合成樹脂エマルション及びそれを用いた水性塗料組成物

【課題】乾燥性において優れた性能を発揮するとともに、光沢性、耐水性、耐候性、耐汚染性等においても有利な効果を得ることが可能な合成樹脂エマルションを提供する。
【解決手段】本発明の合成樹脂エマルションは、(A)エチレン性不飽和モノマーを含有する単量体成分、及び、(B)含窒素環基とアルコキシシリル基を有する化合物を混合し、重合して得られることを特徴とするものである。(B)成分としては、ピペリジニル基とアルコキシシリル基を有する化合物、イミダゾリル基とアルコキシシリル基を有する化合物が好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥性その他の諸物性において優れた性能を有する合成樹脂エマルション、及びそれを用いた水性塗料組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅、ビル等の建築物の外壁・屋根等には、通常塗料が塗られており、風雨や直射日光等から建築物を保護するとともに、建築物の美観性を維持する役割も果たしている。
このような塗料では、風雨や直射日光等に対する抵抗性が要求される。また、近年では、無公害性や火災安全性を考慮し、合成樹脂エマルションをバインダーとする水性塗料の使用が多くなっている。
【0003】
しかしながら、このような水性塗料においては、溶剤型塗料に比べ乾燥硬化性が十分でないという問題がある。すなわち、その被膜が完全に乾燥硬化するまでにかなりの時間を必要とするため、工期が長引くことになり、硬化段階において降雨等で水が掛かかった場合に塗料が流出してしまう等の問題がある。特に、低温環境下・高湿度下では、このような問題が起こりやすく、合成樹脂エマルションをバインダーとする塗料の課題の一つといえる。
また、合成樹脂エマルションをバインダーとする塗料では、溶剤型樹脂をバインダーとする塗料に比べ、形成塗膜の耐水性、耐候性等の諸物性において十分な性能が得られにくい傾向があり、このような点についても改善が求められている。
【0004】
水性塗料用のバインダーとして、特許文献1には、ピペリジニル基と重合性不飽和基を分子内に有する重合性紫外線安定性単量体を重合して得られるエマルションが開示されている。特許文献1では、このようなエマルションの使用によって、乾燥性、耐水性、耐候性等に優れた塗膜が形成できることが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開平3−128978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のエマルションを水性塗料のバインダーとして用いても、その塗膜形成過程における乾燥性は十分とは言い難く、実用上さらなる改善が必要である。
また、特許文献1のエマルションにおいて、ピペリジニル基と重合性不飽和基を分子内に有する重合性紫外線安定性単量体は、重合安定性に乏しく、安定なエマルションの製造が困難な場合がある。よって、そのエマルションをバインダーとする水性塗料は、光沢性に劣る場合があり、重合安定性を向上させるためにエマルション製造中に乳化剤や親水性モノマーを加えた場合には、耐候性、耐水性等の物性低下が問題となる。また、特許文献1のエマルションをバインダーとする水性塗料は、耐汚染性の点においても改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、(A)エチレン性不飽和モノマーを含有する単量体成分、及び(B)含窒素環基とアルコキシシリル基を有する化合物を混合し、重合して得られる合成樹脂エマルションが、乾燥性に優れることを見出した。さらに、このような合成樹脂エマルションでは、光沢性、耐水性、耐候性、耐汚染性等においても有利な効果が得られることを見いだし、本発明の完成に至った。
【0008】
即ち、本発明は、以下の特徴を有するものである。
1.(A)エチレン性不飽和モノマーを含有する単量体成分、及び、(B)含窒素環基とアルコキシシリル基を有する化合物を混合し、重合して得られ、
(B)該含窒素環基とアルコキシシリル基を有する化合物が、
(B−1)ピペリジニル基とアルコキシシリル基を有する化合物であり、ピペリジニル基と反応性官能基を有する化合物と、アルコキシシリル基と該反応性官能基と反応可能な官能基を有する化合物とを反応させて得られる化合物、または、
(B−2)イミダゾリル基とアルコキシシリル基を有する化合物であり、イミダゾール化合物と、該化合物と反応可能な官能基及びアルコキシシリル基を有する化合物とを反応させて得られる化合物である、
ことを特徴とする合成樹脂エマルション。
2.(A)エチレン性不飽和モノマーを含有する単量体成分100重量部に対し、(B)含窒素環基とアルコキシシリル基を有する化合物0.1重量部〜15重量部を混合し、重合して得られることを特徴とする1.に記載の合成樹脂エマルション。
3.1.または2.に記載の合成樹脂エマルションをバインダーとして用いることを特徴とする水性塗料組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の合成樹脂エマルションは、乾燥性に優れ、光沢性、耐水性、耐候性、耐汚染性等の諸物性においても優れた効果を得ることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0011】
本発明の合成樹脂エマルションは、(A)エチレン性不飽和モノマーを含有する単量体成分(以下、「(A)成分」ともいう)、及び、(B)含窒素環基とアルコキシシリル基を有する化合物(以下、「(B)成分」ともいう)を混合し、重合して得られることを特徴とするものである。
【0012】
(A)成分としては、例えば、
シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル基含有モノマー;
