあるので、
必要に応じて鋸鞘の末端付近も確実に台紙に結束することができる。
【0011】
また請求項4に記載の台紙と鋸鞘との取付構造によれば、上記請求項1〜3の何れかに記載の構成による作用効果に加えて、連結用部のベース部は、連結用部の基端側の部分を用いて、台紙の嵌合穴に丁度嵌り合う大きさに構成すると共に、該ベース部で前記鋸鞘の鋸受入口に設けられる鋸受入ガイド片を兼ねる構成としてあるので、
鋸受入ガイド片をベース部の成形に兼ねて構成することができ、作製が非常に容易となる。
また台紙の嵌合穴に嵌め合わされるベース部の位置が、鋸鞘の鋸受入口の付近となるので、鋸鞘に連結される吊下ベルトと鋸鞘に挿入される鋸のグリップ部とが、嵌合穴の表裏の同様な位置で且つ同方向に並んで配置されることになる。よってこのためグリップ部と吊下ベルトとは、台紙の両側にあって鋸鞘と台紙との離脱を妨げる十分な障壁となることができる。その結果、他の特別な離脱防止手段を用いることなく、鋸、鋸鞘、吊下ベルトを相互に離脱させることなく台紙にセットすることができる。
【0012】
また請求項5に記載の台紙と鋸鞘との取付構造によれば、上記請求項1〜3の何れかに記載の構成による作用効果に加えて、連結用部のベース部は、鋸鞘から立ち上がる連結用部の立ち上がり部とし、これによって台紙の嵌合穴に対して連結用部の全体が丁度嵌り合うと共に裏面側に突出する構成としてあるので、
ベース部が連結用部自身の立ち上がり部であるので、ベース部の作製が非常に容易である。また台紙の嵌合穴も連結用部の形状に合わせればよいので、設計を要することなく、簡単に作成できる。勿論、台紙との離脱不能化は、鋸若しくは吊下ベルト、或いはその両方を鋸鞘にセットすることで達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に用いる台紙の表面側を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に用いる台紙の裏面側を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に用いる鋸鞘とそれに組み合わされる鋸、吊下ベルトの表面側を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に用いる鋸鞘とそれに組み合わされる鋸、吊下ベルトの裏面側を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に用いる鋸鞘とそれに組み合わされる鋸、吊下ベルトの平面を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に用いる台紙とそれに取り付けられた鋸鞘と吊下ベルトと鋸との状態を示す平面図である。
【図7】本発明の実施形態に用いる台紙とそれに取り付けられた鋸鞘の裏面側を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に用いる台紙とそれに取り付けられた鋸鞘の表面側を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に用いる台紙とそれに取り付けられた鋸鞘及び吊下ベルトの裏面側を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に用いる台紙とそれに取り付けられた鋸鞘及び鋸の表面側を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係り、折曲用片を折り曲げて吊下ベルトを挟持した状態を示す台紙の裏面側を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
先ず図1、2を参照して、本発明実施形態に係る台紙と鋸鞘との取付構造には台紙10が用いられる。
また図3〜5を参照して、前記台紙10に取り付けられることになる鋸鞘20、該鋸鞘20に組み合わされる鋸30、及び吊下ベルト40が用いられる。
【0015】
前記台紙10は、直接的には前記鋸鞘20と嵌め合わされるものである。
台紙10は、その面積内に鋸鞘20と該鋸鞘20に組み合わされる鋸30と吊下ベルト40とが収容、配置されるように、全体として細長い形状に形成されている。
