説明

合わせガラス用中間膜及び合わせガラス

【課題】合わせガラスの遮熱性と耐候性と透明性とを高めることができる合わせガラス用中間膜、並びに該合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供する。
【解決手段】本発明に係る合わせガラス用中間膜2は、熱可塑性樹脂と、可塑剤と、極大吸収波長が近赤外線の領域にあるシアニン色素と、分散剤である塩基性ポリウレタンとを含む。本発明に係る合わせガラス1は、第1の合わせガラス構成部材21と、第2の合わせガラス構成部材22と、第1,第2の合わせガラス構成部材21,22の間に挟み込まれた単層又は多層の中間膜とを備える。該単層又は多層の中間膜が、合わせガラス用中間膜2を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車又は建築物などの合わせガラスに用いられる合わせガラス用中間膜に関し、より詳細には、合わせガラスの遮熱性と耐候性と透明性とを高めることができる合わせガラス用中間膜、並びに該合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
合わせガラスは、外部衝撃を受けて破損してもガラスの破片の飛散量が少なく、安全性に優れている。このため、上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に広く使用されている。上記合わせガラスは、一対のガラス板の間に合わせガラス用中間膜を挟み込むことにより、製造されている。このような車両及び建築物の開口部に用いられる合わせガラスには、高い遮熱性が求められる。
【0003】
可視光よりも長い波長780nm以上の赤外線は、紫外線と比較して、エネルギー量が小さい。しかしながら、赤外線は熱的作用が大きく、赤外線が物質に吸収されると熱として放出される。このため、赤外線は一般に熱線と呼ばれている。従って、合わせガラスの遮熱性を高めるためには、赤外線を十分に遮断する必要がある。
【0004】
上記赤外線(熱線)を効果的に遮断するために、下記の特許文献1には、錫ドープ酸化インジウム粒子(ITO粒子)又はアンチモンドープ酸化錫粒子(ATO粒子)などの遮熱粒子を含む合わせガラス用中間膜が開示されている。
【0005】
また、下記の特許文献2には、近赤外線吸収色素と、波長250〜400nmに極大吸収波長をもつ紫外線吸収剤と、エチレン−酢酸ビニル共重合体とを含む中間膜が開示されている。ここでは、上記近赤外線吸収色素としては、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、アミニウム塩化合物及びアントラキノン化合物が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO01/25162A1
【特許文献2】特開平07−178861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、ITO粒子又はATO粒子を含む従来の中間膜の遮熱性を更に高めることが要求されている。しかし、ITO粒子又はATO粒子は、近赤外線を充分に吸収しない。従って、特許文献1に記載のように、中間膜中にITO粒子又はATO粒子を添加しただけでは、合わせガラスの遮熱性を大きく高めることは困難である。
【0008】
また、特許文献2に記載のように、中間膜中に近赤外線吸収色素と紫外線吸収剤とを添加した場合にも、合わせガラスの遮熱性を充分に高めることが困難なことがある。さらに、特許文献2に記載の近赤外線吸収色素を含む中間膜を用いた合わせガラスでは、透明性が低かったり、耐候性が低かったりすることがある。
【0009】
また、合わせガラスには、遮熱性が高いだけでなく、可視光線透過率(Visible Transmittance)が高いことも求められる。すなわち、合わせガラスでは、上記可視光線透過率を高く維持したままで、遮熱性を高くする必要がある。
【0010】
しかしながら、特許文献1,2に記載のような従来の中間膜では、遮熱性の指標であるTds(Solar Direct Transmittance)が充分に低く、かつ可視光線透過率が充分に高い合わせガラスを得ることは極めて困難である。
【0011】
本発明の目的は、合わせガラスの遮熱性と耐候性と透明性とを高めることができる合わせガラス用中間膜、並びに該合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供することである。
【0012】
本発明は、Tdsが低く、かつ可視光線透過率が高い合わせガラスを得ることができる合わせガラス用中間膜、並びに該合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の広い局面によれば、熱可塑性樹脂と、可塑剤と、極大吸収波長が近赤外線の領域にあるシアニン色素と、分散剤である塩基性ポリウレタンとを含む、合わせガラス用中間膜が提供される。
【0014】
本発明に係る合わせガラス用中間膜のある特定の局面では、上記塩基性ポリウレタンは、主鎖から分岐したアミノ基を有する。
【0015】
本発明に係る合わせガラス用中間膜の他の特定の局面では、上記塩基性ポリウレタンの塩基当量が1000〜5000であり、かつ塩基価が5〜30mgKOH/gである。
【0016】
本発明に係る合わせガラス用中間膜のさらに他の特定の局面では、上記シアニン色素100重量部に対して、上記塩基性ポリウレタンの含有量は10〜1000重量部である。
【0017】
本発明に係る合わせガラス用中間膜の別の特定の局面では、遮熱粒子がさらに含まれるか、又は上記シアニン色素と異なり、かつ赤外線を吸収する性質を有する有機色素がさらに含まれる。
【0018】
本発明に係る合わせガラス用中間膜の他の特定の局面では、上記熱可塑性樹脂は水酸基を有する熱可塑性樹脂である。
【0019】
本発明に係る合わせガラス用中間膜のさらに他の特定の局面では、上記熱可塑性樹脂はポリビニルアセタール樹脂である。
【0020】
本発明に係る合わせガラスは、第1の合わせガラス構成部材と、第2の合わせガラス構成部材と、該第1,第2の合わせガラス構成部材の間に挟み込まれた単層又は多層の中間膜とを備えており、上記単層又は多層の中間膜が、本発明に従って構成された合わせガラス用中間膜を含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、熱可塑性樹脂と、可塑剤と、極大吸収波長が近赤外線の領域にあるシアニン色素と、分散剤である塩基性ポリウレタンとを含むので、合わせガラスを構成するのに用いられた場合に、得られる合わせガラスの遮熱性と耐候性と透明性とを高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを模式的に示す部分切欠断面図である。
【図2】図2は、本発明の他の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを模式的に示す部分切欠断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0024】
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、熱可塑性樹脂と可塑剤とシアニン色素と分散剤とを含む。上記シアニン色素の極大吸収波長は近赤外線の領域にある。上記分散剤は、塩基性ポリウレタンである。
【0025】
可視光よりも長い波長である780nm以上の赤外線は、紫外線と比較して、エネルギー量が小さい。しかしながら、赤外線は熱的作用が大きく、赤外線が物質にいったん吸収されると熱として放出される。このため、赤外線は一般に熱線と呼ばれている。
