説明

台間遊技媒体貸機

【課題】 管理装置と台間遊技媒体貸機間で通信の不都合が発生する状況下でも、台間遊技媒体貸機の貸出処理を停止することなく遊技店の営業を維持可能にする。
【解決手段】 島コントローラ30において、状態監視部341は、管理装置60との間の通信及び台間処理ユニット20との間の通信を監視し、縮退制御部342は、状態監視部341の監視結果に基づき管理装置60と台間処理ユニット20との間の通信に不都合が発生すると判別した場合は、配下の台間処理ユニット20に対して縮退モードへ移行することを指示する縮退命令を一斉送出する。台間処理ユニット20において、縮退制御部292は、島コントローラ30から送出された縮退命令の受信により、自装置を縮退モードに移行させ、特定の金種の紙幣のみを受け入れて該紙幣の金額分の遊技媒体を一発で貸出す処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技台の間に配設された複数台の台間遊技媒体貸機と管理装置とを島毎に配設された島コントローラを経由して通信線で接続し、管理装置は、島コントローラを介して台間遊技媒体貸機と通信を行うことにより台間遊技媒体貸機の処理データを管理するとともに、台間遊技媒体貸機は、島コントローラを介して管理装置と通信を行うことによりカード処理を実行する遊技システムにおいて、管理装置との間の通信に不都合が発生すると判別した場合に、台間遊技媒体貸機のみで遊技媒体貸出処理を行う縮退モードに移行する制御機能を有する台間遊技媒体貸機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ、スロットマシン、パロットなどの遊技機による遊技サービスを提供する遊技店(パチンコ店)では、遊技機毎に1対1で対応させて台間遊技媒体貸機を設置し、該台間遊技媒体貸機が遊技客により挿入されたカード(プリペイドカード、あるいは会員カード)からカードIDを読み取って貸出操作に伴う貸出要求度数を上位装置である管理装置に通知し、管理装置では通知を受けたカードIDに対応して管理している有価価値(残度数)から当該貸出要求数分を減算処理した後、貸出許可を台間遊技媒体貸機に通知し、該通知を受けて台間遊技媒体貸機が遊技媒体(玉、メダル)を貸出す遊技システムが構築されている。
【0003】
この種の遊技システムが設置される遊技店では、遊技客が台間遊技媒体貸機にカードを挿入して遊技を行った際の売上データ等のデータ(カードデータ)は、全て、管理装置が管理しているため、管理装置が故障した際に遊技店が営業停止に陥ることを防止すべく、管理装置を二重化して配置する対策が講じられている。
【0004】
また最近、遊技媒体の貸出にカードなどの媒体を(実質的に)用いずに遊技媒体を貸出す遊技媒体貸出システムが提案されている。概略的には有価価値である現金(紙幣)を受入れた際に台間遊技媒体貸機単体でカードを発行(または発行した処理)し、カードIDと共に売上データを管理装置へ送信し、管理装置で売上として管理している。
【0005】
この種の遊技システムでは、管理装置と台間遊技媒体貸機間の通信経路に障害が発生した場合も売上データの管理が行えなくなるが、この点の対策に関して、下記特許文献1には、管理装置と台間遊技媒体貸機との通信経路が通信異常状態となった場合、台間遊技媒体貸機が、売上累計値が予め設定されている貸出制限金額内で玉貸しを行う制御技術(段落0058等)が開示されている。
【0006】
また、この種の遊技システムでは、台間遊技媒体貸機の機能変更等のために、管理装置から台間遊技媒体貸機へのプログラムのダウンロードが適宜実施されるが、この場合、ダウンロードデータ(プログラムデータ)と台間遊技媒体貸機の売上データの両方を同一の通信ライン上で転送するのが一般的であった。
【特許文献1】特開2005−21506号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の遊技システムのうち、管理装置を二重化する構成では、一方の管理装置が故障した時の営業停止を免れることはできるが、例えば、HUBの故障等、ネットワークの異常に発生時には、営業の続行が不可能になるという問題点があった。
【0008】
また、特許文献1記載の遊技媒体貸出システムでは、管理装置と台間遊技媒体貸機との通信経路が通信異常状態となった後の台間遊技媒体貸機において、貸出制限金額を超えて入金された場合、エラーダウン制御が行なわれることで、該通信異常状態での運用が一切不可能になる(遊技店の営業が維持できなくなる)という問題点があった。
【0009】
また、管理装置から台間遊技媒体貸機へのプログラムのダウンロードに際して、プログラムデータと台間遊技媒体貸機の売上データの両方を同一の通信ライン上で転送する従来の方法では、プログラムダウンロード時の通信負荷が非常に高くなり、売上データの送信、ダウンロードデータの送信ともに時間がかかり、これを防ぐには、ダウンロードデータの送信中、売上データの送信を止める必要がある等、営業維持に支障を来たすという問題点があった。
【0010】
本発明は上記問題点を解消し、管理装置との間で通信の不都合が発生するような状況下でも、遊技媒体貸出処理を完全に停止することなく遊技店の営業を維持できる台間遊技媒体貸機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、遊技台の間に配設され、受け付けた有価価値の大きさのうちの所定の大きさの有価価値を遊技媒体の貸出に使用するための貸出処理を行なう台間遊技媒体貸機において、貨幣を受け付ける貨幣処理手段と、遊技媒体の貸出に使用可能な有価価値を特定可能な記憶媒体の処理を行なう記憶媒体処理手段と、受け付けた貨幣に相当する有価価値若しくは前記記憶媒体から特定可能な有価価値の大きさのうちの前記貸出処理に使用されていない残有価価値を記憶する残有価価値記憶手段と、前記残有価価値記憶手段に記憶された前記残有価価値に基づいて遊技媒体の貸出処理を行なう貸出処理手段と、前記管理装置と通信できる状態か否かを検知する通信可否検知手段と、前記通信可否検知手段によって前記管理装置との通信不可状態であることが検知された場合に、該台間遊技媒体貸機を前記管理装置から切り離して当該台間遊技媒体貸機が遊技媒体貸出処理を実行する縮退モードへ移行させる制御手段とを具備し、前記制御手段は、前記縮退モードへ移行後に、前記残有価価値記憶手段に記憶された前記残有価価値がないことを条件として通常モードよりも少なく制限された利用可能金種の貨幣を受け入れて遊技媒体貸出処理を行なうことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、前記制御手段は、前記縮退モードへ移行した際、前記残有価価値記憶手段に記憶された前記残有価価値がある場合には、該記憶媒体を排出し、その後に貨幣の投入が可能となる。
【0013】
請求項3記載の発明は、上記請求項1または2記載の発明において、前記制御手段は、前記縮退モードへ移行すると、受け入れた貨幣の金額に対応する数の遊技媒体を1回で貸し出す制御を行なう。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、島コントローラは、管理装置との間の通信及び台間遊技媒体貸機との間の通信を監視し、該監視結果に基づき管理装置と台間遊技媒体貸機との間の通信に不都合が発生すると判別した場合は、台間遊技媒体貸機を管理装置から切り離して該台間遊技媒体貸機のみで遊技媒体貸出処理を実行する縮退モードへ移行させる制御機能を有するため、台間遊技媒体貸機は、管理装置との間の通信障害発生時やプログラムダウンロード時等、通信に不都合が生じる状況下においても、縮退モードに移行させて該台間遊技媒体貸機のみで遊技媒体貸出処理を行うことで、遊技店の営業を維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明に係わる遊技システムの全体構成を示すブロック図である。
【0017】
図1において、この遊技システムは、遊技店のホール内の「島」と呼ばれるグループ毎に設置される複数の遊技機〔パチンコ台やスロットマシン等〕10と、該各遊技機10に対して1対1で設置され、遊技用記録媒体として用いるカード(プリペイドカード、会員カード)または貨幣を受け入れて遊技媒体であるパチンコ玉あるいはメダルの貸出処理を実施する台間処理ユニット(特許請求の範囲における台間遊技媒体貸機)20と、上記「島」毎に設置され、後述する管理装置60との間におけるデータの中継伝送等の処理を行う島コントローラ30と、上記各「島」に対応して設置されてデビットカード(銀行のキャッシュカード)を受け入れてプリペイドカードの発行あるいは会員カードへの有価価値の価値付けを行うデビット券売機40と、上記各「島」に対応して設置されてプリペイドカードあるいは会員カードに対応する残度数を金額に換算して該金額分の現金(紙幣)を精算金として払出す精算機50と、遊技システムを統括制御する管理装置60とをローカル・エリア・ネットワーク(LAN)70を介して接続して構成される。
