説明

合成樹脂製容器及び青果物の鮮度保持保存方法

【課題】 フィルムなどより製作された包装袋タイプのMA包装では強度的に難があった青果物の集合包装への適用を可能にする。
【解決手段】 青果物を鮮度保持する積載可能な合成樹脂製容器であって、該合成樹脂製容器は青果物の輸送に通いで用いられる容器であり、該合成樹脂製容器の内容積が8000cc以上であり、該合成樹脂製容器の側面及び/又は上面に1個以上の貫通孔を有し、該合成樹脂製容器の材質が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンから選ばれる材質である合成樹脂製容器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、青果物の鮮度保持効果に優れた合成樹脂製容器及びその容器を用いた青果物の鮮度保持方法である。
【背景技術】
【0002】
従来の青果物の産地貯蔵や流通では、網目状のコンテナ、段ボール箱、木箱などの容器が使用されているが、これらには青果物の鮮度を保持する機能が付与されていなかった。
青果物の産地貯蔵については、収穫した青果物を上記の容器に入れて貯蔵所にて保存する、又は貯蔵所にてバラ積みで保存しておくなどの方法が取られている。しかし、一般に収穫後青果物は呼吸をしており、エネルギーを消費し続けている。これに伴って、老化(変色、しおれ、腐敗など)や成熟による品質低下が生じるため長期間保存することは困難であった。
【0003】
貯蔵所に冷房設備があれば、青果物に適した低温で保存することができるため、前述の欠点が出現することは少なくなるが、冷蔵室や低温輸送車の普及が遅れていることや、冷房設備として非常に大がかりなものが必要になり、かつ青果物の収穫に季節性があるため、冷房設備が十分に稼動しない事態も起こりうる。
また、長期貯蔵の例として、例えば、青森県のリンゴでは、樹脂製のコンテナや木箱に20kg程度のリンゴを入れて庫内のガス雰囲気を低酸素、高二酸化炭素状態に調節できるCA貯蔵庫を用いてリンゴの品質低下を抑制している。しかし、このような方法ではガス濃度を調節するために大掛かりかつ高価な設備が必要であり、青森のリンゴ以外ではあまり普及が進んでいない。
【0004】
青果物の流通においても、使い捨ての段ボール箱や生産地と消費地間を往復する樹脂製の通いのコンテナ、容器(通称通い箱)が多く用いられているが、これら容器にも青果物の鮮度を保持する機能が無いため、輸送中に青果物の鮮度が劣化するという現象が起きていた。
【0005】
特開平5−168398号公報では、青果物を貯蔵する際、密閉包装する袋に、包装する青果物重量に対し、総開口面積が0.4〜4mm/kgで、かつ3<穴径/厚み<20の範囲で開口を設けたことを特徴とする青果物鮮度保持用包装袋が開示されている。当該公報によれば、青果物の鮮度を保持するため青果物を内包している包装袋内のガス雰囲気を低酸素、高二酸化炭素状態に調節することにより青果物の鮮度保持を良好に保つことができる。当該公報では、包装袋の総開口面積を規定することにより袋内のガス濃度を青果物の鮮度保持に適した濃度に保つことが開示されている。しかし、当該公報の内容では、1kg以下程度の青果物の個包装(コンシューマーパック)用としては有用であったが、包装袋の強度が不足するため、1kg以上の青果物を一つの包装袋で包装した場合、包装中や輸送中に破袋したり、袋に穴があいてしまうなどの問題があり、貯蔵や輸送で必要な集合包装用に用いることは難しかった。
【0006】
そこで、前述の包装袋を用いて青果物を個包装したものを複数個準備し、段ボール箱などの容器に包装した青果物を複数個入れて輸送するという方法もあるが、個包装ごとに包装袋の口をシール機などにより密封するため、青果物包装時に袋内に閉じ込められたガスによって袋が膨らむため無包装のものより箱などに入れられる量が少なくなったり、包装時に袋内のガスを抜く工程が必要であったりした。あるいは密封のためのシール機や自動包装機が必要であるという問題もあった。また、これらに用いられる包装材料は、使い捨てであり特定の青果物に適した酸素透過速度に調整されており他への応用は難しかった。さらには、生産者が収穫、選別で手一杯であり、袋に入れる工数を確保できないといった点も問題であった。
【0007】
集合包装用として、段ボー箱などの内側に大きな袋をセットしてから野菜を収納する方法もあるが、段ボール箱などの内側に袋をセットするという作業が必要であり、作業効率が極めて悪いという欠点があった。
また、ブロッコリーなどのように段ボール箱に入れるのみで輸送されたり、ホウレンソウなどのように品質保持のために200〜300g程度を一束にして袋で包装したものを箱に入れて輸送されたりしている。これらの場合、輸送中にしおれなどの劣化が進むため、小売店で水を掛けて蘇生させた後に陳列したりしている。通常の包装材料を用いて青果物を密封した場合、青果物が袋内で窒息するという状況になり、無包装や上部開放のようなオープン状態で使用すると呼吸や蒸散が抑制されにくいのでどちらにしても鮮度保持効果があまり大きくない。
【0008】
また、実用新案登録第3104698公報には、排気流路を有する野菜収納容器が記載されている。しかし、これは、野菜から排出されたエチレンガスを容器外へ排出するためのものであり、容器を用いた青果物の鮮度保持の包装には不十分なものであった。
【0009】
国際公開番号WO2004/045984公報には、「気体及び蒸気に対して完全に非透過性である第一の部分と、前記コンテナの内部と外部との間の気体及び蒸気の流れを調整する部材である第二部とを含み、前記第一の部分は、堅い底部材、側面部材、および堅い蓋部材を含み、前記底部材、前記側面部材および前記蓋部材は密封して連結することができ、前記第二の部分は底部材と一体となっており、
前記側面部材は、堅く、積み重ね可能な複数の中間部材の周縁部によって構成され、前記中間部材は、それぞれ、開口している上部および間隙のある底部を有する容器の形状を有し、前記容器は、包装されていない産物または包装されたもしくは半包装された産物を収納可能であり、前記底部材、前記中間部材および前記蓋部材は、下方部材とその直上の部材とを密封して固定するための連結手段を含むことを特徴とするコンテナ」が記載されている。
