説明

各種ドーパントを含むアントラセン誘導体ホスト

【課題】白色発光OLEDデバイスの安定性を向上させる。
【解決手段】互いに離れたアノードおよびカソードと、青色発光層と、黄色、オレンジ色又は赤色の光を出す発光層とを備えていて、該青色発光層が、ホスト材料として、一般式(I)のモノアントラセン誘導体:


を含んでいる白色発光OLEDデバイス(ただし一般式(I)において、R1〜R8はHであり;R9は、脂肪族炭素環のメンバーとの縮合環を持たないナフチル基であり;R10は、脂肪族炭素環のメンバーとの縮合環を持たないビフェニル基であり;R9とR10は、アミン類とイオウ化合物を含まない)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホストとドーパントが含まれた発光層を備えていて、ホストが、室温及び70℃における動作安定性が非常に優れていて、各種ドーパント材料が含まれたモノアントラセン化合物を含有する白色発光有機エレクトロルミネッセンス(EL)デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード・デバイス(OLEDデバイスとも呼ばれる)は、一般に、基板と、アノードと、有機化合物からなる正孔輸送層と、適切なドーパントを含む有機発光層と、有機電子輸送層と、カソードを備えている。OLEDデバイスが魅力的なのは、駆動電圧が低く、高輝度で、視角が広く、フル-カラーのフラット発光ディスプレイが可能だからである。Tangらは、この多層OLEDデバイスをアメリカ合衆国特許第4,769,292号と第4,885,211号に記載している。
【0003】
白色発光エレクトロルミネッセンス(EL)層を用いてマルチカラー・デバイスを製造することができる。各画素を、カラー・フィルタ・アレイ(CFA)の一部としてのカラー・フィルタ素子とカップルさせると、画素化されたマルチカラー・ディスプレイが実現する。有機EL層はすべての画素に共通であり、見る人が認識する最終的な色は、画素の対応するカラー・フィルタ素子によって決まる。したがって、有機EL層のパターニングをまったく行なわずにマルチカラー・デバイスすなわちRGBデバイスを製造することができる。トップ・エミッション型白色CFAデバイスの一例が、アメリカ合衆国特許第6,392,340号に示してある。
【0004】
白色発光OLEDデバイスは、明るくて、高効率であり、しかも一般に国際照明委員会(CIE)の色度座標がほぼ(0.33, 0.33)になっている必要がある。いずれにせよ、この明細書では、白色光は、白い色を持つとユーザーが認識する光である。以下に示す特許明細書と刊行物には、一対の電極間に正孔輸送層と有機発光層を備えていて白色光を出すことのできる有機OLEDデバイスの製造方法が開示されている。白色発光OLEDデバイスは、以前にJ. Shi(アメリカ合衆国特許第5,683,823号)が報告している。このデバイスでは、発光層が、ホスト発光材料の中に均一に分散された赤色発光材料と青色発光材料を含んでいる。Satoらは、日本国特開平7-142,169号に、正孔輸送層の隣に青色発光層を形成した後、赤色発光層を含む領域を有する緑色発光層を形成することによって白色光を出すことのできるOLEDデバイスを開示している。
【0005】
Kidoらは、Science、第267巻、1332ページ、1995年とApplied Physics Letters、第64巻、815ページ、1994年に、白色光OLEDデバイスを報告している。このデバイスでは、キャリア輸送特性が異なる3つの発光層(それぞれが青色光、緑色光、赤色光を出す)を使用して白色光を発生させている。Littmanらは、アメリカ合衆国特許第5,405,709号に、別の白色発光デバイスを開示している。このデバイスは、正孔-電子再結合に応答して白色光を出すことができ、可視光の青緑から赤の範囲の蛍光を含んでいる。最近、Deshpandeらは、Applied Physics Letters、第75巻、888ページ、1999年に、正孔阻止層によって互いに隔てられた赤色発光層、青色発光層、緑色発光層を用いた白色光OLEDデバイスを発表した。
【0006】
アントラセンをベースとしたホストがしばしば用いられている。9,10-ジ-(2-ナフチル)アントラセンという有用なホストのクラスが、アメリカ合衆国特許第5,935,721号に開示されている。発光層でビスアントラセン化合物を使用してデバイスの半減期を改善することが、アメリカ合衆国特許第6,534,199号とアメリカ合衆国特許出願公開2002/0136922 A1に開示されている。アントラセン化合物を用いることによって輝度が向上したエレクトロルミネッセンス・デバイスは、アメリカ合衆国特許第6,582,837号に開示されている。アントラセンは、アメリカ合衆国特許第6,465,115号に開示されているように、正孔輸送層(HTL)にも使用されてきた。さらに、OLEDデバイスにアントラセン材料を用いた他の特許文献として、アメリカ合衆国特許第5,972,247号、日本国特開2001-097897、日本国特開2000-273056、アメリカ合衆国特許出願公開2002/0048687 A1、WO 03/060956 A2、WO 02/088274 A1、ヨーロッパ特許第0429821号、WO 03/007658 A2、日本国特開2000-053677、日本国特開2001-335516がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような進歩にもかかわらず、動作安定性がより向上していて製造が簡単なホストとドーパントが相変わらず必要とされている。OLEDデバイスの動作安定性が向上すると、OLEDデバイスをより多くの製品に使用することができよう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
予想外なことに、ある種のモノアントラセン誘導体を青色ドーパントのホストとして用い、その青色ドーパントを0.25〜5容積%の範囲にすることにより、黄色、オレンジ色、赤色いずれかの光を出す発光層と、青色発光層とを備える白色発光デバイスの安定性を向上させうることが見いだされた。
【0009】
この目的は、互いに離れたアノードおよびカソードと、青色発光層と、黄色、オレンジ色又は赤色の光を出す発光層とを備えていて、該青色発光層が、
a)ホスト材料として、一般式(I)のモノアントラセン誘導体:
【化1】