【0018】
また、この遊技システムにおいて、管理装置60は、遊技店に上記プリペイドカード、会員カードを供給してその運用状況を管理するカードセンタ83と公衆網80を介して接続されるとともに、デビット券売機40は、該デビット券売機40でデビットカードを利用してカードに価値付けする際のデビット決済処理を行うデビット決済センタ85と接続(公衆網80を介して接続しても良い)されている。これにより、デビット券売機40でのデビットに関係する情報はデビット決済センタ85へ、遊技店に関する情報(カード売上情報等)は管理装置60へ送信されるようになっている。
【0019】
この遊技システムでは、遊技用記録媒体としてプリペイドカードと会員カードが用いられ、台間処理ユニット20、デビット券売機40及び精算機50の各装置は、プリペイドカード、会員カードを受け入れてこれらカードに対する有価価値の価値付け、有価価値の更新(加算、減算)、有価価値精算等の処理を管理装置50と協働して行う。
【0020】
管理装置60は、遊技システム全体を制御統括するコントローラ(ターミナル・コントローラ:以下、T/C)であり、例えば、図2に示すように、制御部であるCPU61、ハードディスクなどの記憶装置62、動作プログラム等を記憶するメモリ63、マウスやキーボード等の入力装置64、CRT等の表示装置65、LAN70を介してカード処理ユニット20,島コントローラ30,デビット券売機40及び精算機50等の下位装置との通信を行う通信インタフェース(I/F)部66、公衆網80を介してカードセンタ83の処理端末や、デビット決済センタ85の処理端末と接続する外部インタフェース(I/F)部67、台間処理ユニット20にダウンロードするためのプログラムをCD(コンパクト・ディスク)等の外部メディア91からインストールする外部メディア入力部68、装置の動作用電源を供給する電源部69を備えたPC(パーソナル・コンピュータ)等の情報処理端末により構成される。
【0021】
T/C60において、メモリ63には、有価価値管理テーブルとして、図3(a)に示すプリペイドカード管理テーブル631、図3(b)に示す会員管理テーブル632が設けられ、これら各テーブルを用いてプリペイドカード情報、会員情報が別々に管理される。
【0022】
図3(a)に示すように、プリペイドカード管理テーブル631には、プリペイドカードのカードID毎に、発行日、発行金額、残度数、再発行回数、追加入金額、デビット入金などの各種データが記憶されている。
【0023】
また、会員管理テーブル632には、図3(b)に示すように、会員カードのカードID(会員コード)別に、貯玉数、残度数、来店回数、来店ポイント、入会日、住所、氏名、電話番号および追加入金額、デビット入金などの各種データが記憶されている。
【0024】
制御部61には、下位装置である台間処理ユニット20,デビット券売機40及び精算機50等の各装置と通信して、該各装置が受け入れているカードのカードIDに対応するプリペイドカード管理テーブル631、会員管理テーブル632上の有価価値(残度数)の加算あるいは減算等の処理を行う処理データ管理機能の他、下位装置である島コントローラ30との間の通信状態、あるいは上位装置であるカードセンタ83の処理端末との間の通信状態を監視する状態監視部611、外部メディア入力部68を介して外部メディア91からインストールしたプログラムを島コントローラ30を介して台間処理ユニット20にダウンロードする際に、遊技店内の全ての台間処理ユニット20に縮退モードへ移行することを指示する縮退命令を一斉送出する制御を行う縮退制御部612が備わる。
【0025】
図4は、台間処理ユニット20の機能構成を示すブロック図である。
【0026】
この台間処理ユニット20は、後で図5を参照して詳述するように、通常時(通常モード時)、例えば、デビット券売機40により発行されたプリペイドカード、あるいは、価値付けされた会員カードをカード処理部22に受け入れて、該カードに対応する有価価値に基づく遊技機10への遊技媒体(玉またはメダル)の貸出し処理、紙幣処理部23、硬貨処理部24にそれぞれ紙幣、硬貨(貨幣)を受け入れて該貨幣価値に相当する有価価値を受入中のカードに価値付けする処理、カードスタック部221にプリペイドカードを収容しておき、上記の如く貨幣を受け入れて該貨幣価値に相当する有価価値を価値付けたプリペイドカードをカードスタック部221から排出する処理等をT/C60と協働して実施する。
【0027】
また、貨幣受入後の処理として、カードをカードスタック部221からわざわざ排出することはせず、仮IDを付与してT/C60で管理するようにし、遊技後の残額返却時にカードをはじめて排出するようにしても良い。
【0028】
なお、この遊技システムにおいて、台間処理ユニット20等で用いる上記カードは、例えば、デビット発券機40で発行することができる。
【0029】
デビット券売機40は、デビットカードと会員カードをそれぞれ受け入れるデビットカード処理部と会員カード処理部、及び所定枚数のプリペイドカードを収容するカードスタック部を有するプリペイドカード処理部、金額ボタンや各種操作指示ボタン等を有する操作部等を具備して成り、遊技客から、デビットカード処理部にデビットカードを受け入れ、公衆網80を通じたデビット決済センタ85とのデビット決済の完了後、管理装置60と通信して、プリペイドカード管理テーブル631〔図3(a)参照〕上の上記カードスタック部に収容されている1枚目のカードのカードIDに対応して該デビット決済金額分の有価価値(残度数)を加算したうえで、カードスタック部から1枚目のプリペイドカードを発行する。
【0030】
また、予め会員カード処理部に会員カードを挿入し、上記デビット決済の完了後、管理装置60と通信して、会員管理テーブル632〔図3(b)参照〕上の当該会員カードのカードIDに対応して該デビット決済金額分の有価価値(残度数)を加算したうえで、会員カード処理部から会員カードを排出する。
【0031】
また、精算機50は、遊技終了時に有価価値が残っているプリペイドカードあるいは会員カードを受け入れてT/C60と通信し、該カードのカードIDに対応してプリペイドカード管理テーブル631、あるいは会員管理テーブル632に管理されている有価価値分の現金(紙幣)を排出する精算処理を行う。
【0032】
ここで、T/C60(図2参照)が下位装置の1つである各台間処理ユニット20(図4参照)との間で島コントローラ30を介して行う通常モードでの協働処理動作について図5を参照して説明する。
【0033】
図5において、台間処理ユニット20は、同図のC10にその処理の流れを示すように、プリペイドカード(または、会員カード)をカード処理部22に受け入れて、T/C60のプリペイドカード管理テーブル631(同、会員管理テーブル632)に該プリペイドカード(同、会員カード)のカードIDに対応して管理されている有価価値(残度数)に基づく遊技媒体貸出処理を行う。
【0034】
この貸出処理において、台間処理ユニット20は、遊技客によってプリペイドカード(または、会員カード)がカード処理部22に挿入されると、該カード処理部22は挿入されたプリペイドカード(同、会員カード)からカードIDを読取り、通信インタフェース(I/F)部27aを通じてT/C60に送出する。
【0035】
T/C60では、台間処理ユニット20から通信I/F部66を通じて上記カードIDを受信すると、プリペイドカード管理テーブル631(同、会員管理テーブル632)から当該プリペイドカード(同、会員カード)のカードIDに対応する残度数を読み出して台間処理ユニット20に送信する。
【0036】
台間処理ユニット20は、T/C60から送出された残度数を受信して表示部21に表示する。
【0037】
その後、遊技客が操作部25に設けられた「貸出」ボタンを押下する貸出操作を行うと、台間処理ユニット20は、予め設定された1回分貸出度数分の貸出要求をカードIDと共にT/C60に送出する。
【0038】
T/C60は、台間処理ユニット20から上記貸出要求を受信すると、プリペイドカード管理テーブル631(同、会員管理テーブル632)における当該カードIDに対応する残度数をチェックし、貸出要求度数が該残度数の範囲内であれば貸出許可を台間処理ユニット20に通知する。
【0039】
この貸出許可の通知に先立ち、T/C60は、プリペイドカード管理テーブル631(同、会員管理テーブル632)における当該カードIDに対応する残度数から該貸出許可する分の度数を減算してその値を更新する(有価価値処理)。
【0040】
一方、台間処理ユニット20は、T/C60から貸出許可を通知されると、遊技媒体投出機構(図4に例示するように、パチンコ機10にあっては玉投出機構150)を駆動して1回分貸出度数分の遊技媒体(玉)を遊技機10に対して投出する貸出処理を行う。