【0010】
しかし、国際公開番号WO2004/045984公報によれば、積み重ねられた容器の中で一番下にある容器の底部材のみで気体及び蒸気の流れを調節しており、容器内の位置により青果物の鮮度保持に差が生じるという欠点があった。例えば、中段部あたりにある容器に保存されていた青果物の鮮度は良好であるが、底部材に近い容器に保存されていた青果物では、黄化などの変色を生じるものが多いという欠点が見受けられた。
また、青果物を収納する容器以外に気体及び蒸気の流れを調整する部材が必要であり、管理のわずらわしさや、輸送時に無駄なスペースが生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】実用新案登録第3104698
【0012】
【特許文献2】特開平5−168398
【0013】
【特許文献3】国際公開番号WO2004/045984
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
フィルムなどより製作された包装袋タイプのMA包装では強度的に難があった青果物の集合包装への適用を可能にし、よって、従来の包装袋のように作業中の引っ掻きなどによるフィルムの破れや衝撃による破袋をなくすことによって青果物の鮮度保持を行う。
また、従来、収穫した青果物を容器に入れ、その後包装袋に詰め替えていた作業などを改善し、出来るだけ使い捨ての部材などをなくすようにする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
青果物を鮮度保持する積載可能な合成樹脂製容器であって、該合成樹脂製容器は青果物の輸送に通いで用いられる容器であり、該合成樹脂製容器の内容積が8000cc以上であり、該合成樹脂製容器の側面及び/又は上面に1個以上の貫通孔を有し、貫通孔を有する部分の容器の厚みがX(mm)であるとき、収納した青果物1kgあたりの該合成樹脂製容器の貫通孔の総開口面積Y(mm/kg)が、
Y≧0.0755X+0.07
Y≦9.51X+41.2
である合成樹脂製容器である。
好ましい形態としては、該合成樹脂製容器の材質が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンから選ばれる材質であり、該合成樹脂製容器に設けられる貫通孔は該合成樹脂製容器の側面に設けられており、貫通孔の数が2個以上であり、該合成樹脂製容器の貫通孔の開口面積が3.1×10−2以上mm〜79mm以下であり、青果物1kgあたりの酸素透過速度が、360〜13700cc/kg・day・atm(25℃)である合成樹脂製容器である。
【0016】
また、上記に記載の合成樹脂製容器を用いて青果物の鮮度保持を行う青果物の鮮度保持保存方法である。
更に好ましい形態としては、該合成樹脂製容器を2段以上積み重ねて使用し、該合成樹脂製容器の側面に設けられた複数の貫通孔の一部を塞ぐ青果物の鮮度保持保存方法である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明者は、上記従来技術における課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、特定の範囲の酸素透過速度を有する合成樹脂製容器を用いることにより、従来用いられていた高分子フィルムによる包装袋が不要であり、密封作業が容易であり、強度があるため繰り返し使用が可能であり、従来の包装袋タイプのものよりも多い量の青果物を容易に収納しつつ青果物の鮮度保持ができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0018】
本発明に用いられる合成樹脂製容器は、青果物の保存、輸送に用いられる青果物の鮮度保持用の容器、コンテナ(本発明では併せて「容器」と表現)であり、生産地で収穫した青果物を保存したり、青果物の生産地と消費地との間で繰り返し輸送に使用される合成樹脂製容器であり、通称通い箱と呼ばれているものである。
【0019】
本発明の合成樹脂製容器に使用される青果物としては、特に限定されず、例えば、ブロッコリー、ホウレンソウ、コマツナ、ナバナ、シュンギク、チンゲンサイ、レタス、アスパラガス、エダマメ、スイートコーン、キュウリ、トマト、アオウメ、バナナ、ブドウ、イチジク、リンゴ、イチゴ、ナガイモなどがある。
これらの青果物の中で集合包装にて用いられるブロッコリー、ホウレンソウ、コマツナ、ナバナ、シュンギク、アスパラガス、キュウリ、トマト、アオウメ、バナナ、ブドウ、リンゴ、イチゴなどのホール野菜(千切りキャベツなどのようにカットされた野菜ではないもの)にて使用されることが好ましい。
なお、集合包装とは、消費者向けに販売単位ごとに包装(個包装)したものや未包装のものを段ボール箱などに詰めたものである。例えば、200gごとに包装したホウレンソウ20袋を段ボール箱につめたものや、無包装のブロッコリー9玉を樹脂コンテナに詰めたようなものである。
【0020】
本発明の合成樹脂製容器の材質は、青果物の収納に使用可能なものであればどのようなものでも差し支えない。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレ蓋レート、AS(アクリロニトリルスチレン)樹脂、ABS(アクリルニトリルブタジエンスチレン)樹脂などが挙げられるがこれらに限られない。また、これらは、発泡させたものでもよい。これら合成樹脂製容器は、着色しても良いし、銀ゼオライトなど抗菌物質を練りこんでも良い。
【0021】
本発明の合成樹脂製容器のサイズ(内寸)としては、特に限定されないが、例えば、長さとして150〜900mmであり、幅として150〜600mmであり、深さとして50〜400mmである。
