説明

合成樹脂成形体

【課題】 視野の明るさを保ちつつ眩しさを抑える一方、鮮明な色感が得られる光線透過フィルターに適する合成樹脂成形体の提供。
【解決手段】 標準比視感度曲線の中心波長近傍に極大吸収値を有する有機色素と共に紫外線吸収剤および青色光吸収剤を含有し、550〜585nmの波長範囲に透過率曲線の極小値を有し、該極小値での透過率が25%以下、590〜660nmの波長範囲における平均透過率が15%以上、かつ、470〜550nmの波長範囲における平均透過率が10%以上である合成樹脂成形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視野の明るさを維持しつつ、光線の眩しさを緩和し、かつ鮮明な色感が得られる光線透過フィルター用に適する合成樹脂成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、パソコン、ワープロなどのCRT画面からは紫外線その他眼に何らかの影響を及ぼす可能性のある光線が発生する。この対策として、画面の前面にフィルターが使用されている。このフィルターとしては、通常、画面からの反射光防止作用を有するものがある。また、紫外線遮光の機能を有するものや、画面の眩しさを抑えるため光線透過率を抑えているものもあるが、この機能は、太陽光線の透過を調整するために使用される一般的なサングラスの機能と共通する。一般的なサングラスでは、眩しさを抑えるために標準比視感度曲線(図2)の中心波長近傍の透過率を抑えることを目的として作られている。しかしながら、一般のサングラスでは図3のように他の波長部分の透過率も抑えられている。このため、薄暮等の光線量が少ない環境下でサングラスを使用したとき、視野が全般的に暗くなり、外界の物体を視認するのに支障を来す場合がある。すなわち、眩しさを抑えようとした結果、全体の透過光線量が減り過ぎ、対象物を十分視認できない状態となる場合がある。
【0003】
全般的な明るさを維持しながらも標準比視感度曲線の中心波長近傍の透過率を抑えて防眩効果を発揮するサングラスとしては、ガラスにネオジムやジジムを含有させて590nm付近の光線を吸収させるサングラスが知られている。しかしながら、取扱い易さという観点からすれば、素材としては、ガラスよりはプラスチック等の合成樹脂、特に、耐衝撃性の高いポリカーボネートが望ましい。しかるに、プラスチック、特に、ポリカーボネート製でかかる要望を満たすものは存在しなかった。視感度のよい550〜600nmの光を幅広く吸収する眼鏡用レンズが特公昭53−39910に開示されているが、該眼鏡用レンズではジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)を素材として使用しており、これをポリカーボネートにすると染色困難とされている。また、該眼鏡用レンズは550〜650nm付近(黄色〜橙色)で緩やかに透過率が低くなるものであり、防眩効果を高める目的で黄色光の透過率を低くすると、これに伴って橙色光の透過率も低下し、色バランスを悪くするおそれがある。
【0004】
CRT用のフィルターの場合も同様のことが言えるのであって、前記したような、黄色〜橙色域で緩やかに透過率が低くなるような眼鏡用レンズと同等の構成でCRT用フィルターを製作し、これを使用した場合、CRT画面が今日のテレビゲームのように多彩なカラー動画面であるときは全体の透過光線量が減り過ぎて色彩の区別がつき難くなり、対象画面を十分視認できない状態となる場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、視野の明るさを保ちつつ眩しさを抑える一方、鮮明な色感が得られる光線透過フィルターに適する合成樹脂成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、光線の一定の波長域についての光線透過率等を抑制することにより前記の課題を解決できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明は、標準比視感度曲線の中心波長近傍に極大吸収値を有する有機色素と共に紫外線吸収剤および青色光吸収剤を含有し、550〜585nmの波長範囲に透過率曲線の極小値を有し、該極小値での透過率が25%以下、590〜660nmの波長範囲における平均透過率が15%以上、かつ、470〜550nmの波長範囲における平均透過率が10%以上である合成樹脂成形体を提供する。該合成樹脂成形体は、赤外線吸収もしくは反射剤を含有していてもよい。