【0026】
本発明の上記組成の採用により、合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの遮熱性を高めることができ、赤外線(熱線)を効果的に遮断できる。さらに、合わせガラスの耐候性と透明性とを高めることもできる。
【0027】
従来、シアニン色素を含む中間膜を用いた合わせガラスでは、耐候性が低かったり、透明性が低かったりすることがあった。これに対して、特定の分散剤を含む本発明の上記組成の採用により、合わせガラスの耐候性と透明性とを高めることができる。例えば、ヘーズ値を1%以下にすることができ、0.5%以下にすることもできる。
【0028】
また、従来、ITO粒子などの遮熱粒子を含む合わせガラス用中間膜を用いた場合には、合わせガラスの遮熱性が低いことがあり、更にTds(Solar Direct Transmittance)が80%以下、かつ可視光線透過率(Visible Transmittance)が70%以上のいずれも満たす合わせガラスが得られないことがあった。これに対して、特定の上記組成を有する合わせガラス用中間膜の使用により、合わせガラスの遮熱性を充分に高くすることができ、更に遮熱性の指標であるTdsが低く、かつ可視光線透過率が高い合わせガラスを得ることができる。例えば、合わせガラスのTdsを80%以下にし、かつ可視光線透過率を70%以上にすることができる。さらに、Tdsを70%以下にすることができ、60%以下にすることもでき、更に可視光線透過率を75%以上にすることができ、80%以上にすることもできる。
【0029】
(熱可塑性樹脂)
本発明に係る合わせガラス用中間膜に含まれている上記熱可塑性樹脂は、特に限定されない。該熱可塑性樹脂として、従来公知の熱可塑性樹脂を用いることができる。上記熱可塑性樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0030】
上記熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。
【0031】
上記熱可塑性樹脂は、水酸基を有する熱可塑性樹脂であってもよい。上記熱可塑性樹脂のなかで、ポリビニルアセタール樹脂は一般に水酸基を有する。水酸基を有する熱可塑性樹脂を用いた場合には、該熱可塑性樹脂の水酸基に由来してシアニン色素が劣化しやすい。例えば、加熱成形により合わせガラス用中間膜を得る際などに、水酸基を有する熱可塑性樹脂とシアニン色素とが反応して、合わせガラスの透明性が低下する傾向がある。しかしながら、特定の上記組成の採用により、水酸基を有する熱可塑性樹脂を用いたとしても、シアニン色素の劣化を抑制でき、合わせガラスの透明性を高くすることができる。
【0032】
上記熱可塑性樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。上記熱可塑性樹脂は水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂であってもよい。ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との併用により、合わせガラス構成部材又は他の合わせガラス用中間膜に対する本発明に係る合わせガラス用中間膜の接着力をより一層高くすることができる。
【0033】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することにより製造できる。上記ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより製造できる。上記ポリビニルアルコールのけん化度は、一般に80〜99.8モル%である。
【0034】
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、好ましくは200以上、より好ましくは500以上、更に好ましくは1600以上、最も好ましくは2700以上、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、更に好ましくは3500以下である。上記平均重合度が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記平均重合度が上記上限以下であると、中間膜の成形が容易になる。
【0035】
上記ポリビニルアセタール樹脂に含まれているアセタール基の炭素数は特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂を製造する際に用いるアルデヒドは特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数は3又は4であることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数が3以上であると、中間膜のガラス転移温度が充分に低くなる。
【0036】
上記アルデヒドは特に限定されない。上記アルデヒドとして、一般には、炭素数が1〜10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1〜10のアルデヒドとしては、例えば、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド又はn−バレルアルデヒドが好ましく、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド又はイソブチルアルデヒドがより好ましく、n−ブチルアルデヒドが更に好ましい。上記アルデヒドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0037】
シアニン色素の劣化を抑制する観点からは、上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は低い方が好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率(水酸基量)は、好ましくは10モル%以上、より好ましくは15モル%以上、更に好ましくは18モル%以上、好ましくは40モル%以下、より好ましくは35モル%以下、特に好ましくは25モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、可塑剤のブリードアウトが生じ難くなり、かつ中間膜の耐湿性がより一層高くなる。上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、シアニン色素の劣化を抑制でき、合わせガラスの透明性がより一層高くなる。さらに、中間膜の耐貫通性が高くなり、また中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。
【0038】
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率(モル%)で表した値である。上記水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠して、原料となるポリビニルアルコールの水酸基が結合しているエチレン基量を測定することにより求めることができる。
【0039】