3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシシシラン、ビニルトリエトキシシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン等のアルコキシシリル基含有モノマー;
(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸t−アミル、(メタ)アクリル酸トリプロピルメチル、(メタ)アクリル酸トリイソプロピルメチル、(メタ)アクリル酸トリブチルメチル、(メタ)アクリル酸トリイソブチルメチル、(メタ)アクリル酸トリt−ブチルメチル、4−tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のt−アルキル基含有モノマー;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−i−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−sec−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸オキチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ドデセニル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−フェニルエチル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−4−メトキシブチル等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、イソクロトン酸、サリチル酸、けい皮酸等のカルボキシル基含有モノマー;
(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールアリルエーテル、ポリプロピレングリコールアリルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルエーテル、N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシル基含有モノマー;
(メトキシ)ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(メトキシ)ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、(メトキシ)ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、(メトキシ)ポリエチレングリコールアリルエーテル、(メトキシ)ポリプロピレングリコールアリルエーテル、(メトキシ)ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルエーテル等のアルキレングリコール鎖含有モノマー;
(メタ)アクリル酸アミノメチル、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸アミノブチル、ブチルビニルベンジルアミン、ビニルフェニルアミン、p−アミノスチレン、(メタ)アクリル酸−N−メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N−t−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸−N,N−ジエチルアミノプロピル、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ピペリジン、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ピロリジン、N−〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕モルホリン、4−〔N,N−ジメチルアミノ〕スチレン、4−〔N,N−ジエチルアミノ〕スチレン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のアミノ基含有モノマー;
(メタ)アクリル酸グリシジル、ジグリシジルフマレート、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシル、3,4−エポキシビニルシクロヘキサン、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸−ε−カプロラクトン変性グリシジル、(メタ)アクリル酸−β−メチルグリシジル等のグリシジル基含有モノマー;
(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクロイルピロリジン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、ビニルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;
ジアセトン(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、アクロレイン、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニル(イソ)ブチルケトン、アセトニルアクリレート、アクリルオキシアルキルプロパナール類、メタクリルオキシアルキルプロパナール類、2−ヒドロキシプロピルアクリレートアセチルアセテート、タンジオールアクリレートアセチルアセテート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシアリルエステル等のカルボニル基含有モノマー;
アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル基含有モノマー;
メタクリロイルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマー;
ビニルオキサゾリン、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−プロペニル2−オキサゾリン等のオキサゾリン基含有モノマー;
プロピレン−1,3−ジヒドラジン及びブチレン−1,4−ジヒドラジンなどのヒドラジノ基含有モノマー;
アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシアリルエステル等のアセトアセトキシル基含有モノマー;
N−メチロ−ル(メタ)アクリルアミド等のメチロール基含有モノマー;
フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン系モノマー;
スチレン、2−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル系モノマー;
スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸などのスルホン酸含有モノマー;
2−ヒドロキシ−4−(メタ)アクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−(メタ)アクリロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−{(メタ)アクリロキシ−エトキシ}ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−{(メタ)アクリロキシ−ジエトキシ}ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−{(メタ)アクリロキシ−トリエトキシ}ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系モノマー;
2−{2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロキシエチルフェニル}−2H−ベンゾトリアゾール、2−{2’−ヒドロキシ−5’−(メタ)アクリロキシエチル−3−t−ブチルフェニル}−2H−ベンゾトリアゾール、3−(メタ)アクリロイル−2−ヒドロキシプロピル−3−{3’−(2’’−ベンゾトリアゾール)−4−ヒドロキシ−5−t−ブチル}フェニルプロピオネート等のベンゾトリアゾール系モノマー;
エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルケトン等のその他のモノマー;
等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができ、適宜設定することができる。
【0013】
(A)成分として、特に、シクロアルキル基含有モノマー及び/またはt−アルキル基含有モノマーを含有することが好ましい。このようなモノマーを含有することにより、耐水性、耐候性をより向上させることができる。特に、(A)成分全量に対し、シクロアルキル基含有モノマー及び/またはt−アルキル基含有モノマーが5重量%以上含むことが好ましい。これにより、耐水性、耐候性を向上させることができる。
【0014】
また、(A)成分として、アルコキシシリル基含有モノマーを含有することが好ましい。アルコキシシリル基含有モノマーは、(B)成分のアルコキシシリル基と反応し、(A)成分と(B)成分とを強固に固定化することができ、より優れた耐水性、耐候性、耐汚染性を有する合成樹脂エマルションを得ることができる。アルコキシシリル基含有モノマーは、(A)成分全量に対し、0.01重量部〜20重量部(好ましくは、0.1重量部〜10重量部)含むことが好ましい。このような範囲であることによって、より耐水性、耐候性を向上させることができる。0.01重量%より少ない場合は、耐水性、耐候性、耐汚染性の向上に寄与することが困難である。20重量%より大きい場合は、重合安定性、耐クラック性に劣る場合がある。
【0015】
また、(A)成分として、カルボキシル基含有モノマーを含有することが好ましい。カルボキシル基含有モノマーは、重合安定性に優れ、合成樹脂エマルションの製造のし易さの面で、好適に用いられる。さらに、カルボキシル基含有モノマーは(B)成分の脱水縮合反応を促進する効果があり、また、(B)成分のアルコキシシリル基と反応し、(A)成分と(B)成分を固定化することも可能である。カルボキシル基含有モノマーは、(A)成分全量に対し、0.1重量部〜10重量部(好ましくは、0.5重量部〜5重量部)含むことが好ましい。
【0016】
また、(A)成分として、ヒドロキシル基含有モノマーを含有することが好ましい。ヒドロキシル基含有モノマーは、重合安定性に優れ、合成樹脂エマルションの製造のし易さの面で、好適に用いられる。さらに、ヒドロキシル基含有モノマーは(B)成分のアルコキシシリル基と反応し、(A)成分と(B)成分との固定化が期待できる。ヒドロキシル基含有モノマーは、(A)成分全量に対し、0.1重量部〜10重量部(好ましくは、0.5重量部〜5重量部)含むことが好ましい。
【0017】
また、(A)成分として、アミド基含有モノマーを含有することが好ましい。アミド基含有モノマーは、重合安定性に優れ、合成樹脂エマルションの製造のし易さの面で、好適に用いられる。
【0018】
本発明における(B)成分は、含窒素環基とアルコキシシリル基を有する化合物である。本発明では、このような(B)成分の作用により、塗膜形成過程における乾燥性を向上させることが可能となる。
【0019】
(B)成分における含窒素環基としては、例えば窒素原子を1ないし3個含有する5ないし13員の含窒素環基等が用いられる。このような含窒素環基としては、例えば、ピリジル、キノリル、イミダゾリル、トリアゾリル、イミダゾピリジニル、イソキノリル等の不飽和含窒素環基や、ピロリジニル、ピペリジニル、ヘキサメチレンイミニル、ヘプタメチレンイミニル、ピペラジニル等の飽和含窒素環基等が用いられる。また、(B)成分における窒素環基は、そのC原子上及び/またはN原子上に置換基を有していてもよい。