【0008】
本発明は、さらに、カラー像を表示する装置、例えばCRT表示装置等の電子ディスプレイ装置の部分として、もしくはカラー像の観察用設備の部分として使用される、または該装置もしくは該設備に組み付けて使用される光線透過フィルター用である上記構成の合成樹脂成形体をも提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の合成樹脂成形体は、眼に有害な紫外線、青色光、必要により赤外線を阻止できるとともに、CRT、液晶ディスプレイ等の、カラー像を表示する装置の光線透過フィルターとしては可視光線の眩しさを軽減し、色バランスと色コントラストを良くし、かつ、輪郭をはっきりと見せ、また、眼に対する刺激の強い黄色光を減光して疲労を和らげることができる等、広範な用途に耐えるものである。例えば、前記のほか、交通機関の日除けシートや窓ガラスに使用しても景色を鮮明に見ることができ、また、信号機の青、黄、赤の識別、自動車のブレーキランプの識別もし易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本明細書中において、標準比視感度曲線の中心波長とは、およそ555nmを指し、標準比視感度曲線の中心波長近傍とは、概ね530〜585nmの波長域を指す。また、標準比視感度曲線の中心波長近傍に極大吸収値を有する有機色素としては、式(I):
【化1】


(式中、mおよびnは、同一または異なって1〜4の整数を表す)で表されるスクアリリウム化合物[以下、式(I)で表される化合物を化合物(I)という。他の式番号の化合物についても同様である]が好適である。
【0011】
光線吸収用の色素として従来ガラスに使用されたことのあるネオジムやジジムは、無機材料であるため、高温で熔融して作るガラスレンズにおいては金属イオンの形で含有させることができるが、合成樹脂に練り込んだ場合、樹脂に熔融しないため十分に分散させることができず、合成樹脂には使用できなかった。本発明では、前記スクアリリウム化合物が合成樹脂に熔融し、かつ、これを光線吸収剤として使用することにより光線の眩しさを抑えることができるようになったのである。眩しさを抑える目的のためには、理想的には555nmに最大吸収値を有するものがよいが、必ずしもそうである必要はなく、吸収ピークが555nm近傍であれば吸収ピークが幅を持つため標準比視感度曲線の中心波長近傍をかなりよく吸収し、実用上は問題なく眩しさを抑えることができる。
【0012】
上記のスクアリリウム化合物自体は公知であり、例えばAngew. Chem. Internat. Edit., 7, 530-535(1968) 、Liebigs Ann. Chem., 712, 123(1968)等に記載の方法あるいはそれらに準じて製造することができる。
【0013】
紫外線吸収剤としては、城北化学(株)製のJF−86、シブロ化成(株)のシーソーブ705等を使用できる。
【0014】
青色光吸収剤としては、日本化薬(株)製のカヤセットイエローA−G、三井東圧染料(株)製のPSオレンジGG等を使用できる。
【0015】
赤外線吸収もしくは反射剤としては、日本化薬(株)製のIR750、大日本インキ化学工業(株)製のIRアディティブ200等を使用できる。
【0016】
合成樹脂成形体の基材となる合成樹脂原料としては、その卓越した耐衝撃性からしてポリカーボネートが最適であり、その他、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、CR−39(米国PPGインダストリーズ社)またはセルロースアセテート、セルロースプロピオネート等の繊維素系プラスチック等を使用することもできる。
【0017】