【0041】
また、この台間処理ユニット20では、図5のC20にその処理の流れを示すように、会員カードをカード処理部22に受け入れて、T/C60の会員カード管理テーブル632に該会員カードのカードIDに対応して管理されている貯玉数に対応する有価価値を用いた再プレイ遊技媒体貸出処理を行う。
【0042】
この処理において、台間処理ユニット20は、会員カードの挿入受付後、操作部25で「再プレイ」ボタンが押下されると、カード処理部22により当該会員カードから読取ったカードIDと共に貯玉引落要求をT/C60に送出する。
【0043】
T/C60は、台間処理ユニット20から上記貯玉引落要求を受信すると、会員管理テーブル632における当該カードIDに対応する貯玉数を読み出して該貯玉数に対応する残度数を台間処理ユニット20に送信する。
【0044】
台間処理ユニット20は、T/C60から上記残度数を受信するとその値を表示部21に表示させる。
【0045】
その後、遊技客が、台間処理ユニット20で遊技媒体の貸出し操作を行うと、台間処理ユニット20は、予め設定された1回分貸出度数分の度数に相当する貯玉引落要求数を含む貯玉引落要求をカードIDと共にT/C60に送出する。
【0046】
T/C60は、貯玉引落要求を受信すると、会員管理テーブル632における当該カードIDに対応する貯玉数をチェックし、貯玉引落要求数が該貯玉数の範囲内であれば貸出許可を台間処理ユニット20に通知する。
【0047】
台間処理ユニット20は、T/C60から貸出許可を通知されると、玉投出機構150を駆動して1回分貸出度数分の遊技媒体(玉)を遊技機(パチンコ機)10に対して投出する貸出処理を行う。
【0048】
一方、T/C60では、貸出許可を送出した後、会員管理テーブル632における当該カードIDに対応する貯玉数から貸出許可した分の度数に相当する貯玉数を減算してその値を更新する。
【0049】
また、この台間処理ユニット20では、図5のC30にその処理の流れを示すように、プリペイドカード(または、会員カード)をカード処理部22に受け入れている時に、紙幣処理部23に対する例えば4種類(10,000円、5,000円、2,000円、1,000円)の紙幣の投入、あるいは、貨幣処理部24に対する2種類の硬貨(500円、100円)の投入(投入された紙幣、硬貨は、それぞれ、紙幣収容部231、硬貨収容部231に各金種別に収容される)を受け入れて、T/C60のプリペイドカード管理テーブル631(同、会員管理テーブル632)における当該プリペイドカード(同、会員カード)のカードIDに対応する有価価値への該投入貨幣の貨幣価値に相当する有価価値の追加価値付け処理並びに該追加価値付け後の有価価値に基づく遊技媒体貸出処理を行う。
【0050】
この処理において、台間処理ユニット20は、遊技客により現金(例えば、紙幣)が紙幣処理部23に投入されると、該紙幣処理部23で投入紙幣の金額を認識してその金額情報を価値付け要求と共にT/C60に送信する。
【0051】
一方、T/C60は、台間処理ユニット20から上記投入金額情報を受信すると、該金額分の度数を当該プリペイドカード(または、会員カード)のカードIDに対応してプリペイドカード管理テーブル631(同、会員管理テーブル632)で管理されている残度数に加算する。
【0052】
また、この台間処理ユニット20では、図5のC40にその処理の流れを示すように、プリペイドカード(または、会員カード)をカード処理部22に未投入の状態で、紙幣処理部23に対する例えば4種類の紙幣の投入、あるいは、貨幣処理部24に対する2種類の硬貨の投入を受け入れて、該投入貨幣の貨幣価値に相当する有価価値の範囲内での遊技媒体貸出処理、並びに残った有価価値を価値付けたプリペイドカードの発行処理を行う。
【0053】
この処理を行うために、台間処理ユニット20は、価値付けがなされていない所定枚数のプリペイドカードをカードスタック部221に予め収容している。
【0054】
このカードスタック部221へのカード収容枚数は、例えば、閉店時間内に、係員によって、規定の枚数(例えば、10枚)に調整される。その際、台間処理ユニット20の記憶部26には、カードスタック枚数として上記規定枚数の値が書き込まれると共に、該カードスタック枚数がT/C60に通知されて当該台間処理ユニット20に対応する台情報管理テーブル(図示せず)のカードスタック枚数の欄に書き込まれる。
【0055】
この価値付けされていない規定枚数のプリペイドカードを事前に収容している台間処理ユニット20は、開店後、遊技システムの運用中に、事前にプリペイドカードが挿入ないままに遊技客から現金の投入を受付けると、収容しているプリペイドカードの中から1枚のプリペイドカードを引き出して、該カードからカードIDを読み出し、該カードIDと投入金額情報をT/C60に送出する。
【0056】
T/C60では、台間処理ユニット20からカードIDと投入金額情報を受信すると、プリペイドカード管理テーブル631の当該カードIDに対応する残度数の欄に当該投入金額に対応する度数を書込む(加算する)。
【0057】
その後、T/C60は、遊技客が台間処理ユニット20にプリペイドカードを挿入して遊技を行う場合と同様に、遊技媒体の貸出しがなされる毎に該貸し出した分の度数を当該カードIDに対応する度数から減算して更新する処理を実施する。
【0058】
その後、残度数が残っている状態で、遊技客によって返却ボタン(操作部25に設けられる)が押下されると、台間処理ユニット20は、該プリペイドカードをカードスタック部221から排出(発行)する。
【0059】
上記以外に、貨幣受入後の処理として、カードをカードスタック部221からわざわざ排出することはせず、仮IDを付与してT/C60で管理するようにし、遊技後の残額返却時にカードをはじめて排出するようにしても良い。
【0060】
更に、T/C60は、図5に示すC10〜C40の処理に合わせて、各台間処理ユニット20のカード入金・売上情報(台間入金額、台間入金回数、台間入金分売上額、デビット発行分売上額、合計売上額、台間入金分売上回数、デビット発行分売上回数、カード売上回数等)等の処理データを島コントローラ30を通じて収集し、例えば、メモリ63内に各台間処理ユニット20に対応して設けられる台情報管理テーブル(図示せず)で蓄積、管理している。
【0061】
このように、本発明の遊技システムでは、遊技機10の間に配設された複数台の台間処理ユニット20とT/C60とを島毎に配設された島コントローラ30を経由して通信線(LAN70)で接続し、通常時(通常モード時)、T/C60は、島コントローラ30を介して台間処理ユニット20と通信を行うことにより台間処理ユニット20の処理データを管理するとともに、台間処理ユニット20は、島コントローラ30を介してT/C60と通信を行うことによりカード処理を実行する。
【0062】
この通常モードでの運用中、例えば、T/C60や島コントローラ30が故障したり、T/C60と島コントローラ30間、あるいは、島コントローラ30と台間処理ユニット20の通信ラインが遮断される等の事態が発生すると、台間処理ユニット20は、T/C60と通信できなくなり、受入れ中のカードのカードIDに対応してT/C60の有価価値管理テーブル(図3参照)で管理される有価価値の情報更新等の処理が実行不能に陥り、図5に示すような通常のカード処理が行えなくなる。
【0063】
かかる事態の発生に配慮して、本発明の遊技システムでは、T/C60と台間処理ユニット20間の通信状態を監視する通信状態監視機能と、該通信状態の監視結果に基づき、T/C60と台間処理ユニット20との間の通信に不都合が発生すると判別した場合は、台間処理ユニット20をT/C60との協働処理から切り離して該台間処理ユニット20のみで遊技媒体貸出処理を実行する縮退モードへ移行させる制御を行う縮退制御機能とを備えている。
【0064】
図6は、本発明に係わる遊技システムの通信状態監視機能及び縮退制御機能に着目したT/C60、島コントローラ30及び台間処理ユニット20間の接続構成を示すブロック図である。
【0065】
図6において、T/C60の制御部61には、上記通信状態監視機能及び縮退制御機能に係わる構成として、それぞれ、状態監視部611及び縮退制御部612が設けられる。
【0066】
また、台間処理ユニット20の制御部29には、上記通信状態監視機能及び縮退制御機能に係わる構成として、それぞれ、状態監視部291及び縮退制御部292が設けられる。
【0067】
また、図6において、島コントローラ30は、T/C60と台間処理ユニット20との間のデータの中継処理(プロトコル変換)を行う通信インタフェース(I/F)部31、動作プログラムや各種データを記憶する記憶部32、装置に動作電源を供給する電源部33、装置全体の制御を行う制御部34を具備して構成される。
