説明

合成芝のための充填材料およびそれから得られた合成芝

使用時に被覆する表面(50)に隣接して配置される第1の面(2a)、および第1の面(2a)と反対側の第2の面(2b)を備えたマット(2)を有する合成芝(1)。合成芝(1)は、さらに、マット(2)に編まれ、合成材料からなる複数のフィラメント(3)を有する。マット(2)の第2の面(2b)の上には、さらに、合成材料からなるフィラメント(3)の全表面に配置された充填材料(10)が存在する。充填材料(10)は、特に、所定量の穀類のもみ、たとえば米のもみ、小麦のもみ、ライ麦のもみ、オート麦のもみ、スペルト小麦のもみ、またはこれらの組み合わせ、および少なくとも1つの微生物蒸解に耐性のある解繊した樹木材料、たとえばコイアをベースとする原材料、または高含有量のリグニンを含む原材料、たとえばテックのパルプ材料、マホガニーのパルプ材料、イロコのパルプ材料、もしくはこれらの組み合わせからの遊離した最終産物の混合物からなる少なくとも1つの層(15)を有する。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
発明の分野
本発明は野菜由来の有機材料を含む合成芝のための充填材料に関し、それから得られた合成芝にも関する。
【0002】
発明の背景
よく知られているように、人工芝はプラスチック材料のマットを必須とし、これに合成材料のブレードが連結して天然芝を模倣している。合成材料のブレードは公知の方法によってマットに編まれ、必要に応じて厚い、フィラメントのワープを与える。合成材料の全周には通常、充填材料(単純にインフィルと呼ばれる)、たとえば砂の層とそれに続く粒状の合成または天然材料の層が配置されている。
【0003】
スポーツおよび合成芝が予定している用途の種類に応じて、好適な種類の充填材料が選択される(たとえば、同じ出願人名義のイタリア特許出願PI2001A000049号およびPI2003A000036号を参照のこと)。
【0004】
特に、充填材料は、雨水または灌漑水の排水を調整することによる排水作用;マットの保護;人工芝の高い耐性を与え;特に天然芝に典型的な芝の機械的、物理的および工学的な品質を与える。
【0005】
このような品質は、たとえば:ユーザーのためのグラウンドの弾力性、ボールまたは他の器具の部品のリバウンド、落ちた時の衝撃の吸収能力、靴によって生じる力に対する引張抵抗およびトルク抵抗、圧縮および外部物体の侵入に対する抵抗、ならびに降水および灌漑の場合の水の吸収および排水の能力である。
【0006】
これらの理由のために、公知の種類の充填材料は、所定量の砂(これは合成芝の効果的な排水のために必要である)、および通常は粒状の所定量のゴム材料(これは合成芝に、上述したように必要な物理的および機械的特性、そして、高い弾性を与える)を有する。
【0007】
しかし、上述したように用いられるゴム充填材料は主に、廃棄材料、たとえば粉砕した使用済みタイヤから、またはある場合にはエラストマーの混合物から得られ、したがってこれは高含有量の、環境および人間の両方にとって有毒および潜在的に有害な物質、たとえば重金属および種々の種類の溶媒を含む。
【0008】
代わりに、新しく調製されたゴムの粒子を様々な化学組成で用いるが、これはより降下であり、ある場合には高コストに加えて芝の寿命の終わりに廃棄することが困難である。
【0009】
このような充填材料として用いられるゴム中の有害物質の存在は、さらに、新しい合成芝に換えられる使用済の合成芝を分解することに対して障害を提起する。
【0010】
さらに、弾性材料はそれほど多くの水を保持することができず熱を蓄積することができないので、暑い季節には、プレーヤーに天然芝よりも多くの不快感を生じさせる。
【0011】
JP2003034906は、人造繊維が結合された支持体を有する合成芝を記載している。人造繊維の全周には、充填材料が存在する。インフィルは、ゴム粒子、特に粉砕した使用済みタイヤからなる下層、および遊離した材料からなる少なくとも1つの上層を有する。遊離した材料は、たとえば、明るい色をもつ、「もみ殻」、おがくず、または他の材料でよく、日光を反射でき、次に芝の過剰な加熱を避けることができ、したがって充填材料の上部、すなわち粉砕した使用済みタイヤの層の上に配置される層を作る粒状材料の層が必要である。これは、0.3ないし1に設定された比重を有する粒状材料を用いて得られる。
