説明

合わせガラス用中間膜及び合わせガラス

【課題】合わせガラスにした際の透明性、遮熱性、電磁波透過性に優れ、かつ、光による耐久性試験後であっても可視光線透過率が低下せず、初期光学品質を損なわない合わせガラス用中間膜及び該合わせガラス用中間膜を用いてなる合わせガラスを提供する。
【解決手段】少なくとも遮熱層と紫外線遮蔽層とをそれぞれ1層以上有する合わせガラス用中間膜。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合わせガラスにした際の透明性、遮熱性、電磁波透過性に優れ、かつ、耐光性試験後も初期光学品質を損なわない、合わせガラス用中間膜及び該合わせガラス用中間膜を用いてなる合わせガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
合わせガラスは、外部衝撃を受けて破損しても、ガラスの破片が飛散することが少なく安全であるため、自動車のような車輌、航空機、建築物等の窓ガラス等として広く使用されている。このような合わせガラスとしては、少なくとも一対のガラス間に、可塑剤により可塑化されたポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂からなる合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させて得られるもの等が挙げられる。
【0003】
このような合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスは、安全性に優れているが、遮熱性に劣るという問題点があった。一般に、光線の中でも、可視光より長い780nm以上の波長をもつ赤外線は、紫外線と比較するとエネルギー量が約10%程度と小さいが、熱的作用が大きく、いったん物質に吸収されると、熱として放出され温度上昇をもたらすことから、熱線と呼ばれている。従って、自動車のフロントガラスやサイドガラスから入射してくる光線のうち、熱的作用の大きな赤外線を遮断できるようにすれば、遮熱性が高まり、自動車内部の温度上昇を抑える。
【0004】
このような熱的作用の大きな赤外線を遮断するガラスとして、例えば、熱線カットガラスが市販されている。この熱線カットガラスは直射太陽光の遮断を目的として、金属蒸着、スパッタリング加工等によって、ガラス板の表面に金属/金属酸化物の多層コーティングを行ったものである。ところが、このような多層コーティングは、外部からの擦傷に弱く、耐薬品性も劣るため、例えば、可塑化ポリビニルブチラール樹脂膜等の中間膜を積層して合わせガラスとする方法が採用されていた。
【0005】
しかしながら、熱線カットガラスは高価であり、また、多層コーティングが厚いため透明性(可視光透過率)が低下したり、可視光線領域に吸収があるため着色が強くなったりするという問題があった。更に、多層コーティングと中間膜との接着性が低下し中間膜の剥離や白化が起こったり、多層コーティング層が電磁波の透過を阻害し携帯電話、カーナビ、ガレージオープナー、料金自動収受システム等の通信機能に支障をきたしたりする等の問題点があった。
【0006】
例えば、特許文献1及び特許文献2には、可塑化ポリビニルブチラール樹脂シートの間に、金属及び/又は金属酸化物を薄膜コーティグ又は蒸着したポリエステルフィルムを積層した合わせガラスが提案されている。しかし、これらの合わせガラスは、可塑化ポリビニルブチラール樹脂シートとポリエステルフィルムとの間の接着性に問題があり、界面で剥離が起こるだけでなく、電磁波透過も不充分である等の問題があった。
【0007】
また、特許文献3には、遮熱性能のある金属酸化物を中間膜中に分散させることで電磁波透過性を得る方法が開示されている。しかし、この方法により得られた合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスは、光による耐久性試験後に黄色に変色して可視光線透過率が低下する場合があり、可視光線透過率に下限規制のある自動車用フロントガラスに使う際に問題となることが予想される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公昭61−52093号公報
【特許文献2】特開昭64−36442号公報
【特許文献3】特開2001−302289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記現状に鑑み、合わせガラスにした際の透明性、遮熱性、電磁波透過性に優れ、かつ、光による耐久性試験後であっても可視光線透過率が低下せず、初期光学品質を損なわない合わせガラス用中間膜及び該合わせガラス用中間膜を用いてなる合わせガラスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、少なくとも遮熱層と、紫外線遮蔽層とをそれぞれ1層以上有する合わせガラス用中間膜である。
以下に本発明を詳述する。
【0011】
本発明の合わせガラス用中間膜は、少なくとも遮熱層と紫外線遮蔽層とをそれぞれ1層以上有するものである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、遮熱性能のある金属酸化物を分散させた中間膜を用いた合わせガラスが光による耐久性試験後に可視光線透過率が低下する原因が、紫外線による金属酸化物自体の化学変化、及び、その化学変化により影響を及ぼされた樹脂マトリクスにあることを見出した。
即ち、本発明の合わせガラス用中間膜の遮熱層は、外部光線が直接入射すると、高いエネルギーを有する紫外線領域の波長の光により、変色して可視光線透過率が低下すると考えられる。
しかし、本発明の合わせガラス用中間膜は、上記紫外線を遮断する機能を有する紫外線遮蔽層を有するため、該紫外線遮蔽層側から上記遮熱層に入射する光は、紫外線が大幅に低減されたものとなり、紫外線による上記遮熱層の変色が低減される。従って、本発明の合わせガラス用中間膜を用いて合わせガラスとした際の光による耐久性試験後に可視光線透過率の低下は抑制され、初期光学品質を損なうこともない。
【0012】
本発明の合わせガラス用中間膜は、少なくとも遮熱層と上記遮熱層の両面に形成された紫外線遮蔽層との3層からなることが好ましい。このような構成の合わせガラス用中間膜は、遮熱層のいずれの面側から光が入射した場合であっても、上記紫外線遮蔽層を透過してくるため、紫外線が大幅に低減されたものとなり、上記遮熱層が黄色に変色することがない。従って、上記構成の合わせガラス用中間膜を用いて合わせガラスとした際の光による耐久性試験後に可視光線透過率は低下せず、初期光学品質を損なうこともない。
【0013】
本発明の合わせガラス用中間膜において、上記遮熱層は、クリアガラス、グリーンガラス、高熱線吸収ガラス及び紫外線吸収ガラスからなる群より選択される2枚のガラスの間に介在させて合わせガラスとしたときに、周波数0.1MHz〜26.5GHzにおける電磁波シールド性能が10dB以下であることが好ましい。10dBを超えると、本発明の合わせガラス用中間膜を用いてなる合わせガラスの電磁波透過性が劣ることがある。
【0014】
また、上記遮熱層は、上記合わせガラスとしたときに、ヘイズが1.0%以下であることが好ましい。1.0%を超えると、本発明の合わせガラス用中間膜を用いてなる合わせガラスの透明性が小さく、実使用上問題となることがある。
【0015】
また、上記遮熱層は、上記合わせガラスとしたときに、可視光透過率が70%以上であることが好ましい。70%未満であると、本発明の合わせガラス用中間膜を用いてなる合わせガラスの透明性が小さく、実使用上問題となることがある。なお、上記可視光透過率は
、例えば、自記分光光度計(日立製作所株式会社製、「U4000」)を使用し、JIS
