説明

合成大環状アミドHDAC6阻害剤化合物およびそれらの治療剤としての用途

本発明は、式Iの新規なアミド化合物、ならびに抗腫瘍性およびアポトーシス促進製薬剤としてのそれらの使用に関する。
本発明は、癌、さらにはHDAC6の抑制が応答性であるその他の疾病に関する医療におけるそのような化合物の使用、およびそのような化合物を含む医薬組成物を含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規アミド化合物および抗腫瘍性およびアポトーシス促進性薬剤としての用途に関する。本発明は、癌疾患、炎症性疾患、神経細胞疾患、寄生虫感染症(例えば、プラスモディウム感染症)、同様にHDAC6の抑制に敏感であるその他の疾病に関連する医療におけるそのような化合物の使用、およびそのような化合物を含有する医薬組成物を含む。
【背景技術】
【0002】
ヒストンデアセチラーゼ(HDACs)は細菌、菌類、植物、および動物の多数の生物体内で見出される酵素のファミリーである。そのような酵素は、ヒストン、転写制御因子、α―チューブリンおよび核の取込み輸送体を含む多様なタンパク質基質のε−N−アセチル化リジン残基からのアセチル基の除去を触媒する。現在までに18のHDACアイソフォームがHDACsとして特徴づけられている。これらは、細胞内のそれらのDNA配列類似度および生物学的役割に関して4つの異なるファミリーに分類される。
【0003】
HDAC1、HDAC2、HDAC8およびHDAC3は、クラス−Iのメンバーである。最初の3つのアイソフォームは核内に主に見出される、;一方、HDAC3はまた、細胞質または結合膜に見出される。HDAC4、HDAC5、HDAC6、HDAC7、HDAC9およびHDAC10がクラス−IIを形成する。このクラスはさらに2つのサブクラスに分けられ、クラスIIa(HDAC4、5、7および9)およびクラスII−b(HDAC6および10)である。クラス−II酵素は、特定の細胞型で発現され、核および細胞質の間を往復するか(クラス−IIa)、または主に細胞質に存在する(クラス−IIb)(Yang X.J.、et al.、Mol Cell.,Biol.、2005、25、2873)。クラス−IV は唯一1つのメンバー(HDAC11)を含むが、一方、サーチュインとも呼ばれるクラス−IIIは、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド依存酵素から構成される。クラスI、IIおよびIV酵素の共通の特色は、亜鉛依存的性質にある。HDAC阻害剤(HDACi)は、試験管内および生体内において、形質転換細胞の増殖停止、分化およびアポトーシス細胞死の強力な誘導物質であることが示されている。
【0004】
HDAC抑制はまた、自己免疫性および炎症性疾患モデルの炎症を減少させることに繋がることが示された(LeoniF., etal., Proc. Natl. Acad. Sci., 2002, 99, 2995)。HDACiとして文書化された最初の化合物の1つが、全てのアイソフォームを抑制するよく知られている抗てんかんバルプロ酸であった。癌の発生時のこの酵素ファミリーの重要な役割が認識されると、強力なHDACiを見出すことに向けられる多くの努力が、多数の学術的グループと同様に製薬会社とによって着手された。元々SAHA(suberoylanilideヒドロキサム酸)として知られていたボリノスタットは、まれな癌、皮膚T細胞リンパ腫(Grant S., et al.,Nature Rev.Drug Discov., 2007,6,21)を治療すると食品医薬品局によって認められた小分子ヒドロキサメート誘導体クラスHDACiの最初のものであった。SAHAは、臨床治験で現在大多数を占めるHDACs阻害剤としてのクラスIおよびIIを抑制する強力な非選択的HDACiである(Paris M.,et al., J.Med.Chem.,2008,51,1505)
【0005】
多様なHDACアイソフォームが別々の生物学的機能を有しおよびゲノムの特異的領域に補充されることが実証されていたが、細胞内のHDACsの正確な生理的役割は、完全に解明されているとは程遠い。しかしながら、いくつかの進展によって、心臓の発生(HDAC5および6)、神経細胞死(HDAC4)、有糸分裂(HDAC3)、平滑筋細胞の収縮性能力(HDAC8)、または心筋細胞分化(HDAC9)への関与などの重要な機能が、そのいくつかに起因することが最近分かった。11の亜鉛依存性HDACsアイソフォームの複雑な生理機能を解明するのを手助けするのみならず、特異的HDACiを設計するとより安全な薬剤を発展させることに寄与するだろう。実際に、それらの構造によると、4つの主要グループ(すなわち、短鎖脂肪酸(例えば、酪酸、バルプロ酸)、ヒドロキサメート(例えば、SAHA、トリコスタチン、LAQ−824)、環状誘導体(例えば、ロミデプシン)、およびベンズアミド(例えば、MS−275))に、阻害剤の多様なファミリーがそれらの構造に従ってグループ分けできる
【0006】
併用療法を含むいくつかの臨床治験が、標準的化学療法剤、(例えば、ドセタキセルおよびボリノスタット)と組み合わせた広範囲の様々なHDACiの有効性を評価するために、進行および再発した肺、膀胱、または前立腺癌(臨床治NCT00565227)の患者に実施された。HDAC6が癌細胞内で役割を果たし、および薬剤開発の目標であるかもしれないという証拠が徐々に増えつつある。HDAC6は、2つの機能的触媒性脱アセチル化酵素領域および1つのカルボキシ末端ユビキチン結合Znフィンガー領域を持つと言う独特の特徴を示す。TessierP.et al.,は、文献に最近報告された数少ない選択的HDAC6阻害剤を見事に要約した。(TessierP.et al., Bioorg.Med.Chem.Lett.,2009,19,5684)。
【0007】
HDAC6の標的抑制によって、HSP90のアセチル化およびそのクライアントのタンパク質Bcr−Ablとのそのシャペロン機能が破壊されることが誘発され(BaliP.、etal.、J.Biol.Chem.,2005, 280, 26729)、転移抑制および抗血管新生効果(Haggarty、S。J., et al., Proc.Natl.Acad.Sci., 2003, 100, 4389)を引き起こす。Rodriguez−GonzalezA.らは、乳癌から始まる転移の進展(Rodriguez−GonzalezA.,etal.,Cancer Res., 2008, 68, 2557)におけるHDAC6の潜在関与をさらに実証した。HDACは、13年ほど前に寄生虫感染症(例えば、プラスモディウム感染症)治療の潜在的標的であると仮説化された。しかしながら、HDAC6のサブタイプの重要性が最近さらに明らかになった(Chen Y., et al., J. Med. Chem., 2008, 51, 3437)。
【0008】
HDAC6抑制が神経保護に強く関わっていることが報告された。(Dompierre, J.P.; et al., J. Neurosci., 2007, 27, 3571)。HDAC6を標的とすると、結腸腫瘍細胞内のβ−カテニンおよびc−mycnの発現のEGF誘発核移行が阻害される。HDAC6はチューブリンを脱アセチル化できる、したがって主要な安定な過剰アセチル化チューブリンに導かれるHDAC6阻害剤は、ドセタキセルまたはパクリタキセルなどのタキサン薬剤の活性の増強を通して固形腫瘍および造血性悪性腫瘍の治療に潜在的に有用であり得る(Yu Z., et al., EMBO J:, 2003, 22, 1168)ことが示された。
【0009】
つい最近、HDAC6が、トランスフォーミング増殖因子βSMAD3カスケードに影響を及ぼすことによって腫瘍進行および組織線維症に至る上皮間葉転換(上皮間葉転換)に関わっていることが示された(Shan B., et al., J. Biol. Chem.,2008, 283, 21065)。上皮間葉転換および間葉系―上皮性遷移(MET)が、腎癌、腎癌、および膀胱癌の多数の癌の中で転移を促進することが報告されたことは注目に値する(Chaffer C.L., et al., Cancer Res., 2006, 66, 11271))。少しの選択的HDAC6阻害剤が最近報告された(Heltweg, B., et al., J. Med. Chem., 2004, 47, 5235; Yukihiro I., et al., Curr. Pharm. Des., 2008, 14, 529; Kozikowski A.P:, et al., J. Med. Chem., 2008, 51, 4370)。1つのα−アミノ酸が1つのα−アミノ酸によって置換された環状テトラペプチド誘導体もまた強力なHDAC6阻害剤として明らかになった(Olsen C.A., et al., J. Med. Chem., 2009, 52, ASAP)。HDAC6の特異的抑制によって線維芽細胞侵襲運動性の抑制が導かれることが最近報告された(Dong−Anh Tran A., et al., J. Cell Science, 2007, 120, 1469)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この知見によって、関節炎および/または関節リウマチなどの炎症病を治療する新戦略への方向が開かれる。これは、関節リウマチを治療する選択的HDAC6阻害剤を開発するために最近になって受領したAcetylon医薬品の後援によって部分的に確認できる。本出願人の名前の下に提出された国際特許出願第WO/2008/110583号が、HDAC6に対抗する選択的抑制活性を提示する新大環状誘導体を報告した。しかしながら、癌に対抗する適切な治療を見出す機会をさらに増加させるために、さらなる強力で選択的な阻害薬がまだ大いに望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
新しい非ペプチド性大環状分子誘導体は、アイソフォームHDAC6に対する強力なおよび選択的抑制活性が賦与されていることが分かってきた。本発明は、HDAC6活性を抑制するための組成物を調製する際の式(I)の化合物:
【化1】

[式I中、XはCONHまたはNHCO;
YはO、NH、NHCOまたはCONH;
ZはCONHOH、SH、SAc、COCHまたはCOH;
ArはC−アリールまたはC−C10−ヘテロアリールであって、ここで前記アリールまたはヘテロアリールは、下記からなるグループから選択された1〜4グループで置換されていてもよい:C−C−アルキル、ヒドロキシル基、アルコキシ、アミノまたはアルキルアミノ;
はH、CONHR、NHR、アミノ(C−C)アルキルまたは(C−C)アルキル−アミノ(C−C)アルキル;
はHまたはC−C−アルキル;
mは4および6の間の整数からなる;
nは0および1の間の整数からなる]、
あるいはその塩、水和物または溶媒和化合物、これらの互変異性体、これらの幾何異性体、これらの光学活性型、例えば鏡像異性体、ジアステレオマーおよびこれらのラセミ化合物型、ならびに前記のこれらの薬理学的に容認できる塩を提供する。
【0012】
この本発明の実施形態は式Iの化合物の、薬物としての用途のためのものである。さらなる実施形態において、前記薬物は、癌に冒された被験者を治療するために使用される。本発明は、さらに式Iの化合物を調製するプロセスを提供し、この化合物は通常の合成方法によって調製できて、下記する。式Iの化合物(Xがフェニル部分と連結する窒素原子を有するNHCOであり、R、Y、Z、Ar、mおよびnが上に定義された通りである)は、式IIの化合物を非プロトン溶媒(例えば、トルエンまたはジクロロエタンなど)中、グラブスの第二世代またはホベイダ−グラブスの第二世代の触媒(Hong S.H:, et al., J. Am. Chem. Soc., 2006, 128, 3508)と、還流温度にて最大で48時間反応させることによって得ることができる。
【化2】

式II中で、R、Y、Z、Ar、mおよびnは以前に定義した通りであり、Xは、窒素原子がフェニル部分と連結するNHCOである。
【0013】
上に定義された式IIの化合物は、式IIIの化合物
【化3】

(式III中、R、Ar、およびnは以前に定義した通りであり、ならびにXは、窒素原子がフェニル部分と連結するNHCOである)を、
式IVの化合物
【化4】

(式IV中、Y、Z、およびmは以前に定義した通りであり、ならびにDはOHである)と、非プロトン溶媒(例えばTHFまたはDCM)中、DIPEAの存在下、およびHOBt、HOAt、EDCあるいは3−(ジエトキシホスホリルオキシ)−1、2、3−ベンゾトリアジン−4(3H)−1、(Li H.、ほか、Org。Lett.、1999、1、91)などのカップリング剤の存在下で、反応させることによって得ることができる。
【0014】
代わりに、上に定義した式IIの化合物は、上に定義した式IIIの化合物を式IVの化合物と反応させることによって得ることができ、Y、Zおよびmは以前に定義されたとおりであり、ならびにDは、Clであり、非プロトン溶媒(例えばTHFまたはDCM)中、DIPEAの存在下で反応させる。DがOHである上に定義した式IVの化合物は、国際出願第WO08110583号に記載されているプロトコルに従って得ることができる。
【0015】
前記全ての変質において、任意の干渉する反応基は、有機化学で記述され確立され、当業者に良く知られた手順によって保護し、その後脱保護することができる(例えば: Greene T. W. and P.G.M. Wuts “Protective Groups in Organic Synthesis”, J. Wiley & Sons, Inc., 3rd Ed., 1999を参照されたい)。前記全ての変質は、有機化学で記述され確立された(例えば:March J., “Advanced Organic Chemistry”, J. Wiley & Sons, Inc., 4th Ed., 1992を参照されたい)、当業者に良く知られた手順の例のみに過ぎない。
【0016】
「アルキル」という用語は、1から20の炭素原子まで、あるいは好ましくは、1〜12の炭素原子またはより好ましくは1〜およそ6つの炭素原子を持っている線形であるか枝分かれしたアルキル基を指す。用語「C−Cx−アルキル」および「C−Cx−シクロアルキル」(xが1と6の間に含まれる整数である)は、それ単独、またはより複雑な構造に包含された場合、それぞれ1から6までの炭素原子を持っている線形であるか枝分かれしたアルキルまたはシクロアルキル基を指す。用語「アルコキシ」とは、Rが「C−Cアルキル」、「C−C10シクロアルキル」を含むO−R基を指す。用語「アルキルアミノ」とは、アルキル基で置換されたアミノ基を指す。用語「アミノ−(C−C)−アルキル」とは、アミノ残基で置換された1または2個の炭素原子を含んでいるアルキル基を指す。用語「(C−C)アルキル−アミノ(C−C)アルキル」とは、それ自体が(C−C)−アルキル部分で置換されたアミノ残基で置換された1または2個の炭素原子を含んでいるアルキル基を指す。用語「C−C10−ヘテロアリール」とは、単環式複素環式芳香族基または二環式縮合リング複素環式芳香族基を指す。複素環式芳香族基の特定の例は、ピリジル、インドールイル、ピロールイル、フリル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イシオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリルおよびベンゾフリルを含む。
【0017】
「薬学的に許容できる塩類または複合体」とは、望ましい生物活性を保持する下の式(I)の同定された化合物の塩類または複合体を指す。そのような塩類の例は、以下に限定される訳ではないが、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸)で形成される酸付加塩類、および有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモイック酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸の酸、ナフタレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、メタン硫酸酸、およびポリガラクツロ酸)で形成される塩類を含む。
【0018】
我々は、本発明に従って作製された誘導体(I)およびそれらの薬学的に許容できる塩類(本発明によって調製された)が、HDAC6によって仲介された病状、障害と病理学的状態の治療のために、特に癌と炎症性疾患の治療のために有用な薬剤であることを見出した。医薬組成物は、例えば有意な治療効果を生じる量にで、活性成分として式(I)の少なくとも1つの化合物を含む。本発明で抱合される組成はまったく従前通りで、レミントンのPharmaceutical Science Handbook(Mack Pub. N.Y.―最終版)で例示されている製薬産業で通常に実施されている方法で得られる。選択された投与経路に従って、組成物は固体または液体状態で、経口、非経口的または局所投与に適している。本発明による組成物は、活性成分に加えて、少なくとも1個の薬学的に容認できる媒体または賦形剤を含む。これらは、特に有用な製剤補助剤(例えば、可溶化剤、分散助剤、懸濁液薬剤および乳化剤)である場合がある。一般に、本発明の化合物は、「治療的に効果的量」で投与される。
【0019】
実際に投与される化合物の量は、治療すべき状態、投与の選択された経路、投与された実際の化合物、薬剤の組合せ、個々の患者の年齢、体重、反応、患者の徴候の重症度、などを含む関連した状況に照らし合わせて、一般的に医師が決定する。任意の化合物について、治療的に効果的服用は、細胞培養アッセイ、または、動物モデル、通常はマウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌまたはブタで初期に推定できる。動物モデルはまた、投与の適切な濃度範囲および経路を決定するために使用できる。そして、そのような情報は、ヒトへの投与に有用な用量および経路を決定するのに用いることができる。ヒト等価の用量(HED)を計算する際に、それはIndustryとReviewers文書のためのGuidance(2002、米食品医薬品局、Rockville、Maryland、USA)で提供される換算表の使用を推奨されている。一般に、有効量は0.01mg/kg〜100mg/kg、望ましくは0.05mg/kg〜50mg/kg、まである。任意の化合物について、治療的に効果的服用は、細胞培養アッセイ、または、動物モデル、通常はマウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌまたはブタで初期に推定できる。ヒト被験者のための正確な有効量は、疾病状態の重症度、被験者の一般的健康度、年齢、体重あるいは被験者の性別、食事、投与の時間と頻度、合剤、反応感度、および治療に対する寛容性/反応に依存する。この量は、日常的実験によって決定でき、臨床医の判断の範囲内にある。組成物は個々に患者に投与されるか、他の薬物、薬剤またはホルモン類と組み合わせて投与しても良い。
【0020】
薬剤はまた、治療剤の投与のために、薬学的に許容できるキャリヤーを含有しても良い。そのようなキャリヤーは、化合物を受け取った個々人に有害な抗体の産生を誘発せず、そして過度の毒性なしに投与できるならば、リポソームなどの抗体あるいはその他ポリペプチド、遺伝子ならびに他の治療剤を含む。適当なキャリヤーは、大きく、緩徐に新陳代謝する高分子(例えばタンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリエチレングリコール酸、重合アミノ酸、アミノ酸共重合体と不活性のウイルス粒子)であって良い。薬学的に許容できるキャリヤーに関する徹底した議論は、レミントンのPharmaceutical Sciences(Mack Pub.Co.,N.J. 1991)で入手可能である。治療上の組成内の薬学的に許容できるキャリヤーは、さらに液体(例えば、水、生理食塩水、グリセロールおよびエタノール)を含むことがある。
【0021】