台紙10は、例えばボール紙のような厚紙の他、プラスチックシートを材料とすることができる。この台紙10の表面10aや裏面10bには、文字や図形等を印刷することができる。
台紙10には、その中央付近より少し前方あたりに嵌合穴11を設けている。この嵌合穴11は後述する鋸鞘20の連結用部25のベース部25aを嵌め込むための穴である。
台紙10の先端付近には陳列用穴12を設けている。この陳列用穴12は陳列用の吊紐を通す穴である。
更に台紙10には、その先端付近の側縁に折曲用片13を突出して設けている。折曲用片13は吊下ベルト40を保持するためのものである。
なお、台紙10の末端付近には一対の紐通穴14を設けることができる。この一対の紐通穴14は、必要に応じて、これを用いて紐を通し、鋸鞘20の末端付近を台紙10に結束できるようにするものである。
【0016】
前記鋸鞘20は鞘本体21を主たる構成としている。この鞘本体21は扁平な細長い形をしており、その中に鋸30の刃部を受け入れる。
鞘本体21の基端側には鋸受入口22が設けられている。この鋸受入口22には、鋸刃を侵入させる際のガイトとなる一対の鋸受入ガイド片23、24を、鞘本体21の長手方向に突出した状態に設けている。
鋸鞘20の裏面には連結用部25を突出して配置している。この連結用部25は吊下ベルト40を着脱自在に連結するための部材である。
連結用部25は、その基端側の一部をベース部25aとし、そのベース部25aに対して回転自在に取り付けられる。連結用部25の先端部は吊下ベルト40とのジョイント部25bとなっている。勿論、前記連結用部25はベース部25aに対して回転自在である必要はない。
【0017】
前記鋸鞘20のベース部25aは、鋸鞘20の裏面に突出して形成される部分で、上記台紙10の嵌合穴11に丁度嵌り合う形状としている。
ベース部25aは、前記鋸鞘20の鋸受入口22に設けられた鋸受入ガイド片23、24のうち、裏面側に設けた鋸受入ガイド片24を兼ねる構成とされている。即ち、言い替えると、鋸受入ガイド片24の裏面側の厚みを増加させた状態にしてベース部25aを構成し、且つこのベース部25aが台紙10の嵌合穴11と同形状となって鋸鞘20の裏面に突出するように構成している。
【0018】
鋸鞘20には、その他に、鋸30の差し入れを案内する案内ロール26、紐通し27が設けられている。
【0019】
前記鋸30は、図示しない刃部(鋸刃)とグリップ部31とを有する。刃部は鋸鞘20の中に収容される。一方、グリップ部31は鋸鞘20内には収容されることなく、その鋸受入口22から食み出た状態に維持される。グリップ部31を手で持ち、これを差し抜くことで、鋸30を鋸鞘20から抜き出し、使用に供することができる。
【0020】
前記吊下ベルト40は、ベルト部41とジョイント部42とからなる。ジョイント部42は前記鋸鞘20の連結用部25のジョイント部25bと着脱自在に連結される部分である。またベルト部41は、帯状の輪に構成され、作業者の腰ベルト等に通すことができるようになされている。
前記ベルト部41の先端近くには、金輪を用いたリング穴43が設けられている。このリング穴43に紐やチェーン等の連結手段を通すことで、作業者の腰ベルト等に吊下ベルト40を取り付けることができる。
【0021】
図6〜図11も参照して、次に台紙10と鋸鞘20の取付構造について、鋸30及び吊下ベルト40を含めて、更に説明する。
【0022】
図7、図8を参照して、取り付けは、先ず鋸鞘20の連結用部25を台紙10の表面10aから嵌合穴11を通して裏面10b側に出すと共に、鋸鞘20の連結用部25のベース部25aを台紙10の嵌合穴11に嵌め合わす。この状態で台紙10の裏面10b側の状態は、図7に示すようになる。また台紙10の表面10a側の状態は、図8に示すようになる。
台紙10の嵌合穴11の大きさは、その嵌合穴11を通って鋸鞘20の連結用部25が台紙10の裏面10b側に出ることができる大きさとする必要がある。このため本実施形態では、嵌合穴11の円の大きさを連結用部25のベース部25aの大きさとすると共に、台紙10の長手方向に少し間延びした形状、いわゆる卵形状としている。これによって連結用部25のジョイント部25bまでが嵌合穴11を通過することが可能となる。
なお、嵌合穴11は必ずしも円形である必要はない。
