合成構造体、セグメントおよびセグメントの製造方法
【課題】様々な応力状態に対しても補強効果を十分に高めて材料コストや加工手間、加工コストが抑制できるとともに、コンクリートの充填性を確保することができる合成構造体、セグメントおよびセグメントの製造方法を提供すること。
【解決手段】セグメント1において、第1主筋31と第2主筋32とに渡りかつ一方の補強板5から他方の補強板5に向かって傾斜させてせん断補強筋4を巻回すとともに、このせん断補強筋4を互いにX字状となる第1および第2のせん断補強筋41,42で構成することで、補強板5間に形成されるトラス機構の引張側および圧縮斜材側の両方向に対してせん断補強筋4を有効に配置することができ、材料コストや加工手間、加工コストが抑制できるとともに、コンクリート2の充填性を向上させ、製品の品質を確保することができる。
【解決手段】セグメント1において、第1主筋31と第2主筋32とに渡りかつ一方の補強板5から他方の補強板5に向かって傾斜させてせん断補強筋4を巻回すとともに、このせん断補強筋4を互いにX字状となる第1および第2のせん断補強筋41,42で構成することで、補強板5間に形成されるトラス機構の引張側および圧縮斜材側の両方向に対してせん断補強筋4を有効に配置することができ、材料コストや加工手間、加工コストが抑制できるとともに、コンクリート2の充填性を向上させ、製品の品質を確保することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼製部材と鉄筋コンクリート部材とを組み合わせて構成される合成構造体、複数のピースを組み合わせてトンネル覆工に利用されるセグメント、およびセグメントの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、土木、建築分野における構造体として、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の他に、これらを組み合わせた鉄骨鉄筋コンクリート造等の合成構造が用いられており、このような合成構造の一例として、シールドトンネル覆工に利用される合成セグメントが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載された合成セグメントは、内空側以外の5面が囲まれた鋼殻と、この鋼殻内部に充填されるコンクリートとを有し、コンクリート内には主筋および補強筋が設けられている。鋼殻は、トンネル周方向に沿った一対の主桁と、その端部同士を連結する一対の継手板と、これらの地山側に四周が固定される地山側スキンプレートと、一対の主桁間に架設される複数の縦リブとを有し、縦リブには主筋を挿通させる挿通孔が形成されている。補強筋は、略M字形に曲げ加工されるとともに主筋に沿って縦リブ間に複数配置されており、これらの補強筋によってコンクリートをせん断補強することで、合成セグメントの耐力向上を図ることができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−270276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の合成セグメントは、縦リブの挿通孔に主筋を挿通させることで、縦リブと主筋とで囲まれたコンクリートにトラス機構が形成されるとともに、補強筋によるせん断補強が付加されることによって、合成セグメントのせん断耐力を高めることができるものの、略M字形の補強筋が主筋に沿って主筋とは定着されずに別々に配置されているため、補強筋による主筋の拘束効果については考慮されておらず、主筋の変形が進行し、耐力が落ちることが考えられた。すなわち、従来の補強構造では、トラス機構のうちのコンクリートに引張力が作用する引張方向ではコンクリートを補強して補強筋が引張力を負担するものの、圧縮斜材となる側では補強筋が負担する圧縮力は小さく、補強効果については考慮していないため、補強筋のうちの半数が有効に機能しないという構造であり、大きなせん断力が作用する場合には部材断面の桁高を高くしたり、コンクリート強度を大きくしたりするなど、コストアップにつながる可能性があった。このため、正負両方向の荷重による作用応力や土圧を受けた場合の複雑な作用応力など、様々な応力状態に対応して補強効果を十分に発揮させるためには、負担する引張力に対して2倍の補強筋を配置する必要があり、補強筋の使用量が増えて材料コストや加工手間、加工コストが増加したり、多数の補強筋を配置することでコンクリートの充填性が低下したりなどの不都合があり、製品の品質にも悪影響を及ぼすことも懸念される。
【0005】
本発明の目的は、様々な応力状態に対しても補強効果を十分に高めて材料コストや加工手間、加工コストが抑制できるとともに、コンクリートの充填性を確保した高品質な合成構造体、セグメントおよびセグメントの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の合成構造体は、鉄筋コンクリート部材と鋼製部材とを組み合わせて構成されるとともに、所定方向の主軸に沿って延びる合成構造体であって、前記鉄筋コンクリート部材は、コンクリートと、このコンクリートに埋設されて前記主軸に沿って延びる複数の主筋と、これら複数の主筋のうちの所定組の主筋との定着のために巻回されるせん断補強筋とを備えて構成され、前記複数の主筋は、部材高さ方向に上下に離隔する第1主筋および第2主筋を有した複数段で構成され、前記鋼製部材は、前記コンクリートに埋設されるとともに前記主軸と直交する複数の補強板を備えて構成され、前記複数の主筋は、前記補強板に形成された挿通孔に挿通され、前記せん断補強筋は、隣り合う前記補強板間において、当該一方の補強板から他方の補強板に向かって前記主軸と傾斜して設けられていることを特徴とする。
【0007】
以上の本発明によれば、補強板の挿通孔に挿通された複数の主筋のうちの所定組の主筋にせん断補強筋を巻回すとともに、このせん断補強筋を一方の補強板から他方の補強板に向かって主軸と傾斜して設置することで、この傾斜方向がトラス機構の引張側になった際にはせん断補強筋によって引張力を負担することができ、圧縮斜材側になった際にはせん断補強筋で主筋の局所的な変形を拘束することで、鉄筋コンクリートのディープビームで見られるような圧縮応力を分散させる載荷板の効果によって圧縮斜材となるコンクリートの負担圧縮力を高めることができる。すなわち、様々な応力状態に対して引張側および圧縮斜材側のいずれになった場合にも、せん断補強筋を有効に機能させて補強効果を十分に発揮させることができ、大きなせん断力が作用する場合においても桁高アップやコンクリート強度アップをしなくても十分なせん断耐力を有した経済的な断面で設計することができる。従って、補強に必要なせん断補強筋を過剰に配置をしなくてもよいことから、材料コストや加工手間、加工コストが抑制できるとともに、コンクリートの充填性を確保することができる。
なお、本発明の合成構造体は、上述のような鉄筋コンクリート部材と鋼製部材とを組み合わせて構成されるものであれば、その用途や使用部位等は特に限定されるものではなく、例えば、橋脚を含む柱や橋桁を含む梁などの棒状部材であってもよいし、床版や壁等の平板部材であってもよく、さらには適宜な曲線状部材や曲面状部材であってもよい。
【0008】
この際、本発明の合成構造体では、前記せん断補強筋は、前記一方の補強板側において前記第1主筋に巻回されるとともに前記他方の補強板側において前記第2主筋に巻回される第1せん断補強筋と、前記一方の補強板側において前記第2主筋に巻回されるとともに前記他方の補強板側において前記第1主筋に巻回される第2せん断補強筋とを有し、これら第1および第2のせん断補強筋がX字状に交差して設けられていることが好ましい。
このような構成によれば、上下二段などの複数段で主筋を配置した場合に、これらの複数段の主筋(第1主筋および第2主筋)に渡ってせん断補強筋を巻回すとともに、このせん断補強筋を互いにX字状となる第1および第2のせん断補強筋で構成することで、前述のようなトラス機構における引張側および圧縮斜材側の両方に対してせん断補強筋を有効に配置することができ、補強効果を向上させることができる。さらに、第1および第2のせん断補強筋は、一方および他方の補強板側に離隔した位置にて主筋に巻回され、第1および第2の主筋の中間位置で互いにX字状に交差することから、主筋やせん断補強筋の重なる位置を分散させることができる。従って、配筋の混み合った部分を削減することで、製造上の作業手間を軽減することができるとともに、コンクリートの充填性を良好にすることができる。
さらには、前記せん断補強筋による補強効果を効率よく発揮させるためには、前記一方の補強版と前記他方の補強版との間隔sと、本構造の上縁から下段の主筋(第2主筋)までの距離dとの比s/dを1.5以上とすることが好ましい。
【0009】