本発明における(B)成分としては、特に、ピペリジニル基とアルコキシシリル基を有する化合物、イミダゾリル基とアルコキシシリル基を有する化合物等が好適である。
【0020】
本発明では、ピペリジニル基とアルコキシシリル基を有する化合物(以下「(B−1)成分」という)を使用することにより、乾燥性に加え、光沢性、耐水性、耐候性、耐汚染性等に優れる合成樹脂エマルションを得ることができる。
【0021】
(B−1)成分は、例えば、次のような方法で得ることができる。
(1)ピペリジニル基と重合性不飽和結合を有する化合物と、アルコキシシリル基と重合性不飽和結合を有する化合物とを重合させることにより得る方法、
(2)ピペリジニル基と反応性官能基を有する化合物と、アルコキシシリル基と該反応性官能基と反応可能な官能基を有する化合物とを反応させることにより得る方法、
または、(1)と(2)を複合した方法等により得ることができる。
【0022】
(1)の方法におけるピペリジニル基と重合性不飽和結合を有する化合物としては、例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
【0023】
(1)の方法におけるアルコキシシリル基と重合性不飽和結合を有する化合物としては、特に限定されないが、アルコキシシリル基の炭素数が8以下、好ましくは5以下のものであることが好ましい。アルコキシシリル基と重合性不飽和結合を有する化合物としては、例えば、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシシシラン、ビニルトリエトキシシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン等が挙げられる。
【0024】
このようなピペリジニル基と重合性不飽和結合を有する化合物とアルコキシシリル基と重合性不飽和結合を有する化合物、さらには上述したエチレン性不飽和モノマーを混合し、常法により重合することによって、ピペリジニル基とアルコキシシリル基を有する化合物を得ることができる。
【0025】
(2)の方法における反応性官能基の組み合わせとしては、例えば、ヒドロキシル基とイソシアネート基、アミノ基とイソシアネート基、アミノ基とグリシジル基、カルボキシル基とグリシジル基、カルボキシル基とアミノ基、カルボキシル基とカルボジイミド基、カルボキシル基とアジリジン基、カルボキシル基とオキサゾリン基、カルボニル基とヒドラジド基、アセトアセトキシル基とアミノ基等が挙げられ、特に、ヒドロキシル基とイソシアネート基、アミノ基とイソシアネート基の組み合わせが好ましい。
【0026】
本発明では特に、ピペリジニル基とヒドロキシル基を有する化合物と、イソシアネート基とアルコキシシリル基を有する化合物の組み合わせ、ピペリジニル基とアミノ基とを有する化合物と、イソシアネート基とアルコキシシリル基を有する化合物の組み合わせが好ましい。
【0027】
ピペリジニル基と反応性官能基を有する化合物としては、例えば、4−ヒドロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと同じ)、3−ヒドロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル){(3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル}ブチルマロネート、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、3−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
【0028】
アルコキシシリル基と反応性官能基を有する化合物としては、例えば、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルチルジエトキシシシラン等が挙げられる。
【0029】
このようなピペリジニル基と反応性官能基を有する化合物と、アルコキシシリル基と該反応性官能基と反応可能な官能基を有する化合物とを反応させて、ピペリジニル基とアルコキシシリル基を有する化合物を得ることができる。
このような反応における反応温度は、通常、30〜150℃程度であることが好ましい。
また、反応触媒を加えて、反応を促進することもできる。反応触媒としては、特に限定されないが、上述した反応性官能基の組み合わせにより、適宜選定すればよい。
さらに、上述した化合物、反応比率等を適宜調整することにより、目的とするピペリジニル基とアルコキシシリル基を有する化合物を得ることができる。
【0030】
このような(B−1)成分は、主にピペリジニル基により優れた耐候性を発揮し、主にアルコキシシリル基により優れた耐水性、耐汚染性を発揮することができるものである。このようなピペリジニル基とアルコキシシリル基が、同一化合物中に存在することにより、その相乗効果により、耐水性、耐候性、耐汚染性を向上し合うとともに、少量の(B−1)成分でも優れた耐水性、耐候性、耐汚染性を発揮することができる。
【0031】
本発明では、(B)成分としてイミダゾリル基とアルコキシシリル基を有する化合物(以下「(B−2)成分」という)を使用することにより、乾燥性、耐水性、耐汚染性等において顕著な効果を得ることができる。
このような(B−2)成分は、例えば、イミダゾール化合物と、該化合物と反応可能な官能基及びアルコキシシリル基を有する化合物とを反応させることにより得ることができる。この反応によって得られた化合物を、さらに変性することもできる。このような反応における反応温度は、通常50℃〜200℃程度である。
【0032】
イミダゾール化合物としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等が挙げられる。