を含んでいる白色発光OLEDデバイス(ただし一般式(I)において、
R1〜R8はHであり;
R9はR10と同じではなく;
R9は、脂肪族炭素環のメンバーとの縮合環を持たないナフチル基であり;
R10は、脂肪族炭素環のメンバーとの縮合環を持たないビフェニル基であり;
R9とR10は、アミン類とイオウ化合物を含まない)によって実現される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の1つの利点は、効率を犠牲にすることなく、安定性が向上した白色発光OLEDデバイスを製造できることである。本発明のさらに別の利点は、電流密度が大きくなるためにOLEDデバイスの色相シフトが減ることである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施態様によるOLEDデバイスの断面図である。
【図2】本発明の別の実施態様によるOLEDデバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
デバイスの特徴的なサイズ(例えば層の厚さ)は、ミクロン以下の範囲であることがしばしばあるため、図面は、サイズを正確にというよりは、見やすくなるように描いてある。
【0013】
“画素”という用語は、従来技術で使用されているように、ディスプレイ・パネルのある領域であって、刺激することによって他の領域とは独立の光を出すことのできる領域を示すのに用いる。“OLEDデバイス”または“有機発光ディスプレイ”という用語は、従来技術で使用されているように、画素として有機発光ダイオードを備えるディスプレイ装置を意味する。カラーOLEDデバイスは、少なくとも一色の光を出す。“マルチカラー”という用語は、異なる領域にいろいろな色相の光を出すことのできるディスプレイ・パネルを記述するのに用いる。この用語は、特に、いろいろな色の画像を表示することのできるディスプレイ・パネルを記述するのに用いる。領域は、必ずしも互いに連続している必要はない。“フル・カラー”という用語は、可視スペクトルの赤色領域と緑色領域と青色領域で光を出すことができて、任意の色相の画像、または色相の組み合わせの画像を表示できるマルチカラー・ディスプレイ・パネルを記述するのに用いる。赤、緑、青は三原色を構成し、その三原色を適切に混合することによって他のあらゆる色を作り出すことができる。“色相”という用語は、可視スペクトル内の発光の強度プロファイルを意味する。色相が異なると、目で見て色の違いを識別することができる。画素またはサブ画素は、一般に、ディスプレイ・パネル内でアドレス可能な最小のユニットを指すのに用いる。単色ディスプレイでは、画素相互間、またはサブ画素相互間に違いはない。“サブ画素”という用語は、マルチカラー・ディスプレイ・パネルで使用され、特定の色を出すために1つの画素中で独立にアドレスできる任意の部分を指すのに用いる。例えば青色サブ画素は、1つの画素のうちで青い光を出すためにアドレスすることのできる部分である。フル・カラー・ディスプレイでは、画素は、一般に、三原色のサブ画素、すなわち青、緑、赤のサブ画素を備えている。本発明においては、“画素”と“サブ画素”は同じ意味で用いる。“ピッチ”という用語は、ディスプレイ・パネル内で2つの画素またはサブ画素を隔てる距離を指すのに用いる。したがってサブ画素のピッチは、2つのサブ画素を隔てる距離を意味する。
【0014】
ここで図1を参照すると、本発明の第1の実施態様で使用できる白色発光OLEDデバイス10の画素の断面が示してある。このようなOLEDデバイスは、例えばディスプレイまたはエリア照明システムに組み込むことができる。OLEDデバイス10は、少なくとも、基板20と、アノード30と、アノード30から離れたカソード90と、第1の発光層45と、それに隣接した第2の発光層50とを備えている。互いに隣接する発光層45と50のうちの一方は青色発光層であり、他方は、黄色発光層、オレンジ色発光層、赤色発光層のいずれかである。第1の発光層45を青色発光層として説明を進めるが、第2の発光層50が青色発光層でもよい。Lelia Cosimbescuらによって2003年10月24日に「アントラセン誘導体をホストとして含むエレクトロルミネッセンス・デバイス」という名称で出願されて譲受人に譲渡されたアメリカ合衆国特許出願シリアル番号第10/693,121号(その開示内容が参考としてこの明細書に組み込まれているものとする)において、ある種の非対称なアントラセンがOLEDデバイスにおいて極めて有用であり、そのOLEDデバイスが高効率になることが見いだされた。この化合物は、白色発光OLEDデバイスの青色発光層において特に有用であることが見いだされた。
青色発光層45は、ホスト材料として一般式(I)のモノアントラセン誘導体:
【0015】
【化2】

【0016】
を含んでいる(ただしR1〜R8はHであり; R9は、脂肪族炭素環のメンバーとの縮合環を持たないナフチル基であり;R10は、脂肪族炭素環のメンバーとの縮合環を持たないビフェニル基であり;R9はR10と同じではなく、アミン類とイオウ化合物を含まない)。R9は、さらに1つ以上の縮合環で置換されていて縮合した芳香族環系(例えばフェナントリル、ピレニル、フルオランテン、ペリレン)を形成するナフチル基であるか、1個以上の置換基(例えばフッ素、シアノ基、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、複素環式オキシ基、カルボキシ基、トリメチルシリル基)で置換されたナフチル基であるか、縮合した2つの環からなる置換されていないナフチル基であることが好ましい。R9は、パラ位置が置換されるか置換されていない2-ナフチルまたは1-ナフチルであることが好ましく、R10は、脂肪族炭素環のメンバーとの縮合環を持たないビフェニル基である。適切なR10は、置換されていて縮合した芳香族環系(ナフチル、フェナントリル、ペリレンなど)を形成するビフェニル基であるか、1個以上の置換基(例えばフッ素、シアノ基、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、複素環式オキシ基、カルボキシ基、トリメチルシリル基)で置換されたビフェニル基であるか、置換されていないビフェニル基である。R10は、置換されていない4-ビフェニルまたは3-ビフェニルか、縮合環のない別のフェニル環で置換されていてテルフェニル環系を形成する4-ビフェニルまたは3-ビフェニルか、2-ビフェニルであることが好ましい。
【0017】
本発明で有用なホスト材料としては以下のものがある。
【0018】
【化3】

【0019】
【化4】

【0020】
【化5】

【0021】
【化6】

【0022】
【化7】

【0023】
【化8】

【0024】
【化9】

【0025】
特に有用なのは、9-(2-ナフチル)-10-(4-ビフェニル)アントラセン(Host-1)である。
【0026】
本発明のホスト材料は、所定の厚さを持つ青色発光層45において、以下に示すドーパント材料または発光ゲスト材料とともに用いられる。本発明のホストは、所定の用途での安定性を改善するため、他の青色補助ホストまたは緑色補助ホストと組み合わせて使用することができる。補助ホストは、小分子またはポリマー材料にすることができる。有用な補助ホストとしては、ポリフルオレン、ポリビニルアリーレン、オキシノイド系化合物(例えば8-ヒドロキシキノリン)の金属錯体、ベンズアゾール誘導体、ジスチリルアリーレン、カルバゾールなどがある。補助ホストは、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III)(Alq)であることが好ましい。
【0027】
本発明のホストがイオウやアミン類を含んでいないことは1つの利点である。ホスト材料の調製と精製を行なう方法は簡単かつ効率的であり、環境にもやさしい。そのためホスト材料を簡単に製造することができる。
【0028】
青色発光層45の青色発光ドーパントは、ホスト材料の0.25〜5容積%である。青色発光ドーパントとしては、ペリレンまたはその誘導体、ジスチリルベンゼンまたはジスチリルビフェニルの青色発光性誘導体、構造がM1の化合物:
【0029】
【化10】

【0030】
などが挙げられる(ただし構造M1において、
AとA’は、少なくとも1個の窒素を含む6員の芳香族環系に対応する独立したアジン環系を表わし;
(Xa)nと(Xb)mは、独立に選択した1個以上の置換基(非環式置換基も含まれる)を表わすか、合わさってAまたはA’と縮合した環を形成し;
mとnは、独立に0〜4であり;
ZaとZbは、独立に選択した置換基であり;
1、2、3、4、1’、2’、3’、4’は、炭素原子または窒素原子として独立に選択され; Xa、Xb、Za、Zb、1、2、3、4、1’、2’、3’、4’は、青色の光を出すように選択される)。
【0031】
上記のクラスのドーパントの具体例をいくつか以下に示す。
【0032】
【化11】

【0033】
【化12】

【0034】
本発明で特に有用な青色ドーパントの別のクラスとしては、ジスチリルアレンの青色発光誘導体(例えばジスチリルベンゼン、ジスチリルビフェニル)が挙げられる。その中には、アメリカ合衆国特許第5,121,029号に記載されている化合物も含まれる。青い光を出すジスチリルアレンの誘導体のうちで特に有用なのは、ジアリールアミノ基で置換されたもの(ジスチリルアミンとしても知られる)である。具体例としては、以下の一般式(N1):
【化13】

を持つビス[2-[4-[N,N-ジアリールアミノ]フェニル]ビニル]ベンゼンと、以下の一般式(N2):
【化14】

を持つビス[2-[4-[N,N-ジアリールアミノ]フェニル]ビニル]ビフェニルである。
【0035】
一般式(N1)と(N2)において、X1〜X4は同じでも異なっていてもよく、それぞれ1個以上の置換基(アルキル、アリール、縮合したアリール、ハロ、シアノ)を表わす。好ましい一実施態様では、X1〜X4は、それぞれ1〜約10個の炭素原子を含むアルキル基である。この場合の特に好ましい青色ドーパントは、1,4-ビス[2-[4-[N,N-ジ(p-トリル)アミノ]フェニル]ビニル]ベンゼン(BDTAPVB、一般式(L47))である。
【0036】
【化15】

