説明

合成ガスの製造方法

合成ガスの製造および反応方法であって、本方法の特徴は、基本的に相互に交互に行われる(i)日中運転と(ii)夜間運転とから成る複数の異なる運転状態を有し、この際に日中運転(i)は主に乾燥改質および水蒸気改質を、再生可能なエネルギーを供給して行うことを含み、そして夜間運転(ii)は主に炭化水素の部分酸化を含み、かつこの際製造された合成ガスを、有用生成物の製造に使用することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素を連続運転で加工して、化学的な有用生成物、もしくは液体燃料にする方法に関する。炭化水素として好ましくはメタン、希ガス、またはバイオガスを使用する。本方法においてはまた、定置的な(stationaer)、または非定置的な(nicht stationaer)設備に由来する二酸化炭素を使用し、この際本方法は再生可能なエネルギー源の使用により部分的に支持されている。再生可能なエネルギー源の使用に対して補完的に、本方法は適切な方法制御を用いて部分的に、個々の工程段階で熱エネルギーとして放出される工程エネルギーの利用によっても運転される。
【0002】
本方法はまた、乾燥改質、水蒸気改質、および部分酸化に関し、このことによって定義された合成ガスを得、このガスを本方法の範囲で(例えばFT(フィッシャートロプシュ)により、またはメタノール合成により)有用生成物に反応させる。太陽エネルギーで支持しながら本方法を行う場合、日中運転の間は主に激しい吸熱反応を行い、そして夜間運転の間は主に、発熱反応を行う。しかしながらこの際、夜間運転の間に得られたエネルギーの余剰分を利用して、吸熱反応を維持する。再生可能なエネルギー源と、工程中に発生するエネルギーとを組み合わせて利用することにより、本方法は非常にエネルギー効率よく行うことができ、これはつまり、本方法の範囲においては二酸化炭素の生成が最小限になっているということである。
【0003】
化学工程において出発物質として二酸化炭素を利用することは、多くの場合非常に不都合である。と言うのも、二酸化炭素はとりわけ不活性な化合物であり、そして二酸化炭素を反応させるためには、高いエネルギー障壁を克服しなければならないからである。エネルギー獲得の際に、または化学工程で生成した二酸化炭素は通常、廃棄生成物とみなされ、大気中に放出される。例えば定置的設備(例えば発電所)、または非定置的設備(例えば自動車)での化石燃料の燃焼により起こる、大気中への二酸化炭素の放出は、温室効果ガスという二酸化炭素の特性と、地球規模の気候変動に対する貢献が原因で、とりわけ望ましくないものである。気候変動への悪影響を減少させる、もしくは防止するために、大気中への二酸化炭素の放出を最小限にすることが重要な目標である。
【0004】
大気中への二酸化炭素の放出を防止もしくは低減させるための方法は、すでに存在している。この方法の一部は、二酸化炭素を地底層、もしくは海底層に隔離(Sequestieren)することに関する(G.A.Olah,A.Goeppert,G.K.Surya Parkash;Beyond Oil and Gas:The Methanol Economy;Wiley−VCH(2006) Chapter 7,p.82)。しかしながらこのような方法は、総体的なエネルギーバランスという点で不都合であると評価されるべきである。と言うのも、これらの層への二酸化炭素の供給はエネルギーを消費して行うほかなく、このことによりさらなる二酸化炭素が生成するからである。このことを別にしても、二酸化炭素を大量に挿入することによりもたらされ得る効果は、充分に知られていない。
【0005】
二酸化炭素、または炭素を出発物質として使用する、大規模な工業工程を実施するための再生可能なエネルギー源の使用は、公知である。
【0006】
DE3933285は、太陽エネルギーによるメタンの改質による合成ガスの連続的な生成方法を開示しており、この際夜間サイクルは補助火力を用いてメタンを使用して運転し、そしてこの際発生する二酸化炭素をCO2改質のために中間貯蔵する。この方法を水蒸気改質と連結させることは、言及されていない。この方法では、非常に高い一酸化炭素含分を有する合成ガスが得られるのみである。メタンの部分酸化、または後続で合成ガスを反応させる際に発生する、放出される反応熱の利用は記載されていない。
【0007】
太陽エネルギーで運転する石炭のための気化設備は、例えばUS4,229,184から公知であり、この際石炭の気化において高い一酸化炭素含分を有する生成ガスが得られる。これに加えてUS4,229,184ではまた、どうすれば連続運転で、すなわち日中運転と夜間運転とを交互で、石炭気化設備を利用することができるかについて解決策を与えていない。
【0008】
US4,668,494が開示しているのは、炭化水素の水蒸気改質、または炭素含有燃料の気化に関し、かつ太陽エネルギーを利用して運転することのできる化学合成法である。工程維持のため、太陽光が利用できない装置の運転相でエネルギー生成のために燃焼させることができるCO不含のアンモニア合成ガスを製造するために、太陽エネルギーが利用される。この方法では窒素酸化物を含有する燃焼生成物が発生し、該生成物は硝酸として集めなければならない。
【0009】