また、本発明のセグメントは、トンネル周方向の主軸に沿った所定長さと、トンネル延長方向の第1交差軸に沿った所定幅と、トンネル径方向の第2交差軸に沿った所定厚さと、を有したピースを複数組み合わせてトンネル覆工に利用されるとともに、鉄筋コンクリート部材と鋼製部材とを組み合わせて構成されるセグメントであって、前記鉄筋コンクリート部材は、コンクリートと、このコンクリートに埋設されて前記主軸に沿って延びる複数の主筋と、これら複数の主筋のうちの所定組の主筋に巻回されるせん断補強筋とを備えて構成され、前記複数の主筋は、部材高さ方向に上下に離隔する第1主筋および第2主筋を有した複数段で構成され、前記鋼製部材は、前記主軸と直交する複数の補強板とを備えて構成され、前記複数の主筋は、前記補強板に形成された挿通孔に挿通され、前記せん断補強筋は、隣り合う前記補強板間において、前記一方の補強板側において前記第1主筋に巻回されるとともに前記他方の補強板側において前記第2主筋に巻回される第1せん断補強筋と、前記一方の補強板側において前記第2主筋に巻回されるとともに前記他方の補強板側において前記第1主筋に巻回される第2せん断補強筋とを有し、これら第1および第2のせん断補強筋がX字状に交差して設けられていることを特徴とする。
また、本発明のセグメントは、少なくともトンネル周方向に略円弧状に延びる2枚の主桁と、トンネル軸方向に延びて前記主桁の両端部に渡って固定される2枚の継手板と、トンネル外面側にて前記継手板と前記主桁とに4辺を固定される少なくとも1枚のスキンプレートと、を有した鋼殻によってトンネル内空面側を除く少なくとも五面が覆われ、鋼殻内部の構造が鉄筋コンクリート構造であるコンクリート中詰め合成セグメントであるセグメントであって、前記鉄筋コンクリート部材は、コンクリートと、このコンクリートに埋設されて前記主軸に沿って延びる複数の主筋と、これら複数の主筋のうちの所定組の主筋に巻回されるせん断補強筋とを備えて構成され、前記複数の主筋は、部材高さ方向に上下に離隔する第1主筋および第2主筋を有した複数段で構成され、前記鋼殻内部には、前記主軸と直交する複数の補強板が設けられ、前記複数の主筋は、前記補強板に形成された挿通孔に挿通され、前記せん断補強筋は、隣り合う前記補強板間において、前記一方の補強板側において前記第1主筋に巻回されるとともに前記他方の補強板側において前記第2主筋に巻回される第1せん断補強筋と、前記一方の補強板側において前記第2主筋に巻回されるとともに前記他方の補強板側において前記第1主筋に巻回される第2せん断補強筋とを有し、これら第1および第2のせん断補強筋がX字状に交差して設けられていることを特徴とするコンクリート中詰めセグメントであってもよい。なお、トンネル内空側にもスキンプレートを有した鋼殻よって全六面が覆われたものであってもよい。
【0010】
このような本発明のセグメントによれば、前述の合成構造体と同様に、セグメントに作用する土圧によって生じる様々な応力状態に対し、補強板間のコンクリートにトラス機構が形成され、その引張側および圧縮斜材側のいずれになった場合にも、せん断補強筋を有効に機能させて補強効果を十分に発揮させることができる。従って、補強に必要なせん断補強筋を無駄なく配置することができ、材料コストや加工手間、加工コストが抑制できるとともに、コンクリートの充填性を確保することができる。
【0011】
さらに、本発明のセグメントでは、前記補強版の断面寸法が当該セグメントの断面寸法よりも小さくされ、前記主筋の前記主軸方向の長さ寸法が当該セグメントの主軸方向長さ寸法よりも小さくされ、前記コンクリートによるかぶりが設けられるとともに、前記主軸および第2交差軸に平行な一対のリング間側面と、前記第1および第2の交差軸に平行な一対のセグメント間側面と、の少なくとも一方の側面には、当該側面から凹んだシール溝が形成され、リング間側面におけるシール溝の底面と前記補強板の端縁との間に所定厚さの前記コンクリートが介在し、セグメント間側面におけるシール溝の底面と前記主筋の端部との間に所定厚さの前記コンクリートが介在して設けられていることが好ましい。
このような構成によれば、セグメントの側面におけるコンクリートのかぶり部分にシール溝を形成してシール材で他のセグメントとの隙間をシールすることで、セグメントを組み合わせて構築した覆工の止水性を確保することができる。さらに、シール溝の底面と補強板や主筋との間に所定厚さのコンクリートを介在させる、つまりセグメントの断面寸法よりも補強板や主筋の寸法を小さくし、セグメントの外端と補強版や主筋との間に適宜なかぶり厚さを確保することで、補強板や主筋の錆を防止することができ、セグメントの耐久性を高めることができる。
【0012】
また、本発明のセグメントでは、前記補強板には、他のセグメントと接続するためのリング間継手部材が固定されていることが好ましい。
このような構成によれば、リング間継手部材を補強板に固定することで、トンネル延長方向に隣接する他のセグメントと接続する際のジャッキ反力を補強板に伝達し、この補強板を介してさらに他のセグメントに伝達することができ、覆工施工時におけるジャッキ反力が確実に支持できることから、施工精度や施工効率を高めることができる。さらに、トンネル軸方向の伝達性能が確保できることから、耐震性能も高めることができる。
【0013】
また、本発明のセグメントの製造方法は、トンネル周方向の主軸に沿った所定長さと、トンネル延長方向の第1交差軸に沿った所定幅と、トンネル径方向の第2交差軸に沿った所定厚さと、を有したピースを複数組み合わせてトンネル覆工に利用されるとともに、鉄筋コンクリート部材と鋼製部材とを組み合わせて構成されるセグメントの製造方法であって、前記主軸と交差しかつ前記第1および第2の交差軸に対して平行に延びる複数の補強板を設置し、前記隣り合う補強板間のうち一方から他方に向かって前記主軸と傾斜させたせん断補強筋を予め仮設材によって設置した後に、前記補強板に形成した挿通孔に複数の主筋を挿通するとともに、これら複数の主筋のうちの所定組の主筋に対し予め設置された前記せん断補強筋の口字形内にも主筋を挿通して、これらの主筋にせん断補強筋が巻回されるようにしてから前記主筋と前記せん断補強筋を固定し、前記主筋、せん断補強筋および補強板を覆う型枠内にコンクリートを打設することを特徴とする。
このような本発明の製造方法によれば、前述のセグメントと同様に、補強に必要なせん断補強筋を無駄なく配置することができ、セグメント製造にかかる材料コストや加工手間、加工コストが抑制できるとともに、コンクリートの充填性を向上させ、製品の品質を確保することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のような本発明の合成構造体、セグメントおよびセグメントの製造方法によれば、合成構造体やセグメントに作用する様々な応力状態に対し、補強板間のコンクリートにトラス機構が形成され、その引張側および圧縮斜材側のいずれになった場合にも、せん断補強筋を有効に機能させて補強効果を十分に発揮させることができることから、大きなせん断力が作用する場合においても桁高アップやコンクリート強度アップをしなくても十分なせん断耐力を有した経済的な断面で設計することができる。そのため、過剰に補強筋を配置しなくてもよく、必要とされる量のせん断補強筋を無駄なく配置することができ、材料コストや加工手間、加工コストが抑制できるとともに、コンクリートの充填性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態のセグメントを一部断面して示す斜視図である。
【図2】前記セグメントの一部断面して示す平面図である。
【図3】前記セグメントの主軸方向に沿った側面図である。
【図4】前記セグメントの主軸直交方向の断面図であり、図2にIV−IV線で示す位置の断面図である。
【図5】図2の一部を拡大して示す平面図である。
【図6】図3の一部を拡大して前記セグメントの作用を説明する図である。
【図7】図6の作用を詳しく説明する図である。
【図8】第2実施形態のセグメントのリング間接合構造を示す平面図である。
【図9】前記セグメントを一部断面して示す平面図である。
【図10】前記セグメントの主軸直交方向の断面図であり、図9にX−X線で示す位置の断面図である。
【図11】第3実施形態のセグメントを一部断面して示す平面図である。
【図12】前記セグメントの主軸直交方向の断面図であり、図11にXII−XII線で示す位置の断面図である。
【図13】第4実施形態のセグメントを一部断面して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第2実施形態以降において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
【0017】
〔第1実施形態〕
図1において、本発明の合成構造体でもあるセグメント1は、掘削した地山の内部にて複数組み合わされてシールドトンネル覆工を構成するセグメントピースであり、トンネル覆工は、シールドマシンで地山を掘削してから、シールドマシンの後方にてセグメント1をリング状に組み立てるとともに、組み立てたセグメントリングをジャッキで押してシールドマシンを前進させ、さらに地山を掘削するという手順を繰り返して構築される。このトンネル覆工は、トンネル延長方向(X方向)に延びる円筒状に形成され、地山とトンネル内空とを仕切り、地山からの土圧や水圧に抵抗してトンネル内空の空間を確保するようになっている。そして、セグメント1は、トンネル周方向(θ方向)の主軸θに沿った所定長さLと、トンネル延長方向(X方向)の第1交差軸Xに沿った所定幅Bと、トンネル径方向(R方向)の第2交差軸Rに沿った所定厚さTとを有して形成されている。
【0018】
