説明

合成抗微生物性ポリペプチド

本発明は、抗微生物活性を有するポリペプチドおよび前記ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドに関する。また、本発明は、核酸構築物、ベクターおよび核酸構築物を含んでなる宿主細胞ならびに前記ポリペプチドを製造する方法および使用する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
抗微生物性ペプチド (AMP) は、新しい活性モードを有する抗微生物剤の比較的新しく発見されたグループである。
AMPは動物、植物および微生物において広く分布しており、最も古い防御因子の中に入る。ペプチドの大部分は、カチオン性または両親媒性である; これは負に帯電した細菌または真菌の膜との相互作用を可能とする特徴である。
【0002】
ペプチドの大きさは6〜7アミノ酸から60アミノ酸までの範囲である。500より多い異なるAMPが今日まで単離されてきている。AMPは構造またはアミノ酸組成に基づいていくつかのクラスに分割される。最も簡単な構造は小さいα-らせん状ペプチドである。他のAMPはβ-シート構造にフォールドするが、他のものは再び剛性のジサルファイド架橋三次元構造を形成する。
【0003】
AMPは通常殺菌性であり (静菌的(static)と反対に) そして極端に速く作用する。通常、ターゲット生物は数分以内に殺される。AMPはターゲット生物の膜機能を妨害することによって働く。作用のいくつかの異なるメカニズムが存在することが示されているが、ほとんどのAMPについては、全体的結果は膜の崩壊および/または細胞溶解である。
【0004】
微生物膜の選択性は、膜組成、膜電荷およびトランスメンブランポテンシャルにより仲介されている。微生物膜は高等生物の膜よりも高い負電荷を有し、異なるタイプのリン脂質を含有するが、コレステロールを含有しない。
ターゲット生物においてAMPに対する耐性を誘導することは極端に困難であることが証明された。これはターゲットの反射である; 多数の変更が発生して、膜の組成または電荷を変更させるに違いない。
【発明の開示】
【0005】
要約
第1の面において、本発明は、下記式のアミノ酸配列を含んでなる、抗微生物活性を有するポリペプチドに関する:
X1-X2-X3-X4-X5
式中X1、X2、X3、X4およびX5の各々はアミノ酸配列P-P-R-F、P-R-F-P、R-F-P-P、F-P-P-R、P-R-P-F、R-P-F-P、P-F-P-R、F-P-R-P、P-P-F-R、P-F-R-P、F-R-P-P、R-P-P-F、P-P-R-L、P-R-L-P、R-L-P-P、L-P-P-R、P-R-P-L、R-P-L-P、P-L-P-R、L-P-R-P、P-P-L-R、P-L-R-P、L-R-P-P、R-P-P-L、P-P-R-V、P-R-V-P、R-V-P-P、V-P-P-R、P-R-P-V、R-P-V-P、P-V-P-R、V-P-R-P、P-P-V-R、P-V-R-P、V-R-P-P、R-P-P-V、P-P-R-I、P-R-I-P、R-I-P-P、I-P-P-R、P-R-P-I、R-P-I-P、P-I-P-R、I-P-R-P、P-P-I-R、P-I-R-P、I-R-P-PおよびR-P-P-Iから成る群から選択され、そしてX1〜X5のうちの最大4つは同一である。
【0006】
第2の面において、本発明は、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドに関する。
第3の面において、本発明は、適当な宿主におけるポリペプチドの産生を指令する1または2以上の制御配列に作用可能に連鎖された、本発明のポリペプチドをコードする、ヌクレオチド配列を含んでなる核酸構築物に関する。
第4の面において、本発明は、本発明の核酸構築物を含んでなる組換え発現ベクターに関する。
【0007】
第5の面において、本発明は、本発明の核酸構築物を含んでなる組換え宿主細胞に関する。
第6の面において、本発明は、下記の工程を含んでなる、本発明のポリペプチドを製造する方法に関する:
(a) ポリペプチドの産生を促進する条件下に請求項12に記載の宿主細胞を培養し、そして
(b) ポリペプチドを回収する。
本発明の他の面は、下記の説明および特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
定義
本発明をさらに詳細に説明する前に、下記の用語およびコンベンションをまず定義する。
抗微生物活性: 用語「抗微生物活性」は、微生物細胞を殺すか、あるいはその増殖を阻害することができる活性として、本明細書において定義する。本発明の関係において、用語 「抗微生物性」 は、殺細菌作用および/または静細菌作用および/または殺真菌作用および/または静真菌作用および/または殺ウイルス作用が存在するを意味することを意図し、ここで用語 「殺細菌」 (bactericidal)は細菌細胞を殺すことができるとして理解すべきである。用語 「静細菌」 (bacteriostatic)は、細菌の増殖を阻害する、すなわち、増殖する細菌細胞を阻害することができるとして理解すべきである。用語 「殺真菌」 (fungicidal)は、真菌細胞を殺すことができるとして理解すべきである。用語 「静真菌」 (fungistatic)は、真菌の増殖を阻害する、すなわち、増殖する真菌細胞を阻害することができるとして理解すべきである。用語 「殺ウイルス」 (virucidal)は、ウイルスを殺すことができるとして理解すべきである。用語 「微生物細胞」 は、細菌細胞または真菌細胞 (酵母を包含する) を意味する。
【0009】
本発明の関係において、用語 「微生物細胞の増殖を阻害する」 は、細胞が非増殖状態にあること、すなわち、細胞が増殖することができないことを意味する。
本発明の目的に対して、抗微生物活性は下記の文献に記載されている手順に従い決定することができる: Lehrer 他、Journal of Immunological Methods Vol. 137 (2) pp. 167-174 (1991)。
【0010】
抗微生物活性を有するポリペプチドは、抗微生物活性を有するポリペプチドの25%(w/w) の水溶液、好ましくは10%(w/w) の水溶液、より好ましくは5%(w/w) の水溶液、なおより好ましくは1%(w/w) の水溶液、最も好ましくは0.5%(w/w) の水溶液、特に0.1%(w/w) の水溶液中で20℃において8時間 (好ましくは4時間、より好ましくは2時間、最も好ましくは1時間、特に30分) インキュベートした後、大腸菌 (Escherichia coli) (DSM 1576) の生きている細胞の数を1/100に減少させることができる。
【0011】
また、抗微生物活性を有するポリペプチドは、1000 ppmの濃度で添加したとき、好ましくは500 ppmの濃度で添加したとき、より好ましくは250 ppmの濃度で添加したとき、なおより好ましくは100 ppmの濃度で添加したとき、最も好ましくは50 ppmの濃度で添加したとき、特に25 ppmの濃度で添加したとき、微生物増殖基質中で25℃において24時間大腸菌 (Escherichia coli) (DSM 1576) の発芽後成長を阻害することができる。
【0012】
抗微生物活性を有するポリペプチドは、抗微生物活性を有するポリペプチドの25%(w/w) の水溶液、好ましくは10%(w/w) の水溶液、より好ましくは5%(w/w) の水溶液、なおより好ましくは1%(w/w) の水溶液、最も好ましくは0.5%(w/w) の水溶液、特に0.1%(w/w) の水溶液中で20℃において8時間 (好ましくは4時間、より好ましくは2時間、最も好ましくは1時間、特に30分) インキュベートした後、バシラス・サブチリス (Bacillus subtilis) (ATCC 6633) の生きている細胞の数を1/100に減少させることができる。
【0013】
また、抗微生物活性を有するポリペプチドは、1000 ppmの濃度で添加したとき、好ましくは500 ppmの濃度で添加したとき、より好ましくは250 ppmの濃度で添加したとき、なおより好ましくは100 ppmの濃度で添加したとき、最も好ましくは50 ppmの濃度で添加したとき、特に25 ppmの濃度で添加したとき、微生物増殖基質中で25℃において24時間バシラス・サブチリス (Bacillus subtilis) (ATCC 6633) の発芽後成長を阻害することができる。
【0014】
本発明のポリペプチドは、配列番号1〜配列番号319のいずれか1つのアミノ酸配列から成るポリペプチドの抗微生物活性の少なくとも20%を有することが好ましい。特に好ましい態様において、ポリペプチドは、配列番号1〜配列番号319のいずれか1つのアミノ酸配列から成るポリペプチドの抗微生物活性の少なくとも40%、例えば、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、例えば、少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、例えば、約または少なくとも100%を有するべきである。
【0015】
フラグメント: 本発明のアミノ酸配列の「フラグメント」は、本明細書において使用するとき、1または2以上のアミノ酸がアミノ末端および/またはカルボキシル末端から欠失されている、ポリペプチドのサブ配列である。好ましくは、1または2以上のアミノ酸がカルボキシル末端から欠失されている。好ましくは、フラグメントは少なくとも20アミノ酸から成る。
【0016】
対立遺伝子変異型: 本発明の関係において、用語 「対立遺伝子変異型」 は、同一染色体位置を占有する遺伝子の2またはそれ以上の選択的形態のいずれかを意味する。対立遺伝子変異型は自然に突然変異を通して生じ、そして集団内で多形性を生ずることがある。遺伝子の突然変異はサイレントである (コード化されたポリペプチドにおける変化が存在しない) か、あるいは変更されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードすることができる。ポリペプチドの対立遺伝子変異型は、遺伝子の対立遺伝子変異型によりコードされるポリペプチドである。
【0017】
実質的に純粋なポリヌクレオチド: 用語 「実質的に純粋なポリヌクレオチド」 は、本明細書において使用するとき、ポリヌクレオチドがその自然の遺伝的環境から除去されており、こうして他の外来性または望ましくないコード配列を含まず、遺伝子操作されたタンパク質製造系内の使用に適した形態である、ポリヌクレオチド調製物を意味する。こうして、実質的に純粋なポリヌクレオチドは、それが自然に関連する他のポリヌクレオチド物質を最大10重量%で含有する (より低い百分率の他のポリヌクレオチド物質が好ましい、例えば、最大8重量%、最大6重量%、最大5重量%、最大4重量%、最大3重量%、最大2重量%、最大1重量%、および最大0.5重量%)。しかしながら、実質的に純粋なポリヌクレオチドは、天然に存在する5’および3’非翻訳領域、例えば、プロモーターおよびターミネーターを含むことができる。
【0018】
実質的に純粋なポリヌクレオチドは少なくとも92%の純度を有する、すなわち、ポリヌクレオチドは調製物中に存在する全ポリヌクレオチド物質の少なくとも92重量%を構成することが好ましく、そしてより高い百分率、例えば、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、および少なくとも99.5%の純度であることが好ましい。本明細書に開示するポリヌクレオチドは、実質的に純粋な形態であることが好ましい。特に、本明細書に開示するポリヌクレオチドは「本質的に純粋な形態」である、すなわち、ポリヌクレオチド調製物はそれが自然に関連する他のポリヌクレオチド物質を本質的に含まないことが好ましい。ここにおいて、用語 「実質的に純粋なポリヌクレオチド」 は、用語 「単離されたポリヌクレオチド」 および「単離された形態のポリヌクレオチド」と同義である。
【0019】
1または2以上の修飾: 本発明の関係において、用語 「1または2以上の修飾」 は、下記式のアミノ酸配列から成るポリペプチド:
X1-X2-X3-X4-X5
式中X1、X2、X3、X4およびX5の各々はアミノ酸配列P-P-R-F、P-R-F-P、R-F-P-P、F-P-P-R、P-R-P-F、R-P-F-P、P-F-P-R、F-P-R-P、P-P-F-R、P-F-R-P、F-R-P-P、R-P-P-F、P-P-R-L、P-R-L-P、R-L-P-P、L-P-P-R、P-R-P-L、R-P-L-P、P-L-P-R、L-P-R-P、P-P-L-R、P-L-R-P、L-R-P-P、R-P-P-L、P-P-R-V、P-R-V-P、R-V-P-P、V-P-P-R、P-R-P-V、R-P-V-P、P-V-P-R、V-P-R-P、P-P-V-R、P-V-R-P、V-R-P-P、R-P-P-V、P-P-R-I、P-R-I-P、R-I-P-P、I-P-P-R、P-R-P-I、R-P-I-P、P-I-P-R、I-P-R-P、P-P-I-R、P-I-R-P、I-R-P-PおよびR-P-P-Iから成る群から選択され、そしてX1〜X5のうちの最大4つは同一である; または配列番号1〜配列番号319のいずれか1つのアミノ酸アミノ酸配列の化学的修飾ならびにポリペプチドをコードするDNAの遺伝的操作を意味することを意図する。
【0020】
1または2以上の修飾は、1または2以上のアミノ酸鎖の1または2以上の置換、問題の1または2以上のアミノ酸の中のまたはアミノ酸における1または2以上の置換、1または2以上の欠失および/または1または2以上の挿入; またはアミノ酸配列における同様な特性をもつ非天然アミノ酸の使用であることができる。特に、1または2以上の修飾はアミド化、例えば、C-末端におけるアミド化であることができる。
【0021】
cDNA: 用語 「cDNA」 は、この関係において使用するとき、真核細胞に由来する成熟、スプライスド、mRNA分子から逆転写により製造することができるDNA分子を包含することを意図する。cDNAは、通常対応するゲノムDNA中に存在するイントロン配列を欠如する。最初の一次的RNA転写体はmRNAに対する前駆体であり、そしてそれは1連のプロセシング事象を通過した後、成熟スプライスドmRNAとして出現する。これらの事象は、スプライシングと呼ぶプロセスによるイントロンの除去を含む。したがってcDNAがmRNAから誘導されるとき、それはイントロン配列を欠如する。
【0022】
核酸構築物: 本明細書において使用するとき、用語 「核酸構築物」 は、天然に存在する遺伝子から単離された、またはそうでなければ天然に存在しない方法で核酸のセグメントを含有するように修飾された、一本鎖または二本鎖の核酸分子を意味する。用語 「核酸構築物」 は、核酸構築物が本発明のコード配列の発現に要求される制御配列を含有するとき、用語 「発現カセット」 と同義である。
【0023】
制御配列: 用語 「制御配列」 は、本発明のポリペプチドの発現に必要なまたは好都合な、すべてが成分を含むと、ここにおいて定義される。各制御配列は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に対して自然または外来であることができる。このような制御配列は、下記のものを包含するが、これらに限定されない:リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモーター、シグナルペプチド配列、および転写ターミネーター。最小において、制御配列はプロモーター、および転写および翻訳停止シグナルを包含する。制御配列は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列のコーディング領域との制御配列の結合を促進する特異的制限部位を導入する目的で、リンカーを有することができる。
【0024】
作用可能に連鎖された: 用語 「作用可能に連鎖された」 は、制御配列がポリペプチドの発現を指令するように、DNA配列のコード配列に関して制御配列が適当に配置されている立体配置として本明細書において定義される。
【0025】
コード配列: 本明細書において使用するとき、用語 「コード配列」 は、そのタンパク質産物のアミノ酸配列を直接特定する、ヌクレオチド配列を包含することを意図する。コード配列の境界は、通常ATG開始コドンで開始する、オープンリーディングフレームにより一般に決定される。典型的には、コード配列は、DNA、cDNAおよび組換えヌクレオチド配列を包含する。
【0026】
発現: 本発明の関係において、用語 「発現」 は、ポリペプチドの産生に関係する工程を包含し、それらは下記を包含するが、これらに限定されない:転写、転写後の修飾、翻訳、および翻訳後の修飾。好ましくは、発現はまたポリペプチドの分泌を包含する。
発現ベクター: 本発明の関係において、用語 「発現ベクター」 は、本発明のポリペプチドをコードするセグメントを含んでなり、そしてその転写を提供する追加のセグメントに作用可能に連鎖された、線状または環状のDNA分子を包含する。
【0027】
宿主細胞: 用語 「宿主細胞」 は、本明細書において使用するとき、核酸構築物による形質転換に対して感受性である、任意の細胞のタイプを包含する。
用語 「ポリヌクレオチドプローブ」 、「ハイブリダイゼーション」ならびに種々のストリンジェンシイの条件は、「抗微生物活性を有するポリペプチド」と題する節において定義される。
【0028】
詳細な説明
抗微生物活性を有するポリペプチド
第1の面において、本発明は、抗微生物活性を有するポリペプチドに関し、式中ポリペプチドは好ましくはアミノ酸配列X1-X2-X3-X4-X5から成り、式中X1、X2、X3、X4およびX5は独立してP-P-R-Z1、P-R-Z2-P、R-Z3-P-P、Z4-P-P-R、P-R-P-Z5、R-P-Z6-P、P-Z7-P-R、Z8-P-R-P、P-P-Z9-R、P-Z10-R-P、Z11-R-P-PまたはR-P-P-Z12であり、式中Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、Z9、Z10、Z11およびZ12は独立してF、L、VまたはIである。
【0029】
本発明は、また、抗微生物活性を有するポリペプチドに関し、ここでポリペプチドは好ましくはアミノ酸配列X1-X2-X3-X4-X5から成り、式中X1、X2、X3、X4およびX5の各々はアミノ酸配列P-P-R-F、P-R-F-P、R-F-P-P、F-P-P-R、P-R-P-F、R-P-F-P、P-F-P-R、F-P-R-P、P-P-F-R、P-F-R-P、F-R-P-P、R-P-P-F、P-P-R-L、P-R-L-P、R-L-P-P、L-P-P-R、P-R-P-L、R-P-L-P、P-L-P-R、L-P-R-P、P-P-L-R、P-L-R-P、L-R-P-P、R-P-P-L、P-P-R-V、P-R-V-P、R-V-P-P、V-P-P-R、P-R-P-V、R-P-V-P、P-V-P-R、V-P-R-P、P-P-V-R、P-V-R-P、V-R-P-P、R-P-P-V、P-P-R-I、P-R-I-P、R-I-P-P、I-P-P-R、P-R-P-I、R-P-I-P、P-I-P-R、I-P-R-P、P-P-I-R、P-I-R-P、I-R-P-PおよびR-P-P-Iから成る群から選択される。
【0030】
ある態様において、X1、X2、X3、X4およびX5は下記のアミノ酸配列から成る群から選択される:
P-P-R-Z1、P-R-Z2-P、R-Z3-P-P、Z4-P-P-R、P-R-P-Z5、R-P-Z6-P、P-Z7-P-R、Z8-P-R-P、P-P-Z9-R、P-Z10-R-P、Z11-R-P-PおよびR-P-P-Z12; 式中Z1〜Z12アミノ酸を除外して、X1〜X5は同一であり、そしてZ1〜Z12はF、L、VおよびIから成るアミノ酸の群から選択される。
【0031】
好ましくは、X1〜X5のうちの最大4つは同一であり、より好ましくはX1〜X5のうちの最大3つは同一であり、最も好ましくはX1〜X5のうちの最大2つは同一である。
ある態様において、X1=X2=X3=X4=X5はP-P-R-Z1、P-R-Z2-P、R-Z3-P-P、Z4-P-P-R、P-R-P-Z5、R-P-Z6-P、P-Z7-P-R、Z8-P-R-P、P-P-Z9-R、P-Z10-R-P、Z11-R-P-PまたはR-P-P-Z12であり、ただしZ1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、Z9、Z10、Z11およびZ12はX1、X2、X3、X4およびX5から独立してF、L、VまたはIである。
【0032】
他の態様において、本発明は、抗微生物活性を有するポリペプチドに関し、ここでポリペプチドは好ましくはアミノ酸配列X1-X2-X3-X4-X5-X6から成り、式中X1、X2、X3、X4、X5およびX6は独立してP-P-R-Z1、P-R-Z2-P、R-Z3-P-P、Z4-P-P-R、P-R-P-Z5、R-P-Z6-P、P-Z7-P-R、Z8-P-R-P、P-P-Z9-R、P-Z10-R-P、Z11-R-P-PまたはR-P-P-Z12であり、式中Z1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、Z9、Z10、Z11およびZ12は独立してF、L、VまたはIである。
【0033】
他の態様において、本発明は、抗微生物活性を有するポリペプチドに関し、ここでポリペプチドは好ましくはアミノ酸配列X1-X2-X3-X4-X5-X6から成り、式中X1、X2、X3、X4、X5およびX6の各々はアミノ酸配列: P-P-R-F、P-R-F-P、R-F-P-P、F-P-P-R、P-R-P-F、R-P-F-P、P-F-P-R、F-P-R-P、P-P-F-R、P-F-R-P、F-R-P-P、R-P-P-F、P-P-R-L、P-R-L-P、R-L-P-P、L-P-P-R、P-R-P-L、R-P-L-P、P-L-P-R、L-P-R-P、P-P-L-R、P-L-R-P、L-R-P-P、R-P-P-L、P-P-R-V、P-R-V-P、R-V-P-P、V-P-P-R、P-R-P-V、R-P-V-P、P-V-P-R、V-P-R-P、P-P-V-R、P-V-R-P、V-R-P-P、R-P-P-V、P-P-R-I、P-R-I-P、R-I-P-P、I-P-P-R、P-R-P-I、R-P-I-P、P-I-P-R、I-P-R-P、P-P-I-R、P-I-R-P、I-R-P-PおよびR-P-P-Iから成る群から選択される。
【0034】
他の態様において、X1、X2、X3、X4、X5およびX6は下記のアミノ酸配列から成る群から選択される:
P-P-R-Z1、P-R-Z2-P、R-Z3-P-P、Z4-P-P-R、P-R-P-Z5、R-P-Z6-P、P-Z7-P-R、Z8-P-R-P、P-P-Z9-R、P-Z10-R-P、Z11-R-P-PおよびR-P-P-Z12;
式中Z1〜Z12アミノ酸を除外して、X1〜X6は同一であり、そしてZ1〜Z12はF、L、VおよびIから成るアミノ酸の群から選択される。
【0035】
好ましくは、X1〜X6のうちの最大4つは同一であり、より好ましくはX1〜X6のうちの最大3つは同一であり、最も好ましくはX1〜X6のうちの最大2つは同一である。
ある態様において、式中X1=X2=X3=X4=X5=X6はP-P-R-Z1、P-R-Z2-P、R-Z3-P-P、Z4-P-P-R、P-R-P-Z5、R-P-Z6-P、P-Z7-P-R、Z8-P-R-P、P-P-Z9-R、P-Z10-R-P、Z11-R-P-PまたはR-P-P-Z12であり、ただしZ1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8、Z9、Z10、Z11およびZ12はX1、X2、X3、X4、X5およびX6から独立してF、L、VまたはIである。
【0036】
好ましい態様において、本発明は、抗微生物活性を有するポリペプチドに関し、ここでポリペプチドは配列番号1または配列番号319のいずれか1つのアミノ酸配列を含んでなり、好ましくはから成る。
【0037】