US6,670,058、およびUS7,033,570は、水素製造のために炭化水素を熱的に分解するための太陽エネルギーの利用を開示しており、この際副生成物として炭素が発生する。このような方法には、化石燃料源から水素を製造する際に二酸化炭素の放出量が非常に少ないという利点がある。この方法を連続運転で利用することについては、なんの示唆も示されていない。
【0010】
本発明の課題は、定置的な工業設備、または例えば自動車のような非定置的な設備に由来する二酸化炭素を、有用生成物に反応させるための経済的な方法を開発することであった。二酸化炭素の反応は、可能な限り再生可能なエネルギー源に基づいて行うのが望ましく、そして同時に可能な限り連続的な工程に組み込むことが望ましかった。
【0011】
本発明が基礎を置くこの課題、およびさらなる課題は、反応を乾燥改質、水蒸気改質、および部分酸化と組み合わせることによって(この際、吸熱段階は再生可能なエネルギー源を用いて、または補助利用して運転する)、方法を発展させたことにより解決することができた。好ましい実施態様においては、この再生可能なエネルギー源が太陽エネルギーから成る。
【0012】
本方法は、基本的に相互に交互に行われる(i)日中運転と(ii)夜間運転とから成る複数の異なる運転状態を有し、この際日中運転は主に乾燥改質および水蒸気改質を、再生可能なエネルギーを供給しながら行うことを含み、そして夜間運転(ii)は主に、炭化水素の部分酸化を含む。好ましい実施態様において本方法は、製造された合成ガスを反応させて有用生成物にする方法を含み、この際この時に生じる反応熱を部分的に、吸熱工程段階を実施するためにも使用する。
【0013】
日中運転と夜間運転という言葉は、再生可能なエネルギー源(例えば風力や太陽光)と関連した、一定の時間帯にのみ利用できる工程運転に関するものであり、この際日中運転の間は、再生可能なエネルギー源が通常利用可能である。このことは、日中運転の間にエネルギー源の利用可能性が完全な範囲では行われない場合に、日中運転と夜間運転との間に中間状態を形成する運転状態も現れることを何ら排除するものではない。
【0014】
本方法の好ましい実施態様においては、工程段階が、二酸化炭素の乾燥改質、水蒸気改質、および炭素原子が5つ未満、好適には3つ未満の短鎖の炭化水素化合物による部分酸化を行う。
【0015】
本方法のさらに好ましい実施態様においては、二酸化炭素の乾燥改質、水蒸気改質、および部分酸化という反応を、メタン含分が非常に高い複数の炭化水素化合物を含むガス混合物により行う。このことにより、複数の運転状態を含むことができる本方法では、一酸化炭素対水素含分について定義された総組成を有する合成ガスを製造することが可能になる。この合成ガスの最も好ましい組成は、一酸化炭素対水素含分が1対2(CO/H2=1:2)である。と言うのもこのような組成を有する合成ガスは、有用生成物を製造するために適した出発ベース体だからである。
【0016】
好ましい変法において、本方法は太陽エネルギー源を利用して行う。このことにより、日中運転と夜間運転という運転状態の間に顕著な区分が生じる。日中運転の間は、好ましくは激しい吸熱反応、乾燥改質、および水蒸気改質を行い、夜間運転の間に好ましくは、発熱性で進行する部分酸化を行う。発熱性で進む反応は、放出された熱を吸熱性反応の運転に利用することができる方法で一部行うこともできる。夜間運転における工程支持のため、または充分な太陽エネルギーが利用できない運転相の間、中間貯蔵された余剰水素を燃焼させるか、または中間貯蔵されたエネルギーを工程のために利用する。こうして夜間運転の間にもまた、僅かな範囲であっても吸熱反応を行うことが可能になる。
【0017】
再生可能なエネルギー源として太陽エネルギーを使用する際、本発明による方法は好ましくは、一年中充分な量の太陽エネルギーを利用可能な地域で運転する。太陽エネルギーと関連して、日中運転(工程運転に充分な太陽光を有する時間での運転)、および夜間運転(工程運転に充分ではない太陽光を有する時間での運転)という言葉はまた好ましくは、24時間続く一日以内に異なる運転相を行うことも意味する。
【0018】
エネルギー収支に関しては、合成ガスを反応させて有用生成物にすることにも、同じことが当てはまる。と言うのも、合成ガスからのフィッシャー−トロプシュ反応もしくはメタノール合成は、発熱工程であるからである。合成ガスが反応する際に得られるエネルギーは、本発明による工程の範囲では日中運転の間も、夜間運転の間も利用することができる。
【0019】
さらに好ましい実施態様では、合成ガスが所望の組成を有するように方法を実施し、これによりこのガスをさらなる工程段階で有用生成物に反応させることができる。方法実施の際に、一酸化炭素対水素に関してさらなる加工に所望の組成と相応しない組成を有する合成ガスを製造する運転相をもたらすのが望ましい場合、これをまず貯蔵タンクに中間貯蔵することができる。乾燥改質に比べて、水蒸気改質による貢献度の向上によって、合成ガスが一酸化炭素対水素の所望の比を有するまで、貯蔵タンクに水素リッチな気体を供給する。
【0020】
乾燥改質と水蒸気改質とから成る組み合わせを行う場合、例えば日中運転の間、および使用炭化水素化合物としてメタンを使用する際には、1モルの二酸化炭素を反応させるために3molのメタンが必要となる。これは炭素収支の観点からすると、(日中運転の間は)合成ガスに反応させる炭素の4分の1が、供給された二酸化炭素から成るということである。日中運転と夜間運転とが同一の持続時間であり、かつ同一の物質反応率を有する場合、炭素収支は、合成ガスに加工する炭化水素の8分の1が二酸化炭素から形成されたということである。本発明による工程の範囲において1モルの二酸化炭素の反応のためには、つまり7モルのメタンを使用しなければならない。
