説明

合成樹脂サイディング用の備品取付部材

【課題】 表面に凹凸のあるサイディングを建物の壁面に使用した場合において、備品の取付けが容易で施工性に優れ、備品とサイディングとの間に生じた段差による前記不都合を解消でき、水密性に優れた施工後の見栄えのよい合成樹脂サイディング用の備品取付部材を提供する。
【解決手段】 本発明は、天板と側板が一体に形成されたサイディング用の備品取付部材であって、該備品取付部材の側板が、合成樹脂サイディングの外面に密着できる形状に形成されてなる。また、他の備品取付部材は、建物の施工面に取付けるベース材12と、このベース材に嵌着自在のカバー材13とからなり、ベース材12は、施工面取付板体14とカバー材取付板体15とが一体に形成され、カバー材13は、備品固定部材17とベース材取付板体18とが一体に形成されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物、構造物の外装材、特に外壁のリフォームに最適に用いられる合成樹脂サイディングに組み付ける備品取付部材に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂サイディング(以下、サイディングと略称する。)は、耐久性に優れ、塩害による錆や凍結融解によるひび割れもなく、また、目地にコーキングを必要とせず、撥水性、耐衝撃性に優れ、裏打ち材がなくても、軽量なため施工性も良好であることから、長寿命の建物外装化粧材として、新築もしくは既存壁のリフォームに使用されており、今後急激な伸びが期待されている。
【0003】
このようなサイディングは、その形状も杉板の下見板張りのようなクリップボード型やドイツ張りのダッチラップ型等があり、働き幅も200〜400mmまでと、色々なタイプが用意されおり、また、建築物の形状に合わせて、役物としてコーナーで使う出隅や入隅、開口部や軒天部で使う、いわゆるJチャンネルやトリム、廻り縁、さらには土台部にはスタータ等各種の部材が用意されている。
【特許文献1】特開2003−328537号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、サイディングの形状に合わせて、使う役物を選択しているのが現状である。特に、サイディング上に備品等を取付ける場合、サイディングの形状が平らであるとそのまま取付けることが可能であるが、クリップボード型やダッチラップ型のサイディングは、形状に凹凸があり、そのまま取付けるとサイディングの形状に応じて斜めになったり、備品とサイディングとの間に段差が付いたりしてしまい、この段差部からの雨水の浸入を防止するための処置を施さなければならなかった。
【0005】
そこで、従来は、開口部に合わせた役物を使用するか、本体に切り込みを入れてシーリングを施すなどしていたが、施工に手間が掛かることや防水性が悪いこと、さらには、備品に対して目立ちすぎてしまい、見栄え良く納まることが出来なかった。
また、サイディングを外壁のリフォームに使用する際、既存外壁に取付けてあった電灯、コンセント、ドアホン等の備品の上から、サイディングを施工しようとすると、備品とサイディングとの間に生じた段差から雨水が入り込んだり、剛性がなくなり撓んでしまったりする。
さらに、備品の廻りをJチャンネルや廻り縁で加工する場合には、施工に手間がかかり見栄えも良くない。
【0006】
本発明は、表面に凹凸のあるサイディングを建物の壁面に使用した場合において、備品の取付けが容易で施工性に優れ、備品とサイディングとの間に生じた段差による前記不都合を解消できる、水密性に優れた施工後の見栄えのよいサイディング用の備品取付部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るサイディング用の備品取付部材は、天板と側板が一体に形成されて、前記側板が、サイディングの外面に密着できる形状に形成されている。
また、本発明に係る他のサイディング用の備品取付部材は、建物の施工面に取付けるベース材と、該ベース材に嵌着自在のカバー材とからなり、前記ベース材は、施工面取付板体とカバー材取付板体が一体に形成され、前記カバー材は、備品固定部材とベース材取付板体が一体に形成されている。前記ベース材の前記施工面取付板体およびカバー材取付板体は、拡開閉止組立自在となっていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、サイディングを使用した建物の壁面に、コンセント等の各種備品の取付け、取外しが容易にできるだけでなく、水密性に優れ、かつ取付けた備品とサイディングとの一体感のある見栄えの良い取付けができるサイディング用の備品取付部材を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図に基づいて説明する。
