説明

合成樹脂製容器

【課題】溝状のウェスト部が形成された容器胴部の周方向に沿って巻きラベルを巻き付ける際に、巻きラベルにシワが生じてしまうなどの外観不良を抑止することができる合成樹脂製容器を提供する。
【解決手段】周方向に沿って所定の間隔で断続的に形成された主溝部40aと、主溝部40aが途切れた部位に対応させて、主溝部40aと段違いに形成された主溝部40aよりも幅狭の副溝部40bと、主溝部40aと副溝部40bとを接続する傾斜溝部40cとを有する溝状のウェスト部40を、胴部4の全周にわたって連続するように形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器胴部に帯状の巻きラベルが装着される合成樹脂製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂を用いてプリフォームを形成し、次いで、このプリフォームを延伸ブロー成形などによってボトル状に成形してなる合成樹脂製の容器が、各種飲料品を内容物とする飲料用容器として知られている。
【0003】
また、この種の容器は、内容物が充填密封されるとともに、内容物を表示する種々のラベルが装着されて市場に供されており、そのようなラベルの一つとして、帯状に切り揃えられたラベルを容器の胴部に巻き付けて装着する、いわゆる、巻きラベルと称されるものが知られている(特許文献1参照)。そして、そのような巻きラベルを容器に装着するには、例えば、始端側と終端側とに接着剤が塗布された巻きラベルを吸着ドラムに吸引保持し、自転しながら搬送されてくる容器の周面に巻きラベルの始端を押し当てて接着し、容器の自転により吸着ドラムから巻き取るようにしながら容器の周方向に沿って巻き付け、巻きラベルの終端を始端上に重なるように容器の周面に押し当てて接着することによって装着することができる(特許文献2,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−22662号公報
【特許文献2】特開2002−104349号公報
【特許文献3】特開2008−37439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、それ自身が伸縮して容器形状に追随するストレッチラベルやシュリンクラベルとは異なり、巻きラベルの多くは伸縮を伴わずに容器に巻き付けられていくことになる。このため、容器に巻き付けていく際に、巻きラベルにシワが生じてしまうことが危惧される。
【0006】
例えば、この種の容器にあっては、容器の剛性を高めるために、特許文献1の図1などに示されているように、胴部の全周にわたって溝状に形成されたウェスト部を設けることが知られている。そして、このようなウェスト部が設けられた容器胴部の周方向に沿って巻きラベルを巻き付けていく際には、その巻き付け方向の張力が強くなると、ウェスト部を形成する溝にラベルが食い込んでしまうことがあり、そのような場合には、ラベルの巻き終わりの部分が浮き上がってしまうなどして、シワなどの外観不良が生じてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上記したような事情に鑑みてなされたものであり、溝状のウェスト部が形成された容器胴部の周方向に沿って巻きラベルを巻き付ける際に、巻きラベルにシワが生じてしまうなどの外観不良を抑止することができる合成樹脂製容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る合成樹脂製容器は、口部、肩部、胴部及び底部を備え、前記胴部の全周にわたって溝状に形成されたウェスト部を跨いで帯状の巻きラベルが装着される合成樹脂製容器であって、前記ウェスト部が、周方向に沿って所定の間隔で断続的に形成された主溝部と、前記主溝部が途切れた部位に対応させて、前記主溝部と段違いに形成された副溝部と、前記主溝部と前記副溝部とを接続する傾斜溝部とを有する構成としてある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、溝状のウェスト部が形成された容器胴部の周方向に沿って当該ウェスト部を跨いで帯状の巻きラベルを装着しても、胴部に巻き付けられた巻きラベルにシワが生じてしまうのを抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る合成樹脂製容器の実施形態の概略を示す正面図である。
【図2】本発明に係る合成樹脂製容器の実施形態の変形例の概略を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す正面図である。