【0068】
制御部34には、本発明に係わる通信状態監視機能及び縮退制御機能に対応する機能ブロックとして、それぞれ、状態監視部341及び縮退制御部342が設けられる。
【0069】
かかる接続構成を念頭において、以下、これらT/C60、島コントローラ30及び台間処理ユニット30の三者協働による台間処理ユニット20を対象とした縮退動作モードへの移行並びに復旧制御について各実施例毎に説明する。
【0070】
実施例1:
実施例1に係わる遊技システムでは、図6に示した接続構成中、島コントローラ30の状態監視部341は、通信I/F部31を通じて行われるT/C60との間の通信状態、及び配下の各台間処理ユニット20との間の通信状態を監視する機能を備えて構成される。
【0071】
また、この島コントローラ30の縮退制御部342は、状態監視部341による通信状態の監視結果に基づきT/C60と配下の台間処理ユニット20との間の通信に不都合が発生すると判別した場合は、台間処理ユニット20をT/C60との協働処理から切り離して該台間処理ユニット20のみで遊技媒体貸出処理を実行する縮退モードへ移行させる制御機能を備えて構成される。
【0072】
この縮退モードへの移行制御は、具体的には、上記縮退モードに移行することを指示する縮退命令を台間処理ユニット20に送出する制御である。
【0073】
また、図6に示した接続構成中、台間処理ユニット20の状態監視部291は、通信I/F部27aを通じて行われる島コントローラ30との間の通信状態、具体的には、該島コントローラ30との間で定期的に通信される電文(例えば、図7におけるT/C状態通知D22)が途絶えたか否かを監視する機能を備えて構成される。
【0074】
また、この台間処理ユニット20の縮退制御部292は、状態監視部291により島コントローラ30との間で定期的に通信される電文が途絶えたことが検出されると、当該台間処理ユニット20のみで遊技媒体貸出処理を実行する縮退モードへ自律的に移行させる制御機能を備えて構成される。
【0075】
また、この台間処理ユニット20の縮退制御部292は、島コントローラ30の縮退制御部342から上記縮退命令を受信することにより、自装置を上記縮退モードに移行させる制御機能も有する。
【0076】
図7は、実施例1に係わる遊技システムの縮退動作移行制御に係わるT/C60、島コントローラ30及び台間処理ユニット30間の制御シーケンスを示す図である。
【0077】
なお、図7では、便宜的に、島コントローラ30、台間処理ユニット20を各々1台しか図示していないが、実際には、遊技店内の全ての島の島コントローラ30、及び該各島コントローラ30配下の全ての台間処理ユニット20が当該制御シーケンスに基づく縮退動作移行制御の対象とされる。
【0078】
図7において、T/C60、島コントローラ30及び台間処理ユニット20は、それぞれ、自装置から見た上位装置と下位装置とに監視信号(監視用電文)を送信し(但し、台間処理ユニット20では、上位装置に対してのみ送信)、該監視信号に対して相手装置から送出される応答信号(応答用電文)を受信する通信動作を行いながら、自装置から見た上位装置との間及び下位装置との間の通信状態を互いに監視している。
【0079】
具体的に、例えば、島コントローラ30は、上位装置であるT/C60との間の通信状態を監視するために、T/C60に対して、定期的に、稼動状態通知D21を送出する(ステップS301)。
【0080】
また、T/C60は、下位装置である島コントローラ30との間の通信状態を監視するために、該島コントローラ30によって送出される稼動状態通知D21の受信状態を監視し(ステップS601)、該稼動状態通知D21が正常受信されている場合(ステップS601YES)、該稼動状態通知D21に対する応答信号である稼動状態通知応答D11を島コントローラ30に送出する(ステップS602)。
【0081】
この稼動状態通知応答D11には、当該島コントローラ30の配下の台間処理ユニット20の稼動に関する情報(各島毎に何台の台間処理ユニット20があり、そのうちの何台が稼動中で、何台がオフライン中かといった情報)が付加されている。
【0082】
一方、島コントローラ30は、T/C60から送出される上記稼動状態通知応答D11の受信状態を監視し(ステップS302)、該稼動状態通知応答D11が正常受信されている場合(ステップS302YES)、該稼動状態通知応答D11に対する監視信号である上記稼動状態通知D21を島コントローラ30に送出する(ステップS301)。
【0083】
ここで、島コントローラ30は、T/C60から送出される稼動状態通知応答D11を受信した場合、該稼動状態通知応答D11に含まれる情報をもとに、T/C60が稼動中か非稼動かに関するT/C動作状況、及び、閉店中か営業中かに関するT/C運用モードを認識する。
【0084】
そして、該認識結果(T/Cの動作状況及び運用モード)を含むT/C状態通知D22を、配下の台間処理ユニット20との間の通信状態の監視信号として当該台間処理ユニット20に送信する(ステップS303)。
【0085】
一方、台間処理ユニット20は、通常モードでの動作中(ステップS201)、上位装置である島コントローラ30から送出される上記T/C状態通知D22の受信状態を監視し(ステップS202)、該T/C状態通知D22が正常受信されている場合(ステップS202YES)、その応答信号として、自装置の稼動状態を示す各種情報を含む台稼動状態通知D31を島コントローラ30に送出する(ステップS203)。
【0086】
この図7における制御シーケンスに基づく、例えば、T/C60と島コントローラ30間における監視用電文及び応答用電文の送受信動作中、T/C60において、島コントローラ30からの稼動状態通知D21が受信されなかったことが状態監視部611で検出された場合(ステップS601NO)、制御部61は、下位装置との間の通信が異常であると判別し、その旨を上記装置であるカードセンタ83に通知する等、下位異常処理(ステップS603)を行う。
【0087】
一方、島コントローラ30において、T/C60からの稼動状態通知応答D11が受信されなかったことが状態監視部341で検出された場合(ステップS302NO)、縮退制御部342は、上位装置との間の通信に不都合が発生したと判別し、配下の台間処理ユニット20に対して縮退モードへ移行することを指示する縮退命令を一斉送出する(ステップS306)。
【0088】
これに対し、台間処理ユニット20は、島コントローラ30から上記縮退命令を受信すると(ステップS204)、縮退制御部292が、自装置を縮退モードに移行させる制御を行う(ステップS205)。
【0089】
以後、縮退制御部292は、T/C60との間の有価価値処理(図5参照)に依存せず(T/C60との協働処理から自装置を切り離し)、かつ、通常モードの時よりも制限された縮退動作条件に従って遊技可能処理を行うように自装置の動作を制御する。
【0090】
具体的には、台間処理ユニット20の紙幣処理部23に受け入れる紙幣の金種を、通常モードでは4種類の紙幣だったものを、特定の一種類の金種の紙幣(例えば、千円札)に制限し、かつ、遊技媒体投出機構(パチンコ機では、玉投出機構150)により、該投入紙幣の金額分に相当する数の遊技媒体(同、玉)を一括して(一発で)対応する遊技機10に対して貸出す処理を行う。
【0091】
この縮退モードにおける貸出処理については、図13を参照して後で詳述するものとし、ここでの説明は割愛する。
【0092】
なお、縮退モードにおいて、台間処理ユニット20では、例えば、状態表示ランプ211を構成する各ランプ212(図14参照)を消灯状態から縮退モードであることを示す点灯状態に駆動制御する。
【0093】
また、図7における制御シーケンスに基づく、例えば、島コントローラ30と台間処理ユニット20間における監視用電文及び応答用電文の送受信動作中、島コントローラ30において、台間処理ユニット20からの台稼動状態通知D31が受信されなかったことが状態監視部341で検出された場合(ステップS304NO)、制御部61は、下位装置との間の通信が異常であると判別し、その旨を上記装置であるT/C60に通知する等、下位異常処理(ステップS305)を行う。
【0094】
一方、台間処理ユニット20において、島コントローラ30からのT/C状態通知D22が受信されなかったことが状態監視部291で検出された場合(ステップS202NO)、縮退制御部292は、上位装置との間の通信に不都合が発生したと判別し、自律的に、自装置を縮退モードに設定する制御を行う(ステップS205)。
【0095】
この縮退モードにおいて、縮退制御部292は、島コントローラ30から縮退命令を受信した場合(ステップS204)と同様、状態表示ランプ211の各ランプ212を縮退モードであることを示す状態に点灯駆動すると共に、千円札のみを紙幣処理部23に受け入れ、千円分に相当する数の遊技媒体を玉投出機構150から一発で遊技機10(但し、パチンコ機の場合)に貸出す処理を行う。