本発明のなお他の態様において、アミノ酸配列は、下記のアミノ酸配列と最大5アミノ酸 (例えば、5アミノ酸) だけ、例えば、最大4アミノ酸 (例えば、4アミノ酸) だけ、例えば、最大3アミノ酸 (例えば、3アミノ酸) だけ、特に最大2アミノ酸 (例えば、2アミノ酸) だけ、例えば、1アミノ酸だけ異なる: アミノ酸配列X1-X2-X3-X4-X5; 式中X1、X2、X3、X4およびX5の各々はアミノ酸配列P-P-R-F、P-R-F-P、R-F-P-P、F-P-P-R、P-R-P-F、R-P-F-P、P-F-P-R、F-P-R-P、P-P-F-R、P-F-R-P、F-R-P-P、R-P-P-F、P-P-R-L、P-R-L-P、R-L-P-P、L-P-P-R、P-R-P-L、R-P-L-P、P-L-P-R、L-P-R-P、P-P-L-R、P-L-R-P、L-R-P-P、R-P-P-L、P-P-R-V、P-R-V-P、R-V-P-P、V-P-P-R、P-R-P-V、R-P-V-P、P-V-P-R、V-P-R-P、P-P-V-R、P-V-R-P、V-R-P-P、R-P-P-V、P-P-R-I、P-R-I-P、R-I-P-P、I-P-P-R、P-R-P-I、R-P-I-P、P-I-P-R、I-P-R-P、P-P-I-R、P-I-R-P、I-R-P-PおよびR-P-P-Iから成る群から選択される;
【0038】
またはアミノ酸配列X1-X2-X3-X4-X5-X6; 式中X1、X2、X3、X4、X5およびX6の各々はアミノ酸配列: P-P-R-F、P-R-F-P、R-F-P-P、F-P-P-R、P-R-P-F、R-P-F-P、P-F-P-R、F-P-R-P、P-P-F-R、P-F-R-P、F-R-P-P、R-P-P-F、P-P-R-L、P-R-L-P、R-L-P-P、L-P-P-R、P-R-P-L、R-P-L-P、P-L-P-R、L-P-R-P、P-P-L-R、P-L-R-P、L-R-P-P、R-P-P-L、P-P-R-V、P-R-V-P、R-V-P-P、V-P-P-R、P-R-P-V、R-P-V-P、P-V-P-R、V-P-R-P、P-P-V-R、P-V-R-P、V-R-P-P、R-P-P-V、P-P-R-I、P-R-I-P、R-I-P-P、I-P-P-R、P-R-P-I、R-P-I-P、P-I-P-R、I-P-R-P、P-P-I-R、P-I-R-P、I-R-P-PおよびR-P-P-Iから成る群から選択される;
または配列番号1または配列番号319のいずれか1つのアミノ酸配列。
【0039】
好ましくは、本発明のポリペプチドは、アミノ酸配列X1-X2-X3-X4-X5またはX1-X2-X3-X4-X5-X6または配列番号1または配列番号319のいずれか1つのアミノ酸配列; または抗微生物活性を有するそれらのフラグメントを含んでなる。好ましい態様において、ポリペプチドはアミノ酸配列X1-X2-X3-X4-X5またはX1-X2-X3-X4-X5-X6または配列番号1または配列番号319のいずれか1つのアミノ酸配列から成る。
【0040】
本発明のポリペプチドを構築するアミノ酸は、独立してD型またはL型から選択することができる。
本発明のポリペプチドは、20〜500アミノ酸、好ましくは20〜400アミノ酸、より好ましくは20〜300アミノ酸、なおより好ましくは20〜200アミノ酸 (例えば、20〜150アミノ酸)、最も好ましくは20〜100アミノ酸、特に20〜50アミノ酸から成ることができる。
【0041】
アミノ酸配列X1-X2-X3-X4-X5またはX1-X2-X3-X4-X5-X6のすぐ前に3〜10アミノ酸 (例えば、3〜5アミノ酸) のアミノ酸配列が存在することができ、それらのうちの少なくとも2つのアミノ酸は中性pHにおいて正に帯電している (例えば、アルギニン、リシンまたはヒスチジン)。好ましくは、アミノ酸配列X1-X2-X3-X4-X5またはX1-X2-X3-X4-X5-X6のすぐ前にアミノ酸配列R-X7-Rが存在し、式中X7はR、F、L、VまたはIである。用語 「すぐ前に〜存在する」 は、アミノ酸配列がアミノ酸配列X1-X2-X3-X4-X5またはX1-X2-X3-X4-X5-X6のN-末端に結合されていることを意味する。
【0042】
本発明のポリペプチドは人工的変異型であることができ、ここでアミノ酸配列X1-X2-X3-X4-X5またはX1-X2-X3-X4-X5-X6または配列番号1または配列番号319のいずれか1つのアミノ酸配列に比較して、変異型は最大3、例えば、最大2、例えば、最大1の置換、欠失および/または挿入を有するアミノ酸配列を含んでなり、好ましくはから成る。
【0043】
このような人工的変異型は、この分野において知られている標準的技術、例えば、アミノ酸配列X1-X2-X3-X4-X5またはX1-X2-X3-X4-X5-X6または配列番号1または配列番号319のいずれか1つのアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドの位置指定/ランダム突然変異誘発により構築することができる。本発明の1つの態様において、アミノ酸変化は小さい、すなわち、タンパク質のフォールディングおよび/または活性を有意に変更しない保存的アミノ酸置換; 小さい欠失、典型的には1〜5アミノ酸の欠失; 小さいアミノ末端またはカルボキシル末端の延長、例えば、アミノ末端のメチオニン残基; 約10〜25残基までの小さいリンカーペプチド; または正味の電荷または他の機能、例えば、ポリヒスチジントラクト、抗原性エピトープまたは結合性ドメインを変化させることによって精製を促進する小さい延長である。
【0044】
保存的置換の例は、塩基性アミノ酸 (例えば、アルギニン、リシンまたはヒスチジン)、酸性アミノ酸 (グルタミン酸およびアスパラギン酸)、極性アミノ酸 (グルタミンおよびアスパラギン)、疎水性アミノ酸 (ロイシン、イソロイシン、バリンおよびメチオニン)、芳香族アミノ酸 (フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシン)、および小さいアミノ酸 (グリシン、アラニン、セリンおよびトレオニン) のグループ内である。一般に比活性を変更しないアミノ酸置換はこの分野において知られており、そして、例えば、下記の文献に記載されている: H. NeurathおよびR. L. Hill、1979、The Proteins、Academic Press, New York。最も普通に発生する変化は次の通りである: Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Tyr/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、およびAsp/Glyならびにそれらの逆。
【0045】
本発明の興味ある態様において、アミノ酸変化は、ポリペプチドの物理化学的性質が変更されるような性質を有する。例えば、ポリペプチドの熱安定性を改良し、基質特異性を変更し、pH最適値を変更させ、およびその他である、アミノ酸変化を実行することができる。
【0046】
N-末端の延長
本発明のポリペプチドのN-末端の延長は、適当には1〜50アミノ酸、好ましくは2〜20アミノ酸、特に3〜15アミノ酸から成ることができる。1つの態様において、N-末端の延長はArg (R) を含有しない。他の態様において、N-末端の延長は、下記においてさらに定義するように、kex2切断部位またはkex2様切断部位を含んでなる。好ましい態様において、N-末端の延長はペプチドであり、これは少なくとも2つのGlu (E) および/またはAsp (D) アミノ酸残基を含んでなり、例えば、N末端の延長は下記の配列の1つを含んでなる: EAE、EE、DEおよびDD。
【0047】
kex2部位
kex2部位 (例えば、下記の文献を参照のこと: Methods in Enzymology Vol. 185、編者: D. Goeddel、Academic Press, Inc. (1990) カリフォルニア州サンディエゴ、”Gene Expression Technology” およびkex2様部位は、いくつかのタンパク質のプロペプチドコード領域と成熟領域との間に見出される二塩基性認識部位 (すなわち、切断部位) である。
【0048】
kex2部位またはkex2様部位の挿入は、ある場合において、プロペプチド切断部位における正しいエンドペプチダーゼプロセシングを改良して、タンパク質の分泌レベルを増加させることが示された。
本発明の関係において、kex2部位またはkex2様部位の挿入はN-末端の延長におけるある位置における切断の可能性を与え、アミノ酸配列X1-X2-X3-X4-X5またはX1-X2-X3-X4-X5-X6または配列番号1または配列番号319のいずれか1つのアミノ酸配列として示す成熟ポリペプチドに比較して、伸長した抗微生物性ポリペプチドを生ずる。
【0049】
融合ポリペプチド
また、本発明のポリペプチドは、本発明のポリペプチドまたは本発明のポリペプチドフラグメントのN-末端またはC-末端に他のポリペプチドが融合されている、融合ポリペプチドまたは切断可能な融合ポリペプチドを包含する。融合ポリペプチドは、他のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列 (またはその一部分) を本発明のヌクレオチド配列 (またはその一部分) に融合させることによって製造される。融合ポリペプチドを製造する技術はこの分野において知られており、そしてポリペプチドをコードするコード配列をそれらがインフレームであるようにかつ融合ポリペプチドの発現が1または2以上の同一プロモーターおよびターミネーターの制御下にあるように、結合することを包含する。
【0050】
ポリヌクレオチドおよびヌクレオチド配列
本発明は、また、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドに関する。特に、本発明は、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列から成るポリヌクレオチドに関する。遺伝コードの縮重のために、本発明のポリペプチドの各々をコードするいくつかのヌクレオチド配列を製造できることを当業者は容易に認識するであろう。この分野においてよく知られているように、ヌクレオチドは本発明のポリペプチドのアミノ酸をコードするコドンを構成する。
【0051】
本発明は、また、抗微生物活性を有するアミノ酸配列X1-X2-X3-X4-X5またはX1-X2-X3-X4-X5-X6または配列番号1または配列番号319のいずれか1つのアミノ酸配列のフラグメントをコードするポリヌクレオチドに関する。ポリペプチドのサブ配列は、5’末端および/または3’末端から1または2以上のヌクレオチドが欠失されているヌクレオチド配列である。
【0052】
ヌクレオチド配列は、遺伝子操作において使用される標準的クローニング手順により、ヌクレオチド配列を1つの位置からそれが再生される異なる部位に再配置することによって得ることができる。クローニング手順は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでなる必要なフラグメントの切除および単離、フラグメントのベクター分子の中への挿入、およびヌクレオチド配列の多数のコピーが複製される宿主細胞の中への組換えベクターの組込みを含むことができる。ヌクレオチド配列は、ゲノム、cDNA、RNA、半合成、合成由来、またはそれらの任意の組合わせであることができる。
【0053】
本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の修飾は、アミノ酸配列X1-X2-X3-X4-X5またはX1-X2-X3-X4-X5-X6または配列番号1または配列番号319のいずれか1つのアミノ酸配列に比較して、少なくとも1つの置換、欠失および/または挿入を有するポリペプチドの合成に必要であることがある。これらの人工的変異型は、いくつかの操作された方法において、その天然源から単離されたポリペプチドと異なることがあり、例えば、変異型は比活性、熱安定性、pH最適値、またはその他が異なる。
【0054】
当業者にとって明らかなように、このような修飾は分子の機能にとって重大である領域の外側でなすことができ、そしてなお活性ポリペプチドを生ずることができる。本発明のヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドの活性に対して必須であり、したがって好ましくは修飾、例えば、置換に付されないアミノ酸残基は、この分野において知られている手順、例えば、位置指定突然変異誘発またはアラニン走査突然変異誘発に従い同定することができる (例えば、下記の文献を参照のこと: CunninghamおよびWells、1989、Science 244: 1081-1085)。
【0055】
後者の技術において、突然変異は分子中のすべての正に帯電した残基において導入され、そして生ずる突然変異体分子を抗微生物活性について試験して、分子活性にとって重大であるアミノ酸残基を同定する。また、核磁気共鳴分析のような技術により決定した三次元構造の分析により、基質-酵素の相互作用部位を決定することができる (例えば、下記の文献を参照のこと: Vos 他、1992、Science 255: 306-312; Smith 他、1992、Journal of Molecular Biology 244: 899-904; Wlodaver 他、1992、FEBS Letters 309: 59-64)。
【0056】
その上、ヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドの他のアミノ酸配列を生じないが、酵素の産生に意図される宿主生物のコドン使用頻度に対応するヌクレオチド置換の導入により、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を修飾することができる。
【0057】
突然変異をヌクレオチド配列中に導入して1つのヌクレオチドを他のヌクレオチドと交換することは、この分野において知られている方法を使用する位置指定突然変異誘発により達成することができる。問題のインサートを有するスーパーコイルド二本鎖DNAベクター、および必要な突然変異を含有する2つの合成プライマーを利用する手順は、特に有効である。ベクターの対抗する鎖に対して相補的である各オリゴヌクレオチドプライマーを、Pfu DNAポリメラーゼにより、温度サイクリング間に伸長させる。
【0058】
プライマーが組込まれると、スタッガードニックを含有する突然変異したプラスミドが発生する。温度サイクリング後、生成物をメチル化およびヘミメチル化DNAに対して特異的なDpnIで処理して、親DNA鋳型を消化し、突然変異を含有する合成されたDNAについて選択する。また、この分野において知られている他の手順を使用することができる。ヌクレオチド置換の一般的説明については、例えば、下記の文献を参照のこと:Ford 他、1991、Protein Expression and Purification 2: 95-107。
【0059】
核酸構築物
本発明は、ある種のタイプの核酸構築物、すなわち、制御配列と適合性の条件下に適当な発現宿主中でコード配列の発現を指令する1種または2種以上の制御配列に作用可能に連鎖された、本発明のヌクレオチド配列を含んでなる核酸構築物に関する。
【0060】
本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、種々の方法で操作して、ポリペプチドを発現させるようにすることができる。ベクター中にヌクレオチド配列を挿入する前に、ヌクレオチド配列を操作することは発現ベクターに依存して望ましいか、あるいは必要であることがある。ヌクレオチド配列を操作する技術はこの分野においてよく知られている。
【0061】
制御配列は、適当なプロモーター配列、核酸配列を発現する宿主細胞により認識される核酸配列であることができる。プロモーター配列は、ポリペプチドの発現を仲介する転写制御配列を含有する。プロモーターは、選択した宿主細胞において転写活性であることを示す任意の核酸配列であることができ、突然変異体、トランケーテッド、およびハイブリッドプロモーターを包含し、そして宿主細胞に対して相同的または異種的である、細胞外または細胞内のポリペプチドをコードする遺伝子から得ることができる。
【0062】
特に細菌宿主細胞中で、本発明の核酸構築物の転写を指令するために適当なプロモーターの例は下記から得られるプロモーターである: 大腸菌 (E. coli) lacオペロン、ストレプトマイセス・ケリコロル (Streptomyces coelicolor) アガロース遺伝子 (dagA) 、バシラス・サブチリス (Bacillus subtilis) レバンスクラーゼ遺伝子 (sacB) 、バシラス・リヘニフォルミス (Bacillus licheniformis) α-アミラーゼ遺伝子 (amyL) 、バシラス・ステアロサーモフィルス (Bacillus stearothermophilus) マルトジェニックアミラーゼ遺伝子 (amyM) 、バシラス・アミロリクファシエンス (Bacillus amyloliquefaciens) α-アミラーゼ遺伝子 (amyQ) 、バシラス・リヘニフォルミス (Bacillus licheniformis) ペニシリナーゼ遺伝子 (penP) 、バシラス・サチリス (Bacillus subtilis) xylAおよびxylB遺伝子、および原核生物のβ-ラクタマーゼ遺伝子 (Villa 他、1978、Proceedings of the National Academy of Sciences USA 75: 3727-3731) 、ならびにtacプロモーター (DeBoer 他、1983、Proceedings of the National Academy of Sciences USA 80: 21-25) 。それ以上のプロモーターは下記の文献に記載されている: “Useful proteins from recombinant bacteria”、Scientific American 1980、242: 74-94; およびSambrook 他、1989、前掲。
【0063】
糸状真菌宿主細胞細胞中で本発明の核酸構築物の転写を指令するために適当なプロモーターの例は、下記の遺伝子から得られるプロモーター、およびそれらの突然変異体、トランケーテッド、およびハイブリッドプロモーターである: アスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) TAKAアミラーゼ、リゾムコル・ミエヘイ (Rhizomucor miehei) アスパラギン酸プロテイナーゼ、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) 中性α-アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) 酸安定性α−アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) またはアスペルギルス・アワモリ (Aspergillus awamori) グルコアミラーゼ (glaA) 、リゾムコル・ミエヘイ (Rhizomucor miehei) リパーゼ、アスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) アルカリ性プロテアーゼ、アスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) トリオースリン酸イソメラーゼ、アスペルギルス・ニヅランス (Aspergillus nidulans) アセトアミダーゼ、およびフザリウム・オキシスポラム (Fusarium oxysporum) トリプシン様プロテアーゼ (WO 96/00787) 、ならびにNA2-tpiプロモーター (アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) 中性α-アミラーゼおよびアスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) トリオースリン酸イソメラーゼの遺伝子からのプロモーターのハイブリッド) 。
【0064】
酵母宿主において、有効なプロモーターは下記の遺伝子から得られるプロモーターである: サッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) エノラーゼ (ENO-1) 、サッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) ガラクトキナーゼ (GAL1) 、サッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) アルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ (ADH2/GAP) 、およびサッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) 3-ホスホグリセリン酸キナーゼ。酵母宿主細胞に有効な他のプロモーターは下記の文献に記載されている: Romanos 他、1992、Yeast 8: 423-488。
【0065】
また、制御配列は、適当な転写停止配列、すなわち、転写を停止するために宿主細胞により認識される配列である。ターミネーター配列は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の3’末端に作用可能に連鎖されている。選択した宿主細胞中で機能的である任意のターミネーターを本発明において使用することができる。
【0066】
糸状真菌宿主細胞に好ましいターミネーターは、下記の遺伝子から得られるターミネーターである: アスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) TAKAアミラーゼ、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) グルコアミラーゼ、アスペルギルス・ニヅランス (Aspergillus nidulans) アントラニル酸シンターゼ、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) α-グルコシダーゼ、およびフザリウム・オキシスポラム (Fusarium oxysporum) トリプシン様プロテアーゼ。
【0067】
酵母宿主細胞に好ましいターミネーターは、下記の遺伝子から得られるターミネーターである: サッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) エノラーゼ、サッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) シトクロムC (CYC1) 、およびサッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ。酵母宿主細胞に有効な他のターミネーターは下記の文献に記載されている: Romanos 他、1992、前掲。
【0068】
また、制御配列は、適当なリーダー配列、すなわち、宿主細胞による翻訳に重要であるmRNAの非翻訳領域である。リーダー配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列の5’末端に作用可能に連鎖されている。選択した宿主細胞中で機能的である任意のリーダー配列を本発明において使用することができる。
糸状真菌宿主細胞に好ましいリーダーは、アスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) TAKAアミラーゼおよびアスペルギルス・ニヅランス (Aspergillus nidulans) トリオースリン酸イソメラーゼの遺伝子から得られる。
【0069】
酵母宿主細胞に適当なリーダーは下記の遺伝子から得られるリーダーである: サッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) エノラーゼ (ENO-1) 、サッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) 3-ホスホグリセリン酸キナーゼ、サッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) α-因子、およびサッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) アルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ (ADH2/GAP) 。
【0070】
また、制御配列は、ポリアデニル化配列、すなわち、ヌクレオチド配列の3’末端に作用可能に連鎖されており、そして転写されたとき、ポリアデノシン残基を転写されたmRNAに付加するシグナルとして宿主細胞により認識される配列である。選択した宿主細胞中で機能的である任意のポリアデニル化配列を本発明において使用することができる。