【0037】
ペリレンのクラスに属する特に有用な青色ドーパントとしては、ペリレン(L1)とテトラ-t-ブチルペリレン(TBP、L2)がある。
【0038】
【化16】

【0039】
基板20は、有機固体、無機固体のいずれかにすること、または有機固体と無機固体を含むことができる。基板20は、堅固でも可撓性があってもよく、分離した個別の部材(例えばシートやウエハ)として処理すること、または連続したロールとして処理することができる。一般的な基板材料としては、ガラス、プラスチック、金属、セラミック、半導体、金属酸化物、半導体酸化物、半導体窒化物、またはこれらの組み合わせがある。基板20は、諸材料の均一な混合物、複合材料、多層材料のいずれかにすることができる。基板20としては、OLED基板、すなわちOLEDデバイスの製造に一般に用いられる基板が可能である。
具体例としては、アクティブ-マトリックス用の低温ポリシリコンまたはアモルファス-シリコンからなるTFT基板がある。基板20は、どの方向に光を出したいかに応じ、透過性または不透明にすることができる。透光特性は、基板を通してEL光を見る上で望ましい。その場合には、透明なガラスまたはプラスチックが一般に用いられる。EL光を上部電極を通じて見るような用途では、底部支持体の透過特性は重要でないため、底部支持体は、光透過性、光吸収性、光反射性のいずれでもよい。この場合に用いる基板としては、ガラス、プラスチック、半導体材料、セラミック、回路板材料などのほか、OLEDデバイス(パッシブ-マトリックス・デバイスとアクティブ-マトリックス・デバイスのどちらでもよい)の製造に一般に用いられる他の任意の基板がある。
【0040】
1つの電極が基板20の上に形成され、たいていの場合にはそれがアノード30となる。EL光を基板20を通して見る場合には、アノード30は興味の対象となる光に対して透明か、実質的に透明である必要がある。本発明で有用な透明なアノード用の一般的な材料は、インジウム-スズ酸化物とスズ酸化物であるが、他の金属酸化物(例えばアルミニウムをドープした亜鉛酸化物、インジウムをドープした亜鉛酸化物、マグネシウム-インジウム酸化物、ニッケル-タングステン酸化物)も可能である。これら酸化物に加え、金属窒化物(例えば窒化ガリウム)、金属セレン化物(例えばセレン化亜鉛)、金属硫化物(例えば硫化亜鉛)をアノードの材料として用いることができる。EL光を上部電極を通して見るような用途では、アノード材料の透過特性は重要でなく、あらゆる導電性材料(透明なもの、不透明なもの、反射性のもの)を使用することができる。この用途での具体的な導電性材料としては、金、イリジウム、モリブデン、パラジウム、白金などがある。好ましいアノード用材料は、透光性であろうとそうでなかろうと、仕事関数が4.1eV以上である。望ましいアノード用材料は、適切な任意の手段(例えば蒸着、スパッタリング、化学蒸着、電気化学的手段)で堆積させる。アノード材料は、よく知られているフォトリソグラフィ法を利用してパターニングすることができる。
【0041】
カソード90は、電子輸送層55の上、または発光層50の上(電子輸送層を使用しない場合)に形成される。アノード30を通して光が出る場合には、カソード材料をほぼ任意の導電性材料で構成することができる。望ましい材料は優れたフィルム形成特性を有するため、下にある有機層との接触がよくなり、低電圧で電子の注入が促進され、優れた安定性を得ることができる。有用なカソード材料は、仕事関数が小さな(3.0eV未満)金属または合金を含んでいることがしばしばある。好ましい1つのカソード材料は、アメリカ合衆国特許第4,885,221号に記載されているように、銀が1〜20%の割合で含まれたMg:Ag合金からなる。適切なカソード材料の別のクラスとしては、仕事関数が小さな金属または金属塩からなる薄い層の上に導電性金属からなるより厚い層を被せた二層がある。このような1つのカソードは、アメリカ合衆国特許第5,677,572号に記載されているように、LiFからなる薄い層と、その上に載るより厚いAl層からなる。他の有用なカソード材料としては、アメリカ合衆国特許第5,059,861号、第5,059,862号、第6,140,763号に記載されているものがある。
【0042】
カソード90を通して発光を見る場合、カソードは、透明であるか、ほぼ透明である必要がある。このような用途のためには、金属が薄いか、透明な導電性酸化物を使用するか、このような材料の組み合わせを使用する必要がある。透光性のあるカソードは、アメリカ合衆国特許第5,776,623号に、より詳細に記載されている。カソード材料は、蒸着、スパッタリング、化学蒸着によって堆積させることができる。必要な場合には、よく知られた多数の方法でパターニングすることができる。方法としては、例えば、スルー・マスク蒸着、アメリカ合衆国特許第5,276,380号とヨーロッパ特許第0,732,868号に記載されている一体化シャドウ・マスキング、レーザー除去、選択的化学蒸着などがある。
【0043】
カソード90は、アノード30とは離す。これは、カソード90が鉛直方向にアノード30から離れていることを意味する。あるいはカソード90は、パッシブ・マトリックス・デバイスの一部にすることができる。その場合にはカソード群90がアノード群30と直交するように配置されていて、それぞれのカソード90が、1つの画素列をアクティブにすることができる。
【0044】
カソード材料は、蒸着、スパッタリング、化学蒸着によって堆積させることができる。
必要な場合には、よく知られた多数の方法でパターニングすることができる。方法としては、例えば、スルー-マスク蒸着、アメリカ合衆国特許第5,276,380号とヨーロッパ特許第0,732,868号に記載されている一体化シャドウ・マスキング、レーザー除去、選択的化学蒸着などがある。
【0045】
OLEDデバイス10は、カラー・フィルタ25と、正孔注入層35と、正孔輸送層40と、電子輸送層55と、電子注入層60も備えることができる。正孔注入層35と、正孔輸送層40と、発光層45、50と、電子輸送層55と、電子注入層60は、本発明の目的のために合わさって白色光を出す少なくとも2つの異なるドーパントを含む有機EL素子70を、アノード30とカソード90の間に備えている。これらの要素について以下にさらに詳しく説明する。
【0046】
必ずしも必要なわけではないが、有機発光ディスプレイでは、正孔注入層35をアノード30の上に形成すると有用であることがしばしばある。正孔注入材料は、その後に形成する有機層のフィルム形成特性を改善することと、正孔輸送層に正孔を容易に注入することに役立つ。
【0047】
正孔注入層35で使用するのに適した材料としては、アメリカ合衆国特許第4,720,432号に記載されているポルフィリン化合物、アメリカ合衆国特許第6,208,075号に記載されているプラズマ堆積させたフルオロカーボン・ポリマー、無機酸化物(例えばバナジウム酸化物(VOx)、モリブデン酸化物(MoOx)、ニッケル酸化物(NiOx))などがある。有機ELデバイスで有用であることが報告されている別の正孔注入材料は、ヨーロッパ特許0,891,121 A1と1,029,909 A1に記載されている。
【0048】
必ずしも必要なわけではないが、正孔輸送層40をアノード30の上に形成して配置すると有用であることがしばしばある。望ましい正孔輸送材料は、適切な任意の手段(例えば蒸着、スパッタリング、化学蒸着、電気化学的手段、熱転写、レーザーによるドナー材料からの熱転写)で堆積させることができる。正孔輸送層40で有用な正孔輸送材料は周知であり、例えば、芳香族第三級アミンなどの化合物がある。芳香族第三級アミンは、炭素原子(そのうちの少なくとも1つは芳香族環のメンバーである)だけに結合する少なくとも1つの3価窒素原子を含んでいる化合物であると理解されている。芳香族第三級アミンの1つの形態は、アリールアミン(例えばモノアリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ポリマー・アリールアミン)である。具体的なモノマー・トリアリールアミンは、Klupfelらによってアメリカ合衆国特許第3,180,730号に示されている。1個以上のビニル基で置換された他の適切なトリアリールアミン、および/または少なくとも1つの活性な水素含有基を含む他の適切なトリアリールアミンは、Brantley他によってアメリカ合衆国特許第3,567,450号と第3,658,520号に開示されている。
【0049】
芳香族第三級アミンのより好ましいクラスは、アメリカ合衆国特許第4,720,432号と第5,061,569号に記載されている少なくとも2つの芳香族第三級アミン部分を含むものである。このような化合物としては、構造式A:
【化17】

