説明

合成樹脂多層フィルム及びこれを用いた袋

【課題】内表面或いは外表面に帯電防止成分がブリードアウトしないように帯電防止機能を有する材料を混入し、当該多層フィルムによる袋やフィルムの収納物や被包装物に帯電防止成分の移行による悪影響を与えずに長期にわたって帯電防止効果が生じる多層フィルム及びこれを用いた袋。
【解決手段】多層フィルム1は中間層1、内層3及び外層4から成り、中間層2は帯電防止機能を有する材料が付加されてその抵抗値を10〜1011Ωとしている。また、外層3及び内層4は、帯電防止機能を有する材料を添加せず、夫々の表面抵抗値を1014Ω以上とし、前記中間層2の厚さは前記外層3及び内層4の厚さ以上とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、インフレーション製造方法の過程で多層フィルムに帯電防止機能を加えて各々の層に、目的に合った帯電防止策を施した合成樹脂多層フィルム及びこれを用いた袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の帯電防止フィルムは、インフレーション製造方法において樹脂の中に帯電防止機能を有する材料を練り込む方法、または、フィルム成形後に表面に帯電防止剤をコーティングして静電気対策を施してきた。
【0003】
しかしながら、前記練り込み法の場合は、帯電防止剤成分がフィルムの表面にブリードアウトするため、当該フィルムを袋や包装材として使用する場合、収納物や被包装材に帯電防止成分が移行してしまい、汚染の問題が生じるおそれがあった。また、帯電防止成分の量が経時変化で減っていくため帯電防止効果が弱まっていく問題があった。また、表面塗布の場合は、フィルムの外表面のみの塗布となっているため、そのフィルムの厚さが厚いと前記袋の収納物や被包装材とフィルム内側との接触摩擦による静電気の除電されるスピードが遅くなっていく(電荷減衰時間が長くなる)ため、静電気的なトラブル(ESD)の原因となっていた。
【0004】
また、特許文献1に示すように、薬剤等の処理を施さない一面に、帯電防止剤を含む薄い濃度の水溶液又は水分散剤で、テープまたはフィルムの表面張力以下にしたものをエアロゾルにしてこれを付着させて成る、400μm以下の帯電防止剤の連続した極薄膜を形成したテープ又はフィルムがある。このテープ又はフィルムは、帯電防止の膜を有しない面を摩擦しても静電気の発生は生じないとしている。
【0005】
しかしながら、このテープ又はフィルムは、磁気テープ、写真フィルム、粘着テープ等のベースフィルム又はテープの厚さのものに関するもので、帯電防止の膜を有しない面での帯電防止効果を測定したデータも被測定物のベースフィルムの厚さは23μmである。この様に、極めて薄い厚さのフィルム又はテープでないと上記効果が生じない。
【0006】
【特許文献1】実公昭61−26337号実用新案公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明はこの様な厚さに限定されず、内表面或いは外表面に帯電防止成分がブリードアウトしないように帯電防止機能を有する材料を混入し、当該多層フィルムによる袋やフィルムの収納物や被包装物に帯電防止成分の移行による悪影響を与えずに長期にわたって帯電防止効果が生じる多層フィルム及びこれを用いた袋を提供し、上記課題を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、請求項1の発明は、インフレーション法によって製造された三層フィルムにおいて、中間層は帯電防止機能を有する材料が付加されてその抵抗値を10〜1012Ωとし、外層及び内層は、夫々の表面抵抗値を1014Ω以上とし、前記中間層の厚さは前記外層及び内層の厚さ以上とした、帯電防止機能を有する合成樹脂多層フィルムとした。
【0009】
請求項2の発明は、インフレーション法によって製造された三層フィルムにおいて、中間層は帯電防止機能を有する材料が付加されてその抵抗値を10〜1012Ωとし、外層は帯電防止機能を有する材料が付加されてその表面抵抗値を1012〜1014Ωとしかつ当該表面抵抗値は前記中間層の抵抗値より大きい値とし、内層は表面抵抗値を1014Ω以上とし、前記中間層の厚さは前記外層及び内層の厚さ以上とした、帯電防止機能を有する合成樹脂多層フィルムとした。
