説明

台車搬入出用案内板

【課題】横方向にスライドして庫内を開放するスライドドアを備え、処理対象物を搭載した台車を庫内に搬入してスライドドアを閉めた状態で、所定の処理を実施するよう構成される装置に対し、スライドドアの開閉に応じて、台車を庫内に搬入又は台車を庫内から搬出することができる状態とそうでない状態とに自動的に切り替えることができる台車搬入出用案内板を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、固定板部1と、該固定板部1に対して出退自在であり、且つ、進出すると、先端側が庫内に入り込んで、床面と庫内とを掛け渡すことが可能となる可動板部15と、固定板部1に対する可動板部15の出退操作を行うための作動機構6,8,20とを備え、該作動機構6,8,20とスライドドアYとが部材Y1によって作動的に連結されることが特徴である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドドアを備える装置の庫内に対して台車を搬入出するための台車搬入出用案内板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、食品業界においては、真空冷却機、真空解凍機、蒸煮冷却機といった食品装置を設備として保有する場合がある。この種の食品装置は、食品等の処理対象物を搭載した台車を庫内に搬入し、所期の処理を施した後、台車を搬出するわけであるが、一般的には、図7に示す如く、衛生管理の観点から、食品装置の正面側の床面に排水溝Zを設けている。
【0003】
そして、排水溝Zには、グレーチングが設置され、人が不用意に排水溝Zに落ち込まないようにしているのであるが、台車の車輪(キャスター)は、グレーチングの目に落ち込むか、あるいは落ち込まないまでも引っ掛かるため、グレーチングの上を通り越して台車を庫内に搬入することは物理的に困難である。
【0004】
従って、従来より、排水溝Zを跨いで床面と真空冷却機の庫内底面とを掛け渡すための台車搬入出用案内板が提供されている。該台車搬入出用案内板は、床面に載置される固定板2’と、該固定板2’の先端に回転自在に取り付けられる可動板16’とからなり、通常(処理中あるいは待機中)、スライドドアYを閉めておく必要がある時は、該スライドドアYと干渉しないよう、可動板16’を上げて固定板2’側に折り返しておき、スライドドアYを開けた状態で台車を庫内に搬入あるいは台車を庫内から搬出する際には、可動板16’を下ろして使用するようになっている。
【0005】
そして、可動板16’を下ろすと、固定板2’と可動板16’とが略面一となり、その上を台車を走行させることができる。しかも、固定板2’及び可動板16’はスロープとなっているため、床面と庫内底面との間に生じる段差(高低差)を気にすることなく、台車を搬入出することが可能である。
【0006】
尚、食品装置の種類によっては、あるいはユーザによっては、食品装置を設置する箇所にピットを設け、床面と庫内底面とを面一又は略面一にする場合もあり、このような場合は、スロープ式の台車搬入出用案内板(いわゆる「外スロープ」)ではなく、フラット式の台車搬入出用案内板(いわゆる「外レール」)が用いられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、外スロープであれ、外レールであれ、従来の台車搬入出用案内板は、人が可動板16’の上げ下ろしを行う必要があった。そのため、従来の台車搬入出用案内板に対して、可動板16’の上げ下ろしを行うために、可動板16’に連結されるチェーンや、可動板16’を引っ掛ける棒が提供されていた。
【0008】
しかしながら、食品装置であれば、食品を取り扱う性質上、不必要なものを触ることはできるだけ避けるべきである。例えば、食品の温度管理等を目的として、台車を庫内に搬入した後、台車上の食品に熱電対を挿入する作業を行ったりするが、この前には、台車を庫内に搬入する準備として、チェーンや棒を持って可動板16’を下ろす作業が必然的に必要となり、そうであれば、チェーンや棒を触った手で熱電対を持って食品に挿入することになり、このようなことは、衛生面で避ける方が好ましい。