【0012】
本実施形態において、容器1は、例えば、公知の射出成形や圧縮成形などにより製造された、熱可塑性樹脂からなる有底筒状のプリフォームを二軸延伸ブロー成形するなどして、図示するような、口部2、肩部3、胴部4、及び底部5を備えた所定の容器形状に成形される。
【0013】
容器1を成形するのに使用する熱可塑性樹脂としては、延伸ブロー成形が可能であれば、任意の樹脂を使用することができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリカーボネート,ポリアリレート,ポリ乳酸又はこれらの共重合体などの熱可塑性ポリエステル,これらの樹脂あるいは他の樹脂とブレンドされたものなどが好適である。特に、ポリエチレンテレフタレートなどのエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルが、好適に使用される。また、アクリロニトリル樹脂,ポリプロピレン,プロピレン−エチレン共重合体,ポリエチレンなども使用することができる。
【0014】
図示する例において、口部2は、円筒状とされ、このような口部2の開口端側の側面には、図示しない蓋体を取り付けるためのねじ山が、蓋体取り付け手段として設けられている。これにより、内容物を充填した後に、蓋体を口部2に取り付けることによって、容器1内を密封できるようになっている。
【0015】
また、肩部3は、口部2と胴部4との間に位置し、口部2の直下から拡径しながら胴部4に連続するように形成されている。胴部4は、容器1の高さ方向の大半を占める部分であり、特に図示しないが、高さ方向に直交する横断面が、角部を丸めた方形となるようにしている。これにより、容器1は、角型ボトル状の容器形状とされている。
なお、本発明において、高さ方向とは、口部2を上にして容器1を水平面に置いたときに、水平面に直交する方向に沿った方向をいうものとする。
【0016】
また、胴部4の高さ方向ほぼ中央付近には、容器1の剛性を高めるためウェスト部40が、胴部4の全周にわたって溝状に形成されている。
図1に示す例において、ウェスト部40は、胴部4の各側面に位置するように周方向に沿って所定の間隔で断続的に形成された主溝部40aと、主溝部40aが途切れた胴部4の各角部において、主溝部40aに対して高さ方向上側と高さ方向下側の両方に段違いに形成された主溝部40aよりも幅狭の副溝部40bと、主溝部40aから分岐して上下に位置するそれぞれの副溝部40bに接続する傾斜溝部40cとを有しており、これらが胴部4の全周にわたって連続するようにして形成されている。
【0017】
本実施形態では、このようなウェスト部40が形成された胴部4に、容器1に充填密封される内容物を表示するための巻きラベルが帯状に切り揃えられて、当該ウェスト部40を跨いで装着される。巻きラベルが装着される範囲を図1に符号Lで示すが、胴部4の側面には、減圧吸収パネルや補強リブなど、必要に応じて適宜凹凸形状を設けることができる。
【0018】
ここで、ウェスト部40は全周にわたって同じ幅で形成することもできるが、本実施形態にあっては、副溝部40bの幅Wbを主溝部40aの幅Waよりも狭くなるようにしている。このとき、副溝部40bの幅Wbは、巻きラベルを胴部4に巻き付ける際に、巻きラベルが副溝部40bに食い込み難くなるように適宜調整するものとする。副溝部40bの幅Wbは、具体的には、3〜6mm程度とするのが好ましい。
一方、主溝部40aの幅Waは、容器1の剛性を確保するのに必要な幅を確保するものとし、具体的には、7〜15mm程度とするのが好ましい。
【0019】
このようにすることで、内容物を充填密封して胴部4に巻きラベルを装着する際に、容器1の剛性を損なうことなく、巻きラベルがウェスト部40を形成する溝に食い込んでしまうのを防ぐことができ、これによって、胴部4に巻き付けられた巻きラベルにシワが生じないようにすることが可能になる。
【0020】
すなわち、ウェスト部40が、周方向に沿って直線状に形成されていると、ウェスト部40を形成する溝に巻きラベルが食い込みやすくなってしまうが、ウェスト部40を形成する主溝部40aと副溝部40bとを段違いにして、高さ方向に直交する同一平面上に、溝部が形成された部位と、溝部が形成されていない部位とを混在させることで、巻きラベルの食い込みを緩和することができる。
【0021】
特に、本実施形態のように、角形ボトル状の容器形状とした容器1にあっては、巻きラベルを胴部4の角部に巻き付けるときに張力が強まり、当該角部に位置する溝部に巻きラベルが食い込みやすくなってしまう傾向がある。これに対して、本実施形態では、胴部4の角部に副溝部40bを位置させるとともに、当該副溝部40bに巻きラベルが食い込み難いように主溝部40aよりも幅狭としているので、巻きラベルの食い込みをより有効に回避することができる。