さらに、補助物質(例えば、湿潤化または乳化エージェント、pH緩衝化物質など)が、そのような組成中に存在する場合がある。そのようなキャリヤーによって、患者が摂取するために、医薬組成物を錠剤、丸薬、ドラジェ、カプセル、液体、ゲル類、シロップ、泥漿、懸濁液などとして処方できる。一度処方されると、本発明の組成が被験者に直接投与できる。治療される対象は、動物であってよく、;特に、ヒト被験者を治療することができる。本発明の薬物は、以下に限定される訳ではないが、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、くも膜下腔内、脳室内、経皮性または経皮的適用、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸内、局所的、舌下、腟内または直腸の手段を含む多数の経路によって投与できる。経口投与の組成は、バルク液体溶液もしくは懸濁液、またはバルク粉末の形をとる。しかしながら、より一般的に、組成は正確な投薬を促進するために、単位剤形を呈する。用語「単位剤形」とは、被験者および他の哺乳類のために単位剤形として物理的に別々の単位を指し、各々の単位は、適当な医薬賦形剤と共に望ましい治療的効果を生じるように計算された活性物質を予め定められた量含んでいる。典型的な単位剤形は、液体組成の場合、補充され、予め計量したアンプルもしくは注射器、または固形組成の場合、丸薬、錠剤、カプセルなどを含む。
【0022】
そのような組成で、本発明の化合物は、通常、微量成分(約0.1〜約50重量%まで、または、望ましくは約1〜約40重量%まで)で残部が、望ましい投薬型を形成するために有用な多様な媒体またはキャリヤーおよびプロセシング補助成分である。投薬量治療は、単一用量スケジュールまたは複数用量スケジュールであって良い。上に開示したように、本発明の化合物は、患者の健康を改善する結果を生じる障害の治療に対するHDAC6抑制特性のために薬物として有用である。特に、癌および炎症性疾患を患っている患者。問題とする組成は、式(I)の化合物と共に、既知の活性成分を含む。
【0023】
本発明のさらなる目的は、式(I)の1個または複数の化合物を適切な賦形剤、安定剤および/または薬学的に容認できる希釈液と混合することによって特徴づけられる医薬品の組成を調製するためのプロセスである。本発明の実施形態は、RがHを表す以前に記述した式(I)の化合物の実施形態である。本発明の好ましい実施形態は、ZがCONHOHを表す以前に記述した式(I)の化合物の実施形態である。本発明のさらなる別の実施形態は、以下からなるグループから選択される化合物から成る:
6−((Z)−(S)−19−メトキシ−2,11−ジオキソ−13−オキサ−3,10−ジアザ−トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4,6,8,15,17,19−ヘプタエン−12−イル)−ヘキサノヒドロキサム酸(hexanoic hydroxamic acid)、6−((Z)−(R)−19−メトキシ−2,11−ジオキソ−13−オキサ−3,10−ジアザ−トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4,6,8,15,17,19−ヘプタエン−12−イル)−ヘキサノヒドロキサム酸、(S)−2−(6,18−ジオキソ−5,6,7,9,10,11,12,13,18,19−デカヒドロベンゾ[5,6][1,4,7]−オキサジアザシクロ−テトラデシノ[10,9−b]インドール−7−イル)−N−ヒドロキシアセトアミド、6−(S)−(2,11−ジオキソ−13−オキサ−3,10−ジアザ−トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4(9),5,7,17,19−ヘキサエン−12−イル)−ヘキサン酸ヒドロキシアミド、6−(S)−(19−メトキシ−2,11−ジオキソ−13−オキサ−3,10−ジアザ−トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4(9),5,7,17,19−ヘキサエン−12−イル)−ヘキサン酸、6−(S)−(19−ヒドロキシ−2,11−ジオキソ−3,10,13−トリアザトリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4(9),5,7,17,19−ヘキサエン−12−イル)−ヘキサン酸;6−(S)−(19−メトキシ−3,11−ジオキソ−13−オキサ−2,10−ジアザ−トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4(9),5,7,17,19−ヘキサエン−12−イル)−ヘキサン酸ヒドロキシアミド、6−(S)−(20−メトキシ−3,12−ジオキソ−14−オキサ−4,11−ジアザ−トリシクロ[16.3.1.05,10]ドコサ−1(22),5(10),6,8,18,20−ヘキサエン−13−イル)−ヘキサン酸ヒドロキシアミド、6−(S)−[7−(アセチルアミノメチル)−19−メトキシ−2,11−ジオキソ−13−オキサ−3,10−ジアザ−トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4(9),5,7,17,19−ヘキサエン−12−イル]−ヘキサン酸ヒドロキシアミド、N−ヒドロキシ−6−(S)−(13−メトキシ−6,18−ジオキソ−5,6,7,9,10,11,12,13,18,19−デカヒドロインドロ[2,3−i][4,1,12]ベンズオキサジアザシクロテトラデシン−7−イル)ヘキサンアミド、N−ヒドロキシ−6−(S)−(13−メトキシ−6,18−ジオキソ−6,7,8,9,10,11,12,13,18,19−デカヒドロ−5H−インドロ[2,3−i][1,4,12]ベンゾトリアザシクロテトラデシン−7−イル)ヘキサンアミド、6−(S)−(13−メトキシ−6,18−ジオキソ−5,6,7,9,10,11,12,13,18,19−デカヒドロインドロ[2,3−i][4,1,12]ベンズオキサジアザシクロテトラデシン−7−イル)ヘキサン酸、N−ヒドロキシ−6−(S)−(16−メトキシ−6,18−ジオキソ−5,6,7,9,10,11,12,13,18,19−デカヒドロインドロ[2,3−i][4,1,12]ベンズオキサジアザシクロテトラデシン−7−イル)ヘキサンアミド、6−(S)−(6,19−ジオキソ−5,6,7,9,10,11,12,17,18,19−デカヒドロインドロ[2,3−h][4,1,11]ベンズオキサジアザシクロテトラデシン−7−イル)−N−ヒドロキシヘキサンアミド、6−(S)−(6,20−ジオキソ−6,7,9,10,11,12,13,18,19,20−デカヒドロ−5H−インドロ[2,3−i][4,1,12]ベンズオキサジアザシクロペンタデシン−7−イル)−N−ヒドロキシヘキサンアミド、6−(R)−(2,11−ジオキソ−13−オキサ−3,10−ジアザ−トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4(9),5,7,17,19−ヘキサエン−12−イル)−ヘキサン酸ヒドロキシアミド、6−(R)(19−メトキシ−2,11−ジオキソ−13−オキサ−3,10−ジアザ−トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4(9),5,7,17,19−ヘキサエン−12−イル)−ヘキサン酸、6−(R)−(19−ヒドロキシ−2,11−ジオキソ−3,10,13−トリアザトリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4(9),5,7,17,19−ヘキサエン−12−イル)−ヘキサン酸;6−(R)−(19−メトキシ−3,11−ジオキソ−13−オキサ−2,10−ジアザ−トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4(9),5,7,17,19−ヘキサエン−12−イル)−ヘキサン酸ヒドロキシアミド、6−(R)−(20−メトキシ−3,12−ジオキソ−14−オキサ−4,11−ジアザ−トリシクロ[16.3.1.05,10]ドコサ−1(22),5(10),6,8,18,20−ヘキサエン−13−イル)−ヘキサン酸ヒドロキシアミド、6−(R)−[7−(アセチルアミノメチル)−19−メトキシ−2,11−ジオキソ−13−オキサ−3,10−ジアザ−トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4(9),5,7,17,19−ヘキサエン−12−イル]−ヘキサン酸ヒドロキシアミド、N−ヒドロキシ−6−(R)−(13−メトキシ−6,18−ジオキソ−5,6,7,9,10,11,12,13,18,19−デカヒドロインドロ[2,3−i][4,1,12]ベンズオキサジアザシクロテトラデシン−7−イル)ヘキサンアミド,N−ヒドロキシ−6−(R)−(13−メトキシ−6,18−ジオキソ−6,7,8,9,10,11,12,13,18,19−デカヒドロ−5H−インドロ[2,3−i][1,4,12]ベンゾトリアザシクロテトラデシン−7−イル)ヘキサンアミド、6−(R)−(13−メトキシ−6,18−ジオキソ−5,6,7,9,10,11,12,13,18,19−デカヒドロインドロ[2,3−i][4,1,12]ベンズオキサジアザシクロテトラデシン−7−イル)ヘキサン酸、N−ヒドロキシ−6−(R)−(16−メトキシ−6,18−ジオキソ−5,6,7,9,10,11,12,13,18,19−デカヒドロインドロ[2,3−i][4,1,12]ベンズオキサジアザシクロテトラデシン−7−イル)ヘキサンアミド、6−(R)−(6,19−ジオキソ−5,6,7,9,10,11,12,17,18,19−デカヒドロインドロ[2,3−h][4,1,11]ベンズオキサジアザシクロテトラデシン−7−イル)−N−ヒドロキシヘキサンアミド、および6−(R)−(6,20−ジオキソ−6,7,9,10,11,12,13,18,19,20−デカヒドロインドロ[2,3−i][4,1,12]ベンズオキサジアザシクロペンタデシン−7−イル)−N−ヒドロキシヘキサンアミド。
【発明を実施するための形態】
【0024】