セグメント1は、鉄筋コンクリート部材と鋼製部材とを組み合わせて構成される合成セグメントであって、鉄筋コンクリート部材としては、当該セグメント1の外形を構成するコンクリート2と、このコンクリート2に埋設されて主軸θに沿って延びる複数の主筋3と、これら複数の主筋3のうちの所定組の主筋3に巻回されるせん断補強筋4とを備え、鋼製部材としては、コンクリート2に埋設されるとともに第1および第2の交差軸X,Rに平行な複数の補強板5を備えて構成されている。これら複数の補強板5には、それぞれ主筋3を挿通させる複数の挿通孔51が形成され、主筋3は、挿通孔51に挿通されることで、セグメント1の略全長に渡って連続して設置されている。そして、コンクリート2で形成されるセグメント1の外形表面は、トンネル内空に面する内周面11と、トンネル地山に面する外周面12と、トンネル延長方向に隣接して接合される他のセグメントに対向する一対の第1側面13と、トンネル周方向に隣接して接合される他のセグメントに対向する一対の第2側面14と、の6面で構成されている。
【0019】
主筋3は、第2交差軸Rに沿った方向に離隔する複数段(2段)で構成され、トンネル内空側にて内周面11に沿って複数列(例えば、6列)で配置される第1主筋31と、トンネル地山側にて外周面12に沿って複数列(例えば、6列)で配置される第2主筋32とを有して構成されている。そして、第2交差軸Rに対向する各1本ずつの第1主筋31および第2主筋32が一組とされ、これら一組の主筋31,32のうちの所定組にせん断補強筋4が巻回されている。すなわち、本実施形態では、6列の主筋31,32のうち、最外列の一組ずつ二組の主筋31,32と、外から2列目の一組ずつ二組の主筋31,32と、内側2列の一組ずつ二組の主筋31,32と、の3グループの各々において、せん断補強筋4が複数列の主筋31,32に渡って巻回されている。これらのせん断補強筋4は、溶接等で端部が連結されて口字形に形成された閉鎖型のものでもよいし、所定のラップ長だけ両端部が重ね合わされて口字形に形成された非閉鎖型のものでもよい。
【0020】
各組のせん断補強筋4は、図5に示すように、それぞれ隣り合う一対の補強板5間において、一方(図5の左側)の補強板5近傍で第1主筋31に巻回されるとともに他方(図5の右側)の補強板5近傍で第2主筋32に巻回される第1せん断補強筋41と、一方の補強板5近傍で第2主筋32に巻回されるとともに他方の補強板5近傍で第1主筋31に巻回される第2せん断補強筋42とを有して構成されている。すなわち、図1および図3に示すように、第1せん断補強筋41は、一方の補強板5から他方の補強板5に向かって図3の右下がりに主軸θと傾斜して設けられ、第2せん断補強筋42は、一方の補強板5から他方の補強板5に向かって図3の右上がりに主軸θと傾斜して設けられ、これら第1および第2のせん断補強筋41,42が、一方および他方の補強板5の中間位置かつ第1および第2の主筋31,32の中間位置において、X字状に交差して設けられている。
【0021】
また、セグメント1における一対の第1側面13には、トンネル周方向に連続して当該第1側面13の全長に渡る凹溝状のシール溝15が形成されている。このシール溝15には、図4に示すように、リング間に隣接する他のセグメントに当接して当該リング間をシールするシール材6が設けられている。なお、これらのシール溝15やシール材6は、一対の第1側面13の両方に設けられるものに限らず、一方の第1側面13に設けられていてもよいし、一対の第2側面14の両方または一方に設けられていてもよい。そして、図5に示すように、シール溝15の底面と補強板5の端縁との間には、所定厚さのコンクリート2が介在して設けられ、つまりコンクリート2の表面のうちの最も内部側の表面においても補強板5や主筋3、せん断補強筋4との間に所定のかぶり厚さ(例えば、40mm〜50mm)が確保されるようになっている。
【0022】
以上のセグメント1の製造方法としては、先ず、内周面11以外の5面に対応した型枠を準備し、この型枠内部に複数の補強板5を仮止め設置するとともに、補強板5間にせん断補強筋4を適宜な仮設材を用いて設置しておく。次に、一方の第2側面14に対応した側から型枠内部に向かって主筋3を差し入れ、補強板5の挿通孔51に主筋3を挿通するとともに、せん断補強筋4の口字形内にも主筋3を挿通して主筋3にせん断補強筋4が巻回されるようにする。次に、型枠内部にコンクリート2を注入し、このコンクリート2が硬化してから型枠を撤去してセグメント1の製造が完了する。なお、せん断補強筋4が非閉鎖型の鉄筋から構成される場合には、補強板5および主筋3を型枠内に設置した後に、この主筋3に巻回すようにしてせん断補強筋4を設置してもよい。また、鋼殻を有する合成セグメントの場合、後述する図13のように、トンネル周方向に略円弧状に延びる2枚の主桁91と、トンネル軸方向に延びて主桁91の両端部に渡って固定される2枚の継手板92と、トンネル外面側にて継手板92と主桁91とに4辺を固定される1枚のスキンプレート93とでトンネル内空面側以外の五面を構成する鋼殻9を型枠の代わりに用いてよい。さらに、全六面を鋼殻で覆うために、コンクリート打設後にトンネル内空面側にもスキンプレート93を固定してもよい。
【0023】
以上のような本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
すなわち、セグメント1において、第1主筋31と第2主筋32とに渡りかつ一方の補強板5から他方の補強板5に向かって傾斜させてせん断補強筋4を巻回すとともに、このせん断補強筋4を互いにX字状となる第1および第2のせん断補強筋41,42で構成することで、図6および図7に示すように、補強板5間に形成されるトラス機構に対して、引張側ではせん断補強筋4が引張力を負担し、圧縮斜材側ではせん断補強筋4が主筋3の局所的な変形を拘束するようにできる。従って、トラス機構における引張側および圧縮斜材側の両方向に対してせん断補強筋4を有効に配置することができ、補強効果を十分に発揮させてセグメント1のせん断耐力を向上させることができ、大きなせん断力が作用する場合においても桁高アップやコンクリート強度アップをしなくても十分なせん断耐力を有した経済的な断面で設計することができる。従って、補強に必要なせん断補強筋4を無駄なく配置することができ、過剰に補強筋を配置をしなくてもよいことから、材料コストや加工手間、加工コストが抑制できるとともに、コンクリート2の充填性を確保することができる。
【0024】
また、補強版5の外形寸法および主筋3の長さ寸法をセグメント1の断面寸法よりも小さくし、コンクリート2によるかぶりを設けることによって、セグメント1の第1側面13にシール溝15が形成され、このシール溝15に設けたシール材6を介してリング間に隣接する他のセグメントとの隙間がシールされることで、セグメント1を組み合わせて構築したトンネル覆工の止水性を確保することができる。さらに、シール溝15の底面と補強板5の端縁との間に所定のかぶり厚さを確保することで、補強板5の錆を防止することができ、セグメント1の耐久性を高めることができる。
【0025】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態のセグメント1Aを図8〜図10に基づいて説明する。
本実施形態のセグメント1Aは、せん断補強筋4の配筋形状が前記第1実施形態と相違するものの、その他の構成は第1実施形態と略同様である。以下、相違点について詳しく説明する。
図8〜図10において、せん断補強筋4は、隣り合う2本ずつの第1主筋31および第2主筋32に巻回されるものであって、6列の主筋3のうち2本ずつ3組の第1主筋31および第2主筋32にそれぞれ別々のせん断補強筋4が巻回されている。これらのせん断補強筋4は、閉鎖型や非閉鎖型のループ形状のものが利用可能である。そして、せん断補強筋4は、第1実施形態と同様に、一方および他方の補強板5の中間位置かつ第1および第2の主筋31,32の中間位置において、X字状に交差して設けられる第1せん断補強筋41および第2せん断補強筋42を有して構成されている。
【0026】
また、図8に示すように、セグメント1Aにおいて、一方の第1側面13側と他方の第1側面13側には、それぞれリング間に隣接する他のセグメントと接合するためのリング間継手部材である雄継手部材7および雌継手部材8が設けられている。これらのリング間継手部材のうち、雄継手部材7は、補強板5の端部に溶接等によって固定されている。なお、リング間継手部材としては、例えば、互いに機械的に係合して接合される機械式継手が例示できるが、その他にも雄継手部材7がボルト等で構成されて雌継手部材8がスリーブ等で構成され、これらのボルトとスリーブとの間にグラウト材を注入して固化させることで互いに接合されるものであってもよい。さらに、図8の例では、雄継手部材7を補強板5に固定したが、雌継手部材8を補強板5に固定してもよいし、雄継手部材7および雌継手部材8の両方を補強板5に固定してもよい。さらに、継手部材は、補強板5に直接的に固定されるものに限らず、連結部材等を介して固定されてもよく、この場合には補強板5の平面位置からトンネル周方向にずれた位置に継手部材が設けられていてもよい。このようなリング間継手部材の雄継手部材7が補強板5に固定されているので、リング間に隣接する他のセグメントと接続する際のジャッキ反力が補強板5を介して伝達され、覆工施工時におけるジャッキ反力が確実に支持できることから、施工精度や施工効率を高めることができる。さらに、トンネル軸方向の伝達性能が確保できることから、耐震性能も高めることができる。