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度(アセチル基量)は、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.3モル%以上、更に好ましくは0.5モル%以上、特に好ましくは15モル%以上、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、更に好ましくは20モル%以下である。上記アセチル化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤の相溶性が高くなる。上記アセチル化度が上記上限以下であると、中間膜及び合わせガラスの耐湿性がより一層高くなる。
【0040】
上記アセチル化度は、主鎖の全エチレン基量から、アセタール基が結合しているエチレン基量と、水酸基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率(モル%)で表した値である。上記アセタール基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
【0041】
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合はブチラール化度)は、好ましくは60モル%以上、より好ましくは63モル%以上、好ましくは85モル%以下、より好ましくは75モル%以下、更に好ましくは70モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセタール化度が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が短くなる。
【0042】
上記アセタール化度は、アセタール基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率(モル%)で表した値である。
【0043】
上記アセタール化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により、アセチル化度(アセチル基量)と水酸基の含有率(ビニルアルコール量)とを測定し、得られた測定結果からモル分率を算出し、次いで、100モル%からアセチル化度と水酸基の含有率とを差し引くことにより算出され得る。
【0044】
なお、ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂である場合には、上記アセタール化度(ブチラール化度)及びアセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出され得る。
【0045】
(可塑剤)
本発明に係る合わせガラス用中間膜に含まれている可塑剤は特に限定されない。該可塑剤として、従来公知の可塑剤を用いることができる。上記可塑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0046】
上記可塑剤としては、例えば、一塩基性有機酸エステル及び多塩基性有機酸エステル等の有機エステル可塑剤、並びに有機リン酸可塑剤及び有機亜リン酸可塑剤などのリン酸可塑剤等が挙げられる。なかでも、有機エステル可塑剤が好ましい。上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
【0047】
上記一塩基性有機酸エステルとしては、特に限定されず、例えば、グリコールと一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコールエステル、並びにトリエチレングリコール又はトリプロピレングリコールと一塩基性有機酸とのエステル等が挙げられる。上記グリコールとしては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びトリプロピレングリコール等が挙げられる。上記一塩基性有機酸としては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、n−ノニル酸及びデシル酸等が挙げられる。
【0048】
上記多塩基性有機酸エステルとしては、特に限定されず、例えば、多塩基性有機酸と、炭素数4〜8の直鎖又は分岐構造を有するアルコールとのエステル化合物が挙げられる。上記多塩基性有機酸としては、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等が挙げられる。
【0049】
上記有機エステル可塑剤としては、特に限定されず、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ−n−オクタノエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,3−プロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,4−ブチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリエート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ヘプチルとアジピン酸ノニルとの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、及びリン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物等が挙げられる。これら以外の有機エステル可塑剤を用いてもよい。
【0050】
上記有機リン酸可塑剤としては、特に限定されず、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート及びトリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
【0051】
上記可塑剤は、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)及びトリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート(3GH)の内の少なくとも1種であることが好ましく、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエートであることがより好ましい。
【0052】
上記熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記可塑剤の含有量は25〜50重量部であることが好ましい。上記熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記可塑剤の含有量は、より好ましくは30重量部以上、より好ましくは50重量部以下である。上記可塑剤の含有量が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記可塑剤の含有量が上記上限以下であると、中間膜の透明性がより一層高くなる。
【0053】
(シアニン色素)
本発明に係る合わせガラス用中間膜に含まれているシアニン色素は、極大吸収波長が近赤外線の領域にある。近赤外線の領域とは、波長0.7〜2.5μmの領域を示す。シアニン色素の使用により、近赤外線を効果的に遮断できる。シアニン色素は、極大吸収波長が近赤外線の領域にあれば特に限定されない。シアニン色素として、従来公知のシアニン色素を用いることができる。上記シアニン色素は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0054】
上記シアニン色素は、具体的には、2個の含窒素複素環を奇数個のメチン基(−CH=)で結合し、1個の窒素は第3級アミン、他の1個は第4級アンモニウム構造をもつ色素の総称である。
【0055】
