説明

合成画像表示システム、合成画像表示方法、及び合成画像表示プログラム

【課題】付加価値性に優れた高精度な画像又はサービスを提供する。
【解決手段】撮影された画像の所定の位置に他の画像を合成して表示する合成画像表示システムにおいて、予め設定された光の照射後、時間の経過と共に輝度が変化する変化物により所定の情報が記された情報提供媒体を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮影された画像中に含まれる前記変化物の輝度情報を取得する輝度情報取得手段と、前記輝度情報取得手段により得られる輝度情報を用いて、予め蓄積された複数の合成対象画像のうち、前記輝度情報に対応する画像を抽出する画像情報抽出手段と、前記画像情報抽出手段により抽出された合成対象画像と前記撮影画像とを合成し、合成画像を表示する画像合成手段とを有することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成画像表示システム、合成画像表示方法、及び合成画像表示プログラムに係り、特に付加価値性に優れた高精度な画像を提供するための合成画像表示システム、合成画像表示方法、及び合成画像表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、模様等が描かれたカードを撮影し、撮影したカメラ映像から検出されるカードの種類や3次元位置情報に基づいて、楽器を制御するMIDI(Musical Instrument Digital Interface)信号を出力したり、映像を出力する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、撮影されるカードの情報だけでなくカード自体の速度情報を用いて映像を選択することで、カードの移動内容に対応する様々な映像を出力する技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
また、カメラで紙媒体の図形を認識してパソコンのディスプレイ上に仮想図形を表示させる表示させる従来のシステムツール等が存在する(例えば、非特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−32076号公報
【特許文献2】特開2003−271928号公報
【非特許文献1】"http://www.hitl.washington.edu/artoolkit/"、「ARToolKit」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術では、カード等を所定方向(平行や回転)に移動させることによって、合成される画像に動きを持たせて表示を行うことができるが、カード等を停止させたまま合成させる画像を変化させることができなかった。そのため、例えば予め制作された動画を合成する等の対応しかできず、カード種別毎にある特定の動作しかできなかったため、付加価値性に優れた高精度な画像や映像は提供されていなかった。
【0006】
また、上述した非特許文献1に示されている仮想図形表示システムでは、一旦、仮想図形が表示されると図形を変化させることは難しかった。すなわち、外部の環境変化に応じて図形を変化させることはできなかった。
【0007】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、付加価値性に優れた高精度な画像を提供するための合成画像表示システム、合成画像表示方法、及び合成画像表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本件発明は、以下の特徴を有する課題を解決するための手段を採用している。
【0009】
請求項1に記載された発明は、撮影された画像の所定の位置に他の画像を合成して表示する合成画像表示システムにおいて、予め設定された光の照射後、時間の経過と共に輝度が変化する変化物により所定の情報が記された情報提供媒体を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮影された画像中に含まれる前記変化物の輝度情報を取得する輝度情報取得手段と、前記輝度情報取得手段により得られる輝度情報を用いて、予め蓄積された複数の合成対象画像のうち、前記輝度情報に対応する画像を抽出する画像情報抽出手段と、前記画像情報抽出手段により抽出された合成対象画像と前記撮影画像とを合成し、合成画像を表示する画像合成手段とを有することを特徴とする。
【0010】
請求項1記載の発明によれば、付加価値性に優れた高精度な画像又はサービスを提供することができる。
【0011】
請求項2に記載された発明は、前記輝度情報取得手段は、前記画像に含まれる前記変化物の領域の平均輝度値を輝度情報とすることを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、誤差の少ない輝度情報を取得することができる。
【0013】
請求項3に記載された発明は、前記輝度情報取得手段は、予め設定される波長の紫外線光、赤外線光、及び可視光のうち、少なくとも1つの光源から照射された後の前記変化物の輝度情報を取得することを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、予め設定される波長のライト等の光源の光を照射することにより、目的の画像をユーザに提供することができる。また、設定される波長を変えることで多種の合成画像を提供することができる。
【0015】
請求項4に記載された発明は、前記輝度情報取得手段は、前記変化物に対する基本輝度値を予め設定し、前記撮影画像から得られる前記変化物の輝度情報と基本輝度値との差分値を輝度情報として取得することを特徴とする。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、情報提供媒体を撮影する周りの環境に依存せずに合成画像を提供することができる。
【0017】
請求項5に記載された発明は、前記画像情報抽出手段は、前記変化物の経時的な輝度情報の変化に伴い、所定時間毎における各輝度情報に対応する合成対象画像を順次抽出し、前記画像合成手段は、前記画像情報抽出手段により前記合成対象画像が抽出される毎に、前記撮影画像と前記合成対象画像との合成を行うことを特徴とする。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、順次合成する画像を変化させることで、動画を提供することができる。
【0019】
請求項6に記載された発明は、前記変化物により前記情報提供媒体に記された印字情報を解析する印字情報解析手段を有し、前記画像情報抽出手段は、前記輝度情報取得手段により得られる輝度情報と、前記印字情報解析手段により得られる印字情報とに基づいて、合成する対象画像を抽出することを特徴とする。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、より付加価値の高いサービスを提供することができる。
