説明

合成構造体の欠陥面積率算出装置及び欠陥面積率算出方法

【課題】合成床版の検査工程において、作業者の感覚に頼らずに、合成床版の底鋼板とコンクリートとの界面全体に占める欠陥面積の割合を正確に評価し得る合成構造体の欠陥面積率算出装置及び欠陥面積率算出方法を提供する。
【解決手段】サイズの異なる複数の模擬欠陥が配置された模造体に、低周波超音波を送受信して複数の模擬欠陥それぞれに対応するエコー高さを測定してマスタカーブMCを作成すると共に、マスタカーブMC上に閾値Tを設定した後、合成床版Wに設定した測定範囲10内の複数の測定箇所における低周波超音波の各送受信によりエコー高さを取得して、マスタカーブMC上の閾値T以上のエコー高さが得られた測定箇所を欠陥有りと判断し、合成床版Wの測定範囲10を格子状に分割して複数の枡を設定し、欠陥有りの測定箇所を含む枡NGの数を測定範囲10内の全ての枡G+NGの数で除することで、測定範囲10全体における欠陥面積率を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに異なる材料を重ね合わせて成る合成構造体の界面に生じた空隙等の欠陥の面積率を求めるのに用いられる合成構造体の欠陥面積率算出装置及び欠陥面積率算出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記した合成構造体としては、例えば、橋梁の床版として用いられる合成床版があり、この合成床版は、金属板である底鋼板と、この底鋼板上に打設されるコンクリートを備えている。
この合成床版において、施工時に底鋼板とコンクリートとの界面にはく離や空隙(豆板,空洞を含む)等の欠陥が生じると、強度不足に加えて、長期間の使用に伴う欠陥への浸水による底鋼板や補強部材の腐食減肉が懸念される。
【0003】
従来において、底鋼板とコンクリートとの界面における欠陥の有無を確かめる検査としては、例えば、非特許文献1,2に開示されているたたき試験や、打音法や、弾性スイープ波法や、超音波法がある。
たたき試験は、底鋼板をテストハンマで叩いて、異音から界面の欠陥を認識する試験であり、打音法は、インパルスハンマにより底鋼板を叩いた時の打撃音による波形と、フード付きマイクから採取した打撃音による波形とをそれぞれ周波数分析して、界面における欠陥を検出する方法である。
【0004】
また、弾性スイープ波法は、圧電セラミック素子からの弾性波を用いて底鋼板を振動させ、この底鋼板の周波数特性を検出することで界面における欠陥を把握する方法であり、超音波法は、特許文献1にも開示されているように、適切な周波数帯域の探触子を用いた超音波の送受信による反射波信号を処理することで、界面における欠陥を検出する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4019903号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】第6回道路橋床版シンポジウム論文報告書(2008年6月)第243〜第248頁
【非特許文献2】日本橋梁建設協会 技術短信 No.7 (2008年7月)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記した従来の打音法や弾性スイープ波法や超音波法を用いた欠陥の有無を確かめる検査において、例え欠陥を界面の部分部分で把握することができたとしても、この欠陥の拡がりや欠陥が界面全体に占める割合を把握することは困難であり、また、たたき試験で作成される異音発生マップは作業者の感覚に依るところが大きいため、欠陥面積率を正確に評価することができないという問題があり、この問題を解決することが従来の課題となっていた。
【0008】