【0022】
また、ウェスト部40を全周にわたって形成せずに、胴部4の角部だけ溝部をなくした形態としたのでは、容器1の剛性が弱くなってしまい、巻きラベルを装着する際に容器1が変形してしまうおそれがある。そのような場合には、巻きラベルを巻き付けること自体が困難となってしまうが、本実施形態にあっては、ウェスト部40を胴部4の全周にわたって形成しているので、そのような不具合もない。
【0023】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【0024】
例えば、前述した実施形態では、主溝部40aに対して高さ方向上側と高さ方向下側の両方に副溝部40bを形成した例を示したが、副溝部40bは、主溝部40aが途切れた部位に対応して形成されていれば、主溝部40aに対して高さ方向上側と高さ方向下側のいずれか一方に形成するようにしてもよい。
ここで、このような態様の一例を図2に示すが、図2に示す例にあっては、主溝部40aが途切れた胴部4の各角部において、主溝部40aに対して高さ方向上側に段違いに形成された主溝部40aよりも幅狭の副溝部40bと、主溝部40aと副溝部40bとを接続する傾斜溝部40cとを有しており、これらが胴部4の全周にわたって連続するようにして形成されている。
【0025】
また、前述した実施形態では、胴部4の高さ方向に直交する横断面を方形として角形ボトル状の容器形態としているが、本発明は、当該横断面を多角形とした容器形態としてもよい。この場合、胴部の角部に副溝部を位置させるとともに、当該副溝部を主溝部よりも幅狭とするのが好ましいのは、当該横断面を方形とした場合と同様である。
【0026】
さらに、本発明は、当該横断面を円形状とした、丸型ボトル状の容器にも適用することもできる。このような丸型ボトル状の容器にあっても、容器ウェスト部を形成する主溝部と副溝部とを段違いにして、高さ方向に直交する同一平面上に、溝部が形成された部位と、溝部が形成されていない部位とを混在させることで、巻きラベルの食い込みを緩和することができる。この場合にあっても、副溝部を主溝部よりも幅狭とすることで、巻きラベルの食い込みをより有効に緩和させることができるのはいうまでもない。
また、丸型ボトル状の容器に本発明を適用して、巻きラベルの食い込みをより有効に緩和させるには、特に図示しないが、主溝部と副溝部とは、胴部の周方向に沿って、容器の中心軸に対して等角度間隔で均等に配置されるようにするのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
以上のような本発明に係る合成樹脂製容器は、巻きラベルが装着される種々の合成樹脂製容器に適用できる。
【符号の説明】
【0028】
1 容器
2 口部
3 肩部
4 胴部
40 ウェスト部
40a 主溝部
40b 副溝部
40c 傾斜溝部
5 底部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部、肩部、胴部及び底部を備え、前記胴部の全周にわたって溝状に形成されたウェスト部を跨いで帯状の巻きラベルが装着される合成樹脂製容器であって、
前記ウェスト部が、周方向に沿って所定の間隔で断続的に形成された主溝部と、前記主溝部が途切れた部位に対応させて、前記主溝部と段違いに形成された副溝部と、前記主溝部と前記副溝部とを接続する傾斜溝部とを有することを特徴とする合成樹脂製容器。
【請求項2】
前記副溝部が、前記主溝部よりも幅狭に形成された請求項1に記載の合成樹脂製容器。
【請求項3】
前記主溝部に対して高さ方向上側と高さ方向下側の両方に、前記副溝部がそれぞれ形成され、かつ、
前記傾斜溝部が、前記主溝部から分岐して前記副溝部のそれぞれに接続するように形成された請求項1又は2のいずれか一項に記載の合成樹脂製容器。
【請求項4】
前記胴部の高さ方向に直交する横断面が方形とされた角型ボトル状の合成樹脂製容器であって、
前記胴部のコーナー部に前記副溝部を形成した請求項1〜3のいずれか一項に記載の合成樹脂製容器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−41080(P2012−41080A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186075(P2010−186075)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】