【0021】
二酸化炭素の化学反応に関する幾つかの方法は、二酸化炭素を用いるいわゆる乾燥改質を記載している。二酸化炭素を用いる乾燥改質では、二酸化炭素を高温で還元作用のある化学種と触媒の存在下で接触させる。この還元作用のある化学種とは、炭化水素、例えばメタン、エタン、プロパン、または通常条件下で気体、液体、もしくは固体で存在する他の炭化水素、または水素リッチな気体、例えば水素リッチな合成ガス、または純粋な形の水素である。ここでこの反応の目的は、二酸化炭素を一酸化炭素に還元することである。
【0022】
ここで例示的に、試薬と二酸化炭素との幾つかの反応を説明すべきであろう。還元性作用化学種として水素を使用する際には、本願の化学量論的な比に基づき、生成する一酸化炭素1モルあたり1モルの水が発生する。二酸化炭素とメタンとの反応では、2モルの一酸化炭素と2モルの水素が、つまり一酸化炭素対水素の比が1:1(CO/H2=1:1)である合成ガスが発生する。2モルの二酸化炭素とエタンとの反応では、4モルの一酸化炭素と3モルの水素が、つまり一酸化炭素対水素の比が4:3(CO/H2=4:3)である合成ガスが発生する。3モルの二酸化炭素と1モルのプロパンとの反応では、6モルの一酸化炭素と4モルの水素が、つまり一酸化炭素対水素の比が3:2(CO/H2=3:2)である合成ガスが発生する。4モルの二酸化炭素と1モルのブタンとの反応では、8モルの一酸化炭素と5モルの水素が、つまり一酸化炭素対水素の比が8:5(CO/H2=8:5)である合成ガスが発生する。
【0023】
これらの例が示しているのは、線状アルカンによる二酸化炭素の完全な乾燥改質が、一般式
nCO2+Cn2n+2 → 2nCO+(n+1)H2
に従っているということである。
【0024】
反応の反応エンタルピーは激しい吸熱性である、すなわち反応を行うためにはエネルギーを供給しなければならない。
【0025】
乾燥改質の際に水素が少ない合成ガスが発生するので、このような合成ガスは長鎖のパラフィン系炭化水素、例えばディーゼル燃料、ガソリン、またはワックスをフィッシャー−トプシュ法により生成させるための方法における反応、あるいはメタノールへの、またはジメチルエーテルへの反応にはあまり適していない。可能な限り水素リッチな合成ガスを製造するために、短鎖の炭化水素を使用することが好ましい。こうして製造された合成ガスの水素含分が低いことにより、さらなる使用が困難になるため、一酸化炭素リッチな合成ガスの富化が考えられる。
【0026】
基本的に、水素リッチな合成ガスの製造方法は公知である。水素リッチな合成ガスは例えば、炭化水素、例えばメタンやより高級な炭化水素の水蒸気改質により、水蒸気の存在下で生じさせることができる。メタンについて反応式は
CH4+H2O → CO+3H2
となる。
【0027】
この反応の反応エンタルピーは激しい吸熱性である、つまり反応を行うためにはエネルギーを供給しなければならない。
【0028】
ここで示されているように、二酸化炭素を用いる乾燥改質とは異なり、水素リッチな合成ガスが得られることは明らかである。メタンの水蒸気改質の際には、一酸化炭素対水素の比が1対3(CO/H2=1:3)の合成ガスが得られる。エタンの水蒸気改質では、一酸化炭素対水素の比が2対5(CO/H2=2:5)の合成ガスが得られる。プロパンの水蒸気改質では、一酸化炭素対水素の比が3対7(CO/H2=3:7)の合成ガスが得られる。ブタンの水蒸気改質では、一酸化炭素対水素の比が4対9(CO/H2=4:9)の合成ガスが得られる。
【0029】
アルカンの水蒸気改質は、一般的に以下の式により記載される:
n2n+2+nH2O → nCO+(2n+1)H2
【0030】
反応式の化学量論により明らかなように、水素リッチな合成ガスの製造方法、例えば水蒸気改質と、二酸化炭素を使用する乾燥改質とを連結させて、一酸化炭素対水素の化学量論が1対2(CO/H2=1:2)の合成ガスを製造することは、重要であり得る。例えばこのような合成ガスは、例えばメタノールまたはディーゼル留分といった化学物質の製造のために使用することができる。
【0031】
本発明によれば、2つの方法の連結、すなわち水蒸気改質と乾燥改質との連結は、並行的に運転し、かつ合成ガスの化学量論を所望の比に調整できるように配置もしくは構成されている1または1より多い触媒システムをその都度有する適切な反応器システムの連結により行うことができる。本発明によるさらなる可能性は、1または1より多い触媒システムを用いる、乾燥改質と水蒸気改質が同時に、または交互に行われる唯一の反応器システムであり、この際にまた、一酸化炭素対水素の所望の比を有する合成ガスを調整して得ることもできる。
【0032】
水素リッチな合成ガスのさらなる製造方法は、アルカンの部分酸化である。この場合にはアルカンを酸素と反応させるのだが、例示的にメタンの反応に対する発熱反応の反応式が記載しておく:
CH4+1/2O2 → CO+2H2
【0033】