【0071】
糸状真菌宿主細胞に好ましいポリアデニル化配列は下記の遺伝子から得られる: アスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) TAKAアミラーゼ、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) グルコアミラーゼ、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) アントラニル酸シンターゼ、フザリウム・オキシスポラム (Fusarium oxysporum) トリプシン様プロテアーゼ、およびアスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) α-グルコシダーゼ。
酵母宿主細胞に有効なポリアデニル化配列は下記の文献に記載されている: GuoおよびSherman、1995、Molecular Cellular Biology 15: 5983-5990。
【0072】
また、制御配列は、ポリペプチドのアミノ末端に結合したアミノ酸配列をコードし、かつコードされたポリペプチドを細胞の分泌経路に向ける、シグナルペプチドコーディング領域であることができる。核酸配列のコード配列の5’末端は、分泌されたポリペプチドをコードするコーディング領域のセグメントと翻訳リーデイングフレームで自然に結合した、シグナルペプチドコーディング領域を固有に含有することがある。選択的に、コード配列の5’末端は、制御配列に対して外来性であるシグナルペプチドコーディング領域を含有することがある。調節配列がシグナルペプチドコーディング領域を自然に含有しない場合、外来性のシグナルペプチドコーディング領域は必要とされることがある。選択的に、外来性のシグナルペプチドコーディング領域を自然のシグナルペプチドコーディング領域と単に置換して、ポリペプチドの分泌を増強することができる。しかしながら、発現されたポリペプチドを選択した宿主細胞の分泌経路に向けるシグナルペプチドコーディング領域を、本発明において使用することができる。
【0073】
細菌宿主細胞に有効なシグナルペプチドコーディング領域は、下記の遺伝子から得られるシグナルペプチドコーディング領域である: バシラス (Bacillus) NCIB 11837マルトジェニックアミラーゼ、バシラス・ステアロサーモフィルス (Bacillus stearothermophilus) α-アミラーゼ、バシラス・リヘニフォルミス (Bacillus licheniformis) スブチリシン、バシラス・リヘニフォルミス (Bacillus licheniformis) β-ラクタマーゼ、バシラス・ステアロサーモフィルス (Bacillus stearothermophilus) 中性プロテアーゼ (nprT、nprS、nprM) 、およびバシラス・サブチリス (Bacillus subtilis) prsA。それ以上のシグナルペプチドは下記の文献に記載されている: SimonenおよびPalva、1993、Microbiological Reviews 57: 109-137。
【0074】
糸状真菌宿主細胞に有効なシグナルペプチドコーディング領域は、下記の遺伝子から得られるシグナルペプチドコーディング領域である: アスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) TAKAアミラーゼ、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) 中性アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) グルコアミラーゼ、リゾムコル・ミエヘイ (Rhizomucor miehei) アスパラギン酸プロテアーゼ、フミコラ・インソレンス (Humicola insolens) セルラーゼ、およびフミコラ・ラヌギノサ (Humicola lanuginosa) リパーゼ。
【0075】
酵母宿主細胞に有効なペプチドは、サッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) α-因子およびサッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) インベルターゼの遺伝子から得られる。他の有効なシグナルペプチドコーディング領域は下記の文献に記載されている: Romanos 他、1992、前掲。
【0076】
また、制御配列は、ポリペプチドのアミノ末端に位置するアミノ酸配列をコードするプロペプチドコーディング領域であることができる。生ずるポリペプチドはプロポリペプチドまたはプロポリペプチド (またはある場合においてチモーゲン) として知られている。プロポリペプチドは一般に不活性であり、そしてプロポリペプチドからのプロペプチドの触媒的または自己触媒的切断により、成熟活性ポリペプチドに転化することができる。プロペプチドコーディング領域は下記の遺伝子から得ることができる: バシラス・サブチリス (Bacillus subtilis) アルカリ性プロテアーゼ (aprE) 、バシラス・サブチリス (Bacillus subtilis) 中性プロテアーゼ (nprT) 、サッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) α-因子、リゾムコル・ミエヘイ (Rhizomucor miehei) アスパラギン酸プロテアーゼ、およびミセリオフトラ・サーモフィラ (Myceliophthora thermophila) ラッカーゼ (WO 95/33836) 。
【0077】
シグナルペプチドおよびプレプロペプチドの両方の領域がポリペプチドのアミノ末端に存在する場合、プロペプチド領域はポリペプチドのアミノ末端の次に位置し、そしてシグナルペプチド領域はプロペプチド領域の次に位置する。
【0078】
また、宿主細胞の生長に関してポリペプチドの発現の調節を可能とする調節配列を付加することが望ましいことがある。調節系の例は、化学的または物理的刺激、例えば、調節化合物の存在に応答して遺伝子の発現をオンまたはオフにする系である。原核生物系における調節系は、lac、tac、およびtrpオペレーター系を包含する。酵母において、ADH2系またはGAL1系を使用することができる。糸状真菌において、TAKAα-アミラーゼのプロモーター、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) グルコアミラーゼのプロモーター、およびアスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) グルコアミラーゼのプロモーターを調節配列として使用することができる。調節配列の他の例は、遺伝子の増幅を可能とするものである。真核生物系において、これらはメトトレキセートの存在下に増幅されるジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子、および重金属で増幅されるメタロチオネイン遺伝子を包含する。これらの場合において、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は調節配列と作用可能に連鎖されるであろう。
【0079】
発現ベクター
本発明は、また、本発明のヌクレオチド構築物を含んでなる組換え発現ベクターに関する。前述の種々のヌクレオチド配列および制御配列を一緒に結合させて、1または2以上の好都合な制限部位を包含することができる組換え発現ベクターを製造し、このような部位におけるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の挿入または置換を可能とすることができる。選択的に、本発明のヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列またはヌクレオチド配列を含んでなるヌクレオチド構築物を適当な発現用ベクター中に挿入することによって、発現させることができる。発現ベクターをつくるとき、コード配列が発現のために適当な制御配列に作用可能に連鎖されるように、コード配列はベクター中に位置する。
【0080】
組換え発現ベクターは、組換えDNA手順に好都合に付すことができ、そしてヌクレオチド配列を発現させることができる任意のベクター (例えば、プラスミドまたはウイルス) であることができる。典型的には、ベクターの選択は、ベクターを導入すべき宿主細胞とのベクターの適合性に依存するであろう。ベクターは線形または閉じた円形のプラスミドであることができる。
【0081】
ベクターは自律的に複製するベクター、すなわち、染色体外の実在物として存在するベクターであることができ、その複製は染色体の複製に対して独立である。このようなベクターの例は、プラスミド、染色体外因子、ミニ染色体、または人工的染色体である。
【0082】
ベクターは自己複製を保証する手段を含有することができる。選択的に、ベクターは、宿主細胞中に導入したとき、ゲノム中に組込まれ、そしてそれが組込まれている1または2以上の染色体と一緒に複製するものであることができる。さらに、単一のベクターまたはプラスミドまたは一緒になって宿主細胞のゲノムの中に導入すべき全DNAを含有する2またはそれ以上のベクターまたはプラスミド、またはトランスポゾンを使用することができる。
【0083】
本発明のベクターは、形質転換された細胞の容易な選択を可能とする、1または2以上の選択マーカーを含有することが好ましい。選択マーカーは、その産物が生物致死剤またはウイルスに対する耐性、重金属に対する耐性、栄養要求性株に対するプロトトロフィー、およびその他を提供する遺伝子である。
【0084】
細菌の選択マーカーの例は次の通りである: バシラス・サチリス (Bacillus subtilis) またはバシラス・リヘニフォルミス (Bacillus licheniformis) からのdal遺伝子、または抗生物質に対する耐性、例えば、アンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコールまたはテトラサイクリンに対する耐性を与えるマーカー。酵母宿主細胞に適当なマーカーは、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1、およびURA3である。糸状真菌宿主細胞において使用する選択マーカーは下記のものを包含するが、これらに限定されない:amdS (アセトアミダーゼ) 、argB (オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ) 、bar (ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ) 、hygB (ヒグロマイシンホスホトランスフェラーゼ) 、niaD (硝酸レダクターゼ) 、pyrG (オロチジン-5’-ホスフェートデカルボキシラーゼ) 、sC (硫酸アデニルトランスフェラーゼ) 、trpC (アントラニレートシンターゼ) 、ならびにそれらの同等物。
【0085】
アスペルギルス・ニヅランス (Aspergillus nidulans) またはアスペルギルス・オリゼ (Aspergillus oryzae) のamdSおよびpyrG遺伝子およびストレプトマイセス・ヒグロスコピカス (Streptomyces hygroscopicus) のbar遺伝子は、アスペルギルス (Aspergillus) 細胞において使用するために好ましい。
本発明のベクターは、宿主細胞ゲノム中への安定な組込みまたはゲノムに対して独立に細胞中のベクターの自律的複製を可能とする、1または2以上の因子を含有することが好ましい。
【0086】
宿主細胞ゲノム中への組込みのために、ベクターは、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、または相同的または非相同的組換えによりベクターをゲノム中に安定に組込むベクターの任意の他の因子に頼ることができる。選択的に、ベクターは、相同的組換えにより組込みを宿主細胞ゲノム中に向ける追加のヌクレオチド配列を含有することができる。追加のヌクレオチド配列は、1または2以上の染色体中の1または2以上の正確な位置において宿主細胞ゲノム中にベクターを組込むことができる。
【0087】
正確な位置における組込みの確度を増加させるために、組込み因子は好ましくは十分な数のヌクレオチド、例えば、100〜1,500塩基対、より好ましくは400〜1,500塩基対、最も好ましくは800〜1,500塩基対を含有し、これらは対応するターゲット配列と高度に相同的であって相同的組換えの確率を増加させる。組込み因子は、宿主細胞ゲノム中のターゲット配列と相同的である任意の配列であることができる。さらに、組込み因子は非エンコーディングまたはコーディングヌクレオチド配列であることができる。他方において、ベクターは非相同的組換えにより宿主細胞ゲノム中に組込むことができる。
【0088】
自律的複製のために、ベクターは問題の宿主細胞中でベクターを自律的に複製させる複製起点をさらに含んでなることができる。細菌の複製起点の例は、大腸菌 (E. coli) 中の複製を可能とするプラスミドpBR322、pUC19、pACYC177、およびpACYC184、およびバシラス (Bacillus) 中の複製を可能とするpUB110、pE194、pTA1060、およびpAMβ1複製起点である。酵母宿主細胞において使用する複製起点の例は、2ミクロンの複製起点、ARS1、ARS4、ARS1とCEN3との組合わせ、およびARS4とCEN6との組合わせである。複製起点は、宿主細胞においてその機能を温度感受性とする突然変異を有するものであることができる (例えば、下記の文献を参照のこと: Ehrlich、1978、Proceedings of the National Academy of Sciences USA 75: 1433) 。
【0089】
本発明のヌクレオチド配列の2以上のコピーを宿主細胞中に挿入して、遺伝子産物の産生を増加させることができる。ヌクレオチド配列のコピー数は、宿主細胞ゲノム中に少なくとも1つ追加の配列のコピーを組込むか、あるいは細胞が選択マーカー遺伝子の増幅したコピーを含有する場合、ヌクレオチド配列をもつ増幅可能、選択マーカーを含めることによって増加させることができ、これにより細胞を適当な選択可能な因子の存在下に培養することによって、ヌクレオチド配列の追加のコピーを選択することができる。
【0090】
前述の因子を結合して本発明の組換え発現ベクターを構成するために使用する手順はこの分野においてよく知られている (例えば、下記の文献を参照のこと: Sambrook 他、1989、前掲) 。
【0091】
宿主細胞
本発明は、また、ポリペプチドの組換え製造において好都合に使用される、本発明の核酸構築物を含んでなる本発明の組換え宿主細胞に関する。本発明のヌクレオチド配列を含んでなるベクターを宿主細胞中に導入して、ベクターを染色体組込み体としてまたは前述した自己複製染色体外ベクターとして維持する。
宿主細胞は、単細胞微生物、例えば、原核生物、または非単細胞微生物、例えば、真核生物であることができる。
【0092】
有効な単細胞は細菌細胞であり、これらは下記のものを包含するが、これらに限定されない:グラム陽性細菌、例えば、バシラス (Bacillus) 細胞、バシラス・アルカロフィルス (Bacillus alkalophilus)、バシラス・アミロリクファシエンス (Bacillus amyloliquefaciens)、バシラス・ブレビス (Bacillus brevis)、バシラス・クラウシイ (Bacillus clausii)、バシラス・コアギュランス (Bacillus coagulans)、バシラス・ラウツス (Bacillus lautus)、バシラス・レンツス (Bacillus lentus)、バシラス・リヘニフォルミス (Bacillus licheniformis)、バシラス・メガテリウム (Bacillus megaterium)、バシラス・ステアロサーモフィラス (Bacillus stearothermophilus)、バシラス・サブチリス (Bacillus subtilis)、およびバシラス・スリンジェンシス (Bacillus thuringiensis); ストレプトマイセス (Streptomyces) 細胞、例えば、ストレプトマイセス・リビダンス (Streptomyces lividans) またはストレプトマイセス・ムリヌス (Streptomyces murinus); またはグラム陰性細菌、例えば、大腸菌 (E. coli) およびシュードモナス(Pseudomonas) 種。好ましい態様において、細菌宿主細胞はバシラス・レンツス (Bacillus lentus)、バシラス・リヘニフォルミス (Bacillus licheniformis)、バシラス・ステアロサーモフィラス (Bacillus stearothermophilus)、またはバシラス・サブチリス (Bacillus subtilis) 細胞である。他の好ましい態様において、バシラス (Bacillus) 細胞は好アルカリ性バシラス (Bacillus) である。
【0093】
細菌宿主細胞中へのベクターの導入は、例えば、下記により実施することができる: プロトプラストの形質転換 (例えば、下記の文献を参照のこと: ChangおよびCohen、1979、Molecular General Genetics 168: 111-115) 、コンピテント細胞の使用 (例えば、下記の文献を参照のこと: YoungおよびSpizizin、1961、Journal of Bacteriology 81: 823-829またはDubnauおよびDavidoff-Abelson、1971、Journal of Molecular Biology 56: 209-221) 、エレクトロポレーション (例えば、下記の文献を参照のこと: ShigekawaおよびDower、Biotechniques 6: 742-751) 、または複合化 (例えば、下記の文献を参照のこと: KoehlerおよびThorne、1987、Journal of Bacteriology 169: 5771-5278) 。
【0094】
宿主細胞は真核生物、例えば、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、または真菌細胞であることができる。
1つの特定の態様において、宿主細胞は真菌細胞である。「真菌」は、本明細書において使用するとき、下記のものを包含する: 子嚢菌門 (Ascomycota) 、担子菌門 (Basidiomycota) 、ツボカビ菌門 (Chytridiomycota) 、および接合菌門 (Zygomycota) (下記において定義されている: Hawksworth 他、Alnsworth and Bisby’s Dictionary of The Fungi、第8版、1995、CAB International、University Press、英国ケンブリッジ) ならびに卵菌門 (Oomycota) (下記の文献に記載されている: Hawksworth 他、前掲、p. 171) およびすべての栄養胞子真菌 (Hawksworth 他、1995、前掲) 。
【0095】
より好ましい態様において、真菌宿主細胞は酵母細胞である。「酵母」は、本明細書において使用するとき、下記のものを包含する: 子嚢胞子酵母 (腸内細菌科 (Enterobacteriaceae)) 、担子胞子酵母、および不完全菌類 (Fungi Imperfecti) に属する酵母 (ブラストミセテス (Blastomycetes)) 。酵母の分類は、この出願の目的に対して、将来において変化することがあるが、酵母はBiology and Activities of Yeast に記載されているように定義されるであろう (Skinner F. A. およびDavenport R. R. 編者、Soc. App. Bacteriol. Symposium Series No. 9、1980) 。
【0096】
なおより好ましい態様において、酵母宿主細胞は、カンジダ (Candida)、ハンゼヌラ (Hansenula)、クルイベロマイセス (Kluyveromyces)、ピキア (Pichia)、サッカロマイセス (Saccharomyces)、シゾサッカロマイセス (Scizosaccharomyces)、またはヤロウィア (Yarrowia) 細胞である。
【0097】
最も好ましい態様において、酵母宿主細胞はサッカロマイセス・カリスベルゲンシス (Saccharomyces carisbergensis)、サッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・ジアスタチカス (Saccharomyces diastaticus)、サッカロマイセス・ドウグラシイ (Saccharomyces douglasii)、サッカロマイセス・クルイベリ (Saccharomyces kluyveri)、サッカロマイセス・ノルベンシス (Saccharomyces norbensis) またはサッカロマイセス・オビフォルミス (Saccharomyces oviformis) 細胞である。他の最も好ましい態様において、酵母宿主細胞はクルイベロマイセス・ラクチス (Kluyveromyces lactis) 細胞である。他の最も好ましい態様において、酵母宿主細胞はヤロウィア・リポリチカ (Yarrowia lipolytica) 細胞である。
【0098】
他のより好ましい態様において、真菌宿主細胞は糸状真菌の細胞であることができる。「糸状真菌」は、亜門の真菌門 (Eumycota) および卵菌門 (Oomycota) のすべての糸の形態を包含する (Hawksworth 他、1995、前掲において定義されている) 。糸状真菌は、キチン、セルロース、グルカン、マンナン、および他の複合多糖から構成されている菌糸体壁により特徴づけられる。栄養成長は菌糸の伸長により、そして炭素異化作用は無条件的に好気性である。対照的に、酵母、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ (Saccharomyces cerevisiae) による栄養成長は単細胞葉状体の発芽により、そして炭素異化作用は発酵的である。
【0099】
なおより好ましい態様において、糸状真菌宿主細胞の例は、下記のものを包含するが、これらに限定されない種の細胞である: アクレモニウム (Acremonium)、アスペルギルス (Aspergillus)、フザリウム (Fusarium)、フミコラ (Humicola)、ケカビ (Mucor)、ミセリオフトラ (Myceliophthora)、ニューロスポラ (Neurospora)、ペニシリウム (Penicillium)、チエラビア (Thielavia)、トリポクラジウム (Tolypocladium)、またはトリコデルマ (Trichoderma)。
【0100】
最も好ましい態様において、糸状真菌宿主細胞は次の通りである: アスペルギルス・アワモリ (Aspergillus awamori)、アスペルギルス・フェチヅス (Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・ジャポニカス (Aspergillus japonicus)、アスペルギルス・ニヅランス (Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) またはアスペルギルス・オリゼ (A. oryzae) 。
【0101】
他の最も好ましい態様において、糸状真菌宿主細胞は次の通りである: フザリウム・バクトリディオイデス (Fusarium bactridioides)、フザリウム・セレアリス (Fusarium cerealis)、フザリウム・クルックウェレンセ (Fusarium crookwellense)、フザリウム・クルモルム (Fusarium culmorum)、フザリウム・グラミネアラム (Fusarium graminearum)、フザリウム・グラミナム (Fusarium graminum)、フザリウム・ヘテロスポルム (Fusarium heterosporum)、フザリウム・ネグンジ (Fusarium negundi)、フザリウム・オキシスポラム (Fusarium oxysporum)、フザリウム・レチクラツム (Fusarium reticulatum)、フザリウム・ロセウム (Fusarium roseum)、フザリウム・サムブシヌム (Fusarium sambucinum)、フザリウム・サルコクロウム (Fusarium sarcochroum)、フザリウム・スポロトリキオイデス (Fusarium sporotrichioides)、フザリウム・スルフレウム (Fusarium sulphureum)、フザリウム・トルロクム (Fusarium torulocum)、フザリウム・トリコテキオイデス (Fusarium trichothecioides)、またはフザリウム・ベネナツム (Fusarium venenatum) 細胞。