【0021】
請求項7に記載された発明は、前記印字情報は、文字、図形、模様、画像及びバーコード情報のうち、少なくとも1つであることを特徴とする。
【0022】
請求項7記載の発明によれば、1又は複数の印字情報を用いて、多種の付加価値の高いサービスを提供することができる。
【0023】
請求項8に記載された発明は、前記画像合成手段は、前記撮影画像に含まれる前記情報提供媒体の位置、角度、向きのうち少なくとも1つを含む姿勢情報、及び前記輝度情報に基づいて、前記合成対象画像に対して、表示、非表示、大きさ、位置、方向を制御することを特徴とする。
【0024】
請求項8記載の発明によれば、情報提供媒体の位置、角度、向きのうち少なくとも1つを含む姿勢情報を用いて、より多くの合成画像を提供することができ、より付加価値の高いサービスを提供することができる。
【0025】
請求項9に記載された発明は、前記変化物の熱情報を取得する熱情報取得手段を有し、前記画像情報抽出手段は、前記輝度情報取得手段により得られる輝度情報、前記印字情報解析手段により得られる印字情報、及び前記熱情報取得手段により得られる熱情報のうち、少なくとも1つの情報を用いて、合成する対象画像を抽出することを特徴とする。
【0026】
請求項9記載の発明によれば、熱情報を用いることにより、その時の環境等に応じたサービスを提供することができる。また、塗料が非可視であっても熱情報を用いることで、合成画像を提供することができる。
【0027】
請求項10に記載された発明は、撮影された画像の所定の位置に他の画像を合成して表示する合成画像表示方法において、予め設定された光の照射後、時間の経過と共に輝度が変化する変化物により所定の情報が記された情報提供媒体を撮像する撮像ステップと、前記撮像ステップにより撮影された撮影画像中に含まれる前記変化物の輝度情報を取得する輝度情報取得ステップと、前記輝度情報取得ステップにより得られる輝度情報を用いて、予め蓄積された複数の合成対象画像のうち、前記輝度情報に対応する画像を抽出する画像情報抽出ステップと、前記画像情報抽出ステップにより抽出された合成対象画像と前記撮影画像とを合成し、合成画像を表示する画像合成ステップとを有することを特徴とする。
【0028】
請求項10記載の発明によれば、付加価値性に優れた高精度な画像又はサービスを提供することができる。
【0029】
請求項11に記載された発明は、前記輝度情報取得ステップは、前記画像に含まれる前記変化物の領域の平均輝度値を輝度情報とすることを特徴とする。
【0030】
請求項11記載の発明によれば、誤差の少ない輝度情報を取得することができる。
【0031】
請求項12に記載された発明は、前記輝度情報取得ステップは、予め設定される波長の紫外線光、赤外線光、及び可視光のうち、少なくとも1つの光源から照射された後の前記変化物の輝度情報を取得することを特徴とする。
【0032】
請求項12記載の発明によれば、予め設定される波長のライト等の光源の光を照射することにより、目的の画像をユーザに提供することができる。また、設定される波長を変えることで多種の合成画像を提供することができる。
【0033】
請求項13に記載された発明は、前記輝度情報取得ステップは、前記変化物に対する基本輝度値を予め設定し、前記撮影画像から得られる前記変化物の輝度情報と基本輝度値との差分値を輝度情報として取得することを特徴とする。
【0034】
請求項13記載の発明によれば、情報提供媒体を撮影する周りの環境に依存せずに合成画像を提供することができる。
【0035】
請求項14に記載された発明は、前記画像情報抽出ステップは、前記変化物の経時的な輝度情報の変化に伴い、所定時間毎における各輝度情報に対応する合成対象画像を順次抽出し、前記画像合成ステップは、前記画像情報抽出ステップにより前記合成対象画像が抽出される毎に、前記撮影画像と前記合成対象画像との合成を行うことを特徴とする。
【0036】
請求項14記載の発明によれば、順次合成する画像を変化させることで、動画を提供することができる。
【0037】
請求項15に記載された発明は、前記変化物により前記情報提供媒体に記された印字情報を解析する印字情報解析ステップを有し、前記画像情報抽出ステップは、前記輝度情報取得ステップにより得られる輝度情報と、前記印字情報解析ステップにより得られる印字情報とに基づいて、合成する対象画像を抽出することを特徴とする。
【0038】
請求項15記載の発明によれば、より付加価値の高いサービスを提供することができる。
【0039】
請求項16に記載された発明は、前記印字情報は、文字、図形、模様、画像及びバーコード情報のうち、少なくとも1つであることを特徴とする。
【0040】
請求項16記載の発明によれば、1又は複数の印字情報を用いて、多種の付加価値の高いサービスを提供することができる。
【0041】
請求項17に記載された発明は、前記画像合成ステップは、前記撮影画像に含まれる前記情報提供媒体の位置、角度、向きのうち少なくとも1つを含む姿勢情報、及び前記輝度情報に基づいて、前記合成対象画像に対して、表示、非表示、大きさ、位置、方向を制御することを特徴とする。
【0042】
請求項17記載の発明によれば、情報提供媒体の位置、角度、向きのうち少なくとも1つを含む姿勢情報を用いて、より多くの合成画像を提供することができ、より付加価値の高いサービスを提供することができる。
【0043】
請求項18に記載された発明は、前記変化物の熱情報を取得する熱情報取得ステップを有し、前記画像情報抽出ステップは、前記輝度情報取得ステップにより得られる輝度情報、前記熱情報取得ステップにより得られる熱情報、及び前記印字情報解析ステップにより得られる印字情報のうち複数の情報を用いて、合成する対象画像を抽出することを特徴とする。
【0044】
請求項18記載の発明によれば、熱情報を用いることにより、その時の環境等に応じたサービスを提供することができる。また、塗料が非可視であっても熱情報を用いることで、合成画像を提供することができる。
【0045】
請求項19に記載された発明は、コンピュータに、請求項1乃至9の何れか1項に記載の合成画像表示システムの各手段に係る処理を実行させる。
【0046】
請求項19記載の発明によれば、付加価値性に優れた高精度な画像又はサービスを提供することができる。また、プログラムをインストールすることにより、汎用のパーソナルコンピュータ等で本発明における合成画像表示処理を容易に実現することができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、付加価値性に優れた高精度な画像又はサービスを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
<本発明の概要>