メタンと酸素とのこの反応により、本発明の範囲での好ましい化学量論を有する(すなわち一酸化炭素対水素の比が1対2(CO/H2=1:2)である)合成ガスを生成させ、さらに加工して例えばメタノールまたはディーゼル留分をフィッシャートロプシュ法により生成させることができる。
【0034】
乾燥改質法の工業的実施も、この方法実施のために適切な触媒も、公知である。不都合なのは、この方法の吸熱特性である。この反応のために必要となる高温は、化石燃料の燃焼により生成させることができる。しかしながらこれは、化石燃料の燃焼により再度二酸化炭素が発生するため、とりわけ不利である。これは同様に、水蒸気改質法にも当てはまる。
【0035】
本発明による方法を実施するためには、二酸化炭素放出をまったく、もしくは無視できる程度にしか引き起こさない熱源、またはエネルギー源の使用が好ましい。このような熱源またはエネルギー源は公知であり、そして例えば以下のようなものであり得る:水力発電所、波力発電所、および潮力発電所、原子力運転型熱源、地熱熱源、太陽熱源、二酸化炭素が発生しない化学反応により運転する熱源、例えば水素の燃焼によるものである。
【0036】
好ましい実施態様においては、太陽エネルギーを取り入れながら本発明による方法を行う。と言うのも太陽エネルギーによって、化学反応を行うために充分に高い温度と、個々の工程段階を準備することができるからである。
【0037】
太陽エネルギーを用いる乾燥改質のための上記方法には、太陽エネルギーによる熱源のみを用いるため、充分な太陽光を有する時間である日中にしかこの方法を利用できないという欠点が認められる。このことによりこのような方法の使用が24時間運転で行えないため、これはこの方法の大きな欠点である。
【0038】
しかしながら、アルカンを部分酸化して水素リッチな合成ガスにする発熱反応との連結により、水素リッチな合成ガスを製造するための夜間運転を保障することができる。同様にこの夜間運転を、中間貯蔵した水素を用いた加熱により行うことができる。
【0039】
本発明による方法では生成する合成ガスを、例えばジメチルエーテル、メタノール、長鎖の炭化水素(例えば式(CH2n2のもの)、および/またはC6〜C60の範囲の環式炭化水素(例えば式(CH2nのもの)の製造、ならびに1または1より多い共役化された、または共役化されていないC=C二重結合を有するオレフィンの製造、ならびに芳香族化合物、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、ナフタレンの製造に用いる。この関連ではまた例示的に、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、シクロヘキセンを挙げることができる。アルコール、ケトン、または有機酸のような、ヘテロ原子を含む化学物質の製造もまた、本方法に含まれている。
【0040】
混合物の製造、または上記成分の並行製造もまた、本発明による方法に相当する。本方法の個々の工程段階において、上記成分の製造のために必要となるよりも多くの水素を発生させる場合には、この必要とならない水素を分離し、そして貯蔵する。この貯蔵された水素は、充分な太陽光が得られない時間の間の工程に、例えば以下のように供給することによって利用することができる:
1)二酸化炭素の乾燥改質法に、水素の燃焼による熱エネルギーを供給する、
2)二酸化炭素を直接酸素と反応させる、
3)乾燥改質の際に発生する合成ガスの化学量論を、水素リッチな混合物に適合させる。
【0041】
二酸化炭素の乾燥改質から得られる合成ガスの獲得の他に、希ガス、もしくは他のパラフィンガスの部分酸化により、以下の一般式に従って合成ガスを製造することもできる:
n2n+2+n/2O2 → nCO+n+1H2
【0042】
上記の部分酸化反応は発熱性であるため、付加的なエネルギー供給は必要ではない。つまり部分酸化反応は、太陽光がまったく、もしくは不充分にしか利用できない時間の間に、水素リッチな合成ガスを製造するための可能性である。
【0043】
充分な太陽光が得られる時間の間(本願の範囲ではこれを日中運転と呼ぶ)、二酸化炭素の乾燥改質および水蒸気改質を、組み合わされた反応器システム、または複数の別々の反応器システム内で行うことができ、この際これらの反応器に太陽エネルギーを供給する。この際太陽エネルギーは、反応器を加熱するために光エネルギーとして直接使用することができ、あるいは気体、液体、または例えば塩もしくは金属の溶融物といった、太陽エネルギーを用いて加熱された媒体によって供給することができる。
【0044】
発生する合成ガスはこの時、上記の有用生成物、例えばジメチルエーテル、メタノール、長鎖の炭化水素(例えば式(CH2n2のもの)、および/またはC6〜C60の範囲の環式炭化水素(例えば式(CH2nのもの)の製造工程に、1または1より多い共役化された、および/または共役化されていないC=C二重結合を有するオレフィン、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、シクロヘキセンの製造工程に、芳香化合物、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、ナフタレンの製造工程に供給することができる。アルコール、ケトン、または有機酸といった、ヘテロ原子を含む化学物質の製造もまた、本方法に含まれている。
【0045】