【0102】
なおより最も好ましい態様において、糸状真菌親細胞はフザリウム・ベネナツム (Fusarium venenatum) (ニレンベルグ (Nirenberg)の種nov.) 細胞である。他の最も好ましい態様において、糸状真菌宿主細胞は次の通りである: フミコラ・インソレンス (Humicola insolens)、フミコラ・ラヌギノサ (Humicola lanuginosa)、ムコール・ミエヘイ (Mucor miehei)、ミセリオフトラ・サーモフィラ (Myceliophthora themophila)、ニューロスポラ・クラッサ (Neurospora crassa)、ペニシリウム・パープロゲナム (Penicillium purpurogenum)、チエラビア・テレストリス (Thielavia terrestris)、トリコデルマ・ハルジアナム (Trichoderma harzianum)、トリコデルマ・コニンギイ (Trichoderma koningii)、トリコデルマ・ロンギブラキアツム (Trichoderma longibrachiatum)、トリコデルマ・リーセイ (Trichoderma reesei)、またはトリコデルマ・ビリデ (Trichoderma viride) 細胞。
【0103】
真菌細胞は、それ自体知られている方法におけるプロトプラストの形成、プロトプラストの形質転換および細胞壁の再生を包含する方法により形質転換することができる。アスペルギルス (Aspergillus) 宿主細胞の形質転換に適当な手順は下記の文献に記載されている: EP 238 023およびYelton 他、1984、Proceedings of the National Academy of Sciences USA 81: 1470-1474。フザリウム (Fusarium) 種の形質転換に適当な方法は下記の文献に記載されている: Malardier 他、1989、Gene 78: 147-156およびWO 96/00787。
【0104】
酵母は下記の文献に記載されている手順を使用して形質転換することができる: BeckerおよびGuarente、編者Abelson J. N. およびSimon M. I. 、Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology、Methods in Enzymology Vol. 194、pp. 182-187、Academic Press, Inc.、New York; Ito 他、1983、Journal of Bacteriology 153: 163; およびHinnen 他、1978、Proceedings of the National Academy of Sciences USA 75: 1920。
【0105】
製造方法
本発明は、また、(a) ポリペプチドの製造を促進する条件下に宿主細胞を培養し、そして (b) ポリペプチドを回収することを含んでなる、ポリペプチドを製造する方法に関する。
【0106】
本発明の製造方法において、この分野において知られている方法に従いポリペプチドの製造に適当な栄養培地中で細胞を培養する。例えば、震蘯フラスコ培養、小規模または大規模の発酵 (連続的、バッチ式、供給バッチ式、または固体状態の発酵を包含する) により、ポリペプチドの発現および/または単離を可能とする適当な培地中でかつ条件下に実施される実験室または工業的発酵槽において、細胞を培養することができる。炭素お源よび窒素源および無機塩を含んでなる適当な栄養培地中で、この分野において知られている手順を使用して、培養を実施する。適当な培地は商業的供給会社から入手可能であるか、あるいは発表された組成に従い調製することができる (例えば、American Type Culture Collectionのカタログ) 。ポリペプチドが栄養培地中に分泌される場合、それを培地から直接回収することができる。ポリペプチドが分泌されない場合、それは細胞ライゼイトから回収することができる。
【0107】
ポリペプチドに対して特異的である、この分野において知られている方法を使用して、ポリペプチドを検出することができる。これらの検出方法は特異的抗体の使用、酵素産物の形成、または酵素基質の消失を包含することができる。例えば、酵素アッセイを使用して、本明細書に記載するポリペプチドの活性を決定することができる。
生ずるポリペプチドはこの分野において知られている方法により回収することができる。例えば、ポリペプチドは下記を包含するが、これらに限定されない手順により回収することができる: 遠心、濾過、抽出、噴霧乾燥、蒸発、または沈殿。
【0108】
ポリペプチドはこの分野において知られている種々の手順により精製することができ、このような手順は下記を包含するが、これらに限定されない: クロマトグラフィー (例えば、イオン交換、アフィニティー、疎水性、クロマトフォーカシング、およびサイズ排除) 、電気泳動手順 (例えば、調製用等電点電気泳動) 、溶解度の差 (例えば、硫酸アンモニウム沈降法) 、SDS-PAGE、または抽出 (例えば、下記の文献を参照のこと: Protein Purification、J. -C. JansonおよびLars Ryden、編者、VCH Publishers、New York、1989) 。
【0109】
植物
本発明は、また、回収可能な量でポリペプチドを発現し、産生するように、本発明の抗微生物活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列で形質転換されたトランスジェニック植物、植物部分、または植物細胞に関する。ポリペプチドは植物または植物部分から回収できる。選択的に、組換えポリペプチドを含有する植物または植物部分は、例えば、食物または飼料の品質を改良するために、例えば、栄養価、味の良さおよび流動学的性質を改良するために、または抗栄養因子を破壊するために使用できる。また、回収されたポリペプチド、植物または植物部分を使用して、動物および家畜類における消化の生理的寄生菌を改良または変更することができる。
【0110】
トランスジェニック植物は、双子葉植物 (dicot) または単子葉植物 (monocot) またはそれらの操作された変種であることができる。単子葉植物の例は、イネ科植物、例えば、ナカハグサ (イチゴツナギ、イネ科、イチゴツナギ科)、飼料の草、例えば、フェスツカ (Festuca)、ロリウム (Lolium)、温帯イネ科植物、例えば、アグロスチス (Agrostis)、および穀物、例えば、コムギ、カラスムギ、ライムギ、オオムギ、イネ、モロコシ、およびトウモロコシ (コーン) である。
【0111】
双子葉植物の例は、タバコ、ジャガイモ、テンサイ、マメ科植物、例えば、ハウチワマメ、エンドウマメ、ソラマメ・インゲン・ササゲの類およびダイズ、およびアブラナ科植物 (アブラナ科 (Brassicaceae))、例えば、カリフラワー、ナタネ、および密接に関係するモデル生物アラビドプシス・タリアナ (Arabidopsis thaliana) である。
植物部分の例は、幹、カルス、葉、根、果実、種子、および塊茎である。また、特定の植物組織、例えば、葉緑体、アポプラスト、ミトコンドリア、液胞、ペルオキシソームおよび細胞質は植物部分である。さらに、任意の植物細胞は、組織由来が何であっても、植物部分であると考えられる。
【0112】
また、このような植物、植物部分および植物細胞の子孫は本発明の範囲内に含まれる。
この分野において知られている方法に従い、本発明のポリペプチドを発現するトランスジェニック植物または植物細胞を構築することができる。簡単に述べると、本発明のポリペプチドをコードする1または2以上の発現構築物を植物宿主ゲノム中に組込み、そして生ずる修飾された植物または植物細胞をトランスジェニック植物または植物細胞に増殖させることによって、植物または植物細胞を構築する。
【0113】
好都合には、発現構築物は核酸構築物であり、これは本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでなり、このヌクレオチド配列は選択した植物または植物部分中のヌクレオチド配列の発現に必要な適当な調節配列に作用可能に連鎖されている。さらに、発現構築物はそれが組込まれている宿主細胞を同定するために有効な選択マーカーと、問題の植物中に構築物を導入するために必要なDNA配列とを含んでなる (後者は使用すべきDNA導入法に依存する)。
【0114】
調節配列、例えば、プロモーターおよびターミネーター配列および必要に応じてシグナルまたはトラシット配列の選択は、例えば、ポリペプチドを発現しようとする時間、場所、および方法に依存して決定される。例えば、本発明のポリペプチドをコードする遺伝子の発現は構成的または誘導可能であるか、あるいは発育、段階または組織特異的であり、そして遺伝子産物を特定の組織または植物部分、例えば、種子または葉にターゲッティングすることができる。調節配列は、例えば、下記の文献に記載されている: Tague 他、1988、Plant Physiology 86: 506。
【0115】
構成的発現のために、35S-CaMVプロモーターを使用することができる (Franck 他、1980、Cell 21: 285-294)。器官特異的プロモーターは、例えば、次の通りである: 貯蔵シンク組織、例えば、種子、ジャガイモ塊茎、および果実からのプロモーター (EdwardsおよびCoruzzi、1990、Ann. Rev. Genet. 24: 275-303)、または代謝シンク組織、例えば、分裂組織からのプロモーター (Ito 他、1994、1994、Plant Mol. Biol. 24: 863-878) 、種子特異的プロモーター、例えば、イネからのグルテリン、プロラミン、グロブリンまたはアルブミンのプロモーター (Wu 他、1998、Plant and Cell Physiology 39: 885-889) 、ソラマメ・ナンテンハギ (Vicia faba) からのレグミンB4および未知の種子タンパク質遺伝子からのソラマメ・ナンテンハギ (Vicia faba) プロモーター (Conrad 他、1998、Journal of Plant Physiology 152: 708-711) 、種子油ボディタンパク質からのプロモーター (Chen 他、1998、Plant and Cell Physiology 39: 935-941) 、ブラシカ・ナプス (Brassica napus) からの貯蔵タンパク質napAプロモーター、またはこの分野において知られている、例えば、WO 91/14772に記載されている、任意の他の種子特異的プロモーター。
【0116】
さらに、プロモーターは次のものであることができる: 葉特異的プロモーター、例えば、イネまたはトマトからのrbcsプロモーター (Kyozuka 他、1993、Plant Physiology 102: 991-1000)、クロレラウイルスアデニンメチルトランスフェラーゼ遺伝子プロモーター (MitraおよびHiggins、1994、Plant Molecular Biology 26: 85-93)、またはイネからのaldP遺伝子プロモーター(Kagaya 他、1995、Molecular and General Genetics 248: 668-674)、または傷誘導性プロモーター、例えば、ジャガイモpin2プロモーター (Xu 他、1993、Plant Molecular Biology 22: 573-588)。
【0117】
また、プロモーターエンハンサー因子を使用して、植物中の酵素のより高い発現を達成することができる。例えば、プロモーターエンハンサー因子はプロモーターと、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列との間に配置されたイントロンであることができる。例えば、Xu 他、1993、前掲には、発現を増強するためにイネアクチン1遺伝子の第1イントロンを使用することが開示されている。
【0118】
選択マーカーおよび発現構築物の他の部分を、この分野において入手可能なものから選択することができる。
核酸構築物をこの分野において知られている慣用技術、例えば、下記の技術に従い植物ゲノム中に組込む: アグロバクテリウム (Agrobacterium) 仲介形質転換、ウイルス仲介形質転換、マイクロインジェクション、粒子衝撃およびエレクトロポレーション (Gasser 他、1990、Science 244: 1293; Potrykus、1990、Bio/Technology 8: 535; Shimamoto 他、1989、Nature 338: 274)。
【0119】
現在、アグロバクテリウム・ツメファシエンス (Agrobacterium tumefaciens) 仲介遺伝子転移は、トランスジェニック双子葉植物を発生させるために選択する方法である (概観については下記の文献を参照のこと:HooykasおよびSchilpercort、1992、Plant Molecular Biology 19: 15-38)。しかしながら、それは単子葉植物の形質転換に使用することもできるが、他の形質転換法は一般にこれらの植物のために好ましい。現在、トランスジェニック単子葉植物を発生させるために選択する方法は、胚カルスまたは発育する胚の粒子衝撃 (形質転換性DNAで被覆した微視的金またはタングステン粒子) である (Christou、1992、Plant Journal 2: 275-281; Shimamoto、1994、Current Opinion Biotechnology 5: 158-162; Vasil 他、1992、Bio/Technology 10: 667-674)。単子葉植物の別の形質転換法は、下記の文献に記載されているようにプロトプラスト形質転換に基づく: Omirulleh 他、1993、Plant Molecular Biology 21: 415-428。
【0120】
形質転換後、当業者によく知られている方法に従い、その中に発現構築物を組込んで有する形質転換体を選択し、全植物に再生させる。
本発明は、また、下記工程を含んでなる本発明のポリペプチドを製造する方法に関する:(a) 本発明のポリペプチドの産生を促す条件下に本発明の抗微生物活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでなるトランスジェニック植物または植物細胞を培養し、そして (b) ポリペプチドを回収する。
【0121】
組成物
なお他の面において、本発明は、本発明の抗微生物性ポリペプチドを含んでなる組成物、例えば、医学組成物に関する。
【0122】
組成物は、主要なポリペプチド成分として本発明のポリペプチドを含んでなり、例えば、1成分組成物である。選択的に、組成物は、多数の酵素添加物、例えば、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、α-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、α-グルコシダーゼ、β-グルコシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、インベルターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペプチドグルタミナーゼ、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、タンパク質分解酵素、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼまたはキシラナーゼを含んでなることができる。
【0123】
さらに、組成物は、薬学的に活性な物質、例えば、追加の殺生物剤、例えば、上に定義した抗微生物活性を示す他の抗微生物性ポリペプチドを含んでなることができる。殺生物剤は、この分野において知られているように、抗生物質であることができる。抗生物質のクラスは下記のものを包含する:ペニシリン、例えば、ペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、オキサシリン、カルベニシリン、ナフシリン、アンピシリン、およびその他; ペニシリンとβ-ラクタマーゼインヒビター、例えば、下記のものとの組合わせ、セファロスポリン、例えば、コファクター、セファゾリン、セフロキシム、モキサラクタム、およびその他; カルバペネム; モノバクタム; アミノグリコシド; テトラサイクリン; マクロリド; リンコマイシン; ポリミキシン; スルホンアミド; キノロン; クロランフェニカル; メトロニダゾール; スペクチノマイシン; トリメトプリム; バンコマイシン; およびその他。また、殺菌剤は抗菌剤であることができ、それらはポリエン、例えば、アムフォテリシンB、ニスタチン; 5-フルコシン; およびアゾール、例えば、ミコナゾール、ケトコナゾール、イトラコナゾールおよびフルコナゾールを包含する。
【0124】
ある態様において、殺菌剤は非酵素化学物質である。他の態様において、殺菌剤は非ポリペプチド化学物質である。
殺菌剤は、殺菌剤の25%(w/w) の水溶液、好ましくは10%(w/w) の水溶液、より好ましくは5%(w/w) の水溶液、なおより好ましくは1%(w/w) の水溶液、最も好ましくは0.5%(w/w) の水溶液、特に0.1%(w/w) の水溶液中で20℃において8時間 (好ましくは4時間、より好ましくは2時間、最も好ましくは1時間、特に30分) インキュベートした後、大腸菌 (Escherichia coli) (DSM 1576) またはバシラス・サブチリス (Bacillus subtilis) (ATCC 6633) の生きている細胞の数を1/100に減少させることができる。
【0125】
また、殺菌剤は、1000 ppmの濃度で添加したとき、好ましくは500 ppmの濃度で添加したとき、より好ましくは250 ppmの濃度で添加したとき、なおより好ましくは100 ppmの濃度で添加したとき、最も好ましくは50 ppmの濃度で添加したとき、特に25 ppmの濃度で添加したとき、微生物増殖基質中で25℃において24時間大腸菌 (Escherichia coli) (DSM 1576) またはバシラス・サブチリス (Bacillus subtilis) (ATCC 6633) の発芽後成長を阻害することができる。
【0126】
本発明の抗微生物性ポリペプチドおよび本発明の殺菌剤は、相乗的抗微生物作用が得られるように、選択することができる。
組成物は適当なキャリヤー物質を含んでなることができる。また、組成物は、それを薬剤として使用したとき、本発明の抗微生物性ポリペプチドを必要な位置に送達させることができる適当な送達ビヒクルを含んでなることができる。
【0127】
組成物はこの分野において知られている方法に従い製造することができ、そして液状または乾燥組成物の形態であることができる。例えば、ポリペプチド組成物は粒体または微小粒体の形態であることができる。組成物に添加すべきポリペプチドは、この分野において知られている方法に従い安定化することができる。
本発明のポリペプチド組成物の好ましい使用例を下に説明する。本発明のポリペプチド組成物の投与量および組成物を使用する他の条件は、この分野において知られている方法に基づいて決定することができる。
【0128】
方法および使用
本発明は、また、本発明の抗微生物性ポリペプチドの種々の使用を包含する。典型的には、抗微生物性ポリペプチドは細菌、真菌、酵母または藻類により汚染される任意の位置において有効である。典型的には、位置は、微生物を殺す必要あるか、あるいは微生物の増殖を抑制する必要がある、水系、例えば、冷却水系、洗濯すすぎ水、油系、例えば、切削油、潤滑剤、油田およびその他である。しかしながら、本発明は、また、既知の抗微生物性ポリペプチドが有効であるすべての用途、例えば、木材、ラテックス、接着剤、紙、厚紙、繊維材料、革、プラスチック、コーキングの材料、および飼料の保護のために使用することができる。
【0129】
他の使用は、食品、飲料、化粧品、例えば、ローション、クリーム、ゲル、軟膏、石鹸、シャンプー、コンディショナー、発汗防止剤、防臭剤、うがい薬、コンタクトレンズ製品、酵素配合物または食品成分の保存を包含する。
こうして、本発明の抗微生物性ポリペプチドは、例えば、アクネ、眼または口の中の感染、皮膚の感染の処置において; 発汗防止剤または防臭剤において; 足浴塩において; コンタクトレンズ、硬質表面、歯 (経口ケアー)、創傷、挫傷のクリーニングおよび消毒において; およびその他において、消毒剤として有効である。
【0130】
一般に、本発明の抗微生物性ポリペプチドは、任意の硬質表面上の微生物の増殖をクリーニング、消毒または抑制するために有効であると考えられる。本発明の抗微生物性ポリペプチドと好都合に接触させることができる表面の例は、例えば、酪農、化学的または薬学的プロセスプラント、水衛生システム、油プロセシングプラント、紙パルプ油プロセシングプラント、および冷却塔において使用するプロセス装置の表面である。本発明の抗微生物性ポリペプチドは、問題の表面上の微生物の増殖をクリーニング、消毒または抑制するために有効である量で使用すべきである。
【0131】
さらに、本発明の抗微生物性ポリペプチドは、任意の種類のプロセス装置をクリーニングする所定位置におけるクリーニング (C. I. P) において好都合に使用できると考えられる。
【0132】
さらに、本発明の抗微生物性ポリペプチドは、食品加工プラントにおける表面および料理調理具、および食品が調製または提供される任意の領域、例えば、病院、ナーシングホーム、レストラン、特にファーストフードのレストラン、調理済み食品およびその他における表面および料理調理具をクリーニングするために使用できる。また、本発明の抗微生物性ポリペプチドは食品中の抗微生物剤として使用するすることができ、そしてスタンドバー上のチーズ、果物および野菜および食品における表面の抗微生物剤として有効であろう。
【0133】
本発明の抗微生物性ポリペプチドは、また、水に基づくプラントにおける保存剤または消毒剤として使用することができる。
本発明の抗微生物性ポリペプチドは、また、水ラインの微生物の防除、および水の消毒、特に工業用水の消毒のために有効である。
本発明は、また、薬剤としての本発明の抗微生物性ポリペプチドまたは組成物の使用に関する。さらに、本発明の抗微生物性ポリペプチドは、また、微生物、例えば、真菌生物または細菌、好ましくはグラム陽性細菌を抑制または防除する薬剤の製造に使用することができる。
【0134】
本発明の組成物および抗微生物性ポリペプチドは、動物またはヒトの抗微生物性治療剤または予防剤として使用することができる。こうして、本発明の組成物および抗微生物性ポリペプチドは、微生物の感染、例えば、細菌または真菌の感染、好ましくはグラム陽性細菌の感染を治療する動物またはヒトの抗微生物性治療剤または予防剤の製造において使用することができる。特に、微生物感染は、肺疾患、例えば、結核、肺炎および嚢胞性繊維症、および性的伝達性疾患、例えば、淋疾およびクラミジアに関連することがある。
【0135】
本発明の組成物は、有効量の本発明の抗微生物性ポリペプチドを含んでなる。
用語 「有効量」 は、本明細書において使用するとき、問題の微生物の増殖を阻害するために十分である、本発明の抗微生物性ポリペプチドの量を意味することを意図する。
本発明は、また、創傷治癒組成物または製品、例えば、帯具、医学的装置、例えば、カテーテル、およびさらに抗ふけ毛髪製品、例えば、シャンプーに関する。
【0136】
本発明の抗微生物性ポリペプチドの配合物は、微生物感染を患うか、あるいはそれにに対する素因を有する宿主に投与される。投与は、特定の微生物に依存して、局所的、局在的または全身的であることができ、好ましくは局在的である。一般に、本発明の抗微生物性ポリペプチドの投与量は、少なくとも約50%、通常少なくとも1対数だけ微生物の集団個体数を減少させるために十分であり、そして2対数以上の壊滅であることができる。
【0137】