【0027】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態のセグメント1Bを図11、図12に基づいて説明する。
本実施形態のセグメント1Bは、せん断補強筋4の配筋形状が前記第1および第2実施形態と相違するものの、その他の構成は第1および第2実施形態と略同様である。以下、相違点について詳しく説明する。
図11、図12において、せん断補強筋4は、各1本ずつの第1主筋31および第2主筋32に巻回されるものであって、6列の主筋3全ての第1主筋31および第2主筋32にそれぞれ別々のせん断補強筋4が巻回されている。これらのせん断補強筋4は、閉鎖型や非閉鎖型のループ形状のものの他に、両端部を曲げ加工して所定長さのフックを形成したものでもよく、この場合には両端部のフックをそれぞれ第1主筋31および第2主筋32に引っ掛けるようにして巻回せばよい。そして、せん断補強筋4は、第1および第2実施形態と同様に、一方および他方の補強板5の中間位置かつ第1および第2の主筋31,32の中間位置において、X字状に交差して設けられる第1せん断補強筋41および第2せん断補強筋42を有して構成されている。
【0028】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態のセグメント1Cを図13に基づいて説明する。
本実施形態のセグメント1Cは、トンネル周方向(θ方向)に略円弧状に延びる2枚の主桁91と、トンネル延長方向(X方向)に延びて主桁91の両端部に渡って固定される2枚の継手板92と、トンネル外面側(地山側)にて主桁91と継手板92とに4辺を固定されるスキンプレート93と、を有した鋼殻9によってトンネル内空面側を除く五面が覆われ、鋼殻9内部の構造が前記セグメント1,1A,1Bと同様に構成されたコンクリート中詰め合成セグメントである。なお、セグメント1Cとしては、トンネル内空側にもスキンプレートを有した鋼殻9によって全六面が覆われたものであってもよい。また、補強板5は溶接等によって、スキンプレート93および主桁91のうち、少なくともスキンプレート93に固着させることがが好ましい。さらに、コンクリート2に作用する圧縮力および引張力を主桁91にも負担させるために、溶接等によって補強板5を主桁91に固着させてもよい。補強版5と少なくとも主桁91を固着させることで、外面を覆う鋼殻9の拘束効果によってさらにせん断耐力の向上を図ることができる。
【0029】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態では、シールドトンネル覆工を構成するセグメント1を例示したが、本発明の合成構造体は、セグメント1に限らず、鉄筋コンクリート部材と鋼製部材とを組み合わせて構成されるものであれば、その用途や使用部位等は特に限定されるものではない。すなわち、本発明の合成構造体は、例えば、橋脚を含む柱や橋桁を含む梁などの棒状部材であってもよいし、床版や壁等の平板部材であってもよく、さらには適宜な曲線状部材や曲面状部材であってもよい。
【0030】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0031】
1,1A,1B,1C…セグメント、2…コンクリート、3…主筋、4…せん断補強筋、5…補強板、6…シール材、7…雄継手部材(リング間継手部材)、9…鋼殻、13…第1側面、14…第2側面、15…シール溝、31…第1主筋、32…第2主筋、41…第1せん断補強筋、42…第2せん断補強筋、91…主桁、92…継手板、93…スキンプレート、θ…主軸。
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼製部材と鉄筋コンクリート部材とを組み合わせて構成される合成構造体、複数のピースを組み合わせてトンネル覆工に利用されるセグメント、およびセグメントの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、土木、建築分野における構造体として、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の他に、これらを組み合わせた鉄骨鉄筋コンクリート造等の合成構造が用いられており、このような合成構造の一例として、シールドトンネル覆工に利用される合成セグメントが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載された合成セグメントは、内空側以外の5面が囲まれた鋼殻と、この鋼殻内部に充填されるコンクリートとを有し、コンクリート内には主筋および補強筋が設けられている。鋼殻は、トンネル周方向に沿った一対の主桁と、その端部同士を連結する一対の継手板と、これらの地山側に四周が固定される地山側スキンプレートと、一対の主桁間に架設される複数の縦リブとを有し、縦リブには主筋を挿通させる挿通孔が形成されている。補強筋は、略M字形に曲げ加工されるとともに主筋に沿って縦リブ間に複数配置されており、これらの補強筋によってコンクリートをせん断補強することで、合成セグメントの耐力向上を図ることができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−270276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の合成セグメントは、縦リブの挿通孔に主筋を挿通させることで、縦リブと主筋とで囲まれたコンクリートにトラス機構が形成されるとともに、補強筋によるせん断補強が付加されることによって、合成セグメントのせん断耐力を高めることができるものの、略M字形の補強筋が主筋に沿って主筋とは定着されずに別々に配置されているため、補強筋による主筋の拘束効果については考慮されておらず、主筋の変形が進行し、耐力が落ちることが考えられた。すなわち、従来の補強構造では、トラス機構のうちのコンクリートに引張力が作用する引張方向ではコンクリートを補強して補強筋が引張力を負担するものの、圧縮斜材となる側では補強筋が負担する圧縮力は小さく、補強効果については考慮していないため、補強筋のうちの半数が有効に機能しないという構造であり、大きなせん断力が作用する場合には部材断面の桁高を高くしたり、コンクリート強度を大きくしたりするなど、コストアップにつながる可能性があった。このため、正負両方向の荷重による作用応力や土圧を受けた場合の複雑な作用応力など、様々な応力状態に対応して補強効果を十分に発揮させるためには、負担する引張力に対して2倍の補強筋を配置する必要があり、補強筋の使用量が増えて材料コストや加工手間、加工コストが増加したり、多数の補強筋を配置することでコンクリートの充填性が低下したりなどの不都合があり、製品の品質にも悪影響を及ぼすことも懸念される。
【0005】
本発明の目的は、様々な応力状態に対しても補強効果を十分に高めて材料コストや加工手間、加工コストが抑制できるとともに、コンクリートの充填性を確保した高品質な合成構造体、セグメントおよびセグメントの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の合成構造体は、鉄筋コンクリート部材と鋼製部材とを組み合わせて構成されるとともに、所定方向の主軸に沿って延びる合成構造体であって、前記鉄筋コンクリート部材は、コンクリートと、このコンクリートに埋設されて前記主軸に沿って延びる複数の主筋と、これら複数の主筋のうちの所定組の主筋との定着のために巻回されるせん断補強筋とを備えて構成され、前記複数の主筋は、部材高さ方向に上下に離隔する第1主筋および第2主筋を有した複数段で構成され、前記鋼製部材は、前記コンクリートに埋設されるとともに前記主軸と直交する複数の補強板を備えて構成され、前記複数の主筋は、前記補強板に形成された挿通孔に挿通され、前記せん断補強筋は、隣り合う前記補強板間において、当該一方の補強板から他方の補強板に向かって前記主軸と傾斜して設けられていることを特徴とする。
【0007】
以上の本発明によれば、補強板の挿通孔に挿通された複数の主筋のうちの所定組の主筋にせん断補強筋を巻回すとともに、このせん断補強筋を一方の補強板から他方の補強板に向かって主軸と傾斜して設置することで、この傾斜方向がトラス機構の引張側になった際にはせん断補強筋によって引張力を負担することができ、圧縮斜材側になった際にはせん断補強筋で主筋の局所的な変形を拘束することで、鉄筋コンクリートのディープビームで見られるような圧縮応力を分散させる載荷板の効果によって圧縮斜材となるコンクリートの負担圧縮力を高めることができる。すなわち、様々な応力状態に対して引張側および圧縮斜材側のいずれになった場合にも、せん断補強筋を有効に機能させて補強効果を十分に発揮させることができ、大きなせん断力が作用する場合においても桁高アップやコンクリート強度アップをしなくても十分なせん断耐力を有した経済的な断面で設計することができる。従って、補強に必要なせん断補強筋を過剰に配置をしなくてもよいことから、材料コストや加工手間、加工コストが抑制できるとともに、コンクリートの充填性を確保することができる。
なお、本発明の合成構造体は、上述のような鉄筋コンクリート部材と鋼製部材とを組み合わせて構成されるものであれば、その用途や使用部位等は特に限定されるものではなく、例えば、橋脚を含む柱や橋桁を含む梁などの棒状部材であってもよいし、床版や壁等の平板部材であってもよく、さらには適宜な曲線状部材や曲面状部材であってもよい。