合成樹脂製容器の内容積は8000cc以上であり、容器の内容積が8000cc未満であれば青果物を合成樹脂製容器に入れた際、容器内の空隙比率が大きくなって容器における包装の効率が悪くなる可能性がある。合成樹脂製容器の内容積の上限は特に制限されないが、運搬の手段などより好ましくは20万cc以下である。
合成樹脂製容器の厚みは、特に規定されないが、青果物が入った状態で積み重ねても破壊しない強度を有すればよく、通常の青果物などの流通用に用いられる容器に見られるようなリブなどの構造で強度をアップしたものが好ましい。孔の部分の合成樹脂製容器の厚みは、0.05〜40mmが好ましい。厚みが0.05mm未満であれば合成樹脂製容器は破損する恐れがあり、40mmを超えると強度的に十分であるため合成樹脂製容器用の材料の無駄になる恐れがある。
更に好ましい孔の部分の合成樹脂製容器の厚みは0.5〜4mmである。
【0022】
本発明の合成樹脂製容器の形態としては、直方体であることが好ましい。通常、貯蔵庫やトラックの荷台などは方形であるので、これらの形状に効率的載置できる形状であることが好ましい。すなわち、直方体とすることで、貯蔵時などにおけるデッドスペースを減らすことができる。ただし、容器の角は強度的に曲面であることが好ましい。
合成樹脂製容器は、通常の容器の成形方法により製作することができる。例えば、射出成形などの成形方法を用いることができる。
【0023】
これら合成樹脂製容器は、容器側面(容器の角やコーナーを含む)に青果物の鮮度保持が可能となるように制御された貫通孔を1個以上有する。好ましくは、2個以上有する。2個以上の貫通孔を設けることによりいろいろな青果物の鮮度保持に適用できる合成樹脂製容器とすることができる。
貫通孔は、容器の底、蓋に貫通孔を有しても良いが、容器の側面に貫通孔を有していることが鮮度保持を制御する点でより好ましい。
【0024】
本発明の合成樹脂製容器が有する貫通孔は、孔1個あたりの開口面積が3.1×10−2mm以上79mm以下であることが好ましい。開口面積が3.1×10−2mm未満では、孔数が多くなり加工が難しくなる。逆に開口面積が79mmを越えると孔数が少なくなってばらつきがおおきくなったり、異物が入り易くなったりする。
好ましくは、1.9×10−1mm以上20mm以下である。さらに好ましくは、0.78(直径1mm)mm以上7.1mm以下である。
貫通孔の形状は、円形、四角形、三角形、六角形などどのような形でも構わない。
また、これら貫通孔に異物混入防止のために網や不織布など通気性を有するものを付与しても良い。
【0025】
これらの貫通孔は、容器を成形する際に設けても良く、容器を成形後公知の方法で孔を設けても良い。
【0026】
本発明の合成樹脂製容器に2個以上の貫通孔が設けられる場合、容器側面にほぼ均等の間隔で設けられていることが好ましい。ほぼ均等の間隔とは、貫通孔が1ケ所にまとまって設けられていないということであり、例えば、2個の貫通孔が直方体の容器に設けられる場合、1個がある側面に設けられていれば、残りの1個は相対する反対側の側面に設けられ、4個の貫通孔の場合、それぞれの側面に1個ずつ設けられていることが好ましい。5個以上貫通孔が必要な場合にはそれぞれの側面にほぼ均等に振り分けられていることが好ましい。また、一つの側面に複数個の貫通孔が設けられている場合、1ケ所にかたまって設けられるのではなく、孔同士の距離、周辺からの距離ができるだけ均等になるように設けられていることが好ましい。
【0027】
本発明の合成樹脂製容器では、2個以上の貫通孔を個別に調整することによりいろいろな青果物に対して適用できるようになった。
青果物の鮮度保持には、青果物の鮮度を長期に保つために青果物ごとに適した酸素濃度があり、酸素濃度を好適条件に維持するためにも青果物ごとにその包装容器に固有の酸素透過量が求められている。従来の通い箱として用いられる合成樹脂製容器では、酸素透過量を調整したものはなく、これはある青果物の酸素透過量に通い箱を調整すると違う値を持つ他の酸素透過量に適した青果物には適用できないという問題がある。他の青果物に適用できなければ、青果物の収穫の季節性の点より合成樹脂製容器を1年中使用することが難しかった。
【0028】
本発明の合成樹脂製容器では、容器に収納する青果物の種類に応じて、2個以上存在する貫通孔の開閉を貫通孔毎に調整することにより、いろいろな青果物の鮮度保持に対応することができ、1年中使用することが可能になった。そのため、各青果物毎に通い箱を用意する状態と比較して、輸送費の減少を図ることができ、当該容器に適した青果物が収穫できないときに使用しない容器を保管しておく必要がなく、かつ青果物の鮮度保持を行うことができる。つまり、当該容器を用いることにより、いろいろな青果物の鮮度保持が可能となり、青果物ごとに専用の容器を準備する必要がなくなる。
【0029】
例えば、ポリプロピレン製容器の厚さ2mmの側面部分に同じ大きさの貫通孔が2個開いており、この内の1個を塞いだ場合、容器の酸素透過量は半分となる。このような調節をすることで、総量10kgの青果物で2個の貫通孔が必要な青果物を青果物Aとしたとき、青果物Aを5kg収納した場合には、貫通孔を1個塞いで使用するといった対応が可能になる。また、鮮度を保持するのに青果物Aの半分の酸素透過量を必要とする青果物Bを総量10kg入れる場合でも貫通孔1個を塞げばよい。
【0030】
貫通孔を塞ぐ方法は、例えば、OPP製のテープを貼り付けたり、ゴム栓などを貫通孔に嵌めたりすればよい。また、貫通孔にスライドする扉を設け、扉をスライドさせて貫通孔の開閉を行っても良い。貫通孔を塞ぐ方法は、これら以外の方法でも構わない。また、貫通孔を塞ぐ場合、容器の内側から塞いでもよく、外側から塞いでも良い。
【0031】
貫通孔を有する部分の容器の厚みがX(mm)であるとき、収納した青果物1kgあたりの該合成樹脂製容器の総開口面積Y(mm/kg)が、
Y≧0.0755X+0.07
Y≦9.51X+41.2
であることが望ましい。
Yが0.0755X+0.07の値より小さいと容器内の酸素濃度が下がりすぎて青果物に呼吸障害が生じて劣化(異臭、水浮きなど)してしまうという恐れがあり、