本発明は、例えばカメラ等の撮像手段及びそのカメラと接続されたPC(Personal Computer)や、カメラ付き携帯端末等を用いて、予め設定された光の照射後、時間の経過と共に輝度が変化する変化物により所定の情報が記された情報提供媒体(例えば、カード状の紙や樹脂シート等)を撮像し、撮影された画像に含まれる情報に対応する仮想図形等の画像(合成対象画像)を、撮影画像と合成してディスプレイ等の画面に表示する。
【0049】
このとき、本発明では、情報提供媒体に情報を記すために用いられる変化物として、例えば外部刺激(紫外線光、赤外線光、可視光、熱)により発光、吸収する発光・吸収物質、或いは、環境により色変化を起す物質(再帰反射等)を用いることができ、撮影された画像から情報提供媒体上の変化物の輝度情報を取得し、取得した輝度情報に対応する画像(静止画、動画、文字情報等を含む)を予め蓄積された画像群から抽出し、抽出した画像と撮影画像とを合成して画面上に表示される。なお、本発明における輝度情報とは、発光(明るさ)だけを意味するものではなく、色相、明度、彩度等の色情報も含む。
【0050】
具体的には説明すると本発明は、外部刺激として紫外線を用いる場合には、例えばPC側に紫外線を含むライト(光源)を情報提供媒体に照射することにより、発光物質が発光して図形を変化させることができる。また、時間の経過により輝度情報が変わる場合には、その輝度に対応して画像や映像、文字情報等を変化させることができる。また、PC側に紫外線センサーを搭載することにより、センサーからの検出信号を用いて取得した検出結果から仮想図形を変化させることができる。更に、本発明では、外部刺激として体温等の熱を用いて、情報提供媒体の発光物質に指で触れることにより、発光物質が発光して図形を変化させることもできる。
【0051】
以下に、本発明における合成画像表示システム、合成画像表示方法、及び合成画像表示プログラムを好適に実施した形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の説明では、情報提供媒体として紙状のカードを用いて説明するが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、例えば樹脂や金属等でもよく、形状もカードのように平面状だけでなく、例えば球や円筒のような湾曲形状又は凹凸形状を有していてもよい。
【0052】
<合成画像表示システム:機能構成例>
ここで、本実施形態における合成画像表示システムの機構構成例について図を用いて説明する。
【0053】
図1は、本実施形態における合成画像表示システムの機構構成の一例を示す図である。図1に示す合成画像表示システム10は、撮像装置(撮像手段)11と、合成画像表示装置12と、携帯端末13と、画像管理データベース14と、合成画像表示装置12或いは携帯端末13、及び画像管理端末14とをデータの送受信可能な状態で接続される有線又は無線からなる通信ネットワーク15とを有するよう構成されている。なお、図1において、撮像装置11は、合成画像表示装置12内に一体となって形成されていてもよい。また、本実施形態における撮像装置11及び合成画像表示装置12の構成は、図1に示すように例えばカメラ機能付きの携帯端末13で置き換えることでもできる。
【0054】
デジタルカメラ等の撮像装置11又は携帯端末13におけるカメラ機能(撮像手段)は、カード(情報提供媒体)20に印字された所定の枠21内の文字情報22を含む画像を撮影する。なお、本実施形態において、枠21及び文字情報22の一方又は両方は、本実施形態における変化物で印字されている。なお、文字情報22は、「あ」等の文字に限定されず、模様はバーコード情報等であってもよい。また、枠21や文字情報22等の印字情報としては、例えば文字、図形、模様、画像及びバーコード情報のうち、少なくとも1つを用いることができる。また、印字情報として枠21を記しておくことで、輝度情報を取得する位置情報や、合成対象画像を撮影画像と合成する際、その合成位置や向き、大きさ等を調整することができる。
【0055】
これにより、1又は複数の印字情報を用いて、多種の付加価値の高いサービスを提供することができる。なお、本実施形態で適用される印字情報の詳細については、後述する。
【0056】
合成画像表示装置12は、撮像装置11から撮影された画像を解析し、画像に含まれる枠21や文字情報22の内容等から輝度情報や、文字情報、熱情報等を取得する。また、合成画像表示装置12は、取得した上述の各種情報に基づいて、合成対象画像を抽出し、抽出した画像を撮影画像に合成して、ディスプレイ等の画面上に表示する。
【0057】
このとき、合成対象画像や、本実施形態により得られる合成画像表示処理を行うために必要なプログラム又は各種更新設定情報等は、合成画像表示装置12に予め蓄積されている画像群やデータ情報等から取得してもよく、また通信ネットワーク15を介して接続されるデータの送受信が可能な画像管理データベース14等から取得してもよい。更に、合成画像表示装置12から画像管理データベース14に撮影画像を送信し、画像管理データベース側で、抽出された合成対象画像と、撮影画像とを合成し、合成した画像を合成画像表示装置12や携帯端末13に送信することできる。
【0058】
また、携帯端末13は、上述した撮像装置11と、合成画像表示装置12と同等の処理を行う。なお、携帯端末13は、画像管理データベース14と接続する場合には、予め設定さえる画像管理データベース14のアドレス情報に基づいて無線等により接続し、上述した輝度情報や、文字情報、熱情報等に基づいて上述した合成対象画像や、撮影画像も画像管理データベース14に送信してデータベース側で合成された合成画像を取得する。
【0059】
画像管理データベース14は、合成画像表示装置12や携帯端末13からの問い合わせ情報(輝度情報、文字情報、熱情報)等に対して対象となる合成対象画像やその他の設定情報等の各種情報を合成画像表示装置12や携帯端末13に提供する。
【0060】
なお、図1に示すように、本実施形態では、カメラの撮影方向に対して得られるカード状のカード20のx、y、z座標における位置(向き)情報を表すことができる。また、枠情報は、単なる太線のマーカーだけでなく、枠自体に文字や数字、図形、模様、顔の写真等も印字することができる。
【0061】
つまり、図1に示すようにカード20の位置情報は、x座標がカメラに対して水平方向の位置を示し、y座標がカメラに対して垂直方向の位置を示し、z座標がカメラに対する距離を示している。また、姿勢情報は、上述のx軸、y軸、z軸の各軸に対する所定のカードの位置を基準とした回転の度合を示すものであり、カードそのものの姿勢を表すものである。これにより、ユーザがカードを動かした場合、カードを撮影したカメラからカード情報(カードの種類、3次元位置情報、姿勢情報)を取得する。
【0062】
したがって、これらの情報を読み取って解析することで、合成対象画像を多種の条件に応じて多数選択させることができ、これにより、付加価値の高いサービスを提供することができる。なお、カード20は、紙状に限定されず、樹脂性やアルミ等の金属性を有していてもよい。
【0063】