【0012】
しかし、JP2003034906に記載された芝も、廃棄材料、たとえば使用済みタイヤ、または合成エラストマーの混合物を伴う分野の、上述した欠点を有する。
【0013】
JP2003034906に記載された解決策の他の欠点は、上層が非常に軽いので、風によって容易に吹き飛ばされうるということである。スポーツの試合中には、これはプレーヤーの動作に障害になりうる。これは、試合中に、上層をぬれたままにすることが不可能なためである。
【0014】
EP0541844には、たとえばゴルフコースにおいて、植物の栽培のための成長基材として用いることができる人工土壌が記載されている。この人工土壌は、害虫およびウイルスに対して非常に耐性があるので、天然土壌においてなされる栽培において普通に用いられる、殺虫剤および化学製品の使用を減少させることを可能にする。より詳細には、この人工土壌は、小石の層、砂の層、および植物の栽培のための人工土壌からなる層を有する。この人工土壌は、複数の成分、特に砂、石炭、鉱石およびもみ殻に加えて、マッシュルームのための栽培の土壌を、60重量%ないし80重量%に設定された比率で含む。
【0015】
この文献には、合成芝を作るための人工土壌の使用については言及されていない。
【0016】
発明の概要
したがって、本発明の特徴は、ゴム粒子を含まない、または限られた量で与えるが、いかなる場合にも高い弾性を有する、合成芝のための充填材料を提供することである。
【0017】
本発明の他の特徴は、時間とともにより生分解可能であり、多くのパーセンテージのゴム粒子を含む、現在知られているインフィルに対してより容易に廃棄される合成芝のための充填材料を提供することである。
【0018】
本発明のさらなる特徴は、主にまたは完全に天然の植物質材料からなり、同時に、腐敗せず、したがってバクテリアによって攻撃されない、合成芝のための充填材料を提供することである。
【0019】
本発明の特別な特徴は、不燃性の合成芝のための充填材料を提供することである。
【0020】
さらに、本発明の特徴は、水の保持が低く、したがって合成芝を通して水の通常の流出を調整できる、合成芝のための充填材料を提供することである。
【0021】
本発明のさらなる特徴は、風によって吹き飛ばされる軽量の成分のリスクを避け、したがってスポーツの試合中のプレーヤーを妨げることを避ける、合成芝のための充填材料を提供することである。
【0022】
本発明のさらなる特徴は、高い弾性、したがって充填材料としてゴムを用いている合成インフィルに匹敵するまたはより高い工学的品質を達成する合成芝のための充填材料を提供することである。
【0023】
本発明によれば、これらのおよび他の特徴は、合成芝のための1つの典型的な充填材料によって達成され、その主な特徴は、
−測定した量の、微生物蒸解に耐性のある解繊した樹木材料;
−測定した量の穀類のもみ
の混合物を含むことである。
【0024】
有利には、前記微生物蒸解に耐性のある解繊した樹木材料は、ココナツコイアをベースとする原材料からの遊離した産物である。
【0025】
代わりに、前記微生物蒸解に耐性のある解繊した樹木材料は、高含有量のリグニンを含む原材料から得られる、パルプ化した木質材料から得られ、特に以下の群から選択される。
【0026】
−テック(Teck)のパルプ材料;
−マホガニーのパルプ材料;
−イロコ(Iroko)のパルプ材料;
−またはこれらの組み合わせ。
【0027】
特に、前記微生物蒸解に耐性のある解繊した樹木材料、たとえばコイアは、湿度の存在中において、軽量成分たとえば「これらをトラップ」し、芝のインフィルから離れることができ、環境に散らばる穀類のもみを保持する、三次元網状のパルプを作り出す。このことは、穀類のもみの物理的特性、特にその高弾性を完全に利用し、同時にスポーツの試合中にプレーヤーを妨害することがあるのを避けることを可能にする。さらに、穀類のもみは、シェル様の形状を有し、混合物に高いボイド比率を与える。
【0028】