例えばパラフィンを生成させる工程の装置能力を向上させるために、乾燥改質とは異なる供給源から得られる適切な化学量論の合成ガスもまた、使用することができる。このような工程と供給源は好ましくは、一酸化炭素に比べて水素が過剰に存在する。この水素は、例えばパラフィン系有用生成物の製造のためには必要とはならず、かつ工程から出すことができ、かつ貯蔵することができる。このような合成ガスの製造の例はとりわけ、以下の式に従ったパラフィンの部分酸化である:
n2n+2+n/2O2 → nCO+(n+1)H2
【0046】
充分な太陽光が得られない時間の間、乾燥改質と水蒸気改質を運転するために、同様に代替的な熱源を見いだすことができた。本発明による方法によれば、太陽光が不足する時間をしのぐために燃焼可能なガス、例えば乾燥改質または部分酸化とは異なる供給源から得られる、適切な化学量論の合成ガス余剰分から得られる水素を使用することができる。この水素は好ましくは、合成ガス製造の際に一酸化炭素に対して水素が過剰に存在する工程と供給源に由来する。
【0047】
先に述べたようにこの水素は、パラフィン系有用生成物の製造には必要にならず、かつ工程から出すことができ、かつ貯蔵することができる。この水素は、カーボンニュートラルな熱生成のため、または二酸化炭素の乾燥改質のために反応器を直接加熱するために使用することができる。代替的な場面では、二酸化炭素の還元のために直接水素を使用して、一酸化炭素と水を発生させることができる。このことによって太陽光が不充分な時間帯であっても、工程を維持するために化石エネルギーが必要となることなく、乾燥改質を運転することができる。
【0048】
本方法の好ましい実施態様において、得られる合成ガスを有用生成物の製造に使用する。この際に使用する工程は、例えばジメチルエーテル、メタノール、長鎖の炭化水素(例えば式(CH2n2のもの)、および/またはC6〜C60の範囲の環式炭化水素(例えば式(CH2nのもの)といった生成物の製造、ならびに1または1より多い二重結合を含むことができるオレフィン(この際、1または1より多いC=C二重結合が共役されていても、共役されていなくてもよい)の製造、ならびに例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、ナフタレンといった芳香族化合物の製造に適している。オレフィンの製造例としてはとりわけ、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、シクロヘキセンも挙げることができる。アルコール、ケトン、または有機酸といった、ヘテロ原子を含む化学物質の製造も、本方法に含まれている。
【0049】
本方法の好ましい実施態様では、夜間運転の間に二酸化炭素の乾燥改質と水蒸気改質を行うために、再生可能なエネルギー源もまた使用する。例えば、地熱源または核エネルギー源に由来するエネルギー、もしくは水力、または風力により生成されるエネルギーも使用することができる。本方法のさらに好ましい実施態様では、乾燥改質と水蒸気改質を夜間運転の間、化学反応に基づいて生成するエネルギーにより行う。
【0050】
本発明による方法は上記説明に従って、別々の、または共通の反応器で行われる3つの、または3より多い化学的な部分反応を含む。3つの部分反応はそれぞれ以下の通りである:
反応式(1)に従った、二酸化炭素の乾燥改質:
(1)CO2+CH4 → 2CO+2H2
反応式(2)に従った水蒸気改質:
(2)CH4+H2O → CO+3H2
【0051】
反応(1)について反応エンタルピーは、+248kJ/molであり、反応(2)については+206kJ/molである。よってメタン1単位あたり消費されるエネルギーは近似しているが、これに対して水素1単位あたりでは基本的に異なるエネルギーが消費されている。
【0052】
空気または酸素(3)によるメタンの部分酸化:
(3)CH4+1/2O2 → CO+2H2
(3)の反応エンタルピーは、−35.6kJ/molとわずかに発熱性である
(3)に対する代替的な反応は:
(4)3CH4+O2+H2O →3CO+7H2
である。
【0053】
この反応は、本発明との関連において反応(3)と等価のものとして取り扱い、この際この反応は反応(3)と(2)との組み合わせである。
【0054】
ここで反応(1)、(2)、および(3)は例示的に、炭化水素としてメタンを用いて説明されている。これらの反応(1)、(2)、および(3)が、他の飽和もしくは不飽和のより高級な炭化水素、またはこれらの混合物を用いても行えることは、当業者に公知かつ自明である。反応式の化学量論は、相応して適合させなければならない。飽和もしくは不飽和のより高級な炭化水素、ならびにこれらの混合物を使用することによって、メタンを用いる場合よりも不都合なCO/H2比が得られることは、当業者には同様に公知である。
【0055】
本発明の範囲においては、メタンの使用が好ましい。同様に好ましくは、メタンとより高級な炭化水素(飽和炭化水素、不飽和炭化水素、または飽和炭化水素から成る混合物であってよい)とを含む混合物を使用し、この際メタン含分は70%以上である。このような混合物はとりわけ好ましくは、メタン含分が85%超である。
【0056】
好ましい変法においては、反応(1)を水の存在下で行い、触媒システムのコークス形成を防止、または減速させる。同様に好ましくは、以下のエネルギー源を用いて反応式(1)に必要なエネルギーを得る:太陽エネルギー、核エネルギー、地熱エネルギー、風力エネルギー、水力、例えば潮力、または水力発電所から得られるエネルギー。