更に、本実施形態では、カード20に対して予め設定される波長の紫外線光、赤外線光、及び可視光のうち、少なくとも1つの光源23から光を照射し、照射された後の変化物の輝度情報を取得することで、目的の画像をユーザに提供することができる。また、設定される波長を変えることで多種の合成画像を提供することができる。
【0064】
<合成画像表示装置12:機能構成例>
次に、合成画像表示装置12の機能構成例について図を用いて説明する。なお、合成画像表示装置12の機能構成については、携帯端末13にて置き換えることもでき、また画像管理データベース14における各機能も具備することもできる。
【0065】
図2は、合成画像表示装置の機能構成の一例を示す図である。図2に示す合成画像表示装置12は、入力手段31と、出力手段32と、蓄積手段33と、撮影画像取得手段34と、輝度情報取得手段35と、印字情報解析手段36と、熱情報取得手段37と、画像情報抽出手段38と、画像合成手段39と、送受信手段40と、制御手段41とを有するよう構成されている。
【0066】
入力手段31は、ユーザ等からの撮影画像取得指示や、輝度情報取得指示、印字情報解析指示、熱情報取得指示、画像情報抽出指示、画像合成指示等の各種指示の開始/終了等の入力を受け付ける。なお、入力手段31は、例えばPCであればキーボードや、マウス等のポインティングデバイスからなり、携帯端末13であれば各操作ボタン群等からなる。また、入力手段31は、例えばデジタルカメラ等の撮像手段等により撮影されたカード20(情報提供媒体)の撮像部分を含む画像を入力する機能も有する。
【0067】
また、出力手段32は、入力手段31により入力された内容や、入力内容に基づいて実行された内容等の表示・出力を行う。なお、出力手段32は、ディスプレイやスピーカ等からなる。更に、出力手段32としてプリンタ等の機能を有していてもよく、その場合には、合成画像の表示結果や撮影画像、輝度情報、合成対象画像情報、印字情報、熱情報、合成画像等を表示する。更に出力手段32は、上述の各出力内容を紙等の印刷媒体に印刷して、ユーザ等に提供することもできる。
【0068】
なお、入力手段31と出力手段32とは、例えばタッチパネル等のように一体型の入出力手段であってもよく、この場合にはユーザの指やペン型の入力装置等を用いて所定の位置をタッチして入力を行うことができる。
【0069】
また、蓄積手段33は、撮影画像取得手段34により得られる撮影画像、輝度情報取得手段35により得られる輝度情報、印字情報解析手段36により得られる印字情報、熱情報取得手段37により得られる熱情報、画像情報抽出手段38により得られる画像情報、画像合成手段39により得られる合成画像等の各種データを蓄積する。
【0070】
また、蓄積手段33は、本実施形態において、撮影画像と合成を行う合成対象画像を、カード20等を撮影した画像から得られる変化物の輝度情報や印字情報と対応付けて蓄積する。また、蓄積手段33は、必要に応じて蓄積されている各種データを読み出すことができる。
【0071】
撮影画像取得手段34は、カメラ等の撮像装置11により撮影されたカード20に含まれる画像を取得する。
【0072】
輝度情報取得手段35は、撮像手段としての撮像装置11により撮影された撮影画像中に含まれる変化物の輝度情報を取得する。なお、輝度情報取得手段35は、例えば画像に含まれる上述した枠の座標を取得し、取得した座標から枠内に記される変化物の領域の平均輝度値を輝度情報とする。これにより、誤差の少ない輝度情報を取得することができる。また、輝度情報取得手段35は、予め設定される波長の紫外線光、赤外線光、及び可視光のうち、少なくとも1つの光源から照射された後の変化物の輝度情報を取得する。これにより、予め設定される波長のライト(光源)の光を照射することにより、合成画像を変化させてユーザに提供することができる。
【0073】
更に、輝度情報取得手段35は、変化物に対する基本輝度値を予め設定し、撮影画像から得られる変化物の輝度情報と基本輝度値との差分(変化)値を輝度情報として取得する。なお、基本輝度値は、例えば上述した光源からの光が照射していない状態で撮影された画像から得られる変化物の輝度情報を用いることができる。これにより、情報提供媒体を撮影する周りの環境に依存せずに合成画像を提供することができる。
【0074】
印字情報解析手段36は、変化物により印字された情報を解析する。具体的には、印字情報解析手段36は、例えば、OCR(Optical Character Reader)等の文字読み取りツール等を用いて文字解析を行うことができる。なお、印字情報としては、枠21内の文字情報22であってもよく、また枠21自体が直接、文字や図形、文字、バーコード情報等を用いていてもよい。なお、印字される各種情報の具体例については後述する。
【0075】
熱情報取得手段37は、変化物をユーザ等が直接指や掌等で触ったり、周囲の環境(温度等)等により変化した変化物の熱情報を取得する。なお、熱情報取得手段37としては、例えばサーモセンサ等の一般的な熱検知センサを用いて熱情法を取得することができる。
【0076】
画像情報抽出手段38は、輝度情報取得手段35により得られる輝度情報、印字情報解析手段36により得られる印字情報、及び熱情報取得手段37により得られる熱情報のうち1又は複数の情報を用いて、合成する対象画像又は映像、文字情報等のうち、少なくとも1つ抽出する。なお、画像情報抽出手段38が抽出するものは、画像そのものに限定されず、文字や映像、模様、文字情報等でもよい。
【0077】
画像合成手段39は、画像情報抽出手段38により合成対象画像(静止画、動画、文字情報等を含む)が抽出される毎に、撮影画像と合成対象画像との合成を行う。このとき、画像合成手段39は、画像情報抽出手段38により複数の画像が得られた場合には、得られた複数の合成対象画像を全て合成してもよく、また撮影画像に対して1つの合成対象画像を時間の経過と共に順次変化させたり繰り返して表示させてもよい。
【0078】
また、上述した画像情報抽出手段38は、例えば所定時間の経過毎に変化物の経時的な輝度情報を取得し、その輝度情報の変化に伴い、経時的な各輝度情報に対応する合成対象画像を順次抽出することで、画像合成手段39は、合成対象画像が入力される毎に撮影画像に対して合成処理を行い、その合成画像を順次表示させることができる。これにより、情報提供媒体を移動させなくても画像を変化させることができ、動画等をユーザに提供することができる。
【0079】
送受信手段40は、上述した通信ネットワーク15等を用いて接続可能な外部装置(例えば、画像管理データベース14等)から所望する外部画像(撮影画像や合成対象画像等)や、本発明における合成画像表示処理を実現するための実行プログラム等を取得するためのインタフェースである。
【0080】
制御手段41は、合成画像表示装置12の各構成部全体の制御を行う。具体的には、制御手段41は、例えばユーザ等による入力手段31からの指示等に基づいて、撮影画像の取得や輝度情報、印字情報、及び熱情報の取得、合成対象画像の抽出、画像合成等の各処理の各制御等を行う。