上記シアニン色素は、シアニン色素骨格を有する。該シアニン色素骨格とは、周知のとおり、下記式(1)で表される原子団を有し、ポリメチン鎖の両端に位置する窒素原子がいずれも、互いに同じか異なる複素環Z1及びZ2を構成する原子の一つになっている有機色素化合物の骨格を意味する。但し、分子内に一つ以上のアニオン性基を含むことが好ましい。
【0056】
【化1】

【0057】
上記式(1)において、Z1及びZ2は、それぞれ独立に、5員環又は6員環の含窒素複素環を形成する非金属原子群である。含窒素複素環には、他の複素環、芳香族環又は脂肪族環が縮合していてもよい。含窒素複素環及びその縮合環の例には、オキサゾール環、イソオキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ナフトオサゾール環、オキサゾロカルバゾール環、オキサゾロジベンゾフラン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、インドレニン環、ベンゾインドレニン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ナフトイミダゾール環、キノリン環、ピリジン環、ピロロピリジン環、フロピロール環、インドリジン環、イミダゾキノキサリン環及びキノキサリン環が含まれる。含窒素複素環に関しては、6員環より5員環の方が好ましい。5員環の含窒素複素環にベンゼン環又はナフタレン環が縮合していることがさらに好ましい。ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、インドレニン環又はベンゾインドレニン環が好ましい。インドレニン環が最も好ましい。
【0058】
含窒素複素環及びその縮合環は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ホルミル基、カルバモイル基、ウレイド基、ウレタン基、メルカプト基、スルホ基、スルファモイル基、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−O−R、−CO−R、−CO−O−R、−OCO−R、−NH−R、−NR、−NH−CO−R、−CO−NH−R、−CO−NR、−NH−CO−NH−R、−NH−CO−NR、−NH−CO−O−R、−S−R、−SO−R、−SO−O−R、−NH−SO−R、−SO−NH−R、及び−SO−NRが含まれる。ここで、R及びRは、それぞれ独立に、脂肪族基、芳香族基又は複素環基である。
【0059】
合わせガラス用中間膜100重量%中、上記シアニン色素の含有量は0.001〜1重量%であることが好ましい。中間膜100重量%中の上記シアニン色素の含有量は、より好ましくは0.005重量%以上、より好ましくは0.1重量%以下である。シアニン色素の含有量が上記下限以上であると、合わせガラスの遮熱性をより一層高くすることができ、上記Ttsをより一層低くすることができる。シアニン色素の含有量が上記上限以下であると、合わせガラスの透明性をより一層高くすることができ、上記可視光線透過率をより一層高くすることができる。
【0060】
(上記シアニン色素以外の遮熱成分)
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、遮熱粒子を含むか、又は上記シアニン色素と異なり、かつ赤外線を吸収する性質を有する有機色素(以下、有機色素Xと略記することがある)を含むことが好ましく、遮熱粒子を含むことがより好ましい。
【0061】
特にシアニン色素と遮熱粒子との併用により、熱線をより一層効果的に遮断できる。上記遮熱粒子は、金属の酸化物により形成された金属酸化物粒子であることが好ましい。上記遮熱粒子は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0062】
上記遮熱粒子の具体例としては、アルミニウムドープ酸化錫粒子、インジウムドープ酸化錫粒子、アンチモンドープ酸化錫粒子(ATO粒子)、ガリウムドープ酸化亜鉛粒子(GZO粒子)、インジウムドープ酸化亜鉛粒子(IZO粒子)、アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子(AZO粒子)、ニオブドープ酸化チタン粒子、ナトリウムドープ酸化タングステン粒子、セシウムドープ酸化タングステン粒子、タリウムドープ酸化タングステン粒子、ルビジウムドープ酸化タングステン粒子、錫ドープ酸化インジウム粒子(ITO粒子)、錫ドープ酸化亜鉛粒子、珪素ドープ酸化亜鉛粒子及び三酸化タングステン(WO)粒子等の金属酸化物粒子、並びに六ホウ化ランタン(LaB)粒子等が挙げられる。なかでも、熱線の遮蔽機能が高いため、金属酸化物粒子であることが好ましく、ATO粒子、GZO粒子、ITO粒子又はセシウムドープ酸化タングステン粒子がより好ましく、ITO粒子がさらに好ましい。
【0063】
上記有機色素Xとしては、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、アントラシアニン色素、インンモニウム色素、アミニウム色素、アントラキノン色素、ポリメチン色素、ベンゼンジチオール型アンモニウム化合物、チオ尿素誘導体及びチオール金属錯体等が挙げられる。上記有機色素Xは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0064】
合わせガラスの透明性及び遮熱性をより一層高める観点からは、上記遮熱粒子及び上記有機色素Xの平均粒子径は、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上、好ましくは100nm以下、より好ましくは80nm以下、更に好ましくは50nm以下である。平均粒子径が上記下限以上であると、熱線の遮蔽性が充分に高くなる。平均粒子径が上記上限以下であると、中間膜中での遮熱粒子の分散性がより一層良好になる。
【0065】
上記「平均粒子径」は、体積平均粒子径を示す。平均粒子径は、粒度分布測定装置(日機装社製「UPA−EX150」)等を用いて測定できる。
【0066】
合わせガラス用中間膜100重量%中、遮熱粒子又は有機色素Xの含有量は0.0001〜5重量%であることが好ましい。中間膜100重量%中の遮熱粒子又は上記有機色素Xの含有量は、より好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは1重量%以下である。遮熱粒子又は有機色素Xの含有量が上記下限以上であると、合わせガラスの遮熱性をより一層高めることができ、上記Ttsをより一層低くすることができる。遮熱粒子又は有機色素Xの含有量が上記上限以下であると、合わせガラスの透明性をより一層高くすることができ、上記可視光線透過率をより一層高くすることができる。
【0067】
(分散剤)
本発明に係る合わせガラス用中間膜に含まれている分散剤は、塩基性ポリウレタンである。該塩基性ポリウレタンは特に限定されない。上記塩基性ポリウレタンは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0068】
上記シアニン色素の使用により、中間膜の遮熱性を高くすることができる。しかしながら、単にシアニン色素を用いただけでは、シアニン色素は反応して劣化しやすいので、シアニン色素を含む中間膜を用いた合わせガラスの耐候性が低くなりやすい。
【0069】
合わせガラスの遮熱性と耐候性と透明性とを高いレベルで両立するためには、シアニン色素の劣化を抑制する必要がある。塩基性ポリウレタンの使用により、シアニン色素の劣化を効果的に抑制できる。特に熱可塑性樹脂が水酸基を有する場合に、水酸基に由来するシアニン色素の劣化を抑制できる。
【0070】
