説明

合成ガスケットアセンブリを有する管継手

管継手は、管を受け入れるソケットを有するボディと、このソケットと一体的な円周状ガスケット保持ハウジング内に収容された合成ガスケットとを備える。その合成ガスケットは、エラストマーシール部分が接着された比較的硬いプラスチックのV形担持体を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は流体流を導通させる管継手及びガスケットアセンブリに関する。
【発明の背景】
【0002】
長年に亘り、流体導通管はスリップ継手と共に市販されてきた。スリップ継手を持つ或る継手は、それに挿入された管にパッキングを締め付けるのに外部ナットを用いている。しかしながら、このような機構は労力と付加的部品とを必要とするので、その取り付けは特に地下または他の閉ざされた空間においては厄介なものとなる。特に配水管や下水管などの用途に用いられる他の形式のスリップ継手は、ナットの締結を必要としないスリップ継手を用いている。例えば図2は従来技術のシールを示し、ここではプラスチックバンド202を非常に大型のエラストマー部品200に組み合わせてある。残念ながら、図2のガスケット即ちシールは、この大型エラストマー体を設ける必要性があるので、全く高価なものである。
【発明の概要】
【0003】
少なくとも1つの管を入れ子式に受け入れるための管継手は、ボディを含み、このボディは、管を受け入れるための開口を規定する概ね円筒状の壁を有する。円周ガスケット保持領域は、概ね円筒状の壁の一部から径方向外側へ突出して、環状ガスケット保持案内溝即ちチャンネルを規定する。概ねV形断面を有するガスケットは、ガスケット保持チャンネル内に設けられると共に、比較的に硬いプラスチックのV形担持体部分とエラストマーシール形成部分とを含む。このガスケットは、継手ボディへ軸方向に挿入された管による径方向の弾力的圧縮に順応するようにされている。好ましい実施の態様では、V形担持体部分とエラストマーシーリング部分とを同時成型してもよく、この場合、エラストマー部分は弾性材料から形成され、V形担持体は比較的に硬い材料から形成される。この方式では、本発明のガスケットシールは同時成型により容易且つ経済的に生産できる。
【0004】
本発明のガスケットはガスケット保持チャンネルの底に当接するように適合された外側脚部を有する。このガスケットは更に、外側脚部にヒンジ止めされた内側脚部を有し、この内側脚部は、ガスケットが既に内部に着座している継手へ挿入された管に当接するように適合されている。
【0005】
ガスケットの内側脚部のエラストマーシール部分は、ガスケット本体から径方向内側へ延出する環状シーリングフラップ即ちリングを含むことが好ましく、これにより、継手へ入れ子式に挿入された管は環状シーリングリングを圧縮し、それと同時にV形担持体を弾性変形させる。
【0006】
本発明の利点は、本発明による管継手及びガスケットアセンブリは、真空化及び対圧力条件化の性能に関して優れた結果をもたらすことである。
【0007】
本発明の系の更なる利点は、様々な管継手の組み立てのために特殊な工具の使用を必要とすることなく、耐漏洩シーリングが与えられることである。
【0008】
好ましい実施形態の詳細な説明
図1に示すように、管継手10(代表的にはPVCから形成されている)は概ね円筒状の壁12を有し、この壁12は、継手10へ挿入された管(例えば図4の管52)を受け入れるための複数の概ね円筒状のソケット即ち開口14を有する。ガスケット18はガスケット保持部分16へ挿入されて、ここで保持される。図4に更に詳細に示すように、ガスケット保持部分16は環状ガスケット保持チャンネル17を規定し、このチャンネル17内にはガスケット18をスナップ留めして、ガスケット18を軸方向と径方向との両方に保持させるようにする。
【0009】
好ましい実施例におけるガスケット18の詳細を図3に示す。ガスケット18は好ましくは二種類の成型材料の合成物であるが、異なる二つの硬さを与えるように一種類の材料で製作してもよい。V形担持体20は基本的に、ガスケット18のためのばね要素としての役割を果たし、且つ好ましくはポリエチレンからなる。当業者には、本明細書を検討することにより、V形担持体部分20のための材料は他の様々な公知の材料、例えばポリプロピレン、ポリスチレン、ABSまたは他のプラスチックから選択し得ることが明らかであろう。本明細書から、V形担持体部分20が形成される材料は硬いものとせねばならず、しかもヒンジ点26(図3に最もよく示されている)においては亀裂や破断を伴わずに反復的に可撓でなければならないことに留意されたい。換言すれば、V形担持体部分20は内側脚部24を管52に対して付勢する(これについては後に詳しく説明する)。最も好ましくは、V形担持体部分20は(ショア D デュロメータで)約40と50との間の硬度を持たねばならない。