Y≦9.51X+41.2より大きいと容器内の酸素濃度が高すぎて青果物の呼吸を十分に抑制できずに品質が保持されない(変色、しおれなど)恐れがある。
更に好ましくは、
Y≧0.66X+0.7
Y≦9.51X+12.2
である。
【0032】
本発明の合成樹脂製容器に収納する青果物は、1kg以上30kg以下であることが好ましい。1kg未満では、従来の袋タイプのMA包装資材でも強度的に対応可能であり、合成樹脂製容器に入れるメリットが少ない。逆に30kgを超えるような量を入れると、青果物が潰れ易くなったり、容器が重すぎて取り扱いにくくなったりする可能性がある。
【0033】
本発明の合成樹脂製容器の酸素透過量は、容器に収納した青果物1kgあたり360〜13700cc/kg・day・atm(25℃)である。
酸素透過量が360cc/kg・day・atm未満では、容器内の酸素濃度が下がりすぎて青果物が異常代謝を行って劣化(異臭、水浮きなど)してしまう可能性がある。逆に13,700cc/kg・day・atmを超えるような場合は、青果物の呼吸速度が十分に抑制されないので、鮮度保持効果を得ることができない(変色、しおれなど)可能性がある。
合成樹脂製容器の酸素透過量の好ましい範囲は、容器に収納した青果物1kgあたり
360〜6900cc/kg・day・atm(25℃)であり、さらに好ましくは700〜6900cc/kg・day・atm(25℃)である。
【0034】
本発明の貫通孔の酸素透過量は、貫通孔を設けた密閉可能で保形性のある容器内を窒素ガスで置換して、この容器内の時間当たりの酸素濃度変化を測定して求めればよい。
すなわち、厚みxmmの部分に開口面積smmの孔1個を有する容積vmlの容器の窒素置換後(t=0)の初期酸素濃度がc%であり、t時間後の酸素濃度がc%であるとき、厚みxmmにあけた開口面積smmの酸素透過量p(cc/h・atm)は、
p=v×(c−c)/21/t
である。
【0035】
貫通孔の酸素透過量の測定方法の詳細は以下のとおりである。容器は、孔以外からのガス漏れが無く、内容積が1000ml以上のものを使用し、風があたらない状態で25℃に静置して測定を行なう。
また、tは、容器内酸素濃度と経過時間に比例関係が成立する範囲内とし、誤差が10秒より大きくならないようにする。初期酸素濃度cは、0.2%以下とし、cは、5%以下とする。
酸素濃度は、ガスクロマトグファフィーで測定(サンプリング量1ml以下)し、小数点以下第2位まで求める。
【0036】
本発明の容器を用いて青果物を倉庫などで保存したり、青果物をトラック等で輸送する場合、長さ、巾が同一寸法である容器を2個以上積み重ねて使用することが好ましい。積み重ねることにより、収穫後の青果物を倉庫で保存する場合でも保存用の場所がより少なくて済み、また、トラックなどで輸送する場合でも、たくさんの容器を積載することができる。
【0037】
本発明の方式によると、当該容器を積み重ねて保存する場合、一番上の容器は、容器の開口部を蓋により密封される。蓋が容器本体と一体化されている場合、青果物を収納後容器の蓋を閉じ、その後積み重ねられても良い。また、容器には一体化された蓋がなく、青果物を収納後それぞれの容器に蓋をして積み重ねても良い。また、蓋が取り付けられていない容器を積み重ね、一番上の容器にのみ蓋を有する容器を用いる、又は一番上の容器の開口部を蓋で密封する方式でも良い。又は、積み重ねた一番上の容器に空の容器を重ねて蓋としても良い。
これらの方法の中で、蓋が取り付けられていない容器を積み重ね、一番上の容器に蓋をする方法、若しくはその上に空の容器を積み重ねて蓋とする方法が容器の取扱いなどの点より好ましい。
【0038】
本発明の容器を積み重ねた場合、密封性を有することが好ましい。容器ごとに蓋が一体化されている場合、蓋を閉めた際容器は密封されることが好ましい。また、容器の開口部を容器と一体化されていない蓋(別蓋)で閉じた場合、密封されることが好ましい。また、蓋の無い容器を積み重ね、一番上の容器に蓋をした場合、積み重ねた容器全体で密封されていることが好ましい。
【0039】
前記密封を保つ方式としては、特に限定されず通常の密封性を保つ方法で良いが、例えば、容器に蓋をする際の容器と蓋の接触面、容器を積み重ねた際の容器同士の接触面には、凹凸を有し、片方の面に凹部が設けられていれば、他方の面に凸部が設けられ、蓋をした際、又は容器を積み重ねた際凹凸が勘合する方式があげられる。また、容器に蓋を行う際の容器と蓋の接触面、容器を積み重ねた際の容器の接触面に弾性体を設ける方式も挙げられる。また、弾性体に前述の凹凸を設けても良い。
【0040】
弾性体は、容器のフラン時部の形状に合わせて切り欠き部を有していても良い。
弾性体は、接触面のどちらかの面、若しくは両面に設けても良く、設けられる弾性体としては、特に限定されず、例えば、ウレタン、ブタジエン、イソプレン、シリコンなどのエラストマーが好ましいが、青果物の包装に使用可能なもので気密性を高めることができるものであればこれら以外のどのようなものでも差し支えない。弾性体と容器との接着は、特に限定されないが、例えば容器を成形後、容器に弾性体を接着剤を用いて接着する方法、容器フランジ部に沿った線状の連続したくぼみ(溝)に弾性体をはめ込む方法などを採用することができる。
【実施例】
【0041】
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
<実施例1>
内寸が巾330mm、長さ500mm、高さ340mmの発泡スチロール製の容器側面(厚み16.5mm)に開口面積12.6mmの貫通孔を65個あけた。孔は、容器の4つの側面(高さ方向中央部とこの上下80mm)に横3列でほぼ等間隔となるように配置した。これら穴のうち52個を容器外部からアルミ粘着テープを貼って完全に塞いだ。
この容器3個それぞれに、当日収穫したブロッコリー5.2kgをほぼ均等になるよう入れて、発泡スチロール製の蓋でそれぞれの容器に蓋をし、3段に積み重ねた。最上部の容器は、蓋をした後、容器と蓋の接触部分周囲をガムテープで留めた。これらを20℃で5日間貯蔵してブロッコリーの品質を評価した。表1に内容量1kg当たりの開口面積と酸素透過量を記し、表2にブロッコリーの品質評価結果を記した。