穀類のもみ、またはもみ殻は、穀類の作業を導く副産物であり、脱穀後にさやを取り囲む、苞、または頴によって形成される。
【0029】
特に、穀類のもみは下記の群から選択されうる:
−米のもみ;
-小麦のもみ;
-ライ麦のもみ;
-オート麦のもみ;
-スペルト小麦のもみ;
−またはこれらの組み合わせ。
【0030】
好ましくは、穀類のもみは米のもみを含み、これは外皮の曲げに対して高率の弾性を有する。特に、穀類のもみは、実質的に凹部および凸部を有し、かなり高度な凹状であるレンズ形になっている。これらの特殊な形態的な特徴のため、穀類のもみ、特に米のもみは、高い体積を占めるが、高いボイド率を有する。したがって、一方で高い弾性が達成され、他方でこれらを含む混合物によって高い排水作用が達成される。
【0031】
特に、穀類のもみは、混合物中に1%ないし15%に設定された体積パーセントで存在しうる。
【0032】
有利には、穀類のもみ、前記混合物中に1%ないし10%に設定された体積パーセントで存在する。たとえば、混合物の全体積に対する穀類のもみの体積パーセントは約6%でありうる。
【0033】
特に、微生物蒸解に耐性のある解繊した樹木材料からなるマトリックスは、限られた量の穀類のもみを保持しうる。より正確には、15−20%v/vより高い穀類のもみは、上述した欠点をもつマトリックスによっては保持されない。
【0034】
有利には、前記混合物はさらに、粉砕コルクをベースとする原材料から得られる、所定量の遊離した最終産物を含む。このように、粉砕コルクを穀類のもみおよび微生物蒸解に耐性のある解繊した樹木材料に混合すると、充填材料の物理的特性がさらに向上する。特に、コルクの存在は、合成芝の弾性をさらに増加させ、したがって競技者のパフォーマンスを改善する。
【0035】
有利には、充填材料はさらに、所定量の砂を含む。
【0036】
たとえば、前記混合物は所定量の砂を含みうる。
【0037】
典型的な本発明の実施形態において、充填材料は、
−砂の下層(前記砂の層は前記充填材料の全体積の5%ないし60%に設定された体積を有する);
−前記混合物からなる上層
を含みうる。
【0038】
特に、砂の層は、前記充填材料の全体積の8%ないし30%に設定された体積で存在しうる。
【0039】
特に、砂は0.4mmないし2.0mmに設定された粒度を有する。
【0040】
特に、微生物蒸解に耐性のある解繊した樹木材料は、前記混合物中に40%ないし95%、有利には65%ないし85%に設定された体積パーセントで存在する。
【0041】
特に、前記植物質の天然起源の遊離した材料の混合物中に存在する、測定した量v/vのコルクは、15%ないし40%v/v、有利には20%ないし35%v/vに設定される。
【0042】
有利には、植物質の天然起源の遊離した材料の混合物は、以下の組成を有する:
−約1%ないし約15%v/v、特に約1%ないし約10%v/vの穀類のもみ、特に米のもみ;
−約20%ないし約35%v/v、特に約20%ないし約25%v/vのコルク、特に粉砕コルク;
−約55%ないし80%、特に約65%ないし75%の微生物蒸解に耐性のある解繊した樹木材料、特にココナツコイアをベースとする遊離の材料。
【0043】
好ましくは、穀類のもみは5%ないし15%に設定された湿度を有する。
【0044】
特に、ココナツ粉をベースとする原材料からの遊離した最終産物は、ココナツをベースとする出発原材料に含まれる、単独の粒状または繊維状の成分を含む。たとえば、粒状および繊維状の成分は、出発原材料を、その存在中の粉末からの粒状および繊維状の成分の分離工程を通して投入することによって得ることができる。
【0045】
有利には、出発遊離産物中に含まれる粒状および繊維状の成分は、ココナツコイアをベースとする原材料をふるい分けすることによって分離される。
【0046】
好ましくは、ココナツ粉の粒状および繊維状の成分は、90重量%について500ミクロン(μm)より大きい粒径を有する。
【0047】
有利には、遊離した材料のふるい分けは、以下の群から選択されるふるい分け手段によって行われる:
−機械的ふるい、特に回転ふるい、振動ふるい、など。
【0048】
−電磁ふるい。
【0049】
有利には、粒状および繊維状の成分は、以下の粒径を有する:
−20重量%ないし40重量%が0.8mmないし1.25mm;
−15重量%ないし35%重量が1.25mmないし1.60mm;
−50重量%ないし70重量%が1.6mmより大きい。
【0050】
本発明の他の態様によれば、スポーツまたはレクレーション活動のための合成芝は、
−被覆する表面上に配置されるように適合された第1の面または前記第1の面と反対側の第2の面を備えたマットと;
−前記マット上に編まれた合成材料の複数のフィラメントであって、前記第2の面から突出して芝を形成する合成材料の複数のフィラメントと;
−前記芝のための充填材料とを有し、前記充填材料は、植物質起源の遊離した材料を含み、前記植物質起源の遊離した材料は、
−測定した量の、微生物蒸解に耐性のある解繊した樹木材料;
−測定した量の穀類のもみ
の混合物を含む。
【0051】
有利には、
前記マット上に編まれた前記合成材料のフィラメントは、以下を含む:
−第1の群の長いフィラメントであって、前記充填材料から突出している第1の群のフィラメント;
−第2の群の短いフィラメントであって、前記充填材料から突出することなく、または前記充填材料から最小限、たとえば2−5mm突出して前記充填材料内に配置されている第2の群のフィラメント。
【0052】
特に、第1の群のフィラメントのフィラメント充填材料から約10−15mm突出している。
【0053】
第2の群のフィラメントのフィラメントは、捻った形を有し、前記充填材料に高い支持を与えてもよい。
【0054】
本発明のさらなる態様によれば、合成芝の製造方法は以下の工程:
−合成材料の複数のフィラメントが結合されたマットを含む芝を用意する工程であって、前記マットは被覆する表面上に配置されるように適合された第1の面または前記第1の面と反対側の第2の面を備え、前記合成材料の複数のフィラメントは前記第2の面から突出している工程と
−前記マットの前記第1の面上に、合成芝を得る充填材料を設置する工程とを有し、前記充填材料は、植物質起源の遊離した材料を含み、前記植物質起源の遊離した材料は、
−測定した量の、微生物蒸解に耐性のある解繊した樹木材料;
−測定した量の穀類のもみ
の混合物を含む。
【0055】
特に、前記充填材料を配置する工程は以下の工程:
−前記マット上に砂の層を配置する工程と;
−前記砂の層の上に前記混合物からなる層を配置する工程と
を含む。
【0056】
有利には、砂の層は、前記充填材料の全体積の5%ないし60%に設定された体積を有する。
【0057】
典型的な実施形態において、充填材料はさらに、米のもみおよび/またはコルクおよび/またはココナツコイアに対して混合された所定量の砂を含みうる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
添付の図面を参照して、典型的であるが限定的ではない、その典型的な実施形態の以下の説明により、本発明がより明確になるであろう。
【図1】図1は、本発明による、合成芝のための充填材料の第1の典型的な実施形態の断面図を概略的に示す断面図である。
【図2】図2は、図1の合成芝のための充填材料の第1の典型的な実施形態の横断面図を概略的に示す断面図である。
【図3】図3は、図1の合成芝のための充填材料の第1の典型的な実施形態の横断面図を概略的に示す断面図である。
【図4】図4は、図1の合成芝のための充填材料の第1の典型的な実施形態の横断面図を概略的に示す断面図である。
【0059】
いくつかの好適な典型的実施形態の説明
図1を参照すると、本発明による合成芝1は、面2a(使用時に被覆する表面50に隣接して配置される)、および面2aと反対側の面2bを備えたマット2を有する。合成芝1は、さらに、マット2に編まれた、合成材料からなる、複数のフィラメント3を含む。マット2の面2b上には、さらに、人工材料のフィラメント3の全周に充填材料10が存在する。
【0060】