【0010】
請求項3の発明は、インフレーション法によって製造された三層フィルムにおいて、中間層は帯電防止機能を有する材料が付加されてその抵抗値を10〜1012Ωとし、内層は帯電防止機能を有する材料が付加されてその表面抵抗値を1012〜1014Ωとしかつ当該表面抵抗値は前記中間層の抵抗値より大きい値とし、外層は表面抵抗値を1014Ω以上とし、前記中間層の厚さは前記外層及び内層の厚さ以上とした、帯電防止機能を有する合成樹脂多層フィルムとした。
【0011】
請求項4の発明は、インフレーション法によって製造された三層フィルムにおいて、中間層は帯電防止機能を有する材料が付加されてその抵抗値を10〜1012Ωとし、外層及び内層は帯電防止機能を有する材料が付加されてその表面抵抗値を1012〜1014Ωとしかつ当該抵抗値は前記中間層の抵抗値より大きい値とし、前記中間層の厚さは前記外層及び内層の厚さ以上とした、帯電防止機能を有する合成樹脂多層フィルムとした。
【0012】
請求項5の発明は、前記中間層に混入する帯電防止機能を有する材料に電子伝導剤を0.1〜15部添加して当該中間層の抵抗値を10〜1011Ωとした、請求項1、2、3又は4のいずれかに記載の帯電防止機能を有する合成樹脂多層フィルムとした。
【0013】
請求項6の発明は、前記外層の表面に帯電防止機能を有する材料を塗布して表面抵抗値10〜1011Ωの帯電防止膜を形成し、かつ当該表面抵抗値が前記中間層の抵抗値以下の値である、請求項1、2、3、4又は5のいずれかに記載の帯電防止機能を有する合成樹脂多層フィルムとした。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1、2、3、4、5又は6のいずれかに記載の多層フィルムの内層を内側にした合成樹脂袋とした。
【0015】
請求項8の発明は、請求項1,2、3、4、5、6、又は7のいずれかの多層フィルムの製造方法において、ダイスより押し出されたチューブ状フィルムのフロストライン以前の溶融状態のチューブ外周に熱伝導性のよいロール状回転金型の凸部表面を接触させ、その接触箇所が吸熱温度差によって固化し、厚さ、透明性に変化をもたらせ、前記回転金型を回転自在に支持した台座ごとチューブ状フィルムの外周を水平方向に回転させることにより、当該チューブ状フィルムの内外に任意形状の斜めの凸模様をつけた多層フィルム又はこれを用いた袋とした。なお、前記水平方向への回転は、連続回転、回転反転の繰り返し及び断続回転を含むものである。
【発明の効果】
【0016】
一般にフィルムの帯電層は静電気が発生したフィルムの表面から7μm前後として知られている。従って、この発明の内層及び外層も7μm以下が好ましい。しかし、製造上は10数μm以上になってしまう。請求項1の発明では、中間層に帯電防止機能を有する材料を混入してその抵抗値を10〜1012Ωとして当該中間層の作用が、前記7μm以上の厚さの内層又は外層であってもこれらの内層又は外層に生じた帯電層に、充分に働くようにすることによってフィルムの表面に発生した静電気(電気力線)を瞬時に内側に向け、中間層でジュール熱に変換されて消去する。そのため、当該多層フィルムで包んだ被包装物等を汚染することなく当該フィルムで包んだ内部を無電界空間にすることができる。また、帯電防止機能を有する材料を混入した中間層は、帯電防止機能を有する材料を混入していない、すなわち、抵抗値が1014Ω以上の内層及び外層に覆われているため経時変化も起こらず、湿度による影響も受けない。また、内部で発生した静電気が金属膜(蒸着、ラミネート)により放電し、電磁波として反射し、被包装物のIC部品等を破壊するおそれのある従来のものと異なり、静電放電(ESD)の起き難い構成となっている。また、内層及び外層は帯電防止機能を有する材料を混入していないため、帯電防止成分がフィルム表面にブリードアウトして、当該フィルム表面の接触物に帯電防止成分が移行することもない。この様にこの発明は、フィルムの厚さを従来例のものに限定しない。
【0017】