【0033】
イミダゾール化合物と反応可能な官能基、及びアルコキシル基を有する化合物としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリプロピルシラン、3−グリシドキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−グリシドキシプロピルメトキシジメチルシラン等が挙げられる。
【0034】
本発明ではさらに、(A)成分、(B)成分に加えて、エチレン性不飽和基及び含窒素環基を有さず、アルコキシシリル基と反応可能な官能基を有する化合物(以下、「(C)成分」ともいう。)を混合することもできる。
このような(C)成分を混合することにより、(B)成分のアルコキシシリル基と反応し、より強固な塗膜を形成するとともに、より優れた耐水性、耐候性、耐汚染性を有する合成樹脂エマルションを得ることができる。さらに(A)成分にアルコキシシリル基を有する場合も、よりいっそう耐水性、耐候性、耐汚染性を高めることができる。
アルコキシシリル基と反応可能な官能基としては、例えば、アルコキシシリル基、シラノール基等が好適である。
【0035】
(C)成分として、アルコキシシリル基を有する化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラsec−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、プロピルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、ブチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリプロポキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリプロポキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン等、あるいはこれらの縮合物等、または、カルボキシル基、水酸基、スルホン基、オキシアルキレン基等を含有する化合物等が挙げられる。
(C)成分の形態は液体、ゾル体、ゲル体でもよい。なお、ゾル体の場合は、平均一次粒子径が、1nm〜1μm、さらには3nm〜500nm、さらには5nm〜200nmであることが好ましい。
(C)成分のアルコキシシリル基は、炭素数が1〜12程度のアルコキシシリル基が好ましく、また、(C)成分中に1つ、または、複数存在してもよく、また複数存在する場合は、炭素数の異なるアルコキシシリル基が存在してもよい。
【0036】
(C)成分として、シラノール基を有する化合物としては、例えば、二酸化ケイ素を主成分とするコロイダルシリカ等が挙げられる。また、二酸化ケイ素の他に、アルミナ、アルミン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等の無機塩基やテトラメチルアンモニウムのような有機塩基等が含まれていてもよい。このようなコロイダルシリカの平均粒子径は、特に限定されないが、通常5nm〜1μm(好ましくは7nm〜500nm)程度である。また、コロイダルシリカを使用する場合、水等の溶媒に分散した分散体として使用することもできる。媒体として水を使用する場合は、pHが2.0以上11以下(好ましくは4.0以上10.0以下、さらに好ましくは6.0以上9.0以下)であることが好適である。
【0037】
本発明の合成樹脂エマルションは、上述の(A)成分、及び、(B)成分等を混合し、重合して得られることを特徴とする。このようにして得られた合成樹脂エマルションは、優れた乾燥性、さらには耐水性、耐候性、耐汚染性等を示すことができる。
(A)成分と(B)成分の混合量は、(A)成分100重量部に対し、(B)成分0.1重量部〜15重量部、さらには0.2重量部〜10重量部であることが好ましい。
このような範囲であることにより、乾燥性において優れた性能を得ることができ、また耐水性、耐候性、耐汚染性等の諸物性においても有利な効果を得ることができる。(B)成分が0.1重量部より少ない場合は、乾燥性が不十分となり、耐水性、耐候性、耐汚染性等の向上効果も得られ難い。(B)成分が15重量部より多い場合は、耐水性、耐候性、耐クラック性が低下する場合がある。
また、(A)成分と(C)成分の混合量は、(A)成分100重量部に対し、(C)成分0.01重量部〜15重量部、さらには0.05重量部〜10重量部であることが好ましい。
【0038】
重合方法としては、(A)成分と、(B)成分、必要に応じ、(C)成分や各種添加剤を混合し、通常知られる重合法(乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法等)で重合し、合成樹脂エマルションを製造すればよい。
【0039】
添加剤としては、水、乳化剤、開始剤、溶剤、分散剤、乳化安定化剤、重合禁止剤、重合抑制剤、緩衝剤、架橋剤、pH調整剤、連鎖移動剤、触媒等が挙げられ、各種重合法、目的に応じ、必要量添加すればよい。
【0040】
乳化剤としては、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、両イオン性乳化剤、反応性乳化剤等特に限定されず、用いることができる。
例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩、ロジン酸塩、アルキル硫酸エステル、アルキルスルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル(アリール)硫酸エステル塩等のアニオン性乳化剤、
ラウリルトリアルキルアンモニウム塩、ステアリルトリアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩、第1級〜第3級アミン塩、ラウリルピリジニウム塩、ベンザルコニウム塩、ベンゼトニウム塩、或は、ラウリルアミンアセテート等のカチオン性界面活性剤、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等のノニオン性界面活性剤、
カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸型、イミダゾリン誘導体型等の両性界面活性剤、
エレミノールJS−2(三洋化成工業製)、エレミノールRS−30(三洋化成工業製)、ラテムルS−180A(花王製)、アクアロンHS−10(第一工業製薬製)、アクアロンRN−20(第一工業製薬製)、アデカリアソープSE−10N(旭電化製)等の反応性乳化剤等が挙げられる。
本発明では、特にポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性乳化剤や、ノニオン性乳化剤の使用が好ましい。また耐水性等の面から反応性乳化剤の使用が好ましい。
【0041】
開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩開始剤、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4’−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)二塩酸塩等のアゾ系開始剤、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド等の過酸化系開始剤、レドックス開始剤、光重合開始剤、反応性開始剤等を用いることができる。
【0042】
触媒としては、例えば、アルコキシシラン化合物の反応を促進するもの等が挙げられる。このような触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫マレートなどの有機錫化合物;リン酸、モノメチルホスフェート、モノエチルホフェート、モノオクチルホスフェートなどのリン酸またはリン酸エステル類;プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、グリシジルメタクリレート、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、エピコート828などのエポキシ化合物とリン酸および/または酸性モノリン酸エステルとの付加物;有機チタネート化合物;有機アルミニウム化合物;有機ジルコニウム化合物;マレイン酸、アジピン酸、アゼライン酸、これらの酸無水物、パラトルエンスルフォン酸などの酸性化合物;ヘキシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミンなどのアミン類;水酸化ナトリウムなどのアルカリ性化合物等の硬化触媒類が挙げられる。
【0043】
重合温度は、特に限定されないが、20℃から90℃程度であればよい。
【0044】
合成樹脂エマルションの平均粒子径は、特に限定されないが、50nm〜1000nm(好ましくは50nm〜500nm、さらに好ましくは60nm〜300nm)であることが好ましい。
なお、平均粒子径は、動的光散乱法により測定した値である。具体的には、動的光散乱測定装置として、マイクロトラック粒度分析計(例えば、UPA150、日機装株式会社製)を用い、検出された散乱強度をヒストグラム解析法のMarquardt法により解析した値であり、測定温度は25℃である。
【0045】
本発明の合成樹脂エマルションは、インク、接着剤、塗料・コーティング材料、プラスチック成形用材料等様々な分野で利用可能である。特に本発明では、水性塗料用のバインダーとして好適に用いることができる。
【0046】
このような水性塗料組成物は、特に、上塗材として適用することができ、上述の合成樹脂エマルションをバインダーとし、必要に応じ通常用いられる公知の着色顔料、体質顔料、骨材、繊維、可塑剤、防腐剤、防黴剤、消泡剤、粘性調整剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、抗菌剤、吸着剤、光触媒等を、単独あるいは併用して配合することにより得ることができる。さらに、適宜水を加えて粘度等を調整することもできる。また、含窒素環基とアルコキシシリル基を有する化合物や、含窒素環基を有する化合物、アルコキシシリル基を有する化合物、または、上記(C)成分等を塗料製造時に添加することもできる。
このような塗料は、上塗材として使用することが好ましいが、用途に応じ、下塗材、中塗材等に適用することも可能である。
【0047】
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、黒色酸化鉄、銅クロムブラック、コバルトブラック、銅マンガン鉄ブラック、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、パーマネントカーミン、アントラキノンレッド、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、酸化第二鉄、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、クロムグリーン、オーカー、群青、紺青、コバルトグリーン、コバルトブルー等の無機系着色顔料、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ベンゾイミダゾール系、フタロシアニン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、キノフタロン系等の有機系着色顔料、パール顔料、アルミニウム顔料、金属又は金属酸化物をコーティングしたガラスフレークまたは樹脂フィルム、ホログラム顔料、コレステリック結晶ポリマー顔料等の光輝性顔料、蛍光顔料、蓄光顔料等が挙げられる。
【0048】