カラー像を表示する装置の例としては、電子ディスプレイ装置が挙げられる。本発明でいう電子ディスプレイ装置には、ブラウン管(CRT:cathode ray tube)、蛍光表示管(VFD:vacuum fluorescent display)、電界発光パネル(ELP:electroluminescent panel)、発光ダイオード(LED:light emitting diode)、プラズマパネル(PDP:plasma display panel)、発熱電球(ICL:incandescent lamp)、レーザーディスプレイ等の発光型電子ディスプレイ装置、および液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)、エレクトロクロミックディスプレイ(ECD:electrochromic diaplay)等の非発光型電子ディスプレイ装置が含まれる。かかる電子ディスプレイ装置の表示方式としては、ブラウン管のような直視(direct view)形、投射型液晶ディスプレイのような投射(projection)形(フロントプロジェクション形とリアプロジェクション形がある)、ホログラフィーで代表されるオフスクリーン形がある。前記電子ディスプレイ装置のカラー像の光線透過フィルターとして本発明の合成樹脂成形体を使用した場合、効果が比較的良く表れる。該カラー像がゲームのような動きの激しい動画像であるときは、さらに良く効果を認めることができる。なお、本発明でいう電子ディスプレイ装置には、交通信号機および自動車のバックライトも含まれる。
また、本発明でいうカラー像の観察用設備には、展望台および観光バスの眺望用窓が含まれる。
【0018】
550〜585nmの波長範囲に透過率曲線の極小値を有し、該極小値での透過率を25%以下とするのは、可視光線のうち最も眩しさを感じさせる波長域の光線透過率を抑えることを目的としており、好ましいのは、極小値での透過率を20%以下とすることであり、さらに好ましいのは、極小値での透過率を15%以下とすることである。
【0019】
590〜660nmの波長範囲における平均透過率を15%以上とするのは、橙色光の透過率を維持するためであり、好ましくは、20%以上とする。さらに、590〜660nmの波長範囲に透過率曲線の極大値を有し、該極大値での透過率を30%以上とするのが好ましく、なかでも特に好ましいのは、極大値での透過率を35%以上とすることである。この目的は、合成樹脂原料に標準比視感度曲線の中心波長近傍に極大吸収値を有する有機色素、紫外線吸収剤および青色光吸収剤に加えて赤外線吸収もしくは反射剤を含有させることにより効果的に達成することができる。これにより、橙色光の透過率を高い水準に維持する一方、赤色光が過剰に透過することを防止し、全透過光の色バランスを適切なものとすることができる。
【0020】
470〜550nmの波長範囲における平均透過率を10%以上とするのは、透過光の色バランスと視野の明るさを確保するためである。とりわけ、470〜550nmの波長範囲のいずれの波長においても透過率を15%以上とすることが好ましく、特に好ましいのは、20%以上とすることである。
【0021】
なお、400〜450nmの波長範囲での光線透過率は、青色光吸収剤によって実質的に0となるのが好ましい。
【0022】
上記したそれぞれの透過率などの限定により、合成樹脂成形体が透過光線フィルターとして使用されたとき、単に眩しさを緩和するだけでなく、色バランス、色コントラストが良くなる事情は次のように考えられる。
【0023】
まず、550〜585nmの波長範囲を吸収減光することで眩しさを抑えるだけでなく、視覚系の中での赤色に対する反応と緑色に対する反応との間の連続性に段差が生ずるため、赤色と緑色の識別がし易くなる。これは、普通、虹に見られる隣接する色と色の境界がはっきりとは見えないが、仮にその境界に少し暗い部分があれば色の識別がし易くなる、と推測されるのと同じ理由である。一方、青色光は大気中で塵や水蒸気で散乱され易いが眼球内でも散乱されやすく視界の鮮明度を低下させる原因となっている。この青色光を減光するため青色光吸収剤を含有させたことで黄色と青色の透過率のバランスがとれるとともに、全般的に鮮明度を向上した。これらの結果として赤色、黄色、緑色、青色の色バランスがとれたことになり、しかも色コントラストが強調されるようになった。
【0024】
