説明

合成開口レーダ装置

【課題】高い開口能率を維持して高い指向性利得を維持と、低サイドローブのアンテナパターンを両立したアレーアンテナを用いた合成開口レーダ装置を得る。
【解決手段】送信時には、アレーアンテナ1内のNTX個のアンテナ素子2のすべてを用い、受信時には、送信アンテナパターンの1stサイドローブの方位と、受信アンテナパターンの1stヌルの方位とを合わせるように、NRX個のアンテナ素子2を用い、合成および受信した2つのビーム信号を合成処理部10で合成し、SAR処理部11でSAR画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の送受信ビームを用いることにより、高い指向性利得を維持しつつ、低サイドローブのアンテナパターンを形成して観測を行う合成開口レーダ装置(SARシステム)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、SARは、人工衛星または航空機などを用いたリモートセンシングの分野では、雲などの天候に左右されず、高分解能で地表を撮像することができるセンサとしてよく知られている。
【0003】
SARシステムにおいては、アンテナから地表面に向けて電波を送信し、地表面で反射した電波を受信することによって観測を実現しているが、所望領域以外からの電波の反射信号が偽像成分(アンビギュイティ)として画像化されることを回避するために、所望の観測領域にのみ電波が照射されるように、アンテナには指向性の優れた低サイドローブのアンテナが用いられる。
【0004】
アンテナの低サイドローブ化は、開口に適切なウェイトを付けて合成することにより実現可能であるが、この場合、一方では、開口効率が低下して、同じ開口面積であっても利得が低下することが知られている。
【0005】
また、近年においては、SARシステムの高分解能化を実現するために、アンテナ開口を分割受信することにより、ビーム幅を広げつつ多数の受信ビームを形成するマルチビームSARシステムが注目されている。
【0006】
さらに、1つの送信開口および複数の受信開口を用いたSARシステムにおいて、各開口からの受信信号を、A/D変換前に適切な重み付けを行いつつ合成することにより、ビーム形状の最適化を実現したプレビームシェーピング技術も提案されている(たとえば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】N.Gebert,G.Krieger and A.Moreira,High Resolution Wide Swath SAR Imaging with Digital Beamforming−Performance Analysis,Optimization,System Design,EUSAR2006,Fig.1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のSARシステム(合成開口レーダ装置)は、非特許文献1に記載のプレビームシェーピング技術によりアンテナビーム形成した場合でも、前述の低サイドローブ化にともなう利得低下を回避することができないという課題があった。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、送信開口の寸法および開口数と、デュアルビームのプレビームシェーピング技術における受信開口の寸法および開口数と、を最適化して組み合わせることにより、開口効率の低下によるアンテナ利得低下が生じることなく、低サイドローブアンテナビームを実現し、アンビギュイティを抑制したSAR画像の取得が可能な合成開口レーダ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る合成開口レーダ装置は、2つの受信信号を合成処理およびSAR処理することによりSAR画像を得るための信号処理装置であって、送受信共用の複数のアンテナ素子が並設されたアレーアンテナと、複数のアンテナ素子のすべてを用いて電波を送信するための分配器と、分配器を介して複数のアンテナ素子から送信電波を放射させるための送信機と、複数のアンテナ素子からの各受信ビームを2組に合成して2つのビーム信号を生成する2つの合成器と、2つのビーム信号を受信する2つの受信機と、2つの受信機を介した2つの受信信号を合成する合成処理部と、合成処理部からの合成信号を用いてSAR画像を生成するSAR処理部と、を備え、2つの合成器は、複数のアンテナ素子による送信時のビームパターンの1stサイドローブと、複数のアンテナ素子による受信時のビームパターンの1stヌルとが重なるように、複数のアンテナ素子の両端側に位置する第1の所定数のアンテナ素子を受信時に用いるとともに、第1の所定数を、複数のアンテナ素子の個数の約70%に設定したものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、アンテナ開口を最大効率で用いた利得最大の観測と、低サイドローブによる2つの受信ビームによるデュアルビームSAR観測が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1に係る合成開口レーダ装置のシステム全体を示すブロック構成図である。
【図2】図1内のアレーアンテナによる全開口送信時のビームパターンを示す説明図である。
【図3】図1内のアレーアンテナによる全開口送信時のアンテナパターン(送受信ビームパターン)を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1における受信開口を図式的に示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態1によるアンテナパターンの低サイドローブ化の効果を示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態2に係る合成開口レーダ装置のシステム全体を示すブロック構成図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係る合成開口レーダ装置のシステム全体を示すブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