また、請求項2の発明によれば、外層に帯電防止機能を有する材料が付加されてその表面抵抗値を1012〜1014Ωとして、外層に生じた帯電層を小さくしているため、フィルムの外側の静電気を外層を介して中間層により集め易い。しかも外層の表面抵抗値を1012〜1014Ωとして帯電防止効果は弱いが帯電防止剤が表面にブリードアウトしない程度の混入量としている(帯電防止剤がブリードアウトしない限界は表面抵抗値1012Ωである)。また、請求項3の発明では、内層に帯電防止機能有する材料が付加されてその表面抵抗値を1012〜1014Ωとして内層に生じた帯電層を小さくしているため、フィルムの内側に生じた静電気を当該内層を介して中間層に誘導する力を強めている。しかも、内層の表面抵抗値を1012〜1014Ωとして帯電防止効果は弱いが帯電防止剤が表面にブリードアウトしない程度の混入量とし、当該フィルムとの接触物への帯電防止成分が移行しないようにしている。
【0018】
請求項4の発明は、上記請求項2及び3の発明の効果を合わせ持っている。即ち、フィルムの内側面及び外側面で生じた静電気であっても、確実に中間層に誘導され、消去される効果を有する。また、請求項5の発明においては、中間層に電子伝導剤を添加し、より抵抗値を下げているため、より確実に中間層で静電気が消去される。その上、外部からの電磁波の侵入を防止するシールド性を高めている。
【0019】
請求項6の発明では、当該フィルムの外層の表面に帯電防止機能を有する材料を塗布して表面抵抗値10〜1011Ωの帯電防止膜を形成し、かつ当該表面抵抗値が、前記中間層の抵抗値以下の値としているため、前記中間層に集めた電荷を抵抗値の同じか又はより低い表面の帯電防止膜に集め、そこで、消去されるため、消去スピードが早く、静電除去がより確実である。また、請求項7の発明は、前記多層フィルムの内層を内側にした袋であるため、内部に収納した収納物の表面の静電気は、上述のように多層フィルムの中間層又は外表面の帯電防止層で消去されると共に、内層から帯電防止成分がブリードアウトしないため、汚染される恐れがなく、袋内部を無電界空間にすることができる。
【0020】
さらにまた、請求項8の発明の多層フィルムの場合、フィルムの内外面に凸模様があるため、静電気が凸模様に集中され、同時に抵抗値の低い中間層に誘導されて、その電荷はジュール熱として変換され、消去される。また、多層フィルムの外表面に帯電防止膜を有する場合、当該フィルムが他物と接触しても凸模様の部分は膜がはがれても、凸模様と凸模様の間の膜は接触しにくく、膜は耐久性がある。また、当該多層フィルムで袋を作った場合、袋の両側のフィルムは相互の凸模様により、フラットな面が重合しにくく、間隙ができ、袋の開口時に発生する剥離帯電も生じにくい。従って、開口性が良い。その他は多層フィルムと同様である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
この発明の多層フィルムは、外層、中間層、内層はポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、ローデンシティポリエチレン、リニアローデンシティポリエチレン、ナイロン、ABS樹脂、ポリビニールアルコール等の熱可塑性樹脂が使用できるが、中間層には分散性の良い樹脂であるポリエチレンオキサイドも添加して電気的特性を高め、帯電防止機能を有する材料を混入した際、安定してその効果を保持することが出来る。
【0022】
また、この発明に使用する帯電防止機能を有する材料としては、従来公知の帯電防止剤から成るものでよく、この様な帯電防止剤としては、例えば、4級アンモニウム塩を有する化合物、アルキルピリジウム塩を有する化合物、スルホン酸塩を有する化合物などのカチオン系又はアニオン系界面活性剤やアルキレンオキサイド単独重合体、アルキレンオキサイド共重合体、脂肪族アルコール・アルキレンオキサイド付加物、長鎖脂肪族置換フェノール・アルキレンオキサイド付加重合物、多価アルコール脂肪族エステルなどのノニオン系界面活性剤、或いは両性界面活性剤、さらには、金属或いはその酸化物の微細物(粉末、繊維)、イオン電導剤などが含まれる。
さらに、電子伝導剤としては、金、銀、銅、亜鉛、錫、アルミ、ニッケル、アンチモン等の金属類、金属酸化物、導電性カーボン、カーボンナノチューブ及びフラーレンの粉末、針状、繊維状の物を含む。
