説明

合わせガラス

【課題】機能性フィルムにおけるシワ等の発生が抑制された合わせガラスを提供する。
【解決手段】合わせガラスは、第1のガラス基板と第2のガラス基板との間に樹脂フィルムが接着層を介して挟持されるとともに、外周部近傍に略環状の隠蔽部を有する。樹脂フィルムは、熱収縮率が最大となる方向の熱収縮率が1%を超え2%未満、かつ前記方向に直交する方向の熱収縮率が1%を超え2%未満である。また、樹脂フィルムのカット端は、合わせガラスを正面視したとき、隠蔽部の内周部に対し合わせガラスのカット端方向および該方向と反対方向のそれぞれ10mmの範囲内に配置される。但し、前記樹脂フィルムの熱収縮率は150℃で30分間保持したときのものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は合わせガラスに係り、特に一対のガラス基板間に樹脂フィルムが挟持された合わせガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両等のフロントガラスに使用する合わせガラスとして、一対のガラス基板間に接着層を介して赤外線反射フィルムを狭持したものが知られている。赤外線反射フィルムは、基材となる樹脂フィルム上に赤外線反射膜が形成されたものである。このような合わせガラスは、例えば、ガラス基板、接着シート、赤外線反射フィルム、接着シート、ガラス基板をこの順に重ね合わせるとともに、一対のガラス基板の外周部からはみ出した赤外線反射フィルムや接着シートを切断除去した後、全体を加熱加圧して一体化することにより製造されている。
【0003】
合わせガラスにおいては、ガラス基板が3次元状に湾曲している場合、赤外線反射フィルムにシワが発生したり、赤外線反射膜にクラックが発生したりするために外観不良となりやすく、また赤外線反射膜の反射率も低下しやすい。赤外線反射フィルムにおけるシワや赤外線反射膜におけるクラックを抑制するために、例えば、特定の熱収縮率を有する赤外線反射フィルムを用いることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一方、合わせガラスの外周部まで赤外線反射膜を設けると腐食しやすいことから、外周部に赤外線反射膜を設けないことが知られている。また、外周部に赤外線反射膜を設けない場合の反射率や透過率の急激な変化を抑制するために、外側から順に環状の不透明バンドとフェードアウトバンドとを有するものにおいて、フェードアウトバンドに重なるように赤外線反射膜を設けることが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−35438号公報
【特許文献2】特表2002−528374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように、赤外線反射フィルムにおけるシワ等を抑制するために、特定の熱収縮率を有する赤外線反射フィルムを用いることが知られている。しかしながら、このような赤外線反射フィルムを合わせガラスの外周部まで達するように設けた場合、赤外線反射フィルムの熱収縮に伴って、該外周部付近のガラス基板間に空気が巻き込まれて白くなる状態、いわゆる発泡状態となりやすく、また合わせガラスを透視したときの透視像に歪みが発生しやすい。特に、ガラス基板の湾曲が大きい場合、このような発泡や透視像の歪みが発生しやすい。
【0007】
赤外線反射フィルムを合わせガラスの外周部に設けず、例えばフェードアウトバンドに重なるように設けることも考えられるが、単にフェードアウトバンドに重なるように設けた場合、必ずしも外周部近傍における赤外線反射フィルムのシワを十分に抑制できず、特にガラス基板の湾曲が大きい場合に十分に抑制できない。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、湾曲が大きい場合であっても、外周部近傍における赤外線反射フィルム等の機能性フィルムのシワや発泡、透視像の歪みが抑制され、外観および視認性の良好な合わせガラスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の合わせガラスは、第1のガラス基板と第2のガラス基板との間に樹脂フィルムが接着層を介して挟持されるとともに、外周部近傍に略環状の隠蔽部を有する。ここで、樹脂フィルムは樹脂材料のみからなるフィルムであって、合わせガラス中に単独で設けられていてもよいし、その表面に機能膜が形成されて機能性フィルムの一部として設けられていてもよい。また、隠蔽部とは不透明な着色層である。樹脂フィルムは、熱収縮率が最大となる方向の熱収縮率が1%を超え2%未満、かつ該方向に直交する方向の熱収縮率が1%を超え2%未満である。また、樹脂フィルムのカット端は、合わせガラスを正面視したとき、隠蔽部の内周部に対し合わせガラスのカット端方向および該方向と反対方向のそれぞれ10mmの範囲内に配置される。但し、樹脂フィルムの熱収縮率は150℃で30分間保持したときのものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の合わせガラスによれば、熱収縮率が特定範囲内にある樹脂フィルムを用いるとともに、樹脂フィルムのカット端を隠蔽部の内周部に対して特定範囲内に配置することで、湾曲が大きい場合であっても、外周部近傍におけるシワや発泡、また透視像の歪みを抑制でき、かつ外観および視認性の良好なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の合わせガラスの一実施形態を示す平面図。