【0042】
<実施例2>
内寸が巾330mm、長さ500mm、高さ340mmの発泡スチロール製の容器側面(厚み16.5mm)に開口面積15.2mmの貫通孔を11個あけた。孔は、容器の4つの側面(高さ方向中央部)に横1列でほぼ等間隔となるように配置した。
この容器3個それぞれに、当日収穫したブロッコリー5.2kgをいれて、発泡スチロール製の蓋でそれぞれの容器に蓋をし、3段に積み重ねた。最上部の容器は、蓋をした後、容器と蓋の接触部分周囲をガムテープで留めた。これらを20℃で5日間貯蔵してブロッコリーの品質を評価した。表1に内容量1kg当たりの開口面積と酸素透過量を記し、表2にブロッコリーの品質評価結果を記した。
【0043】
<実施例3>
内寸が巾330mm、長さ500mm、高さ340mmの発泡スチロール製の容器側面(厚み16.5mm)に開口面積63.6mmの貫通孔を2個あけた。孔は、向かい合う容器2側面(高さ方向中央部)に各1個配置した。
この容器3個それぞれに、当日収穫したブロッコリー5.2kgをいれて、発泡スチロール製の蓋でそれぞれの容器に蓋をし、3段に積み重ねた。最上部の容器は、蓋をした後、容器と蓋の接触部分周囲をガムテープで留めた。これらを20℃で5日間貯蔵してブロッコリーの品質を評価した。表1に内容量1kg当たりの開口面積と酸素透過量を記し、表2にブロッコリーの品質評価結果を記した。
【0044】
<実施例4>
内寸が巾300mm、長さ370mm、高さ260mmのポリプロピレン(PP)製の容器の側面(厚み2mm)に開口面積2.54mmの貫通孔を48個あけた。孔は、容器の4つの側面(高さ方向中央部)に横2列でほぼ等間隔となるように配置した。
容器には、容器上部(開口部)にフランジ(幅17mm)があり、積載可能となっている。
フランジと容器底は、容器を積み重ねた際に容器開口部に沿って途切れることなく接触する形状とした。このフランジに接触する容器底部には、パッキンとして厚さ1mm、幅10mmのクロロプレンゴムを貼り付けた。クロロプレンゴムは、シートから容器フランジ部分に合うように切り抜いたフラットで一体型のものを使用した。
この容器4個それぞれに、当日収穫したアオウメ(南高梅)10kgを入れて4に積み重ね、さらに空の同じ容器を最上部に積み重ねた。
これらを25℃で5日間貯蔵してアオウメの品質を評価した。表1に内容量1kg当たりの開口面積と酸素透過量を記し、表2にアオウメの品質評価結果を記した。
【0045】
<実施例5>
パッキンが無い以外は実施例4と同様にアオウメを貯蔵ししてアオウメの品質を評価した。表1に内容量1kg当たりの開口面積と酸素透過量を記し、表2にアオウメの品質評価結果を記した。
【0046】
<実施例6>
内寸が巾340mm、長さ400mm、高さ400mmのポリプロピレン(PP)製の容器側面(厚み1mm)に開口面積3.14mmの貫通孔を12個あけた。孔は、容器の4つの側面(高さ方向中央部)に横1列でほぼ等間隔となるように配置した。容器には、容器上部(開口部)にフランジ(幅17mm)があり、積載可能となっている。
フランジと容器底は、容器を積み重ねた際に容器開口部に沿って途切れることなく接触する形状とした。
容器には、パッキンとして容器を積み重ねた際に下の容器フランジ部分(幅17mm、フラット)に接触する部分(容器底側)に溝(巾4mm、深さ3mm)を設けて直径5mmのシンリンコン製Oリングをはめ込んだ。
この容器3個それぞれに、当日収穫したスイートコーン4.3kgを入れて3段に積み重ね、さらに空の同じ容器を最上部に積み重ねた。
これらを25℃で4日間貯蔵してスイートコーンの品質を評価した。表1に内容量1kg当たりの開口面積と酸素透過量を記し、表2にスイートコーンの品質評価結果を記した。
【0047】
<実施例7>
内寸が巾360mm、長さ570mm、高さ155mmのポリプロピレン(PP)製の容器側面(厚み1mm)に開口面積0.283mmの貫通孔を58個あけた。孔は、容器の4つの側面の上部より50mmと100mmの2列でほぼ等間隔となるように配置した。容器には、容器上部(開口部)にフランジ(幅17mm)があり、積載可能となっている。フランジと容器底は、容器を積み重ねた際に容器開口部に沿って途切れることなく接触する形状とした。
容器には、パッキンとして容器を積み重ねた際に下の容器フランジ部分(幅17mm、フラット)に接触する部分に実施例4と同様に厚さ1mmのクロロプレンゴムを貼り付けた。クロロプレンゴムは、シートから容器フランジ部分に合うように切り抜いた一体型のものを使用した。
この容器3個それぞれに、当日収穫した着色度約70%のトマト12kg(65個)を入れて3段に積み重ね、さらに空の同じ容器を最上部に積み重ねた。
これらを25℃で4日間貯蔵してトマトの品質を評価した。表1に内容量1kg当たりの開口面積と酸素透過量を記し、表2にトマトの品質評価結果を記した。
【0048】
<実施例8>
内寸が巾350mm、長さ300mm、高さ460mm、容器開口部のフランジ幅17mmのポリプロピレン(PP)製の容器側面(厚み1mm)に開口面積28.3mmの貫通孔を4個あけた。孔は、容器4つの側面中央部に各1個配置した。
容器には、容器上部(開口部)にフランジ(幅17mm)があり、積載可能となっている。フランジと容器底は、容器を積み重ねた際に容器開口部に沿って途切れることなく接触する形状とし、パッキンは取り付けなかった。
この容器3個それぞれに、当日収穫したホウレンソウ4.1kg(20束)を入れて3段に積み重ね、さらに空の同じ容器を最上部に積み重ねた。
これらを12℃で7日間貯蔵してホウレンソウの品質を評価した。表1に内容量1kg当たりの開口面積と酸素透過量を記し、表2にホウレンソウの品質評価結果を記した。
【0049】
<実施例9>
