説明

合成樹脂製容器

【課題】
片手で把持したときに安定性よく持ち上げられ、かつ、把持する部位の剛性が高く、強い力で掴んでも変形し難い容器を提供する。
【解決手段】
口部2、胴部3及び底部4を備えた容器1において、胴部3の高さ方向ほぼ中央に、径を絞り込んだウェスト部5を形成して、ウェスト部5を境に、上側胴部31と下側胴部32とに胴部3が分けられているとともに、ウェスト部5が、上側胴部31に連続する上絞り部51と、下側胴部32に連続する下絞り部52と、上絞り部51と下絞り部52とを接続する最絞り部53とからなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アセプティック充填飲料、酒類、調味料等を内容物とし、比較的容量の多い用途に供されるボトル状の合成樹脂製容器であり、手で持ったときのホールド感がよく、また、把持する部位の剛性を高くして、容器の変形を防止した合成樹脂製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂からなり、例えば、射出成形されたプリフォームに二軸延伸ブロー成形を施すなどして製造されたボトル状の容器が急速に普及し、飲料水、酒類、調味料等を内容物とする比較的容量の多い、例えば、2リットル程度の容器にも多く用いられている。
【0003】
このような容量の大きい容器に内容物を充填すると、その重量はかなりのものとなり、容器を持ち上げるには相当の力を必要とする。また、容量が大きくなるにともなって容器も大型化し、片手で持つことが困難になり、無理に片手で持とうとすると、容器を掴む力が強くなって容器を潰してしまったりする。
【0004】
この種の容器を持ち易くするために、例えば、特許文献1では、容器の胴部に把持用の凹部を設け、片手で容器を把持したときに、その凹部に指を引っ掛かけることによりボトル容器の把持性を改善した容器を提案している。
【0005】
【特許文献1】特開平8−230856号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の容器においては、把持用凹部を形成する面の機械的強度が弱いという問題がある。
このため、容器を持ち上げたときに、この凹部を形成している上側の面に負荷がかかると、当該面がへこんでしまうなどして、指の引っ掛かりが不充分となり、把持したときの状態が不安定であった。
また、凹部を形成する下側の面は、容器を把持したときに、指とこの面とのフィット感が得られず、また、把持した指に作用する容器からの反発力が弱いため、容器を把持したときにホールド性が得られず、把持した感覚が不安定なものであった。
【0007】
さらに、把持部を掴んだときの押圧力により、容器は内方に窪む変形を起こすが、このときに、把持部周辺から容器の側縁部に向けて斜め方向に折れ線が発生しやすく、予期しない変形を生じることがある。
この場合、度重なる使用等により、折れ線が恒常的に形成されるようになるため、外観不良の問題や、容器を把持したときの変形に対する反発力が低下し、把持したときのホールド感が得られず、把持した状態が不安定となる問題があった。
【0008】
近年、省資源化などの理由から容器の軽量化が強く求められており、容器の肉厚が薄くなる傾向にあるため、上記の問題はより顕著になってきている。
【0009】
本発明は、以上のような従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、片手で把持したときに安定性よく持ち上げられ、かつ、把持する部位の剛性が高く、強い力で掴んでも変形し難い容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る合成樹脂製容器は、口部、胴部及び底部を備えた合成樹脂製容器であって、前記胴部が、前記胴部の高さ方向ほぼ中央に設けられたウェスト部により、上側胴部と下側胴部とに分けられており、前記ウェスト部が、前記上側胴部に連続する上絞り部と、前記下側胴部に連続する下絞り部と、前記上絞り部と前記下絞り部とを接続する最絞り部とからなる構成としてある。
【0011】
このような構成を採用することにより、ウェスト部を親指と、人差し指又は中指とで挟んで容器を把持したときに、最絞り部に指が入り込んで、指のあたり具合がよくなるとともに、親指の付け根が下絞り部に収まり易くなるなどして、手のひら全体で容器を掴み易くなり、良好なホールド感が得られる。