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、人が操作せずとも、スライドドアの開閉に伴って自動的に然るべき状態に切り替えることができるような台車搬入出用案内板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためのもので、横方向にスライドして庫内を開放するスライドドアを備え、処理対象物を搭載した台車を庫内に搬入してスライドドアを閉めた状態で、所定の処理を実施するよう構成される装置に対し、台車を庫内に搬入又は台車を庫内から搬出するために用いられる台車搬入出用案内板であって、固定板部と、該固定板部に対して出退自在であり、且つ、進出すると、先端側が庫内に入り込んで、床面と庫内とを掛け渡すことが可能となる可動板部と、固定板部に対する可動板部の出退操作を行うための作動機構とを備え、該作動機構とスライドドアとが作動的に連結されることを特徴とする。
【0011】
かかる構成によれば、スライドドアを開けば、可動板部が固定板部から進出し、可動板部の先端側が庫内に入り込んで、固定板部と可動板部とで床面と庫内とを掛け渡すことが可能な状態となり、その結果、固定板部及び可動板部を通して台車を庫内に搬入したり、台車を庫内から搬出することが可能となる。一方、スライドドアを閉じれば、可動板部が固定板部側に退避した状態となる。
【0012】
尚、「作動的に連結」とは、スライドドアの開閉どちらの際も、スライドドアの動きが作動機構に作用する場合はもちろんのこと、スライドドアを開ける際にのみ、スライドドアの動きが作動機構に作用して可動板部を進出させるが、可動板部を退避させるのは、台車搬入出用案内板自身が備える構造により行われる場合であったり、あるいはその逆に、スライドドアを閉じる際にのみ、スライドドアの動きが作動機構に作用して可動板部を退避させるが、可動板部を進出させるのは、台車搬入出用案内板自身が備える構造により行われる場合を含む趣旨である。
【0013】
また、本発明は、前記作動機構は、固定板部又は可動板部の一方に設けられるカム面と、固定板部又は可動板部の他方に設けられ、カムフォロアを有して揺動自在な操作レバーとを備え、該操作レバーとスライドドアとが作動的に連結される構成が採用可能である。
【0014】
かかる構成によれば、スライドドアと作動的に連結する操作レバーが揺動することにより、カムフォロアがカム面を従動し、これにより、固定板部に対して可動板部が出退自在となる。
【発明の効果】
【0015】
以上の如く、本発明によれば、固定板部に対する可動板部の出退操作を行うための作動機構がスライドドアと作動的に連結される構成であるため、スライドドアの開閉に応じて可動板部を然るべき状態、即ち、台車を庫内に搬入又は台車を庫内から搬出することができる状態とそうでない状態とに自動的に切り替えることができる。従って、作業者は、台車搬入出用案内板の切り替え操作を行う必要がないため、便利であり、衛生的でもある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る台車搬入出用案内板の一実施形態として、従来と同様、床面に直置きされる真空冷却機に適用されるものであって、床面と真空冷却機の庫内底面との段差に対応可能なスロープ式について、図面を参酌しつつ詳細に説明する。
【0017】
本実施形態に係る台車搬入出用案内板は、図1及び図2に示す如く、床面に載置される固定板部1と、該固定板部1に対して出退自在な可動板部15とからなり、可動板部15が固定板部1側に退避した状態(図1(ロ)及び図2(ロ)を参照)から進出した状態(図1(イ)及び図2(イ)を参照)に切り替わると、可動板部15の先端側が真空冷却機の庫内底部に入り込んで、床面と真空冷却機の庫内底面とを掛け渡すことが可能となっている。
【0018】
そして、固定板部1は、緩やかに傾斜した固定板2と、該固定板2の側方位置に配置される一対の幅規制部3,3とを主たる構成とし、可動板部15は、固定板2と同様、緩やかに傾斜した可動板16と、該可動板16の側方位置に配置される一対の幅規制部17,17とを主たる構成とし、可動板部15が固定板部1から進出した状態で、固定板2と可動板16とが面一又は略面一となると共に、一対の幅規制部3,3と一対の幅規制部17,17とが連続又は略連続となることにより、台車は、一対の幅規制部3,3及び一対の幅規制部17,17により横方向へのズレが規制されつつ、固定板2及び可動板16上を走行することが可能となっている。
【0019】