次に、本発明の合成樹脂成形体の一例について説明する。
【0025】
前記した標準比視感度曲線の中心波長近傍に極大吸収値を有する有機色素、紫外線吸収剤、青色光吸収剤および赤外線吸収剤もしくは反射剤を合成樹脂成形体の基材である合成樹脂原料に添加、混合した後、合成樹脂成形体全体に均一に含有されるよう、押出成形法または射出成形法で成形することにより合成樹脂成形体を得ることができる。また、吸収剤等の一部、例えば、赤外線反射剤を合成樹脂成形体の表面に真空蒸着法等によってコーティングすることも可能である。
【0026】
有機色素の含量としては、合成樹脂成形体の基材である合成樹脂原料に対して0.0001〜0.01重量%が好ましく、0.0005〜0.005重量%が特に好ましい。紫外線吸収剤の含量としては、合成樹脂原料に対して0.1〜1.0重量%が好ましく、0.3〜0.8重量%が特に好ましい。青色光吸収剤の含量としては、合成樹脂原料に対して0.001〜0.02重量%が好ましく、0.002〜0.01重量%が特に好ましい。赤外線吸収もしくは反射剤の含量としては、合成樹脂原料に対して0.001〜0.05重量%が好ましく、0.001〜0.02重量%が特に好ましい。
【0027】
また、本発明の実施に際しては、合成樹脂成形体を偏光フィルム等の偏光素子と組み合わせて使用することができるか、または偏光素子と一体となった合成樹脂成形体をインサート成形法、接着剤使用による積層法等によって作製して使用するなど、偏光素子を一体として含んでなる合成樹脂成形体として使用することもできる。インサート成形法による場合は、偏光フィルムの片面または両面にプラスチックシートを積層し一体化してなる偏光素子を予め金型内に挿入した上で射出成形を行い、偏光素子と樹脂とを一体化させる。偏光素子と合成樹脂成形体とを組み合わせて使用し、または偏光素子と一体化させることによる合成樹脂成形体としての透過率減少に関しては、含有させる色素量を変化させる等により合成樹脂成形体としての本発明における透過率および透過率曲線の範囲に入るように調節する。
【実施例1】
【0028】
ポリカーボネート樹脂[三菱エンジニアリング
プラスチック(株)製H−3000FN] 15kg
紫外線吸収剤[城北化学(株)製JF−86] 60g
青色光吸収剤[日本化薬(株)製カヤセットイエローA−G] 1.05g
赤外線吸収剤[大日本インキ化学工業(株)製 IRアディティブ200] 1.84g
化合物(1) 0.24g
【化2】


上記の混合物を250〜300℃に温度調節された射出成形機で外形255mm×330mm、厚さ2mmのシートに成形した。得られたシートの分光透過率を図1に示す。このシートをCRT画面の前面に画面と平行に吊り下げ、テレビゲームを続けたところ、眩しさを全く感じさせず、長時間のゲームでも疲労感が少なく、一方、青色、緑色、黄色、赤色が識別し易くなり色コントラストが鮮やかであった。
【実施例2】
【0029】
ポリカーボネート樹脂[三菱エンジニアリング
プラスチック(株)製H−3000FN] 60kg
紫外線吸収剤[城北化学(株)製JF−86] 240g
青色光吸収剤[三井東圧染料(株)製PSオレンジGG] 2g
赤外線吸収剤[日本化薬(株)製IR750] 1.04g
化合物(1) 0.6g
上記の混合物を250〜300℃に温度調節された押出成形機で厚さ2mmの連続シートに成形し、切断して外形550×700mmのシートを得た。得られたシートの分光透過率を図4に示す。このシートを商用ゲーム機画面の前面に画面と平行に設置し、ゲームソフトによるゲームを続けたところ、ギラツキの激しい画面でも眩しさを全く感じさせず、長時間のゲームでも疲労感が少なく、一方、青色、緑色、黄色、赤色が識別し易くなり色コントラストが鮮やかとなった。
【実施例3】
【0030】
ポリカーボネート樹脂[三菱エンジニアリング
プラスチック(株)製H−3000FN] 15kg
紫外線吸収剤[城北化学(株)製JF−86] 60g
青色光吸収剤[日本化薬(株)製カヤセットイエローA−G] 0.75g
赤外線吸収剤[日本化薬(株)製IR750] 0.96g
化合物(2) 0.15g
【化3】