【0012】
このような本発明に係る合成樹脂製容器にあっては、ウェスト部の延伸量を抑えて肉厚を確保して、ウェスト部の剛性を得るために、前記胴部の最大径に対するウェスト部の最小径の比は、0.5〜0.8であるのが好ましく、0.6〜0.7がより好適である。また、容器を把持したときのフィット感などを考慮すると、前記上絞り部の最大径に対する最小径の比は、0.6〜0.9であるのが好ましく、0.7〜0.8がより好適であり、前記下絞り部の最大径に対する最小径の比は、0.7〜0.95であるのが好ましく、0.8〜0.9がより好適である。
【0013】
また、ウェスト部を掴んで容器を把持したときに、手のひらとのなじみがよくなるように、前記上絞り部及び前記下絞り部のうち、少なくとも前記下絞り部の縦断面形状が、容器内方に凸となる曲線にて胴部に連続するように形成することもできる。
また、ウェスト部を親指と人差し指とで挟んだときの、親指と、人差し指又は中指との間とのあたり具合を考慮すると、前記上絞り部及び前記下絞り部の縦断面形状は、同一の曲率半径の容器内方に凸となる曲線にて前記胴部に連続するように形成されているのが好ましく、このとき、前記上絞り部における前記曲線と、前記下絞り部における前記曲線とは、共通の中心を有しているのがより好ましい。
これらの場合、容器を把持したときのフィット感などを考慮すると、前記曲線の曲率半径は、20〜80mmであるのが好ましく、30〜60mmがより好適である。
【0014】
さらに、前記上絞り部と前記最絞り部との接続部、及び/又は前記下絞り部と前記最絞り部との接続部が、段部を形成するようにしてもよい。
これにより、ウェスト部の剛性が高まり、容器を把持する際に剛性の高い段部に指を引っ掛けて容器を把持することができ、容器の把持性が向上するとともに、ウェスト部を掴む指に力が入りすぎても、容器の変形を防止することができる。
【0015】
また、前記上絞り部と前記最絞り部との接続部、及び/又は前記下絞り部と前記最絞り部との接続部が、鞍馬状の閉曲線を形成するようにすることで、ウェスト部の剛性が向上するとともに、ウェスト部を親指と、人差し指又は中指とで挟んで容器を把持したときの指のあたり具合を一層よくすることができる。
前記接続部の両方を鞍馬状の閉曲線に形成する場合、ウェスト部の剛性や、指のあたり具合などを考慮すると、前記上絞り部と前記最絞り部との接続部が形成する前記閉曲線と、前記下絞り部と前記最絞り部との接続部が形成する前記閉曲線との位相が、0〜180度ずれているのが好ましく、30〜60度がより好適である。
【発明の効果】
【0016】
以上のような本発明に係る合成樹脂製容器は、ウェスト部を親指と、人差し指又は中指とで挟んで容器を把持したときのホールド感がよく、片手で把持したときにも安定性よく持ち上げることができる。また、ウェスト部の剛性を向上させることができ、ウェスト部を強い力で掴んでも変形し難いホールド性に優れた容器である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る合成樹脂製容器の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明に係る合成樹脂製容器の一実施形態の概略を示す正面図である。また、図2(a)は、図1のA−A横端面図、図2(b)は、同B−B横端面図、図2(c)は、同C−C横端面図である。なお、作図上、図2では、容器1の肉厚を誇張している。
【0018】
図1に示す容器1は、口部2、胴部3及び底部4を備えており、ほぼ円筒状の容器形状を有している。胴部3の高さ方向ほぼ中央には、径を絞り込んだウェスト部5が形成されている。そして、胴部3は、ウェスト部5を境に、上側胴部31と下側胴部32とに分けられている。
ここで、高さ方向とは、口部2を上にして容器1を水平面に置いたときに、水平面に直交する方向に沿った方向をいうものとする。
【0019】
図示する例において、上側胴部31には、高さ方向に沿って延びる複数の稜線311が形成されている。それぞれの稜線311は、上側胴部31の側面に沿って形成されており、正面視したときに直線状に観察される。
そして、これらの稜線311の間には、容器1の内圧が減少したときに、容器1の内方に緩やかに湾曲して圧力の減少を吸収する減圧吸収面312が十二面形成されており、上側胴部31の横断面形状は、正十二角形状に形成されている(図2(a)参照)。