固定板2は、矩形状を有し、それぞれ側端に沿って幅規制部3が取り付けられる。幅規制部3は、角柱形状を有し、可動板部15と反対側の端部(床面側の端部)内側が斜めに切り欠かれる形状とされることで、一対の幅規制部3,3は、床面側の端部が拡開された状態となる。一方、可動板16も、矩形状を有し、それぞれ側端に沿って幅規制部17が取り付けられる。幅規制部17は、板材からなり、固定板部1と反対側の端部(真空冷却機側の端部)が外側方に屈曲されることで、一対の幅規制部17,17は、真空冷却機側の端部が拡開された状態となる。従って、台車を真空冷却機の庫内に搬入する際、あるいは台車を真空冷却機の庫内から搬出する際、台車がある程度ずれた状態にあっても、一対の幅規制部3,3間あるいは一対の幅規制部17,17間に台車を正しく誘導することが可能となっている。
【0020】
また、可動板16は、両側端に屈曲片16aを有し、固定板2よりも幅広となっている。より詳しくは、可動板16は、幅寸法が固定板2の幅寸法よりも大きくなるように平板の両端を下方に(直角に)屈曲して形成したものである。そして、可動板部15が固定板部1から進出した状態で固定板2と面一又は略面一となっている可動板16が、可動板部15が固定板部1側に退避した状態で固定板2の上に重なることを可能とすべく、幅規制部3のうち、可動板部15側は、所定長さ範囲に亘って固定板2との間に所定間隔(具体的には、可動板16の板厚よりも大きな間隔)のスリット3aを有し、退避する可動板16が該スリット3aに挿入可能となっている。
【0021】
尚、一対の幅規制部17,17のうち、固定板部1側の平行部分は、その間隔が一対の幅規制部3,3の間隔よりも狭くなっており、可動板部15が固定板部1側に退避した状態で、一対の幅規制部3,3間に入り込むようになっている。但し、その差は僅かであるので、可動板部15が固定板部1から進出した状態で、幅規制部3の内面と幅規制部17の内面とは略面一となって連続又は略連続し、従って、この箇所にて台車が引っ掛かって台車の走行が阻害されるようなことはない。
【0022】
ところで、可動板16の屈曲片16aは、固定板部1側の端部であって、内側に転動手段としてのローラ18を備える。屈曲片16aは、可動板16の両側端にあるので、ローラ18は、両側端に一対設けられている。より詳しくは、それぞれ屈曲片16aのうち、固定板部1側の端部には、内側に突出するようにして軸18aが設けられ、該軸18aにローラ18が回転自在に取り付けられる。
【0023】
一方、固定板2の傾斜角度を規定すべく、該固定板2の下面に取り付けられるベース部4には、ローラ18が挿入される長孔4aが形成される。具体的には、ベース部4は、二辺が規定の傾斜角度で交差する長尺な三角形状の帯状の板材からなり、固定板2のそれぞれ側端に沿って一対のベース部4,4が取り付けられるため、それぞれベース部4は、屈曲片16aと平行になるようにして該屈曲片16aの内側近傍に位置し、それぞれベース部4に形成された長孔4aに、それぞれ屈曲片16aの内側に位置するローラ18が挿入される。
【0024】
また、ベース部4のうち、可動板部15側の端部には、ピニオン5が回転自在に取り付けられる一方、可動板16の下面には、該ピニオン5に対して上方から噛合するラック19が取り付けられる。具体的には、一対のベース部4,4のうち、可動板部15側の端部を貫通するようにして軸5aが回転自在に設けられ、該軸5aのうち、ベース部4から突出するそれぞれ端部にピニオン5が固定され、一方、可動板16のそれぞれ側端に沿って一対のラック19,19が歯を下向きにして取り付けられる。
【0025】
固定板部1側の長孔4aと可動板部15側のローラ18との組み合わせ、及び固定板部1側のピニオン5と可動板部15側のラック19との組み合わせは、固定板部1に対する可動板部15の円滑な出退動作を実現するためのものである。従って、長孔4a及びラック19は、可動板部15の出退方向に沿って互いに平行に設定され、また、ローラ18の軸18a及びピニオン5の軸5aは、可動板部15の出退方向と直交する方向に沿って互いに平行に設定される。
【0026】
また、長孔4aは、可動板部15の移動範囲を規定するものであり、長孔4aの一端から他端にかけてローラ18が長孔4a内を移動する範囲で、可動板部15は、固定板部1に対して移動可能となっている。また、その移動範囲において、ピニオン5がラック19から脱輪しないよう、ラック19の長さが設定されている。
【0027】