本発明の組成物は、微生物の集団個体数を減少させると同時に副作用を最小にする投与量で投与される。組成物はin vivo使用のために医師の指導下に得られ、使用されるであろうことが考えられる。特に、本発明の抗微生物性ポリペプチドは、グラム陰性細菌、例えば、シュードモナス・エルジノーサ[緑膿菌](Pseudomonas aeruginosa) およびトラコーマクラミジア (Chlamydia trachomatis); およびグラム陽性細菌、例えば、種々のスタフィロコッカス (staphylococcus) およびストレプトコッキ (streptococci) を殺すために有効である。
【0138】
また、本発明の抗微生物性ポリペプチドは、特に慣用量の抗生物質を導入して欲しくない場合に、微生物を殺すためのin vitro配合物に有効である。例えば、本発明の抗微生物性ポリペプチドは、動物および/またはヒトの食品調製物に添加することができるか、あるいは細胞のin vitro培養のための添加物として添加して、組織培養における微生物の異常増殖を防止することができる。
【0139】
本発明の抗微生物性ポリペプチドを使用する死滅に対する特定の微生物の感受性は、実験の節において詳細に説明するように、in vitro試験により決定することができる。典型的には、微生物の培養物を変化する濃度の抗微生物性ポリペプチドと、タンパク質が作用するために十分な時間、通常約1時間〜1日間組合わせる。次いで、生存可能な微生物を数計測し、死滅レベルを決定する。
【0140】
問題の微生物は下記のものを包含するが、これらに限定されない:グラム陰性細菌、例えば、シトロバクター (Citrobacter) の種; エンテロバクター (Enterobacter) の種; エシェリキア (Escherichia) の種、例えば、大腸菌 (E. coli); クレブシエラ (Klebsiella) の種; モルガネラ (Morganella) の種; プロテウス (Proteus) の種; プロビデンシア (Providencia) の種; サルモネラ (Salmonella) の種、例えば、サルモネラ・ティフィ (S. typhi)、サルモネラ・ティフィムリウム (S. typhimurium); セラチア (Serratia) の種; シゲラ[赤痢菌](Shigella) の種; シュードモナス(Pseudomonas) の種、例えば、シュードモナス・エルジノーサ[緑膿菌](P. aeruginosa); エルシニア (Yersinia) の種、例えば、エルシニア・ペスチス (Y. pestis)、エルシニア・シュードチュバクロシス (Y. pseudotuberculosis)、エルシニア・エンテロコリチカ (Y. enterocolitica); フランシスセラ (Franciscella) の種; パスツレラ (Pasturella) の種; ビブリオ (Vibrio) の種、例えば、ビブリオ・コレレ (V. cholerae)、ビブリオ・パラヘモリチカス (V. parahemolyticus); カンピロバクター (Campylobacter) の種、例えば、カンピロバクテリウム・ジェジュニ (C. jejuni); ヘモフィルス (Haemophilus) の種、例えば、インフルエンザ菌 (H. influenzae)、ヘモフィルス・ヅクレイ (H. ducrey); ボルデテラ (Bordetella) の種、例えば、百日咳菌 (Bordetella pertussis)、ボルデテラ・ブロンキセプチカ (B. bronchiseptica)、ボルデテラ・パラペルツシス (B. parapertussis); ブルセラ (Brucella) の種; ネイセリア (Neisseria) の種、例えば、淋菌 (N. gonorrhoeae)、髄膜炎菌 (N. meningitidis) およびその他。
【0141】
問題の他の細菌は下記をもの包含する: レギオネラ (Legionella)、例えば、レギオネラ・ニューモフィラ (L. pneumophila); リステリア (Listeria) の種、例えば、リステリア・モノシトゲネス (L. monocytogenes); マイコプラズマ (Mycoplasma) の種、例えば、マイコプラズマ・ホミニス (M. hominis)、マイコプラズマ・ニューモニエ (M. pneumoniae); マイコバクテリウム (Mycobacterium) の種、例えば、ヒト型結核菌 (M. tuberculosis)、マイコバクテリウム・レプレ (M. leprae); トレポネマ (Treponema) の種、例えば、トレポネマ・パリヅム (T. pallidum); ボレラ (Borrella) の種、例えば、ボレラ・ブルグドルフェリ (B. burgdorferi); レプトスピレ (Leptospirae) の種; リケットシア (Rickettsia) の種、例えば、リケットシア・リケットシイ (R. rickettsii)、リケットシア・チフィ (R. typhi); クラミジア (Chlamydia) の種、例えば、クラミジア・トラコマチス (C. trachomatis)、クラミジア・ニューモニエ (C. pneumoniae)、クラミジア・プスルタシ (C. psltaci); ヘリコバクター (Helicobacter) の種、例えば、ヘリコバクター・ピロリ (Helicobacter pylori) およびその他。
【0142】
問題の非細菌病原体は、真菌および原生動物の病原体、例えば、プラスモジア (Plasmodia)の種、例えば、熱帯熱マラリア原虫 (P. falciparum); トリパノソーム (Trypanosome)の種、例えば、トリパノソーム・ブルセイ (T. brucei); シストソーム (shistosomes); エンテメバ (Entaemoeba)の種; クリプトコッカス (Cryptococcus)の種; カンジダ (Candida)の種、例えば、カンジダ・アルビカンス (C. albicans); およびその他を包含する。
【0143】
種々の投与方法を使用することができる。ポリペプチド配合物は経口的に投与することができるか、あるいは静脈内、皮下、腹腔内注射により、エーロゾルにより、眼内、膀胱内、局所的に、およびその他により適用することができる。例えば、吸入による投与方法はこの分野においてよく知られている。治療用配合物の投与量は、投与すべき特定の抗微生物性ポリペプチド、疾患の性質、投与頻度、投与方法、宿主からの薬物のクリアランス、およびその他に依存して広く変化するであろう。最初の投与量はより多く、次いでより少ない維持投与量であることができる。
【0144】
投与量は頻繁ではなく、毎週または2週毎に投与するか、あるいはより少ない投与量に分割することができ、そして1日、半週に1回または数回、およびその他の方法で投与して有効な投与量レベルを維持することができる。多くの場合において、静脈内投与よりも、経口投与はより多い投与量を必要とするであろう。アミド結合、ならびにアミノ末端およびカルボキシル末端を修飾して、経口投与のための安定性をより大きくすることができる。例えば、カルボキシル末端をアミド化することができる。
【0145】
配合物
本発明の化合物は、治療投与のための種々の配合物に混入することができる。さらに詳しくは、本発明の化合物は適当な薬学上許容される担体または希釈剤と組合わせることによって医学組成物に配合することができ、そして固体、半固体、液体または気体の形態の製剤、例えば、錠剤、カプセル剤、粉剤、粒体、軟膏、クリーム、泡状物、溶液、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル、微小球、ローション、およびエーロゾルに配合することができる。それ自体、化合物の投与は種々の方法で達成することができ、このような方法は経口的、経頬的、経直腸、非経口的、腹腔内、皮内、経皮的、キール内 (intracheal) およびその他の投与により達成することができる。本発明の抗微生物性ポリペプチドは投与後に全身的であることができるか、あるいは移植部位において活性投与量を保持する作用をする移植片または他の配合物を使用することによって局在化することができる。
【0146】
1つの態様において、局所的使用のための配合物はキレート化剤を含んでなる。このキレート化剤は、2価のカチオン、特にカルシウムまたはマグネシウムの有効濃度を減少させる。例えば、キレート化剤、例えば、クエン酸塩、EGTAまたはEDTAを添加することができ、ここでクエン酸塩が好ましい。クエン酸塩の濃度は通常約1〜10 mMであろう。
【0147】
本発明の化合物は、単独で、互いに組合わせて投与することができるか、あるいは他の既知の化合物 (例えば、ペルフォリン、抗炎症剤、抗生物質、およびその他) と組合わせて使用することができる。薬学的投与形態において、化合物は薬学上許容される塩の形態で投与することができる。下記の方法および賦形剤は単に例証的であり、まったく限定的ではない。
【0148】
経口製剤について、化合物は単独でまたは適当な添加剤と組み合わせて使用して錠剤、粉剤、粒剤またはカプセル剤を作ることができ、ここで組合わせることができる添加剤の例は次の通りである: 慣用の添加剤、例えば、ラクトース、マンニトール、コーンスターチまたはジャガイモデンプン; 結合剤、例えば、結晶質セルロース、セルロース誘導体、アカシアゴム、コーンスターチまたはゼラチン; 崩壊剤、例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプンまたはナトリウムカルボキシメチルセルロース; 滑剤、例えば、タルクまたはステアリン酸マグネシウム; および必要に応じて、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤および香味剤。
【0149】
化合物は、注射のために、水性または非水性溶媒、例えば、植物性油または他の同様な油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸またはポリプロピレングリコールのエステル中に化合物を溶解、懸濁または乳化することによって、必要に応じて、慣用の添加剤、例えば、可溶化剤、等張化剤、懸濁剤、乳化剤、安定剤および保存剤を使用して製剤に配合することができる。
【0150】
化合物は、吸入を介して投与すべきエーロゾル配合物において利用することができる。本発明の化合物は、加圧した許容可能な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素およびその他の中に配合することができる。
化合物は、慣用の添加剤、例えば、可溶化剤、等張化剤、懸濁剤、乳化剤、安定剤および保存剤を使用する配合により、ローションとして使用して、例えば、熱傷の感染を防止することができる。
【0151】
さらに、化合物は、種々の基剤、例えば、乳化性基剤または水溶性基剤と混合することによって、坐剤に調製することができる。本発明の化合物は、坐剤を介して経直腸的に投与することができる。坐剤は、体温で溶融するが、なお室温において固化する賦形剤、例えば、カカオバター、カーボワックスおよびポリエチレングリコールを含むことができる。
【0152】
経口的または経直腸的投与のための単位投与形態、例えば、シロップ剤、エリキシル剤および懸濁液を準備することができ、ここで各投与単位、茶匙1杯、食匙1杯、錠剤または坐剤は、前もって決定した量の1種または2種以上の本発明の化合物を含有する組成物を含有する。同様に、注射または静脈内投与のための単位投与形態は、本発明の化合物を無菌水、通常の生理的食塩水または他の薬学上許容される担体中の溶液として組成物中に含んでなることができる。
【0153】
持続放出性配合物のための移植片は、この分野においてよく知られている。移植片は、生物分解性または非生物分解性ポリマーを使用して、微小球、スラブ、およびその他として配合される。例えば、乳酸および/またはグリコール酸のポリマーは、宿主が十分に許容する浸食可能なポリマーを形成する。本発明の抗微生物性ポリペプチドを含有する移植片は感染部位に近接させて配置して、活性剤の局所的濃度を体の残部に関係して増加させる。
【0154】
用語 「単位投与形態」 は、本明細書において使用するとき、ヒトおよび動物の被検体のための単一投与量として適当な物理的に離散した単位を意味し、各単位は薬学上許容される希釈剤、担体または賦形剤に関連して必要な作用を生成するために十分である量で計算した前もって決定した量の本発明の化合物を含有する。本発明の単位投与形態の規格は、使用する特定の化合物、達成すべき作用、および宿主における化合物に関連する薬力学に依存する。
【0155】
薬学上許容される賦形剤、例えば、ベヒクル、アジュバント、担体または希釈剤は公衆に容易に入手可能である。その上、薬学上許容される補助物質、例えば、pH調節剤および緩衝剤、張度調節剤、安定剤、湿潤剤およびその他は公衆に容易に入手可能である。
【0156】
全身的投与に典型的な投与量は、0.1 pg〜100 mg/被検体の体重kg/投与の範囲である。典型的な投与量は、毎日2回〜6回摂取する1つの錠剤、1日1回摂取しかつ比例的により高い含有率で活性成分を含有する1回放出性カプセル剤または錠剤であることができる。時間-放出作用は、異なるpH値において溶解するカプセル剤物質により、浸透圧によりゆっくり放出するカプセル剤により、または他の既知の調節放出手段により達成することができる。
【0157】
当業者は容易に認識するように、投与量レベルは特定の化合物、症状の重症度および副作用に対する被検体の感受性の関数として変化することがある。特定の化合物のあるものは他の化合物よりもいっそう効力がある。当業者は、種々の手段により、所定の化合物について好ましい投与量を容易に決定することができる。好ましい手段は、所定の化合物の生理学的効力を測定することである。
【0158】
送達ベヒクルとしてリポソームを使用することは、問題の方法の1つである。リポソームはターゲット部位の細胞と融合し、ルーメン内容物を細胞内に送出す。接触を維持する種々の手段、例えば、隔離、結合剤、およびその他を使用して、融合のために十分な時間の間、リポソームは細胞と接触して維持される。本発明の1つの面において、リポソームは経肺的投与のためにエーロゾル化されるように設計される。リポソームは、膜の融合を仲介する精製されたタンパク質またはペプチド、例えば、センダイウイルスまたはインフルエンザウイルス、およびその他を使用して調製することができる。脂質は、カチオン性または双生イオン性脂質、例えば、ホスファチジルコリンを包含する、既知のリポソーム形成性脂質の任意の有効な組合わせであることができる。残りの脂質は通常中性または酸性の脂質、例えば、コレステロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、およびその他であろう。
【0159】
リポソームを調製するために、Kato 他 (1991) J. Biol. Chem. 266: 3361に記載されている手順を使用することができる。簡単に述べると、脂質とペプチドを含有するルーメン組成物とを適当な水性媒質、好都合には生理食塩水媒質中で組合わせ、ここで全固形分は約1〜10重量%の範囲であろう。約5〜60秒の短時間強く攪拌した後、管を約25〜40℃の加温浴の中に入れ、このサイクルを約5〜10回反復する。次いで組成物を慣用の時間の間、一般に約1〜10秒間超音波処理し、さらに渦形成により攪拌することができる。次いで体積を水性媒質の添加により拡大し、一般に体積を1〜2倍に増加させ、次いで震蘯および冷却する。この方法により、高分子量のルーメン中への混入が可能である。
【0160】
他の活性剤との配合
主題の方法において使用するために、本発明の抗微生物性ポリペプチドは、他の薬学的活性剤、特に他の抗微生物剤と配合することができる。問題の他の活性剤は、この分野において知られている広範な種類の抗生物質を包含する。抗生物質のクラスは下記のものを包含する:ペニシリン、例えば、ペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、オキサシリン、カルベニシリン、ナフシリン、アンピシリン、およびその他; ペニシリンとβ-ラクタマーゼインヒビター、例えば、下記のものとの組合わせ、セファロスポリン、例えば、コファクター、セファゾリン、セフロキシム、モキサラクタム、およびその他; カルバペネム; モノバクタム; アミノグリコシド; テトラサイクリン; マクロリド; リンコマイシン; ポリミキシン; スルホンアミド; キノロン; クロランフェニカル; メトロニダゾール; スペクチノマイシン; トリメトプリム; バンコマイシン; およびその他。
【0161】
また、抗菌剤は有効であり、それらはポリエン、例えば、アムフォテリシンB、ニスタチン; 5-フルコシン; およびアゾール、例えば、ミコナゾール、ケトコナゾール、イトラコナゾールおよびフルコナゾールを包含する。抗結核薬物は、イソニアジド、エタンブトール、ストレプトマイシンおよびリファンピシンを包含する。サイトカイン、例えば、インターフェロン-γ、腫瘍壊死因子-α、インターロイキン-12、およびその他を本発明の抗微生物性ポリペプチドの配合物に添加することができる。
【0162】
in vitro合成
本発明の抗微生物性ポリペプチドは、この分野において知られている慣用法を使用して、in vitro合成により製造することができる。種々の商用合成装置、例えば、自動化合成装置 (Applied Biosystems, Inc.、Beckman、およびその他) が入手可能である。合成装置を使用することによって、天然に存在するアミノ酸を天然に見出されないアミノ酸、特にD-異性体 (D-型)、例えば、D-アラニンおよびD-イソロイシン、ジアステレイソマー、異なる長さまたは機能を有する側鎖、およびその他で置換することができる。特定の配列および製造方法は、便利さ、経済性、要求される純度、およびその他により決定されるであろう。
【0163】
結合のために好都合な機能、例えば、アミドまたは置換アミンの形成のためのアミノ基、例えば、還元性アミン化、チオエーテルまたはジサルファイドの形成のためのチオール基、アミド形成のためのカルボキシル基、およびその他を含んでなる種々のタンパク質またはペプチドに、化学結合を提供することができる。
必要に応じて、他の分子または表面に対する結合を可能とする、種々の基を合成間または発現間にペプチドの中に導入することができる。
【0164】
また、慣用の組換え合成法に従い、ポリペプチドを単離し、精製することができる。ライゼイトを酵素宿主から調製することができ、そしてライゼイトはHPLC、排除クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、アフィニティークロマトグラフィー、または他の精製ターミネーター配列を使用して精製することができる。大部分について、使用する組成物は、生成物の製造方法および精製方法に関係する汚染物質に関して、少なくとも20重量%、より通常少なくとも約75重量%、好ましくは少なくとも約95重量%、療法的目的のために、通常少なくとも約99.5重量%の必要な生成物を含んでなるであろう。通常、百分率は全タンパク質に基づくであろう。
【0165】
動物飼料
本発明は、また、動物飼料において抗微生物活性を有する沈殿を使用する方法、ならびに本発明の抗微生物性ポリペプチドを含んでなる飼料組成物および飼料添加物に関する。
【0166】
用語 「動物」 は、人間を含む、すべての動物を包含する。動物の例は、非反芻動物、および反芻動物、例えば、雌牛、ヒツジおよびウマである。特定の態様において、動物は非反芻動物である。非反芻動物は下記のものを包含する: 単胃動物、例えば、ブタまたはイノシシ (子豚、生長しているブタ、および雌豚を包含するが、これらに限定されない); 家禽、例えば、シチメンチョウおよびニワトリ (ブロイラーひな、産卵鶏を包含するが、これらに限定されない); 若い仔ウシ; および魚 (サケを包含するが、これらに限定されない)。
【0167】
用語 「飼料」 または 「飼料組成物」 は、動物の摂取に適当な、または意図される化合物、調製物、混合物または組成物を意味する。
本発明に従う使用において、抗微生物性ポリペプチドは飼料の前に、後にまたはそれと同時に動物に供給することができる。後者は好ましい。
【0168】
特定の態様において、抗微生物性ポリペプチドは、それらが飼料に添加される形態において、または飼料添加物に含められるとき、十分に規定される。「十分に規定される」は、調製物がサイズ排除クロマトグラフィーにより決定して、少なくとも50%の純度であることを意味する (WO 01/58275の実施例12参照) 。他の特定の態様において、調製物は、この方法により決定して、少なくとも60、70、80、85、88、90、92、94、または少なくとも95%の純度である。
【0169】
十分に規定された調製物は好都合である。例えば、妨害性または汚染する他の成分を本質的に含まない抗微生物性ポリペプチドの調製物を飼料に正しく投与することは非常に容易である。用語 「正しく投与する」 は、特に、終始一貫したかつ一定の結果を得るという目的、および必要な効果に基づいて投与量を最適化する可能性を意味する。
しかしながら、動物飼料において使用するために、抗微生物性ポリペプチドは純粋である必要がない; それは、例えば、追加の酵素を含むことができ、この場合において、それは抗微生物性ポリペプチド調製物と命名することができる。
【0170】
抗微生物性ポリペプチド調製物は (a) 直接飼料に添加する (または直接植物性タンパク質の処理プロセスにおいて使用する) ことができるか、あるいはそれは1種または2種以上の中間組成物、例えば、飼料添加物またはプレミックスに添加し、引き続いてこれらを飼料に添加する (または処理プロセスにおいて使用する) ことができる。前述の純度は、上記 (a) または (b) に従い使用するかどうかにかかわらず、もとの抗微生物性ポリペプチド調製物の純度を意味する。
【0171】
この程度の純度を有する抗微生物性ポリペプチド調製物は、特に組換え製造方法を使用して得ることができるが、抗微生物性ポリペプチドが伝統的発酵法により製造されるとき、抗微生物性ポリペプチド調製物は容易には得られず、また非常に高いバッチ対バッチ式変法に付される。
もちろん、このような抗微生物性ポリペプチド調製物は他の酵素と混合することができる。
【0172】
用語 「植物性タンパク質」 は、本明細書において使用するとき、植物から誘導されるか、あるいは植物に由来する少なくとも1種のタンパク質、例えば、修飾されたタンパク質およびタンパク質誘導体を包含する、任意の化合物、組成物、調製物または混合物を意味する。特定の態様において、植物性タンパク質のタンパク質含有率は少なくとも10、20、30、40、50または60% (w/w) である。
【0173】
植物性タンパク質は、植物性タンパク質源、例えば、マメ科植物およびおよび穀物に由来することができ、例えば、マメ科 (Fabaceae) (Leguminosae)、アブラナ科 (Cruciferaceae)、アカザ科 (Chenopodiaceae) およびイネ科 (Poaceae) の植物の材料、例えば、ダイズ粉末、ハウチマメ粉末およびナタネ粉末に由来することができる。
特定の態様において、植物性タンパク質源はマメ科 (Fabaceae) の1種または2種以上の植物、例えば、ダイズ、ハウチマメ、エンドウマメ、またはソラマメ・インゲン・ササゲの類からの材料である。
【0174】
他の特定の態様において、植物性タンパク質源はアカザ科 (Chenopodiaceae) の1種または2種以上の植物、例えば、ビート、テンサイ、ホウレンソウまたはキノアからの材料である。
植物性タンパク質源の他の例は、ナタネ、ヒマワリの種子、ワタの種子、およびキャベツである。
植物性タンパク質源の他の例は、ナタネおよびキャベツである。
【0175】
ダイズは好ましい植物性タンパク質源である。
植物性タンパク質源の他の例は、穀物、例えば、オオムギ、コムギ、ライムギ、カラスムギ、トウモロコシ (トウモロコシ) 、イネおよびモロコシである。
抗微生物性ポリペプチドは、任意の形態で、比較的純粋な生成物として、または動物飼料への添加を意図する他の成分との混合物として、すなわち、動物飼料添加物の形態、例えば、いわゆる動物飼料のプレミックスの形態で、飼料に添加することができる。
【0176】
それ以上の面において、本発明は、動物飼料において使用する組成物、例えば、動物飼料、および動物飼料添加物、例えば、プレミックスに関する。