【図2】図1に示す合わせガラスのA−A線断面図。
【図3】赤外線反射フィルムの一例を示す断面図。
【図4】樹脂フィルムの熱収縮率の測定方法を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の合わせガラスについて図面を参照して説明する。
図1は、樹脂フィルムを有する合わせガラスの一実施形態を示すものであり、特に機能性フィルムである赤外線反射フィルムの一部として樹脂フィルムを有する合わせガラスの実施形態を示す平面図である。また、図2は、図1に示す合わせガラスのA−A線断面図である。
【0013】
合わせガラス1は、第1のガラス基板2と第2のガラス基板3との間に接着層4を介して機能性フィルムとしての赤外線反射フィルム5なる機能性フィルムが挟持されている。赤外線反射フィルム5は、樹脂フィルム51上に機能膜としての赤外線反射膜52が形成されて構成されている。また、第2のガラス基板3の外周部近傍における内側表面には、略環状の隠蔽部6が設けられている。
【0014】
合わせガラス1は、例えば、第1のガラス基板2側が車外側として使用されるものであり、第2のガラス基板3の内側表面に隠蔽部6が設けられるが、隠蔽部6は必ずしもこのような表面に設けられる必要はなく、第1のガラス基板2の内側表面または第2のガラス基板3の外側表面に設けられていてもよい。
【0015】
このような合わせガラス1における樹脂フィルム51は、熱収縮率が最大となる方向の熱収縮率が1%を超え2%未満、かつ該方向に直交する方向の熱収縮率が1%を超え2%未満とされている。但し、樹脂フィルム51の熱収縮率は150℃で30分間保持したときのものである。
【0016】
図1、2に示すように、樹脂フィルム51を有する赤外線反射フィルム5は、合わせガラス1を正面視したとき、そのカット端5aが、隠蔽部6の内周部6aに対し合わせガラス1のカット端1aの方向および該方向と反対方向のそれぞれ10mmの範囲内に配置される。すなわち、赤外線反射フィルム5のカット端5aを配置できる範囲は、隠蔽部6の内周部6aに対し、合わせガラス1のカット端1aの方向に10mmの範囲、および合わせガラス1のカット端1aの方向とは反対方向に10mmの範囲となる。
【0017】
ここで、図1、2は、隠蔽部6の内周部6aに対し、合わせガラス1のカット端1aの方向とは反対方向となる所定の範囲内に赤外線反射フィルム5のカット端5aを配置した例を示したものである。このように、赤外線反射フィルム5のカット端5aは、合わせガラス1を正面視したときに隠蔽部6の内周部6aと重ならないように配置されていてもよいし、図示しないが隠蔽部6の内周部6aと重なるように配置されていてもよい。但し、いずれの場合についても、赤外線反射フィルム5のカット端5aは、隠蔽部6の内周部6aに対しその両側となるそれぞれ10mmの範囲内に配置される。
【0018】
このように、樹脂フィルム51の熱収縮率が最大となる方向および該方向に直交する方向の熱収縮率をそれぞれ所定の範囲内とするとともに、そのカット端を隠蔽部6の内周部6aに対し所定の範囲内に配置することで、合わせガラス1の外周部近傍における赤外線反射フィルム5のシワ、該外周部近傍における第1のガラス基板2と第2のガラス基板3との間に空気が巻き込まれて白くなる発泡、また合わせガラス1を透視したときの透視像の歪みを抑制でき、外観および視認性の良好なものとできる。特に、合わせガラス1の湾曲の程度が大きい場合において、その外周部近傍におけるシワや発泡、透視像の歪みを効果的に抑制できる。
【0019】
第1のガラス基板2、第2のガラス基板3は、一般的な無機透明ガラス板とすることができ、車輌用等として使用されているものであれば特に限定されないが、通常はフロート法で成形されたフロートガラス板が用いられる。また、第1のガラス基板2、第2のガラス基板3は、例えば、ポリカーボネート板やポリメチルメタクリレート板等の有機透明板とすることもできる。第1のガラス基板2、第2のガラス基板3の厚みは、適宜選択することができるが、通常、1.8〜2.5mmが好ましい。第1のガラス基板2、第2のガラス基板3には、例えば、撥水機能、親水機能、防曇機能等を付与するコーティングが施されていてもよい。
【0020】