【0020】
また、下側胴部32には、高さ方向に沿って螺旋状に延びる複数の稜線321が形成されており、これらの稜線321の間には、下側胴部32の横断面形状が正十六角形状となるように(図2(c)参照)、十六面の減圧吸収面322が均等に形成されている。
【0021】
本実施形態において、このような上側胴部31と下側胴部32とに胴部3を分けているウェスト部5は、比較的剛性の高い口部2の直下(肩部)と、底部5との間を補強して、胴部3の高さ方向中央部部分における剛性を確保するとともに、容器1を持ち易くするために設けられる。
【0022】
ここで、図示する容器1は、容積2リットルの比較的容量の多い用途に供される容器の一例であり、その寸法は、高さHが310mm、口部2の開口径φaが26mm、上側胴部31の最大径φbが107mm、下側胴部32の最大径φcが110mm、ウェスト部5の最小径φdが72mmである。また、胴部2の平均肉厚は、約0.22mmである。
【0023】
ウェスト部5の最小径φdは、容器1を片手で把持することを考慮すると、60〜90mmであるのが好ましく、特に好ましくは65〜85mmである。
また、他の部位の剛性や、デザイン上のバランスなどを考慮しつつ、ウェスト部5の延伸量を抑えて肉厚を確保して、ウェスト部5の剛性を得るためには、胴部3の最大径φMAXに対するウェスト部5の最小径φdの比(φd/φMAX)が、0.5〜0.8となるような範囲でウェスト部5を絞り込むのが好ましく、特に好ましくは0.6〜0.7である。
【0024】
図示する例において、ウェスト部5は、上側胴部31に連続する上絞り部51と、下側胴部32に連続する下絞り部52とを有している。上絞り部51と下絞り部52とは、円筒状の最絞り部53(図2(b)参照)の上下に接続されている。また、上絞り部51と最絞り部53との接続部511と、下絞り部52と最絞り部53との接続部521は、段部55を形成している。
なお、特に図示しないが、上絞り部51と下絞り部52の横断面形状も、最絞り部53と同様に、円形状になっている。
【0025】
このように、胴部3のほぼ中央を二段階に絞り込んでウェスト部5を形成することで、ウェスト部5を親指と、人差し指又は中指とで挟んで容器1を把持したときに、最絞り部53に指が入り込んで、指のあたり具合がよくなるとともに、親指の付け根が下絞り部52に収まり易くなるなどして、手のひら全体で容器1を掴み易くなる。
【0026】
このとき、上絞り部51と下絞り部52の絞り比は、容器1を把持したときのフィット感や、容器1のデザインなどを考慮して、適宜設定することができるが、上絞り部51の径φeを絞り込むにあたり、上絞り部51の最大径φeMAXに対する最小径φeMINの比(φeMIN/φeMAX)は、0.6〜0.9であるのが好ましく、特に好ましくは0.7〜0.8であり、同最大径φeMAXに対するウェスト部5の最小径φdの比(φd/φeMAX)は、0.5〜0.8であるのが好ましい。
また、下絞り部52の径φfを絞り込むにあたり、下絞り部52の最大径φfMAXに対する最小径φfMINの比(φfMIN/φfMAX)は、0.7〜0.95であるのが好ましく、特に好ましくは0.8〜0.9であり、同最大径φfMAXに対するウェスト部5の最小径φdの比(φd/φfMAX)は、0.6〜0.85であるのが好ましい。
【0027】
また、図示する例では、上絞り部51と下絞り部52は、上記絞り比の範囲で、その縦断面形状が、容器1の内方に凸となる曲率半径40mmの曲線を形成するような曲面にて、それぞれ上側胴部31と下側胴部32とに連続している。
そして、上側胴部31の上絞り部51と連続する部分は、その断面形状が容器1の外方に凸となる曲率半径50mmの曲線を形成するような曲面にて形成されており、下側胴部32の下絞り部52と連続する部分は、その断面形状が容器1の外方に凸となる曲率半径120mmの曲線を形成するような曲面にて形成されている(図3参照)。
なお、図3は、ウェスト部5の近傍の概略を示す要部拡大縦断面図である。
【0028】
ここで、ウェスト部5と上側胴部31との境界は、ウェスト部5(上絞り部51)側の容器1の内方に凸となる曲線と、上側胴部31側の容器1の外方に凸となる曲線との変曲点に相当する部分510をいい、これらの曲線間に直線的な部分が存在する場合には、当該直線的な部分はウェスト部5に含まれるものとし、当該直線的な部分の上端に相当する部分をウェスト部5と上側胴部31との境界とする。