本発明の抗微生物性ポリペプチドを別として、本発明の動物飼料添加物は、少なくとも1種の脂溶性ビタミン、および/または少なくとも1種の水溶性ビタミン、および/または少なくとも1種の微量ミネラル、および/または必要に応じて少なくとも1種のマクロミネラルを含有する。
【0177】
さらに、任意の飼料添加物成分は、着色剤; 芳香化合物; 安定剤; および/またはフィターゼEC 3.1.3.8または3.1.3.26; キシラナーゼEC 3.2.1.8; ガラクタナーゼEC 3.2.1.89; および/またはβ-グルカナーゼEC 3.2.1.4から成る群から選択される少なくとも1種の他の酵素である。
他の抗微生物性ペプチド (AMP) およびCAP18、ロイコシンA、トリトルプチシン、プロテグリン-1、タナチン、デフェンシン、オビスピリン、例えば、ノビスピリン (Robert Lehrer、2000) および抗微生物活性を保持するそれらの変異型またはフラグメントである。
【0178】
他の抗真菌性ポリペプチド (AFP) は、アスペルギルス・ギガンテウス (Aspergillus giganteus) およびアスペルギルス・ニガー (Aspergillus niger) ペプチド、ならびに抗微生物活性を保持するそれらの変異型またはフラグメントである (WO 94/01459およびPCT/DK 02/00289 [いったん公開されるとWO番号と置換される] に記載されている)。
通常、脂溶性ビタミンおよび水溶性ビタミン、ならびに微量ミネラルは飼料への添加に意図される、いわゆるプレミックスの一部分を形成するが、マクロミネラルは通常別々に飼料に添加される。これら組成物のタイプのいずれも、本発明の抗微生物性ポリペプチドで濃縮されたとき、本発明の動物飼料添加物である。
【0179】
特定の態様において、本発明の動物飼料添加物は動物の食飼または飼料に0.01〜10.0%、より好ましくは0.05〜5.0%、または0.2〜1.0% (%はg 添加物/100 g 飼料を意味する) のレベルで添加される (または添加しなくてはならないとして処方される) ことを意図される。これは特にプレミックスに当てはまる。
これら成分の例の非限定的リストは次の通りである:
脂溶性ビタミンの例は、ビタミンA、ビタミンD3、ビタミンEおよびビタミンK、例えば、ビタミンK3である。
【0180】
水溶性ビタミンの例は、ビタミンB12、ビオチンおよびコリン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ニアシン、葉酸およびパントテン酸塩、例えば、Ca-D-パントテン酸塩である。
微量ミネラルの例は、マンガン、亜鉛、鉄、銅、ヨウ素、セレンおよびコバルトである。
マクロミネラルの例は、カルシウム、リンおよびナトリウムである。
【0181】
これらの成分の栄養必要量 (家禽および子豚/ブタで例示されている) は、WO 01/58275の表Aに列挙されている。栄養必要量は、これらの成分を示される濃度で食飼において提供すべきであることを意味する。
【0182】
別法において、本発明の動物飼料添加物はWO 01/58275の表Aにおいて特定されている個々の成分の少なくとも1種を含んでなる。少なくとも1種は、1または2以上、1、または2、または4およびその他すべて13種類まで、またはすべて15種類までの個々の成分を意味する。より詳しくは、この少なくとも1種の個々の成分は、本発明の添加物中に、表Aの欄4、または欄5、または欄6に示されている範囲内の飼料内濃度を提供するような量で添加される。
【0183】
本発明は、また、動物飼料組成物に関する。動物飼料組成物または食飼は比較的高いタンパク質含有率を有する。家禽およびブタの食飼はWO 01/58275の表B、欄2〜3に示されているように特性決定することができる。魚の食飼はWO 01/58275の表B、欄4に示されているように特性決定することができる。さらに、このような魚の食飼は通常200〜310 g/kgの粗脂肪含量を有する。
本発明による動物飼料組成物は50〜800 g/kgの粗タンパク質含量を有し、そしてさらに特許請求の範囲に記載する少なくとも1種の抗微生物性ポリペプチドを含んでなる。
【0184】
さらに、または別法において (上に示した粗タンパク質含量に対して)、本発明の動物飼料組成物は10〜30 MJ/kgの代謝可能なエネルギー、および/または0.1〜200 g/kgのカルシウム含量、および/または0.1〜200 g/kgの有効リン含量、および/または0.1〜100 g/kgのメチオニン含量、および/または0.1〜150 g/kgのメチオニン+システイン含量、および/または0.5〜50 g/kgのリシン含量を有する。
【0185】
特定の態様において、代謝可能なエネルギー、粗タンパク質、カルシウム、リン、メチオニン、メチオニン+システイン、および/またはリシンの含量は、WO 01/58275の表B中の範囲2、3、4または5 (R、2〜5) の任意の1つ内にある。
粗タンパク質含量は窒素 (N) × 係数6.25として計算される、すなわち、粗タンパク質 (g/kg) = N (g/kg) × 6.25。窒素含量はKjeldahl法により決定される (A.O.A.C. 1984、Official Methods of Analysis 第14版、Association of Official Analytical Chemists、ワシントンD.C.) 。
【0186】
代謝可能なエネルギーは下記の文献に基づいて計算することができる: NRC publication Nutrient requirements in swine、第9改定版 1988、subcommittee on swine nutrition、committee on animal nutrition、board of agriculture、national council、National Academy Press、ワシントンD.C.、pp. 2-6、およびthe European Table of Energy Values for Poultry Feed-stuffs、Spelderholt centre for poultry research and extension、オランダ国ビークバーゲンDA 7361、Grafisch bedrijf Ponsen & Iooijen bv、Wageningen、ISBN 90-71463-12-5。
【0187】
完全動物食飼中のカルシウム、有効リンおよびアミノ酸の食飼含量は、飼料表、例えば、下記に基づいて計算することができる: Veevoedertabel 1997、gegevens over chemische samenstelling, verteerbaarheld en voederwaarde van voedermiddelen、Central Veevoederbureau、Rnderweg 6、8219 pk Leiystad、ISBN 90-72839-13-7。
特定の態様において、本発明の動物飼料組成物は少なくとも1種のタンパク質を含有する。
【0188】
なおそれ以上の特定の態様において、本発明の動物飼料組成物は0〜80%のトウモロコシ; および/または0〜80%のモロコシ; および/または0〜70%のコムギ; および/または0〜70%のオオムギ; および/または0〜30%のカラスムギ; および/または0〜40%の大豆かす; および/または0〜10%の魚粉; および/または0〜20%のホエーを含有する。動物食飼は、例えば、マッシュ飼料 (非ペレット化) またはペレット化飼料として製造することができる。典型的には、微粉砕された飼料物質を混合し、そして十分な量の必須ビタミおよびミネラルを問題の種についての規格に従い添加する。酵素は固体状または液状の配合物として添加することができる。例えば、固体状酵素配合物は典型的には混合工程の前または間に添加し、そして液状酵素調製物は典型的にはペレット化工程後に添加される。また、酵素は飼料添加物またはプレミックスの中に混入することができる。
【0189】
食飼中の最終酵素濃度は、0.01〜200 mgの抗微生物性ポリペプチド/kgの動物食飼の範囲内、例えば、5〜30 mgの抗微生物性ポリペプチド/kgの動物食飼の範囲である。
抗微生物性ポリペプチドは下記の量 (投与量範囲) の1または2以上において投与されることが考えられる: 0.01〜200; または0.01〜100; または0.05〜100; 0.05〜50; または0.01〜10 - すべてのこれらの範囲はmg抗微生物性ポリペプチドタンパク質/kg飼料 (ppm) である。
【0190】
mg抗微生物性ポリペプチド/kg飼料を決定するために、抗微生物性ポリペプチドを飼料組成物から精製し、そして精製された抗微生物性ポリペプチドの比活性を関係するアッセイにより決定する (抗微生物性ポリペプチド活性、基質およびアッセイの項参照)。また、飼料組成物それ自体の抗微生物性ポリペプチド活性を同一アッセイ間に決定し、そしてこれらの2つの決定に基づいて、投与量 (mg抗微生物性ポリペプチド/kg飼料) を計算する。
【0191】
同一原理が飼料添加物中のmg抗微生物性ポリペプチドの決定に適用される。もちろん、飼料添加物または飼料の製造に使用した抗微生物性ポリペプチドの試料が入手可能である場合、この試料から比活性を決定する (飼料組成物または添加物から抗微生物性ポリペプチドを精製する必要がない)。
【0192】
洗剤組成物
本発明の抗微生物性ポリペプチドを洗剤組成物に添加し、こうして洗剤組成物の1構成成分とすることができる。
【0193】
本発明の洗剤組成物は、例えば、汚れた布帛の前処理に適当な洗濯添加剤組成物およびリンス添加布帛柔軟剤組成物を包含する手によるまたは機械的洗濯洗剤組成物として配合することができ、または一般的家庭用硬質表面クリーニング作業において使用する洗剤組成物として配合することができ、または手による皿洗浄作業または機械的皿洗浄作業のために配合することができる。
【0194】
特定の面において、本発明は、本発明の抗微生物性ポリペプチドを含んでなる洗剤添加剤を提供する。洗剤添加剤ならびに洗剤組成物は、1種または2種以上の他の酵素、例えば、他の酵素、例えば、プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、アラビナーゼ、ガラクタナーゼ、キシラナーゼ、オキシダーゼ (例えば、ラッカーゼ) および/またはペルオキシダーゼ (例えば、ハロペルオキシダーゼ) を含んでなることができる。
【0195】
一般に、1種または2種以上の選択した酵素の性質は、選択した洗剤と適合性 (すなわち、pH最適値、他の酵素および非酵素成分との適合性およびその他) であるべきであり、そして1種または2種以上の酵素は有効量で存在すべきである。
【0196】
プロテアーゼ: 適当なプロテアーゼは、動物、植物または微生物由来のものを包含する。微生物由来は好ましい。化学的または遺伝的に修飾された突然変異体が包含される。プロテアーゼはセリンプロテアーゼまたは金属プロテアーゼ、好ましくはアルカリ性微生物プロテアーゼまたはトリプシン様プロテアーゼであることができる。アルカリ性プロテアーゼの例は、スブチリシン、特にバシラス (Bacillus) に由来するもの、例えば、スブチリシンNovo、スブチリシンCarlsberg、スブチリシン309、スブチリシン147およびスブチリシン168 (WO 89/06279に記載されている) である。トリプシン様プロテアーゼの例はトリプシン (例えば、ブタまたはウシ由来) およびWO 89/06270およびWO 94/25583に記載されているフザリウム (Fusarium) プロテアーゼである。
【0197】
有効なプロテアーゼの例は、WO 92/19729、WO 98/20115、WO 98/20116およびWO 98/34946に記載されている変異型、特に下記の位置の1または2以上において置換を有する変異型である: 27、36、57、76、87、97、101、104、120、123、167、170、194、206、218、222、224、235および274。
【0198】
リパーゼ: 適当なリパーゼは細菌または真菌由来のリパーゼである。化学的に修飾されたまたはタンパク質操作された突然変異体が包含される。有効なリパーゼの例は下記のからのリパーゼである: フミコラ (Humicola) (同義語Thermomyces)、例えば、EP 258 068およびEP 305 216に記載されているフミコラ・ラヌギノサ (H. lanuginosa) (T. lanuginosus) またはWO 96/13580に記載されているフミコラ・インソレンス (H. insolens)、シュードモナス (Pseudomonas) リパーゼ、例えば、シュードモナス・アルカリゲネス (P. alcaligenes) またはシュードモナス・シュードアルカリゲネス (P. pseudoalcaligenes) (EP 218 272)、シュードモナス・セパシア (P. cepacia) (EP 331 376)、シュードモナス・スツゼリ (P. stutzeri) (GB 1,372,034)、シュードモナス・フルオレセンス (P. fluorescens)、シュードモナス (Pseudomonas) 種株SD705 (WO 95/06720およびWO 96/207002)、シュードモナス・ウィスコンシネンシス (P. wisconsinensis) (WO 96/12012)、バシラス (Bacillus) リパーゼ、例えば、バシラス・サブチリス (B. subtilis) (Dartois 他 (1993)、Biochimica et Biophysica Acta 1131、253-360)、バシラス・ステアロサーモフィラス (B. stearothermophilus) (JP 64/744992) またはバシラス・ピュミルス (B. pumilus) (WO 92/16422)。
【0199】
他の例はリパーゼ変異型、例えば、下記の文献に記載されている変異型を包含する: WO 92/05249、WO 94/01541、EP 407 225、EP 260 105、WO 95/35381、WO 96/00292、WO 95/30744、WO 94/25578、WO 95/14783、WO 95/22615、WO 97/04079およびWO 97/07202。
【0200】
アミラーゼ: 適当なアミラーゼ (α-および/またはβ-) は細菌または真菌由来のものを包含する。化学的に修飾されたまたはタンパク質操作された突然変異体が包含される。アミラーゼは、例えば、バシラス (Bacillus)、例えば、バシラス・リヘニフォルミス (Bacillus licheniformis) の特別の株から得られるα-アミラーゼを包含する (GB 1,296,839にいっそう詳細に記載されている)。
【0201】
有効なアミラーゼの例は次の通りである: WO 94/02597、WO 94/18314、WO 96/23873およびWO 97/43424に記載されている変異型、特に下記の位置の1または2以上に置換を有する変異型: 15、23、105、106、124、128、133、154、156、181、188、190、197、202、208、209、243、264、304、305、391および444。
【0202】
セルラーゼ: 適当なセルラーゼは細菌または真菌由来のものを包含する。化学的に修飾されたまたはタンパク質操作された突然変異体が包含される。適当なセルラーゼは下記からのセルラーゼを包含する: 属バシラス (Bacillus)、シュードモナス (Pseudomonas)、フミコラ (Humicola)、フザリウム (Fusarium)、チエラビア (Thielavia)、アクレモニウム (Acremonium)、例えば、US 4,435,307、US 5,648,263、US 5,691,178、US 5,776,757およびWO 99/09259に開示されているフミコラ・インソレンス (Humicola insolens)、ミセリオフトラ・サーモフィラ (Myceliophthora thermophila) およびフザリウム・オキシスポラム (Fusarium oxysporum) から産生された真菌セルラーゼ。
【0203】
特に適当なセルラーゼは色ケアー利益を有するアルカリ性または中性のセルラーゼである。このようなセルラーゼの例は、EP 0 495 257、EP 0 531 372、WO 96/11262、WO 96/29397、WO 98/08940に記載されているセルラーゼである。他の例はセルラーゼ変異型、例えば、WO 94/07998、EP 0 531 315、US 5,457,046、US 5,686,593、US 5,763,254、WO 95/24471、WO 98/12307およびPCT/DK 98/00299に記載されている変異型である。
【0204】
ペルオキシダーゼ/オキシダーゼ: 適当なペルオキシダーゼ/オキシダーゼは細菌または真菌由来のものを包含する。化学的に修飾されたまたはタンパク質操作された突然変異体が包含される。有効なペルオキシダーゼの例は、コプリヌス (Coprinus)、例えば、コプリヌス・シネレウス (C. cinereus) からのペルオキシダーゼ、およびそれらの変異型、例えば、WO 93/24618、WO 95/10602およびWO 98/15257に記載されているものを包含する。
【0205】
1種または2種以上の洗剤酵素は、洗剤組成物の中に、1種または2種以上の酵素を含有する別々の添加剤を添加するか、あるいはこれらの酵素のすべてを含んでなる組合わせた添加剤を添加することによって添加することができる。本発明の洗剤添加剤、すなわち、別々の添加剤または組合わせた添加剤は、例えば、粒体、液体、スラリー、およびその他として配合することができる。好ましい洗剤添加剤配合物は、粒体、特に非ダスチング粒体、特に安定化液体、またはスラリーである。
【0206】
非ダスチング粒体は、例えば、US 4,106,991およびUS 4,661,452に記載されているようにして製造することができ、そして必要に応じてこの分野において知られている方法により被覆することができる。蝋状被覆物質の例は次の通りである: 平均分子量1000〜20000のポリ(エチレンオキシド) 生成物 (ポリエチレングリコール、PEG); 16〜50エチレンオキシド単位を有するエトキシル化ノニルフェノール; 12〜20個の炭素原子を含有しかつ18〜80エチレンオキシド単位が存在するエトキシル化脂肪族アルコール; 脂肪族アルコール; 脂肪酸; および脂肪酸のモノ-およびジ-およびトリグリセリド。流動床技術による適用に適当な皮膜形成被覆物質の例はGB 1483591に記載されている。液状酵素調製物は、確立された方法に従い、例えば、ポリオール、例えば、ポリエチレングリコール、糖または糖アルコール、乳酸またはホウ酸の添加により安定化することができる。保護された酵素は、EP 238,216に開示されている方法に従い製造することができる。
【0207】
本発明の洗剤組成物は、任意の便利な形態、例えば、棒、タブレット、粉末、粒体、ペーストまたは液体であることができる。液状洗剤は、典型的には70%までの水および0〜30%の有機溶媒を含有する水性であるか、あるいは非水性であることができる。
洗剤組成物は、非イオン性であることができ、半極性および/またはアニオン性および/または双生イオンを包含する、1種または2種以上の界面活性剤を含んでなる。典型的には、界面活性剤は0.1〜60重量%のレベルで存在する。
【0208】
その中に含めるとき、洗剤は通常約1%〜約40%のアニオン界面活性剤、例えば、線状アルキルベンゼンスルホネート、α-オレフィンスルホネート、アルキルサルフェート (脂肪族アルコールサルフェート) 、アルコールエトキシサルフェート、第二級アルカンスルホネート、α-スルホ脂肪酸メチルエステル、アルキル-またはアルケニルコハク酸または石鹸を含有するであろう。
【0209】
その中に含めるとき、洗剤は通常約0.2%〜約40%の非イオン界面活性剤、例えば、アルコールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、アルキルポリグリコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、エトキシル化脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸モノエタノールアミド、ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド、またはグルコサミンのN-アシルN-アルキル誘導体 (「グルコサミド」) を含有するであろう。
【0210】
洗剤は0〜65%の洗剤ビルダーまたは錯化剤、例えば、ゼオライト、二リン酸塩、三リン酸塩、ホスホン酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、アルキル-またはアルケニルコハク酸、可溶性ケイ酸塩または層状化ケイ酸塩 (例えば、SKS-6、Hoechst) を含有することができる。
【0211】
洗剤は1種または2種以上のポリマーを含んでなることができる。それらの例は次の通りである: カルボキシメチルセルロース、ポリ (ビニルピロリドン)、ポリ (エチレングリコール)、ポリ (ビニルアルコール)、ポリ (ビニルピリジン-N-オキシド) 、ポリ (ビニルイミダゾール)、ポリカルボキシレート、例えば、ポリアクリレート、マレイン酸/アクリル酸コポリマーおよびラウリルメトアクリレート/アクリル酸コポリマー。
【0212】
洗剤は漂白系を含有することができる。漂白系はH2O2源、例えば、過ホウ素酸塩または過炭酸塩を含んでなり、これらは過酸生成漂白アクチベーター、例えば、テトラアセチルエチレンジアミンまたはノナノイルオキシベンゼンスルホン酸塩と組合わせることができる。選択的に、漂白系は、例えば、アミド、イミド、またはスルホン型のペルオキシ酸を含んでなることができる。
【0213】
本発明の洗剤組成物の1種または2種以上の酵素は、慣用の安定剤、例えば、ポリオール、例えば、プロピレングリコールまたはグリセロール、糖または糖アルコール、乳酸、ホウ酸、またはホウ酸誘導体、例えば、芳香族ホウ酸エステル、またはフェニルホウ酸誘導体、例えば、4-ホルミルフェニルホウ酸を使用して安定化することができ、そして組成物はWO 92/19709およびWO 92/19708に記載されているようにして配合することができる。
【0214】
また、洗剤は他の慣用の洗剤成分、例えば、布帛コンディショナー、例えば、粘土、発泡ブースター、泡抑制剤、腐蝕防止剤、汚れ懸濁剤、汚れ再付着防止剤、染料、殺菌剤、蛍光増白剤、ハイドロトープ、曇り抑制剤、または香料を含有することができる。
在、洗剤組成物において、酵素、特に本発明の酵素は0.01〜100 mgの酵素タンパク質/リットルの洗浄液、好ましくは0.05〜10mgの酵素タンパク質/リットルの洗浄液、より好ましくは0.1〜5 mgの酵素タンパク質/リットルの洗浄液に相当する量で添加することができることが考えられる。
【0215】
さらに、本発明の抗微生物性ポリペプチドは、WO 97/07202 (これは引用することによって本明細書の一部とされる) に開示されている洗剤配合物中に添加できる。
下記の実施例により、本発明を説明する。これらの実施例は本発明の範囲を限定しない。
【実施例】
【0216】
緩衝剤および基質として使用する化学物質は、少なくとも試薬等級の商用製品である。
実施例1合成抗微生物性ポリペプチドの設計、構築および評価
効力のある抗微生物活性を有する新しいAMPを研究しかつ設計するために、1系列の推定上のAMPを構築した。3つの近位アルギニンを選択して、6つの連続的4アミノ酸反復の前に位置させた。その膜-相互作用能力および天然PRに富んだペプチド中の存在量に基づいて、フェニルアラニンを最初の系列のための疎水性残基 (Z1〜Z12) として選択した。これにより、配列番号1〜配列番号12と表示する12の異なる誘導体が生じた (表1参照)。
【0217】
各々がペプチドの1つをコードする12の特異的オリゴヌクレオチド (プライマー1〜プライマー12) から、配列番号1〜配列番号12をコードする12遺伝子を合成した。標準的PCR反応において5サイクルで相補的プライマー (プライマー13) を使用する重合により、一本鎖オリゴヌクレオチドは二本鎖DNAとなった。NcoI (下線が引かれている) DNA制限部位はプライマーの近位部分に位置するが、XbaI (下線が引かれている) 制限部位は遠位部分に位置する - これらの部位を対応する発現ベクターpBAD/gIIIA (Invitrogen、米国) 中へのクローニングのために使用する。
【0218】
【化1】