で表わされるものがある。ただし、
Q1とQ2は、独立に、芳香族第三級アミン部分の中から選択され;
Gは、結合基(例えば、炭素-炭素結合のアリーレン基、シクロアルキレン基、アルキレン基など)である。
【0050】
一実施態様では、Q1とQ2の少なくとも一方は、多環縮合環構造(例えばナフタレン)を含んでいる。Gがアリール基である場合には、Q1とQ2の少なくとも一方は、フェニレン部分、ビフェニレン部分、ナフタレン部分であることが好ましい。
【0051】
構造式Aに合致するとともに2つのトリアリールアミンを含むトリアリールアミンの有用な1つのクラスは、構造式B:
【化18】

で表わされる。ただし、
R1とR2は、それぞれ独立に、水素原子、アリール基、アルキル基のいずれかを表わすか、R1とR2は、合わさって、シクロアルキル基を完成させる原子を表わし;
R3とR4は、それぞれ独立にアリール基を表わし、そのアリール基は、構造式C:
【化19】

に示したように、ジアリール置換されたアミノ基によって置換されている。ただし、
R5とR6は、独立に、アリール基の中から選択される。一実施態様では、R5とR6のうちの少なくとも一方は、多環縮合環構造(例えばナフタレン)を含んでいる。
【0052】
芳香族第三級アミンの別のクラスは、テトラアリールジアミンである。望ましいテトラアリールジアミンとして、構造式Cに示したように、アリーレン基を通じて結合した2つのジアリールアミノ基が挙げられる。有用なテトラアリールジアミンとしては、一般式D:
【化20】

で表わされるものがある。ただし、
それぞれのAreは、独立に、アリーレン基(例えばフェニレン部分またはアントラセン部分)の中から選択され;
nは1〜4の整数であり;
Ar、R7、R8、R9は、独立に、アリール基の中から選択される。
【0053】
典型的な一実施態様では、Ar、R7、R8、R9のうちの少なくとも1つは多環縮合構造(例えばナフタレン)である。
【0054】
上記の構造式A、B、C、Dのさまざまなアルキル部分、アルキレン部分、アリール部分、アリーレン部分は、それぞれ、置換されていてもよい。典型的な置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン(例えばフッ素、塩素、臭素)などがある。さまざまなアルキル部分とアルキレン部分は、一般に、1〜約6個の炭素原子を含んでいる。シクロアルキル部分は、3〜約10個の炭素原子を含むことができるが、一般には5個、または6個、または7個の炭素原子を含んでいる(例えばシクロペンチル環構造、シクロヘキシル環構造、シクロヘプチル環構造)。アリール部分とアリーレン部分は、通常は、フェニル部分とフェニレン部分である。
【0055】
OLEDデバイスにおける正孔輸送層は、単一の芳香族第三級アミン化合物、または芳香族第三級アミン化合物の混合物から形成することができる。特に、トリアリールアミン(例えば構造式Bを満たすトリアリールアミン)をテトラアリールジアミン(例えば構造式Dに示したもの)と組み合わせて使用することができる。トリアリールアミンをテトラアリールジアミンと組み合わせて使用する場合には、テトラアリールジアミンは、トリアリールアミンと電子注入・輸送層の間に配置された層となる。有用な芳香族第三級アミンの具体例としては、以下のものがある。
1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;
1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)-4-フェニルシクロヘキサン;
4,4'-ビス(ジフェニルアミノ)クアドリフェニル;
ビス(4-ジメチルアミノ-2-メチルフェニル)-フェニルメタン;
N,N,N-トリ(p-トリル)アミン;
4-(ジ-p-トリルアミノ)-4'-[4-(ジ-p-トリルアミノ)-スチリル]スチルベン;
N,N,N',N'-テトラ-p-トリル-4,4'-ジアミノビフェニル;
N,N,N',N'-テトラフェニル-4,4'-ジアミノビフェニル;
N-フェニルカルバゾール;
ポリ(N-ビニルカルバゾール);
N,N'-ジ-1-ナフタレニル-N,N'-ジフェニル-4,4'-ジアミノフェニル;
4,4'-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル;
4,4"-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]-p-テルフェニル;
4,4'-ビス[N-(2-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル;
4,4'-ビス[N-(3-アセナフテニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル;
1,5-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ナフタレン;
4,4'-ビス[N-(9-アントリル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル;
4,4"-ビス[N-(1-アントリル)-N-フェニルアミノ]-p-テルフェニル;
4,4'-ビス[N-(2-フェナントリル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル;
4,4'-ビス[N-(8-フルオランテニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル;
4,4'-ビス[N-(2-ピレニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル;
4,4'-ビス[N-(2-ナフタセニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル;
4,4'-ビス[N-(2-ペリレニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル;
4,4'-ビス[N-(1-コロネニル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル;
2,6-ビス(ジ-p-トリルアミノ)ナフタレン;
2,6-ビス[ジ-(1-ナフチル)アミノ]ナフタレン;
2,6-ビス[N-(1-ナフチル)-N-(2-ナフチル)アミノ]ナフタレン;
N,N,N',N'-テトラ(2-ナフチル)-4,4"-ジアミノ-p-テルフェニル;
4,4'-ビス{N-フェニル-N-[4-(1-ナフチル)-フェニル]アミノ}ビフェニル;
4,4'-ビス[N-フェニル-N-(2-ピレニル)アミノ]ビフェニル;
2,6-ビス[N,N-ジ(2-ナフチル)アミン]フルオレン。
【0056】
有用な正孔輸送材料の別のクラスとして、ヨーロッパ特許第1,009,041号に記載されている多環式芳香族化合物がある。さらに、正孔輸送ポリマー材料を使用することができる。それは、例えば、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(PVK)、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、コポリマー(例えばポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)(PEDOT/PSSとも呼ばれる))などである。
【0057】
発光層50は、正孔-電子再結合に応答して光を出す。黄色、オレンジ色、赤色いずれかの光を出す発光層50は、青色発光層45に隣接している。望ましい有機発光材料は、適切な任意の手段(例えば蒸着、スパッタリング、化学蒸着、電気化学的手段、放射線によるドナー材料からの熱転写)で堆積させることができる。有用な有機発光材料は周知である。
アメリカ合衆国特許第4,769,292号、第5,935,721号により詳しく説明されているように、有機EL素子の発光層は、発光材料または蛍光材料を含んでおり、この領域で電子-正孔対の再結合が起こる結果としてエレクトロルミネッセンスが生じる。発光層50は単一の材料で構成できるが、より一般的には、ゲスト化合物(すなわちドーパント)をドープしたホスト材料を含んでいる。後者の場合、光は主としてドーパントから発生する。
【0058】
ドーパントは、黄色から赤色の領域内の特定のスペクトルを持つ色の光が出るように選択する。発光層内のホスト材料は、以下に示す電子輸送材料、または上記の正孔輸送材料、または正孔-電子再結合をサポートする別の材料にすることができる。ドーパントは、通常は、強い蛍光を出す染料の中から選択されるが、リン光化合物(例えばWO 98/55561、WO 00/18851、WO 00/57676、WO 00/70655に記載されている遷移金属錯体)も有用である。ドーパントは、一般に、0.01〜10質量%の割合でホスト材料に組み込まれる。
【0059】
ドーパントとして染料を選択する際の重要な1つの関係は、その分子の最高被占軌道と最低空軌道のエネルギー差として定義されるバンド・ギャップ電位の比較である。ホスト材料からドーパント分子へエネルギーを効率的に移動させるための必要条件は、ドーパントのバンド・ギャップがホスト材料のバンド・ギャップよりも小さいことである。
【0060】
有用であることが知られているホスト分子および発光分子としては、アメリカ合衆国特許第4,768,292号、第5,141,671号、第5,150,006号、第5,151,629号、第5,294,870号、第5,405,709号、第5,484,922号、第5,593,788号、第5,645,948号、第5,683,823号、第5,755,999号、第5,928,802号、第5,935,720号、第5,935,721号、第6,020,078号に開示されているものなどがある。
【0061】
8-ヒドロキシキノリンおよび同様の誘導体の金属錯体(一般式E)は、エレクトロルミネッセンスをサポートすることのできる有用なホスト材料の1つのクラスを形成し、波長が500nmよりも長い光(例えば緑、黄、オレンジ、赤)を出させるのに特に適している。
【0062】
【化21】