また、前記帯電防止剤に加え、顔料を加えて、フィルムを着色する場合が多い。そしてこの顔料を含めて帯電防止剤の量をフィルムの樹脂に対し、0.25%添加すると、当該樹脂の抵抗値は1011Ωとなり、0.3%添加では同抵抗値は10Ωとなり、1%添加では同抵抗値は10Ωとなり、3%添加では同抵抗値は10Ωとなり、さらにこれに電子伝導材を入れると10Ωとなる。この様に樹脂に対する帯電防止材の混入割合により樹脂フィルムの抵抗値をコントロールすることができる。
【実施例1】
【0023】
以下この発明の実施例を図について説明する。
図1はこの発明の多層フィルム1を示し、中間層2は厚さ50μmのリニアローデンシティポリエチレンから成り、帯電防止機能を有する材料が付加されてその抵抗値を10Ωとしている。また、外層3及び内層4は、厚さ15μmのローデンシティポリエチレンから成り、帯電防止機能を有する材料を添加せず、夫々の表面抵抗値を1014Ω以上とし、前記中間層2の厚さを前記外層3及び内層4の厚さ以上とした。
【0024】
上記中間層2は以下のようにして作る。
前記帯電防止機能を有する材料(練込み剤)として、
1.ポリアルキレングリコール誘導体 30〜50%
2.ポリエチレングリコール 5〜20%
3.着色剤(顔料、染料) 30〜60%
としA剤を作る。
次に、このA剤を3%と中間層2の材質と同じリニアローデンシティポリエチレンを97%で混合してマスターバッチペレットを作る。そして、当該マスターバッチペレットと中間層2の割合を1:9として中間層2の原料を作る。そして、この原料を一つの押出機に入れ、また、内層3及び外層4のローデンシティポリエチレンを他の二つの押出機に入れて後述のインフレーション法によりフィルムを製造する。これにより、当該中間層2はA剤が0.3%となり、その抵抗値は10Ωとなる。
なお、これらの中間層2の材質及び厚さ、内層3及び外層4の材質及び厚さは、以下の実施例でも同じである。
【0025】
これにより、内層3又は外層4において静電気が発生しても、中間層2が帯電防止機能を付加され、内層3及び外層4より抵抗値が低いため、当該静電気の電気力線は抵抗値の低い方に引っ張られ、電荷は中間層2に集まり、当該中間層2でジュール熱に変換されて消去される。また、図2に示すように、当該多層フィルム1の外層3の表面に帯電防止機能を有する材料を塗布して表面抵抗値10〜1011Ωの帯電防止膜5を形成したものは、前記内層3の表面に発生した静電気の電荷は前記中間層2に移行し、さらに、帯電防止膜5に集まり、そこで消去される。
【実施例2】
【0026】
図3はこの発明の実施例2の多層フィルム1を示し、中間層2及び内層3は実施例1と同じであるが、外層4´は帯電防止機能を有する材料が付加されてその表面抵抗値を1012Ωとしたものである。
この実施例2の場合は上記A剤を2%と外層4´の材質と同じローデンシティポリエチレンを98%で混合してマスターバッチペレットを作る。そして、当該マスターバッチペレットと外層34´の割合を1:9として外層4´の原料を作る。
【0027】
この外層4´は帯電防止機能を有する材料を付加しているが、抵抗値を1012Ωとして、練り込み量を少なくしているため、帯電防止成分が外層4´の表面にブリードアウトすることはない。この外層4´は静電気の電荷を中間層2に誘導する役目を果たす。これにより、より確実に静電気の電荷を中間層2に集めることが出来る。
【実施例3】
【0028】
図4はこの発明の実施例3の多層フィルム1を示し、中間層2及び外層4は実施例1と同じであるが、内層3´は帯電防止機能を有する材料が付加されてその表面抵抗値を1012Ωとしたものである。この内層3´の製造は上記外層4´と同様である。この内層3´は帯電防止機能を有する材料を付加しているが、抵抗値を1012Ωとして、練り込み量を少なくしているため、帯電防止成分が内層3´の表面にブリードアウトすることはない。この内層3´は静電気の電荷を中間層2に誘導する役目を果たす。これにより、より確実に静電気の電荷を中間層2に集めることが出来る。
【実施例4】
【0029】
図5は、この発明の実施例4の多層フィルム1を示し、中間層2は実施例1と同じであるが、内層3´及び外層4´は帯電防止機能を有する材料が付加されて夫々の表面抵抗値を1012Ωとしたものである。この内層3´及び外層4´は帯電防止機能を有する材料を付加しているが、表面抵抗値を1012Ωとして、練り込み量を少なくしているため、帯電防止成分が内層3´又は外層4´の表面にブリードアウトすることはない。この内層3´又は外層4´は静電気の電荷を中間層2に誘導する役目を果たす。これにより、より確実に内層3´又は外層4´の表面に生じた静電気の電荷を中間層2に集めることが出来る。