【0029】
同様に、ウェスト部5と下側胴部32との境界も、ウェスト部5(下絞り部52)側の容器1の内方に凸となる曲線と、下側胴部32側の容器1の外方に凸となる曲線との変曲点に相当する部分520をいい、これらの曲線間に直線的な部分が存在する場合には、当該直線的な部分はウェスト部5に含まれるものとし、当該直線的な部分の下端に相当する部分をウェスト部5と下側胴部32との境界とする。
【0030】
このような容器1の内方に凸となる曲面により、ウェスト部5を上側胴部31と下側胴部32とに連続させることで、ウェスト部5を掴んで容器1を把持したときに、手のひらとのなじみがよくなり、容器1のホールド感が一層よくなる。
このとき、正立状態で容器1を把持したときに手のひらがあたる下絞り部52が、上記したような容器1の内方に凸となる曲面にて形成されていれば、容器1を正立状態で把持したときのホールド感をよくすることができるが、容器1を倒立状態で把持したときのことを考慮すると、ウェスト部5は、図示するように、高さ方向上下でほぼ対称となるように形成するのが好ましい。
【0031】
また、ウェスト部5を親指と、人差し指又は中指とで挟んだときに、親指と、人差し指又は中指との間とのあたり具合がよくなるように、上絞り部51と下絞り部52における上記曲線は、同一の曲率半径にて形成されているのが好ましく、図3に波線で示すように、共通の中心を有する同一の曲率半径の曲線とするのが特に好ましい。
【0032】
上記各曲面の曲率半径は、容器1を把持したときのフィット感や、容器1のデザインなどを考慮して、適宜設定することができるが、通常は、20〜80mmとするのが好ましく、より好ましくは30〜60mmである。
【0033】
また、本実施形態にあっては、図示するように、接続部511,521が、段部55を形成するように、上絞り部51と最絞り部53、及び下絞り部52と最絞り部53とを接続している。
このような段部55を形成することで、ウェスト部5の剛性を高めることができる。これに加え、容器1を把持する際に、剛性の高い段部55に指を引っ掛けて容器1を把持することで容器1の把持性が向上するとともに、ウェスト部5を掴む指に力が入りすぎても、容器1の変形を防止することができる。
なお、段部55は、必要に応じて接続部511,521の一方に形成するようにしてもよい。
【0034】
さらに、図示する例では、接続部511,521が鞍馬状の閉曲線を形成するようにして、上絞り部51と最絞り部53、及び下絞り部52と最絞り部53とが接続されている。ここで、鞍馬状の閉曲線とは、鞍点を中心に鞍面上の点をつないでなる閉曲線をいうものとするが、数学的な意味での厳密性までは要求されない。
【0035】
これにより、接続部511,521が、容器1の周方向に沿って曲線的に形成されることになり、ウェスト部5の剛性をより向上させることができるとともに、ウェスト部5を親指と、人差し指又は中指とで挟んで容器1を把持したときの指のあたり具合がさらによくなる。このような効果は、特に、接続部511,521が段部55を形成するようにしたときに顕著になる。
【0036】
また、図示する例では、上絞り部51側の接続部511が形成する鞍馬状の閉曲線と、下絞り部52側の接続部521が形成する鞍馬状の閉曲線とを同一形状とし、その位相を45度ずらしている。ウェスト部5の剛性の向上や、指のあたり具合などを考慮すると、その位相差は、0〜180度の範囲にあるのが好ましく、特に好ましくは30〜60度である。
【0037】
ここで、図4は、接続部511,521が形成する鞍馬状の閉曲線の位置関係を説明するために、これらの閉曲線を概念的に示した図であり、図4(a)は、接続部511が形成する閉曲線と、接続部521が形成する閉曲線と位相差が0度の状態を示している。図4(b)は、接続部511が形成する閉曲線を固定する一方、接続部521が形成する閉曲線上の点Pが、中心軸X周りに45度回転するように、当該閉曲線の全体を回転させた状態を示している。この状態は、図示する容器1における上記両閉曲線の位置関係に相当し、このときの回転角度αを位相差というものとする。
【0038】
また、上記両閉曲線の位相をずらすことにより、最絞り部53の高さ方向の幅Wは、容器1の周方向に沿って変化することになるが、このときの最小幅は、2〜6mmであるのが好ましく、特に好ましくは3〜5mmである。最大幅は、8〜14mmであるのが好ましく、特に好ましくは9〜12mmである。