【0096】
次に、図7に示す制御シーケンスに基づく縮退モードへの移行制御、及び、該縮退モードからの復旧制御(図7には示さず)について、図8乃至図12に示す概念図を参照してより分かり易く説明する。
【0097】
図8は、実施例1に係わる遊技システムの通常モードにおけるT/C60、島コントローラ30及び台間処理ユニット20間の通信状態監視手順を示す概念図である。
【0098】
図8において、島コントローラ30は、定期通信でT/C60の状態監視を行うために稼動状態通知D21をT/C60に送信する。
【0099】
また、島コントローラ30は、上記稼動状態通知D21に対してT/C60から応答送出される稼動状態応答通知D11を受信し、該T/C60の動作状況(稼動、非稼動)、運用モード(閉店中、営業中等)を認識する。
【0100】
また、島コントローラ30は、上記稼動状態応答通知D11から認識したT/C60の状態(T/C動作状態及び運用モード)をT/C状態通知D22を用いて配下の台間処理ユニット20に通知する。
【0101】
かかる状況下において、島コントローラ30は、状態監視部341でT/C60からの稼動状態応答通知D11の受信が確認されている場合、制御部34は、T/C60が正常に動作中であると判別し、上述した通常モードで自装置を動作させる。これにより、各台間処理ユニット20は、図5に示す流れに従ってT/C60との間で処理データを送受し合いながらカード処理を行う。
【0102】
図9は、図8に示す通信状態監視動作中、T/C60が故障したり、あるいはT/C60と島コントローラ30間の通信ラインの切断等により通信が遮断した場合(図9に×印で示す)の縮退動作移行手順を示す概念図である。
【0103】
図9に示すように、通信状態監視中にT/C60の故障、あるいはT/C60と島コントローラ30間の通信遮断が発生した場合、T/C60からの稼動状態通知応答D11を島コントローラ30が受信できなくなる(図9に×印で示す)。
【0104】
この場合、島コントローラ30では、状態監視部341がT/C60からの稼動状態通知応答D11が受信されなことを検出し、縮退制御部342は、該状態監視部341の検出結果に基づき、T/C60が非稼動であると認識することにより通信の不都合が発生したものと判別し、配下の台間処理ユニット20に対して縮退モードへの移行を指示する縮退命令D23を通知する。
【0105】
台間処理ユニット20は、島コントローラ30から上記縮退命令の通知を受けると、縮退制御部292が、自装置を縮退モードに移行させ、状態表示ランプ211の各ランプ212を縮退モードであることを示す状態に点灯駆動すると共に、千円札を受け入れて千円分の遊技媒体を一発で遊技機10に貸出す縮退貸出処理を行うように制御する。
【0106】
図10は、図8に示す通信状態監視動作中、島コントローラ30が故障した場合、あるいは島コントローラ30と配下の台間処理ユニット20間の通信ラインの切断等により通信が遮断した場合(図10に×印で示す)の縮退動作移行手順を示す概念図である。
【0107】
図10に示すように、通信状態監視中に島コントローラ30の故障、あるいは島コントローラ30と台間処理ユニット20間の通信遮断が発生した場合(図10に×印で示す)、T/C60では、島コントローラ30からの稼動状態通知D21を受信できなくなる(図10において×印で示す)一方、配下の台間処理ユニット20では、島コントローラ30からのT/C状態通知D22を受信できなくなる(図10に×印で示す)。
【0108】
この場合、台間処理ユニット20では、状態監視部291が島コントローラ30からのT/C状態通知D22が受信されなことを検出し、縮退制御部292は、該状態監視部291の検出結果に基づき、島コントローラ30が非稼動であると認識することにより通信の不都合が発生したものと判別する。
【0109】
以後、縮退制御部292は、自装置を自律的に縮退モードに移行させ、状態表示ランプ211の各ランプ212を縮退モードであることを示す状態に点灯駆動すると共に、千円札を受け入れて千円分の遊技媒体を一発で遊技機10に貸出す縮退貸出処理を行うように制御する。
【0110】
図11は、図9における手順により移行した縮退動作モードから通常モードへの復旧手順を示す概念図である。
【0111】
図11において、島コントローラ30は、T/C60の故障、あるいはT/C60と島コントローラ30間の通信遮断が発生し、T/C60からの稼動状態通知応答D11を受信できなくなった後も(図9に、それぞれ、×印で示す)、T/C60へ稼動状態通知D21を送出する動作を継続している。
【0112】
このように、縮退モード期間中も島コントローラ30からの稼動状態通知D21の送出を続行している間に、T/C60が故障から復旧した場合、あるいはT/C60と島コントローラ30間の通信ライン遮断が復旧した場合には、T/C60は、島コントローラ30から定期送信されてくる上記稼動状態通知D21に対して該島コントローラ30に対して稼動状態通知応答D11を応答送出可能な動作状態に転じる(図11における×印から○印への遷移)。
【0113】
この場合、島コントローラ30では、状態監視部341がT/C60からの稼動状態通知応答D11が受信不能であった状態から受信可能な状態に転じたことを検出し、縮退制御部342は、該状態監視部341の検出結果に基づき、T/C60が稼動に復旧したこと認識することにより通信の不都合が解消されたものと判別し、配下の台間処理ユニット20に対して通常モードへの移行(縮退モードの解除)を指示する通常モード移行命令D24を通知する。
【0114】
台間処理ユニット20は、島コントローラ30から上記通常モード移行命令の通知を受けると、制御部29は、自装置をそれまでの縮退モードから通常モードに戻し、状態表示ランプ211の各ランプ212を通常モードであることを示す状態に消灯すると共に、カードを受け入れ、かつ、4金種の紙幣の受入れも許容したうえで、図5に示すように、T/C60と協働したカード処理を実行する。
【0115】
図12は、図10における手順により移行した縮退動作モードから通常モードへの復旧手順を示す概念図である。
【0116】
図12において、島コントローラ30の故障、あるいは島コントローラ30と台間処理ユニット20間の通信遮断が発生し(図12にそれぞれ×印で示す)、島コントローラ30からの稼動状態通知D21、T/C状態通知D22をT/C60と台間処理ユニット20がそれぞれ受信できなくなった後も(図10において、それぞれ、×印で示す)、T/C60では稼動状態通知応答D11を、台間処理ユニット20では台稼動状態通知D31を、それぞれ、島コントローラ30に対して定期的に送出する処理を続行する。
【0117】
この間、島コントローラ30が故障から復旧した場合、あるいは島コントローラ30と配下の台間処理ユニット30間の通信ライン遮断が復旧した場合、島コントローラ30は、T/C60から定期送信されてくる稼動状態通知応答D11を受信して配下の台間処理ユニット30にT/C状態通知D22を送出可能で、かつ、台間処理ユニット30から定期送信されてくる台稼動状態通知D31を受信して、T/C60に稼動状態通知D21を送出可能な動作状態に転じる(図12における×印から○印への遷移)。
【0118】
これにより、台間処理ユニット20では、状態監視部291が島コントローラ30からのT/C状態通知D22が受信不能であった状態から受信可能な状態に転じたことを検出し、縮退制御部292は、該状態監視部291の検出結果に基づき、島コントローラ30が稼動可能に復旧したこと認識することにより通信の不都合が解消されたものと判別し、自装置を縮退モードから通常モードに戻し、状態表示ランプ211の各ランプ212を通常モードであることを示す状態に表示させる(各ランプ12の消灯)と共に、カードを受け入れ、かつ、4金種の紙幣の受け入れも許容したうえで、図5に示すように、T/C60と協働したカード処理を実行する。
【0119】
次に、台間処理ユニット20における縮退モードの処理動作について説明する。
【0120】
図13は、台間処理ユニット20の縮退動作モードにおける処理動作を示すフローチャートである。
【0121】
台間処理ユニット20は、図5の制御シーケンスに示されるように、島コントローラ30から縮退命令D23を受信した場合(ステップS204)、あるいは、島コントローラ30から定期的に送信されるT/C状態通知D22を受信できなかった場合(ステップS202NO)に縮退モードに移行し(ステップS205)、該縮退モードにおいて、図13に示す流れに沿った処理動作を実行する。
【0122】
図13に示すように、台間処理ユニット20の縮退制御部292では、縮退モードへの移行が完了すると、まず、カード処理部22に受け入れているカードを遊技客に対して排出(返却)する(ステップS101)。