図1は、本発明の請求項1に係るサイディング用の備品取付部材の一例を示す図であり、(a)は、平面斜視図であり、(b)は底面図である。また、図2は、図1の備品取付部材の使用状態を示す模式的な一部断面図である。
図1に示すように、本発明に係るサイディング用の備品取付部材1は、平板状の天板2とこの天板の周縁から下方に延びる側板3とが一体に成形された構成であり、天板2の上面にドアホン等の備品が取付けられるようになっている。
側板3は、本発明の備品取付部材1が取付けられるサイディング4の外表面に密着できるように、側板3の下端縁5が、サイディング4の外面形状に合致する形状に形成されている(図2参照)。
【0010】
天板2の裏面には、予め、備品の外形に合わせた切り溝6が設けられ、この切り溝6に沿って、カッターナイフ等で切り込むことにより、備品に合わせた形状の収容固定部が容易に形成できるようになっている。
本発明に係る備品取付部材1は、例えば、切り溝6を利用してあけたドアホン用の収納固定部を、図2に示すように、サイディング4に設けた開口を利用して、施工面に取付けたドアホン7に嵌めて固定することにより、側板3の下端縁5がサイディング4に密着し、水密性に優れた見栄えの良い備品の取付けが行なえる。
なお、図1では、本発明の備品取付部材1が、正方形のものを示したが、備品の形状に合わせ、円形、楕円形、多角形等の各種形状に形成してもよい。
【0011】
次に、本発明の請求項2に係るサイディング用の備品取付部材を図に基づき説明する。
図3は、本発明に係る備品取付部材の一例を示す模式的な斜視図であり、図4は、図3の備品取付部材の分解図であり、(a)はベース材の平面図であり、(b)はカバー材の底面図である。
また、図5は、本発明に係る備品取付部材のベース材の他の例を示す図面であり、(a)は拡開した状態の平面図であり、(b)は閉止した状態の平面図である。図6は、図5に示したベース材に嵌着するカバー材の底面図である。さらに、図7は、本発明に係る備品取付部材のさらに別の例を示す図面であり、(a)はカバー材の斜視図であり、(b)はベース材の斜視図である。
【0012】
本発明に係る備品取付部材は、図3に示すように、ベース材12と、このベース材12に嵌着自在に取付けられるカバー材13とから構成されている。
この備品取付部材11は、ベース材12を建物の施工面に取付け固定し、このベース材12にカバー材13を嵌着させた後、カバー材13の上面に備品を取付けるか、備品を取付けたカバー材13を、ベース材12に嵌着して建物に取付ける。
【0013】
ベース材12は、図4(a)に示すように、中央部が切り抜かれた枠状の施工面取付板体14とこの施工面取付板体14の切抜部10の全周縁から立上ったカバー材取付板体15とが一体に形成されており、施工面取付板体14を建物の施工面の所定位置に当接させ、施工面取付板体14に設けられた取付孔16を利用してネジ等でベース材12を固定する。
【0014】
カバー材13は、図4(b)に示すように、備品を取付け、固定するための平板状の備品固定部材17と、このカバー材13を建物の施工面に取付けたベース材12に嵌着自在に取付け、固定するためのベース材取付板体18とが一体に形成されている。
備品固定部材17は、中央に水道管などの管体若しくは電線等を通すための孔19が設けられており、建物から突出した管体等の備品に、この孔19を通して、カバー材13をベース材12に取付けることにより、収まりと水密性に優れた、見栄えの良い備品の設置が行な得る。
なお、図4(b)に示すように、備品固定部材17の裏面に、備品の外形に合わせた切断用の切り溝cを設けて、各種の備品の収容固定部を容易に形成できるようにするのが好ましい。
【0015】
また、ベース材12における、切抜部10を囲むように形成されたカバー材取付板体15には、切抜部10側の側面に係着溝aが設けられると共に、これに対応するカバー材13のベース材取付板体18の外側面には、係着溝aに係着できる係着爪bが設けられ、カバー材13のベース材取付板体18を、ベース材12のカバー材取付板体15の内側に摺動状に押し込むことにより、前記係着溝aに前記係着爪bが係着し、ベース材12にカバー材13が嵌着して取付けられる。