【0010】
V形担持体20は外側脚部22を含み、この外側脚部22は、ガスケット保持ハウジング16により規定された環状保持チャンネル17の外周または底に対してガスケット18を付勢し、内側脚部24は継手10内へ挿入された管52に対して付勢される。既に述べたように、V形担持体部分20はヒンジ部分26を有し、このヒンジ部分26はV形を収縮可能とさせる。図4を参照すると、管52は継手10へ入れ子式に挿入されている。この管52が継手10へ挿入されたとき、ガスケット18は管52により径方向に圧縮される。換言すれば、ガスケット18のV形特性は担持体部分20の硬度に同調して、ばね付勢効果を形成する。V形担持体20は複数の環状隆起ストップ28も有することが好ましく、このストップ28は、継手10に挿入された管52により強いられた径方向指向応力下で、担持体20が所定の量よりも大きく潰れたり変形したりすることを防ぐように働く。付加的な環状ビード(例えば図3のビード53)を設けて、ガスケット18の付勢力を更に調節するようにしてもよい。
【0011】
エラストマーシール部分32はガスケット18の一体的部品を含む。エラストマーシール部分32は当業者には公知の多数のエラストマー材料から作成してもよく、そのようなエラストマー材料は例えばポリエチレン、ポリプロピレン、天然または合成ラバー、ネオプレン、ニトリル、ポリビニール、及び他の様々な可撓性材料である。本明細書からエラストマーシール部分32を形成するのに用いた材料は好ましくはエラストマーまたはエラストマー化材料であり、最も好ましくは(ショア A デュロメータで)約45乃至約65の硬度、より好ましくは約50乃至約60の硬度を有する。エラストマーシール部分32は外側部分34を有し、これはガスケット保持ハウジング部分16の底に対して支えられる。エラストマーシール32は内側部分36も有し、本実施例では、この内側部分36は(エラストマーシール32の残りの部分と共に)V形担持体20へ接着されている。担持体20とエラストマーシール部分32との同時成型または同時押し出し成型は、ガスケット18の製造のための経済的な工程からなることが予期される。本発明によるガスケットを製作するのに必要なエラストマー材料の量は、そのV形切欠に起因して、図2に示した従来技術のガスケットに要求される量よりも非常に少ないことに留意されたい。その結果、本発明のガスケットにより提供されるコスト節約は、注目すべきものとなろう。既に述べたように、代替的に、担持体20とシーリング部分32とは、担持体20がシーリング部分32よりも硬い限りは、同一種類の材料から製作してもよい。
【0012】
エラストマーシール部分32は環状シーリングリングまたは突起38を含み、これはエラストマーシール32の内側部分36から径方向内側へ延出しているので、継手10へ入れ子式に挿入された管は、環状シーリングリング38を圧縮して撓め、それと同時にV形担持体20は図4に最も弾性的に変形する。
【0013】
管52の外側へ付着するであろう堆積物が環状シーリングリング38へ干渉しないことを保障するために、エラストマーシール32はスクラッパーリングまたはワイパー40を更に具備しており、これはシール32の内側部分36から径方向内側へ延出することにより、管が継手10内へ挿入されるにつれて、管の表面から泥や岩屑などの堆積物を物理的に除去する。これは、挿入される管の外壁とエラストマーシール32との間の良好なシールを保障する。代替的に、スクラッパーリングはV形担持体20上に形成してもよい。真空条件化では、ワイパー40は緊密シールを与えることにも役立つ。
【0014】
本発明について、その特定の実施の形態に関連させて説明したが、当業者には本発明の主旨及び目的を逸脱することなく様々な変更例、代替例及び翻案をなし得ることを理解されたい。本発明は添付の請求項のみによって限定されるように意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は本発明によるシーリング系を有する管継手の斜視図である。
【図2】図2は従来技術のガスケットアセンブリを示す図である。
【図3】図3は本発明の一つの態様によるガスケットアセンブリを示す図である。
【図4】図4は本発明の一つの態様による管継手及びジョイントアセンブリを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの管を入れ子式に受け入れるための管継手であって、
管を受け入れるための開口を規定する概ね円筒状の壁を有し、更に環状ガスケット保持領域を規定するボディと、
前記環状ガスケット保持空間内に収容されたガスケットとを備え、このガスケットはV形部分及びシーリング部分を有し、そのV形部分は前記シーリング部分よりも硬い材料から形成されている管継手。