本発明は、上記した従来の課題に着目してなされたもので、例えば、合成床版の検査工程において、作業者の感覚に頼ることなく、合成床版の底鋼板とコンクリートとの界面全体に占める欠陥面積の割合を正確に評価することが可能である合成構造体の欠陥面積率算出装置及び欠陥面積率算出方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る発明は、異質材料を重ね合わせて成る合成構造体の前記異質材料のうちの一方の材料と他方の材料との界面における欠陥面積率を求める合成構造体の欠陥面積率算出装置であって、前記合成構造体の前記一方の材料上に設定した測定範囲内の複数の測定箇所において、前記一方の材料と前記他方の材料との間の界面に向けて、例えば金属板にコンクリートを打設して成る合成構造体の場合は25〜250kHzの低周波超音波を発する送信側の超音波探触子と、前記界面に存在する欠陥で反射した前記低周波超音波のエコーを受ける受信側の超音波探触子と、前記合成構造体の前記測定範囲全体における欠陥面積率を算出する解析部を備え、前記解析部には、前記超音波探触子による低周波超音波の送受信を互いにサイズの異なる複数の模擬欠陥が配置された模造体に対して行って得られる前記複数の模擬欠陥それぞれに対応するエコー高さに基づくマスタカーブが作成されていると共に、このマスタカーブ上に閾値が予め設定され、該解析部では、前記超音波探触子による低周波超音波の送受信を前記合成構造体の前記測定範囲内における複数の測定箇所に対して行って得られるエコー高さのうちの前記マスタカーブ上の閾値以上のエコー高さが得られた測定箇所を欠陥有りと判断すると共に、前記合成構造体の前記測定範囲を格子状に分割して設定した複数の枡のうちの前記欠陥有りの測定箇所を含む枡の数を前記測定範囲内の枡の総数で除することで前記測定範囲全体における欠陥面積率を算出する構成としており、この構成の合成構造体の欠陥面積率算出装置を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
【0010】
一方、本発明の請求項2に係る発明は、異質材料を重ね合わせて成る合成構造体の前記異質材料のうちの一方の材料と他方の材料との界面の欠陥面積率を求める合成構造体の欠陥面積率算出方法であって、互いにサイズの異なる複数の模擬欠陥が配置された模造体に対して、低周波超音波を送受信して前記複数の模擬欠陥それぞれに対応するエコー高さを測定してマスタカーブを作成すると共に、このマスタカーブ上に閾値を設定した後、前記合成構造体の前記異質材料のうちの一方の材料上に設定した測定範囲内の複数の測定箇所における低周波超音波の各送受信によりエコー高さをそれぞれ取得して、前記マスタカーブ上の閾値以上のエコー高さが得られた測定箇所を欠陥有りと判断し、続いて、前記合成構造体の前記一方の材料上の前記測定範囲を格子状に分割して複数の枡を設定し、前記欠陥有りの測定箇所を含む枡の数を前記測定範囲内の枡の総数で除することで、前記測定範囲全体における欠陥面積率を算出する構成としており、この構成の合成構造体の欠陥面積率算出方法を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
【0011】
本発明に係る合成構造体の欠陥面積率算出装置及び欠陥面積率算出方法は、密度が互いに大きく異なる異質材料同士を重ね合わせて成る合成構造体の界面における欠陥面積率を求めるのに適用され、この合成構造体には、異質材料のうちのより密度の高い一方の材料により密度の低い他方の材料を重ね合わせて成る合成構造体のほか、より密度の高い一方の材料でより密度の低い他方の材料を挟み込むように積層させて成る合成構造体も含む。
【0012】
そして、本発明に係る合成構造体の欠陥面積率算出装置及び欠陥面積率算出方法が適用される合成構造体としては、例えば、異質材料のうちの一方の材料である金属板に他方の材料であるコンクリートを打設して成る合成構造体が挙げられるほか、異質材料のうちの一方の材料である繊維強化プラスチックにウレタン等の樹脂フォームやバルサ材やハニカム材を重ねて成る合成構造体が挙げられる。
【0013】
本発明に係る合成構造体の欠陥面積率算出装置及び欠陥面積率算出方法では、まず、互いにサイズの異なる複数の模擬欠陥を配置した模造体に対して、超音波探触子による低周波超音波の送受信を行って、複数の模擬欠陥それぞれに対応するエコー高さを測定する。
次いで、欠陥面積率算出装置の解析部において、複数の模擬欠陥及び各模擬欠陥のサイズに対応するエコー高さに基づいてマスタカーブを作成したうえで、見つけたい欠陥サイズに応じてこのマスタカーブ上に閾値を設定する。
【0014】
次に、合成構造体を構成する異質材料のうちの一方の材料上に設定した測定範囲内の複数の測定箇所に対して、超音波探触子により低周波超音波の送受信をそれぞれ行ってエコー高さを取得し、欠陥面積率算出装置の解析部において、取得したエコー高さのうちのマスタカーブ上の閾値以上のエコー高さが得られた測定箇所を欠陥有りと判断する。