一方、前記台紙10の嵌合穴11の穴形状とベース部25aの外形状とは同じ形状にされている。これによって、鋸鞘20の裏面に突出して形成されたベース部25aが丁度嵌合穴11に嵌り合うことになる。即ち、このような構成では、ベース部25aが嵌合穴11に丁度嵌り込んだ状態となり、且つ鋸鞘20の鞘本体21は台紙10の表面10a側に略接面状態に沿い、一方の鋸鞘20の連結用部25は台紙10の裏面10b側に略接面状態となって沿う。
従って台紙10は、嵌合穴11にベース部25aで嵌り合うものの、台紙10の表面10a側の鞘本体21及び裏面10b側の連結用部25が少なくとも強く接触することはなく、よって台紙10がそれら鞘本体21、連結用部25から圧迫や変形圧力を受けるのを回避することができる。よって台紙10が歪んだり、曲がったり、或いは傷が付くのを最小限に抑制した状態でのセット商品を提供することが可能となる。
【0023】
図9、図10を参照して、上記鋸鞘20のベース部25aを台紙10の嵌合穴11へ嵌め合わせる作業が修了すると、台紙10の裏面10b側では吊下ベルト40を鋸鞘20の連結用部25に連結する。これにより吊下ベルト40の鋸鞘20及び台紙10へのセットが完了する。また台紙10の表面10a側では、鋸30を鋸鞘20の鋸本体21に差し入れる。これにより鋸30の鋸鞘20及び台紙10へのセットが完了する。
前記吊下ベルト40と鋸鞘20の連結用部25との連結は、図7に独立体として示される吊下ベルト40を参照して、そのジョイント部42を連結用部25のジョイント部25bに差し込むことで完了する。
吊下ベルト40が連結用部25に連結、セットされることで、台紙10の裏面10b側では吊下ベルト40の存在が障壁となって、台紙10の嵌合穴11から鋸鞘20のベース部25a及び連結用部25の抜け出しが阻止される。即ち、鋸鞘20が台紙10から簡単に外れるのが防止される。
一方、前記鋸30が台紙10の表面10a側で鋸鞘20に差し込まれることにより、鋸鞘20の鋸受入口22から突出するグリップ部31が、台紙10の表面10a側で、該表面10aに略平行に、且つ前記吊下ベルト40の方向と同じ長手方向に並んで配置されることになる。よってこのためグリップ部30は、台紙10の表面10a側において、鋸鞘20と台紙10との離脱不能化をなす障壁となる。その結果、他の特別な離脱防止手段を用いることなく、台紙10と鋸鞘20、更に鋸30、吊下ベルト40も加えて、それらを台紙10に安定した状態でセットすることができる。
ただし、台紙10と鋸鞘20との離脱不能化は、吊下ベルト40を連結用部25に取り付けるだけで達成できるようにしてもよいし、若しくは鋸30を鋸鞘20に差し込むことで達成できるように構成してもよい。或いは吊下ベルト40と鋸30を台紙10の両側から取り付けることで、離脱不能となるように構成してもよい。本発明は、このような各場合を、その範囲に含むものとする。
【0024】
前記台紙10とそれに取り付けられた鋸鞘20と鋸30と吊下ベルト40との状態を示す平面図を図6に示す。図6から明白なように、台紙10を境にして、鞘本体21と鋸30が台紙10の表面10a側に、連結用部25と吊下ベルト40が台紙10の裏面10b側にきれいに分かれて整列配置されている。このため、台紙10に対する曲げ応力や捻り応力、その他の歪応力が加わるのを十分に軽減することができる。
【0025】
図11を参照して、吊下ベルト40の鋸鞘20及び台紙10への取り付け、セットは、台紙10に設けた折曲用片13を用いて、より確実にすることができる。
即ち、折曲用片13を台紙10の側縁に沿って折り曲げ、吊下ベルト40のベルト間に挿入することで、吊下ベルト40がブラブラ垂れ下がるようなことなく、台紙10の裏面10bに沿った状態に保持することができる。よって、吊下ベルト40を含めた鋸鞘20のセット状態での安定性が増す。
【0026】
なお、台紙10に設けた紐通穴14を用いて、結束紐で鋸鞘20の末端付近を台紙10に結束するようにすれば、更に鋸鞘20の台紙10へのセット状態を安定させることができる。しかし、この場合は結束紐が必要となる。代わりに、鋸鞘20の末端付近を収容することができるポケットを台紙10に構成することも可能である。この場合には結束紐による結束作業は不要となる。また台紙10とは異材料である結束紐を使用する必要がない。