【請求項2】
請求項1の管継手において、前記ガスケットは、管を受け入れるための前記開口へ軸方向に挿入された管により径方向へ圧縮されるように適合されている管継手。
【請求項3】
請求項1の管継手において、前記ガスケットは、前記継手へ軸方向に挿入された管により弾性的に径方向へ圧縮されるように適合されている管継手。
【請求項4】
請求項1の管継手において、前記V形担持体と前記エラストマーシールとが同時成型されている管継手。
【請求項5】
請求項1の管継手において、前記V形担持体が、前記継手へ入れ子式に挿入された管により弾性的に変形するように適合されている管継手。
【請求項6】
請求項1の管継手において、前記シーリング部分は、前記V形担持体から径方向内側へ延出する環状シーリングリングを含む管継手。
【請求項7】
請求項1の管継手において、前記エラストマーシールは、前記V形担持体の内側脚部から径方向内側へ延出する環状シーリングリングを含むことにより、前記継手へ入れ子式に挿入された管が、前記環状シーリングリングを圧縮し、それと同時に前記V形担持体を弾性的に変形させる管継手。
【請求項8】
請求項1の管継手において、前記ガスケットが前記管継手を通じる汚水流に対してシールするように適合された管継手。
【請求項9】
請求項1の管継手において、前記V形担持体が低密度ポリエチレンから形成されている管継手。
【請求項10】
請求項1の管継手において、前記エラストマーシールがネオプレンから形成されている管継手。
【請求項11】
請求項1の管継手において、前記エラストマーシールがエチレンプロピレンラバーから形成されている管継手。
【請求項12】
請求項1の管継手において、前記シーリング部分が更にスクラッパーリングを含み、このスクラッパーリングは前記V形担持体の内側脚部と一体的であって且つこの内側脚部から径方向内側へ延出することにより、管が前記継手へ挿入されるにつれて、その継手へ挿入された管の外面の部分が擦られる管継手。
【請求項13】
請求項1の管継手において、前記ボディがプラスチックから成型されている管継手。
【請求項14】
請求項1の管継手において、前記ボディが塩化ポリビニルから成型されている管継手。
【請求項15】
管継手へ挿入された管をシールするための合成ガスケットであって、
比較的に硬い単一のプラスチック担持体を備え、このプラスチック担持体は、管継手の内周壁に当接するように適合された外側脚部と、この外側脚部にヒンジ止めされた内側脚部とを有し、その内側脚部は、前記プラスチック担持体が既に着座された管継手へ挿入された管に当接するように適合されており、
前記ガスケットは更に、
少なくとも前記内側脚部に接着されたエラストマーシールを備え、このs−ルは前記ガスケットが既に装着された継手へ挿入された管とシーリング接触するように適合されている合成ガスケット。
【請求項16】
環状ガスケットであって、
V形担持体部分と、
このV形担持体部分の少なくとも一部へ接着された弾性ボディとを備え、前記V形担持体部分は前記弾性ボディよりも硬く、
前記弾性ボディは環状ワイパー部分を有する環状ガスケット。
【請求項17】
請求項16の環状ガスケットであって、
前記V形担持体部分が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS、及びそれらの組み合わせとからなるグループから選択されたポリマーから形成され、且つ前記弾性ボディが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ネオプレン、ラバー、ニトリル、ポリビニル、及びそれらの組み合わせとからなるグループから選択されたポリマーから形成されている環状ガスケット。
【請求項18】
請求項16の環状ガスケットであって、前記V形担持体部分が40乃至50ショアDデュロメータ硬度を有し、且つ前記弾性ボディが45乃至65ショアAデュロメータ硬度を有する環状ガスケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−509170(P2006−509170A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−559275(P2004−559275)
【出願日】平成15年12月4日(2003.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2003/038524
【国際公開番号】WO2004/053375
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(505212119)プラスティック・トレンズ・インク (1)
【Fターム(参考)】