ただし、Mは金属を表わし;
nは1〜3の整数であり;
Zは、現われるごとに独立に、少なくとも2つの縮合芳香族環を有する核を完成させる原子を表わす)。
【0063】
以上の説明から、金属は、一価、二価、三価の金属が可能であることが明らかである。
金属としては、例えばアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウムなど)、土類金属(ホウ素、アルミニウムなど)が可能である。一般に、キレート化金属として有用であることが知られている任意の一価、二価、三価の金属を使用することができる。
【0064】
Zは、少なくとも2つの縮合芳香族環を持っていてそのうちの少なくとも一方はアゾール環またはアジン環である複素環の核を完成させる。必要な場合には、必要なその2つの環に追加の環(例えば脂肪族環と芳香族環の両方)を縮合させることができる。機能の向上なしに分子が大きくなることを避けるため、環の原子数は、通常は18個以下に維持する。
【0065】
有用なオキシノイド系化合物の具体例としては、以下のものがある。
CO-1:アルミニウムトリスオキシン[別名、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III)]
CO-2:マグネシウムビスオキシン[別名、ビス(8-キノリノラト)マグネシウム(II)]
CO-3:ビス[ベンゾ{f}-8-キノリノラト]亜鉛(II)
CO-4:ビス(2-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)-μ-オキソ-ビス(2-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)
CO-5:インジウムトリスオキシン[別名、トリス(8-キノリノラト)インジウム]
CO-6:アルミニウムトリス(5-メチルオキシン)[別名、トリス(5-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム(III)]
CO-7:リチウムオキシン[別名、(8-キノリノラト)リチウム(I)]
CO-8:ガリウムオキシン[別名、トリス(8-キノリノラト)ガリウム(III)]
CO-9:ジルコニウムオキシン[別名、テトラ(8-キノリノラト)ジルコニウム(IV)]
【0066】
発光層50のホスト材料としては、9位と10位に炭化水素置換基または置換された炭化水素置換基を有するアントラセン誘導体が可能である。例えば9,10-ジ-(2-ナフチル)アントラセンの誘導体(一般式F)は、エレクトロルミネッセンスをサポートすることのできる有用なホスト材料の1つのクラスを形成し、波長が400nmよりも長い光(例えば青、緑、黄、オレンジ、赤)を出させるのに特に適している。
【0067】
【化22】

ただし、R1、R2、R3、R4、R5、R6は、それぞれの環上の1個以上の置換基を表わす。この場合の各置換基は、以下に示すグループの中から個別に選択される。
グループ1:水素、または炭素原子が1〜24個のアルキル;
グループ2:炭素原子が5〜20個のアリールまたは置換されたアリール
グループ3:アントラセニル、ピレニル、ペリレニルの縮合芳香族環を完成させるのに必要な4〜24個の炭素原子;
グループ4:フリル、チエニル、ピリジル、キノリニル、または他の複素環系の縮合ヘテロ芳香族環を完成させるのに必要な、5〜24個の炭素原子からなるヘテロアリールまたは置換されたヘテロアリール;
グループ5:炭素原子が1〜24個のアルコキシアミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ;
グループ6:フッ素、塩素、ホウ素、シアノ。
【0068】
ベンズアゾール誘導体(一般式G)は、エレクトロルミネッセンスをサポートすることのできる有用なホスト材料の別のクラスを形成し、波長が400nmよりも長い光(例えば青、緑、黄、オレンジ、赤)を出させるのに特に適している。
【0069】
【化23】

ただし、nは3〜8の整数であり;
Zは、O、NR、Sのいずれかであり;
R'は、水素;炭素原子が1〜24個のアルキル(例えばプロピル、t-ブチル、ヘプチルなど);炭素原子が5〜20個のアリール、またはヘテロ原子で置換されたアリール(例えばフェニル、ナフチル、フリル、チエニル、ピリジル、キノリニル、これら以外の複素環系);ハロ(例えばクロロ、フルオロ);縮合芳香族環を完成させるのに必要な原子のいずれかであり;
Lは、複数のベンズアゾールを共役的または非共役的に結合させる結合単位(アルキル、アリール、置換されたアルキル、置換されたアリールなど)である。
【0070】
有用なベンズアゾールの一例は、2,2',2"-(1,3,5-フェニレン)トリス[1-フェニル-1H-ベンゾイミダゾール]である。
【0071】
望ましい蛍光性ドーパントとしては、ペリレン、ペリレンの誘導体、アントラセンの誘導体、テトラセン、キサンテン、ルブレン、クマリン、ローダミン、キナクリドン、ジシアノメチレンピラン化合物、チオピラン化合物、ポリメチン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、ジスチリルベンゼンの誘導体、ジスチリルビフェニルの誘導体、ビス(アジニル)メタンホウ素錯体化合物、カルボスチリル化合物などがある。有用なドーパントの具体例としては、以下のものがある。
【0072】
【化24】

【0073】
【化25】

【0074】
【化26】

【0075】
他の有機発光材料としては、Wolkらが、譲受人に譲渡されたアメリカ合衆国特許第6,194,119 B1号とその中で引用している参考文献に記載しているように、ポリマー物質(例えばポリフェニレンビニレン誘導体、ジアルコキシ-ポリフェニレンビニレン、ポリ-パラ-フェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体)が可能である。
【0076】
ある種の黄色発光材料、オレンジ色発光材料、赤色発光材料は、本発明において特に有用である可能性がある。黄色発光ドーパントとしては、以下の構造を持つ化合物がある。
【0077】
【化27】

ただしA1〜A6はそれぞれの環上の1つ以上の置換基を表わし、各置換基は、以下に示すカテゴリーの中から個別に選択される。
カテゴリー1:水素、または炭素原子が1〜24個のアルキル;
カテゴリー2:炭素原子が5〜20個のアリールまたは置換されたアリール
カテゴリー3:縮合した芳香族環または芳香族環系を完成させる、炭素原子を4〜24個含む炭化水素;
カテゴリー4:炭素原子が5〜24個のヘテロアリールまたは置換されたヘテロアリール(例えばチアゾリル、フリル、チエニル、ピリジル、キノリニル、または単結合を通じて結合しているか、縮合した複素芳香族環系を完成させる他の環系);
カテゴリー5:炭素原子が1〜24個のアルコキシアミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ;
カテゴリー6:フルオロ、クロロ、ブロモ、シアノ。
【0078】
特に有用な黄色ドーパントの具体例は、5,6,11,12-テトラフェニルナフタセン(ルブレン);6,11-ジフェニル-5,12-ビス(4-(6-メチル-ベンゾチアゾル-2-イル)フェニル)ナフタセン(DBzR);5,6,11,12-テトラ(2-ナフチル)ナフタセン(NR)などであり、その化学式を以下に示す。
【0079】
【化28】