下記に説明される例は、本発明が保護しようとするものの完全なリストではない。

略語:
DCM: ジクロロメタン
DEPBT: 3−(ジエトキシホスホリルオキシ)−1、2、3−ベンゾトリアジン−4(3H)−オン
DIPEA: ジイソプロピルエチルアミン
DMF: ジメチルホルムアミド
EtOAc: 酢酸エチル
EtOH: エタノール
EtO: ジエチルエーテル
KHPO: カリウム二水素リン酸塩
MeOH: メタノール
MgSO: 硫酸マグネシウム
NaHCO: 重炭酸ナトリウム
NaHPO: リン酸二水素ナトリウム
NaHMDS: ナトリウムヘキサメチルジシラザン
PDC: 重クロム酸ピリジニウム
PyBrOP: ブロモ−トリス−ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
RPHPLC: 逆相高速液体クロマトグラフィー
SAc: チオアセチル
【0025】
概論
すべての非水系反応は、空気感受性化合物を操作するための標準的な方法を使用して、試薬およびガラス製品から水分を除去し、アルゴンの陽圧力下、炎乾燥ガラス製品で実行した。無水THF、トルエン、EtOおよびDCMは、乾燥カラムを通す濾過(溶媒送達システム)によって得られた;他の溶媒は、使用前に乾燥アルゴンの陽圧力の下で蒸留し、標準的な方法によって乾燥した。市販グレードの試薬を、さらに精製することなく使用した。フラッシュクロマトグラフィを、指示した溶媒システムで230−400のメッシュシリカゲル上で遂行した。薄層クロマトグラフィーを、前もって被覆したガラス背のシリカゲルプレート(メルク60F254)の上で遂行した。視覚化は、短波長紫外線光の下でおよび/またはプレートをセリウム硫酸塩/アンモニウムモリブデン酸塩、過マンガン酸カリウムまたはアニスアルデヒドのエタノール溶液の水性HSO溶液に浸すことによって遂行し、次にヒートガンで炭化させた。ルーチンの核磁気共鳴スペクトルを、400、100および75MHzで、ARX−400、AV−400分光計(Bruker)で記録した。低解像度および高分解能質量解析を、エレクトロスプレー(ES)技術を使用するAEI−MS902またはMS−50分光計上で遂行した。LCMS分析を、LC−ギルソン装置(Autoinjectorモデル234、Pump 322)、ThermoFinnigan LCQ Advantage MSおよびTSP UV6000インターフェース上で遂行した。旋光度は、1ml容量の100mmセルを使用して周囲温度でパーキン−エルマー341偏光計を使い測定し、10−1度cm−1の単位で与えられる。
【0026】
例1は、スキーマ1に記述される手順に従って合成された。
実施例1
6−((Z)−(S)−19−メトキシ−2,11−ジオキソ−13−オキサ−3,10−ジアザ−トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4,6,8,15,17,19−へプタエン−12−イル)−ヘキサンヒドロキサム酸
【化5】

ステップA:N−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−フェニル)−5−メトキシ−イソフタルアミド酸メチルエステル
DEPBT(996mg、3.33mmol)およびDIPEA(580?l(3.33mmol))を、5メトキシイソフタル酸モノメチルエステル(350mg、1.67mmol)のTHF(8.5ml)溶液に加えた(Zhao H., Synth.Comm.,2001,31、1921)。結果として生じた混合物を、tert−ブチル(2−アミノフェニル)カルバメート(443mg、2.13mmol)のTHF(8.5ml)溶液を加える前に、20分間撹拌した。撹拌を18時間維持した。次に飽和NHCl(水溶液)で急冷させ、そしてEtOAcで抽出した。有機相は、飽和NaHCO(水溶液)および塩水で洗浄し、そして、MgSO上で乾燥させ、そして真空下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(7:3のヘキサン/EtOAc)で精製すると、白い固体として所望のN−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−フェニル)−5−メトキシ−イソフタルアミド酸メチルエステルを得た。
【0027】
収量:97%、645mg.
H−NMR(CDCl、400MHz)δ:9.39(bs、1H)、8.18(s、1H)、7.77−7.72(m、2H)、7.71−7.67(m、1H)、7.31−7.27(m、1H)、7.20−7.11(m、2H)、7.03(s 1H)、3.94(s、3H)、3.90(s、3H)、1.50(s、9H)。
13C−NMR(CDCl、100MHz)δ:166.2、 164.6、 159.9、 154.6、 135.9、 131.7、 130.2、 130.2、 126.1、 125.7、 125.6、 124.4、 120.1、 118.1、 118.0、 81.3、 55.7、 52.3、 28.2.
MS(ESI)m/z:401.2(M+H)。
【0028】
ステップB:[2−(3−ヒドロキシメチル−5−メトキシ−ベンゾイルアミノ)−フェニル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
DIBAL−H(DCM中の1M(3.96ml))を、−78℃でN−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−フェニル)−5−メトキシ−イソフタルアミド酸メチルエステルの無水THF(15ml)溶液の中に滴下状に加えた。結果として生じた溶液を最高0℃まで加熱させ、そして飽和ロッシェル塩(水溶液)で冷却した。1時間攪拌した後に、混合物をEtOで抽出して、MgSO上で乾燥させ、真空下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(1:1のヘキサン/EtOAc)によって精製すると、無色の油の[2−(3−ヒドロキシメチル−5−メトキシ−ベンゾイルアミノ)−フェニル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルを得た。
【0029】
収量:78%、383mg.
H−NMR(CDCl、400MHz)δ:9.19(bs、1H)、7.68−7.62(m、1H)、7.39(s、2H)、7.34−7.29(m、1H)、7.20−7.13(m、2H)、7.07(s、2H)、4.63(d、J = 4.9Hz、2H)、3.83(s、3H)、2.80(bs、1H)、1.50(s、9H)。
MS(ESI)m/z:373.2(M+H)。
【0030】
ステップC:[2−(3−メトキシ−5−ビニル−ベンゾイルアミノ)−フェニル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
[2−(3−ヒドロキシメチル−5−メトキシ−ベンゾイルアミノ)−フェニル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(383mg、1.03mmol)およびPDC(580mg、1.54mmol)のDCM(20ml)溶液を、18時間アルゴン雰囲気下の室温で攪拌した。次に、反応混合物をシリカゲル/CeliteRのパッドでろ過して、そしてEtOAcで洗浄した。濾液は真空下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィ(7:3ヘキサン/EtOAc)によって精製して、白い固体の純粋なアルデヒド中間体を産出した。
【0031】
収量:92%、349mg.
H−NMR(CDCl、400MHz)δ:10.00(s、1H)、9.60(bs、1H)、8.00(s、1H)、7.80(s、1H)、7.71−7.66(m、1H)、7.56−7.52(m、1H)、7.26−7.22(m、1H)、7.17−7.08(m、3H)、3.90(s、3H)、1.50(s、9H)。
13C−NMR(CDCl、100MHz)δ:191.2、 164.2、 160.4、 154.7、 137.8、 136.4、 130.1、 130.1、 126.1、 125.7、 125.6、 124.3、 121.7、 119.9、 115.5、 81.4、 55.8、 28.2.
MS(ESI)m/z:371.2(M+H)。
NaHMDS(THF中1M(1.29ml))を、アルゴン下で臭化メチルトリフェニルホスホニウム(493mg、1.38mmol)の無水THF(7ml)溶液の中に、0℃で滴下状に加えた。結果として生じた溶液を15分間撹拌し、そして上記のアルデヒド中間体(341mg、0.92mmol)の無水THF(5ml)溶液を、徐々に加えて黄色の混合物を得て、それを室温まで暖めた。1時間後に、反応物にHOを追加することによって冷却し、DCMで抽出した。有機相をMgSO上で乾燥して、真空下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィ(8:2のヘキサン/EtOAc)によって精製して、無色の油の所望される[2−(3−メトキシ−5−ビニル−ベンゾイルアミノ)−フェニル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルを産出した。
【0032】
収量:90%、305mg。
H−NMR(CDCl、400MHz)δ:9.31(bs、1H)、7.68−7.63(m、1H)、7.58(s、1H)、7.45(s、1H)、7.30−7.25(m、1H)、7.17−7.07(m、4H)、6.73(dd、J = 17.6、11.0Hz、1H)、5.86(d、J = 17.6Hz、1H)、5.35(d、J = 11.0Hz、1H)、3.88(s、3H)、1.51(s、9H)。
13C−NMR(CDCl、100MHz)δ:165.5、 160.0、 154.6、 139.3、 135.8、 135.7、 130.4、 130.2、 125.9、 125.6、 125.6、 124.5、 117.6、 115.4、 115.3、 112.1、 81.1、 55.5、 28.2.