【0008】
この際、本発明の合成構造体では、前記せん断補強筋は、前記一方の補強板側において前記第1主筋に巻回されるとともに前記他方の補強板側において前記第2主筋に巻回される第1せん断補強筋と、前記一方の補強板側において前記第2主筋に巻回されるとともに前記他方の補強板側において前記第1主筋に巻回される第2せん断補強筋とを有し、これら第1および第2のせん断補強筋がX字状に交差して設けられていることが好ましい。
このような構成によれば、上下二段などの複数段で主筋を配置した場合に、これらの複数段の主筋(第1主筋および第2主筋)に渡ってせん断補強筋を巻回すとともに、このせん断補強筋を互いにX字状となる第1および第2のせん断補強筋で構成することで、前述のようなトラス機構における引張側および圧縮斜材側の両方に対してせん断補強筋を有効に配置することができ、補強効果を向上させることができる。さらに、第1および第2のせん断補強筋は、一方および他方の補強板側に離隔した位置にて主筋に巻回され、第1および第2の主筋の中間位置で互いにX字状に交差することから、主筋やせん断補強筋の重なる位置を分散させることができる。従って、配筋の混み合った部分を削減することで、製造上の作業手間を軽減することができるとともに、コンクリートの充填性を良好にすることができる。
さらには、前記せん断補強筋による補強効果を効率よく発揮させるためには、前記一方の補強版と前記他方の補強版との間隔sと、本構造の上縁から下段の主筋(第2主筋)までの距離dとの比s/dを1.5以上とすることが好ましい。
【0009】
また、本発明のセグメントは、トンネル周方向の主軸に沿った所定長さと、トンネル延長方向の第1交差軸に沿った所定幅と、トンネル径方向の第2交差軸に沿った所定厚さと、を有したピースを複数組み合わせてトンネル覆工に利用されるとともに、鉄筋コンクリート部材と鋼製部材とを組み合わせて構成されるセグメントであって、前記鉄筋コンクリート部材は、コンクリートと、このコンクリートに埋設されて前記主軸に沿って延びる複数の主筋と、これら複数の主筋のうちの所定組の主筋に巻回されるせん断補強筋とを備えて構成され、前記複数の主筋は、部材高さ方向に上下に離隔する第1主筋および第2主筋を有した複数段で構成され、前記鋼製部材は、前記主軸と直交する複数の補強板とを備えて構成され、前記複数の主筋は、前記補強板に形成された挿通孔に挿通され、前記せん断補強筋は、隣り合う前記補強板間において、前記一方の補強板側において前記第1主筋に巻回されるとともに前記他方の補強板側において前記第2主筋に巻回される第1せん断補強筋と、前記一方の補強板側において前記第2主筋に巻回されるとともに前記他方の補強板側において前記第1主筋に巻回される第2せん断補強筋とを有し、これら第1および第2のせん断補強筋がX字状に交差して設けられていることを特徴とする。
また、本発明のセグメントは、少なくともトンネル周方向に略円弧状に延びる2枚の主桁と、トンネル軸方向に延びて前記主桁の両端部に渡って固定される2枚の継手板と、トンネル外面側にて前記継手板と前記主桁とに4辺を固定される少なくとも1枚のスキンプレートと、を有した鋼殻によってトンネル内空面側を除く少なくとも五面が覆われ、鋼殻内部の構造が鉄筋コンクリート構造であるコンクリート中詰め合成セグメントであるセグメントであって、前記鉄筋コンクリート部材は、コンクリートと、このコンクリートに埋設されて前記主軸に沿って延びる複数の主筋と、これら複数の主筋のうちの所定組の主筋に巻回されるせん断補強筋とを備えて構成され、前記複数の主筋は、部材高さ方向に上下に離隔する第1主筋および第2主筋を有した複数段で構成され、前記鋼殻内部には、前記主軸と直交する複数の補強板が設けられ、前記複数の主筋は、前記補強板に形成された挿通孔に挿通され、前記せん断補強筋は、隣り合う前記補強板間において、前記一方の補強板側において前記第1主筋に巻回されるとともに前記他方の補強板側において前記第2主筋に巻回される第1せん断補強筋と、前記一方の補強板側において前記第2主筋に巻回されるとともに前記他方の補強板側において前記第1主筋に巻回される第2せん断補強筋とを有し、これら第1および第2のせん断補強筋がX字状に交差して設けられていることを特徴とするコンクリート中詰めセグメントであってもよい。なお、トンネル内空側にもスキンプレートを有した鋼殻よって全六面が覆われたものであってもよい。
【0010】
このような本発明のセグメントによれば、前述の合成構造体と同様に、セグメントに作用する土圧によって生じる様々な応力状態に対し、補強板間のコンクリートにトラス機構が形成され、その引張側および圧縮斜材側のいずれになった場合にも、せん断補強筋を有効に機能させて補強効果を十分に発揮させることができる。従って、補強に必要なせん断補強筋を無駄なく配置することができ、材料コストや加工手間、加工コストが抑制できるとともに、コンクリートの充填性を確保することができる。
【0011】
さらに、本発明のセグメントでは、前記補強版の断面寸法が当該セグメントの断面寸法よりも小さくされ、前記主筋の前記主軸方向の長さ寸法が当該セグメントの主軸方向長さ寸法よりも小さくされ、前記コンクリートによるかぶりが設けられるとともに、前記主軸および第2交差軸に平行な一対のリング間側面と、前記第1および第2の交差軸に平行な一対のセグメント間側面と、の少なくとも一方の側面には、当該側面から凹んだシール溝が形成され、リング間側面におけるシール溝の底面と前記補強板の端縁との間に所定厚さの前記コンクリートが介在し、セグメント間側面におけるシール溝の底面と前記主筋の端部との間に所定厚さの前記コンクリートが介在して設けられていることが好ましい。
このような構成によれば、セグメントの側面におけるコンクリートのかぶり部分にシール溝を形成してシール材で他のセグメントとの隙間をシールすることで、セグメントを組み合わせて構築した覆工の止水性を確保することができる。さらに、シール溝の底面と補強板や主筋との間に所定厚さのコンクリートを介在させる、つまりセグメントの断面寸法よりも補強板や主筋の寸法を小さくし、セグメントの外端と補強版や主筋との間に適宜なかぶり厚さを確保することで、補強板や主筋の錆を防止することができ、セグメントの耐久性を高めることができる。
【0012】
また、本発明のセグメントでは、前記補強板には、他のセグメントと接続するためのリング間継手部材が固定されていることが好ましい。
このような構成によれば、リング間継手部材を補強板に固定することで、トンネル延長方向に隣接する他のセグメントと接続する際のジャッキ反力を補強板に伝達し、この補強板を介してさらに他のセグメントに伝達することができ、覆工施工時におけるジャッキ反力が確実に支持できることから、施工精度や施工効率を高めることができる。さらに、トンネル軸方向の伝達性能が確保できることから、耐震性能も高めることができる。
【0013】
また、本発明のセグメントの製造方法は、トンネル周方向の主軸に沿った所定長さと、トンネル延長方向の第1交差軸に沿った所定幅と、トンネル径方向の第2交差軸に沿った所定厚さと、を有したピースを複数組み合わせてトンネル覆工に利用されるとともに、鉄筋コンクリート部材と鋼製部材とを組み合わせて構成されるセグメントの製造方法であって、前記主軸と交差しかつ前記第1および第2の交差軸に対して平行に延びる複数の補強板を設置し、前記隣り合う補強板間のうち一方から他方に向かって前記主軸と傾斜させたせん断補強筋を予め仮設材によって設置した後に、前記補強板に形成した挿通孔に複数の主筋を挿通するとともに、これら複数の主筋のうちの所定組の主筋に対し予め設置された前記せん断補強筋の口字形内にも主筋を挿通して、これらの主筋にせん断補強筋が巻回されるようにしてから前記主筋と前記せん断補強筋を固定し、前記主筋、せん断補強筋および補強板を覆う型枠内にコンクリートを打設することを特徴とする。
このような本発明の製造方法によれば、前述のセグメントと同様に、補強に必要なせん断補強筋を無駄なく配置することができ、セグメント製造にかかる材料コストや加工手間、加工コストが抑制できるとともに、コンクリートの充填性を向上させ、製品の品質を確保することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のような本発明の合成構造体、セグメントおよびセグメントの製造方法によれば、合成構造体やセグメントに作用する様々な応力状態に対し、補強板間のコンクリートにトラス機構が形成され、その引張側および圧縮斜材側のいずれになった場合にも、せん断補強筋を有効に機能させて補強効果を十分に発揮させることができることから、大きなせん断力が作用する場合においても桁高アップやコンクリート強度アップをしなくても十分なせん断耐力を有した経済的な断面で設計することができる。そのため、過剰に補強筋を配置しなくてもよく、必要とされる量のせん断補強筋を無駄なく配置することができ、材料コストや加工手間、加工コストが抑制できるとともに、コンクリートの充填性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態のセグメントを一部断面して示す斜視図である。
【図2】前記セグメントの一部断面して示す平面図である。
【図3】前記セグメントの主軸方向に沿った側面図である。