【0080】
【化29】

【0081】
黄色ドーパントは複数の化合物の混合物でもよく、その化合物は、それぞれが黄色ドーパンであってもよい。
【0082】
赤色発光ドーパントとしては、以下の構造式Q1で表わされるジインデノペリレン化合物:
【化30】

が可能である。ただしこの構造式Q1におけるX1〜X16としては、独立に、ヒドロまたは赤色発光置換基を選択する。
【0083】
このクラスの有用な赤色ドーパントの具体例としては、以下のものがある。
【0084】
【化31】

【0085】
【化32】

【0086】
【化33】

【0087】
【化34】

【0088】
【化35】

【0089】
【化36】

【0090】
【化37】

【0091】
【化38】

【0092】
ドーパントとして特に好ましいジインデノペリレンは、ジベンゾ{[f,f']-4,4',7,7'-テトラフェニル}ジインデノ-[1,2,3-cd:1',2',3'-lm]ペリレン(TPDBP、上に示したQ10)である。
【0093】
本発明において有用な他の赤色ドーパントは、一般式S1で表わされるDCMのクラスの染料に属する。
【0094】
【化39】

ただしY1〜Y5は、ヒドロ、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリールの中から独立に選択した1つ以上の基を表わし;
Y1〜Y5は、独立に、非環式基を含むか、対をなして合わさって1つ以上の縮合環を形成するが、Y3とY5が合わさって縮合環を形成することはない。
【0095】
赤い光を出す有用かつ好ましい一実施態様では、Y1〜Y5の選択を、ヒドロ、アルキル、アリールの中から独立に行なう。DCMクラスの特に有用なドーパントの構造を以下に示す。
【0096】
【化40】

【0097】
【化41】

【0098】
【化42】

【0099】
好ましい1つのDCMドーパントはDCJTBである。赤色ドーパントは複数の化合物の混合物でもよく、その化合物は、それぞれが赤色ドーパンであってもよい。さらに、黄色、オレンジ色、赤色いずれかの光を出す発光層50は、赤色発光ドーパントと黄色発光ドーパントの混合物を含むことができる。
【0100】
必ずしも必要なわけではないが、OLEDデバイス10が発光層50の上に配置された電子輸送層55を含んでいると好ましい場合がしばしばある。望ましい電子輸送材料は、適切な任意の手段(例えば蒸着、スパッタリング、化学蒸着、電気化学的手段、熱転写、レーザーによるドナー材料からの熱転写)で堆積させることができる。電子輸送層55で用いるのが好ましい電子輸送材料は、金属キレート化オキシノイド系化合物(オキシンそのもの(一般には8-キノリノールまたは8-ヒドロキシキノリンとも呼ばれる)のキレートも含む)である。このような化合物は、電子を注入と輸送を容易にし、優れた性能を示すのを助け、しかも容易に薄膜の形態にすることができる。考えられるオキシノイド系化合物の具体例は、すでに説明した一般式Eを満たすものである。
【0101】
他の電子輸送材料としては、アメリカ合衆国特許第4,356,429号に開示されているさまざまなブタジエン誘導体や、アメリカ合衆国特許第4,539,507号に記載されているさまざまな複素環式蛍光増白剤がある。一般式Gを満たすベンズアゾールも、有用な電子輸送材料である。
【0102】
他の電子輸送材料としては、ポリマー物質が可能である。それは例えば、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリ-パラ-フェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリチオフェン、ポリアセチレンや、他の導電性ポリマー有機材料(例えば『導電性分子と導電性ポリマーのハンドブック』、第1〜4巻、H.S. Nalwa編、ジョン・ワイリー&サンズ社、チチェスター、1997年に記載されているもの)である。
【0103】
従来技術で一般的なように、上に説明した層のいくつかは、2つ以上の機能を持ちうることが理解されよう。例えば発光層45と50は、OLEDデバイスの性能にとって望ましい正孔輸送特性または電子輸送特性を持つことができる。正孔輸送層40と電子輸送層55の一方または両方は、発光特性も持つことができる。その場合には、望む発光特性を得るのにより少ない数の層で十分になる。
【0104】
上記の有機EL素子の材料は、気相法(例えば昇華)で堆積させることが好ましいが、流体から(例えば溶媒から。そのとき、場合によっては結合剤も用いてフィルムの形成を改善する)堆積させることもできる。材料がポリマーである場合には、溶媒堆積が好ましいが、他の方法(例えばスパッタリング、ドナー・シートからの熱転写)も利用することができる。昇華によって堆積させる材料は、タンタル材料からなることの多い昇華用“ボート”から気化させること(例えばアメリカ合衆国特許第6,237,529号に記載されている)や、まず最初にドナー・シートにコーティングし、次いで基板のより近くで昇華させることができる。混合材料からなる層では、別々の昇華用ボートを用いること、または材料をあらかじめ混合し、単一のボートまたはドナー・シートからコーティングすることができる。
【0105】
電子注入層60がカソードと電子輸送層の間に存在していてもよい。電子注入材料の具体例としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン化アルカリ塩(例えば上記のLiF)、アルカリ金属をドープした有機層、アルカリ土類金属をドープした有機層などがある。
【0106】
カラー・フィルタ25は、OLEDデバイス10の画素またはサブ画素から出る色のためのカラー・フィルタ素子を備えており、有機EL素子70に接して堆積されるカラー・フィルタ・アレイの一部となっている。カラー・フィルタ25は、白色光に応答してあらかじめ選択した色の光を通過させる帯域スペクトルを持つように構成されているため、あらかじめ選択したカラー出力が得られる。フル・カラーOLEDデバイスにおいて特に有用な組み合わせは、少なくとも3つの別々のカラー・フィルタ25を含むカラー・フィルタ・アレイである。その3つのカラー・フィルタ25は、それぞれ、赤い光を通過させる605nm〜700nm、緑い光を通過させる495nm〜555nm、青い光を通過させる435nm〜480nmという帯域スペクトルを持っている。いくつかのタイプのカラー・フィルタが従来技術で知られている。1つのタイプのカラー・フィルタ25は、第2の透明な基板の上に形成された後、第1の基板20の画素と揃った状態にされる。別のタイプのカラー・フィルタ25は、OLEDデバイスの諸素子の上に直接形成される。多数の画素を備えるディスプレイでは、画素のクロストークを減らしてディスプレイのコントラストを改善するため、個々のカラー・フィルタ素子の間のスペースをブラック・マトリックス(図示せず)で埋めることもできる。ここではカラー・フィルタ25がアノード30と基板20の間に位置するように図示してあるが、カラー・フィルタ25は基板20の外面に配置することもできる。トップ・エミッション型デバイスでは、カラー・フィルタ25をカソード90の上に配置することができる。
【0107】
ここで図2を参照すると、本発明の別の実施態様によるOLEDデバイス15の断面図が示してある。この実施態様は上に説明した実施態様と同様であるが、カラー・フィルタが基板20の上に配置されていて、マルチカラー・フィルタを備えたフル-カラー画素のサブ画素が図示してある点が異なっている。カラー・フィルタ・アレイは、少なくとも3つの別々のフィルタを含んでいる。それは例えば、赤色フィルタ25a、緑色フィルタ25b、青色フィルタ25cであり、それぞれが、赤色サブ画素、緑色サブ画素、青色サブ画素の一部を形成している。各サブ画素はそれぞれ独自のアノード30a、30b、30cを持っており、個々のサブ画素を独立に発光させることができる。
【0108】
本発明をうまく適用できる有機EL素子層には多数の構成がある。白色光を出す有機EL素子層の具体例は、例えば、ヨーロッパ特許第1,187,235号、アメリカ合衆国特許出願公開第2002/0025419 A1号、ヨーロッパ特許第1,182,244号、アメリカ合衆国特許第5,683,823号、第5,503,910号、第5,405,709号、第5,283,182号に記載されている。ヨーロッパ特許第1,187,235 A2号に示してあるように、スペクトルの可視領域に実質的に連続スペクトルを有する白色発光有機EL素子は、合わさって白色光を出す少なくとも2つの異なるドーパントを用意することによって実現できる。そのためには、例えば以下の層:
アノードの上に配置された正孔注入層35と;
正孔注入層35の上に配置されていて、スペクトルの黄色領域の光を出させることを目的として黄色発光ドーパントをドープされている正孔輸送層40と;
正孔輸送層40の上に配置されていて、ホスト材料と青色発光ドーパントを含む発光層50と;
電子輸送層55と
が含まれるようにする。
【0109】
このような発光体は幅広い波長の光を出すため、広帯域発光体としても知られており、得られる発光は広帯域光として知られている。
【0110】
本発明とその利点は、以下の比較例によってさらによく理解できよう。
【実施例】
【0111】
例1
(比較例)
【0112】
比較用のOLEDデバイスを以下のようにして作った。
【0113】
1.きれいなガラス基板に真空中でインジウム-スズ酸化物(ITO)を堆積させ、厚さが85nmの透明な電極を形成した。
【0114】
2.上記の準備をしたITOの表面をプラズマ酸素エッチングによって処理した後、プラズマによりフルオロカーボン・ポリマー(CFx)層を0.1nmの厚さに堆積させた。これについてはアメリカ合衆国特許第6,208,075号に記載されている。
【0115】
3.上記の準備をした基板に、正孔輸送層(HTL)として、厚さが240nmの4,4'-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)層をさらに真空蒸着した。
【0116】
4.加熱したタンタル・ボート蒸着源を備えるコーティング・ステーションにおいて、32nmのNPBと8nmの0.5%ペリフランテン含有ルブレンからなる厚さが40nmの層を基板の上に真空蒸着し、黄色発光層(黄色EML)を形成した。
【0117】
5.9%のNPBと2.5%の4-(ジ-p-トリルアミノ)-4'-[(ジ-p-トリルアミノ)スチリル]スチルベンを含む2-t-ブチル-9,10-ビス(2-ナフチル)アントラセン(TBADN)を上記の基板上に蒸着によって50nmの厚さにコーティングし、青色発光層(青色EML)を形成した。
【0118】
6.加熱したタンタル・ボート蒸着源を備えるコーティング・ステーションにおいて、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム(III)(ALQ)からなる厚さが10nmの電子輸送層(ETL)を基板の上に真空蒸着した。
【0119】
7.フッ化リチウムからなる厚さ0.5nmの層を基板の上に蒸着した後、アルミニウムからなる厚さ100nmのカソード層を蒸着し、カソード層を形成した。
【0120】
例2
(本発明の実施例)
例1に記載したようにしてOLEDデバイスを作った。ただしステップ5を以下のようにした点が異なっている。
【0121】
5.4%のNPBと2%の4-(ジ-p-トリルアミノ)-4'-[(ジ-p-トリルアミノ)スチリル]スチルベンを含む9-(2-ナフチル)-10-(4-ビフェニル)アントラセン(NBA)を上記の基板上に蒸着によって65nmの厚さにコーティングし、青色発光層を形成した。
【0122】
例3
(本発明の実施例)
例2に記載したようにしてOLEDデバイスを作った。ただし、ステップ5においてNPBの量を7%にした点が異なっている。
【0123】
例4
(本発明の実施例)
実施例2に記載したようにしてOLEDデバイスを作った。ただし、ステップ5においてNPBの量を10%にした点が異なっている。
【0124】
例5
(本発明の実施例)
例2に記載したようにしてOLEDデバイスを作った。ただし、ステップ5においてNBAの厚さを52nmにした点が異なっている。
【0125】
例6
(本発明の実施例)
例5に記載したようにしてOLEDデバイスを作った。ただし、ステップ5においてNPBの量を7%にした点が異なっている。
【0126】
例7
(本発明の実施例)
例5に記載したようにしてOLEDデバイスを作った。ただし、ステップ5においてNPBの量を10%にした点が異なっている。
【0127】
結果(例1〜7)
【0128】
電極間に20mA/cm2の電流を印加してスペクトルを測定することにより、デバイスをテストした。次に、電流を一定の80mA/cm2と20mA/cm2にし、強度を時間の関数として調べた。
以下の表に結果を示してある。
【0129】
【表1】