これに続いて、合成構造体の測定範囲を格子状に分割して複数の枡を設定し、解析部において、これらの複数の枡のうちの欠陥有りの測定箇所を含む枡の数を測定範囲内の枡の総数で除することで、測定範囲全体に対する欠陥面積率を算出する。なお、合成構造体の測定範囲における複数の枡は、測定に使用する超音波探触子の振動子の径及び周波数、並びに、合成構造体の測定面側に位置する材料の板厚及びこの材料内の音速に基づいて、隣接する枡同士が互いに干渉しない大きさに設定される。
【0015】
このように、本発明に係る合成構造体の欠陥面積率算出装置及び欠陥面積率算出方法では、模造体の複数の模擬欠陥それぞれに対応するエコー高さの測定、測定したエコー高さに基づくマスタカーブの作成及びマスタカーブ上における閾値の設定、合成構造体における複数の測定箇所のエコー高さの取得、マスタカーブ上の閾値及び取得したエコー高さに基づく欠陥有りの判断において、作業者の感覚に頼る部分がまったくなく、加えて、欠陥有りの測定箇所を含む枡の数を測定範囲内の枡の総数で除する計算をするようにしているので、欠陥が界面全体に占める割合を高精度で把握し得ることとなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1に係る合成構造体の欠陥面積率算出装置では、上記した構成としているので、例えば、合成床版の検査工程において、作業者の感覚に頼ることなく、合成床版の底鋼板とコンクリートとの界面全体に占める欠陥面積の割合を正確に評価することが可能であるという非常に優れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例に係る合成構造体の欠陥面積率算出装置の構成説明図である。
【図2】図1における欠陥面積率算出装置の解析部で作成されるマスタカーブを示すグラフである。
【図3】図1における欠陥面積率算出装置の解析部で合成構造体に設定される格子状の測定範囲の説明図である。
【図4】合成構造体としての合成床版を模して作製した試験体の底鋼板とコンクリートとの界面に格子状の測定範囲を重ねて示した平面説明図(a)及び図4(a)におけるA−A線位置に基づく断面説明図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。
図1〜図4は本発明に係る合成構造体の欠陥面積率算出装置及び欠陥面積率算出方法の一実施例を示しており、この実施例では、合成構造体が合成床版である場合を例に挙げて説明する。
【0019】
図1に示すように、合成構造体としての合成床版Wは、重ね合わせた異質材料のうちの一方の材料である底鋼板Sに他方の材料であるコンクリートCを打設して成っている。この合成床版Wの底鋼板SとコンクリートCとの界面Iにおける空隙やはく離等の欠陥Fを把握するための欠陥面積率算出装置1は、合成床版Wの底鋼板S上に設定した測定範囲内の複数の測定箇所からコンクリートC側に向けて25〜250kHzの低周波数の超音波Uを発する送信側の超音波探触子2と、界面Iに存在する欠陥Fで反射した低周波超音波UのエコーEを受ける受信側の超音波探触子3と、送信側の超音波探触子2に交流電圧を印加して上記超音波Uを発生させるパルサ4と、受信側の超音波探触子3で受信した欠陥FからのエコーEを電圧信号に変換するレシーバ5と、このレシーバ5からの電圧信号をAD変換するADコンバータ6と、このADコンバータ6からのデジタルデータを取り込んで合成床版Wの測定範囲全体における欠陥Fが占める割合を求める解析部7を備えている。
【0020】
この欠陥面積率算出装置1では、模造体に対する超音波探触子2,3による低周波超音波の送受信により、模造体に設けた互いにサイズの異なる複数の模擬欠陥それぞれに対応するエコー高さを測定して、解析部7において、図2に示すように、マスタカーブMCを作成すると共に、このマスタカーブ上に閾値Tを設定するようになっている。この閾値Tは見つけたい欠陥サイズに応じて設定する。
【0021】
そして、この欠陥面積率算出装置1では、検査対象である合成床版Wの底鋼板S上における複数の測定箇所からコンクリートC側に向けて超音波探触子2,3による低周波超音波の送受信を行い、解析部7において、これで得られた複数のエコー高さのうちのマスタカーブMC上の閾値T以上のエコー高さの測定箇所を欠陥有りと判断し、さらに、図3に示すように、合成床版Wの測定範囲10を格子状に分割して複数の枡を設定し、解析部7において、これらの複数の枡のうちの欠陥有りの測定箇所を含む枡NGの数を測定範囲10内の全ての枡G+NGの数で除することで、測定範囲10全体における欠陥面積率を算出するようになっている。なお、合成床版Wの測定範囲10における複数の枡は、測定に使用する超音波探触子2,3の振動子の径及び周波数、並びに、合成床版Wの測定面側に位置する底鋼板Sの板厚及びこの底鋼板S内の音速に基づいて、隣接する枡同士が互いに干渉しない大きさに設定される。