第1のガラス基板2、第2のガラス基板3の湾曲の程度は必ずしも限定されないが、合わせガラス1としたときの最大曲深さで、10mm以上が好ましく、20mm以上がより好ましく、30mm以上がさらに好ましい。最大曲深さは、ダブリ値とも記されるものであって、湾曲の程度を表す指標となり、数値が大きいほど湾曲の程度が大きくなり、外周部近傍におけるシワや発泡、透視像の歪みが発生しやすくなる。本発明によれば、特にこのような湾曲の程度が大きいものについて、外周部近傍におけるシワや発泡、透視像の歪みを同時かつ効果的に抑制できる。ここで、最大曲深さ(ダブリ値)は、凸状に湾曲している合わせガラスを凸部側が下向きとなるように配置するとともに、この合わせガラスにおける一対の対向する長辺の中点どうしを結ぶように直線を引いたとき、湾曲部の底部における最も深い点から該直線に引いた垂線の長さをmm単位で表したものである。
【0021】
第1のガラス基板2および第2のガラス基板3の少なくとも一方の外周部近傍には、略環状の隠蔽部6が形成される。隠蔽部6はべた塗り状のものとされており、その幅は、通常、10〜200mmの範囲内である。
【0022】
図示しないが、隠蔽部6に対して合わせガラス1のカット端1aの方向とは反対方向の部分にはフェードアウトバンド部を設けてもよい。フェードアウトバンド部を設ける場合は、例えば、多数のドットが集合したものとされる。ドットとしては、円形、長方形、多角形等の形状が挙げられ、通常、0.001〜10.00mmの範囲で大きさが変更される。フェードアウトバンド部62は、ドット以外の形態とすることもでき、例えば、線幅の異なる複数の線とすることもできる。なお、フェードアウトバンド部を設ける場合についても、フェードアウトバンド部を設けない場合と同様、赤外線反射フィルム5のカット端5aは隠蔽部6の内周部6aを基準として配置する。
【0023】
隠蔽部6は、着色セラミックペースト等の公知の材料を用い、公知の製造方法を用いて形成することができる。隠蔽部6の形成に使用されるインクとしては、例えば、濃色顔料、ガラスフリット、耐火物フィラーおよびエチルセルロース等の樹脂が溶剤に分散されてなるインクが用いられる。通常、第1のガラス基板2または第2のガラス基板3となるガラス板に所定のパターンにインクを印刷し、乾燥や紫外線照射等による仮焼付けを行った後、ガラス板を切断機で切断し、第1のガラス基板2または第2のガラス基板3として切り出す。そして、切り出したガラス板を、曲げ工程において所定の型に載せ、加熱炉でガラス軟化点以上に加熱し、冷却して所望の形状に湾曲する。隠蔽部6は、該曲げ工程において加熱冷却されることにより、ガラス板に完全に焼き付けられる。
【0024】
接着層4は、第1のガラス基板2や第2のガラス基板3と赤外線反射フィルム5とを有効に接着でき、また合わせガラス1の視認性を十分に確保できるものが好ましく、例えば、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂組成物をシート状に成形した一対の接着シートからなるものが好ましい。このような接着シートの厚みは、0.1〜1mmが好ましく、0.2〜0.8mmがより好ましい。
【0025】
熱可塑性樹脂としては、例えば、可塑化ポリビニルアセタール系樹脂、可塑化ポリ塩化ビニル系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、可塑化飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、可塑化ポリウレタン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体系樹脂等の従来からこの種の用途に用いられている熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0026】
これらの中でも、透明性、耐候性、強度、接着力、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、耐湿性、遮熱性、および遮音性等の諸性能のバランスに優れたものを得られることから、可塑化ポリビニルアセタール系樹脂が好適に用いられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。上記可塑化ポリビニルアセタール系樹脂における「可塑化」とは、可塑剤の添加により可塑化されていることを意味する。その他の可塑化樹脂についても同様である。
【0027】