これらは、図3〜図5を見れば、より明らかになる。加えて特徴的なことは、長孔4aのうち、可動板部15側の端部が下方に湾曲されており、また、ラック19のうち、固定板部1側の端部が、長孔4aの端部の湾曲に応じて上方に変位していることである。この構成により、可動板部15が固定板部1側に退避した状態(図5を参照)から完全に進出した状態(図3を参照)に切り替わる直前の状態(図4を参照)に可動板部15が落ち込み、その結果、可動板部15が固定板部1から完全に進出した状態(図3を参照)で、固定板2と可動板16とを面一とすることができつつも、可動板部15が固定板部1から完全に進出した状態(図3を参照)から固定板部1側に退避した状態(図5を参照)に移行を開始しようとする状態(図4を参照)で可動板部15が浮き上がり(オフセットし)、その結果、可動板16が固定板2と干渉することなく、可動板部15が固定板部1側に退避した状態(図5を参照)で、固定板部2の上に可動板16を重ねることができる。
【0028】
即ち、固定板2と可動板16とに着目すれば、可動板16が退避した状態から進出する際は、可動板16は、固定板2と平行を維持したまま傾斜方向に沿って(斜め上方に)移動し、完全に進出する直前に落ち込んで固定板2と面一になり、その逆に、可動板16が完全に進出した状態から退避する際は、まず可動板16は、浮き上がって固定板2と面一から平行になり、それから、固定板2と平行を維持したまま傾斜方向に沿って(斜め下方に)移動し、固定板2の上に重なるようにして退避した状態となるのである。
【0029】
次に、固定板部1は、可動板部15の出退操作を行うための作動機構を備えている。該作動機構は、図1〜図5に示す如く、固定板部1側の操作レバー6と、可動板部15側のガイド部20とを主要構成とする。
【0030】
操作レバー6は、水平面に沿って揺動可能(回転可能)となっている。詳しくは、操作レバー6は、略三角形状を有し、第1部位(固定板部1側の端部)7が回転自在に支持されている。また、操作レバー6は、第2部位(反対側の端部)にカムフォロアとしてのガイドローラ8を備える。さらに、操作レバー6は、第3部位(中間部)にローラ9を備える。
【0031】
一方、ガイド部20は、カム面として機能するもので、ガイドローラ8の径に対応した間隔を有する一対のガイド部(外側ガイド部20a、内側ガイド部20b)からなる。それぞれガイド部20a,20bは、板材からなり、可動板部15の出退方向と直交する方向に沿って可動板16の下面に取り付けられている。詳しくは、これらガイド部20a,20bは、可動板16の先端側に取り付けられ、先端に近い側が外側ガイド部20aであり、それよりも固定板部1側に平行に位置するのが内側ガイド部20bである。
【0032】
外側ガイド部20aは、可動板16の幅方向に亘って形成され、一方、内側ガイド部20bは、外側ガイド部20aよりも短く、可動板16の幅方向の中央部に形成されている。そして、両ガイド部20a,20bの間隔がガイドローラ8の直径と等しくなっており、且つ、それらの間にガイドローラ8が挿入されるようになっている。
【0033】
そこで、例えば図2を参照すると、操作レバー6を第1部位7を中心として一方側(反時計回り)に回転操作すれば、ガイドローラ8も一方側(反時計回り)に回転するため、該ガイドローラ8によって内側ガイド部20bが押圧され、その結果、可動板部15が退避する方向に移動操作され、一方、操作レバー6を第1部位7を中心として他方側(時計回り)に回転操作すれば、ガイドローラ8も他方側(時計回り)に回転するため、該ガイドローラ8によって外側ガイド部20aが押圧され、その結果、可動板部15が進出する方向に移動操作されることとなる。
【0034】
ところで、操作レバー6の端部7は、コイルバネ等の弾性部材を備えており、操作レバー6は、他方側(時計回り)に回転する方向に常時付勢されている。従って、可動板部15を退避させる場合は、付勢に抗して操作レバー6を一方側(反時計回り)に回転するように外力を作用させなければならないが、可動板部15を進出させる場合は、操作レバー6に対する外力の作用を止めれば、退避した状態から付勢により自動的に切り替わるようになっている。
【0035】
本実施形態に係る台車搬入出用案内板は、以上のように構成され、図7に示す如く、真空冷却機Xに適用される。即ち、可動板部15が固定板部1から進出した状態で、可動板部15の先端側が真空冷却機Xの庫内底部に入り込んで、床面と真空冷却機の庫内底面とを掛け渡すことが可能なように配置する。台車搬入出用案内板が不用意に動くようなことが懸念される場合は、固定板部1側に設けられたボス(図示しない)にあけられた孔にアンカーボルト等の締結手段を通し、これを床面に打ち込んで固定すればよい。