【0081】
<印字情報について>
ここで、本実施形態におけるカード20に記される枠21及び文字情報22等の印字情報の具体例について図を用いて説明する。
【0082】
図3は、印字情報の具体例を示す図である。図3に示す印字情報は、図3(a)に示すように枠51に1種類以上の模様(線も模様の1種に含まれる。)を付与することにより、その模様に対応した合成画像を抽出することができる。なお、枠51の太さを変えることにより、その太さに対応した合成対象画像を抽出されることもできる。
【0083】
また、図3(b)に示すように、枠52自体が文字情報や数字情報等を印字しておくことで、その文字情報等を読み取り、対応する合成対象画像を取得することができる。
【0084】
更に、図3(c)に示すように、枠53の一部又は全部に1次元バーコード54−1やQRコード等の二次元バーコード54−2を付与することで、より多くの情報を取得することができ、対応する多種の合成対象画像を取得することができる。 したがって、上述したように、カード20に対する光(紫外線光、赤外線光、可視光等)の照射の有無により得られる変化物の輝度情報の変化(差分)値により合成対象画像を変えて合成表示させるだけでなく、印字情報に基づいて更に多種の合成対象画像から対応する1又は複数の合成対象画像を抽出して撮影画像と合成して表示することで、より付加価値の高いサービスを提供することができる。
【0085】
また、上述した印字情報は可視でも非可視でもよい。つまり、非可視にしておくことにより、認証等のセキュリティ情報として活用することができる。なお、本実施形態において、可視となる変化物としては、例えば日亜化学工業社の蛍光塗料として、CRT用蛍光体(ZnS:Ag,Al,ZnS:Cu,Al,Y2O2S:Eu)、ランプ用蛍光体((SrCaBaMg)5(PO4)3Cl:Eu,LaPO4:Ce,Tb,Y2O3:Eu,)、PDP用蛍光体(BaMgAl10O17:Eu,Zn2SiO4:Mn,(Y,Gd)BO3:Eu)、X線用蛍光体(CaWO4,Gd2O2S:Tb)、蓄光蛍光体(Sr4Al14O25:Eu,Dy)、丸岡教育用品の蛍光・夜光・UV絵の具をそのまま使う。
【0086】
また、ブラックライトカラー、アクアグロー、蛍光塗料スプレー、マジックルミノペイント、紫外線反射絵の具、サンライトマーカー等を用いることができる。
【0087】
更に、Honeywell社の蛍光顔料として、LUMILUX Long Afterglow−Pigments,LUMILUX Effect−Pigments,LUMILUX C Pigments,LUMILUX Z Pigments,LUMILUX R Pigments,等を用いることもできる。
【0088】
また、根本特殊化学株式会社の夜光顔料として、N夜光(ルミノーバ)G−300,GLL−300,GSS,BG−300,BGL−300,V−300,B−300を用いることができ、また、化成オプトニクスのTrue−Blueシリーズの蛍光顔料、TASCO CO.,LTDのサーモクロミック顔料、東京リキッドカラー、朝日物産の示温ペイントサーマックスクリアライン等を用いることができる。更に、フルオレセイン、エオシン、ローダミンB、チオフラビン等の蛍光染料、紫外光で無色から橙に変化するアゾベンゼン、紫外光で無色から赤色になるジアリルエテンを用いることができる。更に、熱により色変化するN,N−ジエチルエチレンジアミン銅錯体(43℃以下赤紫、43℃以上濃紫)、溶媒によって色の変化するピリジニウムN−フェノキシドベタイン(メタノール:赤、エタノール:紫、イソブチルアルコール:青)、無色から塩基性で赤に変化するフェノールフタレイン。黄色から酸によって赤色に変わるキノンジイミン、更に、酸を添加すると青色に変化する材料を用いることができる。
【0089】
また、非可視の変化物としては、例えば角度によって色が変化する雲母チタン、ポリマー多層膜、再帰反射素材を用いることができる。また、見た目は分からないが、角度によって色が見えてもよく、これらの素材はカード20に用いることもできる。時間の経過と共に輝度情報が変化しにくい塗料を用いることができる。
【0090】
<再帰反射について>
なお、本発明においては、情報提供媒体として再帰反射シートを用いることにより、更に高精度な情報を読み取ることができる。以下にその内容について説明する。なお、実施例として、再帰反射シートである積層材料からの情報読み取り方法について説明する。
【0091】
本発明にかかる情報読み取り方法は、情報提供媒体である積層材料に光を照射し、積層材料からの再帰反射光を観察することで、積層材料に記録された情報を読み取ることを特徴とする。この情報読み取り方法は、図1に説明する装置によって実施することができる。図1に示す合成画像表示システム10において、読み取り手段は、光源23(白色光源)と、撮像装置11である光検出手段(CCDカメラ)と、合成画像表示装置12等で構成される。
【0092】
白色の光源23から出射した光は、再帰反射シートからなるカード20へ向かう。カード20へ向かった光は、カード20に入射する。カード20からの再帰反射光は、CCDカメラへと向かい、そこで検出される。CCDカメラによって検出された検出信号は、図1に示すように合成画像表示装置12へ送られる。合成画像表示装置12では、この検出信号に基づいてカード20に記録した情報の解析を行う。
【0093】
なお、上述した本実施形態に係るカード20から情報を読み取るためには、光の照射方向と略同一方向から観察する必要がある。そのため、例えば、光源23とカード20との間にハーフミラーを設けてもよい。これにより、CCDカメラは、ハーフミラーの面に対し、光源が配置された位置と反対側に設置することができ、ハーフミラーを用いることで光源23とCCDカメラとが位置的に干渉し合うことなく配置することができ、好適に再帰反射光を観測することができる。なお、本実施形態では、例えば光源23の位置とCCDカメラの位置とを取り替えた構成としてもよい。
【0094】
以下に、本発明の具体的な実施例を説明するが、本発明は以下の構成に限定されるものではない。
【0095】
<実施例1>
・透明樹脂
(株)セイコーアドバンス社製スクリーン印刷用インキSG−410(90部)、トルエン(10部)を混合し透明塗料を調製した。
・スクリーン印刷用版の作成
ナイロン製150メッシュスクリーンを用いて、10mm角のQR型2次元コード(14×14セル、コード情報:SHISEIDO)の版を作成した。
・再帰反射材
再帰反射材(微小球固定層+反射層)として、株式会社丸仁製オープン型再帰反射フィルム(LIGHT FORCETM LFU−1200、反射層:アルミニウム蒸着、ガラスビーズの直径:約40〜50μm、ビーズの埋没率:約50%)を用いた。
・情報コードの印刷方法
上記の再帰反射材の表面(透明微小球が露出した面)に、上記のスクリーン印刷用板を使用して、スクリーン印刷機で2次元コード(透明樹脂層)の厚さが約10μmになるように印刷した。印刷した2次元コードは外観上目視でほとんど認識できず、再帰反射材の意匠性を損なうことはなかった。