上記ポリビニルアセタール系樹脂としては、ポリビニルアルコール(以下、必要に応じて「PVA」と言うこともある)とホルムアルデヒドとを反応させて得られるポリビニルホルマール樹脂、PVAとアセトアルデヒドとを反応させて得られる狭義のポリビニルアセタール樹脂、PVAとn−ブチルアルデヒドとを反応させて得られるポリビニルブチラール樹脂(以下、必要に応じて「PVB」と言うこともある)等が挙げられ、特に、透明性、耐候性、強度、接着力、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、耐湿性、遮熱性、および遮音性等の諸性能のバランスに優れることから、PVBが好適なものとして挙げられる。なお、これらのポリビニルアセタール系樹脂は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0028】
上記ポリビニルアセタール系樹脂の合成に用いられるPVAは、特に限定されるものではないが、平均重合度が200〜5000のものが好ましく、より好ましくは500〜3000のものである。上記ポリビニルアセタール系樹脂は、特に限定されるものではないが、アセタール化度が40〜85モル%であるものが好ましく、より好ましくは50〜75モル%のものである。上記ポリビニルアセタール系樹脂は、残存アセチル基量が30モル% 以下であることが好ましく、より好ましくは0.5〜24モル%である。
【0029】
熱可塑性樹脂、好ましくはポリビニルアセタール系樹脂を可塑化するために用いられる可塑剤としては、例えば、一塩基性有機酸エステル系、多塩基性有機酸エステル系等の有機酸エステル系可塑剤や、有機リン酸系、有機亜リン酸系等のリン酸系可塑剤等が挙げられる。
【0030】
熱可塑性樹脂、好ましくはポリビニルアセタール系樹脂に対する可塑剤の添加量は、熱可塑性樹脂の平均重合度や、ポリビニルアセタール系樹脂の平均重合度やアセタール化度および残存アセチル基量等によっても異なるが、熱可塑性樹脂、好ましくはポリビニルアセタール系樹脂100質量部に対し、可塑剤10〜80質量部が好ましい。熱可塑性樹脂、好ましくはポリビニルアセタール系樹脂100質量部に対する可塑剤の添加量が10質量部未満であると、熱可塑性樹脂、好ましくはポリビニルアセタール系樹脂の可塑化が不十分となって、成形が困難となることがあり、逆に熱可塑性樹脂、好ましくはポリビニルアセタール系樹脂100質量部に対する可塑剤の添加量が80質量部を超えると、得られる接着層の強度が不十分となることがある。
【0031】
樹脂組成物は、上記熱可塑性樹脂の他、例えば接着性調整剤、カップリング剤、界面活性剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、蛍光剤、脱水剤、消泡剤、帯電防止剤、難燃剤等の各種添加剤の1種類もしくは2種類以上を含有していてもよい。
【0032】
赤外線反射フィルム5は、図3に示すように基材となる樹脂フィルム51上に赤外線反射膜52が形成されたものである。樹脂フィルム51は、熱収縮率が最大となる方向の熱収縮率が1%を超え2%未満、該方向に直交する方向の熱収縮率が1%を超え2%未満である。但し、樹脂フィルム51の熱収縮率は150℃で30分間保持したときのものである。なお、熱収縮率が最大となる方向の熱収縮率と該方向に直交する方向の熱収縮率とは、必ずしも異なっている必要はなく、互いに同一であってもよい。
【0033】
一般に、樹脂フィルム51は、その構成材料をフィルム状に延伸することにより製造される。このような延伸により製造されるものについては、延伸による応力が残留応力として存在しており、この残留応力により合わせガラス1を製造する際の加熱加圧により熱収縮する。特に、主たる延伸方向であるフィルム成形方向、いわゆるMD方向について熱収縮しやすい。
【0034】
樹脂フィルム51の熱収縮率が最大となる方向および該方向に直交する方向の熱収縮率を、それぞれ1%を超え2%未満とすることで、合わせガラス1の外周部近傍に発生するシワや発泡、また透視像の歪みを抑制できる。すなわち、いずれかの方向の熱収縮率が1%以下である場合、熱収縮率が小さすぎるために、合わせガラス1の外周部近傍にシワが発生しやすく、特に合わせガラス1の湾曲が大きい場合に湾曲に追随できないためにシワが発生しやすい。また、いずれかの方向の熱収縮率が2%以上の場合、熱収縮率が大きすぎるために、合わせガラス1の外周部近傍に発泡が発生しやすくなるとともに、透視像の歪みも発生しやすく、特に合わせガラス1の湾曲が大きい場合に発泡や透視像の歪みが発生しやすい。
【0035】
樹脂フィルム51は、熱収縮率が最大となる方向の熱収縮率が1.1%以上1.9%以下、かつ該方向に直交する方向の熱収縮率が1.1%以上1.9%以下であることが好ましく、熱収縮率が最大となる方向の熱収縮率が1.3%以上1.7%以下、かつ該方向に直交する方向の熱収縮率が1.3%以上1.7%以下であることがより好ましい。熱収縮率の調整は、製造時の延伸状態等を適宜調整することにより行うことができる。
【0036】
ここで、樹脂フィルム51の熱収縮率は、上記したように150℃で30分間保持したときのものである。熱収縮率の測定のための熱処理は、加熱用オーブンに宙吊りに浮かせた状態(無負荷状態)で行われる。また、熱収縮率は、熱処理前の長さをL、熱処理後の長さLとしたとき、下記式(1)により算出される。ここで、長さL、Lは、樹脂フィルム51における熱収縮率が最大となる方向または該方向に直交する方向の長さである。