また、幅が変化する割合は、容器1の寸法にもよるが、最小幅に対して最大幅が1.5〜6倍であるのが好ましく、特に好ましくは2.5〜4倍である。
【0039】
なお、図示する例では、接続部511が形成する鞍馬状の閉曲線と、接続部521が形成する鞍馬状の閉曲線とを、同一形状の閉曲線としてその位相をずらしているが、これらの閉曲線は異なるものとすることもできる。また、一方が形成する閉曲線を単なる二次元的な円形状として、必要に応じて適宜中心線Xに対して傾けるなどしてもよい。これらの場合においても、絞り部53の高さ方向の幅Wが、上記範囲で変化するのが好ましい。
【0040】
以上説明したような本実施形態に係る合成樹脂製容器は、例えば、公知の射出成形や押出成形により製造された、有底筒状のプリフォームを二軸延伸ブロー成形するなどして製造することができる。また、本実施形態に係る容器1を構成する熱可塑性樹脂は、延伸ブロー成形及び熱結晶化可能な樹脂であれば任意のものを使用することができる。
【0041】
具体的には、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリカーボネート,ポリアリレート、ポリ乳酸又はこれらの共重合体等の熱可塑性ポリエステル、これらの樹脂あるいは他の樹脂とのブレンド物が好適であり、特に、ポリエチレンテレフタレート等のエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルが好適に使用される。
また、アクリロニトリル樹脂,ポリプロピレン,プロピレン−エチレン共重合体,ポリエチレン等も使用することができる。
これらの樹脂には、成形品の品質を損なわない範囲内で種々の添加剤、例えば、着色剤,紫外線吸収剤,離型剤,滑剤,核剤,酸化防止剤,帯電防止剤等を配合することができる。
【0042】
エチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルは、エステル反復単位の大部分、一般に70モル%以上をエチレンテレフタレート単位が占めるものであり、ガラス転移点(Tg)が50〜90℃、融点(Tm)が200〜275℃の範囲にあるものが好適である。
エチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)が耐圧性,耐熱性,耐熱圧性等の点で特に優れているが、エチレンテレフタレート単位以外にイソフタル酸やナフタレンジカルボン酸等の二塩基酸とプロピレングリコール等のジオールからなるエステル単位の少量を含む共重合ポリエステルも使用することができる。
【0043】
また、本実施形態に係る容器1は、単層(一層)の熱可塑性ポリエステル層で構成される場合の他、二層以上の熱可塑性ポリエステル層により構成することもできる。さらに、二層以上の熱可塑性ポリエステル層からなる内層及び外層の間に封入される中間層を備えることができ、中間層をバリヤー層や酸素吸収層とすることができる。
このようにバリヤー層,酸素吸収層を備えることにより、容器内への外部からの酸素の透過を抑制し、容器内の内容物の外部からの酸素による変質を防止することができる。
ここで、酸素吸収層としては、酸素を吸収して酸素の透過を防ぐものであれば任意のものを使用することができるが、酸化可能有機成分及び遷移金属触媒の組合せ、あるいは実質的に酸化しないガスバリヤー性樹脂,酸化可能有機成分及び遷移金属触媒の組み合わせを使用することが好適である。
【0044】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【0045】
例えば、前述した実施形態において、上側胴部31及び下側胴部32は、高さ方向に沿って延びる稜線により画成された複数の減圧吸収面からなる減圧吸収機能を備えているが、本発明に係る合成樹脂製容器には、種々の減圧吸収機能を備えさせることができる。
また、前述した実施形態にあっては、上側胴部31の横断面形状は正十二角形状、下側胴部32は正十六角形状としたが、上側胴部31及び下側胴部32の具体的形状も特に限定されず、その断面形状は、その他の多角形状、又は円形状とすることもできる。
【0046】
さらに、ウェスト部5の最絞り部53を円筒状のものとして、本発明の好ましい実施形態を説明したが、最絞り部53の形状も、容器1の把持性を考慮して、比較的面数の多い多面体形状としたり、側面を湾曲させたりするなど、本発明の範囲で変更することができる。