また本実形態では、プラスチック製等によるカバーやそれを台紙10に止めるホッチキス針を使用することなく、鞘付き鋸一式を台紙10にセットして販売することが可能であるので、部品点数の軽減と共に、ごみの回収等において好ましくない異材料の使用を減ずることができる。
【0027】
なお、上記において説明した実施形態においては、連結用部25のベース部25aを連結用部25の一部として構成した。しかし、連結用部25そのものがベース部25aを兼ねるようにしてもよい。即ち、鋸鞘20から立ち上がる連結用部25の立ち上がり部をベース部25aとする。この場合、ベース部25aの外形は連結用部25からの立ち上がり面形状(連結用部25の外周形状)と同じとなり、また台紙10の嵌合穴11も連結用部25の外周形状と同じとなる。即ち、台紙10の嵌合穴11に連結用部25の全体がそのまま丁度嵌合することになる。ただし、連結用部25の厚みは台紙10の厚みより厚く、台紙10の裏面10bから突出する。本発明はこのような連結用部25のベース部25aと台紙10の嵌合穴11との構成もその範囲内に含むものとする。
【符号の説明】
【0028】
10 台紙
10a 表面
10b 裏面
11 嵌合穴
12 陳列用穴
13 折曲用片
14 紐通穴
20 鋸鞘
21 鞘本体
22 鋸受入口
23 鋸受入ガイド片
24 鋸受入ガイド片
25 連結用部
25a ベース部
25b ジョイント部
26 案内ロール
27 紐通し
30 鋸
31 グリップ部
40 吊下ベルト
41 ベルト部
42 ジョイント部
43 リング穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋸と該鋸の鋸刃を受け入れる鋸鞘と該鋸鞘の裏面に突出して配置される連結用部に対して着脱自在に連結される吊下ベルトとを、台紙と共にセットして販売するため、前記鋸鞘と台紙とを相互に嵌め合わせて固定するようにした、台紙と鋸鞘との取付構造であって、前記台紙には前記鋸鞘の連結用部を台紙の表面側から裏面側に挿通させることができる嵌合穴を設け、前記鋸鞘の裏面には、前記連結用部のベースとなるベース部を前記台紙の嵌合穴に丁度嵌り合う形状にして設け、これによって鋸鞘のベース部が前記嵌合穴に嵌り込んだ状態において、前記連結用部のベース部を除く鋸鞘の裏面が台紙の表面に沿った状態に載置されるようにし、且つ少なくとも、前記鋸を台紙の表面側で鋸鞘に挿入するか若しくは前記吊下ベルトを台紙の裏面側で連結用部に連結することで、台紙と鋸鞘との離脱不能化を完了させる構成としたことを特徴とする台紙と鋸鞘との取付構造。
【請求項2】
台紙の先端近くの側縁に折曲用片を突出して構成し、該折曲用片を折り曲げて前記鋸鞘の連結用部に連結された吊下ベルトに差し込むことで、吊下ベルトを台紙に沿った位置に保持する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の台紙と鋸鞘との取付構造。
【請求項3】
台紙の末端近くには、鋸鞘の末端付近を台紙に紐結束するための一対の紐通穴を構成してあることを特徴とする請求項1又は2に記載の台紙と鋸鞘との取付構造。
【請求項4】
連結用部のベース部は、連結用部の基端側の部分を用いて、台紙の嵌合穴に丁度嵌り合う大きさに構成すると共に、該ベース部で前記鋸鞘の鋸受入口に設けられる鋸受入ガイド片を兼ねる構成としてあることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の台紙と鋸鞘との取付構造。
【請求項5】
連結用部のベース部は、鋸鞘から立ち上がる連結用部の立ち上がり部とし、これによって台紙の嵌合穴に対して連結用部の全体が丁度嵌り合うと共に裏面側に突出する構成としてあることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の台紙と鋸鞘との取付構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2013−86810(P2013−86810A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226516(P2011−226516)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(590006387)株式会社ユーエム工業 (17)
【Fターム(参考)】