【0030】
なお、図6乃至図8は夫々実施例2、実施例3及び実施例4の多層フィルム1の外層4又は外層4´の表面に、帯電防止機能を有する材料を塗布して表面抵抗値10〜1011Ωの帯電防止膜5を形成したものである。これらは、前記内層3又は内層3´の表面に発生した静電気の電荷は前記中間層2に移行し、さらに、抵抗値が前記中間層2と同じかより小さい帯電防止膜5に集まり、そこで消去される。
【実施例5】
【0031】
図9はこの発明の実施例5の多層フィルム1を示す。内層3及び外層4は実施例1と同じであるが、中間層2が異なる。中間層2´は多層からなり、水蒸気バリアー層2a及び酸素バリアー層2bを含み、他の層に帯電防止機能を有する材料を混入し、抵抗値を10〜1012Ωとしている。この多層フィルムは上記効果を有する他に、水蒸気を遮断したり、酸素を遮断したりする。この実施例5においても、内層3及び/又は外層4に帯電防止機能を有する材料を添加したり、外層4の表面に前記帯電防止膜5を形成しても良い。この場合の中間層2厚さは50μmとした。
【0032】
これらの多層フィルムはインフレーション製造により容易に製造できる。即ち、中間層2、内層3及び外層4の原料を、図10に示すように、別々の押出機10a、10b、10cから一つのダイス11の中に押し出し、当該ダイス11から三層のチューブを一体に押し出すことにより製造することが出来る。
【0033】
図10はさらに、この三層から成る多層フィルム1に斜めの凸模様を形成したものを製造する方法を示す。ダイス11から押し出されたチューブ状フィルム1aの外周であって、フロストライン以前の溶融状態のチューブ外周に、熱伝導性のよいロール状回転金型12の凸部表面を接触させる(図10及び12図参照)。これにより、チューブ状フィルム1aの接触箇所は、その吸熱温度差によって固化し、また、接触しない箇所は延伸され、これらの接触、非接触箇所が厚さ、透明性に変化をもたらせる。そして、この回転金型12は、図11に示すように、チューブ状フィルム1aの外周に沿って多数設けられており、夫々回転自在に台座13に支持されている。また、この台座13は環状枠体14に回転自在に支持され、駆動装置15により回転前記回転金型12を固定した台座13ごと、チューブ状フィルム1aの外周を水平方向に、回転させることにより、図13に示すように、当該チューブ状フィルム1aの内外に任意形状の斜めの凸模様1bを形成する。
【0034】
図14は、この様にして、内外に斜めの凸模様1bを形成したチューブ状フィルム1aの下端をシールして袋16にしたものであり、斜めの凸模様1bは、袋の両側面で反対の傾斜を形成することなり、袋16の内側面は相互に反対方向の傾斜した凸模様1b相互が接触し、凸模様1bのないフラットな面がぴったり重なったりしない。それ故、袋の開口性がよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明の実施例1の多層フィルムの概略断面図である。
【図2】この発明の実施例1の多層フィルムの他の使用例の概略断面図である。
【図3】この発明の実施例2の多層フィルムの概略断面図である。
【図4】この発明の実施例3の多層フィルムの概略断面図である。
【図5】この発明の実施例4の多層フィルムの概略断面図である。
【図6】この発明の実施例2の多層フィルムの他の使用例の概略断面図である。
【図7】この発明の実施例3の多層フィルムの他の使用例の概略断面図である。
【図8】この発明の実施例4の多層フィルムの他の使用例の概略断面図である。
【図9】この発明の実施例5の多層フィルムの概略断面図である。
【図10】この発明の各実施例の多層フィルムに斜めの凸模様を形成させるための装置を示す概略一部断面側面図である。
【図11】この発明の各実施例の多層フィルムに斜めの凸模様を形成させるための装置を示す概略横断面平面図である。
【図12】この発明の各実施例の多層フィルムに斜めの凸模様を形成させるための装置の要部拡大横断面平面図である。
【図13】この発明の各実施例の多層フィルムに斜めの凸模様を形成させた拡大断面図である。