熱収縮率=((L−L)/L)×100[%] ……(1)
【0037】
具体的には、以下のようにして熱収縮率を求めることができる。
まず、樹脂フィルム51から熱収縮率が最大となる方向または該方向に直交する方向に沿って、図4に示すような短冊状の試験片55を切り出す。試験片55は、例えば長さ150mm×幅20mmのものである。この試験片55には、長手方向に約100mmの間隔を空けて一対の基準線56、57を記入し、この基準線56、57間の長さLを測定する。この長さLは、上記式(1)のLに相当する。
【0038】
熱風循環式オーブン内に試験片55を垂直に吊り下げ、150℃まで昇温して30分間保持し、室温まで自然冷却して60分間保持した後、再び長さLを測定する。この長さLは、上記式(1)のLに相当する。そして、得られた長さL(L、L)を上記式(1)に代入することにより熱収縮率を算出することができる。
【0039】
通常、フィルム成形方向は熱収縮率が最大となる方向に相当することから、予めフィルム成形方向がわかっていれば、このフィルム成形方向について求められた熱収縮率を上記した熱収縮率が最大となる方向の熱収縮率とすることができる。同様の理由から、フィルム成形方向に直交する方向について求められた熱収縮率を上記した熱収縮率が最大となる方向に直交する方向の熱収縮率とすることができる。
【0040】
樹脂フィルム51の構成材料は、所定の熱収縮率が得られるものであれば特に限定されず、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリアリレート、ナイロン、シクロオレフィンポリマー等が挙げられる。
【0041】
通常、比較的に高強度であり、合わせガラス1の製造時における損傷を抑制できることから、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好適に用いられる。樹脂フィルム51の厚さは、必ずしも限定されないが、5〜200μmが好ましく、25〜125μmがより好ましく、50〜100μmがさらに好ましい。
【0042】
赤外線反射膜52は、例えば、酸化物層53と金属層54とが交互に(2n+1)層(但し、nは1以上4以下の整数)積層されたものである。なお、図3に示すものについてはn=1のもの、すなわち酸化物層53と金属層54との合計層数が3であるものを示している。図示しないが、赤外線反射膜52上には保護層等が形成されていてもよい。
【0043】
赤外線反射膜52における酸化物層53は、一般に屈折率1.7〜2.6(波長550nmでの屈折率、以下同様)が好ましく、特に1.8〜2.6が好ましく、例えば、酸化ビスマス、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化インジウム等の金属酸化物を主成分とする層、あるいはこれらの混合物を含む層が好ましい。特に、酸化亜鉛を主成分とする層、または酸化インジウムを主成分とする層が好ましい。酸化亜鉛を主成分とする層としては、酸化亜鉛単独の酸化物の層、または、スズ、アルミニウム、クロム、チタン、シリコン、ホウ素、マグネシウム、インジウム、およびガリウムから選ばれる少なくとも1種以上の元素を含有する酸化亜鉛を主成分とする層が挙げられ、酸化インジウムを主成分とする層としては、スズを含有する酸化インジウムを主成分とする層が挙げられる。
【0044】
これらの中でも、金属層54を安定的に、かつ高い結晶性を有しながら形成できる点から、酸化亜鉛、または、スズ、アルミニウム、クロム、チタン、シリコン、ホウ素、マグネシウム、インジウム、およびガリウムから選ばれる1種以上の元素を含有する酸化亜鉛、特にアルミニウムおよびチタンの少なくとも一方を含有する酸化亜鉛を主成分とする層が好ましい。なお、各酸化物層53は、単層であってもよいし、多層であってもよい。
【0045】
金属層54は、銀を主成分とするものが好ましく、例えば、銀のみからなるもの、または銀を主成分とする合金からなるものが挙げられる。金属層54における銀以外の構成成分は、例えばパラジウム、金、銅等であり、これら銀以外の構成成分の含有量は合計で0.3〜10原子%が好ましい。
【0046】
酸化物層53や金属層54の厚さは、全体の層数や各層の構成材料によっても異なるが、例えば、各酸化物層53は5〜100nm、各金属層54は5〜20nm、全ての酸化物層53と金属層54とを合わせた全体の層厚は50〜400nm、より好ましくは150〜300nmである。
【0047】
なお、赤外線反射膜52としては、酸化物層53と金属層54とからなるものの代わりに、高屈折率層と低屈折率層とからなるものとしてもよい。通常、高屈折率層と低屈折率層とを合計した層数は3以上であり、高屈折率層の厚さが70〜150nm、低屈折率層の厚さが100〜200nmである。