MS(ESI)m/z:369.2(M+H)。
【0033】
ステップD:(S)−7−アリルオキシ−7−[2−(3−メトキシ−5−ビニル−ベンゾイルアミノ)−フェニルカルバモイル]−ヘプタン酸メチルエステル
HCl(ジオキサン中4N(2ml))の溶液に、[2−(3−メトキシ−5−ビニル−ベンゾイルアミノ)−フェニル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(115mg、0.31mmol)を0℃で加えた。反応混合物を、真空下で濃縮する前に、4時間0℃で攪拌した。残渣を、繰り返しシクロヘキサンで懸濁し、真空下で濃縮して、粗製の固体の所望される2−(3−メトキシ−5−ビニル−ベンゾイルアミノ)−フェニル−塩化アンモニウムを得た。この固体は更なる精製なしに次のステップで使用した。
【0034】
DEPBT(196mg、0.66mmol)およびDIPEA(168μl(0.97mmol))を、(S)−2−アリルオキシ−オクタン二酸8−メチルエステル((S)−7−アリルオキシ−8−ヒドロキシ−オクタン酸メチルエステルから始めてWO08110583に記載されているようにして得た)(80mg、0.33mmol)のTHF(1.5ml)の溶液に加えた。結果として生じた反応混合物を、20分間攪拌し、そして2−(3−メトキシ−5−ビニル−ベンゾイルアミノ)−フェニル−塩化アンモニウムのTHF溶液5mlを加えた。反応混合物を18時間攪拌し、そしてNHClの飽和水溶液を加えて急冷し、そして次にEtOAcで抽出した。有機相を、飽和NaHCO(水溶液)および塩水で洗浄し、そしてMgSO上で乾燥させ、真空下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(6:4のヘキサン/EtOAc)で精製すると、白色固体の(S)−7−アリルオキシ−7−[2−(3−メトキシ−5−ビニル−ベンゾイルアミノ)−フェニルカルバモイル]−ヘプタン酸メチルエステルを得た。
【0035】
収量:77%、118mg。
H−NMR(CDCl、400MHz)δ:9.35(s、1H)、8.72(s、1H)、7.87−7.82(m、1H)、7.61(s、1H)、7.47−7.43(m、1H)、7.36−7.20(m、3H)、7.14−7.10(m、1H)、6.75(dd、J = 17.7、10.9Hz、1H)、5.97−5.86(m、1H)、5.88(d、J = 17.7Hz、1H)、5.36(d、J = 10.9Hz、1H)、5.30(dd、J = 17.7、1.5Hz、1H)、5.22(dd、J = 10.3、1.3Hz、1H)、4.10(dd、J = 5.8、1.3Hz、2H)、4.00(t、J = 4.9Hz、1H)、3.90(s、3H)、3.65(s、3H)、2.20(t、J = 7.5Hz、2H)、1.89−1.74(m、2H)、1.54−1.09(m、6H)。
13C−NMR(CDCl、100MHz)δ:174.0、 172.5、 165.0、 160.1、 139.3、 136.0、 135.7、 133.4、 131.4、 129.1、 126.9、 126.2、 126.0、 124.5、 118.5、 117.4、 115.7、 115.4、 111.8、 79.5、 71.7、 55.5、 51.4、 33.8、 32.4、 28.8、 24.6、 24.2.
MS(ESI)m/z:495.2(M+H)。
【0036】
ステップE:6−((Z)−(S)−19−メトキシ−2,11−ジオキソ−13−オキサ−3,10−ジアザ−トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4,6,8,15,17,19−ヘプタエン−12−イル)−ヘキサン酸メチルエステル
ホベイダ−グラブスの触媒(13mg、0.021mmol)を、(S)−7−アリルオキシ−7−[2−(3−メトキシ−5−ビニル−ベンゾイルアミノ)−フェニルカルバモイル]−ヘプタン酸メチルエステル(103mg、0.21mmol)のジクロロエタン(210ml)溶液に加えた、そして結果として生じた溶液を、真空下で濃縮する前に48時間還流させた。フラッシュクロマトグラフィ(6:4のヘキサン/EtOAc)によって精製すると、白色固体の6−((Z)−(S)−19−メトキシ−2,11−ジオキソ−13−オキサ−3,10−ジアザ−トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4,6,8,15,17,19−ヘプタエン−12−イル)−ヘキサン酸メチルエステルが産出した。
【0037】
収量:25%、24mg。
H−NMR(CDCl、400MHz)δ:8.58(s、1H)、8.24(s、1H)、8.11−8.06(m、1H)、7.54(s、1H)、7.45−7.41(m、1H)、7.36−7.30(m、1H)、7.21−7.17(m、1H)、7.14−7.08(m、1H)、6.91(s、1H)、6.77(d、J = 11.5Hz、1H)、6.02(ddd、J = 16.6、10.0、7.2Hz、1H)、4.47(t、J = 9.9Hz、1H)、4.07−3.98(m、1H)、3.93−3.85(m、1H)、3.89(s、3H)、3.71(s、3H)、2.38(t、J = 7.4Hz、2H)、1.97−1.86(m、2H)、1.77−1.35(m、6H)。
MS(ESI)m/z:467.2(M+H)。
【0038】
ステップF:6−((Z)−(S)−19−メトキシ−2,11−ジオキソ−13−オキサ−3,10−ジアザ−トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4,6,8,15,17,19−ヘプタエン−12−イル)−ヘキサンヒドロキサム酸
HONH(50%水溶液、20μl、0.32mmol)を、6−((Z)−(S)−19−メトキシ−2,11−ジオキソ−13−オキサ−3,10−ジアザ−トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4,6,8,15,17,19−ヘプタエン−12−イル)−ヘキサン酸メチルエステル(10mg、0.02mmol)のMeOH−THF(1:1のv/v、1ml)溶液に0℃で加えた。続いて1NのNaOH(214μl、0.21mmol)を慎重に追加した。混合物を4時間以内に室温になるまでにさせて、そして一晩中攪拌した。反応混合物を、EtOAcおよび1NのHCl(7−8当量)を加える前に、0℃まで冷却した。結果として生じた混合物を、EtOAcとHOとの間で分割した。有機相を、3回HOで、次に塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥させた。溶媒を真空下でシクロヘキサンと共に蒸発させ除去すると、所望される6−((Z)−(S)−19−メトキシ−2,11−ジオキソ−13−オキサ−3,10−ジアザ−トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4,6,8,15,17,19−ヘプタエン−12−イル)−ヘキサンヒドロキサム酸を産出した。
【0039】
収量:定量的。
H−NMR(CDCl、400MHz)δ:10.33(bs、1H)、10.14(bs、1H)、9.33(bs、1H)、8.67(bs、1H)、7.98−7.95(m、1H)、7.73(s、1H)、7.37−7.31(m、2H)、7.29−7.27(m、1H)、7.26−7.20(m、1H)、7.11−7.07(m、1H)、6.79(d、J = 11.6Hz、1H)、6.05(ddd、J = 17.3、9.9、7.3Hz、1H)、4.49(t、J = 9.8Hz、1H)、4.10(dd、J = 9.4、7.7Hz、1H)、3.98(t、J = 6.7Hz、1H)、3.84(s、3H)、1.99(t J = 7.2Hz、2H)、1.82−1.74(m、2H)、1.60−1.28(m、6H)。
MS(ESI)m/z:468.2(M+H)。
【0040】
実施例 2
6−((Z)−(R)−19−メトキシ−2,11−ジオキソ−13−オキサ−3,10−ジアザ−トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4,6,8,15,17,19−ヘプタエン−12−イル)−ヘキサンヒドロキサム酸
実施例2は、(S)−2−アリルオキシ−オクタン二酸8−メチルエステルの代わりにステップDで(R)−2−アリルオキシ−オクタン二酸8−メチルエステルを使って実施例1で記述される手順によって調製した。分析的データは、実施例1で記述したその対応する鏡像異性体のそれらに、一致した。実施例3は、スキーマ2に記述した手順に従って合成した。
【0041】
実施例 3
(S)−2−(6,18−ジオキソ−5,6,7,9,10,11,12,13,18,19−デカヒドロベンゾ[5,6][1,4,7]−オキサジアザシクロ−テトラデシノ[10,9−b]インドール−7−イル)−N−ヒドロキシアセトアミド
【化6】

【0042】
ステップA:2−アリル−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール
t−BuLi(ペンタン中1.7M、22.8ml、38.70mmol)を、−78℃で1−トシル−1H−インドール(10.0g、36.86mmol)のEtO 210ml溶液に、滴下状に加えた。結果として生じた懸濁液を、−78℃にクールダウンさせる前の1時間以内に−40℃までに暖めて置いた。I(28.07g、110.58mmol)を一部分ずつ加え、そして混合物を一晩かけて室温にまでにさせた。反応物にNHCl(飽和水溶液)を追加することによって冷却した、そして有機相は、Na(飽和水溶液)で繰り返し洗浄し、MgSO上で乾燥させて、真空下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(9:1のヘキサン/EtOAc)によって精製して、淡黄色固体のヨウ化された産物を得た。
【0043】
収量:81%、11.86g。
H−NMR(CDCl、400MHz)δ:8.32−8.28(m、1H)、7.82−7.78(m、2H)、7.44−7.40(m、1H)、7.32−7.20(m、4H)、7.00(s、1H)、2.36(s、3H)。
13C−NMR(CDCl、100MHz)δ:145.2、 138.4、 135.2、 131.7、 129.7、 127.1、 124.8、 124.1、 123.7、 119.6、 115.4、 75.3、 21.6.