【0219】
【化2】

【0220】
AMPの抗生活性は、国際特許出願WO 00/73433の実施例1に開示されているように、自殺発現系 (SES) において試験することができる。この系において、感受性宿主 (ここでは大腸菌 (E. coli)) と、誘導可能なプロモーターを有するプラスミド (pBAD/gIIIA) とを使用する。ペプチドが抗生活性を有する場合、ペプチドの誘導は産生する細胞の増殖の阻害および/または細胞死を生ずるであろう - それゆえ自殺発現系。一般に、抗微生物活性がより強いほど、観測される阻害はより強い。
【0221】
12の二本鎖PCRフラグメントを精製し、XbaIおよびNcoIで制限し、pBAD/gIIIAの中にクローニングし、これを大腸菌 (E. coli) TOP10 (Invitrogen) の中に形質転換し、そして100μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天平板上に再ストリークした。100マイクロウェルのプレート (Honeycombプレート) において150 μlのRM + 0.2%のグルコース + 100 μg/mlのアンピシリン中で37℃において、バイオスクリーン (Bioscreen) C (Thermosystems、英国) により培地を震蘯させながら、配列番号1〜配列番号12の個々のクローンを増殖させた。
【0222】
100ウェルのはちの巣 (honeycomb) プレートにおいて0%または0.1%のインデューサー (アラビノース) を含む150 μlのRM + 0.2%のグルコース + 100 μg/mlのアンピシリン中で、一夜の培養物を50倍に希釈した。30分毎にバイオスクリーンC中で37℃およびOD450において測定することによって、細胞密度をモニターした。各試料の終点OD測定値/対照ベクターを含有する細胞から得られた終点OD測定値×100として、増殖阻害百分率を計算した。式は次の通りである:
【0223】
【数1】