なお、図4では、ベース材12およびカバー材13は、いずれも矩形のものを示したが、取付ける備品に応じて各種形状に形成してもよい。
また、カバー材取付板体15に係着爪bを設け、ベース材取付板体18に係着溝aを設けるようにしてもよい。
【0016】
図5、図6は、本発明の請求項3に係る備品取付部材の例を示すものである。
この備品取付部材21は、図3に示した備品取付部材11と同様に、ベース材22と、このベース材22に嵌着自在に取付けられるカバー材23とから構成されているが、図3の備品取付部材11とは異なり、切抜部に代えて全面に底面20が設けられている。
【0017】
さらに、この底面20を囲むように形成された枠状のカバー材取付板体25の一辺の中央で、施工面取付板体24との接点部Aを残して、ベース材22は、接点部Aを通る等分線Bを境に二分割され、接点部Aを起点として、左右に拡開閉止して組立自在となっている。
施工面取付板体24の拡開閉止先端部分8は、拡開したベース材22を、閉止してベース材22に組み立てた際、互いに重なり合うように形成されており、また、施工面取付板体24には、ベース材22の拡開閉止が円滑に行なえるように、前記接点部Aから外方に向けてV字形に拡開する切欠9が設けられている。
【0018】
このような構成のベース材22は、特に、外壁のリフォームにサイディングを使用する際、既存外壁から突出した、例えば、水道管等の取外し困難な備品に、本発明の備品取付部材を適用する場合において、ベース材22を拡開させて[図5(a)]、水道管を挟むようにて、底面20に予め設けられた対応孔29に水道管を導き入れ、ベース材22を閉止して組み立てた後[図5(b)]、前記した施工面取付板体24の拡開閉止先端部分8の重なり合った部分の取付孔26に、上方から施工面に達するネジ止めを行なうことにより、施工面にベース材を強固に取付け固定することができる。
【0019】
この備品取付部材21のカバー材23は、備品固定部材27が、備品の側面形状に合わせた枠体状に形成され、ベース材22のカバー材取付板体25に、カバー材23のベース材取付板体28を合わせ、摺動状に押し込んで取付けると、備品の側面に枠体状の備品固定部材27がフィットして固定し、収まりと見栄えの良い取付けが行なえる。
【0020】
この備品取付部材21のベース材22とカバー材23との嵌着は、ベース材22のカバー材取付板体25に設けられた係止孔a'に、カバー材23のベース材取付板体28の前記係止孔a'に対応する位置に設けられた鉤状の係止爪b'を係着することにより行なわれる。
なお、係止孔a'と係止爪b'を入れ替えて取り付けるようにしてもよく、また、ベース材22の底面20に、備品の外形に合わせた切断用の
切り溝を設けるようにしてもよい。
この備品取付部材21は、カバー材23におけるベース材取付板体28のコーナ部の外側に平行に、ベース材22のカバー材取付板体25の厚みに相応する間隔をあけたガイド壁40を設けると、ベース材22へのカバー材23の取付ける際の位置合わせと嵌着が円滑に行えるので好ましい。
【0021】
図7(a)、(b)は、本発明の請求項2に係る備品取付部材の、さらに別の例を示している。
この備品取付部材31は、前記した備品取付部材11、21と同様に、ベース材32と、このベース材32に嵌着自在に取付けられるカバー材33とから構成されているが、備品取付部材11、21とは異なり、ベース材32のカバー材取付板体35の上縁に天板41が一体に形成されており、この天板41上に備品が取付けられるようになっている。
また、カバー材33の備品固定部材37は、前記天板41を密着状に囲む枠体状に形成されており、ベース材32とカバー材33との嵌着は、ベース材32のカバー材取付板体35の側面に設けられた突条部42を、カバー材33のベース材取付板体38の対応する切欠溝43に係着することにより行なわれる。
【0022】
前記したベース部材とカバー部材からなる本発明の備品取付部材は、いずれも、施工面に取付けたベース材にカバー材を嵌着した状態で、ベース材の施工面取付板体とカバー材の備品固定部材との間に、サイディングが挟持状に固定された状態になるので、備品取付部近傍でのサイディングの撓みやがたつきが生じることがない。
また、前記した本発明の請求項2に係るカバー部材13、23、33において、ベース材取付板体18,28,38とは別に、備品取付部材11、21、31の外周縁に沿って、請求項1に係る備品取付部材1と同じような側板を設け、この側板の下端縁を、サイディング4の断面形状に合致した形状に形成すると、水密性及び見栄えが一段と向上するので好ましい。