また、上記シアニン色素の分散性が低すぎると、合わせガラスの遮熱性と透明性とが低くなる傾向がある。上記シアニン色素の分散性が高すぎると、シアニン色素が劣化しやすくなり、合わせガラスの耐候性が低くなる傾向がある。従って、合わせガラスの遮熱性と耐候性とを高いレベルで両立するためには、シアニン色素を適度に分散させることが望ましい。例えば、シアニン色素は微小な凝集物として中間膜中に含まれていることが望ましい。塩基性ポリウレタンの使用により、中間膜中にシアニン色素を微小な凝集物の状態で分散させることができる。
【0071】
さらに、分散剤の種類によっては、中間膜中での分散剤自体の分散性が低くなったり、シアニン色素の分散性が低くなってシアニン色素の大きな凝集物等が生じたりして、シアニン色素を含む中間膜を用いた合わせガラスの透明性が低くなりやすい。これに対して、塩基性ポリウレタンの使用により、合わせガラスの透明性を高くすることができる。
【0072】
上記塩基性ポリウレタンとしては、日本ルーブリゾール製「Solsperse76500」等が挙げられる。シアニン色素を適度に分散させ、合わせガラスの遮熱性と透明性と耐候性とをより一層高くする観点からは、上記塩基性ポリウレタンは、主鎖から分岐したアミノ基を有することが好ましく、主鎖から分岐したアミノ基を複数有することが好ましい。
【0073】
シアニン色素を適度に分散させ、合わせガラスの遮熱性と透明性と耐候性とをより一層高くする観点からは、塩基性ポリウレタンの塩基当量は1000〜5000であることが好ましい。塩基性ポリウレタンの塩基当量は、より好ましくは2000以上、より好ましくは4000以下である。塩基性ポリウレタンの塩基当量が上記下限以上であると、合わせガラスの透明性がより一層高くなる。塩基性ポリウレタンの塩基当量が上記上限以下であると、合わせガラスの耐侯性がより一層高くなる。上記塩基当量とは、具体的には、試料の塩基性に関する化学当量を示す。
【0074】
シアニン色素を適度に分散させ、合わせガラスの遮熱性と透明性と耐候性とをより一層高くする観点からは、塩基性ポリウレタンの塩基価が5〜30mgKOH/gであることが好ましい。塩基性ポリウレタンの塩基価は、より好ましくは7mgKOH/g以上、より好ましくは27mgKOH/g以下である。塩基性ポリウレタンの塩基価が上記下限以上であると、シアニン色素が適度に分散しやすい。塩基性ポリウレタンの塩基価が上記上限以下であると、耐候性が保持されやすい。
【0075】
上記塩基価とは、具体的には、試料1g中に含まれている全塩基性成分を中和するのに要する塩酸と当量の水酸化カリウムの重量をいう。上記塩基価は、具体的には、JIS K2501で定められている方法により求めることができる。
【0076】
シアニン色素を適度に分散させる観点からは、中間膜を得る際に、シアニン色素と分散剤とを分散させた分散液を用いることが好ましく、シアニン色素と遮熱粒子又は有機色素Xと分散剤とを分散させた分散液を用いることが好ましい。さらに、シアニン色素と分散剤と可塑剤とを含む分散液を用いることが好ましく、シアニン色素と、遮熱粒子又は有機色素Xと、分散剤と、可塑剤とを含む分散液を用いることが好ましい。
【0077】
中間膜中にシアニン色素を適度に分散させるために、上記分散液を得る際に、ビーズミルを用いることが好ましい。中間膜中にシアニン色素を適度に分散させるために、ビーズミルのビーズの直径は、0.03〜5mmであることが好ましい。
【0078】
シアニン色素100重量部に対して、塩基性ポリウレタンの含有量は10〜1000重量部であることが好ましい。塩基性ポリウレタンの含有量が10重量部未満であると、合わせガラスの耐候性が低くなる傾向がある。塩基性ポリウレタンの含有量が1000重量部を超えても、合わせガラスの耐候性が低くなる傾向がある。さらに、塩基性ポリウレタンの含有量が1000重量部を超えると、熱可塑性樹脂と可塑剤との含有量が相対的に少なくなり、中間膜の成形が困難になったり、合わせガラスの耐貫通性が低下したりする。シアニン色素100重量部に対する塩基性ポリウレタンの含有量は、より好ましくは30重量部以上、更に好ましくは50重量部以上、より好ましくは800重量部以下、更に好ましくは500重量部以下である。塩基性ポリウレタンの含有量が上記下限以上であると、合わせガラスの耐候性がより一層高くなる。塩基性ポリウレタンの含有量が上記上限以下であると、合わせガラスの透明性がより一層高くなり、合わせガラスの成形がより一層容易になり、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。
【0079】
(他の成分)
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、染料、接着力調整剤、耐湿剤、蛍光増白剤及び赤外線吸収剤等の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0080】
(合わせガラス用中間膜)
本発明に係る合わせガラス用中間膜を単層で用いる場合には、中間膜の厚みは、0.1〜3mmの範囲内であることが好ましい。中間膜の厚みは、より好ましくは0.25mm以上、より好ましくは1.5mm以下である。中間膜の厚みが上記下限以上であると、中間膜及び合わせガラスの耐貫通性と遮熱性とが充分に高くなる。中間膜の厚みが上記上限以下であると、中間膜の透明性がより一層良好になる。
【0081】
また、本発明に係る合わせガラス用中間膜を多層中間膜として用いる場合には、本発明に係る合わせガラス用中間膜の1層の厚みは、0.02〜1.8mmの範囲内であることが好ましい。中間膜の1層の厚みは、より好ましくは0.05mm以上、より好ましくは0.5mm以下である。このような好ましい厚みにすることにより、多層中間膜の厚みが厚くなりすぎず、かつ多層中間膜及び合わせガラスの遮熱性と透明性とをより一層高めることができる。
【0082】
本発明に係る合わせガラス用中間膜の製造方法は特に限定されない。該中間膜の製造方法として、従来公知の方法を用いることができる。例えば、熱可塑性樹脂と可塑剤とシアニン色素と分散剤と必要に応じて配合される他の成分とを混練し、中間膜を成形する製造方法等が挙げられる。連続的な生産に適しているため、押出成形する製造方法が好ましい。
【0083】
本発明に係る合わせガラス用中間膜を加熱成形により得てもよい。中間膜が水酸基を有する熱可塑性樹脂を含む場合に、加熱成形時に熱可塑性樹脂の水酸基に由来して、シアニン色素が反応しやすく、シアニン色素が劣化しやすい。しかしながら、塩基性ポリウレタンの使用により、シアニン色素の劣化を効果的に抑制できる。中間膜の成形を容易にし、中間膜中の成分の劣化を抑制する観点からは、上記加熱成形の温度は、130〜230℃℃であることが好ましい。
【0084】
上記混練の方法は特に限定されない。この方法としては、例えば、押出機、プラストグラフ、ニーダー、バンバリーミキサー又はカレンダーロール等を用いる方法が挙げられる。なかでも、連続的な生産に適しているため、押出機を用いる方法が好適であり、二軸押出機を用いる方法がより好適である。
【0085】
本発明に係る合わせガラス用中間膜は単層で用いることができる。さらに、本発明に係る合わせガラス用中間膜を複数積層して、多層中間膜として用いてもよい。さらに、本発明に係る合わせガラス用中間膜の少なくとも一方の表面に、他の合わせガラス用中間膜を積層して、多層中間膜として用いてもよい。この場合には、本発明に係る合わせガラス用中間膜の片面に他の合わせガラス用中間膜が積層された多層中間膜、及び本発明に係る合わせガラス用中間膜の両面に他の合わせガラス用中間膜が積層され多層中間膜の内のいずれも用いることができる。
【0086】
(合わせガラス)