【0036】
また、真空冷却機XのスライドドアYに揺動自在に支持される例えば金属棒等の操作部材Y1を設け、この先端を操作レバー6に接触させるようにしておく。この操作部材Y1は、操作レバー6に対する外力を大きく作用させるべく、ガイドローラ8の近傍における操作レバー6の部位に接触させるのが好ましく、また、接触が解除されず、且つ揺動自在に支持されるのが好ましい。即ち、操作部材Y1は、操作レバー6とスライドドアYとを連結する自在継手として機能させるのが好ましい。
【0037】
こうすることで、スライドドアYを閉める際、操作部材Y1が操作レバー6を一方側に回転させ、これにより、可動板部15が退避する操作を実現することができる。逆に、スライドドアYを開ける際は、操作部材Y1によって操作レバー6が引かれ、これにより操作レバー6が他方側に回転し、可動板部15が進出する操作を実現することができる。あるいは、操作部材Y1によらずとも、操作レバー6に対する付勢を以て、可動板部15が自動的に進出するようにもできる。
【0038】
以上、本実施形態に係る台車搬入出用案内板は、真空冷却機XのスライドドアYの開閉に伴って、可動板部15が固定板部1から進出した状態と、固定板部1側に退避した状態とに自動的に切り替えることができるため、従来のように、台車搬入出用案内板あるいはそれを操作するための手段に触れる必要性が無くなり、非常に衛生的である。
【0039】
また、従来であれば、可動板16’の上げ下ろしを忘れてスライドドアYを開閉すると、可動板16’とスライドドアYとが接触して破損するおそれがあったが、本実施形態に係る台車搬入出用案内板は、固定板部1とスライドドアYとはもちろん、可動板部15とスライドドアYとが接触する事故も起こり得ない。
【0040】
また、本実施形態に係る台車搬入出用案内板は、構成が簡潔であるため、安価に製造することができ、また、施工(設置)にかかるコストも低減することができる。
【0041】
また、本実施形態に係る台車搬入出用案内板は、固定板部1のうち、台車の走行面を形成する固定板2と、可動板部15のうち、台車の走行面を形成する可動板16とが傾斜するスロープ式であり、可動板16が固定板2に対してオフセットした状態で、可動板部15が固定板部1側に退避する、詳しくは、固定板2と可動板16とが干渉するのを防止すべく、可動板16がオフセットし、固定板2に重なるようにして可動板部15が固定板部1側に退避する一方、可動板部15が固定板部1から進出した状態で、固定板2と可動板16とが面一又は略面一となるようになっているため、可動板部15が固定板部1側に退避した状態でコンパクト化を実現しつつ、可動板部15が固定板部1から進出した状態では、台車を円滑に走行させることができる。
【0042】
尚、本発明に係る台車搬入出用案内板は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0043】
例えば、上記実施形態においては、真空冷却機を例に挙げたが、食品装置としては、真空解凍機や蒸煮冷却機であってもよく、また、食品装置に限定されるものでもない。要は、横方向にスライドして庫内を開放するスライドドアを備え、処理対象物を搭載した台車を庫内に搬入してスライドドアを閉めた状態で、所定の処理を実施するよう構成される装置であれば、本発明の意図するところである。
【0044】
また、上記実施形態においては、装置が床面に直置きされるため、スロープ式の台車搬入出用案内板を例に挙げたが、装置を設置する箇所にピットを設けることにより、装置を床面より落とし込んで、床面と装置の庫内底面とを面一又は略面一にする場合には、フラット式の台車搬送用案内板、即ち、固定板及び可動板が水平面に沿って配置され、固定板に対して可動板が水平方向に出退する構成からなる台車搬送用案内板であってもよい。
【0045】
また、上記実施形態においては、可動板部15が進出すると、先端側が庫内底部に入り込んで床面と庫内底面とを掛け渡すようになっているが、これに限定されず、庫内構造によっては、あるいは台車構造によっては、床面と底面以外の庫内箇所とを掛け渡すことも考えられる。
【0046】