さらに、施工面取付体12、24、34にサイディングを切断する目印があると施工性が一段と向上する。
【0023】
本発明に用いられる合成樹脂は、塩化ビニル系樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂等が用いられる。
また、用途に応じて紫外線吸収剤、衝撃改質材、安定剤、着色剤等の添加剤を加えても良い。特に屋外での使用があるため紫外線吸収剤、衝撃改質材を添加することが良い。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明に係るサイディング用の備品取付部材は、サイディングに取付けられるあらゆる備品に応用できるので、今後大幅な伸びが期待されるサイディングの分野における産業上の利用可能性は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の請求項1に係るサイディング用の備品取付部材の一例を示す図であり、(a)は、平面斜視図であり、(b)は底面図である。
【図2】図1の備品取付部材の使用状態を示す模式的な一部断面図ある。
【図3】本発明に係る備品取付部材の一例を示す模式的な斜視図である。
【図4】図3の備品取付部材の分解図であり、(a)はベース材の平面図であり、(b)はカバー材の底面図である。
【図5】本発明に係る備品取付部材のベース材の他の例を示す図面であり、(a)は拡開した状態の平面図であり、(b)は閉止した状態の平面図である。
【図6】図5に示したベース材に嵌着するカバー材の底面図である。
【図7】本発明に係る備品取付部材のさらに別の例を示す図であり、(a)は、カバー材の斜視図であり、(b)はベース材の斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
1 備品取付部材
2 (備品取付部材の)天板
3 (備品取付部材の)側板
4 サイディング
5 (側板)の下端縁
6 切り溝
7 ドアホン
8 (施工面取付板体24の)拡開閉止先端部分
9 切欠
10 (施工面取付板体の)切抜部
11 備品取付部材
12 ベース材
13 カバー材
14 施工面取付板体
15 カバー材取付板体
16 (施工面取付板体に設けられた)取付孔
17 備品固定部材
18 ベース材取付板体
19 (備品用)孔
20 底面
21 備品取付部材
22 ベース材
23 カバー材
24 施工面取付板体
25 カバー材取付板体
26 取付孔
27 (枠体状の)備品固定部材
28 ベース材取付板体
29 (底面20に予め設けられた)対応孔
A 接点部
B 等分線
a 係着溝
b 係着爪
c 切り溝
a' 係止孔
b' 係止爪
31 備品取付部材
32 ベース材
33 カバー材
34 施工面取付板体
35 カバー材取付板体
37 (カバー材33の)備品固定部材
38 ベース材取付板体
40 ガイド壁
41 天板
42 突条部
43 切欠溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と側板が一体に形成された合成樹脂サイディング用の備品取付部材であって、該備品取付部材の側板が、合成樹脂サイディングの外面に密着できる形状に形成されてなる合成樹脂サイディング用の備品取付部材。
【請求項2】
合成樹脂サイディング用の備品取付部材であって、建物の施工面に取付けるベース材と、該ベース材に嵌着自在のカバー材とからなり、前記ベース材は、施工面取付板体とカバー材取付板体とが一体に形成され、前記カバー材は、備品固定部材とベース材取付板体とが一体に形成されてなることを特徴とする合成樹脂サイディング用の備品取付部材。
【請求項3】
前記ベース材の前記施工面取付板体およびカバー材取付板体が、拡開閉止組立自在となっている、請求項2に記載の合成樹脂サイディング用の備品取付部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−132093(P2006−132093A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−319140(P2004−319140)
【出願日】平成16年11月2日(2004.11.2)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】