・コード情報の読み取り解析
図1に示した装置を用いて、上で作成した積層材料に対し、コード情報の読み取りを行った。ここで、光検出手段および情報コード解析手段として、CCDカメラ付コードリーダTHIR−3000LP((株)東研製))を用いた。コード情報の読み取り、解析を行った結果、実際にコード情報として記録されている「SHISEIDO」と読み取ることができた。
【0096】
<合成画像表示システム10:ハードウェア構成>
ここで、上述した合成画像表示システム10においては、各機能をコンピュータに実行させることができる実行プログラム(合成画像表示プログラム)を生成し、例えば汎用のパーソナルコンピュータ、サーバ等にその実行プログラムをインストールすることにより、本発明における合成画像表示処理等を実現することができる。
【0097】
ここで、本実施形態における合成画像表示処理が実現可能なコンピュータのハードウェア構成例について図を用いて説明する。図4は、本実施形態における合成画像表示処理が実現可能なハードウェア構成の一例を示す図である。
【0098】
図4におけるコンピュータ本体には、入力装置61と、出力装置62と、ドライブ装置63と、補助記憶装置64と、メモリ装置65と、各種制御を行うCPU(Central Processing Unit)66と、ネットワーク接続装置67とを有するよう構成されており、これらはシステムバスBで相互に接続されている。
【0099】
入力装置61は、ユーザ等が操作するキーボード及びマウス等のポインティングデバイスを有しており、ユーザ等からのプログラムの実行等、各種操作信号を入力する。また、入力装置61は、カメラ等の撮像手段から撮影された情報提供媒体を含む画像を入力する入力ユニットを有している。
【0100】
出力装置62は、本発明における処理を行うためのコンピュータ本体を操作するのに必要な各種ウィンドウやデータ等を表示するディスプレイを有し、CPU66が有する制御プログラムによりプログラムの実行経過や結果等を表示することができる。
【0101】
なお、入力装置61と出力装置62とは、例えばタッチパネル等のように一体型の入出力手段であってもよく、この場合にはユーザの指やペン型の入力装置等を用いて所定の位置をタッチして入力を行うことができる。
【0102】
ここで、本発明においてコンピュータ本体にインストールされる実行プログラムは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやCD−ROM等の可搬型の記録媒体68等により提供される。プログラムを記録した記録媒体68は、ドライブ装置63にセット可能であり、記録媒体68に含まれる実行プログラムが、記録媒体68からドライブ装置63を介して補助記憶装置64にインストールされる。
【0103】
補助記憶装置64は、ハードディスク等のストレージ手段であり、本発明における実行プログラムや、コンピュータに設けられた制御プログラム等を蓄積し必要に応じて入出力を行うことができる。
【0104】
メモリ装置65は、CPU66により補助記憶装置64から読み出された実行プログラム等を格納する。なお、メモリ装置65は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等からなる。
【0105】
CPU66は、OS(Operating System)等の制御プログラム、及びメモリ装置65に格納されている実行プログラムに基づいて、各種演算や各ハードウェア構成部とのデータの入出力等、コンピュータ全体の処理を制御して、合成画像表示における各処理を実現することができる。なお、プログラムの実行中に必要な各種情報等は、補助記憶装置64から取得することができ、また実行結果等を格納することもできる。
【0106】
ネットワーク接続装置67は、通信ネットワーク等と接続することにより、実行プログラムを通信ネットワークに接続されている他の端末等から取得したり、プログラムを実行することで得られた実行結果又は本発明における実行プログラム自体を他の端末等に提供することができる。
【0107】
上述したようなハードウェア構成により、本発明における合成画像表示処理を実行することができる。また、プログラムをインストールすることにより、汎用のパーソナルコンピュータ等で本発明における合成画像表示処理を容易に実現することができる。
【0108】
<合成画像表示処理手順>
次に、本実施形態における合成画像表示処理手順について説明する。図5は、本実施形態における合成画像表示処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0109】
図5に示す合成画像表示処理は、まずカメラ等の撮像手段により撮影された情報提供媒体を含む画像を取得し(S01)、情報提供媒体の枠の座標を取得し(S02)、現時点での輝度情報(基本輝度値)を取得する(S03)。なお、S03の処理では、例えば、枠内の所定色(例えば、緑色等)の平均輝度を取得し、その内容を保存しておく。なお、上述のS01からS03の処理は、予め平均輝度を設定しておいてもよい。
【0110】
次に、本発明の内容を説明する便宜上、例えばブラックライト等の光源を情報提供媒体に照射し、その後のカメラの画像を取得するとする。つまり、予め設定された波長の光が光源から照射された情報提供媒体をカメラで撮影し、カメラからの画像を取得する(S04)。
【0111】
また、画像に含まれる枠の座標を取得し(S05)、取得した枠及び枠内に印字された印字情報に光源からの光が照射された後の輝度情報を取得する(S06)。なお、S06における輝度情報は、上述したように光源からの光が照射された後の塗布領域の輝度情報でもよく、その輝度情報と上述のS03にて取得した基本輝度値との差分値であってもよい。差分値を取得することで、情報提供媒体の撮影環境に依存せずに目的の画像を取得することができる。
【0112】
また、必要に応じて、OCR等により印字情報を解析し(S07)、サーモグラフィー等により熱情報を取得する(S08)。
【0113】
ここで、予め設定された輝度情報や、印字情報、熱情報のうち、1又は複数の情報を用いて画像を合成するか否かを判断する(S09)。画像を合成しない場合(S09において、NO)、S04に戻り処理を継続する。また、画像を合成する場合(S09において、YES)、輝度差、印字情報、熱情報のうち、少なくとも1つを用いて合成対象画像を抽出する(S10)。更に、抽出した合成対象画像を撮影画像と合成し(S11)、合成画像を取得した枠の座標情報に対応して表示する(S12)。
【0114】
更に、処理を終了するか否かを判断し(S13)、処理を終了する場合(S13において、NO)、S04に戻り処理を継続する。また、処理を終了する場合(S13において、YES)、合成画像表示処理全体を終了する。
【0115】