ここで「ブランクOD」は成長培地のみのODに相当する。
【0224】
合成AMPのアミノ酸配列および対応する増殖阻害を表1に示す。
【表1】

【0225】
期待されるように、インデューサーの不存在下において阻害は観測されないか、あるいはほんのわずかであった (データは示されていない)。0.1%のインデューサーの存在下に、すべての合成AMPは増殖を阻害した。
【0226】
実施例2酵母における合成AMPの発現
配列番号1、配列番号5および配列番号10と表示するAMPを酵母発現ベクターpHH3885中にクローニングした。簡単に述べると、pHH3885はpYES (Invitrogen) に基づく酵母/大腸菌 (E. coli) シャトルベクターである。このプラスミドは2 μの酵母複製起点および酵母における選択のためのUra3遺伝子を含有する。大腸菌 (E. coli) における増殖のために、pUC由来およびbla遺伝子を使用する。発現をGalプロモーターでコントロールし、そしてサッカロマイセス・セレビシエ (S. cerevisiae) α-リーダーを使用してペプチドの分泌を仲介する。
【0227】
効力のあるAMPの発現は、産生される生物を殺し、抗微生物活性を遮断なくてはならない。抗微生物活性にとってきわめて重要である近位の電荷を遮断するアニオン性アミノ酸のストレッチを使用して、この遮断を実施することができる。相応して、すべて3つのAMPの前にアスパルテートおよびグルタメートのストレッチ (DDDDE) が存在する。いくつかのプロテアーゼはグルタミン酸残基 (E) の後で特異的に切断し、アニオン性ストレッチをAMPから遊離させて、AMPの抗微生物活性をモニターすることができる。
【0228】
標準的PCR反応において特定のホワードプライマーおよび一般的リバースプライマーを使用して、配列番号1、配列番号5および配列番号10と表示するPRに富んだAMPを増幅した。前方向オリゴはすべてのコード情報を含有するので、鋳型は不必要である。
【0229】
【化3】

【0230】
二本鎖DNAフラグメントをBalIおよびXbaIで制限し、そして同一の2つの酵素で制限したpHH3885の中にクローニングした。対応するプラスミドを大腸菌 (E. coli) の中に形質転換し、配列決定した。配列を確認した後、シャトルベクターをサッカロマイセス・セレビシエ (S. cerevisiae) (JG 169) に対してエレクトロトランスフォームし、SC + 2%のグルコース + 100 μg/mlのアンピシリン寒天平板上に配置した。
酵母のコロニーを再ストリークし、5 mlの液状SCグラウンド培地 (2%のグルコースを補充した) 中で30℃において3日間増殖させた。
【0231】
細胞を3500 rpmにおいて5分間遠心することによってペレット化した。500 μlをミクロコン (microcon) YM-3遠心フィルター (Millipore Corp.、米国) に移し、遠心により体積をほぼ20 μlに減少させた。濃縮した試料をトリシン配合緩衝液と混合し、16%のトリシンゲル (Novex、Invitrogen、米国) 中で分析した。
期待した分子量を有する明確なバンドが3つの培養物の各々において観測され、3つのペプチドの発現を示した。対照プラスミドを収容する酵母細胞の上澄みにおいて、バンドは観測されなかった。
【0232】
実施例3配列番号1、配列番号5および配列番号10の変異型の評価
改良された活性を有するAMPを得るための突然変異の高処理量スクリーニングの出発点において、配列番号1、配列番号5および配列番号10を使用した。簡潔化のために、配列番号1、配列番号5および配列番号10のすべては疎水性残基としてフェニルアラニンを含有した。ただ1つのタイプの疎水性アミノ酸を使用することは、多分抗微生物活性のために最適ではない; これはすべてが疎水性残基の混合物を含有する天然のペプチドにより強調される。フェニルアラニルに制限するの代わりに、4つの疎水性アミノ酸の各々をコードする縮重DNAオリゴを設計した。原理的に、配列番号1、配列番号5および配列番号10の各々は6フェニルアラニン残基を含有するので、ライブラリーは理論的に46または4096の異なる変異型をコードすることができる。
【0233】
全体のペプチドをコードする長いホワードプライマー (配列番号1縮重プライマー、配列番号5縮重プライマーおよび配列番号10縮重プライマー) と、リバースストランドの合成のためにより小さいリバースプライマー (プライマー13) とを使用して、ライブラリーを前述したようにして構築した。Nは表示した位置における4つの疎水性アミノ酸の組込みを可能とする4ヌクレオチド (G、A、TおよびC) の各々の25%を表す。
【0234】
【化4】

【0235】
DNAフラグメントをSESベクターpBAD/gIIIAの中にクローニングし、これを大腸菌 (E. coli) の中に形質転換して、各々がほぼ106のコロニーの3つの独立のライブラリーを得た。
【0236】
ライブラリーをプレートし、そして20×希釈したRM + 200 μg/mlのアンピシリンを含有する96ウェルのマイクロタイタープレート中に、各ライブラリーからの約10,000の個々のコロニーをコロニーピッカーで入れた。20×希釈したRM培地および0.1%または0%のインデューサーを含有する96ウェルのプレートの新しい組の中に、これらのマスタープレートをレプリカプレートし、37℃において一夜インキュベートした。各ライブラリーからある数の最も増殖阻害されたコロニーを単離し、配列決定し、バイオスクリーンC中で増殖阻害について再試験した。
【0237】
配列番号1の変異型のアミノ酸配列および対応する増殖阻害を表2に示す; 配列番号5の変異型を表3及び表4に示す; そして配列番号10の変異型を表5〜表10に示す。
【0238】
【表2】

【0239】
【表3】

【0240】
【表4】

【0241】
【表5】

【0242】
【表6】

【0243】
【表7】

【0244】
【表8】

【0245】
【表9】

【0246】
【表10】

【0247】
実施例4混合モチーフのライブラリーからの合成PRに富んだAMPの評価
実施例3において試験したAMPは、縮重の反復、そうでなければ同一の反復から成っていた。12の異なる「4アミノ酸のモチーフ」が、1つの配列において混合されたとき、効力のあるAMPを生ずるかどうかを試験するために、新しいライブラリーを構築した。この系列におけるバックボーンは下記の配列モチーフから構成されていた: PPRX、PRPX、PXRP、PPRX、PRPXおよびPXRP; ここでXは疎水性アミノ酸バリン、フェニルアラニン、イソロイシンまたはロイシンのいずれかを意味する。再び、等しい比率の疎水性アミノ酸を使用した。
【0248】
実施例3に記載されているようにして、全体のペプチドをコードする長いホワードプライマー (混合モチーフの縮重プライマー) およびリバースストランドの合成のためにより小さいリバースプライマー (プライマー13) を使用して、ライブラリーを構築した。Nは4ヌクレオチド (G、A、TおよびC) の各々の25%を表す。
【0249】
【化5】

【0250】
PCR合成したDNAフラグメントをSESベクターpBAD/gIIIAの中にクローニングし、これを大腸菌 (E. coli) の中に形質転換して、各々がほぼ106のコロニーのライブラリーを得た。
ライブラリーをプレートし、そして20×希釈したRM + 200 μg/mlのアンピシリンを含有する96ウェルのマイクロタイタープレート中に、約10,000の個々のコロニーをコロニーピッカーで入れた。20×希釈したRM培地および0.1%または0%のインデューサーを含有する96ウェルのプレートの新しい組の中に、これらのマスタープレートをレプリカプレートし、37℃において一夜インキュベートした。ある数の最も増殖阻害されたコロニーを単離し、配列決定し、バイオスクリーンC中で増殖阻害について再試験した。
混合モチーフからの変異型のアミノ酸配列および対応する増殖阻害を表11〜表15に示す。
【0251】
【表11】

【0252】
【表12】

【0253】
【表13】

【0254】
【表14】

【0255】
【表15】

【0256】
実施例5選択したペプチドのMIC、MBCおよびMECの決定
実施例1〜4において同定し、記載したペプチドの抗微生物効力を確認するために、3つの構造的に異なるペプチドの最小阻止濃度 (MIC)、最小殺菌濃度 (MBC) および最小有効濃度 (MEC) をある範囲の微生物に対して決定した。
【0257】
化学的合成および抗菌効力の決定のために、下記の3つのペプチドを選択した:
PR-1 (RRR-PRPV-PRPF-PRPV-PRPL-PRPF-PRPF) (配列番号61)
PR-2 (RRR-PFRP-PFRP-PFRP-PVRP-PVRP-PFRP) (配列番号79)
PR-3 (RRR-PPRL-PRPF-PVRP-PPRF-PRPF-PLRP) (配列番号239)
【0258】
試験した微生物は、大腸菌 (E. coli) (ATCC 10536)、サッカロマイセス・カルノスス (S. carnosus)、サッカロマイセス・シムランス (S. simulans)、ミクロコッカス・ルテウス (M. luteus) (ATCC 9341)、バシラス・サブチリス (B. subtilis) およびサッカロマイセス・セレビシエ (S. cerevisiae) (ATCC 9763) を包含した。
【0259】
MICおよびMBCの決定は、ペプチドを0.01%の酢酸および0.1%のBSA中に溶解して高い濃度における沈殿を防止しかつプラスチック容器への結合を最小にする小さい変更を加えた以外、NCCLSプロトコルに従い実施した。MECの決定は、ラジアル拡散アッセイ構成においてSteinbergおよびLehrer (Methods in Molecular Biology Vol. 78: Antibacterial Peptide Protocol) に従い実施した。MECプロトコルは、NCCLSプロトコルを使用する抗微生物性ペプチドの試験に関連する問題のいくつかを回避し、非常に感受性の試験構成を提供する。結果を表16〜表18に示す。
【0260】
【表16】

【0261】
【表17】

【0262】
【表18】

3つのPRに富んだペプチドは、規定された条件下にグラム陽性生物およびグラム陰性生物に対して広く活性であることが明らかである。
【0263】
実施例6PR-1、PR-2およびPR-3の溶血活性
ヒト赤血球 (hRBC) を溶解する抗微生物性ペプチドの能力を分析した。赤血球試験は、試験物質の膜溶解活性を評価する簡単な試験系を提供する。それは溶血性についてのスクリーニングアッセイとして適当である。ヘモグロビン放出は、細胞膜の完全性の有効な終点である。540 nmにおける吸収を測定することによって、放出されたヘモグロビンを検出する。通常、完全に溶解した試料 (HL50) に関係して50%の溶血を生ずる濃度を計算した; しかしながら、試験したペプチドの低い溶血活性のために、これはこの実施例において実施しなかった。8%のRBC懸濁液 (12日経過した) をこの試験構成において使用した。
100%の溶解した試料に関する個々の溶血値を表19に示す。
【0264】
【表19】

【0265】
ペプチドを0.01%の酢酸中に溶解したので、0.01%の酢酸のベヒクル対照を含めた。25%、10%、5%および0.01%の酢酸を含むPBSを両方のプレートに添加した。バックグラウンドと異なる溶血反応は、試験した濃度のいずれにおいても観察されなかった。
投与量/応答効果が存在することを確認するために、SDSの溶血活性をまた試験した。
【0266】
【表20】

【0267】
3つの試験したペプチド変異型PR-1、PR-2およびPR-3は、アッセイの条件下に、バックグラウンドのレベルと有意に異なる溶血性を示さなかった。
自発的溶血レベルはこのアッセイにおいて高く、これは多分赤血球の古さ (12日) のためである。比較的高い自発的溶血レベルは、3つのペプチドが試験した濃度において非溶血性であるという結論を妨害しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式のアミノ酸配列を含んでなる、抗微生物活性を有するポリペプチド:
X1-X2-X3-X4-X5
式中X1、X2、X3、X4およびX5の各々はアミノ酸配列P-P-R-F、P-R-F-P、R-F-P-P、F-P-P-R、P-R-P-F、R-P-F-P、P-F-P-R、F-P-R-P、P-P-F-R、P-F-R-P、F-R-P-P、R-P-P-F、P-P-R-L、P-R-L-P、R-L-P-P、L-P-P-R、P-R-P-L、R-P-L-P、P-L-P-R、L-P-R-P、P-P-L-R、P-L-R-P、L-R-P-P、R-P-P-L、P-P-R-V、P-R-V-P、R-V-P-P、V-P-P-R、P-R-P-V、R-P-V-P、P-V-P-R、V-P-R-P、P-P-V-R、P-V-R-P、V-R-P-P、R-P-P-V、P-P-R-I、P-R-I-P、R-I-P-P、I-P-P-R、P-R-P-I、R-P-I-P、P-I-P-R、I-P-R-P、P-P-I-R、P-I-R-P、I-R-P-PおよびR-P-P-Iから成る群から選択され、そしてX1〜X5のうちの最大4つは同一である。
【請求項2】
X1、X2、X3、X4およびX5が下記のアミノ酸配列から成る群から選択される、請求項1に記載のポリペプチド:
P-P-R-Z1、P-R-Z2-P、R-Z3-P-P、Z4-P-P-R、P-R-P-Z5、R-P-Z6-P、P-Z7-P-R、Z8-P-R-P、P-P-Z9-R、P-Z10-R-P、Z11-R-P-PおよびR-P-P-Z12;
式中Z1〜Z12アミノ酸を除外して、X1〜X5は同一であり、そしてZ1〜Z12はF、L、VおよびIから成るアミノ酸の群から選択される。
【請求項3】
下記式のアミノ酸配列を含んでなる、請求項1に記載のポリペプチド:
X1-X2-X3-X4-X5-X6
式中X1、X2、X3、X4、X5およびX6の各々はアミノ酸配列: P-P-R-F、P-R-F-P、R-F-P-P、F-P-P-R、P-R-P-F、R-P-F-P、P-F-P-R、F-P-R-P、P-P-F-R、P-F-R-P、F-R-P-P、R-P-P-F、P-P-R-L、P-R-L-P、R-L-P-P、L-P-P-R、P-R-P-L、R-P-L-P、P-L-P-R、L-P-R-P、P-P-L-R、P-L-R-P、L-R-P-P、R-P-P-L、P-P-R-V、P-R-V-P、R-V-P-P、V-P-P-R、P-R-P-V、R-P-V-P、P-V-P-R、V-P-R-P、P-P-V-R、P-V-R-P、V-R-P-P、R-P-P-V、P-P-R-I、P-R-I-P、R-I-P-P、I-P-P-R、P-R-P-I、R-P-I-P、P-I-P-R、I-P-R-P、P-P-I-R、P-I-R-P、I-R-P-PおよびR-P-P-Iから成る群から選択され、そしてX1〜X6のうちの最大4つは同一である。
【請求項4】
X1、X2、X3、X4、X5およびX6が下記のアミノ酸配列から成る群から選択される、請求項3に記載のポリペプチド:
P-P-R-Z1、P-R-Z2-P、R-Z3-P-P、Z4-P-P-R、P-R-P-Z5、R-P-Z6-P、P-Z7-P-R、Z8-P-R-P、P-P-Z9-R、P-Z10-R-P、Z11-R-P-PおよびR-P-P-Z12;
式中Z1〜Z12アミノ酸を除外して、X1〜X6は同一であり、そしてZ1〜Z12はF、L、VおよびIから成るアミノ酸の群から選択される。
【請求項5】
X1〜X5のうちの最大3つが同一である、請求項1〜4のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項6】
X1〜X5のうちの最大2つが同一である、請求項1〜5のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項7】
X1-X2-X3-X4-X5またはX1-X2-X3-X4-X5-X6が3〜10アミノ酸のアミノ酸配列で直接保護されており、それらのアミノ酸のうちの少なくとも2つのアミノ酸が中性pHにおいて正に帯電している、請求項1〜6のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項8】
アミノ酸配列X1-X2-X3-X4-X5またはX1-X2-X3-X4-X5-X6から成る、請求項1〜6のいずれかに記載のポリペプチド。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド。
【請求項10】
適当な宿主におけるポリペプチドの産生を指令する1または2以上の制御配列に作用可能に連鎖された請求項9に記載のヌクレオチド配列を含んでなる核酸構築物。
【請求項11】
請求項10に記載の核酸構築物を含んでなる組換え発現ベクター。
【請求項12】
請求項10に記載の核酸構築物を含んでなる組換え宿主細胞。
【請求項13】
下記の工程を含んでなる、請求項1〜8のいずれかに記載のポリペプチドを製造する方法:
(a) ポリペプチドの産生を促進する条件下に請求項12に記載の宿主細胞を培養し、そして
(b) ポリペプチドを回収する。
【請求項14】
請求項1〜8のいずれかに記載のポリペプチドを含んでなる組成物。
【請求項15】
追加の殺生物剤をさらに含んでなる、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
微生物細胞を請求項1〜8のいずれかに記載の抗微生物性ポリペプチドと接触させることを含んでなる、微生物細胞を殺すか、あるいはその増殖を阻害する方法。
【請求項17】
界面活性剤と、請求項1〜8のいずれかに記載の抗微生物性ポリペプチドとを含んでなる洗剤組成物。
【請求項18】
薬剤として使用するための請求項1〜8のいずれかに記載の抗微生物性ポリペプチド。
【請求項19】
動物およびヒトの抗微生物性療法的または予防的薬物として使用するための請求項1〜8のいずれかに記載の抗微生物性ポリペプチド。
【請求項20】
微生物感染の治療および予防に使用する動物およびヒトの療法的薬物の製造における請求項1〜8のいずれかに記載の抗微生物性ポリペプチドの使用。
【請求項21】
微生物細胞を殺すか、あるいはその増殖を阻害するための請求項1〜8のいずれかに記載の抗微生物性ポリペプチドの使用。
【請求項22】
請求項1〜8のいずれかに記載の抗微生物活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列で形質転換されたトランスジェニック植物、植物部分または植物細胞。
【請求項23】
動物飼料における請求項1〜8のいずれかに記載の少なくとも1種の抗微生物性ポリペプチドの使用。
【請求項24】
動物飼料において使用する組成物の製造における請求項1〜8のいずれかに記載の少なくとも1種の抗微生物性ポリペプチドの使用。
【請求項25】
下記の成分を含んでなる動物飼料添加物:
(a) 請求項1〜8のいずれかに記載の少なくとも1種の抗微生物性ポリペプチド、および
(b) 少なくとも1種の脂溶性ビタミン、および/または
(c) 少なくとも1種の水溶性ビタミン、および/または
(d) 少なくとも1種の微量ミネラル、および/または
(e) 少なくとも1種のマクロミネラル。
【請求項26】
フィターゼ、キシラナーゼ、ガラクタナーゼおよび/またはβ-グルカナーゼをさらに含んでなる、請求項25に記載の動物飼料添加物。
【請求項27】
50〜800 g/kgの粗タンパク質含量を有し、そして請求項1〜8のいずれかに記載の少なくとも1種の抗微生物性ポリペプチドを含んでなる動物飼料組成物。

【公表番号】特表2007−527228(P2007−527228A)
【公表日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525632(P2006−525632)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【国際出願番号】PCT/DK2004/000606
【国際公開番号】WO2005/026204
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(500586299)ノボザイムス アクティーゼルスカブ (164)
【Fターム(参考)】