R 3106(1998)「板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試
験方法」に準拠して、波長380〜780nmの光線に対する合わせガラスの可視光透過率(Tv)を測定することで測定することができる。
【0016】
更に、上記遮熱層は、上記合わせガラスとしたときに、300〜2100nmの波長領域での日射透過率が上記可視光透過率の85%以下であることが好ましい。85%を超えると、本発明の合わせガラス用中間膜を用いてなる合わせガラスの遮熱性が不充分となることがある。なお、上記日射光透過率は、例えば、自記分光光度計(日立製作所株式会社製、「U4000」)を使用し、JIS R 3106(1998)「板ガラス類の透過率
・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法」に準拠して、波長300〜2100nmの光線に対する合わせガラスの日射光透過率(Ts)を測定することで測定することができる。
【0017】
上記遮熱層は、透明樹脂と遮熱剤とを含有することが好ましい。
上記透明樹脂としては特に限定されず、例えば、合わせガラス用中間膜の透明樹脂として用いられている公知の樹脂が挙げられる。具体的には、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、アクリル酸若しくはメタクリル酸又はこれらの誘導体を構成単位とするアクリル系共重合樹脂、塩化ビニル−エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合樹脂等が挙げられる。これら樹脂は、公知又はそれに準ずる方法で容易に製造できる。
【0018】
上記透明樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。なお、上記ポリビニルアセタール樹脂とは、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化して得られるポリビニルアセタール樹脂であれば特に限定されるものではない。上記ポリビニルアルコールは、通常ポリ酢酸ビニルを鹸化することにより得られ、鹸化度は80〜99.8モル%のポリビニルアルコールが一般的に用いられる。
また、本発明に上記ポリアセタール樹脂を用いる場合、その分子量及び分子量分布は特に制限されないが、成形性、物性等から原料となるポリビニルアルコール樹脂の重合度の好ましい下限は200、好ましい上限は3000である。200未満であると、得られる合わせガラスの耐貫通性が低下することがあり、3000を超えると、樹脂膜の成形性が悪くなり、しかも樹脂膜の剛性が大きくなり過ぎ、加工性が悪くなることがある。より好ましい下限は500、より好ましい上限は2000である。
【0019】
上記アルデヒドとしては、炭素数が1〜10のアルデヒドが用いられ、例えば、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、n−ブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−バレルアルデヒドが好ましく、特に好ましくは、炭素数が4のブチルアルデヒドである。
【0020】
上記ポリビニルアセタールとしては、ブチルアルデヒドでアセタール化されたポリビニルブチラールが好ましい。また、これらのアセタール樹脂は必要な物性を考慮した上で、適当な組み合わせにてブレンドされていてもよい。更に、アセタール化時にアルデヒドを組み合わせた共ポリビニルアセタール樹脂も適宜用いることができる。本発明で用いられる上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度の好ましい下限は40%、好ましい上限は85%であり、より好ましい下限は60%、より好ましい上限は75%である。
【0021】
上記遮熱層は、可塑剤を含有することが好ましい。
上記可塑剤としては、合わせガラス用中間膜に一般的に用いられる可塑剤であれば特に限
定されず、例えば、一塩基性有機酸エステル、多塩基性有機酸エステル等の有機系可塑剤;有機リン酸系、有機亜リン酸系等のリン酸系可塑剤等が挙げられる。これらの可塑剤は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよく、上記透明樹脂との相溶性等を考慮して、該樹脂の種類に応じて使い分けられる。
【0022】
上記一塩基性有機酸エステル系可塑剤としては特に限定されず、例えば、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール又はトリプロピレングリコール等のグリコールと、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、ペラルゴン酸(n−ノニル酸)又はデシル酸等の一塩基性有機酸との反応によって得られるグリコール系エステルが挙げられる。なかでも、トリエチレングリコール−ジカプロン酸エステル、トリエチレングリコール−ジ−2−エチル酪酸エステル、トリエチレングリコール−ジ−n−オクチル酸エステル、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキシル酸エステル等のトリエチレングリコールの一塩基性有機酸エステルが好適に用いられる。
【0023】
上記多塩基性有機酸エステル系可塑剤としては特に限定されず、例えば、アジピン酸、セバシン酸又はアゼライン酸等の多塩基性有機酸と、炭素数4〜8の直鎖状又は分枝状アルコールのエステル等が挙げられ、なかでも、ジブチルセバシン酸エステル、ジオクチルアゼライン酸エステル、ジブチルカルビトールアジピン酸エステル等が好適に用いられる。
【0024】
上記有機リン酸系可塑剤としては特に限定されず、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート、トリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
【0025】
上記可塑剤として特に好ましく用いられる具体例としては、例えば、トリエチレングリコール−ジ−エチルブチラート、トリエチレングリコール−ジ−エチルヘキソエート、トリエチレングリコール−ジ−ブチルセバケート等が挙げられる。
【0026】
上記遮熱層において、上記可塑剤の添加量としては特に限定されないが、例えば、上記透明樹脂がポリビニルアセタール樹脂である場合、好ましい下限はポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して20重量部、好ましい上限は100重量部である。20重量部未満であると、耐貫通性が低下することがあり、100重量部を超えると、可塑剤のブリードアウトが生じ、遮熱層の透明性や接着性が低下し、得られる合わせガラスの光学歪みが大きくなったりするおそれがある。より好ましい下限は30重量部、より好ましい上限は60重量部である。
【0027】
上記遮熱層は、接着力調製剤を含有することが好ましい。
上記接着力調製剤としては特に限定されないが、アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩が好適に用いられる。上記アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩としては特に限定されず、例えば、カリウム、ナトリウム、マグネシウム等の塩が挙げられる。上記塩を構成する酸としては特に限定されず、例えば、オクチル酸、ヘキシル酸、酪酸、酢酸、蟻酸等のカルボン酸の有機酸、又は、塩酸、硝酸等の無機酸が挙げられる。
【0028】