図1に、本発明の一実施形態に係る合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを断面図で示す。
【0087】
図1に示す合わせガラス1は、中間膜2と、第1,第2の合わせガラス構成部材21,22とを備える。中間膜2は単層の中間膜である。中間膜2は、熱可塑性樹脂と可塑剤とシアニン色素と塩基性ポリウレタンとを含む。中間膜2は、遮熱粒子又は上記有機色素Xを含んでいてもよい。中間膜2は、合わせガラスを得るために用いられる。中間膜2は、合わせガラス用中間膜である。
【0088】
中間膜2は、第1,第2の合わせガラス構成部材21,22の間に挟み込まれている。中間膜2の一方の表面2aに、第1の合わせガラス構成部材21が積層されている。中間膜2の他方の表面2bに、第2の合わせガラス構成部材22が積層されている。
【0089】
図2に、本発明の他の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスを断面図で示す。
【0090】
図2に示す合わせガラス11は、多層中間膜12と、第1,第2の合わせガラス構成部材21,22とを備える。多層中間膜12は、中間膜13、中間膜14及び中間膜15の3つの中間膜がこの順で積層された構造を有する。中間膜13、中間膜14及び中間膜15はいずれも、熱可塑性樹脂と可塑剤とシアニン色素と塩基性ポリウレタンとを含む。中間膜13〜15は、遮熱粒子又は上記有機色素Xを含んでいてもよい。中間膜13、中間膜14及び中間膜15の内のいずれか1層が本発明に係る合わせガラス用中間膜であり、他の層が本発明に係る合わせガラス用中間膜以外の他の合わせガラス用中間膜であってもよい。中間膜13〜15はそれぞれ、合わせガラスを得るために用いられる。中間膜13〜15は、合わせガラス用中間膜である。
【0091】
多層中間膜12は、第1,第2の合わせガラス構成部材21,22の間に挟み込まれている。中間膜13の外表面13aに第1の合わせガラス構成部材21が積層されている。中間膜15の外表面15aに第2の合わせガラス構成部材22が積層されている。
【0092】
このように、本発明に係る合わせガラスは、第1の合わせガラス構成部材と、第2の合わせガラス構成部材と、上記第1,第2の合わせガラス構成部材の間に挟み込まれた単層又は多層の中間膜とを備えており、該単層又は多層の中間膜が、本発明の合わせガラス用中間膜を含む。
【0093】
本発明に係る合わせガラスには、本発明に係る合わせガラス用中間膜が単層で、第1,第2の合わせガラス構成部材に挟み込まれている合わせガラスだけでなく、本発明に係る合わせガラス用中間膜が2層以上積層された多層中間膜が、第1,第2の合わせガラス構成部材に挟み込まれている合わせガラスも含まれる。さらに、本発明に係る合わせガラスには、本発明に係る合わせガラス用中間膜と、本発明に係る合わせガラス用中間膜の少なくとも一方の表面に積層された他の合わせガラス用中間膜とを有する多層中間膜が、第1,第2の合わせガラス構成部材に挟み込まれている合わせガラスも含まれる。この場合には、本発明に係る合わせガラス用中間膜の片面に他の合わせガラス用中間膜が積層された多層中間膜、及び本発明に係る合わせガラス用中間膜の両面に他の合わせガラス用中間膜が積層された多層中間膜の内のいずれも用いることができる。
【0094】
第1,第2の合わせガラス構成部材21,22としては、ガラス板及びPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等が挙げられる。合わせガラス1,11には、2枚のガラス板の間に中間膜又は多層中間膜が挟み込まれている合わせガラスだけでなく、ガラス板とPETフィルム等との間に中間膜又は多層中間膜が挟み込まれている合わせガラスも含まれる。合わせガラス1,11は、ガラス板含有積層体であり、少なくとも1枚のガラス板が用いられていることが好ましい。
【0095】
上記ガラス板としては、無機ガラス及び有機ガラスが挙げられる。上記無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、線入り板ガラス及びグリーンガラス等が挙げられる。上記有機ガラスは、無機ガラスに代用される合成樹脂ガラスである。上記有機ガラスとしては、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
【0096】
第1,第2の合わせガラス構成部材21,22の厚みは特に限定されないが、1〜5mmの範囲内であることが好ましい。また、合わせガラス構成部材21,22がガラス板である場合に、該ガラス板の厚みは、1〜5mmの範囲内であることが好ましい。合わせガラス構成部材21,22がPETフィルムである場合に、該PETフィルムの厚みは、0.03〜0.5mmの範囲内であることが好ましい。
【0097】
合わせガラス1,11の製造方法は特に限定されない。例えば、第1,第2の合わせガラス構成部材21,22の間に、中間膜2又は多層中間膜12を挟んで、押圧ロールに通したり、又はゴムバックに入れて減圧吸引したりして、第1,第2の合わせガラス構成部材21,22と中間膜2又は多層中間膜12との間に残留する空気を脱気する。その後、約70〜110℃で予備接着して積層体を得る。次に、積層体をオートクレーブに入れたり、又はプレスしたりして、約120〜150℃及び1〜1.5MPaの圧力で圧着する。このようにして、合わせガラス1,11を得ることができる。
【0098】
合わせガラス1,11は、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に使用できる。合わせガラス1,11は、これらの用途以外にも使用できる。合わせガラス1,11は、自動車のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス又はルーフガラス等に使用できる。
【0099】
以下、実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明する。本発明は以下の実施例のみに限定されない。
【0100】
(実施例1)
シアニン色素(極大吸収波長850nm)、林原生物化学研究所社製「NK−9907」)10gと、可塑剤であるトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)500gと、分散剤である塩基性ポリウレタン、日本ループリゾール社製「Solsperse76500」、櫛型ポリアミン、塩基当量3700、塩基価15.2mgKOH/g)10gとを混合し、寿工業製の循環式ビーズミル「UAM−0125」で5時間分散させ、分散液を得た。なお、ジルコニア製の直径0.1mmのビーズを用い、ミル周速条件を63.1Hzとし、循環ポンプの流量条件を300ml/分とした。
【0101】
熱可塑性樹脂であるポリビニルブチラール樹脂1(水酸基の含有率30.5モル%、アセチル基量1モル%)357gと、可塑剤であるトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)137.8gと、得られた分散液5.2g(シアニン色素0.10gと3GO5gと塩基性ポリウレタン0.10gとを含む、中間膜100重量%中のシアニン色素の含有量が0.02重量%となる量)とを混合し、二軸異方押出機を用いて、200℃で加熱しながら押出成形することにより、厚み760μmの中間膜を作製した。
【0102】