上記の混合物を250〜300℃に温度調節された射出成形機で外形255mm×330mm、厚さ2mmのシートに成形した。得られたシートの分光透過率を図5に示す。このシートをCRT画面の前面に画面と平行に吊り下げ、テレビゲームを続けたところ、眩しさを全く感じさせず、長時間のゲームでも疲労感が少なく、一方、青色、緑色、黄色、赤色が識別し易くなり色コントラストが鮮やかであった。
【実施例4】
【0031】
偏光フィルムの両面にポリカーボネートのシートを積層した偏光シート[三菱ガス化学(株)製“ユーピロンポーラ”、0.8mm厚]を合成樹脂成形体の輪郭に一致する形状に打ち抜いた偏光素子を予め準備し、これを金型面に安定するように配置した。
ポリカーボネート樹脂[三菱エンジニアリング
プラスチック(株)製H−3000FN] 15kg
紫外線吸収剤[城北化学(株)製JF−86] 60g
青色光吸収剤[三井東圧染料(株)製PSオレンジGG] 0.4g
赤外線吸収剤[日本化薬(株)製IR750] 0.78g
化合物(1) 0.42g
上記の混合物を250〜300℃に温度調節された射出成形機で射出成形し、偏光素子と射出樹脂が一体化した外形255mm×330mm、厚さ2mmのシートを得た。得られたシートの分光透過率を図6に示す。このシートをCRT画面の前面に画面と平行に吊り下げ、テレビゲームを続けたところ、ギラツキの激しい画面でも眩しさを全く感じさせず、長時間のゲームでも疲労感が少なく、一方、青色、緑色、黄色、赤色が識別し易くなり色コントラストが鮮やかとなった。
【実施例5】
【0032】
ポリカーボネート樹脂[三菱エンジニアリング
プラスチック(株)製H−3000FN] 15kg
紫外線吸収剤[城北化学(株)製JF−86] 60g
青色光吸収剤[日本化薬(株)製カヤセットイエローA−G] 0.5g
化合物(1) 0.17g
上記の混合物を250〜300℃に温度調節された射出成形機で外形255mm×330mm、厚さ2mmのシートに成形した。得られたシートの分光透過率を図7に示す。このシートをCRT画面の前面に画面と平行に吊り下げ、テレビゲームを続けたところ、眩しさを全く感じさせず、長時間のゲームでも疲労感が少なく、一方、青色、緑色、黄色、赤色が識別し易くなり色コントラストが鮮やかとなった。
【実施例6】
【0033】
偏光フィルムの両面にポリカーボネートのシートを積層した偏光シート[三菱ガス化学(株)製“ユーピロンポーラ”、0.8mm厚]を合成樹脂成形体の輪郭に一致する形状に打ち抜いた偏光素子を予め準備し、これを金型面に安定するように配置した。
ポリカーボネート樹脂[三菱エンジニアリング
プラスチック(株)製H−3000FN] 15kg
紫外線吸収剤[城北化学(株)製JF−86] 60g
青色光吸収剤[三井東圧染料(株)製PSオレンジGG] 0.4g
化合物(1) 0.36g
上記の混合物を250〜300℃に温度調節された射出成形機で射出成形し、偏光素子と射出樹脂が一体化した外形255mm×330mm、厚さ2mmのシートを得た。得られたシートの分光透過率を図8に示す。このシートを窓ガラスに貼り付け、外界景色を眺めたところ、眩しさを全く感じさせず、一方、青色、緑色、黄色、赤色が識別し易くなり色コントラストが鮮やかとなり、かつ、遠方の山の起伏の輪郭もはっきり見えた。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施例1で得られた合成樹脂成形体の分光透過率を示すグラフである。
【図2】標準比視感度曲線を示すグラフである。
【図3】従来の最も一般的なサングラスの透過率の傾向を示すグラフである。
【図4】実施例2で得られた合成樹脂成形体の分光透過率を示すグラフである。
【図5】実施例3で得られた合成樹脂成形体の分光透過率を示すグラフである。
【図6】実施例4で得られた合成樹脂成形体の分光透過率を示すグラフである。
【図7】実施例5で得られた合成樹脂成形体の分光透過率を示すグラフである。
【図8】実施例6で得られた合成樹脂成形体の分光透過率を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