本発明によれば、図1に示すように、充填材料10は、少なくとも1つの、測定した量の、微生物蒸解に耐性のある解繊した樹木材料および所定量の穀類のもみの混合物からなる、少なくとも1つの層15を有する。たとえば、穀類のもみは、米のもみ、小麦のもみ、ライ麦のもみ、オート麦のもみ、スペルト小麦のもみ、またはこれらの組み合わせでありうる。特に、もみは、穀類の転換から誘導される副産物を含み、さやを包囲する一連の苞、または外皮を含む。より正確には、穀類たとえば小麦およびライ麦の場合、もみはさや(殻果とも呼ばれる)に付着せず、したがってそれらの分離は脱穀中に直接行われる。その代わり、さやに付着したもみを有する米、オート麦およびスピルト小麦のような穀類の場合、研磨材料がコートされた2つの水平なティスク(いわゆるもみすり機)によって半製粉しなければならず、それを通してさやはもみおよびもみ(glumelle)を除去して剥皮される。脱穀後に、たとえば玄米から、すなわち玄米から、半製粉によって誘導される廃棄物は、米の外皮または米のもみ殻として知られているもみに起源を与える。
【0061】
穀類のもみ、特に米のもみは、外皮の曲げに対して高い弾性を有する。より詳細には、穀類のもみは実質的に凹部および凸部を有し、かなり高度な凹状であるレンズ形になっている。これらの特殊な形態的な特徴のため、穀類のもみ、特に米のもみは、高い体積を占めるが、高いボイド率を有し、それによって一方で高い弾性が誘導され、他方でこれらを含む混合物によって高い排水作用が達成される。
【0062】
その代わりに、微生物蒸解に耐性のある解繊した樹木材料は、コイアをベースとする原材料からの遊離した最終産物、またはその代わりに、高含有量のリグニンを含む原材料から得られる木質のおがくず、たとえばテックのパルプ材料、マホガニーのパルプ材料、イロコのパルプ材料、またはこれらの組み合わせであり得る。特に、上述した微生物蒸解に耐性のある解繊した樹木材料は、湿度の存在中において、充填材料10の軽量成分、特に穀類のもみを、「これらをトラップ」し、芝のインフィルから離れて環境に散らばることがあるのを避けて保持する、三次元網状のパルプを作り出す。このことは、穀類のもみの物理的特性、特にその高弾性を完全に利用し、同時にスポーツの試合中にプレーヤーを妨害することがあるのを避けることを可能にする。
【0063】
また、充填材料10は、粉砕コルクをベースとする原材料からの、所定量の遊離した最終産物を含みうる。このように、粉砕コルクを穀類のもみおよび微生物蒸解に耐性のある解繊した樹木材料に混合すると、充填材料の物理的特性がさらに向上する。
【0064】
典型的な実施形態において、充填材料10は、約1%ないし約15%v/vの穀類のもみ、約55%ないし85%の、ココナツ粉をベースとする原材料、および約20%ないし35%の粉砕コルクを含む組成を有する。充填材料10は、さらに、たとえば0.4mmないし2.0mmに設定された、制御された粒度をもつ、所定量の選択された砂を含みうる。
【0065】
図2に示した典型的な実施形態において、充填材料10は、マット2の面2bに砂の層11を配置してから、上述した植物質の天然起源の遊離した材料の混合物からなる層15を配置して作られる。
【0066】
図3に示した典型的な実施形態において、充填材料10は、今度は異なる材料からなる4つの層を配置して得られる。特に、砂からなる第1の層11および3つの層15a−15cであり、その少なくとも1つは、少なくとも1つの微生物蒸解に耐性のある解繊した樹木材料を含む穀類のもみの混合物からなる。
【0067】
たとえば、砂の層11のうえに、コルクの層15aを配置し、その上に穀類のもみの層15bを、ココナツをベースとする遊離した産物に混合して作る。さらに、ほぼココナツコイアをベースとする遊離した産物だけを含む、さらなる層15cを設けてもよい。
【0068】
上述した2つの典型的な実施形態において、砂の層11は排水作用を有し、さらに、合成芝1の微気候を調整することができる。その代わりに、充填材料10は主に、雨水または感慨水の流出および排水を調整し、運動場の湿度の適度な比率に保証する機能を有する。
【0069】
上述したように、米のもみの存在は、合成芝1に、スポーツおよびレクレーション活動に必要な、適切な物理的および機械的特性を与える。事実、米のもみは、それらが全体的であるか断片化されているかの両方で、高い弾性を有する。さらに、米のもみは、低い水保持のおかげで、芝インフィルからの水の正確な排水を保証し、合成芝1からの水の流出の調整を可能にする。
【0070】