上記アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩のなかでも、炭素数2〜16の有機酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩がより好ましく、炭素数2〜16のカルボン酸マグネシウム塩及び炭素数2〜16のカルボン酸カリウム塩が更に好ましい。
【0029】
上記炭素数2〜16の有機酸のカルボン酸マグネシウム塩又はカリウム塩としては特に限定されないが、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸カリウム、2−エチルブタン酸マグネシウム、2−エチルブタン酸カリウム
、2−エチルヘキサン酸マグネシウム、2−エチルヘキサン酸カリウム等が好適に用いられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0030】
上記遮熱層において、上記アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩の添加量としては特に限定されないが、例えば、上記透明樹脂がポリビニルアセタール樹脂である場合、好ましい下限はポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して0.001重量部、好ましい上限は1.0重量部である。0.001重量部未満であると、高湿度雰囲気下で中間膜周辺部の接着力低下することがあり、1.0重量部を超えると、接着力が低くなりすぎるうえに中間膜の透明性が失われることがある。より好ましい下限は0.01重量部、より好ましい上限は0.2重量部である。
【0031】
上記遮熱剤としては、上記遮熱層に遮熱性を付与することができる物質であれば特に限定されないが、例えば、錫ドープ酸化インジウム微粒子(以下、ITO微粒子ともいう)が好適に用いられる。
上記ITO微粒子は、その効果を充分に発現するために、上記遮熱層中に微細に均一分散されることが好ましい。なお、上記微細に均一分散とは、具体的には、上記遮熱層を観察したときに、ITO微粒子を含有することによる透明性の低下が肉眼で確認できない程までに、即ち、ITO微粒子による可視光領域の散乱がほとんど起こらない程度にまで、ITO微粒子を凝集することなく、分散させた状態を意味する。
具体的には、上記ITO微粒子は、平均粒子径が80nm以下であることが好ましい。80nmを超えると、ITO微粒子による可視光線の散乱が顕著になり、得られる本発明の合わせガラス用中間膜の透明性が損なわれることがある。その結果、合わせガラスとしたときにヘイズが悪化して、例えば、自動車のフロントガラス等で要求されるような高度な透明性が得られなくなる。
【0032】
上記ITO微粒子は、更に、粒子径100nm以上の粒子が1個以下/μmとなるように分散していることが好ましい。即ち、透過型電子顕微鏡で上記遮熱層を撮影、観察したときに、粒子径100μm以上のITO微粒子が観察されないか、又は、観察された場合には1μmの枠の中心に粒子径100μm以上のITO微粒子を置くと、かかる1μmの枠内に粒子径100μm以上のITO粒子が他に観察されない状態となるよう分散しているものである。これにより、合わせガラスにしたときに、低ヘイズで透明性に優れ、本発明の合わせガラス用中間膜全体に渡って高い遮熱性が得られる。なお、透過型電子顕微鏡による観察は、例えば、日立製作所社製H−7100FA型透過型電子顕微鏡を用いて、加速電圧100kVで撮影することにより行うことができる。
【0033】
上記遮熱層における上記ITO粒子の添加量としては特に限定されないが、例えば、上記透明樹脂がポリビニルアセタール樹脂である場合、好ましい下限はポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して0.1重量部、好ましい上限は3.0重量部である。0.1重量部未満であると、赤外線カット効果が充分に得られないことがあり、3.0重量部を超えると、可視光線の透過性が低下し、ヘイズも大きくなってしまうことがある。
【0034】
また、上記ITO微粒子は、通常、上記ポリビニルアセタール樹脂への微分散をよくするために、有機溶媒中に均一分散させて上記ポリビニルアセタール樹脂へ添加されるが、上記ポリビニルアセタール樹脂を可塑化するために使用する上記可塑剤と同種の可塑剤を主分散媒として用いて均一分散することが好ましい。
【0035】
上記遮熱層は、更に、分散安定剤を含有することが好ましい。
上記分散安定剤としては、例えば、窒素、リン及びカルコゲン系原子群からなる群より選択される少なくとも1種の原子をITOの配位原子として有する配位化合物が好適である。このような配位化合物としては特に限定されないが、例えば、カルボン酸塩、スルホン
酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩、重合型高分子、重縮合型高分子等の陰イオン界面活性剤;エーテル、エステル、エステルエーテル、含窒素等の非イオン界面活性剤;第一〜三アミン塩、第四級アンモニウム塩、ポリエチレンポリアミン誘導体等の陽イオン界面活性剤;カルボキシベタイン、アミノカルボン酸塩、スルホベタイン、アミノ硫酸エステル、イミダゾリン等の両性界面活性剤等が挙げられる。なかでも、硫酸系エステル化合物、リン酸エステル系化合物、リシノール酸、ポリリシノール酸、ポリカルボン酸、多価アルコール型界面活性剤、ポリビニルアルコール及びポリビニルブチラールからなる群より選択される少なくとも1種は効果的にITO微粒子の凝集を防ぐことができることから特に好適である。
【0036】
上記分散安定剤の添加量としては特に限定されないが、例えば、上記透明樹脂がポリビニルアセタール樹脂からなる場合、好ましい下限はポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して0.001重量部、好ましい上限は5.0重量部である。0.001重量部未満であると、ほとんど分散安定剤による効果が得られない。5.0重量部を超えると、中間膜の製膜時に発泡したり、合わせガラスにした際に、発泡を生じたり、中間膜とガラスとの接着力が上がりすぎることがある。より好ましい下限はITO微粒子1.0重量部に対して0.05重量部、上限は1.0重量部である。
【0037】
上記遮熱層は、更に、キレート剤や少なくとも一つ以上のカルボキシル基をもつ化合物を上記主分散媒に追加することで、ヘイズを更に良化させることができる。この際、キレート剤や一つ以上のカルボキシル基をもつ化合物は、主分散媒に混合して用いてもよいし、主分散媒に混合せずに別々にポリビニルアセタール樹脂に添加してもよい。
【0038】
上記キレート剤としては特に限定されず、例えば、EDTA類やアセチルアセトン、ベンゾイルトリフルオロアセトン、ジピバロイルメタン等のβ−ジケトン類等が挙げられるが、可塑剤やポリビニルアセタール樹脂との相溶性のよいものが好ましい。なかでも、上記β−ジケトン類が好ましく、特にアセチルアセトンが好ましい。これらキレート剤が追加される効果としては、上記ITO微粒子に配位することで、ITO微粒子の凝集が妨げられ、分散状態がよくなりヘイズが良化すると考えられる。
【0039】
上記キレート剤の添加量としては特に限定されないが、例えば、上記透明樹脂がポリビニルアセタール樹脂からなる場合、好ましい下限はポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して0.001重量部、好ましい上限は2重量部である。0.001重量部未満であるとその添加効果がほとんど期待できず、2重量部を超えると製膜時に発泡したり合わせガラス作製時に発泡を生じる恐れがある。より好ましい下限は0.01重量部、より好ましい上限は1重量部である。
【0040】