内寸が巾350mm、長さ300mm、高さ460mm、容器開口部のフランジ幅17m(フランジ幅方向中央部に巾1mm、高さ1mmの方形の突起を周回させた)のポリプロピレン(PP)製の容器側面(厚み1mm)に開口面積0.785mmの貫通孔を22個あけた。孔は、容器4つの側面(高さ方向中央部)に横1列でほぼ等間隔となるように配置した。
容器には、容器上部(開口部)にフランジ(幅17mm)があり、積載可能となっている。フランジと容器底は、容器を積み重ねた際に容器開口部に沿って途切れることなく接触する形状とした。このフランジに接触する容器底部には、パッキンとして厚さ2mm、幅10mmのクロロプレンゴムを貼り付けた。クロロプレンゴムは、シートから容器フランジ部分に合うように切り抜いたフラットで一体型のものを使用した。
この容器3個それぞれに、当日収穫したコマツナ4kgを入れて3段に積み重ね、さらに空の同じ容器を最上部に積み重ねた。
これらを20℃で5日間貯蔵してコマツナの品質を評価した。表1に内容量1kg当たりの開口面積と酸素透過量を記し、表2にコマツナの品質評価結果を記した。
【0050】
<実施例10>
内寸が巾330mm、長さ500mm、高さ340mm、容器開口部のフランジ幅17mmのポリプロピレン(PP)製の容器側面(厚み1mm)に開口面積3.8mmの貫通孔を6個あけた。孔は、容器の4つの側面(高さ方向中央部)に横1列でほぼ等間隔となるように配置した。
容器には、容器上部(開口部)にフランジ(幅17mm)があり、積載可能となっている。フランジと容器底は、容器を積み重ねた際に容器開口部に沿って途切れることなく接触する形状とした。このフランジに接触する容器底部には、パッキンとして厚さ1mm、幅10mmのクロロプレンゴムを貼り付けた。クロロプレンゴムは、シートから容器フランジ部分に合うように切り抜いたフラットで一体型のものを使用した。
この容器3個それぞれに、当日収穫したブロッコリー5.2kgをそれぞれ入れて3段に積み重ね、さらに空の同じ容器を最上部に積み重ねた。
これらを20℃で5日間貯蔵してブロッコリーの品質を評価した。表1に内容量1kg当たりの開口面積と酸素透過量を記し、表2にブロッコリーの品質評価結果を記した。
【0051】
<実施例11>
内寸が巾300mm、長さ370mm、高さ260mm、容器開口部のフランジ幅17mmのポリプロピレン(PP)製の容器側面(厚み2mm)に開口面積2.54mmの貫通孔を50個あけた。孔は、容器の4つの側面(高さ方向中央部)に横2列でほぼ等間隔となるように配置した。これら孔のうち27個を容器外部からアルミ粘着テープを貼って完全に塞いだ。容器には、容器上部(開口部)にフランジ(幅17mm)があり、積載可能となっている。フランジと容器底は、容器を積み重ねた際に容器開口部に沿って途切れることなく接触する形状とした。容器には、パッキンとして容器を積み重ねた際に下の容器フランジ部分(フラット)に接触する部分に厚さ1mmのクロロプレンゴムを貼り付けた。クロロプレンゴムは、シートから容器フランジ部分に合うように切り抜いた一体型のものを使用した。
この容器3個それぞれに、当日収穫したアオウメ(南高梅)5kgを入れて3段に積み重ね、さらに空の同じ容器を最上部に積み重ねた。
これらを25℃で5日間貯蔵してアオウメの品質を評価した。表1に内容量1kg当たりの開口面積と酸素透過量を記し、表2にアオウメの品質評価結果を記した。
【0052】
<実施例12>
内寸が巾300mm、長さ370mm、高さ260mm、容器開口部のフランジ幅17mmのポリプロピレン(PP)製の容器側面(厚み2mm)に開口面積2.54mmの貫通孔を50個あけた。孔は、容器の4つの側面(高さ方向中央部)に横2列でほぼ等間隔となるように配置した。これら孔のうち12個を容器外部からアルミ粘着テープを貼って完全に塞いだ。容器には、容器上部(開口部)にフランジ(幅17mm)があり、積載可能となっている。フランジと容器底は、容器を積み重ねた際に容器開口部に沿って途切れることなく接触する形状とした。容器には、パッキンとして容器を積み重ねた際に下の容器フランジ部分(フラット)に接触する部分に厚さ1mmのクロロプレンゴムを貼り付けた。クロロプレンゴムは、シートから容器フランジ部分に合うように切り抜いた一体型のものを使用した。
この容器3個それぞれに、当日収穫したアオウメ(南高梅)8kgを入れて3段に積み重ね、さらに空の同じ容器を最上部に積み重ねた。
これらを25℃で5日間貯蔵してアオウメの品質を評価した。表1に内容量1kg当たりの開口面積と酸素透過量を記し、表2にアオウメの品質評価結果を記した。
【0053】
<実施例13>
内寸が巾330mm、長さ500mm、高さ340mmの発泡スチロール製の容器側面(厚み16.5mm)に開口面積12.6mmの貫通孔を65個あけた。孔は、容器の4つの側面(高さ方向中央部)に横3列でほぼ等間隔となるように配置した。
この容器3個それぞれに、当日収穫したオクラ5.2kgをほぼ均等になるよう入れて、発泡スチロール製の蓋でそれぞれの容器に蓋をし、3段に積み重ねた。最上部の容器は、蓋をした後、容器と蓋の接触部分周囲をガムテープで留めた。これらを20℃で5日間貯蔵してオクラの品質を評価した。表1に内容量1kg当たりの開口面積と酸素透過量を記し、表2にオクラの品質評価結果を記した。
【0054】
<実施例14>
内寸が巾350mm、長さ300mm、高さ460mm、容器開口部のフランジ幅17mm(フランジ幅方向中央部に巾1mm、高さ1mmの方形の突起を周回させた)のポリプロピレン(PP)製の容器側面(厚み1mm)に開口面積0.785mmの貫通孔を22個あけた。穴は、容器4つの側面(高さ方向中央部)に横1列でほぼ等間隔となるように配置した。これら孔のうち12個を容器外部からアルミ粘着テープを貼って完全に塞いだ。
容器には、容器上部(開口部)にフランジ(幅17mm)があり、積載可能となっている。フランジと容器底は、容器を積み重ねた際に容器開口部に沿って途切れることなく接触する形状とした。このフランジに接触する容器底部には、パッキンとして厚さ2mm、幅10mmのクロロプレンゴムを貼り付けた。クロロプレンゴムは、シートから容器フランジ部分に合うように切り抜いたフラットで一体型のものを使用した。