MS(ESI)m/z:398.0(M+H)。
【0044】
i−PrMgCl(THF中2.0M、20ml、40mmol)を、上記のヨウ化したインドール(7.95g、20mmol)のTHF200ml溶液に−20℃で滴下状に加えた。結果として生じた溶液を、2時間攪拌した。CuCl.2LiCl(THF中0.1M、20ml、2.0mmol)および臭化アリル(5.1ml、60mmol)を順番に加え、そして結果として生じた反応混合物を室温になるまで放置した。反応物は塩水で冷却させて、EtOACで抽出した。有機相はMgSO上で乾燥させ、真空下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(95:5のヘキサン/EtOAc)によって精製すると、無色の油の2−アリル−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドールを得た。
【0045】
収量:90%、5.61g。
H−NMR(CDCl、400MHz)δ:8.22−8.16(m、1H)、7.71−7.64(m、2H)、7.46−7.41(m、1H)、7.32−7.18(m、4H)、6.43−6.40(m、1H)、6.07(ddt、J = 16.8、10.1、6.7Hz、1H)、5.24(ddd、J = 8.3、3.1、1.6Hz、1H)、5.22−5.20(m、1H)3.80(dd、J = 6.7、1.2Hz、2H)(2.36(s、3H))。
13C−NMR(CDCl、100MHz)δ:144.7、 140.1、 137.1、 136.1、 134.1、 129.8、 129.6、 126.3、 123.9、 123.4、 120.2、 117.8、 114.7、 109.3、 33.4、 21.5.
MS(ESI)m/z:312.1(M+H)。
【0046】
ステップB:2−アリル−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−3−カルボン酸
TiCl(DCM中1M、20.7ml、20.7mmol)を、−78℃で2−アリル−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール(2.15g、6.9mmol)およびジクロロメチルメチルエーテル(0.94ml、10.4mmol)のDCM(70ml)溶液に滴下状に加えた。結果として生じた溶液を、5時間攪拌して、水を加えて冷却し、DCMで抽出した、そして有機相をMgSO上で乾燥させて、真空下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(8:2のヘキサン/EtOAc)によって精製すると、白色固体のアルデヒド中間体を得た。
【0047】
収量:91%、2.13g。
H−NMR(CDCl、400MHz)δ:10.30(s、1H)、8.33−8.27(m、1H)、8.22−8.16(m、1H)、7.77(d、J = 8.0Hz、2H)、7.42−7.34(m、2H)、7.26(d、J = 8.0Hz、2H)、6.11(ddt、J = 17.1、10.1、5.9Hz、1H)、5.16(dd、J = 10.1、1.0、1H)、5.10(dd、J = 17.1、1.0Hz、1H)、4.26(dt、J = 5.9、1.5Hz、2H)、2.37(s、3H)。
13C−NMR(CDCl、100MHz)δ:185.7、 148.9、 145.8、 135.8、 135.4、 134.3、 130.0、 126.7、 126.0、 125.6、 125.0、 121.4、 119.3、 117.6、 114.3、 29.4、 21.5。
MS(ESI)m/z:340.1(M+H)。
NaClO(4.67g、41.2mmol、80%)を、上記のアルデヒド(700mg、2.06mmol)およびNaHPO(5.00g、41.66mmol)のt−BuOH:2−メチル−2−ブテン:HO(2:2:1、v/v、100ml)混合物溶液に加えた。結果として生じた反応混合物を、室温で24時間攪拌した。95/5のDCM:MeOH(200ml)の混合物で希釈後、溶液を塩水で洗浄し、MgSO上で乾燥させて、真空下で濃縮した。残留物を0.5MのKCO水溶液の中で懸濁し、DCMで抽出した。水相を、DCMで抽出しMgSO上で乾燥させて真空下で濃縮する前に、濃縮されたHClで酸性化させた。結果として生じた油状残渣を結晶化させ、ヘキサンで慎重にきれいにすすいで無色針状晶の2−アリル−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−3−カルボン酸を得た。
【0048】
収量:94%、689mg。
H−NMR(CDCl、400MHz)δ:8.26−8.20(m、2H)、7.75(d、J = 8.1Hz、2H)、7.41−7.34(m、2H)、7.26(d、J = 8.1Hz、2H)、6.07(ddt、J = 17.1、10.2、6.0Hz、1H)、5.18(dd、J = 17.1、1.5Hz、1H)、5.11(dd、J = 10.2、1.5Hz、1H)、4.40(d、J = 6.0Hz)、2.39(s、3H)。
13C−NMR(CDCl、100MHz)δ:169.5、 148.2、 145.6、 135.9、 135.7、 134.4、 130.0、 127.3、 126.7、 125.1、 124.6、 122.0、 117.0、 114.6、 110.9、 30.5、 21.6.
MS(ESI)m/z:356.1(M+H)。
【0049】
ステップC:(2−{[2−アリル−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−3−カルボニル]−アミノ}−フェニル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
PyBrOP(555mg、1.20mmol)およびDIPEA(553μl(3.20mmol))を、室温で2−アリル−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−3−カルボン酸(282mg、0.80mmol)およびtert−ブチル(2−アミノフェニル)カルバミン酸塩(198mg、0.90mmol)のCHCl(1.2ml)溶液に、順番に加えた。結果として生じた反応混合物を、CHClで希釈し、5%のNaHCO(水溶液)、水および塩水で洗浄する前に、48間攪拌した。NaSO上で乾燥後に、溶液を真空下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(8:2のヘキサン/EtOAc)によって精製すると、白い固体の所望される(2−{[2−アリル−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−3−カルボニル]−アミノ}−フェニル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルを得た。
【0050】
収量:78%、320mg。
H−NMR(CDCl、400MHz)δ:8.28−8.24(m、1H)、8.21(s、1H)、7.90−7.85(m、1H)、7.74(d、J = 8.4Hz、2H)、7.60−7.52(m、2H)、7.42−7.31(m、2H)、7.28−7.14(m、4H)、6.97(bs、1H)、6.19(ddt、J = 17.1、10.2、5.8Hz、1H)、5.19(dd、J = 10.2、1.4Hz、1H)、5.15(dd、J = 17.1、1.4Hz、1H)、4.19(d、J = 5.8Hz、2H)、2.38(s、3H)、1.42(s、9H)。
13C−NMR(CDCl、100MHz)δ:163.2、 153.9、 145.4、 140.4、 136.0、 135.8、 135.3、 131.0、 130.0、 129.8、 129.7、 127.0、 126.6、 125.5、 125.1、 125.0、 124.8、 124.4、 119.8、 117.2、 117.2、 114.9、 80.8、 30.7、 28.2、 21.5.
MS(ESI)m/z:546.2(M+H)。
【0051】
ステップD:(S)−7−アリルオキシ−7−(2−{[2−アリル−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−3−カルボニル]−アミノ}−フェニルカルバモイル)−ヘプタン酸メチルエステル
HCl(ジオキサン中4N、1.5ml)を、0℃で(2−{[2−アリル−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−3−カルボニル]−アミノ}−フェニル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(120mg、0.22mmol)に加えて、そして結果として生じる反応混合物を、真空下で濃縮する前に4時間0℃で攪拌した。得られた残渣を、繰り返しシクロヘキサンで懸濁して、真空下で濃縮すると、さらなる精製なしに次のステップで使われた未精製の固体の所望される2−{[2−アリル−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−3−カルボニル]−アミノ}−フェニル−塩化アンモニウムを産出した。
DEPBT(145mg、0.48mmol)およびDIPEA(123μl(0.70mmol))を、(S)−2−アリルオキシ−オクタン二酸8−メチルエステル([α]20=−13.3(c 0.9、CHCl);60mg、0.242mmol)のTHF(1ml)溶液に加えた。結果として生じた溶液を、2−{[2−アリル−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−3−カルボニル]−アミノ}−フェニル−塩化アンモニウムのTHF(1ml)水溶液を追加する前に、20分間攪拌した。反応混合物を18時間攪拌し、飽和NHCl(水溶液)加えることによって急冷させ、そしてEtOAcで抽出した。有機相を、飽和のNaHCO(水溶液)および塩水で洗浄し、MgSO上に乾燥させ、真空下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(6:4のヘキサン/EtOAc)によって精製すると、白色固体の所望される(S)−7−アリルオキシ−7−(2−{[2−アリル−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−3−カルボニル]−アミノ}−フェニルカルバモイル)−ヘプタン酸メチルエステルを産出した。
【0052】
収量:78%、115mg。
H−NMR(CDCl、400MHz)δ:8.90(s、1H)、8.34(s、1H)、8.24(d、J = 8.1Hz、1H)、7.87(d、J = 7.8Hz、1H)、7.74(d、J = 8.4Hz、2H)、7.63−7.59(m、1H)、7.55−7.49(m、1H)、7.41−7.23(m、6H)、6.16(ddt、J = 17.1、10.2、5.8Hz、1H)、5.77(ddt、J = 17.1、10.6、5.6Hz、1H)、5.19−5.10(m、3H)、4.99(dd、J = 10.4、0.9Hz、1H)、4.28−4.14(m、2H)、4.08−3.92(m、2H)、3.87(dd、J = 6.6、4.7Hz、1H)、3.66(s、3H)、2.38(s、3H)、2.23(t、J = 7.5Hz、2H)、1.76−1.66(m、2H)、1.54−1.44(m、2H)、1.39−1.30(m、2H)、1.24−1.13(m、2H)。
13C−NMR(CDCl、100MHz)δ:173.7、 171.7、 162.8、 145.1、 140.6、 135.6、 135.4、 135.0、 133.0、 130.0、 129.7、 129.6、 126.5、 126.4、 126.3、 126.1、 125.2、 124.8、 124.7、 124.0、 119.6、 117.7、 116.8、 116.6、 114.5、 79.4、 71.3、 51.1、 33.5、 32.2、 30.4、 28.4、 24.2、 24.1、 21.2.