【0022】
この実施例による欠陥面積率算出装置1によって合成床版Wの欠陥面積率を求めるに際しては、まず、互いにサイズの異なる複数の模擬欠陥を配置した模造体に対して、超音波探触子2,3による低周波超音波の送受信を行って、複数の模擬欠陥それぞれに対応するエコー高さを測定する。
【0023】
次いで、解析部7において、複数の模擬欠陥及び各模擬欠陥のサイズに対応するエコー高さに基づいてマスタカーブMCを作成したうえで、このマスタカーブMC上に閾値Tを設定する。
【0024】
次に、合成床版Wの底鋼板S上に設定した測定範囲10内の複数の測定箇所に対して、超音波探触子2,3により低周波超音波の送受信をそれぞれ行ってエコー高さを取得し、解析部7において、上記取得したエコー高さのうちのマスタカーブMC上の閾値T以上のエコー高さが得られた測定箇所を欠陥有りと判断する。
【0025】
これに続いて、解析部7において、合成床版Wの格子状に分割した測定範囲10における欠陥有りの測定箇所を含む枡NGの数(6)を測定範囲10内の全ての枡G+NGの数(16)で除することで、測定範囲10全体に対する欠陥面積率(約38%)を算出する。
【0026】
このように、上記した本実施例による欠陥面積率算出装置1では、模造体の複数の模擬欠陥それぞれに対応するエコー高さの測定、測定したエコー高さに基づくマスタカーブMCの作成及びマスタカーブMC上における閾値Tの設定、合成床版Wの複数の測定箇所におけるエコー高さの取得、マスタカーブMC上の閾値T及び取得したエコー高さに基づく欠陥有りの判断において、検査作業者の感覚に頼る部分がまったくないうえ、欠陥有りの測定箇所を含む枡NGの数を測定範囲10内の全ての枡G+NGの数で除する計算を行うようにしているので、欠陥Fが界面I全体に占める割合を高精度で把握し得ることとなる。
【0027】
そこで、図4に示すように、合成床版Wを模して作製した試験体wを用いて、本実施例による欠陥面積率算出装置1の評価を試みた。
この場合、試験体wは、厚さtが8mmの底鋼板sにコンクリートcを高さH200mmで打設した縦寸L1が400mm、横寸L2が400mmのブロック状を成すものであり、底鋼板sとコンクリートcとの界面iに、互いにサイズの異なる3つの模擬欠陥Fa(φ100mm),Fb(φ20mm),Fc(φ75mm)を配置している。
【0028】
そして、試験体w上の測定範囲10を格子状に分割して16個の枡を設定し、これらの16個の枡において超音波探触子2,3により低周波超音波の送受信をそれぞれ行ってエコー高さ(%)を取得し、解析部7において、上記取得したエコー高さのうちのマスタカーブMC上に設定した閾値T(この評価においては45%)以上のエコー高さが得られた測定箇所を欠陥有りと判断するようにした。各測定箇所における測定値(エコー高さ)(%)を表1に示し、この表1において、閾値T以上となった測定箇所に(○)を付した。
【表1】

【0029】
この表1の測定結果に基づいて、解析部7において、測定範囲10における欠陥有りの測定箇所を含む枡の数を測定範囲10内の全ての枡で除したところ、測定範囲10全体に対する欠陥面積率(約44%)が求められた。
【0030】
上記試験体wの模擬欠陥Fa,Fb,Fcの測定範囲10全体に対する実際の面積率は約31%であり、空隙やはく離等の欠陥を界面の部分部分で把握していた従来の検査方法と比べて、本実施例による欠陥面積率算出装置1では、界面全体に占める欠陥面積の割合をほぼ正確に評価し得ることが実証できた。
【0031】
なお、本実施例による欠陥面積率算出装置1の評価において、マスタカーブMC上の閾値Tを45(%)とした場合の欠陥面積率約44%が、実際の面積率約31%よりも大きくなる理由としては、コンクリートの一成分である粗骨材の最大径が約20mmであるため、この粗骨材や複数の粗骨材の集合箇所からのエコーを拾ってしまう可能性があることや、試験体wに対して超音波探触子2から送信される超音波が広がって、隣接する大きい模擬欠陥のエコーを拾ってしまうことが考えられる。