【0057】
反応(1)に好ましい触媒システムとして適しているのは、混合金属酸化物、例えばペロブスカイト、スピネル、または副族元素もしくは主族元素の他の混合酸化物、ならびに担持された金属と金属酸化物である。金属として適しているのは例えば、鉄族と白金族の金属、または硬貨鋳造金属の族の金属であり、そして金属酸化物、混合金属酸化物、および金属酸化物混合物として適しているのは例えば、遷移金属酸化物および主族金属酸化物であり、とりわけ適しているのは、VIIIb族の元素(例えばNi、Rh、Ru)である。適切な担体酸化物は例えば、IVb族の酸化物、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、スピネル、ペロブスカイト、アルミン酸塩、ケイ酸塩、カーバイド、および窒化物であり、この際に好ましい担体酸化物はまた、酸化チタン、および/または酸化ジルコニウムを含む。とりわけ好ましい担体システムは、活性成分の焼結とコークス化を防ぎ、かつ充分な水蒸気安定性を有するものである。
【0058】
同様に好ましくは、反応(2)に必要なエネルギーを以下のエネルギー源を使用して得る:太陽エネルギー、核エネルギー、地熱エネルギー、風力エネルギー、水力、例えば潮力、または水力発電所からのエネルギー。
【0059】
反応(2)に好ましい触媒システムとして適しているのは、混合金属酸化物、例えばペロブスカイト、スピネル、または副族元素もしくは主族元素の他の混合酸化物、ならびに担持された金属、金属酸化物、混合金属酸化物および金属酸化物混合物である。金属として適しているのは例えば、鉄族と白金族の金属、または硬貨鋳造金属の族の金属であり、そして金属酸化物、混合金属酸化物、および金属酸化物混合物として適しているのは例えば、遷移金属酸化物および主族金属酸化物であり、とりわけ適しているのは、VIIIb族の元素(例えばNi、Rh、Ru)である。適切な担体酸化物は例えば、IVb族の酸化物、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、スピネル、ペロブスカイト、アルミン酸塩、ケイ酸塩、カーバイド、および窒化物であり、この際に好ましい担体酸化物はまた、酸化チタン、および/または酸化ジルコニウムを含む。とりわけ好ましい担体システムは、活性成分の焼結とコークス化を防ぎ、かつ充分な水蒸気安定性を有するものである。
【0060】
好ましい変法では、反応(1)と(2)とを連結させた、または共通の反応器システム内で1または1より多い触媒を用いて行う。連結された反応器とは、連続して接続されている反応器である。共通の反応器システムとは、一体型の反応器システムと理解され、この際この反応器システム内部には圧力、温度、流量、および反応体の組成について勾配(Gradient)が実現されていてよい。同様にまた、反応のための触媒システムを1より多く、共通の反応器システム内で使用することができる。
【0061】
他の、そして好ましい実施態様においては、個々の反応段階が乾燥改質、水蒸気改質、および部分酸化を異なる反応器で行う。
【0062】
さらなる他の、そして好ましい実施態様においては、3つの方法工程のうち2つが乾燥改質、水蒸気改質、および部分酸化を共通の反応器で行い、この際共通の反応器は、第3の方法段階を行う反応器と直列に、または並列に接続されている。
【0063】
本発明による方法の利点が得られるのはとりわけ、方法段階が乾燥改質、水蒸気改質、および部分酸化を近似の温度範囲、および好ましくは同一の温度で行う場合である。本発明による方法の好ましい実施態様に従って、3つの反応を同じ反応器で行う場合には、加熱もしくは冷却による付加的な熱損失を発生させることなく、ある反応から別の反応に切り替えることができる。このことによって、そうしなければ冷却工程および加熱工程の間に生じてしまう製造ロスを充分に回避することができる。
【0064】
好ましい実施態様では、工程段階が乾燥改質、水蒸気改質、および部分酸化を共通の反応器で行う。
【0065】
同様に好ましくは、反応(1)と(2)に必要となるエネルギーを、以下のエネルギー源を用いて得る:太陽エネルギー、核エネルギー、地熱エネルギー、風力エネルギー、水力、例えば潮力、または水力発電所から得られるエネルギー。
【0066】
反応(1)と(2)の共通実施は、メタンまたはそれより高級のアルカンを使用して、かつ一酸化炭素対水素の比が1対2(CO/H2=1:2)である特に好ましい合成ガスが手に入るという境界条件下で、以下の一般式に従う:
(5)CO2+(3n−1)H2O+3Cn2n+n → (3n+1)CO+(6n+2)H2
【0067】
さらに好ましい変法は、CO/H2比が0.2〜0.8、特に好ましくは0.3〜0.7、極めて特に好ましくは0.4〜0.6である合成ガスが得られる、1または1より多い触媒を用いた、連結されたもしくは共通の反応器システム内での反応(1)と(2)の設計と運転である。
【0068】