MS(ESI)m/z:672.3(M+H)。
【0053】
ステップE:(S)−メチル−6−(6,18−ジオキソ−13−トシル−5,6,7,9,10,11,12,13,18,19−デカヒドロベンゾ[5,6][1,4,7]オキサジアザシクロテトラデシノ[10,9−b]インドール−7−イル)ヘキサン酸
グラブスの第二世代の触媒(13mg、0.023mmol)および(S)−7−アリルオキシ−7−(2−{[2−アリル−1−(トルエン−4−スルホニル)−1H−インドール−3−カルボニル]−アミノ}−フェニルカルバモイル)−ヘプタン酸メチルエステル(103mg、0.15mmol)のジクロロエタン(150ml)溶液を、真空下で濃縮する前に18時間還流させた。フラッシュクロマトグラフィ(6:4のヘキサン/EtOAc)によって精製すると、EおよびZ異性体の混合物の所望されるアルケン71mgを得た。混合物を、室温で5時間H雰囲気(1気圧)下、カーボン(4.7mg)上で3%のPdを含むMeOH内で攪拌した。Celite(登録商標)のパッドを通して濾過後、所望される(S)−メチル−6−(6,18−ジオキソ−13−トシル−5,6,7,9,10,11,12,13,18,19−デカヒドロベンゾ[5,6][1,4,7]オキサジアザシクロテトラデシノ[10,9−b]インドール−7−イル)ヘキサン酸を、白色固体として得た。
【0054】
収量:72%、71mg。
H−NMR(CDCl、400MHz)δ:9.00(s、1H)、8.21(d、J = 7.5Hz、1H)、8.11−8.03(m、2H)、7.76−7.64(m、3H)、7.40−7.12(m、7H)、3.72(t、J = 4.6Hz、1H)、3.63(s、3H)、3.51−3.30(m、2H)、2.37(s、3H)、2.30(t、J = 7.3Hz、2H)、2.00−1.88(m、1H)、1.84−1.56(m、7H)、1.49−1.24(m、6H)。
MS(ESI)m/z:646.3(M+H)。
【0055】
ステップF:(S)−2−(6,18−ジオキソ−5,6,7,9,10,11,12,13,18,19−デカヒドロベンゾ[5,6][1,4,7]−オキサジアザシクロテトラデシノ[10,9−b]インドール−7−イル)−N−ヒドロキシアセトアミド
Ar雰囲気下のKHPO(8mg、0.06mmol)を、(S)−メチル−6−(6,18−ジオキソ−13−トシル−5,6,7,9,10,11,12,13,18,19−デカヒドロベンゾ[5,6][1,4,7]オキサジアザシクロテトラデシノ[10,9−b]インドール−7−イル)ヘキサン酸(13mg、0.02mmol)のTHF−MeOH(2:1v/v(360)μl)溶液に加えた。ナトリウムアマルガム(68mg、0.30mmol、10%のNa)を次に加え、そして結果として生じた反応混合物を、室温で5時間攪拌した。水銀を、溶液を飽和NaHCO(水溶液)に注ぐ前に溶液からデカントしたままにした。結果として生じた混合物を、EtOAcで抽出した。有機相をMgSO上で乾燥させて、真空下で濃縮した。脱保護された大環状エステルを0℃でMeOH−THF(1:1のv/v、1ml)に溶かし、そしてHONH(50%の水溶液、20μl、(0.32mmol))を加え、そして続いて1NのNaOH(214μl(0.21mmol))を慎重に加えた。混合物は3〜4時間以内に室温までにさせて、一晩中攪拌した。反応混合物を0℃までに冷却し、そしてEtOAcを加え、次に1NのHCl(7〜8当量)を加えた。結果として生じた混合を、EtOAcとHOの間で分割した。有機相をHOで3回、次に塩水で洗浄し、そして最後にMgSO上で乾燥させた。溶媒を真空下でシクロヘキサンとの共蒸発によって除去すると、所望される(S)−2−(6,18−ジオキソ−5,6,7,9,10,11,12,13,18,19−デカヒドロベンゾ[5,6][1,4,7]−オキサジアザシクロテトラデシノ[10,9−b]インドール−7−イル)−N−ヒドロキシアセトアミドが得られた。
【0056】
収量:定量的。
H−NMR(CDCl、400MHz)δ:11.54(s、1H)、10.31(bs、1H)、9.55(bs、1H)、9.12(bs、1H)、8.65(bs、1H)、8.06−8.01(m、1H)、7.85−7.81(m、1H)、7.52−7.48(m、1H)、7.41−7.37(m、1H)、7.33−7.27(m、1H)、7.23−7.18(m、1H)、7.17−7.10(m、2H)、3.81−3.76(m、1H)、3.65−3.58(m、1H)、3.53−3.45(m、1H)、2.04−1.96(m、2H)、1.93(t、J = 7.3Hz、2H)、1.80−1.57(m、5H)、1.53−1.24(m、7H)。
MS(ESI)m/z:647.3(M+H)。
【0057】
生物学的結果
材料と方法
細胞毒性アッセイ
表1は、ヒトHDAC酵素および基質(10μM)として蛍光発生ペプチドを使用して得られたIC50データを報告する。この基質はε−アセチル化リジン側鎖を含む特定のp53断片残基379−392:Arg−His−Lys−Lys(Ac)と結合した。基質を、11の単一HDAC精製酵素でインキュベートした。それの脱アセチル後に、フルオロフォアが遊離して蛍光放出した。後者を蛍光計で検出し、そして化合物のIC50値は用量反応抑制曲線を分析することで決定した。TSAおよびSAHAを、基準化合物として使用した。
【0058】
【表1】

【0059】
例1および3の化合物は、それぞれ9から90まで、および60から550までの範囲の他のHDACアイソフォームへ向かう非常に高い選択性を実証した。ヘキサン鎖の6位の炭素原子上の立体化学が化合物の効力にほとんど影響を及ぼさなかった点に気がついたのも驚きだった。第2のアミド部分の代わりにエーテル架橋を保有する類似体の中で、上述のセンターの立体化学が多様なHDACアイソフォームへ向かう分子の親和性により多くの影響があったので、この結果は最も予想外であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Iを有する化合物
【化1】

[式中、
Xは、CONHまたはNHCO;
Yは、O、NH、NHCOまたはCONH;
Zは、CONHOH、SH、SAc、COCHまたはCOH;
Arは、C−アリールまたはC−C10−ヘテロアリールであって、前記アリールまたは前記ヘテロアリールは、以下からなるグループから選択される1〜4つのグループで置換されていてもよい:C−Cアルキル、ヒドロキシ基、アルコキシル基、アミノまたはアルキルアミノ;
はH、CONHR、NHR、アミノ−(C−C)−アルキルまたは(C−C)−アルキルアミノ−(C−C)−アルキル;
は、HまたはC−C−アルキル;
mは、4と6の間に含まれる整数;
nは、0と1の間に含まれる整数]、
上記の互変異性体、上記の幾何異性体、上記の光学活性型(例えば鏡像異性体、ジアステレオマーおよび上記のラセミ化合物型)、ならびにその薬学的に許容できる塩類。
【請求項2】
ZがCONHOHである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
以下からなるグループから選択される請求項1または請求項2に記載の化合物:
6−((Z)−(S)−19−メトキシ−2,11−ジオキソ−13−オキサ−3,10−ジアザ−トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4,6,8,15,17,19−ヘプタエン−12−イル)−ヘキサノヒドロキサム酸(hexanoic hydroxamic acid)、6−((Z)−(R)−19−メトキシ−2,11−ジオキソ−13−オキサ−3,10−ジアザ−トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4,6,8,15,17,19−ヘプタエン−12−イル)−ヘキサノヒドロキサム酸、(S)−2−(6,18−ジオキソ−5,6,7,9,10,11,12,13,18,19−デカヒドロベンゾ[5,6][1,4,7]−オキサジアザシクロ−テトラデシノ[10,9−b]インドール−7−イル)−N−ヒドロキシアセトアミド、6−(S)−(2,11−ジオキソ−13−オキサ−3,10−ジアザ−トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4(9),5,7,17,19−ヘキサエン−12−イル)−ヘキサン酸ヒドロキシアミド、6−(S)−(19−メトキシ−2,11−ジオキソ−13−オキサ−3,10−ジアザ−トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4(9),5,7,17,19−ヘキサエン−12−イル)−ヘキサン酸、6−(S)−(19−ヒドロキシ−2,11−ジオキソ−3,10,13−トリアザ-トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4(9),5,7,17,19−ヘキサエン−12−イル)−ヘキサン酸;6−(S)−(19−メトキシ−3,11−ジオキソ−13−オキサ−2,10−ジアザ−トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4(9),5,7,17,19−ヘキサエン−12−イル)−ヘキサン酸ヒドロキシアミド、6−(S)−(20−メトキシ−3,12−ジオキソ−14−オキサ−4,11−ジアザ−トリシクロ[16.3.1.05,10]ドコサ−1(22),5(10),6,8,18,20−ヘキサエン−13−