【図14】この発明の各実施例の多層フィルムに斜めの凸模様を形成させたものにより製造した袋の側面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 多層フィルム 2 中間層
3 内層 3´ 内層
4 外層 4´ 外層
5 帯電防止膜
1a チューブ状フィルム 1b 凸模様
10a 押出機 10b 押出機
10c 押出機 11 ダイス
12 回転金型 13 台座
14 環状枠体 15 駆動装置
16 袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インフレーション法によって製造された三層フィルムにおいて、
中間層は帯電防止機能を有する材料が付加されてその抵抗値を10〜1012Ωとし、
外層及び内層は、夫々の表面抵抗値を1014Ω以上とし、
前記中間層の厚さは前記外層及び内層の厚さ以上とした
ことを特徴とする、帯電防止機能を有する合成樹脂多層フィルム。
【請求項2】
インフレーション法によって製造された三層フィルムにおいて、
中間層は帯電防止機能を有する材料が付加されてその抵抗値を10〜1012Ωとし、
外層は帯電防止機能を有する材料が付加されてその表面抵抗値を1012〜1014Ωとしかつ当該表面抵抗値は前記中間層の抵抗値より大きい値とし、
内層は表面抵抗値を1014Ω以上とし、
前記中間層の厚さは前記外層及び内層の厚さ以上とした
ことを特徴とする、帯電防止機能を有する合成樹脂多層フィルム。
【請求項3】
インフレーション法によって製造された三層フィルムにおいて、
中間層は帯電防止機能を有する材料が付加されてその抵抗値を10〜1012Ωとし、
内層は帯電防止機能を有する材料が付加されてその表面抵抗値を1012〜1014Ωとしかつ当該抵抗値は前記中間層の抵抗値より大きい値とし、
外層は表面抵抗値を1014Ω以上とし、
前記中間層の厚さは前記外層及び内層の厚さ以上とした
ことを特徴とする、帯電防止機能を有する合成樹脂多層フィルム。
【請求項4】
インフレーション法によって製造された三層フィルムにおいて、
中間層は帯電防止機能を有する材料が付加されてその抵抗値を10〜1012Ωとし、
外層及び内層は帯電防止機能を有する材料が付加されてその表面抵抗値を1012〜1014Ωとしかつ当該表面抵抗値は前記中間層の抵抗値より大きい値とし、
前記中間層の厚さは前記外層及び内層の厚さ以上とした
ことを特徴とする、帯電防止機能を有する合成樹脂多層フィルム。
【請求項5】
前記中間層に混入する帯電防止機能を有する材料に電子伝導剤を0.1〜15部添加して当該中間層の抵抗値を10〜1011Ωとしたことを特徴とする、請求項1、2、3又は4のいずれかに記載の帯電防止機能を有する合成樹脂多層フィルム。
【請求項6】
前記外層の表面に帯電防止機能を有する材料を塗布して表面抵抗値10〜1011Ωの帯電防止膜を形成し、かつ当該表面抵抗値が前記中間層の抵抗値以下の値であることを特徴とする、請求項1、2、3、4又は5のいずれかに記載の帯電防止機能を有する合成樹脂多層フィルム。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5又は6のいずれかに記載の多層フィルムの内層を内側にしたことを特徴とする、合成樹脂袋。
【請求項8】
請求項1,2、3、4、5、6、又は7のいずれかの多層フィルムの製造方法において、ダイスより押し出されたチューブ状フィルムのフロストライン以前の溶融状態のチューブ外周に熱伝導性のよいロール状回転金型の凸部表面を接触させ、その接触箇所が吸熱温度差によって固化し、厚さに変化をもたらせ、前記回転金型を回転自在に支持した台座ごとチューブ状フィルムの外周を水平方向に回転させることにより、当該チューブ状フィルムの内外に斜めの凸模様をつけたことを特徴とする、多層フィルム又はこれを用いた袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−36392(P2010−36392A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−199693(P2008−199693)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【出願人】(508234729)理究株式会社 (8)
【Fターム(参考)】