【0048】
高屈折率層としては、例えば屈折率が1.9以上、好ましくは1.9〜2.5の誘電体であり、具体的には、酸化タンタル(屈折率:2.0〜2.2)、酸化チタン(屈折率:2.2〜2.5)、酸化ジルコニウム(屈折率:1.9〜2.0)、および酸化ハフニウム(屈折率:1.95〜2.15)等の高屈折率材料の中から選ばれる少なくとも1種からなるものが挙げられる。
【0049】
また、低屈折率層としては、例えば、屈折率が1.5以下、好ましくは1.2〜1.5の誘電体であり、具体的には酸化シリコン(屈折率:1.44〜1.48)、およびフッ化マグネシウム(屈折率:1.35〜1.41)等の低屈折率材料の中から選ばれる少なくとも1種からなるものが挙げられる。
【0050】
赤外線フィルム5は、樹脂材料のみからなる機能性フィルムであってもよい。この場合、フィルム材料は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ナイロン、ポリエーテルスルフォン、ポリフッ化ビニリデンとポリメチルメタクリレートの混合物、エチレン、と不飽和モノカルボン酸とのコポリマー、スチレンとメチルメタクリレートのコポリマー等を組み合わせることにより、所望の機能を発現させることが出来る。
【0051】
赤外線反射フィルム5は、既に説明したように、合わせガラス1を正面視したとき、そのカット端5aが、隠蔽部6の内周部6aに対し、合わせガラス1のカット端1aの方向および該方向と反対方向のそれぞれ10mmの範囲内に配置される。ここで、赤外線反射フィルム5のカット端5aは、その全周が上記範囲内に配置されるが、必ずしも周方向において隠蔽部6の内周部6aから常に一定の距離に配置される必要はなく、少なくとも全周が上記範囲内に配置されていれば該距離は周方向において変化してもよい。
【0052】
赤外線反射フィルム5のカット端5aが隠蔽部6の内周部6aから合わせガラス1のカット端1aの方向に10mmを超えて離れる場合、赤外線反射フィルム5の形状が大きすぎるために、合わせガラス1の外周部近傍にシワが発生しやすく、特に合わせガラス1の湾曲が大きい場合にシワが発生しやすい。また、赤外線反射フィルム5のカット端5aが隠蔽部6の内周部6aから合わせガラス1のカット端1aとは反対の方向に10mmを超えて離れる場合、シワの発生は抑制されるが、赤外線反射フィルム5のカット端5aと隠蔽部6の内周部6aとの距離が離れすぎるために、外観および車内側からの視認性等の観点から好ましくない。赤外線反射フィルム5のカット端5aは、隠蔽部6の内周部6aから、合わせガラス1のカット端1aの方向またはその反対の方向に5mmの範囲内に配置されることが好ましい。
【0053】
合わせガラス1は、自動車、鉄道、船舶等に適用することができ、特に自動車のフロントガラスに好適である。合わせガラス1は、外周部近傍におけるシワや発泡、また透視像の歪みが抑制され、特に湾曲が大きい場合において、シワや発泡、また透視像の歪みが抑制され、外観および視認性が良好なことから、これらの用途、特に自動車のフロントガラスに好適である。
【0054】
次に、合わせガラス1の製造方法について説明する。
合わせガラス1は、例えば、赤外線反射フィルム5の両面にそれぞれ接着層4となる第1の接着シートおよび第2の接着シートを重ね合わせて加熱加圧して積層体とする工程と、該積層体の両面にそれぞれ第1のガラス基板2および第2のガラス基板3を重ね合わせて加熱加圧して合わせガラス1とする工程とを経て製造することができる(以下、第1の方法と記す)。
【0055】
また、合わせガラス1は、例えば、第1のガラス基板2、第1の接着シート、赤外線反射フィルム5、第2の接着シート、および第2のガラス基板3をこの順に重ね合わせて積層体とする工程と、該積層体を加熱加圧することにより合わせガラス1とする工程とを経て製造することができる(以下、第2の方法と記す)。
【0056】
合わせガラス1は、第1の方法のように、一部の構成層のみを積層して積層体とした後、これに第1のガラス基板2および第2のガラス基板3を圧着して製造してもよいし、また第2の方法のように、全構成層を積層して積層体とした後、これを圧着して製造してもよい。
【0057】
いずれの製造方法についても、赤外線反射フィルム5として、熱収縮率が最大となる方向の熱収縮率が1%を超え2%未満、かつ該方向に直交する方向の熱収縮率が1%を超え2%未満である樹脂フィルム51を有し、最終的に圧着して合わせガラス1としたときに、カット端5aが隠蔽部6の内周部6aから合わせガラス1のカット端1aの方向および該方向と反対方向のそれぞれ10mmの範囲内となるような形状および大きさのものを用いる。
【0058】
第1の方法における積層体の製造は、赤外線反射フィルム5の両面にそれぞれ第1の接着シートおよび第2の接着シートを重ね合わせたものを、例えば温度約40〜80℃、圧力約0.1〜1.0MPaの条件で加熱加圧することにより行うことができる。