【0032】
上記した実施例では、合成構造体が合成床版である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、合成構造体が、例えば、異質材料のうちの一方の材料である繊維強化プラスチックにウレタン等の樹脂フォームやバルサ材やハニカム材を重ねて成る場合であってもよい。
【0033】
また、上記した実施例では、合成構造体が、より密度の高い一方の材料(底鋼板S)により密度の低い他方の材料(コンクリートC)を重ね合わせて成る場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、合成構造体が、より密度の高い一方の材料でより密度の低い他方の材料を挟み込むように積層させて成る場合であってもよい。
【0034】
さらに、本発明に係る合成構造体の欠陥面積率算出装置及び欠陥面積率算出方法の構成は、上記した実施例の構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0035】
1 欠陥面積率算出装置
2 送信側超音波探触子
3 受信側超音波探触子
7 解析部
10 測定範囲
C コンクリート(他方の材料)
E エコー
F(Fa,Fb,Fc) 模擬欠陥
I 界面
MC マスタカーブ
S 底鋼板(一方の材料)
T 閾値
W 合成床版(合成構造体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異質材料を重ね合わせて成る合成構造体の前記異質材料のうちの一方の材料と他方の材料との界面の欠陥面積率を求める合成構造体の欠陥面積率算出装置であって、
前記合成構造体の前記一方の材料上に設定した測定範囲内の複数の測定箇所において、前記一方の材料と前記他方の材料との間の界面に向けて低周波超音波を発する送信側の超音波探触子と、
前記界面に存在する欠陥で反射した前記低周波超音波のエコーを受ける受信側の超音波探触子と、
前記合成構造体の前記測定範囲全体における欠陥面積率を算出する解析部を備え、
前記解析部には、前記超音波探触子による低周波超音波の送受信を互いにサイズの異なる複数の模擬欠陥が配置された模造体に対して行って得られる前記複数の模擬欠陥それぞれに対応するエコー高さに基づくマスタカーブが作成されていると共に、このマスタカーブ上に閾値が予め設定され、
該解析部では、前記超音波探触子による低周波超音波の送受信を前記合成構造体の前記測定範囲内における複数の測定箇所に対して行って得られるエコー高さのうちの前記マスタカーブ上の閾値以上のエコー高さが得られた測定箇所を欠陥有りと判断すると共に、前記合成構造体の前記測定範囲を格子状に分割して設定した複数の枡のうちの前記欠陥有りの測定箇所を含む枡の数を前記測定範囲内の枡の総数で除することで前記測定範囲全体における欠陥面積率を算出する
ことを特徴とする合成構造体の欠陥面積率算出装置。
【請求項2】
異質材料を重ね合わせて成る合成構造体の前記異質材料のうちの一方の材料と他方の材料との界面の欠陥面積率を求める合成構造体の欠陥面積率算出方法であって、
互いにサイズの異なる複数の模擬欠陥が配置された模造体に対して低周波超音波を送受信して前記複数の模擬欠陥それぞれに対応するエコー高さを測定してマスタカーブを作成すると共に、このマスタカーブ上に閾値を設定した後、
前記合成構造体の前記異質材料のうちの一方の材料上に設定した測定範囲内の複数の測定箇所における低周波超音波の各送受信によりエコー高さをそれぞれ取得して、前記マスタカーブ上の閾値以上のエコー高さが得られた測定箇所を欠陥有りと判断し、
続いて、前記合成構造体の前記一方の材料上の前記測定範囲を格子状に分割して複数の枡を設定し、前記欠陥有りの測定箇所を含む枡の数を前記測定範囲内の枡の総数で除することで、前記測定範囲全体における欠陥面積率を算出する
ことを特徴とする合成構造体の欠陥面積率算出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−88239(P2013−88239A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227887(P2011−227887)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】