上記一つ以上のカルボキシル基をもつ化合物としては特に限定されず、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、芳香族カルボン酸、芳香族ジカルボン酸、ヒドロキシ酸等が挙げられ、具体的には安息香酸、フタル酸、サリチル酸、リシノール酸等を用いることができる。なかでもC〜C18の脂肪族カルボン酸が好適に用いられ、より好ましくはC〜C10の脂肪族カルボン酸である。具体的には酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、2−エチル酪酸、n−ヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、n−オクタン酸等が挙げられる。
【0041】
上記一つ以上のカルボキシル基をもつ化合物の添加量としては特に限定されないが、例えば、上記透明樹脂がポリビニルアセタール樹脂からなる場合、好ましい下限はポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して0.001重量部、好ましい上限は2重量部である。0.001重量部未満であるとその添加効果がほとんど期待できず、2重量部を超えると遮熱層の変色の恐れがあり、またガラスと遮熱層との接着力を損なう恐れがある。より
好ましい下限は0.01重量部であり、より好ましい上限は1重量部である。
【0042】
上記遮熱層は、酸化防止剤が含有することが好ましい。
上記酸化防止剤としては特に限定されず、例えば、フェノール系のものとして、2,6−Di−tert−butyl−P−cresol(BHT)(住友化学社製「スミライダーBHT」)、テトラキス−[メチレン−3−(3’−5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバガイギー社製「イルガノックス1010」)等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
上記酸化防止剤の添加量としては特に限定されないが、例えば、上記透明樹脂がポリビニルアセタール樹脂からなる場合、好ましい下限はポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して0.01重量部、好ましい上限は5.0重量部である。0.01重量部未満であると、酸化防止効果がほとんど得られないことがあり、5.0重量部を超えると、中間膜の製膜時に発泡したり、合わせガラス作製時に発泡が生じたりする恐れがある。
【0044】
本発明の合わせガラス用中間膜において、上記紫外線遮蔽層は、クリアガラス、グリーンガラス、高熱線吸収ガラス及び紫外線吸収ガラスからなる群より選択される2枚のガラスの間に介在させて合わせガラスとしたときに、SAE J1796に準拠した紫外線透過率が60%以下であることが好ましい。60%を超えると、上記合わせガラスとしたときに、光による耐久性試験後の可視光線透過率が低下してしまい、可視光線透過率に下限規制のある自動車用フロントガラス等に使用することができず、実使用上問題となることがある。より好ましくは30%以下であり、更に好ましくは10%以下である。
【0045】
上記紫外線遮蔽層は、透明樹脂と紫外線カット剤とを含有することが好ましい。
上記透明樹脂としては特に限定されず、例えば、上述の遮熱層の透明樹脂と同様のものが挙げられる。
【0046】
上記紫外線カット剤としては、金属系、金属酸化物系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、ベンゾエート系、マロン酸エステル系、及び、シュウ酸アニリド系からなる群より選択される少なくとも1種の紫外線吸収剤であることが好ましい。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0047】
上記金属系紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、白金超微粒子、白金超微粒子の表面をシリカで被覆した微粒子、パラジウム超微粒子、及び、パラジウム超微粒子の表面をシリカで被覆した微粒子等が挙げられる。
【0048】
上記金属酸化物系紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、酸化亜鉛及び/又は酸化チタン、酸化セリウム等が挙げられる。なかでも、酸化亜鉛及び/又は酸化チタンであることが好ましい。
【0049】
上記金属酸化物系紫外線吸収剤は、本発明の合わせガラス用中間膜の劣化を抑制するために表面が絶縁性金属酸化物で被覆されていることが好ましい。
上記絶縁性金属酸化物としては特に限定されず、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア等の5.0eV以上のバンドギャップエネルギーを有するものが挙げられるが、なかでも、シリカが好適に用いられる。
【0050】
上記シリカで被覆された金属酸化物系紫外線吸収剤としては、一般に市販されているものを用いてもよいし、上記金属酸化物系紫外線吸収剤の表面と反応することにより上記表面にシリカ層を形成しうる試薬で処理してもよい。上記表面にシリカ層を形成しうる試薬と
しては特に限定されず、例えば、テトラエトキシシラン、塩化ケイ素等が挙げられる。
【0051】
また、上記金属酸化物系紫外線吸収剤は、表面が加水分解性有機ケイ素化合物で被覆されていることが好ましい。
上記表面が加水分解性有機ケイ素化合物で被覆された金属酸化物系紫外線吸収剤としては、一般に市販されているものを用いてもよいし、上記金属酸化物系紫外線吸収剤の表面をシランカップリング剤等で処理してもよい。
【0052】
また、上記金属酸化物系紫外線吸収剤は、表面がシリコーン系化合物で被覆されていることが好ましい。
上記表面がシリコーン系化合物で被覆された金属酸化物系紫外線吸収剤としては、一般に市販されているものを用いてもよいし、上記金属酸化物系紫外線吸収剤の表面をメチコンやジメチコン等で処理してもよい。
【0053】
上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(チバガイギー社製、「TinuvinP」)、2−(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール(チバガイギー社製、「Tinuvin320」)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(チバガイギー社製、「Tinuvin326」)、2−(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(チバガイギー社製、「Tinuvin328」)等のベンゾトリアゾール系;アデカアーガス社製「LA−57」等のヒンダードアミン系挙げられる。
【0054】
上記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、オクタベンゾン(チバガイギー社製、「Chimassorb81」)等が挙げられる。
【0055】
上記トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール(チバガイギー社製、「Tinuvin1577FF」)等が挙げられる。
【0056】
上記ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(チバガイギー社製、「tinuvin120」)等が挙げられる。
【0057】
上記マロン酸エステル系紫外線吸収剤のうち、市販されているものとしては、例えば、プロパン二酸,[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−ジメチルエステル(クラリアント社製、Hostavin「PR−25」)等が挙げられる。