体質顔料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽微性炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、炭酸バリウム、ホワイトカーボン、珪藻土、寒水石、陶土、チャイナクレー、バライト粉、硫酸バリウム、沈降性硫酸バリウム、珪砂、珪石粉、石英粉、樹脂ビーズ、ガラスビーズ、中空バルーン等が挙げられる。
【0049】
本発明における水性塗料組成物は、例えば、モルタル、コンクリート、石膏ボード、サイディングボード、押出成形板、スレート板、石綿セメント板、繊維混入セメント板、ケイ酸カルシウム板、ALC板、金属、木材、ガラス、陶磁器、焼成タイル、磁器タイル、プラスチック板、合成樹脂等の基材、あるいはこのような基材上に形成された塗膜(下塗材や既存塗膜等)等に対し適用することができる。
【0050】
塗料の塗装方法としては、特に限定されず公知の方法で塗装することができるが、塗料の形態の応じ、例えば、刷毛、スプレー、ローラー、鏝、へら等の各種塗装器具を用いた塗装や、ロールコーター、フローコーター等種々の方法により塗装することができる。また、塗料の塗付量は、各種用途にあわせて、適宜設定すればよい。
【実施例】
【0051】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより明確にするが、本発明はこの実施例に限定されない。
【0052】
(製造例1)
4−ヒドロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン40.9重量部、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン59.0重量部、ジブチル錫ジラウレート0.1重量部を混合し、50℃で3時間反応させてピペリジニル基とアルコキシシリル基を有する化合物(以下「化合物1」という。)を得た。
【0053】
(製造例2)
イミダゾール22.4重量部、3−グリドキシプロピルトリメトキシシラン77.6重量部を混合し、95℃で2時間反応させてイミダゾリル基とアルコキシシリル基を有する化合物(以下「化合物2」という。)を得た。
【0054】
(実施例1)
水48重量部、ドデシル硫酸ナトリウム1.8重量部、開始剤0.2重量部と、表1の合成例1に示す原料を各重量部で混合し、窒素雰囲気下80℃で3時間、エマルション重合を行い、合成樹脂エマルション(1)を得た。
合成樹脂エマルション(1)は固形分51重量%であり、平均粒子径は120nmであった。
次に、合成樹脂エマルション(1)65重量部、二酸化チタンペースト(二酸化チタン含有量70重量%)30重量部、添加剤(造膜助剤、消泡剤、粘性調整剤)5重量部を常法にて均一に混合、攪拌し、水性塗料を製造した。この水性塗料を用いて、次の各種試験を行った。
【0055】
(乾燥性試験)
ガラス板(150mm×150mm)に、すきま150μmとなるようにフィルムアプリケーターを用いて水性塗料を塗付し、23℃、50%RH(以下、「標準状態」ともいう)にて乾燥後、水浸漬したときに、塗膜が流出しなくなるまでの時間を測定した。結果は表2に示す。
◎:20分未満
○:20〜30分未満
△:30〜40分未満
×:40分以上
【0056】
(光沢度測定)
ガラス板(150mm×150mm)に、すきま150μmのフィルムアプリケーターを用いて水性塗料を塗付し、標準状態で48時間乾燥させた後、光沢度計(日本電色工業株式会社製)を用いて、60度光沢を測定した。結果は表2に示す。
【0057】
(耐汚染試験)
光沢度測定を行った後、試験体に珪砂を散布し、温度50℃で静置した。3時間後、試験体を垂直にして珪砂を落下させ、残存する珪砂量を目視にて評価した。結果は表2に示す。
◎:残存率25%未満
○:残存率25以上50%未満
△:残存率50以上75%未満
×:残存率75%以上
【0058】
(耐水性試験)
スレート板(150mm×150mm)に、SKクリヤーシーラー(合成樹脂エマルション系シーラー、エスケー化研株式会社製)をローラーで150g/m塗付し、標準状態で24時間養生させた後、水性塗料をスプレーにて300g/m塗付し、標準状態で14日間乾燥させた。耐水性試験では、14日間乾燥後、23℃の水に96時間浸漬し、96時間浸漬前後の光沢度を、光沢度計(日本電色工業株式会社製)にて測定し、光沢保持率を算出することによって評価した。評価は次の通りである。結果は表2に示す。
◎:光沢保持率95%以上
○:光沢保持率80以上以上95%未満
△:光沢保持率60以上以上80%未満
×:光沢保持率60%未満
【0059】
(促進耐候性試験)
スレート板(150mm×150mm)に、SKクリヤーシーラー(合成樹脂エマルション系シーラー、エスケー化研株式会社製)をローラーで150g/m塗付し、標準状態で24時間養生させた後、水性塗料をスプレーにて300g/m塗付し、標準状態で14日間乾燥させた。促進耐候性試験では、キセノンウェザーメーターで2000時間照射し、2000時間照射前後の光沢度を、光沢度計(日本電色工業株式会社製)にて測定し、光沢保持率を算出することによって評価した。評価は次の通りである。結果は表2に示す。
◎:光沢保持率95%以上
○:光沢保持率80以上以上95%未満
△:光沢保持率60以上以上80%未満
×:光沢保持率60%未満
【0060】
【表1】

【0061】
【表2】

【0062】
(実施例2)
表1の合成例2に示す配合を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、合成樹脂エマルション(2)を得、合成樹脂エマルション(1)に代わりに合成樹脂エマルション(2)を使用した以外は実施例1と同様の方法で水性塗料を得、実施例1と同様の試験を行った。結果は表2に示す。
なお、合成樹脂エマルション(2)は、固形分51重量%であり、平均粒子径は120nmであった。
【0063】
(実施例3)