図4に示したさらなる典型的な実施形態において、充填材料10’は、所定のパーセンテージv/vにある、砂、コルク、米のもみおよびココナツ粉をベースとする遊離した産物の混合物からなる単一の不均質層を与える。この場合でも、砂は、充填材料を形成する他の成分と混合したとしても、強い降水の場合に合成芝が冠水するのを避ける効果的な排水作用を行う。
【0071】
たとえば図3に示したように、マット2上に編まれた合成材料のフィラメント3は、充填材料10から突出した少なくとも1つの第1の群の長いフィラメント3’と、短くて、充填材料から突出することなく、または充填材料から最小限、たとえば2−3mm突出し、結果として充填材料10の内部にある、少なくとも1つの第2の群のフィラメント3”を有していてもよい。この第2の群のフィラメント3”は捻じれていて充填材料10に高い支持を与えてもよい。
【0072】
以下は、本発明による充填材料の成分の非限定的な例である:
1)砂
−組成:ケイ砂および/または単結晶石英もしくは凝集石英を有する石英。
【0073】
−SiO2の最小含有量:70%
−物理状態:固体
−形態:結晶性
−pH:5−8
−粒径:0.4−0.9mm
−密度:1500−1700kg/m3
2)植物質起源の有機材料:
−組成:解繊した樹木植物部分から得られ、生分解性であり、異物を含まない植物質の天然材料:
−形態:不規則
−色:茶色
−におい:無臭
−粒径:1−2mm
−pH:5.0−6.5
−導電率:25℃で0.63uS/cm
−湿気含有量:5.0−20.0%。
【0074】
3)米のもみ:
−組成:コメのもみもしくはもみ殻、またはさらに脱穀後に得られる玄米の準精米から得られる廃棄物である殻。玄米におけるもみの比は種類に応じて変化し、17ないし23パーセントに設定される。
【0075】
−色:茶色−ベージュ、
−軟度:固い、
−密度:132−140kg/m3
−特徴:腐敗せず、虫によって攻撃されない、
−組成:
−タンパク質:3.3%
−脂肪:1.1%
−繊維素:45%、
−灰殻:17%、
−平均発熱量:14MJ/kg。
【0076】
4)ココナツコイアをベースとする原材料の遊離した産物:
−粒径:90重量%以上が500ミクロン(μm)より大きい。
【0077】
さらに、以下の表は本発明による充填材料の標準的な組成を示している。
【表1】

【0078】
特に、表に示した充填材料の組成は、合成芝を作るのに使用する繊維のフィラメント(芝)の織り方および密度に応じて、ならびに環境的特徴および芝を支えるグラウンドに応じて、3つの成分のカスタマイズした分布を提供して、示した範囲内で調節できる。
【0079】
充填材料に、この材料の層の連続に関する変更、すなわち2つまたは全ての成分の考えられる混合を施すことができる。層別化および連続、すなわち混合の各場合、標準的な充填材料基準に関して表1に示した各要素の重量パーセントを考慮することが好ましい。
【0080】
例:
約8%v/vの珪砂と92%の植物質の天然材料との層を含む、人工的なサッカー競技場のためのインフィル。
【0081】
粉末部分を除去してある、6%の米のもみと、22%の粉砕コルクと、72%のココナツコイアを含む植物質の天然材料。
【0082】
粉末部分を取り除いてある、約6%の米のもみと、約22%の粉砕コルクと、約72%のココナツコイアとを有する類似した組成物。上に示した範囲とは異なる砂の割合でも、砂を用いなくともうまく使用された。
【0083】
具体的な実施形態についての上記説明は、概念的な視点により本発明を十分に明らかにして、他人が、現在の知識を適用して、さらなる研究なしにおよび本発明から離れることなしに、種々の用途のためにこの実施形態を改良および/または適合できるようにするであろうし、それゆえに、このような適合および改良がこの具体的な実施形態の等価物とみなされなければならないことが理解されるであろう。ここで説明した様々な機能を実現するための手段および材料は、この理由により、本発明の範囲から逸れることなしに別の性質を有することができるであろう。ここで用いた表現または用語は説明を目的とするものであって、限定を目的とするものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成芝のための充填材料であって、