【図4】前記セグメントの主軸直交方向の断面図であり、図2にIV−IV線で示す位置の断面図である。
【図5】図2の一部を拡大して示す平面図である。
【図6】図3の一部を拡大して前記セグメントの作用を説明する図である。
【図7】図6の作用を詳しく説明する図である。
【図8】第2実施形態のセグメントのリング間接合構造を示す平面図である。
【図9】前記セグメントを一部断面して示す平面図である。
【図10】前記セグメントの主軸直交方向の断面図であり、図9にX−X線で示す位置の断面図である。
【図11】第3実施形態のセグメントを一部断面して示す平面図である。
【図12】前記セグメントの主軸直交方向の断面図であり、図11にXII−XII線で示す位置の断面図である。
【図13】第4実施形態のセグメントを一部断面して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第2実施形態以降において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
【0017】
〔第1実施形態〕
図1において、本発明の合成構造体でもあるセグメント1は、掘削した地山の内部にて複数組み合わされてシールドトンネル覆工を構成するセグメントピースであり、トンネル覆工は、シールドマシンで地山を掘削してから、シールドマシンの後方にてセグメント1をリング状に組み立てるとともに、組み立てたセグメントリングをジャッキで押してシールドマシンを前進させ、さらに地山を掘削するという手順を繰り返して構築される。このトンネル覆工は、トンネル延長方向(X方向)に延びる円筒状に形成され、地山とトンネル内空とを仕切り、地山からの土圧や水圧に抵抗してトンネル内空の空間を確保するようになっている。そして、セグメント1は、トンネル周方向(θ方向)の主軸θに沿った所定長さLと、トンネル延長方向(X方向)の第1交差軸Xに沿った所定幅Bと、トンネル径方向(R方向)の第2交差軸Rに沿った所定厚さTとを有して形成されている。
【0018】
セグメント1は、鉄筋コンクリート部材と鋼製部材とを組み合わせて構成される合成セグメントであって、鉄筋コンクリート部材としては、当該セグメント1の外形を構成するコンクリート2と、このコンクリート2に埋設されて主軸θに沿って延びる複数の主筋3と、これら複数の主筋3のうちの所定組の主筋3に巻回されるせん断補強筋4とを備え、鋼製部材としては、コンクリート2に埋設されるとともに第1および第2の交差軸X,Rに平行な複数の補強板5を備えて構成されている。これら複数の補強板5には、それぞれ主筋3を挿通させる複数の挿通孔51が形成され、主筋3は、挿通孔51に挿通されることで、セグメント1の略全長に渡って連続して設置されている。そして、コンクリート2で形成されるセグメント1の外形表面は、トンネル内空に面する内周面11と、トンネル地山に面する外周面12と、トンネル延長方向に隣接して接合される他のセグメントに対向する一対の第1側面13と、トンネル周方向に隣接して接合される他のセグメントに対向する一対の第2側面14と、の6面で構成されている。
【0019】
主筋3は、第2交差軸Rに沿った方向に離隔する複数段(2段)で構成され、トンネル内空側にて内周面11に沿って複数列(例えば、6列)で配置される第1主筋31と、トンネル地山側にて外周面12に沿って複数列(例えば、6列)で配置される第2主筋32とを有して構成されている。そして、第2交差軸Rに対向する各1本ずつの第1主筋31および第2主筋32が一組とされ、これら一組の主筋31,32のうちの所定組にせん断補強筋4が巻回されている。すなわち、本実施形態では、6列の主筋31,32のうち、最外列の一組ずつ二組の主筋31,32と、外から2列目の一組ずつ二組の主筋31,32と、内側2列の一組ずつ二組の主筋31,32と、の3グループの各々において、せん断補強筋4が複数列の主筋31,32に渡って巻回されている。これらのせん断補強筋4は、溶接等で端部が連結されて口字形に形成された閉鎖型のものでもよいし、所定のラップ長だけ両端部が重ね合わされて口字形に形成された非閉鎖型のものでもよい。
【0020】
各組のせん断補強筋4は、図5に示すように、それぞれ隣り合う一対の補強板5間において、一方(図5の左側)の補強板5近傍で第1主筋31に巻回されるとともに他方(図5の右側)の補強板5近傍で第2主筋32に巻回される第1せん断補強筋41と、一方の補強板5近傍で第2主筋32に巻回されるとともに他方の補強板5近傍で第1主筋31に巻回される第2せん断補強筋42とを有して構成されている。すなわち、図1および図3に示すように、第1せん断補強筋41は、一方の補強板5から他方の補強板5に向かって図3の右下がりに主軸θと傾斜して設けられ、第2せん断補強筋42は、一方の補強板5から他方の補強板5に向かって図3の右上がりに主軸θと傾斜して設けられ、これら第1および第2のせん断補強筋41,42が、一方および他方の補強板5の中間位置かつ第1および第2の主筋31,32の中間位置において、X字状に交差して設けられている。
【0021】
また、セグメント1における一対の第1側面13には、トンネル周方向に連続して当該第1側面13の全長に渡る凹溝状のシール溝15が形成されている。このシール溝15には、図4に示すように、リング間に隣接する他のセグメントに当接して当該リング間をシールするシール材6が設けられている。なお、これらのシール溝15やシール材6は、一対の第1側面13の両方に設けられるものに限らず、一方の第1側面13に設けられていてもよいし、一対の第2側面14の両方または一方に設けられていてもよい。そして、図5に示すように、シール溝15の底面と補強板5の端縁との間には、所定厚さのコンクリート2が介在して設けられ、つまりコンクリート2の表面のうちの最も内部側の表面においても補強板5や主筋3、せん断補強筋4との間に所定のかぶり厚さ(例えば、40mm〜50mm)が確保されるようになっている。
【0022】
以上のセグメント1の製造方法としては、先ず、内周面11以外の5面に対応した型枠を準備し、この型枠内部に複数の補強板5を仮止め設置するとともに、補強板5間にせん断補強筋4を適宜な仮設材を用いて設置しておく。次に、一方の第2側面14に対応した側から型枠内部に向かって主筋3を差し入れ、補強板5の挿通孔51に主筋3を挿通するとともに、せん断補強筋4の口字形内にも主筋3を挿通して主筋3にせん断補強筋4が巻回されるようにする。次に、型枠内部にコンクリート2を注入し、このコンクリート2が硬化してから型枠を撤去してセグメント1の製造が完了する。なお、せん断補強筋4が非閉鎖型の鉄筋から構成される場合には、補強板5および主筋3を型枠内に設置した後に、この主筋3に巻回すようにしてせん断補強筋4を設置してもよい。また、鋼殻を有する合成セグメントの場合、後述する図13のように、トンネル周方向に略円弧状に延びる2枚の主桁91と、トンネル軸方向に延びて主桁91の両端部に渡って固定される2枚の継手板92と、トンネル外面側にて継手板92と主桁91とに4辺を固定される1枚のスキンプレート93とでトンネル内空面側以外の五面を構成する鋼殻9を型枠の代わりに用いてよい。さらに、全六面を鋼殻で覆うために、コンクリート打設後にトンネル内空面側にもスキンプレート93を固定してもよい。
【0023】
以上のような本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
すなわち、セグメント1において、第1主筋31と第2主筋32とに渡りかつ一方の補強板5から他方の補強板5に向かって傾斜させてせん断補強筋4を巻回すとともに、このせん断補強筋4を互いにX字状となる第1および第2のせん断補強筋41,42で構成することで、図6および図7に示すように、補強板5間に形成されるトラス機構に対して、引張側ではせん断補強筋4が引張力を負担し、圧縮斜材側ではせん断補強筋4が主筋3の局所的な変形を拘束するようにできる。従って、トラス機構における引張側および圧縮斜材側の両方向に対してせん断補強筋4を有効に配置することができ、補強効果を十分に発揮させてセグメント1のせん断耐力を向上させることができ、大きなせん断力が作用する場合においても桁高アップやコンクリート強度アップをしなくても十分なせん断耐力を有した経済的な断面で設計することができる。従って、補強に必要なせん断補強筋4を無駄なく配置することができ、過剰に補強筋を配置をしなくてもよいことから、材料コストや加工手間、加工コストが抑制できるとともに、コンクリート2の充填性を確保することができる。
【0024】
また、補強版5の外形寸法および主筋3の長さ寸法をセグメント1の断面寸法よりも小さくし、コンクリート2によるかぶりを設けることによって、セグメント1の第1側面13にシール溝15が形成され、このシール溝15に設けたシール材6を介してリング間に隣接する他のセグメントとの隙間がシールされることで、セグメント1を組み合わせて構築したトンネル覆工の止水性を確保することができる。さらに、シール溝15の底面と補強板5の端縁との間に所定のかぶり厚さを確保することで、補強板5の錆を防止することができ、セグメント1の耐久性を高めることができる。
【0025】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態のセグメント1Aを図8〜図10に基づいて説明する。