【0058】
また、上記シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤のうち、市販されているものとしては、例えば、2−エチル,2’−エトキシ−オキシアニリド(クラリアント社製、Sanduvor「VSU」)等が挙げられる。
【0059】
なお、上記マロン酸エステル系及びシュウ酸アニリド系紫外線吸収剤の紫外線吸収域はUV−Bであり、これは、様々な透明樹脂の劣化を引き起こす紫外線の波長が300〜320nmにあることを考えれば、紫外線からの樹脂の保護に適した紫外線吸収剤であると言える。また、モル吸光度が非常に高いため、従来公知の紫外線吸収剤と比較すると、同一の添加量における紫外線の吸収量は、はるかに高く、更に、分子量が小さいため、添加量を減じることも可能であり、コストの削減を図ることができる。
【0060】
また、上記紫外線カット剤として、上記マロン酸エステル系及び/又はシュウ酸アニリド
系紫外線吸収剤を用いることにより、好適に後述する光による耐久性試験後の本発明の合わせガラス用中間膜の可視光線透過率の低下を所定の範囲以下とすることができる。
【0061】
上記紫外線カット剤の添加量としては特に限定されないが、上記透明樹脂100重量部に対して好ましい下限は0.01重量部、好ましい上限は5.0重量部である。0.01重量部未満では紫外線吸収の効果がほとんど得られず、5.0重量部を超えると、逆に透明樹脂の耐候劣化を引き起こすという問題が起こることがある。より好ましい下限は0.05重量部、より好ましい上限は1.0重量部である。
【0062】
更に、上記紫外線遮蔽層は、例えば、押出機中での熱による変質を防止するために、その他添加剤として酸化防止剤や各種光安定剤が添加されていてもよい。また、必要に応じて、接着力調整剤として変成シリコーンオイル、界面活性剤等、難燃剤、帯電防止剤、接着力調整剤、耐湿剤、熱線反射剤、熱線吸収剤等の添加剤が添加されていてもよい。
【0063】
上記光安定剤としては特に限定されず、例えば、ヒンダードアミン系のもの、例えば、旭電化社製「アデカスタブLA−57」等が挙げられる。
【0064】
上記変成シリコーンオイルとしては特に限定されず、例えば、特公昭55−29950号公報で開示されているようなエポキシ変成シリコーンオイル、エーテル変性シリコーンオイル、エステル変性シリコーンオイル、アミン変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル等が挙げられる。これらの変性シリコーンオイルは一般に、ポリシロキサンに変性すべき化合物を反応させて得られる液体である。上記変性シリコーンオイルは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0065】
上記変性シリコーンオイルの分子量の好ましい下限は800、好ましい上限は5000である。800未満であると、表面への局在化が低下することがあり、5000を超えると、樹脂との相溶性が不良となり、膜表面にブリードアウトしてガラスとの接着力が低下することがある。より好ましい下限は1500、より好ましい上限は4000である。
【0066】
上記変性シリコーンオイルの添加量としては特に限定されないが、例えば、上記透明樹脂がポリビニルアセタール樹脂である場合、好ましい下限は上記ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して、0.01重量部、好ましい上限は0.2重量部である。0.01重量部未満であると、吸湿による白化の防止効果が不充分となることがあり、0.2重量部を超えると、樹脂との相溶性が不良となり、膜表面にブリードアウトしてガラスとの接着力が低下することがある。より好ましい下限は0.03重量部、より好ましい上限は0.1重量部である。
【0067】
上記界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ラウリル酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。
【0068】
このような遮熱層と紫外線遮蔽層とを1層以上有する本発明の合わせガラス用中間膜は、クリアガラス、グリーンガラス、高熱線吸収ガラス及び紫外線吸収ガラスからなる群より選択される2枚のガラスの間に介在させて合わせガラスとし、スーパーキセノン100時間照射試験を行った後における、JIS Z 8722及びJIS R 3106(1998)に準拠して測定した可視光透過率の低下が1.0%以下であることが好ましい。1.0%を超えると、光による耐久性試験後の可視光線透過率の低下が大きくなりすぎ、実使用上問題となることがある。
【0069】
また、このような遮熱層と紫外線遮蔽層とを1層以上有する本発明の合わせガラス用中間膜は、クリアガラス、グリーンガラス、高熱線吸収ガラス及び紫外線吸収ガラスからなる
群より選択される2枚のガラスの間に介在させて合わせガラスとし、スーパーUV300時間照射試験を行った後における、JIS Z 8722及びJIS R 3106(1998)に準拠して測定した可視光透過率の低下が3.0%以下であることが好ましい。3.0%を超えると、光による耐久性試験後の可視光線透過率の低下が大きくなりすぎ、実使用上問題となることがある。より好ましい上限は2.0%であり、更に好ましい上限は1.0%である。
【0070】
更に、本発明の合わせガラス用中間膜を用いて上記合わせガラスとした際のスーパーキセノン100時間照射試験、及び、スーパーUV300時間照射試験を行った後におけるイエローインデックス(YI)の増加率、及び、CIE表色系のb値の変化率が小さいことが好ましい。イエローインデックス(YI)及びCIE表色系b値の変化率が大きくなると、上記遮熱層に含有されるITO微粒子等の遮熱剤及び/又は透明樹脂の劣化が大きく、上記試験後に本発明の合わせガラス用中間膜の光学特性、機械的特性及び物性等が保持できないことがある。
【0071】
本発明の合わせガラス用中間膜の厚さとしては特に限定されないが、合わせガラスとして最小限必要な耐貫通性や耐侯性から、好ましい下限は0.3mm、上限は0.8mmである。ただし、耐貫通性の向上等の必要に応じて本発明の合わせガラス用中間膜及びそれ以外の合わせガラス用中間膜を積層して使用してもよい。
【0072】
本発明の合わせガラス用中間膜を製造する方法としては特に限定されず、例えば、上記遮熱層と紫外線遮蔽層とを、押し出し法、カレンダー法、プレス法等の通常の製膜法によりシート状に製膜した後、積層する方法等が挙げられるが、より好ましくは2軸同方向による押し出し法による方法であり、係る方法によると、得られる合わせガラス用中間膜のヘイズを更に良化させることができる。
【0073】
上記遮熱層を得る方法としては特に限定されないが、一般的に、ITO微粒子等の遮熱剤を有機溶媒中に均一分散させた分散液を、透明樹脂中に添加して混練する方法が用いられる。
上記分散に用いる有機溶媒としては特に限定されないが、使用される可塑剤と同種の可塑剤が好ましい。
ITO微粒子と有機溶媒とを混合する装置としては特に限定されず、例えば、遊星式攪拌装置、湿式メカノケミカル装置、ヘンシェルミキサー、ホモジナイザー、超音波照射機等が一般的に用いられる。
【0074】
上記混練に用いられる装置としては特に限定されず、例えば、押出機、プラストグラフ、ニーダー、バンバリーミキサー、カレンダーロール等が挙げられる。なかでも、連続的に生産するという観点から、押出機が好ましい。
【0075】
なお、上記紫外線遮蔽層を得る方法としては特に限定されないが、一般的に、上述の遮熱層を得る方法において、ITO微粒子等の遮熱剤に代えて紫外線カット剤を添加する方法が用いられる。