連結された、もしくは共通の反応器システム内での反応(1)と(2)の変法のために好ましい触媒システムとして適しているのは、金属酸化物、混合金属酸化物、および金属酸化物混合物、例えばペロブスカイト、スピネル、または副族元素もしくは主族元素の他の混合酸化物、ならびに担持された金属および金属酸化物である。適切な金属は例えば、鉄族と白金族の金属、または硬貨鋳造金属の族の金属である。適切な金属酸化物は例えば、遷移金属酸化物および主族金属酸化物であってよく、とりわけ適しているのは、VIIIb族の元素(例えばNi、Rh、Ru)である。適切な担体酸化物は例えば、IVb族の酸化物、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、スピネル、ペロブスカイト、アルミン酸塩、ケイ酸塩、カーバイド、および窒化物であり、この際に好ましい担体酸化物はまた、酸化チタン、および/または酸化ジルコニウムを含む。とりわけ好ましい担体システムは、活性成分の焼結とコークス化を防ぎ、かつ充分な水蒸気安定性を有するものである。
【0069】
好ましい変法では、反応(1)と(2)を太陽エネルギー源に由来するエネルギーを供給して行い、充分な太陽光が得られる時間(すなわち日中運転)の間、反応を行う。充分な太陽光が得られない時間(すなわち夜間運転)の間は反応(3)を行うことによって同一の、または近似する化学量論の合成ガスを利用する。好ましい変法においては、この排熱を日中運転での反応(3)の運転のために利用するか、または貯蔵することができる。さらに好ましい変法においては、反応(3)の運転からの排熱を夜間運転の間に反応(1)と(2)を部分負荷運転するために利用することができる。
【0070】
反応(3)のための好ましい触媒システムとして適しているのは、混合金属酸化物、例えばペロブスカイト、スピネル、または副族元素もしくは主族元素の他の混合酸化物、ならびに担持された金属および金属酸化物、混合金属酸化物、および金属酸化物混合物である。適切な金属は例えば、鉄族と白金族の金属、または硬貨鋳造金属の族の金属である。適切な金属酸化物は例えば、遷移金属酸化物および主族金属酸化物であってよい。適切な担体酸化物は例えば、IVb族の酸化物、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、スピネル、ペロブスカイト、アルミン酸塩、ケイ酸塩、カーバイド、および窒化物であり、この際に好ましい担体酸化物はまた、酸化チタン、および/または酸化ジルコニウムを含む。とりわけ好ましい担体システムは、活性成分の焼結とコークス化を防ぎ、かつ充分な水蒸気安定性を有するものである。
【0071】
さらなる好ましい方法段階においては、反応(1)、(2)、および(3)により製造された合成ガスを、メタノール、ジメチルエーテル、ジメチルカーボネート、C含分がC6以上の炭化水素(例えばワックス、ディーゼル燃料、灯油、またはガソリン)、または自動車適用のための燃料として供することができる他の液体状、固体状、または気体状の化学物質の製造のために使用する。
【0072】
ソーラープラントの構成:
メタン(n=1)を使用する場合、(5)で660kJ/molの吸熱性反応エンタルピーが生じる。この反応エンタルピーを工業設計の基礎として日中運転のために使用することができる、すなわち1単位(CO+2H2)につき165kJ/molを消費する。例えばFT反応(フィッシャー−トロプシュ反応)により形成される典型的なパラフィンに換算すると、13.75MJ/kg(CH2)である。1MWのソーラープラントを基本とし、かつ熱の再獲得による出発物質加熱の際の熱損失を最小限にすると、(5)に従った混合式改質の製造速度(1時間あたり0.3トンのパラフィン生成物を製造可能)は、1年あたり約2,700トンの年生産量に相当する。燃料もしくは石油供給量の製造能力に対する標準的な記載に換算すると、これは太陽エネルギー1MWあたり54b/d(1日あたりのバレル量)である。
【0073】
設備化された1MWの太陽エネルギーあたり54b/dという製造能力により、50MWの太陽光発電所の場合、2700b/dという総製造量が得られ、これは小さなFTデモンストレーションプラントに相当する。300MWの太陽光発電所の場合、16,000b/dの製造量が得られ、これは建設中のFT製造プラントに迫る量である(Chevron−NPPC joint venture in Escravos,Nigeria:34,000b/d)。
【0074】
(2)に従った反応の場合、1MWの太陽エネルギーあたり43b/dが得られ、反応(1)に従うと1MWの太陽エネルギーあたり72b/dも得られ、この際反応(1)はほとんど水素を生成させない。反応(2)に基づいて、夜間運転のための水素過剰量を生成することができる。しかしながら夜間運転はまた、自己熱改質反応(ATR)によっても反応式(3)で行うことができる。ATRと組み合わせて日中に得られる水素過剰量を使用することにより、供給された酸素量の適合と、ATRで形成された二酸化炭素を用いた付加的な節約が可能になる。というのも、ATRは(3)に従って理想的には進行せず、かつ部分的にはより多くのメタンを燃焼させる(このことが理想的な合成ガス混合物からの逸脱を引き起こす)からである。
【0075】
適切なソーラープラント:
本発明による方法と関連して使用することができる適切なソーラープラントは、凹面鏡プラント、直射光の集光による太陽熱発電所、または並列接続された多数のパラボラコレクタ、またはフレネルコレクタ(いわゆる直線型集光器)から成るソーラーファーム発電所である。適しているのはまた、タワー式太陽熱発電所(太陽による蒸気発生を備える蒸気発電所)、ならびに集光器の無い太陽熱発電所である。