−測定した量の、微生物蒸解に耐性のある解繊した樹木材料;
−測定した量の穀類のもみ
の混合物を含むことを特徴とする合成芝のための充填材料。
【請求項2】
前記微生物蒸解に耐性のある解繊した樹木材料は、ココナツコイアをベースとする原材料からの遊離した産物である、請求項1に記載の合成芝のための充填材料。
【請求項3】
前記微生物蒸解に耐性のある解繊した樹木材料は、高含有量のリグニンを含む原材料から得られるパルプ化した木質材料から得られる、請求項1に記載の合成芝のための充填材料。
【請求項4】
高含有量のリグニンを含む原材料から得られる、前記パルプ化した木質材料は、
−テックのパルプ材料;
−マホガニーのパルプ材料;
−イロコのパルプ材料;
−またはこれらの組み合わせ、
からなる群より選択されるものを含む、請求項3に記載の合成芝のための充填材料。
【請求項5】
前記穀類のもみは、
−米のもみ;
-小麦のもみ;
-ライ麦のもみ;
-オート麦のもみ;
-スペルト小麦のもみ;
−またはこれらの組み合わせ
からなる群より選択されるものを含む、請求項1に記載の合成芝のための充填材料。
【請求項6】
前記穀類のもみは米のもみを含む、請求項1に記載の合成芝のための充填材料。
【請求項7】
前記穀類のもみは、前記混合物中に1%ないし15%に設定された体積パーセントで存在する、請求項1に記載の合成芝のための充填材料。
【請求項8】
前記穀類のもみは、前記混合物中に1%ないし10%に設定された体積パーセントで存在する、請求項1に記載の合成芝のための充填材料。
【請求項9】
前記混合物は、さらに、前記合成芝の物理的特性をさらに改善するのに適した仕方で、粉砕したコルクをベースとする原材料からの所定量の遊離した最終産物を含む、請求項1に記載の合成芝のための充填材料。
【請求項10】
前記混合物は、さらに、所定量の砂を含む、請求項1に記載の合成芝のための充填材料。
【請求項11】
前記充填材料は、
−砂の下層;
−前記混合物からなる上層
を含む、請求項1に記載の合成芝のための充填材料。
【請求項12】
前記砂の層は、前記充填材料の全体積の5%ないし60%に設定された体積で存在する、請求項10または11に記載の合成芝のための充填材料。
【請求項13】
前記砂の層は、前記充填材料の全体積の8%ないし30%に設定された体積で存在する、請求項10または11に記載の合成芝のための充填材料。
【請求項14】
前記砂は0.4mmないし2.0mmに設定された粒度を有する、請求項10または11に記載の合成芝のための充填材料。
【請求項15】
前記微生物蒸解に耐性のある解繊した樹木材料は、前記混合物中に40%ないし95%に設定された体積パーセントで存在する、請求項1に記載の合成芝のための充填材料。
【請求項16】
前記微生物蒸解に耐性のある解繊した樹木材料は、前記混合物中に65%ないし85%に設定された体積パーセントで存在する、請求項1に記載の合成芝のための充填材料。
【請求項17】
前記植物質の天然起源の遊離した材料の混合物は、以下の組成:
−約1%ないし約15%v/vの前記穀類のもみ、特に米のもみ;
−約20%ないし約35%v/vのコルク、特に粉砕コルク;
−約55%ないし80%の微生物蒸解に耐性のある解繊した樹木材料、特にココナツコイアをベースとする遊離の材料
を有する請求項1に記載の合成芝のための充填材料。
【請求項18】
前記植物質の天然起源の遊離した材料の混合物は、以下の組成:
−約1%ないし約10%v/vの穀類のもみ、特に米のもみ;
−約20%ないし約25%v/vのコルク、特に粉砕コルク;
−約65%ないし75%の微生物蒸解に耐性のある解繊した樹木材料、特にココナツコイアをベースとする遊離の材料
を有する請求項1に記載の合成芝のための充填材料。
【請求項19】
前記穀類のもみは、5%ないし15%に設定された湿度を有する、請求項1に記載の合成芝のための充填材料。
【請求項20】
ココナツ粉をベースとする原材料からの前記遊離した最終産物は、ココナツをベースとする出発原材料に含まれる、単独の粒状または繊維状の成分を含む、請求項3に記載の合成芝のための充填材料。
【請求項21】