得られた中間膜を縦5cm×横5cmの大きさに切断した。次に、透明なフロートガラス(縦5cm×横5cm×厚さ2.5mm)2枚の間に、中間膜を挟み込み、積層体を得た。この積層体をゴムバック内に入れ、2.6kPaの真空度で20分間脱気した後、脱気したままオーブン内に移し、更に90℃で30分間保持して真空プレスし、積層体を予備圧着した。オートクレーブ中で135℃及び圧力1.2MPaの条件で、予備圧着された積層体を20分間圧着し、合わせガラスを得た。
【0103】
(実施例2)
熱可塑性樹脂と可塑剤と分散液とを混合する際に、得られた分散液を、中間膜100重量%中のシアニン色素の含有量が0.05重量%になるように用いたこと以外は実施例1と同様にして、中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0104】
(実施例3)
分散液を得る際に、塩基性ポリウレタン(日本ループリゾール社製「Solsperse76500」)の添加量を10gから30gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、分散液を得た。
【0105】
さらに、熱可塑性樹脂と可塑剤と分散液とを混合する際に、得られた分散液を、中間膜100重量%中のシアニン色素の含有量が0.05重量%になるように用いたこと以外は実施例1と同様にして、中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0106】
(実施例4)
分散液を得る際に、塩基性ポリウレタン(日本ループリゾール社製「Solsperse76500」)の添加量を10gから1gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、分散液を得た。
【0107】
さらに、熱可塑性樹脂と可塑剤と分散液とを混合する際に、得られた分散液を、中間膜100重量%中のシアニン色素の含有量が0.05重量%になるように用いたこと以外は実施例1と同様にして、中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0108】
(実施例5)
熱可塑性樹脂であるポリビニルブチラール樹脂1(水酸基の含有率30.5モル%、アセチル基量1モル%)を、ポリビニルブチラール樹脂2(水酸基の含有率22モル%、アセチル基量13モル%)に変更し、厚みを560μmに変更したこと以外は実施例2と同様にして、中間層(中間膜)を得た。
【0109】
さらに、熱可塑性樹脂であるポリビニルブチラール樹脂1(水酸基の含有率30.5モル%、アセチル基量1モル%)100gと、可塑剤であるトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)40gとを混合し、二軸異方押出機を用いて、200℃で加熱しながら押出成形することにより、厚み100μmの表面層を得た。
【0110】
次に、厚み100μmの表面層と、厚み560μmの中間層と、厚み100μmの表面層とをこの順に積層し、卓上ラミネータ(IC−320PROII)を用いて、貼り合せることにより3層の多層中間膜を得た。さらに、実施例1と同様にして、合わせガラスを得た。
【0111】
(比較例1)
分散液を得る際に、分散剤を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、分散液を得た。
【0112】
さらに、熱可塑性樹脂と可塑剤と分散液とを混合する際に、得られた分散液を、中間膜100重量%中のシアニン色素の含有量が0.05重量%になるように用いたこと以外は実施例1と同様にして、中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0113】
(比較例2)
分散液を得る際に、分散剤の種類を、塩基性ポリウレタン(日本ループリゾール社製「Solsperse76500」)から、カルボキシル基含有分散剤(日本ループリゾール社製「Solsperse55000)に変更したこと以外は実施例2と同様にして、分散液を得、中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0114】
(比較例3)
分散液を得る際に、分散剤の種類を、塩基性ポリウレタン(日本ループリゾール社製「Solsperse76500」)から、リン酸エステル(第一工業製薬社製「プライサーフA212E」)に変更したこと以外は実施例2と同様にして、分散液を得、中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0115】
(比較例4)
分散液を得る際に、分散剤の種類を、塩基性ポリウレタン(日本ループリゾール社製「Solsperse76500」)から、リン酸エステル(第一工業製薬社製「プライサーフA208F」)に変更したこと以外は実施例2と同様にして、分散液を得、中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0116】
(比較例5)
分散液を得る際に、分散剤の種類を、塩基性ポリウレタン(日本ループリゾール社製「Solsperse76500」)から、ポリグリセリン系分散剤(阪本薬品社製「SYグリスターCRED」)に変更したこと以外は実施例2と同様にして、分散液を得、中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0117】
(実施例6)
シアニン色素(林原生物化学研究所社製「NK−9907」)10gと、可塑剤であるトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)500gと、遮熱粒子であるITO粒子(三菱マテリアル社製)100gと、分散剤である塩基性ポリウレタン(日本ループリゾール社製「Solsperse76500」)10gとを混合し、寿工業製の循環式ビーズミル「UAM−0125」で5時間分散させ、分散液を得た。なお、ジルコニア製の直径0.1mmのビーズを用い、ミル周速条件を63.1Hzとし、循環ポンプの流量条件を300ml/分とした。
【0118】
熱可塑性樹脂であるポリビニルブチラール樹脂1(水酸基の含有率30.5モル%、アセチル基量1モル%)357gと、可塑剤であるトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)136.8gと、得られた分散液6.2g(シアニン色素0.1gと3GO5gとITO粒子1gと塩基性ポリウレタン0.10gとを含む、中間膜100重量%中のシアニン色素の含有量が0.02重量%かつITO粒子の含有量が0.2重量%となる量)とを混合し、二軸異方押出機を用いて、200℃で加熱しながら押出成形することにより、厚み760μmの中間膜を作製した。さらに、実施例1と同様にして、合わせガラスを得た。
【0119】
(実施例7)
分散液を得る際に、ITO粒子100gを、遮熱粒子であるATO粒子150gに変更したこと以外は実施例6と同様にして、分散液を得た。
【0120】
熱可塑性樹脂と可塑剤と分散液とを混合する際に、得られた分散液を、中間膜100重量%中のシアニン色素及びATO粒子の含有量が下記の表2に示す含有量となるように用いたこと以外は実施例6と同様にして、中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0121】
(実施例8)
分散液を得る際に、ITO粒子100gを、遮熱粒子であるWO粒子5gに変更したこと以外は実施例6と同様にして、分散液を得た。
【0122】
熱可塑性樹脂と可塑剤と分散液とを混合する際に、得られた分散液を、中間膜100重量%中のシアニン色素及びWO粒子の含有量が下記の表2に示す含有量となるように用いたこと以外は実施例6と同様にして、中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0123】