また、上記実施形態においては、固定板部1に対する可動板部15の出退操作を行うための作動機構として、カムフォロアとしてのガイドローラ8を備える操作レバー6と、カム面としてのガイド部20との組み合わせを採用し、作動機構とスライドドアとを作動的に連結する手段として、作動機構(操作レバー6)及びスライドドアにそれぞれ回転自在(揺動自在)に接続される操作部材Y1を採用したが、これに限定されるものではなく、例えば、常時は退避方向に付勢されて退避した状態を採る可動板部とスライドドアとをワイヤや紐等の線材で連結し、スライドドアを開けると、線材が引っ張られ、その結果、可動板部が付勢に抗して線材に引っ張られることにより、可動板部が進出した状態に切り替わるような構成や、スライドドアを閉じる際、常時は進出方向に付勢されて進出した状態を採る可動板部をスライドドアの一部あるいはスライドドアに取り付けられた操作部材が直接押すことにより、可動板部が退避した状態に切り替わるような構成を採用することができる。
【0047】
また、上記実施形態においては、固定板部1に対する可動板部15の出退操作を行うための作動機構を機械的要素のみで実現しているが、例えば、モータやアクチュエータ、エアシリンダや油圧シリンダといった作動要素を採用してもよい。これらの場合、スライドドアの自動開閉信号に基づいてモータ、アクチュエータ、シリンダを駆動して可動板部15の出退操作を行う方法が考えられる。
【0048】
また、上記実施形態においては、カム面として、可動板部15側にガイド部20が設けられ、カム面に従動するカムフォロアとして、固定板部1側にガイドローラ8が設けられるが、これとは逆に、カム面が固定板部1側に設けられ、カムフォロアが可動板部15側に設けられていてもよい。
【0049】
また、上記実施形態においては、可動板16が固定板2の上に重なるようにして可動板部15が退避した状態となるが、これとは逆に、可動板16が固定板2の下に重なるようにして可動板15が退避した状態となってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本実施形態に係る台車搬入出用案内板の斜視図であって、(イ)は、可動板部が進出した状態、(ロ)は、可動板部が退避した状態を示す。
【図2】同台車搬入出用案内板の平面図であって、(イ)は、可動板部が進出した状態、(ロ)は、可動板部が退避した状態を示す。
【図3】同台車搬入出用案内板の断面側面図であって、可動板部が進出した状態を示す。
【図4】同台車搬入出用案内板の断面側面図であって、可動板部が退避を開始した状態を示す。
【図5】同台車搬入出用案内板の断面側面図であって、可動板部が退避した状態を示す。
【図6】同実施形態に係る台車搬入出用案内板の平面図であって、真空冷却機に適用された状態を示す。
【図7】従来の台車搬入出用案内板の斜視図であって、真空冷却機に適用された状態を示す。
【符号の説明】
【0051】
1…固定板部、2…固定板、3…幅規制部、3a…スリット、4…ベース部、4a…長孔、5…ピニオン、5a…軸、6…操作レバー、7…端部、8…ガイドローラ(カムフォロア)、9…ローラ、15…可動板部、16…可動板、16a…屈曲片、17…幅規制部、18…ローラ、18a…軸、19…ラック、20…ガイド部(カム面)、X…真空冷却機、Y…スライドドア、Y1…操作部材、Z…排水溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向にスライドして庫内を開放するスライドドアを備え、処理対象物を搭載した台車を庫内に搬入してスライドドアを閉めた状態で、所定の処理を実施するよう構成される装置に対し、台車を庫内に搬入又は台車を庫内から搬出するために用いられる台車搬入出用案内板であって、固定板部と、該固定板部に対して出退自在であり、且つ、進出すると、先端側が庫内に入り込んで、床面と庫内とを掛け渡すことが可能となる可動板部と、固定板部に対する可動板部の出退操作を行うための作動機構とを備え、該作動機構とスライドドアとが作動的に連結されることを特徴とする台車搬入出用案内板。
【請求項2】
前記作動機構は、固定板部又は可動板部の一方に設けられるカム面と、固定板部又は可動板部の他方に設けられ、カムフォロアを有して揺動自在な操作レバーとを備え、該操作レバーとスライドドアとが作動的に連結されることを特徴とする請求項1に記載の台車搬入出用案内板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−248638(P2008−248638A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−93733(P2007−93733)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】