上述した処理により、付加価値性に優れた高精度な画像を提供することができる。なお、上述の処理において、入力される画像又は各処理により得られた画像は、蓄積手段33に入力することができる。また、各処理において、入力される画像や各処理の実行経過や実行結果、ユーザに入力手段31により指示を行われる場合等の処理を出力手段32等により取得するようにしてもよい。
【0116】
<実施例2>
次に、実施例2として、本実施形態において表示される画像例について図を用いて説明する。図6は、本発明において表示される合成画像の一例を示す図である。
【0117】
まず、図6(a)に示す例では、カード(情報提供媒体)70に枠71が印字されていた。このとき、最初に撮影される画像から得られる印字情報(枠、文字情報等)の輝度情報等を用いてデータベース等から取得した合成画像72−1,72−2が、枠71の座標情報に対応して画面に表示された。なお、図6(a)では、一例として植木鉢(合成画像)72−1と、その植木鉢(合成画像)72−1に植えられている苗(合成画像)72−2が表示された。
【0118】
次に、図6(b)に示す部分に、夜光塗料(根本特殊化学(株)ルミノーバG−300)を印字しておいた。ここに、ブラックライト等の光源を照射することで、印字情報を印字した塗料の輝度情報が変化するため、図6(a)に示す苗(合成画像)72−2に変わって花(合成画像)72−3を表示させることができた。
【0119】
このように、本実施例では、輝度情報に対応して合成対象画像の種類を変えて合成表示させることで、多種の画像を表示させることができる。また、時間に応じて輝度が変化する塗料等を使い分けることにより、例えば、苗が成長して花が咲き、その後枯れていくような、動画等を提供することができる。また、本実施例では、画像や表示されている各画像の向きを枠の角の位置等により変えたりを、拡大、縮小表示等の表示方法を変更したり、対応する音声を表示させたりすることもできる。
【0120】
<その他の実施形態>
ここで、上述の実施形態においては、カード等の情報提供媒体に印字された印字情報等の変化物(二次元バーコード等)を撮影し、撮影した画像から印字情報を解析することで、対応する合成画像を所定の位置に表示しているが、本発明においてはこの限りではなく、例えば情報提供媒体をディスプレイ等の表示装置とし、ディスプレイに表示されている上述した変化物を撮影した画像を取得し、取得した画像に含まれる変化物を解析することで、対応する立体画像を抽出し、撮影された画像にその画像を合成させた合成画像を表示させることができる。なお、この実施形態では、例えば映像表示やスライド表示等により画面に表示された変化物を時間の経過と共に容易に切り換えることができ、撮影側は画面に表示される変化物を含む画像を上述したように撮影することで、その変化物に対応する立体画像を合成して動画のように表示させることができる。
【0121】
更に、本実施形態では、上述したように情報提供媒体に印字や表示された情報を用いるだけでなく、例えば照明を照射して地面や壁等に投影された影を変化物とし、その影を二次元コード等の付加情報を持たせて投影し、その影を撮影して得られる画像から影を解析することで、対応する立体画像を抽出し、撮影された画像にその画像を合成させた合成画像を表示させることができる。また、影の濃さ等により抽出する画像を変化させてもよい。
【0122】
上述したように、本発明によれば、付加価値性に優れた高精度な画像又はサービスを提供することができる。また、予め設定される波長のライト等の光源の光を照射することにより、目的の画像をユーザに提供することができる。また、設定される波長を変えることで多種の合成画像を提供することができる。
【0123】
また、情報提供媒体を撮影する周りの環境に依存せずに合成画像を提供することができる。また、輝度情報が変化することで、他の合成対象画像が選択されて合成表示させることができる。これにより、動画等も提供することができる。また、情報提供媒体の位置、角度、向きのうち少なくとも1つを含む姿勢情報を用いて、より多くの合成画像を提供することができ、より付加価値の高いサービスを提供することができる。更に、熱情報を用いることにより、その時の環境等に応じたサービスを提供することができる。また、塗料が非可視であっても熱情報を用いることで、合成画像を提供することができる。
【0124】
なお、上述の装置は、携帯端末等にも適用することができる。したがって、本発明を適用することで、例えば、ギフトカード等と組み合わせることにより、太陽にカードに当てると花が咲くようなカードサービスや、インターネット認証分野、食料品の鮮度解析等の食品検査分野、尿検査等色判断が必要な健康診断検査分野等にも適用することができる。
【0125】
つまり、本発明では、例えば情報提供媒体に紫外線や光源力(光の強さ)に反応する塗料材料等を塗布しておき、情報提供媒体を日光等の外光のあたる部分にセットし、これを撮影装置にて撮影し画像データを経時的に取得して、本システムに入力する。また、PCや携帯端末内の画像は、時間や天候によりリアルに変化する。これにより、外光が届かない地下や建物内部の部屋や、実際に離れている場所でも、その季節・気候等に適した画像を得ることができる。
【0126】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本実施形態における合成画像表示システムの機構構成の一例を示す図である。
【図2】合成画像表示装置の機能構成の一例を示す図である。
【図3】印字情報の具体例を示す図である。
【図4】本実施形態における合成画像表示処理が実現可能なハードウェア構成の一例を示す図である。
【図5】本実施形態における合成画像表示処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明において表示される合成画像の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0128】
10 合成画像表示システム
11 撮像装置
12 合成画像表示装置
13 携帯端末
14 画像管理データベース
15 通信ネットワーク
20,70 カード(情報提供媒体)
21,51,52,53,71 枠
22 文字情報
23 光源
31 入力手段
32 出力手段
33 蓄積手段
34 撮影画像取得手段
35 輝度情報取得手段
36 印字情報解析手段
37 熱情報取得手段
38 画像情報抽出手段
39 画像合成手段
40 送受信手段
41 制御手段
54 バーコード情報
61 入力装置
62 出力装置
63 ドライブ装置
64 補助記憶装置
65 メモリ装置
66 CPU
67 ネットワーク接続装置
72 合成画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影された画像の所定の位置に他の画像を合成して表示する合成画像表示システムにおいて、
予め設定された光の照射後、時間の経過と共に輝度が変化する変化物により所定の情報が記された情報提供媒体を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮影された画像中に含まれる前記変化物の輝度情報を取得する輝度情報取得手段と、