本実施形態のセグメント1Aは、せん断補強筋4の配筋形状が前記第1実施形態と相違するものの、その他の構成は第1実施形態と略同様である。以下、相違点について詳しく説明する。
図8〜図10において、せん断補強筋4は、隣り合う2本ずつの第1主筋31および第2主筋32に巻回されるものであって、6列の主筋3のうち2本ずつ3組の第1主筋31および第2主筋32にそれぞれ別々のせん断補強筋4が巻回されている。これらのせん断補強筋4は、閉鎖型や非閉鎖型のループ形状のものが利用可能である。そして、せん断補強筋4は、第1実施形態と同様に、一方および他方の補強板5の中間位置かつ第1および第2の主筋31,32の中間位置において、X字状に交差して設けられる第1せん断補強筋41および第2せん断補強筋42を有して構成されている。
【0026】
また、図8に示すように、セグメント1Aにおいて、一方の第1側面13側と他方の第1側面13側には、それぞれリング間に隣接する他のセグメントと接合するためのリング間継手部材である雄継手部材7および雌継手部材8が設けられている。これらのリング間継手部材のうち、雄継手部材7は、補強板5の端部に溶接等によって固定されている。なお、リング間継手部材としては、例えば、互いに機械的に係合して接合される機械式継手が例示できるが、その他にも雄継手部材7がボルト等で構成されて雌継手部材8がスリーブ等で構成され、これらのボルトとスリーブとの間にグラウト材を注入して固化させることで互いに接合されるものであってもよい。さらに、図8の例では、雄継手部材7を補強板5に固定したが、雌継手部材8を補強板5に固定してもよいし、雄継手部材7および雌継手部材8の両方を補強板5に固定してもよい。さらに、継手部材は、補強板5に直接的に固定されるものに限らず、連結部材等を介して固定されてもよく、この場合には補強板5の平面位置からトンネル周方向にずれた位置に継手部材が設けられていてもよい。このようなリング間継手部材の雄継手部材7が補強板5に固定されているので、リング間に隣接する他のセグメントと接続する際のジャッキ反力が補強板5を介して伝達され、覆工施工時におけるジャッキ反力が確実に支持できることから、施工精度や施工効率を高めることができる。さらに、トンネル軸方向の伝達性能が確保できることから、耐震性能も高めることができる。
【0027】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態のセグメント1Bを図11、図12に基づいて説明する。
本実施形態のセグメント1Bは、せん断補強筋4の配筋形状が前記第1および第2実施形態と相違するものの、その他の構成は第1および第2実施形態と略同様である。以下、相違点について詳しく説明する。
図11、図12において、せん断補強筋4は、各1本ずつの第1主筋31および第2主筋32に巻回されるものであって、6列の主筋3全ての第1主筋31および第2主筋32にそれぞれ別々のせん断補強筋4が巻回されている。これらのせん断補強筋4は、閉鎖型や非閉鎖型のループ形状のものの他に、両端部を曲げ加工して所定長さのフックを形成したものでもよく、この場合には両端部のフックをそれぞれ第1主筋31および第2主筋32に引っ掛けるようにして巻回せばよい。そして、せん断補強筋4は、第1および第2実施形態と同様に、一方および他方の補強板5の中間位置かつ第1および第2の主筋31,32の中間位置において、X字状に交差して設けられる第1せん断補強筋41および第2せん断補強筋42を有して構成されている。
【0028】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態のセグメント1Cを図13に基づいて説明する。
本実施形態のセグメント1Cは、トンネル周方向(θ方向)に略円弧状に延びる2枚の主桁91と、トンネル延長方向(X方向)に延びて主桁91の両端部に渡って固定される2枚の継手板92と、トンネル外面側(地山側)にて主桁91と継手板92とに4辺を固定されるスキンプレート93と、を有した鋼殻9によってトンネル内空面側を除く五面が覆われ、鋼殻9内部の構造が前記セグメント1,1A,1Bと同様に構成されたコンクリート中詰め合成セグメントである。なお、セグメント1Cとしては、トンネル内空側にもスキンプレートを有した鋼殻9によって全六面が覆われたものであってもよい。また、補強板5は溶接等によって、スキンプレート93および主桁91のうち、少なくともスキンプレート93に固着させることがが好ましい。さらに、コンクリート2に作用する圧縮力および引張力を主桁91にも負担させるために、溶接等によって補強板5を主桁91に固着させてもよい。補強版5と少なくとも主桁91を固着させることで、外面を覆う鋼殻9の拘束効果によってさらにせん断耐力の向上を図ることができる。
【0029】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態では、シールドトンネル覆工を構成するセグメント1を例示したが、本発明の合成構造体は、セグメント1に限らず、鉄筋コンクリート部材と鋼製部材とを組み合わせて構成されるものであれば、その用途や使用部位等は特に限定されるものではない。すなわち、本発明の合成構造体は、例えば、橋脚を含む柱や橋桁を含む梁などの棒状部材であってもよいし、床版や壁等の平板部材であってもよく、さらには適宜な曲線状部材や曲面状部材であってもよい。
【0030】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0031】
1,1A,1B,1C…セグメント、2…コンクリート、3…主筋、4…せん断補強筋、5…補強板、6…シール材、7…雄継手部材(リング間継手部材)、9…鋼殻、13…第1側面、14…第2側面、15…シール溝、31…第1主筋、32…第2主筋、41…第1せん断補強筋、42…第2せん断補強筋、91…主桁、92…継手板、93…スキンプレート、θ…主軸。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋コンクリート部材と鋼製部材とを組み合わせて構成されるとともに、所定方向の主軸に沿って延びる合成構造体であって、
前記鉄筋コンクリート部材は、コンクリートと、このコンクリートに埋設されて前記主軸に沿って延びる複数の主筋と、これら複数の主筋のうちの所定組の主筋との定着のために巻回されるせん断補強筋とを備えて構成され、
前記複数の主筋は、部材高さ方向に上下に離隔する第1主筋および第2主筋を有した複数段で構成され、
前記鋼製部材は、前記コンクリートに埋設されるとともに前記主軸と直交する複数の補強板を備えて構成され、
前記複数の主筋は、前記補強板に形成された挿通孔に挿通され、前記せん断補強筋は、隣り合う前記補強板間において、当該一方の補強板から他方の補強板に向かって前記主軸と傾斜して設けられていることを特徴とする合成構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の合成構造体において、
前記せん断補強筋は、前記一方の補強板側において前記第1主筋に巻回されるとともに前記他方の補強板側において前記第2主筋に巻回される第1せん断補強筋と、前記一方の補強板側において前記第2主筋に巻回されるとともに前記他方の補強板側において前記第1主筋に巻回される第2せん断補強筋とを有し、これら第1および第2のせん断補強筋がX字状に交差して設けられていることを特徴とする合成構造体。
【請求項3】
トンネル周方向の主軸に沿った所定長さと、トンネル延長方向の第1交差軸に沿った所定幅と、トンネル径方向の第2交差軸に沿った所定厚さと、を有したピースを複数組み合わせてトンネル覆工に利用されるとともに、鉄筋コンクリート部材と鋼製部材とを組み合わせて構成されるセグメントであって、
前記鉄筋コンクリート部材は、コンクリートと、このコンクリートに埋設されて前記主軸に沿って延びる複数の主筋と、これら複数の主筋のうちの所定組の主筋に巻回されるせん断補強筋とを備えて構成され、
前記複数の主筋は、部材高さ方向に上下に離隔する第1主筋および第2主筋を有した複数段で構成され、
前記鋼製部材は、前記主軸と直交する複数の補強板とを備えて構成され、
前記複数の主筋は、前記補強板に形成された挿通孔に挿通され、前記せん断補強筋は、隣り合う前記補強板間において、前記一方の補強板側において前記第1主筋に巻回されるとともに前記他方の補強板側において前記第2主筋に巻回される第1せん断補強筋と、前記一方の補強板側において前記第2主筋に巻回されるとともに前記他方の補強板側において前記第1主筋に巻回される第2せん断補強筋とを有し、これら第1および第2のせん断補強筋がX字状に交差して設けられていることを特徴とするセグメント。
【請求項4】
請求項3に記載のセグメントにおいて、
前記補強版の断面寸法が当該セグメントの断面寸法よりも小さくされ、前記主筋の前記主軸方向の長さ寸法が当該セグメントの主軸方向長さ寸法よりも小さくされ、前記コンクリートによるかぶりが設けられるとともに、前記主軸および第2交差軸に平行な一対のリング間側面と、前記第1および第2の交差軸に平行な一対のセグメント間側面と、の少なくとも一方の側面には、当該側面から凹んだシール溝が形成され、リング間側面におけるシール溝の底面と前記補強板の端縁との間に所定厚さの前記コンクリートが介在し、セグメント間側面におけるシール溝の底面と前記主筋の端部との間に所定厚さの前記コンクリートが介在して設けられていることを特徴とするセグメント。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載のセグメントにおいて、