【0059】
また、第1の方法における圧着は、例えば、積層体の両面にそれぞれ第1のガラス基板2および第2のガラス基板3を重ね合わせたものをゴムバッグのような真空バッグ中に入れ、圧力が約1〜36kPaとなるように脱気しつつ約70〜110℃に加熱して予備圧着した後、オートクレーブにて温度120〜150℃、圧力約0.98〜1.47MPaで加熱加圧して行うことができる。
【0060】
一方、第2の方法における圧着についても、同様にして積層体をゴムバッグのような真空バッグ中に入れ、圧力が約1〜36kPaとなるように脱気しつつ約70〜110℃に加熱して予備圧着した後、オートクレーブにて温度約120〜150℃、圧力約0.98〜1.47MPaで加熱加圧して行うことができる。
【実施例】
【0061】
以下、本発明について、実施例を参照してより詳細に説明する。
なお、下記の例1〜6のうち、例4が本発明の実施例となるものであり、その他が本発明の比較例となるものである。
【0062】
(例1)
PETフィルムとして、熱収縮率が最大となる方向(フィルム成形方向(MD方向))の熱収縮率が1.0%、該方向に直交する方向(フィルム成形方向に直交する方向(TD方向))の熱収縮率が1.0%のもの(三菱樹脂社製、商品名:O321E100、UE82−HX−4、厚さ100μm)を用意した。なお、熱収縮率が最大となる方向の熱収縮率は、上記測定方法により求めた3枚のPETフィルムについての熱収縮率が最大となる方向の熱収縮率を平均したものである。同様に、直交する方向の熱収縮率は、3枚のPETフィルムについての直交する方向の熱収縮率を平均したものである。
【0063】
このPETフィルム上に、以下に示すようにマグネトロンスパッタリング法により高屈折率誘電体層となるNb層と低屈折率誘電体層となるSiO層とを交互に合わせて9層積層して赤外線反射膜を形成し、赤外線反射フィルムとした。
【0064】
なお、各Nb層は、NBOターゲット(AGCセラミック社製、商品名:NBO)を用いて、アルゴンガスに5体積%の酸素ガスを混合した混合ガスを導入しつつ、0.1Paの圧力で周波数20kHz、電力密度5.1W/cm、反転パルス幅5μsecのパルススパッタを行って形成した。
【0065】
また、各SiO層は、Siターゲットを用いてアルゴンガスに27体積%の酸素ガスを混合した混合ガスを導入しつつ、0.3Paの圧力で周波数20kHz、電力密度3.8W/cm、反転パルス幅5μsecのパルススパッタを行って形成した。
【0066】
各Nb層、SiO層の厚さは、成膜時間を変更することにより調整し、PETフィルム側から順にNb層(95nm)/SiO層(153nm)/Nb層(95nm)/SiO層(153nm)/Nb層(95nm)/SiO層(153nm)/Nb層(95nm)/SiO層(25nm)/Nb層(10nm)とした。
【0067】
次に、第1のガラス基板、第1の接着シート、上記赤外線反射フィルム、第2の接着シート、第2のガラス基板を、この順に重ね合わせて端部を仮止めして積層体とした。
【0068】
ここで、第1のガラス基板および第2のガラス基板には、車両用フロントガラスとなる湾曲状態の異なる3種類のもの(型式A(ダブリ値:15mm)、型式B(ダブリ値:25mm)、型式C(ダブリ値:35mm))を用いた。また、第2のガラス基板には、外周部近傍における内側表面に幅20mmの略環状の隠蔽部を設けた。
【0069】
赤外線反射フィルムは、合わせガラスとしたときに、そのカット端が第1のガラス基板および第2のガラス基板の外周部に達するもの、すなわち隠蔽部の全体に重なる大きさのものとした(カットバック無し)。また、第1の接着シート、第2の接着シートは、厚さ0.38mmのPVBフィルム(ソルーシア・ジャパン社製)とした。
【0070】
そして、真空バッグに積層体を入れ、圧力計の表示が100kPa以下となるように脱気した後120℃に加熱して予備圧着し、さらにオートクレーブにて温度135℃、圧力1.3MPaで60分間の加熱加圧を行い、最終的に冷却して合わせガラスとした。
【0071】
(例2)
赤外線反射フィルムとして、合わせガラスとしたときに、そのカット端の全周が隠蔽部の内周部に対して合わせガラスのカット端の方向とは反対方向に位置するものであって、隠蔽部の内周部から10mm以内となる大きさのもの、具体的には該内周部から5mmとなる大きさのものを用いた以外は例1と同様にして湾曲状態の異なる3種類の合わせガラス(カットバック有り)を製造した。
【0072】
(例3)
PETフィルムとして、熱収縮率が最大となる方向(フィルム成形方向(MD方向))の熱収縮率が1.5%、直交方向(フィルム成形方向に直交する方向(TD方向))の熱収縮率が1.5%のもの(三菱樹脂社製、商品名:O321E100、UE82−HX−5、厚さ100μm)を用いた以外は例1と同様にして湾曲状態の異なる3種類の合わせガラス(カットバック無し)を製造した。
【0073】