前記遊離した産物に含まれる前記粒状または繊維状の成分は、ココナツコイアをベースとする前記原材料をふるい分けすることにより得られる、請求項20に記載の合成芝のための充填材料。
【請求項22】
ココナツ粉の前記粒状または繊維状の成分は、90重量%について500ミクロン(μm)より大きい粒径を有する、請求項20に記載の合成芝のための充填材料。
【請求項23】
前記粒状および繊維状の成分は、以下の粒径:
−20重量%ないし40重量%が0.8mmないし1.25mm;
−15重量%ないし35%重量が1.25mmないし1.60mm;
−50重量%ないし70重量%が1.6mmより大きい
を有する請求項20に記載の合成芝のための充填材料。
【請求項24】
前記植物質の天然起源の遊離した材料の前記混合物中に存在する前記測定した量v/vのコルクは、15%ないし40%v/vに設定されている、請求項9に記載の合成芝のための充填材料。
【請求項25】
前記植物質の天然起源の遊離した材料の前記混合物中に存在する前記測定した量v/vのコルクは、20%ないし35%v/vに設定されている、請求項9に記載の合成芝のための充填材料。
【請求項26】
スポーツまたはレクレーション活動のための合成芝であって、
−被覆する表面上に配置されるように適合された第1の面または前記第1の面と反対側の第2の面を備えたマットと;
−前記マット上に編まれた合成材料の複数のフィラメントであって、前記第2の面から突出して芝を形成する合成材料の複数のフィラメントと;
−前記芝のための充填材料と
を有し、
前記充填材料は、植物質起源の遊離した材料を含み、前記植物質起源の遊離した材料は、
−測定した量の、微生物蒸解に耐性のある解繊した樹木材料;
−測定した量の穀類のもみ
の混合物を含むことを特徴とする合成芝。
【請求項27】
前記マット上に編まれた前記合成材料のフィラメントは、
−第1の群の長いフィラメントであって、前記充填材料から突出している第1の群のフィラメントと;
−第2の群の短いフィラメントであって、前記充填材料から突出することなく、または前記充填材料から最小限に突出して前記充填材料内に配置されている第2の群のフィラメントと
を含む、請求項26に記載の合成芝。
【請求項28】
前記第2の群のフィラメントの前記フィラメントは、捻った形を有し、前記充填材料に高い支持を与える、請求項27に記載の合成芝。
【請求項29】
合成芝の製造方法であって、
−合成材料の複数のフィラメントが結合されたマットを含む芝を用意する工程であって、前記マットは被覆する表面上に配置されるように適合された第1の面または前記第1の面と反対側の第2の面を備え、前記合成材料の複数のフィラメントは前記第2の面から突出している工程と
−前記マットの前記第1の面上に、合成芝を得る充填材料を設置する工程と
を有し、
前記充填材料は、植物質起源の遊離した材料を含み、前記植物質起源の遊離した材料は、
−測定した量の、微生物蒸解に耐性のある解繊した樹木材料;
−測定した量の穀類のもみ
の混合物を含むことを特徴とする合成芝の製造方法。
【請求項30】
前記充填材料を配置する前記工程が、
−前記マット上に砂の層を配置する工程と;
−前記砂の層の上に前記混合物からなる層を配置する工程と
を含む、請求項29に記載の合成芝の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−503273(P2013−503273A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526140(P2012−526140)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【国際出願番号】PCT/IB2010/002122
【国際公開番号】WO2011/024066
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(512048457)エムエーアール.・プロジェクト・エス.アール.エル. (2)
【氏名又は名称原語表記】MAR. Project S.r.l.
【住所又は居所原語表記】Via Pietro Nenni, 30, 56124−PISA, ITALY
【Fターム(参考)】