【0123】
次いで、縮退制御部292は、状態表示ランプ211を、それまで通常モード状態を示す表示を行っていた状態から、縮退モードでの動作状態(縮退動作状態)に移行した旨を表示する状態に切換える(ステップS102)。
【0124】
図14は、ステップS102における状態表示ランプ211での縮退動作状態の表示例を示す概念図である。
【0125】
図14において、同図(a)は、図5のステップS204で島コントローラ30から縮退命令D23を受信した場合の表示例を示し、同図(b)は、図5のステップS202で島コントローラ30からT/C状態通知D22を受信できなかった(受信失敗した)場合の表示例を示している。
【0126】
図14(a),(b)に示すように、状態表示ランプ211は、選択的に点灯/消灯可能な複数のランプ212を、縦、横にマトリクス状に配置した構成を有する。
【0127】
縮退制御部292は、かかる構成を有する状態表示ランプ211の各ランプ212を対象に、例えば、図14(a)に示すように、横方向に連なるランプ群単位(横1列の単位)毎に縦方向に順次点灯または消灯をスライドさせていく第1のランプ駆動制御、及び、図14(b)に示すように、縦方向に連なるランプ群単位(縦1行分の単位)毎に横方向に順次点灯または消灯をスライドさせていく第2のランプ駆動制御の制御機能を有している。
【0128】
このランプ駆動制御機能を有する縮退制御部292では、図13のステップS102において、縮退動作状態表示に先立って、まず、当該縮退モードへの移行条件に関して、島コントローラ30からの縮退命令D23の受信(つまり、T/C60との間の通信状態)に基づいて該縮退モードに移行したのか、島コントローラ30からのT/C状態通知D22の受信失敗(つまり、島コントローラ30との間の通信状態)に基づいて該縮退モードに移行したのかをチェックする。
【0129】
そして、T/C60との間の通信状態に基づいて該縮退モードに移行したと判別した場合は、上記第1のランプ駆動制御によって、図14(a)に示すように、横方向に連なるランプ群単位(横1列の単位)毎に下から上の方向へ順次点灯または消灯をスライドさせる態様で縮退動作状態の表示を行う。
【0130】
この場合、係員(遊技店の店員)は、状態表示ランプ211において、横一列のランプ群が順次下から上へ流れるように繰り返し点灯駆動される縮退動作状態表示を見ることで、台間処理ユニット20から見た上(上位)の部分での通信状態の不都合(T/C60の故障、T/C60と島コントローラ30間の通信ライン遮断等)の発生に基づき縮退モードに移行したことを容易に認識でき、復旧作業への対処が迅速に行える。
【0131】
これに対し、島コントローラ30との間の通信状態に基づいて該縮退モードに移行したと判別した場合、台間処理ユニット20は、上記第2のランプ駆動機能によって、図14(b)に示すように、縦方向に連なるランプ群単位(縦1行の単位)毎に左から右方向へ順次点灯または消灯をスライドさせる態様で縮退動作状態の表示を行う。
【0132】
この場合、係員(遊技店の店員)は、状態表示ランプ211において、縦一列のランプ群が順次左から右へ流れるように繰り返し点灯駆動される縮退動作状態表示を見ることで、島コントローラ30、あるいは、島コントローラ30との間の通信ラインの通信状態の不都合に基づき縮退モードに移行したこと〔図14(a)のように、島コントローラ30から上(上位)の部分での通信状態の不都合(T/C60の故障、T/C60と島コントローラ30間の通信ライン遮断等)に基づく縮退モードへの移行ではないこと〕を容易に認識でき、復旧作業への対処が迅速に行える。
【0133】
上記の如く、状態表示ランプ211を用いて、図14(a),(b)のいずれかに示す態様で縮退動作状態表示を行った(ステップS102)後、縮退制御部292は、図11における通常モード移行命令D24の受信、あるいは図12におけるT/C状態通知D22の受信再開により、通常モードへの移行条件が整ったか否かをチェックする(ステップS103)。
【0134】
ここで、上記通常モード移行命令D24の受信、あるいは上記T/C状態通知D22の受信再開がないままであれば(ステップS103NO)、次いで、縮退制御部292は、紙幣処理部23に紙幣が投入されたか否かをチェックし(ステップS104)、紙幣が投入されなければ(ステップS104NO)、ステップS102以降の処理を繰り返し実施する。
【0135】
これに対し、紙幣処理部23に紙幣が投入された場合(ステップS104YES)、該紙幣処理部23での紙幣の金種判定結果をもとに、該紙幣の金種が予め設定した特定金種(本実施例では、千円)であるか否かをチェックする(ステップS105)。
【0136】
ここで、投入紙幣の金種が特定金種でない(ステップS105NO)場合、該投入紙幣を紙幣処理部23から排出し(ステップS106)、遊技客に返却する。
【0137】
これに対し、投入紙幣の金種が特定金種であれば(ステップS105YES)、該投入紙幣を受け入れて(当該金種の紙幣収容部231に収容する)、該投入紙幣の金額分の遊技媒体を対応する遊技機10に貸出す処理を行い(ステップS107)、更に、該貸出処理に関する処理データ(投入金額の累計値、入金回数等)を記憶部26に記憶させた(ステップS108)後、ステップS102以降の処理(千円受付け、一発貸出処理)を続行する。
【0138】
この間、ステップS103において、図11における通常モード移行命令D24の受信、あるいは図12におけるT/C状態通知D22の受信再開により、通常モードへの移行条件が整ったと判別された場合(ステップS103YES)、縮退制御部292は、自装置を通常モードに復帰させる(ステップS111)。
【0139】
この通常モードへの復帰に際し、制御部29は、ステップS102で開始した状態表示ランプ211における縮退動作状態表示を通常モード表示に戻す処理、縮退モードでの動作中に、ステップS108で記憶部26に記憶された処理データ(累計売上金額、売上回数等)を島コントローラ30を介してT/C60に送信する処理も実施する。
【0140】
T/C60は、通常モードに復帰した台間処理ユニット20から受信した上記処理データを用いて該台間処理ユニット20に対応する累計売上金額、売上回数等の該当項目情報の値を更新すると共に、当該通常モードの台間処理ユニット20との間で図5に示すようなデータ処理を再開する。
【0141】
このように、実施例1によれば、島コントローラ30は、T/C60との間の通信及び台間処理ユニット20との間の通信を監視し、該監視結果に基づきT/C60と台間処理ユニット20との間の通信に不都合が発生すると判別した場合は、台間処理ユニット20をT/C60との協働処理から切り離して該台間処理ユニット20のみで遊技媒体貸出処理(特定金種紙幣受入・一発貸出処理)を実行する縮退モードへ移行させる制御機能を有するため、T/C60の故障や通信ラインの断線等により台間処理ユニット20間の通信に不都合が生じた場合も、台間処理ユニット20を縮退モードに移行させて遊技媒体貸出処理を行うことで、遊技店の営業を維持できる。
【0142】
本実施例において、台間処理ユニット20を縮退モードへ移行させる制御の方法としては、島コントローラ30において、状態監視部341によりT/C60との通信の異常が検出されると、縮退制御部342が、T/C60と台間処理ユニット20との間の通信に不都合が発生すると判別して台間処理ユニット20に対して縮退モードへの移行を指示する縮退命令を送信する一方で、台間処理ユニット20では、縮退制御部292が、島コントローラ30からの上記縮退命令の受信により縮退モードへ移行させる第1の方法がある。
【0143】
また、台間処理ユニット20において、状態監視部291が、島コントローラとの間で定期的に通信される電文を監視し、該電文が途絶えたことを検出すると縮退制御部292が、自装置を自律的に縮退モードへ移行させる第2の方法もある。
【0144】
第1の方法によれば、島コントローラ30とT/C60との間の通信状態に基づいて台間処理ユニット20を縮退モードに移行させるため、台間処理ユニット20から見た上(上位)の部分で通信状態の不都合が発生した場合(T/C60の故障、T/C60と島コントローラ30間の通信ライン遮断等)の遊技店の営業維持に貢献できる。
【0145】
また、第2の方法によれば、島コントローラ30と台間処理ユニット20との間の通信状態に基づいて台間処理ユニット20を縮退モードに移行させるため、島コントローラ30の故障、島コントローラ30との間の通信ラインの遮断等により通信状態の不都合が発生する場合の遊技店の営業維持に有用である。
【0146】
また、本実施例では、台間処理ユニット20は、縮退モードに移行した場合に、該縮退モードであることを報知する報知手段として、縮退モード動作状態をランプ表示によって報知する状態表示ランプ211を備えるため、係員は、このランプ表示を見て、どの台間処理ユニット20が縮退モードであるかを簡単に知ることができる。