この容器3個それぞれに、当日収穫したキュウリ3.6kgを入れて3段に積み重ね、さらに空の同じ容器を最上部に積み重ねた。
これらを20℃で5日間貯蔵してキュウリの品質を評価した。表1に内容量1kg当たりの開口面積と酸素透過量を記し、表2にキュウリの品質評価結果を記した。
【0055】
<実施例15>
内寸が巾380mm、長さ300mm、高さ460mm、容器開口部のフランジ幅17mm(フランジ幅方向中央部に巾1mm、高さ1mmの方形の突起を周回させた)のポリプロピレン(PP)製の容器側面(厚み3mm)に開口面積0.785mmの貫通孔を20個あけた。孔は、容器4つの側面(高さ方向中央部)に横1列でほぼ等間隔となるように配置した。
容器には、容器上部(開口部)にフランジ(幅17mm)があり、積載可能となっている。フランジと容器底は、容器を積み重ねた際に容器開口部に沿って途切れることなく接触する形状とした。このフランジに接触する容器底部には、パッキンとして厚さ2mm、幅10mmのクロロプレンゴムを貼り付けた。クロロプレンゴムは、シートから容器フランジ部分に合うように切り抜いたフラットで一体型のものを使用した。
この容器8個それぞれに、当日収穫したキュウリ4.2kgを入れて8段に積み重ね、さらに空の同じ容器を最上部に積み重ねた。
これらを20℃で5日間貯蔵してキュウリの品質を評価した。表1に内容量1kg当たりの開口面積と酸素透過量を記し、表2にキュウリの品質評価結果を記した。
【0056】
<実施例16>
内寸が巾400mm、長さ350mm、高さ460mm、容器開口部のフランジ幅10mmのポリプロピレン(PP)製の容器側面(厚み3mm)に開口面積7.07mmの貫通孔を27個あけた。孔は、容器4つの側面(高さ方向中央部付近)に横2列でほぼ等間隔となるように配置した。
容器には、容器上部(開口部)にフランジ(幅10mm)があり、積載可能となっている。フランジと容器底は、容器を積み重ねた際に容器開口部に沿って途切れることなく接触する形状とした。このフランジに接触する容器底部には、パッキンとして厚さ1mm、幅8mmのクロロプレンゴムを貼り付けた。クロロプレンゴムは、シートから容器フランジ部分に合うように切り抜いたフラットで一体型のものを使用した。
この容器3個それぞれに、当日収穫したホウレンソウ5kg(25束)を入れて3段に積み重ね、さらに空の同じ容器を最上部に積み重ねた。
これらを12℃で7日間貯蔵してホウレンソウの品質を評価した。表1に内容量1kg当たりの開口面積と酸素透過量を記し、表2にホウレンソウの品質評価結果を記した。
【0057】
<実施例17>
内寸が巾300mm、長さ400mm、高さ470mmの発泡スチロール製の容器側面(厚み14.5mm)に開口面積0.785mmの貫通孔を58個あけた。孔は、容器の4つの側面(高さ方向中央部とこの上下100mm)に横3列でほぼ等間隔となるように配置した。
この容器3個それぞれに、当日収穫したキュウリ3.1kgをほぼ均等になるよう入れて、発泡スチロール製の蓋でそれぞれの容器に蓋をし、3段に積み重ねた。最上部の容器は、蓋をした後、容器と蓋の接触部分周囲をガムテープで留めた。これらを20℃で5日間貯蔵してキュウリの品質を評価した。表1に内容量1kg当たりの開口面積と酸素透過量を記し、表2にキュウリの品質評価結果を記した。
【0058】
<実施例18>
内寸が巾330mm、長さ500mm、高さ340mmの発泡スチロール製の容器側面(厚み14.5mm)に開口面積7.07mmの貫通孔を105個あけた。孔は、容器の4つの側面(高さ方向中央部)に横4列でほぼ等間隔となるように配置した。
この容器3個それぞれに、当日収穫したオクラ5kgをほぼ均等になるよう入れて、発泡スチロール製の蓋でそれぞれの容器に蓋をし、3段に積み重ねた。最上部の容器は、蓋をした後、容器と蓋の接触部分周囲をガムテープで留めた。これらを20℃で5日間貯蔵してオクラの品質を評価した。表1に内容量1kg当たりの開口面積と酸素透過量を記し、表2にオクラの品質評価結果を記した。
【0059】
<比較例1>
内寸が巾330mm、長さ500mm、高さ340mmの発泡ポリスチレン製の容器側面(厚み16.5mm)に開口面積0.785mmの貫通孔を5個あけた。孔は、容器側面(高さ方向中央部)に横1列でほぼ等間隔となるように配置した。
この容器3個それぞれに、当日収穫したブロッコリー5.2kgをいれて、発泡スチロール製の蓋をして3段に積み重ねた。最上部の容器は、蓋をした後、容器と蓋の接触部分周囲をガムテープで留めた。これらを20℃で5日間貯蔵してブロッコリーの品質を評価した。表1に内容量1kg当たりの開口面積と酸素透過量を記し、表2にブロッコリーの品質評価結果を記した。
【0060】
<比較例2>
内寸が巾330mm、長さ500mm、高さ340mmの発泡ポリスチレン製の容器側面(厚み16.5mm)に開口面積113mmの貫通孔を10個あけた。孔は、容器側面(高さ方向中央部)に横1列でほぼ等間隔となるように配置した。
この容器3個に、当日収穫したブロッコリー5.2kgをいれて、発泡スチロール製の蓋をして3段に積み重ねた。最上部の容器は、蓋をした後、容器と蓋の接触部分周囲をガムテープで留めた。これらを20℃で5日間貯蔵してブロッコリーの品質を評価した。表1に内容量1kg当たりの開口面積と酸素透過量を記し、表2にブロッコリーの品質評価結果を記した。
【0061】
<比較例3>
容器側面に貫通孔をあけていない以外は、実施例3と同様にブロッコリーを20℃で保管した。表1に内容量1kg当たりの開口面積と酸素透過量を記し、表2にアオウメの品質評価結果を記した。
【0062】
<比較例4>
内寸が巾300mm、長さ370mm、高さ260mm、容器開口部のフランジ幅17mm(フランジ幅方向中央部に巾1mm、高さ1mmの方形の突起を周回させた)のポリプロピレン(PP)製の容器側面(厚み2mm)に開口面積0.0314mmの貫通孔を2個あけた。孔は、容器の向かい合う2つの側面(高さ方向中央部)に各1個配置した。