イル)−ヘキサン酸ヒドロキシアミド、6−(S)−[7−(アセチルアミノメチル)−19−メトキシ−2,11−ジオキソ−13−オキサ−3,10−ジアザ−トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4(9),5,7,17,19−ヘキサエン−12−イル]−ヘキサン酸ヒドロキシアミド、N−ヒドロキシ−6−(S)−(13−メトキシ−6,18−ジオキソ−5,6,7,9,10,11,12,13,18,19−デカヒドロインドロ[2,3−i][4,1,12]ベンズオキサジアザシクロテトラデシン−7−イル)ヘキサンアミド、N−ヒドロキシ−6−(S)−(13−メトキシ−6,18−ジオキソ−6,7,8,9,10,11,12,13,18,19−デカヒドロ−5H−インドロ[2,3−i][1,4,12]ベンゾトリアザシクロテトラデシン−7−イル)ヘキサンアミド、6−(S)−(13−メトキシ−6,18−ジオキソ−5,6,7,9,10,11,12,13,18,19−デカヒドロインドロ[2,3−i][4,1,12]ベンズオキサジアザシクロテトラデシン−7−イル)ヘキサン酸、N−ヒドロキシ−6−(S)−(16−メトキシ−6,18−ジオキソ−5,6,7,9,10,11,12,13,18,19−デカヒドロインドロ[2,3−i][4,1,12]ベンズオキサジアザシクロテトラデシン−7−イル)ヘキサンアミド、6−(S)−(6,19−ジオキソ−5,6,7,9,10,11,12,17,18,19−デカヒドロインドロ[2,3−h][4,1,11]ベンズオキサジアザシクロテトラデシン−7−イル)−N−ヒドロキシヘキサンアミド、6−(S)−(6,20−ジオキソ−6,7,9,10,11,12,13,18,19,20−デカヒドロ−5H−インドロ[2,3−i][4,1,12]ベンズオキサジアザシクロペンタデシン−7−イル)−N−ヒドロキシヘキサンアミド、6−(R)−(2,11−ジオキソ−13−オキサ−3,10−ジアザ−トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4(9),5,7,17,19−ヘキサエン−12−イル)−ヘキサン酸ヒドロキシアミド、6−(R)(19−メトキシ−2,11−ジオキソ−13−オキサ−3,10−ジアザ−トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4(9),5,7,17,19−ヘキサエン−12−イル)−ヘキサン酸、6−(R)−(19−ヒドロキシ−2,11−ジオキソ−3,10,13−トリアザトリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4(9),5,7,17,19−ヘキサエン−12−イル)−ヘキサン酸;6−(R)−(19−メトキシ−3,11−ジオキソ−13−オキサ−2,10−ジアザ−トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4(9),5,7,17,19−ヘキサエン−12−イル)−ヘキサン酸ヒドロキシアミド、6−(R)−(20−メトキシ−3,12−ジオキソ−14−オキサ−4,11−ジアザ−トリシクロ[16.3.1.05,10]ドコサ−1(22),5(10),6,8,18,20−ヘキサエン−13−イル)−ヘキサン酸ヒドロキシアミド、6−(R)−[7−(アセチルアミノ−メチル)−19−メトキシ−2,11−ジオキソ−13−オキサ−3,10−ジアザ−トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4(9),5,7,17,19−ヘキサエン−12−イル]−ヘキサン酸ヒドロキシアミド、N−ヒドロキシ−6−(R)−(13−メトキシ−6,18−ジオキソ−5,6,7,9,10,11,12,13,18,19−デカヒドロインドロ[2,3−i][4,1,12]ベンズオキサジアザシクロテトラデシン−7−イル)ヘキサンアミド、N−ヒドロキシ−6−(R)−(13−メトキシ−6,18−ジオキソ−6,7,8,9,10,11,12,13,18,19−デカヒドロ−5H−インドロ[2,3−i][1,4,12]ベンゾトリアザシクロテトラデシン−7−イル)ヘキサンアミド、6−(R)−(13−メトキシ−6,18−ジオキソ−5,6,7,9,10,11,12,13,18,19−デカヒドロインドロ[2,3−i][4,1,12]ベンズオキサジアザシクロテトラデシン−7−イル)ヘキサン酸、N−ヒドロキシ−6−(R)−(16−メトキシ−6,18−ジオキソ−5,6,7,9,10,11,12,13,18,19−デカヒドロインドロ[2,3−i][4,1,12]ベンズオキサジアザシクロテトラデシン−7−イル)ヘキサンアミド、6−(R)−(6,19−ジオキソ−5,6,7,9,10,11,12,17,18,19−デカヒドロインドロ[2,3−h][4,1,11]ベンズオキサジアザシクロテトラデシン−7−イル)−N−ヒドロキシヘキサンアミド、および6−(R)−(6,20−ジオキソ−6,7,9,10,11,12,13,18,19,20−デカヒドロ−5H−インドロ[2,3−i][4,1,12]ベンズオキサジアザシクロペンタデシン−7−イル)−N−ヒドロキシヘキサンアミド。
【請求項4】
以下からなるグループから選ばれる請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物:
6−((Z)−(S)−19−メトキシ−2,11−ジオキソ−13−オキサ−3,10−ジアザ−トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4,6,8,15,17,19−ヘプタエン−12−イル)−ヘキサノヒドロキサム酸、6−((Z)−(R)−19−メトキシ−2,11−ジオキソ−13−オキサ−3,10−ジアザ−トリシクロ[15.3.1.04,9]ヘンイコサ−1(21),4,6,8,15,17,19−ヘプタエン−12−イル)−ヘキサノヒドロキサム酸、(S)−2−(6,18−ジオキソ−5,6,7,9,10,11,12,13,18,19−デカヒドロベンゾ[5,6][1,4,7]−オキサジアザシクロ−テトラデシノ[10,9−b]インドール−7−イル)−N−ヒドロキシアセトアミド。
【請求項5】
少なくとも1つの薬学的に許容できる媒体および/または賦形剤を有する混合物内の活性成分としての請求項1〜4のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物。
【請求項6】
薬剤としての請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項7】
HDAC6活性の調節が患者の健康を増進する病理学的状態を治療するための薬剤を調製するための請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記病理学的状態が、癌、神経疾患、炎症性疾患またはマラリア原虫感染症である請求項7に記載の使用。
【請求項9】
前記癌が胸部、すい臓、肺、結腸、肋膜、腹膜、顔面および頚部、腎臓、膀胱、脳、前立腺、卵巣または眼の癌である請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記癌が転移型の癌である請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記炎症性疾患が慢性関節リウマチである請求項8に記載の使用。
【請求項12】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の化合物と共に薬学的に許容できる賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項13】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の化合物の投与を含む癌に冒された患者の治療方法。
【請求項14】
請求項1記載の化合物(Xが、フェニル部分と連結する窒素原子を有するNHCOであり、R、Y、Z、Ar、mおよびnが、請求項1で定義された通りである)を合成する方法であって、
式IIの化合物:
【化2】

(式中、R、Y、Z、Ar、mおよびnは以前に定義されたとおりであり、Xはフェニル部分と連結する窒素原子を有するNHCOである)を、最大48時間、還流温度で、トルエンまたはジクロロエタンを含むグループから選択される非プロトン性溶媒中にて、(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(o−イソプロポキシフェニルメチレン)ルテニウムと反応させることによって得る、方法。

【公表番号】特表2013−508323(P2013−508323A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534605(P2012−534605)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/063894
【国際公開番号】WO2011/047926
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(591043248)シグマ−タウ・インドゥストリエ・ファルマチェウチケ・リウニテ・ソシエタ・ペル・アチオニ (92)
【氏名又は名称原語表記】SIGMA−TAU INDUSTRIE FARMACEUTICHE RIUNITE SOCIETA PER AZIONI
【Fターム(参考)】