前記輝度情報取得手段により得られる輝度情報を用いて、予め蓄積された複数の合成対象画像のうち、前記輝度情報に対応する画像を抽出する画像情報抽出手段と、
前記画像情報抽出手段により抽出された合成対象画像と前記撮影画像とを合成し、合成画像を表示する画像合成手段とを有することを特徴とする合成画像表示システム。
【請求項2】
前記輝度情報取得手段は、
前記画像に含まれる前記変化物の領域の平均輝度値を輝度情報とすることを特徴とする請求項1に記載の合成画像表示システム。
【請求項3】
前記輝度情報取得手段は、
予め設定される波長の紫外線光、赤外線光、及び可視光のうち、少なくとも1つの光源から照射された後の前記変化物の輝度情報を取得することを特徴とする請求項1又は2に記載の合成画像表示システム。
【請求項4】
前記輝度情報取得手段は、
前記変化物に対する基本輝度値を予め設定し、前記撮影画像から得られる前記変化物の輝度情報と基本輝度値との差分値を輝度情報として取得することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の合成画像表示システム。
【請求項5】
前記画像情報抽出手段は、前記変化物の経時的な輝度情報の変化に伴い、所定時間毎における各輝度情報に対応する合成対象画像を順次抽出し、
前記画像合成手段は、前記画像情報抽出手段により前記合成対象画像が抽出される毎に、前記撮影画像と前記合成対象画像との合成を行うことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の合成画像表示システム。
【請求項6】
前記変化物により前記情報提供媒体に記された印字情報を解析する印字情報解析手段を有し、
前記画像情報抽出手段は、
前記輝度情報取得手段により得られる輝度情報と、前記印字情報解析手段により得られる印字情報とに基づいて、合成する対象画像を抽出することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の合成画像表示システム。
【請求項7】
前記印字情報は、
文字、図形、模様、画像及びバーコード情報のうち、少なくとも1つであることを特徴とする請求項6に記載の合成画像表示システム。
【請求項8】
前記画像合成手段は、
前記撮影画像に含まれる前記情報提供媒体の位置、角度、向きのうち少なくとも1つを含む姿勢情報、及び前記輝度情報に基づいて、前記合成対象画像に対して、表示、非表示、大きさ、位置、方向を制御することを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の合成画像表示システム。
【請求項9】
前記変化物の熱情報を取得する熱情報取得手段を有し、
前記画像情報抽出手段は、
前記輝度情報取得手段により得られる輝度情報、前記印字情報解析手段により得られる印字情報、及び前記熱情報取得手段により得られる熱情報のうち、少なくとも1つの情報を用いて、合成する対象画像を抽出することを特徴とする請求項6に記載の合成画像表示システム。
【請求項10】
撮影された画像の所定の位置に他の画像を合成して表示する合成画像表示方法において、
予め設定された光の照射後、時間の経過と共に輝度が変化する変化物により所定の情報が記された情報提供媒体を撮像する撮像ステップと、
前記撮像ステップにより撮影された撮影画像中に含まれる前記変化物の輝度情報を取得する輝度情報取得ステップと、
前記輝度情報取得ステップにより得られる輝度情報を用いて、予め蓄積された複数の合成対象画像のうち、前記輝度情報に対応する画像を抽出する画像情報抽出ステップと、
前記画像情報抽出ステップにより抽出された合成対象画像と前記撮影画像とを合成し、合成画像を表示する画像合成ステップとを有することを特徴とする合成画像表示方法。
【請求項11】
前記輝度情報取得ステップは、
前記画像に含まれる前記変化物の領域の平均輝度値を輝度情報とすることを特徴とする請求項10に記載の合成画像表示方法。
【請求項12】
前記輝度情報取得ステップは、
予め設定される波長の紫外線光、赤外線光、及び可視光のうち、少なくとも1つの光源から照射された後の前記変化物の輝度情報を取得することを特徴とする請求項10又は11に記載の合成画像表示方法。
【請求項13】
前記輝度情報取得ステップは、
前記変化物に対する基本輝度値を予め設定し、前記撮影画像から得られる前記変化物の輝度情報と基本輝度値との差分値を輝度情報として取得することを特徴とする請求項10乃至12の何れか1項に記載の合成画像表示方法。
【請求項14】
前記画像情報抽出ステップは、前記変化物の経時的な輝度情報の変化に伴い、所定時間毎における各輝度情報に対応する合成対象画像を順次抽出し、
前記画像合成ステップは、前記画像情報抽出ステップにより前記合成対象画像が抽出される毎に、前記撮影画像と前記合成対象画像との合成を行うことを特徴とする請求項10乃至13の何れか1項に記載の合成画像表示方法。
【請求項15】
前記変化物により前記情報提供媒体に記された印字情報を解析する印字情報解析ステップを有し、
前記画像情報抽出ステップは、
前記輝度情報取得ステップにより得られる輝度情報と、前記印字情報解析ステップにより得られる印字情報とに基づいて、合成する対象画像を抽出することを特徴とする請求項10乃至14の何れか1項に記載の合成画像表示方法。
【請求項16】
前記印字情報は、
文字、図形、模様、画像及びバーコード情報のうち、少なくとも1つであることを特徴とする請求項15に記載の合成画像表示方法。
【請求項17】
前記画像合成ステップは、
前記撮影画像に含まれる前記情報提供媒体の位置、角度、向きのうち少なくとも1つを含む姿勢情報、及び前記輝度情報に基づいて、前記合成対象画像に対して、表示、非表示、大きさ、位置、方向を制御することを特徴とする請求項10乃至16の何れか1項に記載の合成画像表示方法。
【請求項18】
前記変化物の熱情報を取得する熱情報取得ステップを有し、
前記画像情報抽出ステップは、
前記輝度情報取得ステップにより得られる輝度情報、前記熱情報取得ステップにより得られる熱情報、及び前記印字情報解析ステップにより得られる印字情報のうち複数の情報を用いて、合成する対象画像を抽出することを特徴とする請求項15に記載の合成画像表示方法。
【請求項19】
コンピュータに、請求項1乃至9の何れか1項に記載の合成画像表示システムの各手段に係る処理を実行させることを特徴とする合成画像表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−157034(P2010−157034A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333847(P2008−333847)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】