【0076】
例えば、集光鏡面積が2835m2であり、かつ1m2の全方位光あたり800ワットの太陽光が照射される集光鏡を有する凹面鏡プラントによって、太陽炉の焦点で1.1MWという出力を得ることができる。
【0077】
ほとんどの場合太陽光による蒸気生成を備える蒸気発電所であるタワー式太陽熱発電所により、たいていはソーラーファーム発電所よりも高い温度値と熱力学効率を達成することができる。太陽光発電所によって工業的に有意義に取り扱い可能な温度は、約1300℃である。使用する熱媒体は、液体状の硝酸塩、水蒸気、または熱気である。塩溶融物、金属溶融物、水蒸気、または熱気は、太陽溶融炉(Solarschmelzoefen)でも利用する。この方法により、例えばほぼ任意の温度の工程熱を発生させることができ、かつ化学工程を加速させるために利用することができる。集光器のない太陽熱発電所は、追跡型反射板を持たないが、太陽の全入射光(全方位光、つまり直接光と散乱光)を利用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成ガスの製造および反応方法において、前記方法が、
基本的に相互に交互に行われる
(i)日中運転、および
(ii)夜間運転
(この際、日中運転(i)は、主に乾燥改質と水蒸気改質を再生可能なエネルギーを供給して行うことを含み、かつ夜間運転(ii)は主に炭化水素の部分酸化を含み、そしてこの際この合成ガスを有用生成物の製造のために使用する)
から成る、複数の異なる運転状態を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
乾燥改質、水蒸気改質、および部分酸化のために使用する炭化水素が、炭素原子が5未満の短鎖の炭化水素化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
乾燥改質、水蒸気改質、および部分酸化のために使用する炭化水素が、希ガス、バイオガス、またはメタン含分が70体積%以上の他のメタン含有ガスであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
異なる運転状態の間に製造された合成ガスが、一酸化炭素対水素の比が0.2〜0.8の範囲の総組成を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記合成ガスが、一酸化炭素対水素の比について1:2の総組成を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
それぞれの工程段階が、乾燥改質、水蒸気改質、および部分酸化を異なる反応器で行うことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
3つの工程段階のうち2つが乾燥改質、水蒸気改質、および部分酸化を共通の反応器で行い、この際この共通の反応器が第3の工程段階を行う反応器と直列に、または並列に接続されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記工程段階が、乾燥改質、水蒸気改質、および部分酸化を共通の反応器で行うことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
工程に供給するエネルギーが、太陽エネルギー、核エネルギー、地熱エネルギー、風力エネルギー、または水力、例えば潮力エネルギーもしくは水力発電所からのエネルギーであることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
日中運転の間に工程に供給するエネルギーが、基本的に太陽エネルギーから成ることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
工程で製造される有用生成物が、ジメチルエーテル、メタノール、C6〜C60の範囲の長鎖の、および/または環式の炭化水素、オレフィン、および/または芳香族化合物であることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
合成ガスの製造が、乾燥改質、水蒸気改質、および部分酸化という工程段階を含み、この際この方法を、日中運転および夜間運転を含む複数の異なる運転状態で行い、かつ運転状態の少なくとも一部を、主に再生可能なエネルギーを供給して行うことを特徴とする、有用生成物の製造のための合成ガスの使用。
【請求項13】
合成ガスの製造のために、主にメタン含有炭化水素化合物、および/または二酸化炭素を使用することを特徴とする、請求項12に記載の合成ガスの使用。

【公表番号】特表2010−526759(P2010−526759A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507891(P2010−507891)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【国際出願番号】PCT/EP2008/055770
【国際公開番号】WO2008/138899
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】