550〜585nmの波長範囲に透過率曲線の極小値を有し、該極小値での透過率が25%以下、590〜660nmの波長範囲における平均透過率が15%以上、かつ、470〜550nmの波長範囲における平均透過率が10%以上である光線透過フィルター。
【請求項2】
標準比視感度曲線の中心波長近傍に極大吸収値を有する有機色素、紫外線吸収剤および青色光吸収剤を含有する請求項1記載の光線透過フィルター。
【請求項3】
赤外線吸収もしくは反射剤を含有し、590〜660nmの波長範囲に透過率曲線の極大値を有し、該極大値での透過率が30%以上、かつ、470〜550nmの波長範囲のいずれの波長においても透過率が15%以上である請求項1または2記載の光線透過フィルター。
【請求項4】
標準比視感度曲線の中心波長近傍に極大吸収値を有する有機色素が式(I):
【化1】

(式中、mおよびnは、同一または異なって1〜4の整数を表す)で表されるスクアリリウム化合物である請求項2または3記載の光線透過フィルター。
【請求項5】
偏光素子を一体として含んでなる請求項1〜4のいずれかに記載の光線透過フィルター。
【請求項6】
カラー像を表示する装置の部分として、もしくはカラー像の観察用設備の部分として使用されるか、または該装置もしくは該設備に組み付けて使用される請求項1〜5のいずれかに記載の光線透過フィルター。
【請求項7】
カラー像を表示する装置が電子ディスプレイ装置である請求項6記載の光線透過フィルター。
【請求項8】
カラー像の観察用設備が眺望用窓である請求項6記載の光線透過フィルター。
【請求項9】
電子ディスプレイ装置が、ブラウン管、蛍光表示管、電界発光パネル、発光ダイオード、プラズマパネル、発熱電球、レーザーディスプレイ、液晶ディスプレイまたはエレクトロクロミックディスプレイである請求項7記載の光線透過フィルター。
【請求項10】
標準比視感度曲線の中心波長近傍に極大吸収値を有する有機色素を含有し、550〜585nmの波長範囲に透過率曲線の極小値を有し、該極小値での透過率が25%以下、590〜660nmの波長範囲における平均透過率が15%以上、かつ、470〜550nmの波長範囲における平均透過率が10%以上であり、ここに、標準比視感度曲線の中心波長近傍に極大吸収値を有する有機色素が式(I):
【化2】

(式中、mおよびnは、同一または異なって1〜4の整数を表す)で表されるスクアリリウム化合物である光線透過フィルター。
【請求項11】
赤外線吸収もしくは反射剤を含有し、590〜660nmの波長範囲に透過率曲線の極大値を有し、該極大値での透過率が30%以上、かつ、470〜550nmの波長範囲のいずれの波長においても透過率が15%以上である請求項10記載の光線透過フィルター。
【請求項12】
偏光素子を一体として含んでなる請求項10または11に記載の光線透過フィルター。
【請求項13】
カラー像を表示する装置の部分として、もしくはカラー像の観察用設備の部分として使用されるか、または該装置もしくは該設備に組み付けて使用される請求項10〜12のいずれかに記載の光線透過フィルター。
【請求項14】
カラー像を表示する装置が電子ディスプレイ装置である請求項13記載の光線透過フィルター。
【請求項15】
カラー像の観察用設備が眺望用窓である請求項13記載の光線透過フィルター。
【請求項16】
電子ディスプレイ装置が、ブラウン管、蛍光表示管、電界発光パネル、発光ダイオード、プラズマパネル、発熱電球、レーザーディスプレイ、液晶ディスプレイまたはエレクトロクロミックディスプレイである請求項14記載の光線透過フィルター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−31030(P2006−31030A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−213064(P2005−213064)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【分割の表示】特願平9−13706の分割
【原出願日】平成9年1月28日(1997.1.28)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【出願人】(000179926)山本光学株式会社 (49)
【Fターム(参考)】