【0147】
また、本実施例において、状態表示ランプ211におけるランプ表示は、T/C60との間の通信状態に基づき縮退モードに移行した場合と、島コントローラ30との間の通信状態に基づき縮退モードに移行した場合とで表示内容を異ならせる(図14参照)ようにしたため、該表示内容から、縮退モードに移行するに至った通信状態の不具合箇所を容易に特定でき、当該箇所の通信状態の不具合解消に迅速に対応できる。
【0148】
実施例2:
実施例2に係わる遊技システムでは、図6に示した接続構成中、島コントローラ30の状態監視部341は、T/C60から台間処理ユニット20に対する所定のプログラムのダウンロードする場合の通信状態を通信I/F部31を通じて監視する機能を有する。
【0149】
また、この島コントローラ30の縮退制御部342は、状態監視部341による上記通信状態の監視結果に基づき、T/C60と台間処理ユニット20との間の通信に不都合が発生すると判別した場合は、台間処理ユニット20に、縮退モード(台間処理ユニット20をT/C60との協働処理から切り離して該台間処理ユニット20のみで遊技媒体貸出処理を実行するモード)に移行することを指示する縮退命令を送出する機能を備えて構成される。
【0150】
また、本実施例では、図6に示した接続構成中、台間処理ユニット20の状態監視部291は、島コントローラ30からの上記縮退命令の受信状態を監視する機能を有し、縮退制御部292は、状態監視部291により島コントローラ30からの縮退命令の受信が検出されると、該台間処理ユニット20を縮退モードへ移行させる制御機能を有する。
【0151】
図15は、実施例2に係わる遊技システムにおける縮退動作移行制御に係わるT/C60、島コントローラ30及び台間処理ユニット30間の制御シーケンスを示す図である。
【0152】
なお、図7では、便宜的に、島コントローラ30、台間処理ユニット20を各々1台しか図示していないが、実際には、遊技店内の全ての島の島コントローラ30、及び該各島コントローラ30配下の全ての台間処理ユニット20が当該制御シーケンスに基づく縮退動作移行制御の対象とされる。
【0153】
図15において、例えば、台間処理ユニット20の機能変更等のためにT/C60から全ての台間処理ユニット20にプログラムをダウンロードする必要に迫られた場合、担当者(管理者)は、該機能変更等のためにバージョンアップされたプログラム(ソフトウェア)を記憶した外部メディア91をT/C60の外部メディア入力部68に挿入し、入力装置64を用いて所定のダウンロード開始操作を行う。
【0154】
T/C60において、上記ダウンロード開始操作が行われると、制御部61は、外部メディア入力部68を駆動し、挿入中の外部メディア91に記憶されているプログラムを読み出して、例えば、記憶装置62の所定記憶領域内にインストールする(ステップS631)。
【0155】
次に、制御部61は、このインストールしたプログラムを、通信I/F部66を通じて島コントローラ30に転送する(ステップS632)。
【0156】
これに対し、島コントローラ30は、T/C60から転送された上記プログラムを通信I/F部31を通じて受信し(ステップS331)、記憶部32の所定の領域に記憶する(ステップS332)。
【0157】
その際、島コントローラ30では、状態監視部341が、制御部61におけるプログラムの受信並びに該受信したプログラムの記憶処理に係わる通信状態を検知する。
【0158】
そして、縮退制御部342は、状態監視部341による上記通信状態の監視結果に基づき、T/C60と台間処理ユニット20との間のプログラムダウンロードによってその間の通信に不都合が発生すると判別し(ステップS333)、配下の台間処理ユニット20に対して縮退モードへ移行することを指示する縮退命令D25を一斉送出する(ステップS334)。
【0159】
これに対し、台間処理ユニット20は、通常モード(ステップS231)での動作運用中、島コントローラ30から通信I/F部27aを介して縮退命令D25を受信すると(ステップS232)、縮退制御部292が自装置を縮退モードに移行させる制御を行う(ステップS233)。
【0160】
以後、縮退制御部292は、自装置(台間処理ユニット20)を、実施例1における場合と同様(図13参照)の縮退モードの動作状態に制御する。
【0161】
一方、島コントローラ30は、上記ステップS334で配下の台間処理ユニット30に縮退命令D25を送出した後、記憶部32に既に保存されているプログラムを配下の台間処理ユニット30に一斉配信する(ステップS335)。
【0162】
具体的に、このステップS335の処理では、制御部34は、記憶部32に既に保存しているプログラムを配下の台間処理ユニット20の数分コピーし、該コピーした各々のプログラムを通信I/F部31を介して各台間処理ユニット20宛に一斉送信する。
【0163】
これに対して、台間処理ユニット20は、島コントローラ30から配信されたプログラムを通信I/F部27aを介して受信すると、制御部29が、該受信したプログラムを例えば記憶部26の所定の領域(プログラム記憶領域)内に保存するダウンロード処理(ステップS234)を実行する。
【0164】
その際、制御部29は、該プログラムダウンロード処理経過を監視し(ステップS235)、該ダウンロード処理が完了すると(ステップS235YES)、プログラムのダウンロードが完了した旨を示す完了通知を通信I/F部27aを通じて島コントローラ30に送信する(ステップS236)。
【0165】
また、プログラムのダウンロードが完了できなかった場合(ステップS235NO)、制御部29は、ダウンロードのリトライのために島コントローラ30から再配信される当該プログラムの受信待ち状態で待機する(ステップS237)。
【0166】
一方、島コントローラ30では、上記ステップS335でのプログラム配信後、制御部34が、台間処理ユニット20から完了通知を受信する毎にその通知元の台間処理ユニット20のダウンロード完了をチェックしながら、配下の全ての台間処理ユニット20のダウンロードが完了したか否かを判別する(ステップS336)。
【0167】
ここで、完了通知を受信していない台間処理ユニット20が残っていることにより全ての台間処理ユニット20でのダウンロードが完了していないと判別すると(ステップS336NO)、制御部34は、ダウンロードのリトライ処理(ステップS337)に移行し、該ダウンロードが完了していない台間処理ユニット20の数分のプログラムをコピーし、該各プログラムをダウンロード未完了の各台間処理ユニット20宛にリトライ要求と共に一斉送信する(ステップS335)。
【0168】
これに対して、台間処理ユニット20は、島コントローラ30から配信されたリトライ要求を含むプログラムを通信I/F部27aを介して受信すると、制御部29が、該受信したプログラムを例えば記憶部26の所定の領域(プログラム記憶領域)内に保存するダウンロード処理(ステップS234:リトライ)を実行し、ここで、該ダウンロード(リトライ)処理が完了すると(ステップS235YES)、完了通知を島コントローラ30に送信する(ステップS236)。
【0169】
一方、台間処理ユニット20では、リトライ要求送出後もステップS336でのダウンロードが完了したか否かの監視を続け、該リトライを含むダウンロードの経過の監視中、完了通知を受信していない台間処理ユニット20がなくなったことにより全ての台間処理ユニット20でのダウンロードが完了したと判別すると(ステップS336YES)、制御部29は、ダウンロードが完了したことを示す終了電文(プログラム配信処理を行うソフトに予め設けてある)を配下の全ての台間処理ユニット20に対して一斉送信する(ステップS338)。
【0170】
これに対し、台間処理ユニット20は、島コントローラ30から上記終了電文を受信すると、縮退制御部292が、自装置を、上記ステップS233の移行制御により設定されていた縮退モードから通常モードに復帰(ステップS238)させる制御を行う。
【0171】
以後、台間処理ユニット20は、この通常モード中、図15に示すステップS232以降の処理(プログラムダウンロード処理)を縮退命令D25の受信の都度行うと共に、併せて、図5に示すように、T/C60と協働したカード処理を行う。
【0172】