前記補強板には、他のセグメントと接続するためのリング間継手部材が固定されていることを特徴とするセグメント。
【請求項6】
少なくともトンネル周方向に略円弧状に延びる2枚の主桁と、トンネル軸方向に延びて前記主桁の両端部に渡って固定される2枚の継手板と、トンネル外面側にて前記継手板と前記主桁とに4辺を固定される少なくとも1枚のスキンプレートと、を有した鋼殻によってトンネル内空面側を除く少なくとも五面が覆われ、鋼殻内部の構造が鉄筋コンクリート構造であるコンクリート中詰め合成セグメントであるセグメントであって、
前記鉄筋コンクリート部材は、コンクリートと、このコンクリートに埋設されて前記主軸に沿って延びる複数の主筋と、これら複数の主筋のうちの所定組の主筋に巻回されるせん断補強筋とを備えて構成され、
前記複数の主筋は、部材高さ方向に上下に離隔する第1主筋および第2主筋を有した複数段で構成され、
前記鋼殻内部には、前記主軸と直交する複数の補強板が設けられ、
前記複数の主筋は、前記補強板に形成された挿通孔に挿通され、前記せん断補強筋は、隣り合う前記補強板間において、前記一方の補強板側において前記第1主筋に巻回されるとともに前記他方の補強板側において前記第2主筋に巻回される第1せん断補強筋と、前記一方の補強板側において前記第2主筋に巻回されるとともに前記他方の補強板側において前記第1主筋に巻回される第2せん断補強筋とを有し、これら第1および第2のせん断補強筋がX字状に交差して設けられているコンクリート中詰め合成セグメントであることを特徴とするセグメント。
【請求項7】
トンネル周方向の主軸に沿った所定長さと、トンネル延長方向の第1交差軸に沿った所定幅と、トンネル径方向の第2交差軸に沿った所定厚さと、を有したピースを複数組み合わせてトンネル覆工に利用されるとともに、鉄筋コンクリート部材と鋼製部材とを組み合わせて構成されるセグメントの製造方法であって、
前記主軸と交差しかつ前記第1および第2の交差軸に対して平行に延びる複数の補強板を設置し、前記隣り合う補強板間のうち一方から他方に向かって前記主軸と傾斜させたせん断補強筋を予め仮設材によって設置した後に、前記補強板に形成した挿通孔に複数の主筋を挿通するとともに、これら複数の主筋のうちの所定組の主筋に対し予め設置された前記せん断補強筋の口字形内にも主筋を挿通して、これらの主筋にせん断補強筋が巻回されるようにしてから前記主筋と前記せん断補強筋を固定し、前記主筋、せん断補強筋および補強板を覆う型枠内にコンクリートを打設することを特徴とするセグメントの製造方法。
【請求項1】
鉄筋コンクリート部材と鋼製部材とを組み合わせて構成されるとともに、所定方向の主軸に沿って延びる合成構造体であって、
前記鉄筋コンクリート部材は、コンクリートと、このコンクリートに埋設されて前記主軸に沿って延びる複数の主筋と、これら複数の主筋のうちの所定組の主筋との定着のために巻回されるせん断補強筋とを備えて構成され、
前記複数の主筋は、部材高さ方向に上下に離隔する第1主筋および第2主筋を有した複数段で構成され、
前記鋼製部材は、前記コンクリートに埋設されるとともに前記主軸と直交する複数の補強板を備えて構成され、
前記複数の主筋は、前記補強板に形成された挿通孔に挿通され、前記せん断補強筋は、隣り合う前記補強板間において、当該一方の補強板から他方の補強板に向かって前記主軸と傾斜して設けられていることを特徴とする合成構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の合成構造体において、
前記せん断補強筋は、前記一方の補強板側において前記第1主筋に巻回されるとともに前記他方の補強板側において前記第2主筋に巻回される第1せん断補強筋と、前記一方の補強板側において前記第2主筋に巻回されるとともに前記他方の補強板側において前記第1主筋に巻回される第2せん断補強筋とを有し、これら第1および第2のせん断補強筋がX字状に交差して設けられていることを特徴とする合成構造体。
【請求項3】
トンネル周方向の主軸に沿った所定長さと、トンネル延長方向の第1交差軸に沿った所定幅と、トンネル径方向の第2交差軸に沿った所定厚さと、を有したピースを複数組み合わせてトンネル覆工に利用されるとともに、鉄筋コンクリート部材と鋼製部材とを組み合わせて構成されるセグメントであって、
前記鉄筋コンクリート部材は、コンクリートと、このコンクリートに埋設されて前記主軸に沿って延びる複数の主筋と、これら複数の主筋のうちの所定組の主筋に巻回されるせん断補強筋とを備えて構成され、
前記複数の主筋は、部材高さ方向に上下に離隔する第1主筋および第2主筋を有した複数段で構成され、
前記鋼製部材は、前記主軸と直交する複数の補強板とを備えて構成され、
前記複数の主筋は、前記補強板に形成された挿通孔に挿通され、前記せん断補強筋は、隣り合う前記補強板間において、前記一方の補強板側において前記第1主筋に巻回されるとともに前記他方の補強板側において前記第2主筋に巻回される第1せん断補強筋と、前記一方の補強板側において前記第2主筋に巻回されるとともに前記他方の補強板側において前記第1主筋に巻回される第2せん断補強筋とを有し、これら第1および第2のせん断補強筋がX字状に交差して設けられていることを特徴とするセグメント。
【請求項4】
請求項3に記載のセグメントにおいて、
前記補強版の断面寸法が当該セグメントの断面寸法よりも小さくされ、前記主筋の前記主軸方向の長さ寸法が当該セグメントの主軸方向長さ寸法よりも小さくされ、前記コンクリートによるかぶりが設けられるとともに、前記主軸および第2交差軸に平行な一対のリング間側面と、前記第1および第2の交差軸に平行な一対のセグメント間側面と、の少なくとも一方の側面には、当該側面から凹んだシール溝が形成され、リング間側面におけるシール溝の底面と前記補強板の端縁との間に所定厚さの前記コンクリートが介在し、セグメント間側面におけるシール溝の底面と前記主筋の端部との間に所定厚さの前記コンクリートが介在して設けられていることを特徴とするセグメント。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載のセグメントにおいて、
前記補強板には、他のセグメントと接続するためのリング間継手部材が固定されていることを特徴とするセグメント。
【請求項6】
少なくともトンネル周方向に略円弧状に延びる2枚の主桁と、トンネル軸方向に延びて前記主桁の両端部に渡って固定される2枚の継手板と、トンネル外面側にて前記継手板と前記主桁とに4辺を固定される少なくとも1枚のスキンプレートと、を有した鋼殻によってトンネル内空面側を除く少なくとも五面が覆われ、鋼殻内部の構造が鉄筋コンクリート構造であるコンクリート中詰め合成セグメントであるセグメントであって、
前記鉄筋コンクリート部材は、コンクリートと、このコンクリートに埋設されて前記主軸に沿って延びる複数の主筋と、これら複数の主筋のうちの所定組の主筋に巻回されるせん断補強筋とを備えて構成され、
前記複数の主筋は、部材高さ方向に上下に離隔する第1主筋および第2主筋を有した複数段で構成され、
前記鋼殻内部には、前記主軸と直交する複数の補強板が設けられ、
前記複数の主筋は、前記補強板に形成された挿通孔に挿通され、前記せん断補強筋は、隣り合う前記補強板間において、前記一方の補強板側において前記第1主筋に巻回されるとともに前記他方の補強板側において前記第2主筋に巻回される第1せん断補強筋と、前記一方の補強板側において前記第2主筋に巻回されるとともに前記他方の補強板側において前記第1主筋に巻回される第2せん断補強筋とを有し、これら第1および第2のせん断補強筋がX字状に交差して設けられているコンクリート中詰め合成セグメントであることを特徴とするセグメント。
【請求項7】
トンネル周方向の主軸に沿った所定長さと、トンネル延長方向の第1交差軸に沿った所定幅と、トンネル径方向の第2交差軸に沿った所定厚さと、を有したピースを複数組み合わせてトンネル覆工に利用されるとともに、鉄筋コンクリート部材と鋼製部材とを組み合わせて構成されるセグメントの製造方法であって、
前記主軸と交差しかつ前記第1および第2の交差軸に対して平行に延びる複数の補強板を設置し、前記隣り合う補強板間のうち一方から他方に向かって前記主軸と傾斜させたせん断補強筋を予め仮設材によって設置した後に、前記補強板に形成した挿通孔に複数の主筋を挿通するとともに、これら複数の主筋のうちの所定組の主筋に対し予め設置された前記せん断補強筋の口字形内にも主筋を挿通して、これらの主筋にせん断補強筋が巻回されるようにしてから前記主筋と前記せん断補強筋を固定し、前記主筋、せん断補強筋および補強板を覆う型枠内にコンクリートを打設することを特徴とするセグメントの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−17555(P2012−17555A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153768(P2010−153768)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】
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