表1の合成例3に示す配合を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、合成樹脂エマルション(3)を得、合成樹脂エマルション(1)に代わりに合成樹脂エマルション(3)を使用した以外は実施例1と同様の方法で水性塗料を得、実施例1と同様の試験を行った。結果は表2に示す。
なお、合成樹脂エマルション(3)は、固形分51重量%であり、平均粒子径は122nmであった。
【0064】
(実施例4)
表1の合成例4に示す配合を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、合成樹脂エマルション(4)を得、合成樹脂エマルション(1)に代わりに合成樹脂エマルション(4)を使用した以外は実施例1と同様の方法で水性塗料を得、実施例1と同様の試験を行った。結果は表2に示す。
なお、合成樹脂エマルション(4)は、固形分51重量%であり、平均粒子径は120nmであった。
【0065】
(実施例5)
表1の合成例5に示す配合を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、合成樹脂エマルション(5)を得、合成樹脂エマルション(1)に代わりに合成樹脂エマルション(5)を使用した以外は実施例1と同様の方法で水性塗料を得、実施例1と同様の試験を行った。結果は表2に示す。
なお、合成樹脂エマルション(5)は、固形分51重量%であり、平均粒子径は124nmであった。
【0066】
(実施例6)
表1の合成例6に示す配合を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、合成樹脂エマルション(6)を得、合成樹脂エマルション(1)に代わりに合成樹脂エマルション(6)を使用した以外は実施例1と同様の方法で水性塗料を得、実施例1と同様の試験を行った。結果は表2に示す。
なお、合成樹脂エマルション(6)は、固形分51重量%であり、平均粒子径は120nmであった。
【0067】
(比較例1)
表1の合成例7に示す配合を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、合成樹脂エマルション(7)を得、合成樹脂エマルション(1)に代わりに合成樹脂エマルション(7)を使用した以外は実施例1と同様の方法で水性塗料を得、実施例1と同様の試験を行った。結果は表2に示す。
なお、合成樹脂エマルション(7)は、固形分51重量%であり、平均粒子径は123nmであった。
【0068】
(比較例2)
表1の合成例8に示す配合を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、合成樹脂エマルション(8)を得、合成樹脂エマルション(1)に代わりに合成樹脂エマルション(8)を使用した以外は実施例1と同様の方法で水性塗料を得、実施例1と同様の試験を行った。結果は表2に示す。
なお、合成樹脂エマルション(8)は、固形分51重量%であり、平均粒子径は120nmであった。
【0069】
(比較例3)
表1の合成例9に示す配合を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、合成樹脂エマルション(9)を得、合成樹脂エマルション(1)に代わりに合成樹脂エマルション(9)を使用した以外は実施例1と同様の方法で水性塗料を得、実施例1と同様の試験を行った。結果は表2に示す。
なお、合成樹脂エマルション(9)は、固形分51重量%であり、平均粒子径は125nmであった。
【0070】
(比較例4)
表1の合成例10に示す配合を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、合成樹脂エマルション(10)を得、合成樹脂エマルション(1)に代わりに合成樹脂エマルション(10)を使用した以外は実施例1と同様の方法で水性塗料を得、実施例1と同様の試験を行った。結果は表2に示す。
なお、合成樹脂エマルション(10)は、固形分51重量%であり、平均粒子径は125nmであった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エチレン性不飽和モノマーを含有する単量体成分、及び、(B)含窒素環基とアルコキシシリル基を有する化合物を混合し、重合して得られ、
(B)該含窒素環基とアルコキシシリル基を有する化合物が、
(B−1)ピペリジニル基とアルコキシシリル基を有する化合物であり、ピペリジニル基と反応性官能基を有する化合物と、アルコキシシリル基と該反応性官能基と反応可能な官能基を有する化合物とを反応させて得られる化合物、または、
(B−2)イミダゾリル基とアルコキシシリル基を有する化合物であり、イミダゾール化合物と、該化合物と反応可能な官能基及びアルコキシシリル基を有する化合物とを反応させて得られる化合物である、
ことを特徴とする合成樹脂エマルション。
【請求項2】
(A)エチレン性不飽和モノマーを含有する単量体成分100重量部に対し、(B)含窒素環基とアルコキシシリル基を有する化合物0.1重量部〜15重量部を混合し、重合して得られることを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂エマルション。
【請求項3】
請求項1または2に記載の合成樹脂エマルションをバインダーとして用いることを特徴とする水性塗料組成物。




【公開番号】特開2013−47345(P2013−47345A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−224912(P2012−224912)
【出願日】平成24年10月10日(2012.10.10)
【分割の表示】特願2007−30598(P2007−30598)の分割
【原出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(000180287)エスケー化研株式会社 (227)
【Fターム(参考)】