このように、実施例2の構成によれば、島コントローラ30には、T/C60から台間処理ユニット20に対して所定のプログラムをダウンロードする場合に、その通信状態を監視し、該通信状態の監視結果から、T/C60と台間処理ユニット20との通信に不都合が発生すると判別した場合に、配下の台間処理ユニット20に対して縮退モードへの移行を指示する縮退命令を送信する縮退命令送信手段(縮退制御部342)を設け、台間処理ユニット20には、上位の島コントローラ30から送信される縮退命令の受信により縮退モードへ移行する縮退移行制御手段(縮退制御部292)を設けたため、T/C60から台間処理ユニット20に対して所定のプログラムをダウンロードする際に、台間処理ユニット20を縮退モードで動作させることで、通常モードで必要とされる台間処理ユニット20からT/C60への処理データ(売上データ等)送信処理を停止した通信負荷が低い状態で、T/C60から転送されたプログラムのダウンロード処理に専念でき、T/C60から台間処理ユニット20へのプログラムのダウンロード時間を大幅に短縮できる。
【0173】
また、縮退モードにおいて、台間処理ユニット20は、T/C60との協働処理からは切り離されるものの、該台間処理ユニット20のみで一金種の紙幣を受け入れて該紙幣の金額分の遊技媒体を一発で貸出す遊技媒体貸出処理を実行可能であることから、プログラムダウンロード時においても、現金遊技店の営業を完全に停止せずに済む。
【0174】
この他、本発明は、上記し、且つ図面に示す実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0175】
例えば、実施例2では、島コントローラ30が、T/C60からプログラム転送を受けた際の通信状態をT/C60と台間処理ユニット20との通信に不都合が発生するものとして判別して配下の台間処理ユニット20に縮退命令を送出する例を挙げている(図15参照)が、該プログラムダウンロードに際しての縮退命令の送出機能をT/C60に設けても良い。
【0176】
この場合、T/C60では、状態監視部611が、例えば、入力装置64におけるダウンロード開始操作が行われたか否かを監視し、縮退制御部612が、状態監視部611によりダウンロード開始操作が行われたことを検知した際に、島コントローラ30を介してその配下の台間処理ユニット20に縮退命令を送出し、台間処理ユニット20ではT/C60から送られる縮退命令を受信して縮退モードに移行し、引き続いてT/C60から配信されるプログラムを受信して自装置にダウンロードする構成により実現できる。
【0177】
また、上記実施例1,2では、T/C60との間の通信状態に基づく縮退モードへの移行制御対象として台間処理ユニット20の例を挙げたが、これに限らず、例えば、デビットカードによる決済金額分の有価価値をプリペイドカードまたは会員カードに価値付けする処理をT/C60と協働して行うデビット券売機40、カードを受け入れて該カードに価値付けされた残度数の現金への精算処理をT/C60と協働して行う精算機50等、T/C60と協働したカード(遊技用記録媒体)処理機能を有する記録媒体処理装置全般を対象に、これら各記録媒体処理装置とT/C60との間の通信に不都合が発生すると判別した場合(特に、機能アップに伴うプログラムのダウンロード時)に縮退モードへ移行制御する構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0178】
本発明は、管理装置と複数の台間遊技媒体貸機間を島コントローラを介して通信接続する遊技システム全般に適用でき、島コントローラは、管理装置と台間遊技媒体貸機間の通信に不都合が発生すると判別した場合、台間遊技媒体貸機のみで貸出処理を実行する縮退モードへ移行させる制御を行なうことで、管理装置と台間遊技媒体貸機間の通信障害発生時やプログラムダウンロード時等においても、台間遊技媒体貸機を縮退モードに移行させて貸出処理を続行できる。
【図面の簡単な説明】
【0179】
【図1】本発明に係わる遊技システムの全体構成を示すブロック図。
【図2】本発明に係わる遊技システムの管理装置の機能構成を示すブロック図。
【図3】管理装置における有価価値管理テーブルの構成を示す表図。
【図4】本発明に係わる遊技システムの台間処理ユニットの機能構成を示すブロック図。
【図5】管理装置と台間処理ユニット間の通常モードでの協働処理動作を示す概念図。
【図6】管理装置、島コントローラ及び台間処理ユニット間の接続構成を示すブロック図。
【図7】実施例1に係わる遊技システムの縮退動作移行制御に係わる管理装置、島コントローラ及び台間処理ユニット間の制御シーケンスを示す図。
【図8】実施例1に係わる遊技システムの通常モードにおける管理装置、島コントローラ及び台間処理ユニット間の通信状態監視手順を示す概念図。
【図9】図8に示す通信状態監視動作中の管理装置と島コントローラ間の通信の不都合の発生に基づく縮退動作移行手順を示す概念図。
【図10】図8に示す通信状態監視動作中の島コントローラと台間処理ユニット間の通信の不都合の発生に基づく縮退動作移行手順を示す概念図。
【図11】図9における手順により移行した縮退動作モードから通常モードへの復旧手順を示す概念図。
【図12】図10における手順により移行した縮退動作モードから通常モードへの復旧手順を示す概念図。
【図13】台間処理ユニットの縮退動作モードにおける処理動作を示すフローチャート。
【図14】状態表示ランプを用いた縮退動作状態の表示例を示す概念図。
【図15】実施例2に係わる遊技システムの縮退動作移行制御に係わる管理装置、島コントローラ及び台間処理ユニット間の制御シーケンスを示す図。
【符号の説明】
【0180】
10…遊技機、150…玉投出機構、20…台間処理ユニット、21…表示部、211…状態表示ランプ、212…ランプ、22…カード処理部、221…カードスタック部、23…紙幣処理部、24…硬貨処理部、25…操作部、26…記憶部、27a,27b…通信インタフェース(I/F)部、28…電源部、29…制御部、291…状態監視部、292…縮退制御部、30…島コントローラ、31…通信インタフェース(I/F)部、32…記憶部、33…電源部、34…制御部、341…状態監視部、342…縮退制御部、40…デビット券売機、50…精算機、60…管理装置(ターミナル・コントローラ:T/C)、61…制御部(CPU)、611…状態監視部、612…縮退制御部、62…記憶装置、63…メモリ、631…プリペイドカード管理テーブル、632…会員管理テーブル、64…入力装置、65…表示装置、66…通信インタフェース(I/F)部、67…外部インタフェース(I/F)部、68…外部メディア入力部、69…電源部、70…LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)、80…公衆網、83…カードセンタ、85…デビット決済センタ、91…外部メディア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技台の間に配設され、受け付けた有価価値の大きさのうちの所定の大きさの有価価値を遊技媒体の貸出に使用するための貸出処理を行なう台間遊技媒体貸機において、
貨幣を受け付ける貨幣処理手段と、
遊技媒体の貸出に使用可能な有価価値を特定可能な記憶媒体の処理を行なう記憶媒体処理手段と、
受け付けた貨幣に相当する有価価値若しくは前記記憶媒体から特定可能な有価価値の大きさのうちの前記貸出処理に使用されていない残有価価値を記憶する残有価価値記憶手段と、
前記残有価価値記憶手段に記憶された前記残有価価値に基づいて遊技媒体の貸出処理を行なう貸出処理手段と、
前記管理装置と通信できる状態か否かを検知する通信可否検知手段と、
前記通信可否検知手段によって前記管理装置との通信不可状態であることが検知された場合に、該台間遊技媒体貸機を前記管理装置から切り離して当該台間遊技媒体貸機が遊技媒体貸出処理を実行する縮退モードへ移行させる制御手段と
を具備し、
前記制御手段は、前記縮退モードへ移行後に、前記残有価価値記憶手段に記憶された前記残有価価値がないことを条件として通常モードよりも少なく制限された利用可能金種の貨幣を受け入れて遊技媒体貸出処理を行なう
ことを特徴とする台間遊技媒体貸機。
【請求項2】
前記制御手段は、前記縮退モードへ移行した際、前記残有価価値記憶手段に記憶された前記残有価価値がある場合には、該記憶媒体を排出し、その後に貨幣の投入が可能となる
請求項1記載の台間遊技媒体貸機。
【請求項3】
前記制御手段は、前記縮退モードへ移行すると、受け入れた貨幣の金額に対応する数の遊技媒体を1回で貸し出す制御を行なう
請求項1または2記載の台間遊技媒体貸機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−130799(P2012−130799A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−89334(P2012−89334)
【出願日】平成24年4月10日(2012.4.10)
【分割の表示】特願2005−320923(P2005−320923)の分割
【原出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】