(実施例9)
分散液を得る際に、ITO粒子100gを、遮熱粒子であるLaB粒子6gに変更したこと以外は実施例6と同様にして、分散液を得た。
【0124】
熱可塑性樹脂と可塑剤と分散液とを混合する際に、得られた分散液とを、中間膜100重量%中のシアニン色素及びLaB粒子の含有量が下記の表2に示す含有量となるように用いたこと以外は実施例6と同様にして、中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0125】
(比較例5)
可塑剤であるトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)500gと、遮熱粒子であるITO粒子(三菱マテリアル社製)100gとを混合し、寿工業製の循環式ビーズミル「UAM−0125」で5時間分散させ、分散液を得た。なお、ジルコニア製の直径0.1mmのビーズを用い、ミル周速条件を63.1Hzとし、循環ポンプの流量条件を300ml/分とした。
【0126】
熱可塑性樹脂であるポリビニルブチラール樹脂1(水酸基の含有率30.5モル%、アセチル基量1モル%)357gと、可塑剤であるトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)137gと、分散液6g(3GO5gとITO粒子1gとを含む、中間膜100重量%中のITO粒子の含有量が0.2重量%となる量)とを混合し、二軸異方押出機を用いて、200℃で加熱しながら押出成形することにより、厚み760μmの中間膜を作製した。さらに、実施例1と同様にして、合わせガラスを得た。
【0127】
(実施例10)
分散液を得る際に、シアニン色素の種類を、林原生物化学研究所社製(「NK−9907」)から林原生物化学研究所社製(「NK−1144」)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、分散液を得た。
【0128】
熱可塑性樹脂と可塑剤と分散液とを混合する際に、得られた分散液を、中間膜100重量%中のシアニン色素の含有量が0.05重量%になるように用いたこと以外は実施例1と同様にして、中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0129】
(実施例11)
分散液を得る際に、シアニン色素の種類を、林原生物化学研究所社製(「NK−9907」)から林原生物化学研究所社製(「NK−9839」)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、分散液を得た。
【0130】
熱可塑性樹脂と可塑剤と分散液とを混合する際に、得られた分散液を、中間膜100重量%中のシアニン色素の含有量が0.05重量%になるように用いたこと以外は実施例1と同様にして、中間膜及び合わせガラスを作製した。
【0131】
(評価)
(1)Tds(Solar Direct Transmittance)の測定
分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)を用いて、JIS R3106(1998)に準拠して、得られた合わせガラスの上記Tdsを測定した。
【0132】
(2)可視光線透過率の測定
分光光度計(日立ハイテク社製「U−4100」)を用いて、JIS R3211(1998)に準拠して、得られた合わせガラスの波長380〜780nmにおける上記可視光線透過率を測定した。
【0133】
(3)へーズ値の測定
ヘーズメーター(東京電色社製「TC−HIIIDPK」)を用いて、JIS K6714に準拠して、得られた合わせガラスのヘーズ値を測定した。
【0134】
(4)耐候性
得られた合わせガラスを、温度45℃の環境下において、750±50Wの石英硝子水銀灯から230mmの距離に置き、100時間紫外線を照射した。紫外線を照射した後の合わせガラスを目視で観察し、合わせガラスの変色及び発泡の有無を観察した。紫外線照射後に変色及び発泡が確認されなかった合わせガラスを「○」、紫外線照射後に変色又は発泡が確認された合わせガラスを「×」として結果を下記の表1〜3に示した。
【0135】
結果を下記の表1〜3に示す。下記の表1及び3では、シアニン色素と分散剤との種類と含有量とを示し、表2ではシアニン色素と分散剤と遮熱粒子との種類と含有量とを示した。また、下記の表1〜3中、シアニン色素の「含有量 ※1」は、中間膜100重量%中のシアニン色素の含有量(重量%)を示し、分散剤の「含有量 ※2」は、シアニン色素100重量部に対する分散剤の含有量(重量部)を示す。下記の表2中、遮熱粒子の「含有量 ※3」は、中間膜100重量%中の遮熱粒子の含有量(重量%)を示す。
【0136】
【表1】

【0137】
【表2】

【0138】
【表3】

【0139】
比較例1〜5では、中間膜中に、シアニン色素が大きな凝集物の状態で存在していたため、合わせガラスのヘーズ値が高かった。
【符号の説明】
【0140】
1…合わせガラス
2…中間膜
2a…一方の表面
2b…他方の表面
11…合わせガラス
12…多層中間膜
13〜15…中間膜
13a…外表面
15a…外表面
21…第1の合わせガラス構成部材
22…第2の合わせガラス構成部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂と、
可塑剤と、
極大吸収波長が近赤外線の領域にあるシアニン色素と、
分散剤である塩基性ポリウレタンとを含む、合わせガラス用中間膜。
【請求項2】
前記塩基性ポリウレタンは、主鎖から分岐したアミノ基を有する、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項3】
前記塩基性ポリウレタンの塩基当量が1000〜5000であり、かつ塩基価が5〜30mgKOH/gである、請求項1又は2に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項4】
前記シアニン色素100重量部に対して、前記塩基性ポリウレタンの含有量は10〜1000重量部である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項5】
遮熱粒子をさらに含むか、又は前記シアニン色素と異なり、かつ赤外線を吸収する性質を有する有機色素をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項6】
前記熱可塑性樹脂が水酸基を有する熱可塑性樹脂である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項7】
前記熱可塑性樹脂がポリビニルアセタール樹脂である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項8】
第1の合わせガラス構成部材と、
第2の合わせガラス構成部材と、
前記第1,第2の合わせガラス構成部材の間に挟み込まれた単層又は多層の中間膜とを備え、
前記単層又は多層の中間膜が、請求項1〜7のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜を含む、合わせガラス。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−66955(P2012−66955A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212026(P2010−212026)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】