【0076】
本発明の合わせガラス用中間膜は、透明性、遮熱性、電磁波透過性に優れる遮熱層と紫外線遮蔽率に優れる紫外線遮蔽層とを1層以上有するものであるため、本発明の合わせガラス用中間膜を用いることにより、透明性、遮熱性、電磁波透過性に優れ、かつ、耐光性試験後も初期光学品質を損なわない合わせガラスを得ることができる。
本発明の合わせガラス用中間膜を用いてなる合わせガラスもまた、本発明の1つである。
【0077】
本発明の合わせガラスにおいて、本発明の合わせガラス用中間膜は、紫外線遮蔽層が遮熱
層に対して外部光線入射側となるように配置されることが好ましい。
上述のように、上記遮熱層の耐候性は、通常、含有されるITO微粒子等の遮熱剤の耐候性に大きく支配される。そのため、上記遮熱層に外部光線が直接入射すると、高いエネルギーを有する紫外線領域の波長の光により、上記ITO微粒子等の遮熱剤自体及び分散安定剤等が化学変化を起こし、同時に周辺の樹脂マトリクスにまで影響を及して耐候性が低下すると考えられる。従って、上記紫外線遮蔽層を上記遮熱層に対して外部光線入射側に配置することで、上記遮熱層に入射する紫外線領域の波長の光が低減し、遮熱層の耐候性の低下を防止することができ、その結果、本発明の合わせガラスの耐候性の低下を防止することができる。
【0078】
本発明の合わせガラスに使用するガラスとしては特に限定されず、例えば、一般に使用されている透明板ガラスが挙げられる。なかでも、900〜1300nmの全波長域において透過率が65%以下である熱線吸収ガラスが好ましい。これは、ITO微粒子の赤外線カット性が1300nmより長波長側で大きく、900〜1300nmの領域では比較的小さい。よって本発明の合わせガラス用中間膜を上記熱線吸収ガラスと合わせることにより、クリアガラスと合わせる場合と比べて、同じ可視光線透過率に対しても日射透過率を低くでき、日射カット率を上げることができるからである。
【0079】
本発明の合わせガラスには、本発明の合わせガラス用中間膜とプラスチックフィルムとを組み合わせたものも含まれる。具体的には、例えば、本発明の合わせガラス用中間膜と金属コーティング層を持たないポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等の透明性のプラスチックフィルムとを組み合わせたもの等が挙げられる。このような合わせガラスは、本発明の合わせガラス用中間膜を用いてなることにより、透明性、遮熱性、電磁波透過性に優れ、かつ、耐光性試験後も初期光学品質を損なわないことに加え、更にプラスチックフィルムからなることにより、防犯性、耐貫通性が向上する。
また、ガラス以外の剛性体、例えば、金属、無機材料等と本発明の合わせガラス用中間膜とを積層して制振素材としての応用も可能である。
【0080】
本発明の合わせガラスは、自動車のフロントガラス及びサイドガラス、航空機や電車等の乗り物のガラス部位、建築用ガラス等に用いることができる。また、合わせガラス用中間膜が多層構造からなる多層系中間膜、例えば、多層系遮音中間膜として用いることも可能であり、機能性合わせガラスとして用いることも可能である。
【発明の効果】
【0081】
本発明は、少なくとも遮熱層と、紫外線遮蔽層とをそれぞれ1層以上有する合わせガラス用中間膜であるため、合わせガラスにした際の透明性、遮熱性、電磁波透過性に優れ、かつ、光による耐久性試験後であっても可視光線透過率が低下せず、初期光学品質を損なわない。
【発明を実施するための形態】
【0082】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0083】
(実施例1)
(1)ポリビニルブチラールの合成
純水2890gに、平均重合度1700、鹸化度99.2モル%のポリビニルアルコール275gを加えて加熱溶解した。反応系を15℃に温度調節し、濃度35重量%の塩酸201gとn−ブチルアルデヒド157gを加え、この温度を保持して反応物を析出させた。次いで、反応系を60℃で3時間保持して反応を完了させた後、過剰の水で洗浄して未反応のn−ブチルアルデヒドを洗い流し、塩酸触媒を汎用な中和剤である水酸化ナトリウ
ム水溶液で中和し、更に、過剰の水で2時間水洗及び乾燥を経て、白色粉末状のポリビニルブチラール樹脂を得た。このポリビニルブチラール樹脂の平均ブチラール化度は68.5モル%であった。
【0084】
(2)紫外線カット剤、酸化防止剤混合可塑剤の調製
トリエチレングリコール−ジ−エチレンブチレート(3GO)40重量部に対し、酸化防止剤として、2,6−Di−tert−butyl−P−cresol(BHT、住友化学社製「スミライダーBHT」)を0.8重量部、紫外線吸収剤等として、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(チバガイギー社製「Tinuvin326」)を0.8重量部添加し、均一な透明溶液になるまで撹拌混合し、可塑剤溶液を得た。
【0085】
(3)ITO分散可塑剤の調製
得られた可塑剤溶液40重量部に対し、ITO粉末(三菱マテリアル社製)を1重量部仕込み、分散剤としてポリリン酸エステル塩を用い、水平型のマイクロビーズミルにて可塑剤中にITO微粒子を分散させた。
その後、溶液にアセチルアセトン0.2重量部を攪拌下で添加し、ITO分散可塑剤溶液を得た。
【0086】
(4)遮熱層の製造
得られたポリビニルブチラール樹脂100重量部に対し、ITO分散可塑剤溶液を41重量部、全系に対してMg含有量が60ppmとなるよう2−エチル酪酸マグネシウムを適量添加し、ミキシングロールで充分に溶融混練した後、プレス成形機を用いて150℃で30分間プレス成形し、平均膜厚0.76mmの遮熱層(A)を得た。
【0087】
(5)紫外線遮蔽層の製造
得られたポリビニルブチラール樹脂100重量部に対し、可塑剤溶液を40重量部、全系に対してMg含有量が60ppmとなるよう2−エチル酪酸マグネシウムを適量添加し、ミキシングロールで充分に溶融混練した後、プレス成形機を用いて150℃で30分間プレス成形し、平均膜厚0.76mmの紫外線遮蔽層(A)を得た。
【0088】
(6)合わせガラスの製造
得られた遮熱層(A)と紫外線遮蔽層(A)とを1層ずつ重ねて得られた2層の合わせガラス用中間膜を、その両端から透明なフロートガラス(縦30cm×横30cm×厚さ2.5mm)で挟み込み、これをゴムバック内に入れ、2660Pa(20torr)の真空度で20分間脱気した後、脱気したままオーブンに移し、更に90℃で30分間保持しつつ真空プレスした。このようにして予備圧着された合わせガラスをオートクレーブ中で135℃、圧力1.2MPa(12kg/cm)の条件で20分間圧着を行い、合わせガラスを得た。
【0089】
(実施例2)
ITO分散可塑剤の調製において、得られた可塑剤溶液40重量部に対し、ITO粉末(三菱マテリアル社製)を2重量部仕込み、遮熱層の製造において平均膜厚0.38mmとしたほかは、実施例1と同様にして遮熱層(B)を作製した。
【0090】
遮熱層(B)と実施例1と同様にして作製した紫外線遮蔽層(A)とを用いたほかは、実施例1と同様にして合わせガラスを得た。
【0091】
(実施例3)
紫外線遮蔽層の作製において、酸化防止剤として、2,6−Di−tert−butyl
−P−cresol(BHT、住友化学社製「スミライダーBHT」)を0.2重量部、紫外線吸収剤等として、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(チバガイギー社製「Tinuvin326」)を0.2重量部添加したほかは、実施例1と同様にして紫外線遮蔽層(B)を作製した。
【0092】