【0130】
例8
(比較例)
例1に記載したようにしてOLEDデバイスを作った。ただしステップ3〜5を以下のようにした点が異なっている。
【0131】
3.上記の準備をした基板に、正孔輸送層(HTL)として、厚さが200nmの4,4'-ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)層をさらに真空蒸着した。
【0132】
4.加熱したタンタル・ボート蒸着源を備えるコーティング・ステーションにおいて、24nmのNPBと6nmの3%DBzR(上記の化合物P4)含有tBuDPN(上記の化合物P6)からなる厚さが30nmの層を基板の上に真空蒸着し、黄色発光層(黄色EML)を形成した。
【0133】
5.5nmのNPBと0.75%のBEP(上記の化合物M7)を含む2-t-ブチル-9,10-ビス(2-ナフチル)アントラセン(TBADN)を上記の基板上に蒸着によって50nmの厚さにコーティングし、青色発光層(青色EML)を形成した。
【0134】
例9
(比較例)
例8に記載したようにしてOLEDデバイスを作った。ただしステップ5を以下のようにした点が異なっている。
【0135】
5.5nmのNPBと0.75%のBEP(上記の化合物M7)を含む9-(2-ナフチル)-10-(4-ビフェニル)アントラセン(NBA)を上記の基板上に蒸着によって50nmの厚さにコーティングし、青色発光層(青色EML)を形成した。
【0136】
結果(例8、9)
電極間に20mA/cm2の電流を印加してスペクトルを測定することにより、デバイスをテストした。次に、電流を一定の80mA/cm2にして強度を時間の関数として調べ、輝度が50%になる時間を明らかにした。以下の表に結果を示してある。
【0137】
【表2】

【0138】
このデータから、白色発光OLEDデバイスの青色発光層でホスト材料として9-(2-ナフチル)-10-(4-ビフェニル)アントラセンを用いると、青色ホスト材料がTBADNであるOLEDデバイスと比べて発光寿命が3〜6倍に延びることがわかる。寿命が延びたデバイスは、TBADNを用いた比較例と同様の輝度、駆動電圧、CIE座標を持つように製造することができる。
したがって、効率や望ましい色相を犠牲にすることなく、安定性が向上した白色発光OLEDデバイスをこの明細書に記載したようにして製造することができる。
【符号の説明】
【0139】
10 OLEDデバイス
15 OLEDデバイス
20 基板
25 カラー・フィルタ
25a 赤色カラー・フィルタ
25b 緑色カラー・フィルタ
25c 青色カラー・フィルタ
30 アノード
30a アノード
30b アノード
30c アノード
35 正孔注入層
40 正孔輸送層
45 発光層
50 発光層
55 電子輸送層
60 電子注入層
70 有機EL素子
90 カソード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離れたアノードおよびカソードと、青色発光層と、黄色、オレンジ色又は赤色の光を出す発光層とを備えていて、該青色発光層が、
a)ホスト材料として、一般式(I)のモノアントラセン誘導体:
【化1】