(例4)
赤外線反射フィルムとして、合わせガラスとしたときに、そのカット端の全周が隠蔽部の内周部に対して合わせガラスのカット端の方向とは反対方向に位置するものであって、隠蔽部の内周部から10mm以内となる大きさのもの、具体的には該内周部から5mmとなる大きさのものを用いた以外は例3と同様にして湾曲状態の異なる3種類の合わせガラス(カットバック有り)を製造した。
【0074】
(例5)
PETフィルムとして、熱収縮率が最大となる方向(フィルム成形方向(MD方向))の熱収縮率が2.0%、直交方向(フィルム成形方向に直交する方向(TD方向))の熱収縮率が2.0%のもの(三菱樹脂社製、商品名:O321E100、UE82−HX−6、厚さ100μm)を用いた以外は例1と同様にして湾曲状態の異なる3種類の合わせガラス(カットバック無し)を製造した。
【0075】
(例6)
赤外線反射フィルムとして、合わせガラスとしたときに、そのカット端の全周が隠蔽部の内周部に対して合わせガラスのカット端の方向とは反対方向に位置するものであって、隠蔽部の内周部から10mm以内となる大きさのもの、具体的には該内周部から5mmとなる大きさのものを用いた以外は例5と同様にして湾曲状態の異なる3種類の合わせガラス(カットバック有り)を製造した。
【0076】
次に、例1〜6の合わせガラスについて、以下の項目について評価を行った。結果を表1に示す。
【0077】
(シワ)
製造された合わせガラスについて、外周部近傍における赤外線反射フィルムのシワの発生を目視により観察した。表中、「無し」は赤外線反射フィルムにシワの発生が認められなかったもの、「有り」は赤外線反射フィルムにシワの発生が認められたもの、「顕著に有り」は赤外線反射フィルムにおけるシワの発生が顕著であったものを示す。
(発泡)
製造された合わせガラスについて、外周部近傍における空気の巻き込みによる白色化の有無を目視により観察した。表中、「無し」は白色化の発生が認められなかったもの、「若干有り」は合わせガラスの外周部の周方向の一部に白色化の発生が認められたもの、「有り」は合わせガラスの外周部の周方向の半分程度に白色化の発生が認められたもの、「顕著に有り」は合わせガラスの外周部の周方向のほぼ全体に白色化の発生が認められたものを示す。
(透視歪)
製造された合わせガラスについて、外周部近傍における赤外線反射フィルムが設けられた部分を通して対象物を透視したときの対象物(透視像)の歪みを目視により評価した。表中、「無し」は透視像に歪みの発生が認められなかったもの、「若干有り」は透視像を平行に近い角度から見た場合にのみ歪みの発生が認められたもの、「有り」は透視像をいかなる角度から見ても歪みの発生が認められたものを示す。
【0078】
【表1】

【0079】
表1から明らかなように、所定の熱収縮率を有する樹脂フィルムを用いるとともに、樹脂フィルムを有する赤外線反射フィルムのカット端を隠蔽部の内周部に対して所定の位置に配置することで、特に湾曲の大きな合わせガラスについて、その外周部近傍におけるシワや発泡、透視像の歪みを抑制でき、外観および視認性の良好なものとすることができる。
【符号の説明】
【0080】
1…合わせガラス、1a…カット端、2…第1のガラス基板、3…第2のガラス基板、4…接着層、5…赤外線反射フィルム(機能性フィルム)、5a…カット端、6…隠蔽部、6a…内周部、51…樹脂フィルム、52…赤外線反射膜(機能膜)、53…酸化物層、54…金属層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のガラス基板と第2のガラス基板との間に樹脂フィルムが接着層を介して挟持されるとともに、外周部近傍に略環状の隠蔽部を有する合わせガラスであって、
前記樹脂フィルムは、熱収縮率が最大となる方向の熱収縮率が1%を超え2%未満、かつ前記方向に直交する方向の熱収縮率が1%を超え2%未満であり、前記樹脂フィルムのカット端は、前記合わせガラスを正面視したとき、前記隠蔽部の内周部に対し合わせガラスのカット端方向および該方向と反対方向のそれぞれ10mmの範囲内に配置されることを特徴とする合わせガラス。
但し、前記樹脂フィルムの熱収縮率は150℃で30分間保持したときのものである。
【請求項2】
前記合わせガラスの最大曲深さが15mm以上である請求項1記載の合わせガラス。
【請求項3】
前記樹脂フィルムと、前記樹脂フィルム上に形成された赤外線反射膜とを有する赤外線反射フィルムを具備する請求項1または2記載の合わせガラス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−86987(P2013−86987A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226483(P2011−226483)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】