実施例1と同様にして作製した遮熱層(A)と紫外線遮蔽層(B)とを用いたほかは、実施例1と同様にして合わせガラスを得た。
【0093】
(実施例4)
実施例2と同様にして作製した遮熱層(B)と実施例3と同様にして作製した紫外線遮蔽層(B)とを用いたほかは、実施例1と同様にして合わせガラスを得た。
【0094】
(実施例5)
実施例1と同様にして作製した遮熱層(A)の両面に、実施例1と同様にして作製した紫外線遮蔽層(A)を形成して3層の合わせガラス用中間膜を製造したほかは、実施例1と同様にして合わせガラスを得た。
【0095】
(実施例6)
実施例2と同様にして作製した遮熱層(B)の両面に、実施例1と同様にして作製した紫外線遮蔽層(A)を形成して3層の合わせガラス用中間膜を製造したほかは、実施例1と同様にして合わせガラスを得た。
【0096】
(実施例7)
実施例1と同様にして作製した遮熱層(A)の両面に、実施例3と同様にして作製した紫外線遮蔽層(B)を形成して3層の合わせガラス用中間膜を製造したほかは、実施例1と同様にして合わせガラスを得た。
【0097】
(実施例8)
実施例2と同様にして作製した遮熱層(B)の両面に、実施例3と同様にして作製した紫外線遮蔽層(B)を形成して3層の合わせガラス用中間膜を製造したほかは、実施例1と同様にして合わせガラスを得た。
【0098】
(実施例9)
紫外線遮蔽層の作製において、紫外線カット剤としてシリカでコートされたZnO微粒子(平均粒径80nm)を使用したほかは、実施例1と同様にして紫外線遮蔽層(C)を作製した。
【0099】
実施例1と同様にして作製した遮熱層(A)と紫外線遮蔽層(C)とを用いたほかは、実施例1と同様にして合わせガラスを得た。
【0100】
(実施例10)
実施例2と同様にして作製した遮熱層(B)と実施例9と同様にして作製した紫外線遮蔽層(C)とを用いたほかは、実施例1と同様にして合わせガラス得た。
【0101】
(実施例11)
紫外線遮蔽層の作製において、紫外線カット剤としてCeO微粒子(平均粒径80nm)を使用したほかは、実施例1と同様にして紫外線遮蔽層(D)を作製した。
【0102】
実施例1と同様にして作製した遮熱層(A)と紫外線遮蔽層(D)とを用いたほかは、実施例1と同様にして合わせガラスを得た。
【0103】
(実施例12)
実施例2と同様にして作製した遮熱層(B)と実施例9と同様にして作製した紫外線遮蔽層(D)とを用いたほかは、実施例1と同様にして合わせガラス得た。
【0104】
(実施例13)
実施例1と同様にして作製した遮熱層(A)の両面に、実施例9と同様にして作製した紫外線遮蔽層(C)を形成して3層の合わせガラス用中間膜を製造したほかは、実施例1と同様にして合わせガラスを得た。
【0105】
(実施例14)
実施例2と同様にして作製した遮熱層(B)の両面に、実施例9と同様にして作製した紫外線遮蔽層(C)を形成して3層の合わせガラス用中間膜を製造したほかは、実施例1と同様にして合わせガラスを得た。
【0106】
(実施例15)
実施例1と同様にして作製した遮熱層(A)の両面に、実施例11と同様にして作製した紫外線遮蔽層(D)を形成して3層の合わせガラス用中間膜を製造したほかは、実施例1と同様にして合わせガラスを得た。
【0107】
(実施例16)
実施例2と同様にして作製した遮熱層(B)の両面に、実施例11と同様にして作製した紫外線遮蔽層(D)を形成して3層の合わせガラス用中間膜を製造したほかは、実施例1と同様にして合わせガラスを得た。
【0108】
(実施例17)
紫外線遮蔽層の作製において、紫外線カット剤としてマロン酸エステル系紫外線吸収剤(プロパン二酸,[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−ジメチルエステル:クラリアント社製、Hostavin「PR−25」)を使用したほかは、実施例1と同様にして紫外線遮蔽層(E)を作製した。
実施例1と同様にして作製した遮熱層(A)と紫外線遮蔽層(E)とを用いたほかは、実施例1と同様にして合わせガラスを得た。
【0109】
(実施例18)
実施例1と同様にして作製した遮熱層(A)の両面に、実施例17と同様にして作製した紫外線遮蔽層(E)を形成して3層の合わせガラス用中間膜を製造したほかは、実施例1と同様にして合わせガラスを得た。
【0110】
(比較例1)
実施例1と同様にして遮熱層(A)を作製し、得られた遮熱層(A)のみを用いて実施例1と同様にして合わせガラスを得た。
【0111】
(比較例2)
実施例2と同様にして遮熱層(B)を作製し、得られた遮熱層(B)のみを用いて実施例1と同様にして合わせガラスを得た。
【0112】
各実施例及び比較例で作製した遮熱層(A)及び(B)の電磁波シールド性、ヘイズ、可視光透過率及び日射透過率、紫外線遮蔽層(A)〜(E)の紫外線透過率、及び、各実施例及び比較例で得られた合わせガラスの耐候試験を以下の方法で行い、評価した。
【0113】
(1)遮熱層の電磁波シールド性
遮熱層(A)及び(B)をそれぞれクリアガラスで挟んで作製した合わせガラスについて、電磁波透過性KEC法測定(近傍界の電磁波シールド効果測定)によって、0.1〜10MHzの範囲の反射損失値(dB)を通常の板厚2.5mmのフロートガラス単板と比較し、上記周波数での差の最小・最大値を記載した。また、2〜26.5GHzの範囲の反射損失値(dB)は、送信受信用の1対のアンテナ間にサンプル600mm角を立て、電波信号発生装置からの電波をスペクトルアナライザーで受信し、そのサンプルのシールド性を評価した(遠方界の電磁波測定法)。結果を表1に示す。
【0114】
(2)遮熱層のヘイズ
遮熱層(A)及び(B)をそれぞれクリアガラスで挟んで作製した合わせガラスについて、JIS K 6714に準拠して測定した。結果を表1に示す。
【0115】
(3)遮熱層の可視光透過率及び日射透過率
遮熱層(A)及び(B)をそれぞれクリアガラスで挟んで作製した合わせガラスについて、直記分光光度計(島津製作所社製、「U−4000」)を使用して、JIS Z 8722及びJIS R 3106(1998)に準拠して380〜780nmの波長領域の可視光透過率を求めた。また、300〜2100nmの波長領域の日射透過率を求め、可視光透過率に対する割合を算出した。結果を表1に示す。
【0116】
(4)紫外線遮蔽層の紫外線透過率
紫外線遮蔽層(A)〜(E)をそれぞれクリアガラスで挟んで作製した合わせガラスについて、SAE J1796に準拠して紫外線透過率を測定した。結果を表2に示す。
【0117】
(5)合わせガラスの耐候試験
各実施例及び比較例で作製した合わせガラスについて、直記分光光度計(島津製作所社製、「U−4000」)を使用して、JIS Z 8722及びJIS R 3106(1998)に準拠して380〜780nmの波長領域の可視光透過率を測定し、更に、下記S−Xenon(スーパーキセノン)照射試験後も同様に測定し、下記式(1)により照射前との比較によりΔTvを求めた。結果を表3に示す。
なお、測定は光線入射側の第一層が紫外線遮蔽層となるようにして行った。
【0118】
ΔTv=Tv(S−Xenon照射後)−Tv(S−Xenon照射前) (1)
【0119】
スーパーキセノン(S−Xenon)照射試験
5×10cmの照射サンプルを作製し、以下の条件にてS−Xenon照射テストを行った。
試験装置:スーパーキセノンウェザーメーター(SX75、スガ試験機社製)
UV強度:180mW/m
限定波長:300〜400nm
ブラックパネル温度:63℃
フィルター:石英ガラス(インナー)/♯275フィルター(アウター)
照射時間:100時間
【0120】