を含んでいる白色発光OLEDデバイス(ただし一般式(I)において、
R1〜R8はHであり;
R9はR10と同じではなく;
R9は、脂肪族炭素環のメンバーとの縮合環を持たないナフチル基であり;
R10は、脂肪族炭素環のメンバーとの縮合環を持たないビフェニル基であり;
R9とR10は、アミン類とイオウ化合物を含まない)。
【請求項2】
b)青色発光ドーパントをさらに含んでいて、該青色発光ドーパントが上記ホスト材料の0.25〜5容積%である、請求項1に記載の白色発光OLEDデバイス。
【請求項3】
上記青色発光ドーパントが第三級芳香族アミンを含む、請求項2に記載の白色発光OLEDデバイス。
【請求項4】
R9が縮合した2つの環からなるナフチル基である、請求項1に記載の白色発光デバイス。
【請求項5】
R9が置換されていないナフチル基である、請求項4に記載の白色発光デバイス。
【請求項6】
上記ナフチル基がさらに1つの縮合環を含む、請求項1に記載の白色発光デバイス。
【請求項7】
上記ナフチル基がさらに2つ以上の縮合環を含む、請求項1に記載の白色発光デバイス。
【請求項8】
上記ナフチル基が少なくとも1つの置換基で置換されており、その置換基の選択が、フッ素、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、カルボキシ基、トリメチルシリル基、複素環式オキシ基の中からなされる、請求項1に記載の白色発光デバイス。
【請求項9】
R9が2-ナフチル基である、請求項1に記載の白色発光デバイス。
【請求項10】
R10が置換されていないビフェニル基である、請求項1に記載の白色発光デバイス。
【請求項11】
上記フェニル環の少なくとも1つが、そのフェニル環と縮合した環を有する、請求項1に記載の白色発光デバイス。
【請求項12】
上記ビフェニルが、縮合環を持たない別のフェニル環で置換されていてテルフェニル環系を形成する、請求項1に記載の白色発光デバイス。
【請求項13】
上記ビフェニルが2-ビフェニルである、請求項10に記載の白色発光デバイス。
【請求項14】
上記ビフェニルが3-ビフェニルである、請求項10に記載の白色発光デバイス。
【請求項15】
上記ビフェニルが4-ビフェニルである、請求項10に記載の白色発光デバイス。
【請求項16】
上記環が置換されていない、請求項12に記載の白色発光デバイス。
【請求項17】
上記ビフェニルが少なくとも1つの置換基で置換されており、その置換基の選択が、フッ素、ヒドロキシ基、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、カルボキシ基、トリメチルシリル基、複素環式オキシ基の中からなされる、請求項1に記載の白色発光デバイス。
【請求項18】
一般式(I)が
【化2】

である、請求項1に記載の白色発光デバイス。
【請求項19】
補助ホストを含む、請求項1に記載の白色発光デバイス。
【請求項20】
ポリマーからなる補助ホストを含む、請求項19に記載の白色発光デバイス。
【請求項21】
オキシノイド系化合物を含む、請求項19に記載の白色発光デバイス。
【請求項22】
請求項1に記載のデバイスを組み込んだディスプレイ。
【請求項23】
請求項1に記載のデバイスを組み込んだエリア照明システム。
【請求項24】
上記青色発光ドーパントが、
i)以下の構造を持つ化合物:
【化3】

(ただしAとA’は、少なくとも1個の窒素を含む6員の芳香族環系に対応する独立したアジン環系を表わし;
(Xa)nと(Xb)mは、独立に選択した1個以上の置換基(非環式置換基も含まれる)を表わすか、合わさってAまたはA’と縮合した環を形成し;
mとnは、独立に0〜4であり;
ZaとZbは、独立に選択した置換基であり;
1、2、3、4、1’、2’、3’、4’は、炭素原子または窒素原子として独立に選択され;
Xa、Xb、Za、Zb、1、2、3、4、1’、2’、3’、4’は、青色の光を出すように選択される);
ii)青色の光を出すジスチリルベンゼン誘導体またはジスチリルビフェニル誘導体;又は
iii)ペリレンまたはペリレン誘導体
のいずれかを含む、請求項2に記載の白色発光デバイス。
【請求項25】
i)に
【化4】

が含まれる、請求項24に記載の白色発光デバイス。
【請求項26】
ii)に
【化5】

が含まれる、請求項24に記載の白色発光デバイス。
【請求項27】
iii)に
【化6】

が含まれる、請求項24に記載の白色発光デバイス。
【請求項28】
黄色、オレンジ色又は赤色の光を出す上記発光層が、
i)以下の構造を持つ化合物:
【化7】

(ただしA1〜A6は、それぞれの環上の1個以上の置換基であり、各置換基の選択は、以下のカテゴリー:
カテゴリー1:水素、または炭素原子が1〜24個のアルキル;
カテゴリー2:炭素原子が5〜20個のアリールまたは置換されたアリール;
カテゴリー3:縮合した芳香族環または芳香族環系を完成させる、炭素原子を4〜24個含む炭化水素;
カテゴリー4:炭素原子が5〜24個のヘテロアリールまたは置換されたヘテロアリール(例えばチアゾリル、フリル、チエニル、ピリジル、キノリニル、または単結合を通じて結合しているか、縮合した複素芳香族環系を完成させる他の環系);
カテゴリー5:炭素原子が1〜24個のアルコキシルアミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ;
カテゴリー6:フルオロ、クロロ、ブロモ、シアノ
の1つの中から個別になされる);または
ii)以下の構造を持つジインデノペリレン化合物:
【化8】

(ただしX1〜X16はヒドロまたは、赤色、黄色もしくはオレンジ色の光を出す置換基として独立に選択される);または
iii)以下の構造を持つ化合物:
【化9】

(ただしY1〜Y5は、ヒドロ、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアリールの中から独立に選択された1つ以上の基を表わし;
Y1〜Y5は、独立に、非環式基を含むか、対をなして合わさって1つ以上の縮合環を形成するが、Y3とY5が合わさって縮合環を形成することはない);または
i)、ii)、iii)の任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の白色発光デバイス。
【請求項29】
i)に
【化10】

が含まれる、請求項28に記載の白色発光デバイス。
【請求項30】
ii)に
【化11】

が含まれる、請求項28に記載の白色発光デバイス。
【請求項31】
iii)に
【化12】

が含まれる、請求項28に記載の白色発光デバイス。
【請求項32】
あらかじめ選択したカラー出力を得るため、白色光に応答して赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ通過させる帯域スペクトルを持つ少なくとも3つの別々のフィルタを含むカラー・フィルタ・アレイを備える、請求項1に記載の白色発光デバイス。
【請求項33】
上記赤色カラー・フィルタの帯域スペクトルが605nm〜700nmである、請求項32に記載の白色発光デバイス。
【請求項34】
上記緑色カラー・フィルタの帯域スペクトルが495nm〜555nmである、請求項32に記載の白色発光デバイス。
【請求項35】
上記青色カラー・フィルタの帯域スペクトルが435nm〜480nmである、請求項32に記載の白色発光デバイス。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−248852(P2012−248852A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−141650(P2012−141650)
【出願日】平成24年6月25日(2012.6.25)
【分割の表示】特願2006−554122(P2006−554122)の分割
【原出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(510059907)グローバル オーエルイーディー テクノロジー リミティド ライアビリティ カンパニー (45)
【Fターム(参考)】