容器には、容器上部(開口部)にフランジ(幅17mm)があり、積載可能となっている。
フランジと容器底は、容器を積み重ねた際に容器開口部に沿って途切れることなく接触する形状とした。このフランジに接触する容器底部には、パッキンとして厚さ2mm、幅10mmのクロロプレンゴムを貼り付けた。クロロプレンゴムは、シートから容器フランジ部分に合うように切り抜いたフラットで一体型のものを使用した。
この容器3個それぞれに、当日収穫したアオウメ(南高梅)8kgを入れて3段に積み重ね、さらに空の同じ容器を最上部に積み重ねた。
これらを25℃で5日間貯蔵してアオウメの品質を評価した。表1に内容量1kg当たりの開口面積と酸素透過量を記し、表2にアオウメの品質評価結果を記した。
【0063】
<比較例5>
内寸が巾300mm、長さ370mm、高さ260mm、容器開口部のフランジ幅17mmのポリプロピレン(PP)製の容器側面(厚み2mm)に開口面積95mmの貫通孔を6個あけた。孔は、容器側面(高さ方向中央部)に横1列でほぼ等間隔となるように配置した。
容器には、容器上部(開口部)にフランジ(幅17mm)があり、積載可能となっている。
容器には、パッキンとして容器を積み重ねた際に下の容器フランジ部分(フラット)に接触する部分に厚さ1mmのクロロプレンゴムを貼り付けた。クロロプレンゴムは、シートから容器フランジ部分に合うように切り抜いた一体型のものを使用した。
この容器3個それぞれに、当日収穫したアオウメ(南高梅)8kgを入れて3段に積み重ね、さらに空の同じ容器を最上部に積み重ねた。
これらを25℃で5日間貯蔵してアオウメの品質を評価した。表1に内容量1kg当たりの開口面積と酸素透過量を記し、表2にアオウメの品質評価結果を記した。
【0064】
<比較例6>
容器側面がメッシュ状である以外は、実施例5と同様にアオウメを25℃で保管した。
表1に内容量1kg当たりの開口面積と酸素透過量を記し、表2にアオウメの品質評価結果を記した。
【0065】
<比較例7>
内寸が巾330mm、長さ500mm、高さ340mmの段ボール箱(厚み5.5mm)に幅1000mm、長さ1000mmの厚み25μmのポリエチレン製の袋(開口面積6.4×10−3の孔を162個開けた)をセットした。この箱3個それぞれに、当日収穫したブロッコリー5.2kgをほぼ均等になるよう入れて、箱の蓋が閉められるように袋内の空気を押し出しながら袋開口部を束ねて捻りを加えた状態で折り曲げて、この部分を輪ゴム掛けで固定(密封)した。蓋を閉じて3段に積み重ねた。
これらを20℃で5日間貯蔵してブロッコリーの品質を評価した。この時の表1に開口面積と酸素透過量を記し、表2にブロッコリーの品質評価結果を記した。
このとき、段ボール箱の組立に1箱あたり約20秒、段ボール箱内へのポリエチレン製の袋のセッティングには1箱あたり約15秒かかり、ブロッコリーの収納に約30秒かかり、袋の密封に約10秒を要した。これを本願発明の容器に入れる場合約22秒であった。これら段ボール箱などの包材は、通常使い捨てされるため青果市場などでゴミ処理も必要となる。
【0066】
【表1】

【0067】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0068】
本願発明の合成樹脂製容器は、青果物を収穫後、青果物を保存したり、消費地に輸送したりする際の青果物の鮮度保持に効果があり、当該合成樹脂製容器を用いることにより鮮度の良い青果物を消費地に提供できると同時に、生産地と消費地の輸送に何回でも使用できるためコスト的に有利であり、また廃棄することなく幾度も使用するため資源保存に適している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
青果物を鮮度保持する積載可能な合成樹脂製容器であって、該合成樹脂製容器は青果物の輸送に通いで用いられる容器であり、該合成樹脂製容器の内容積が8000cc以上であり、該合成樹脂製容器の側面及び/又は上面に1個以上の貫通孔を有し、貫通孔を有する部分の容器の厚みがX(mm)であるとき、収納した青果物1kgあたりの該合成樹脂製容器の貫通孔の総開口面積Y(mm/kg)が、
Y≧0.0755X+0.07
Y≦9.51X+41.2
であることを特徴とする合成樹脂製容器。
【請求項2】
該合成樹脂製容器の材質が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンから選ばれる材質である請求項1に記載の合成樹脂製容器。
【請求項3】
該合成樹脂製容器に設けられる貫通孔は該合成樹脂製容器の側面に設けられており、貫通孔の数が2個以上である請求項1又は2に記載の合成樹脂製容器。
【請求項4】
該合成樹脂製容器の貫通孔の開口面積が3.1×10−2以上mm〜79mm以下である請求項1、2又は3に記載の合成樹脂製容器。
【請求項5】
青果物1kgあたりの酸素透過速度が、360〜13700cc/kg・day・atm(25℃)であることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の合成樹脂製容器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の合成樹脂製容器を用いて青果物の鮮度保持を行うことを特徴とする青果物の鮮度保持保存方法。
【請求項7】
該合成樹脂製容器を2段以上積み重ねて使用する請求項6に記載の青果物の鮮度保持保存方法。
【請求項8】
該合成樹脂製容器の側面に設けられた複数の貫通孔の一部を塞ぐ請求項6又は7に記載の青果物の鮮度保持保存方法。

【公開番号】特開2012−101820(P2012−101820A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251422(P2010−251422)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】