同様に、各実施例及び比較例で作製した合わせガラスについて、直記分光光度計(島津製作所社製、「U−4000」)を使用して、JIS Z 8722及びJIS R 3106(1998)に準拠して380〜780nmの波長領域の可視光透過率を測定し、更に、下記S−UV(スーパーUV)照射試験後も同様に測定し、下記式(2)により照射前との比較によりΔTvを求めた。結果を表3に示す。なお、測定は光線入射側の第一層
が紫外線遮蔽層となるようにして行った。
【0121】
ΔTv=Tv(S−UV照射後)−Tv(S−UV照射前) (2)
【0122】
スーパーUV(SUV)照射試験
5×10cmの照射サンプルを作製し、以下の条件にてSUV照射テストを行った。
試験装置:アイスーパーUVテスター(SUV−F11型、岩崎電機社製)
UV強度:100mW/m
限定波長:295〜450nm
ブラックパネル温度:63℃
照射時間:300時間
【0123】
【表1】

【0124】
【表2】

【0125】
【表3】

【0126】
表1〜3に示すように、各実施例及び比較例で作製した遮熱層は、いずれも電磁波シールド性能は10dB以下、ヘイズは1.0%以下、可視光透過率は70%以上及び日射透過率は可視光透過率の85%以下であり、各実施例で作製した紫外線遮蔽中間膜の紫外線透過率は30%以下であった。
また、実施例に係る合わせガラスは、耐候試験前後の可視光線透過率により算出したΔTvは、いずれも比較例に係る合わせガラスの耐候試験前後の可視光線透過率により算出したΔTvよりも0に近く、耐候性に優れたものであった。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明によれば、合わせガラスにした際の透明性、遮熱性、電磁波透過性に優れ、かつ、光による耐久性試験後であっても可視光線透過率が低下せず、初期光学品質を損なわない合わせガラス用中間膜及び該合わせガラス用中間膜を用いてなる合わせガラスを提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも遮熱層と紫外線遮蔽層とをそれぞれ1層以上有することを特徴とする合わせガラス用中間膜。
【請求項2】
少なくとも遮熱層と前記遮熱層の両面に形成された紫外線遮蔽層との3層からなることを特徴とする請求項1記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項3】
遮熱層は、クリアガラス、グリーンガラス、高熱線吸収ガラス及び紫外線吸収ガラスからなる群より選択される2枚のガラスの間に介在させて合わせガラスとしたときに、周波数0.1MHz〜26.5GHzにおける電磁波シールド性能が10dB以下、ヘイズが1.0%以下、可視光透過率が70%以上、かつ、300〜2100nmの波長領域での日射透過率が可視光透過率の85%以下であり、
紫外線遮蔽層は、クリアガラス、グリーンガラス、高熱線吸収ガラス及び紫外線吸収ガラスからなる群より選択される2枚のガラスの間に介在させて合わせガラスとしたときに、SAE J1796に準拠して測定した紫外線透過率が60%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項4】
遮熱層は、透明樹脂と遮熱剤とを含有することを特徴とする請求項1、2又は3記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項5】
遮熱層は、ポリビニルアセタール樹脂100重量部、可塑剤20〜60重量部、アルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩0.0001〜1.0重量部、錫ドープ酸化インジウム微粒子0.1〜3.0重量部、分散安定剤0.01〜5.0重量部及び酸化防止剤0.01〜5.0重量部を含有するものであり、
前記錫ドープ酸化インジウム微粒子は、平均粒径が80nm以下であり、かつ、100nm以上の粒子数が1個以下/1μmとなるよう分散されている
ことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項6】
紫外線遮蔽層は、透明樹脂と紫外線カット剤とを含有することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項7】
紫外線カット剤は、金属系、金属酸化物系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、ベンゾエート系、マロン酸エステル系、及び、シュウ酸アニリド系からなる群より選択される少なくとも1種の紫外線吸収剤であることを特徴とする請求項6記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項8】
紫外線カット剤は、金属酸化物系紫外線吸収剤であることを特徴とする請求項6又は7記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項9】
金属酸化物系紫外線吸収剤は、酸化亜鉛及び/又は酸化チタンであることを特徴とする請求項8記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項10】
金属酸化物系紫外線吸収剤は、表面が絶縁性金属酸化物で被覆されていることを特徴とする請求項8又は9記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項11】
絶縁性金属酸化物は、シリカであることを特徴とする請求項10記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項12】
金属酸化物系紫外線吸収剤は、表面が加水分解性有機ケイ素化合物で被覆されていること
を特徴とする請求項8又は9記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項13】
金属酸化物系紫外線吸収剤は、表面がシリコーン系化合物で被覆されていることを特徴とする請求項8又は9記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項14】
クリアガラス、グリーンガラス、高熱線吸収ガラス及び紫外線吸収ガラスからなる群より選択される2枚のガラスの間に介在させて合わせガラスとし、スーパーキセノン100時間照射試験を行った後における、JIS Z 8722及びJIS R 3106(1998)に準拠して測定した可視光透過率の低下が1.0%以下であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項15】
クリアガラス、グリーンガラス、高熱線吸収ガラス及び紫外線吸収ガラスからなる群より選択される2枚のガラスの間に介在させて合わせガラスとし、スーパーUV300時間照射試験を行った後における、JIS Z 8722及びJIS R 3106(1998)に準拠して測定した可視光透過率の低下が3.0%以下であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項16】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15記載の合わせガラス用中間膜を用いてなることを特徴とする合わせガラス。

【公開番号】特開2011−251906(P2011−251906A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184817(P2011−184817)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【分割の表示】特願2004−361924(P2004−361924)の分割
【原出願日】平成16年12月14日(2004.12.14)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】