また、上絞り部51と下絞り部52の横断面形状も特に限定されず、例えば、上側胴部31又は下側胴部32の横断面形状から、最絞り部53の横断面形状へと、徐々に変化していくようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上説明したように、本発明に係る合成樹脂製容器は、アセプティック充填を行う飲料水、ミネラルウォーター、ミルクコーヒー、茶類、健康飲料や、中温充填の酒類、調味料等を内容物とするボトル状容器として好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る合成樹脂製容器の一実施形態の概略を示す正面図である。
【図2】本発明に係る合成樹脂製容器の一実施形態の横端面図であり、図2(a)、図2(b)、図2(c)は、それぞれ図1のA−A横端面、B−B横端面、C−C横端面を示している。
【図3】ウェスト部近傍の概略を示す要部拡大断面図である。
【図4】接続部511,521が形成する鞍馬状の閉曲線の位置関係を説明する概念図である。
【符号の説明】
【0049】
1 容器
2 口部
3 胴部
31 上側胴部
32 下側胴部
4 底部
5 ウェスト部
51 上絞り部
52 下絞り部
53 最絞り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部、胴部及び底部を備えた合成樹脂製容器であって、
前記胴部が、前記胴部の高さ方向ほぼ中央に設けられたウェスト部により、上側胴部と下側胴部とに分けられており、
前記ウェスト部が、前記上側胴部に連続する上絞り部と、前記下側胴部に連続する下絞り部と、前記上絞り部と前記下絞り部とを接続する最絞り部とからなることを特徴とする合成樹脂製容器。
【請求項2】
前記胴部の最大径に対するウェスト部の最小径の比が、0.5〜0.8である請求項1に記載の合成樹脂製容器。
【請求項3】
前記上絞り部の最大径に対する最小径の比が、0.6〜0.9である請求項1又は2に記載の合成樹脂製容器。
【請求項4】
前記下絞り部の最大径に対する最小径の比が、0.7〜0.95である請求項1、2又は3に記載の合成樹脂製容器。
【請求項5】
前記上絞り部及び前記下絞り部のうち、少なくとも前記下絞り部の縦断面形状が、容器内方に凸となる曲線にて前記胴部に連続するように形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の合成樹脂製容器。
【請求項6】
前記上絞り部及び前記下絞り部の縦断面形状が、同一の曲率半径の容器内方に凸となる曲線にて前記胴部に連続するように形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の合成樹脂製容器。
【請求項7】
前記上絞り部における前記曲線と、前記下絞り部における前記曲線とが、共通の中心を有する請求項6に記載の合成樹脂製容器。
【請求項8】
前記曲線の曲率半径が、20〜80mmである請求項5、6又は7に記載の合成樹脂製容器。
【請求項9】
前記上絞り部と前記最絞り部との接続部、及び/又は前記下絞り部と前記最絞り部との接続部が、段部を形成している請求項1〜8のいずれかに記載の合成樹脂製容器。
【請求項10】
前記上絞り部と前記最絞り部との接続部、及び/又は前記下絞り部と前記最絞り部との接続部が、鞍馬状の閉曲線を形成している請求項1〜9のいずれかに記載の合成樹脂製容器。
【請求項11】
前記上絞り部と前記最絞り部との接続部、及び前記下絞り部と前記最絞り部との接続部が、鞍馬状の閉曲線を形成しているとともに、
前記上絞り部と前記最絞り部との接続部が形成する前記閉曲線と、前記下絞り部と前記最絞り部との接続部が形成する前記閉曲線との位相が、0〜180度ずれている請求項1〜10のいずれかに記載の合成樹脂製容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−103736(P2006−103736A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−291607(P2004−291607)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】