図1はこの発明の実施の形態1に係る合成開口レーダ装置のシステム全体を示すブロック構成図である。
【0014】
図1において、合成開口レーダ装置は、アレーアンテナ1と、送信機3と、受信機7、8と、SAR画像を生成する信号処理装置9とにより構成されている。
アレーアンテナ1は、複数のアンテナ素子2と、送信用の分配器4と、受信用の合成器5、6とを備えている。
信号処理装置9は、データファイルDF1、DF2と、合成処理部10と、SAR処理部11とを備えている
【0015】
アレーアンテナ1においては、NTX個(#1〜#NTX)の送受信共用のアンテナ素子2がリニアアレー状に並設されている。
送信機3からの送信信号は、分配器4により分配されて各アンテナ素子2に供給され、各アンテナ素子2から送信電波として放射される。
【0016】
また、物体からの反射電波は、NTX個のアンテナ素子2により受信され、各受信ビームのうち、図1中の左端からNRX個(RX<TX)のアンテナ素子2(#1〜#NRX)からの受信ビームは、一方の合成器5に入力される。
同様に、図中の右端からNRX個のアンテナ素子2(#NTX〜(#NRX−overwrap)の受信ビームは、他方の合成器6に入力される。
これにより、合成器5、6からは、各NRX個の受信信号を合成した2つのビーム信号B1、B2が生成される。
【0017】
合成器5、6からの2つのビーム信号B1、B2は、それぞれ、受信機7、8を介して信号処理装置9に入力され、信号処理装置9内のデータファイルDF1、DF2に、各ビーム信号B1、B2に対応した受信信号として個別に格納される。
【0018】
データファイルDF1、DF2に格納された2つのビーム信号B1、B2の受信信号は、リコンストラクションフィルタまたは復元フィルタなどからなる合成処理部10に入力されて合成される。
合成処理部10から生成された合成信号は、SAR処理部11に入力され、SAR画像となって信号処理装置9から出力される。
【0019】
なお、アレーアンテナ1は、アレーアンテナ全般が該当し、アンテナ素子2のみで構成されるパッシブアレーアンテナに限らず、各アンテナ素子2において移相器を備えたパッシブフェーズドアレーアンテナであってもよく、また、各アンテナ素子2において増幅器を備えたアクティブフェーズドアレーアンテナであってもよい。
【0020】
図2はアレーアンテナ1による送信ビームパターンを示す説明図であり、NTX個のアレーアンテナ1による全開口送信時のビームパターンを示している。
図3は全開口送信時のアンテナパターン(送受信ビームパターン)を示す説明図であり、図2の送信ビームパターンに対応している。
【0021】
図4はこの発明の実施の形態1における受信開口を図式的に示す説明図であり、アレーアンテナ1内の両端部に位置する各受信素子数NRXの受信ビームを合成(Σ)することにより2つのビーム信号B1、B2が得られることを示している。
図5はこの発明の実施の形態1によるアンテナパターンの低サイドローブ化の効果を示す説明図であり、改善前の1stサイドローブP1よりも、改善後の1stサイドローブP1’の振幅レベルが低減されていることが分かる。
【0022】
図2のように、すべてのアンテナ素子2を用いて均等に送信した場合、送受信されるアンテナパターンは、図3に示すように、SINC関数の形状となることが知られている。
この場合、開口効率が最大で利得の高いアンテナを実現することが可能であるが、メインローブMoの横に位置する1stサイドローブP1のレベルがもっとも高く、最大利得は理論的に13[dB]が限界である。
【0023】
図3のアンテナパターンのビーム幅(メインローブMoの幅)は、使用されるアンテナ素子2の個数に比例し、1stサイドローブP1および1stヌルQ1の位置は、アンテナ素子2の個数に比例して移動する。
【0024】
SARシステムにより観測される受信信号は、送受信時のアンテナパターンの合成で受信されることになるので、受信側のアンテナ素子2の利用個数を最適化して、送信アンテナパターン(図2)の1stサイドローブP1の位置に、受信アンテナパターンの1stヌルQ1の方向を重ねることにより、送受信トータル(図3)での1stサイドローブP1の低減を実現することができる。
【0025】
上記方法により、送受信トータル(図3)での1stサイドローブP1の低減に関して、最大3dBの改善を図ることが可能となる。
このとき、送信時のアンテナ素子2の個数NTXに対する最適な受信時のアンテナ素子2の個数NRXの求め方は、以下の通りである。
まず、送信アンテナ素子数NTXを用いて、以下の式(1)から変数xATXを求める。
【0026】
【数1】

【0027】
式(1)は、解析解を求めることができないので、NEWTON法のような数値解法を用いて変数xATXを求めることが可能であるが、厳密ではなく、以下の式(2)を用いて変数xATXを設定してもよい。
【0028】
【数2】

【0029】
式(2)において、係数αは0.6〜0.8程度の任意の数値であり、サイドローブレベルの低減とともに、利得量などを考慮して決定される値である。
【0030】
次に、式(1)または式(2)で求めた変数xATXと、以下の式(3)とから、受信時のアンテナ素子2の個数NRXを求める。
【0031】
【数3】

【0032】
ここで、変数xATXとして、式(2)内の係数α(=0.6〜0.8)による近似解を用いた場合には、式(3)から求められる受信時のアンテナ素子2の個数NRXは、概して以下の式(4)で表される。
【0033】
【数4】

【0034】
式(4)から、送受信時のアンテナ素子2の各個数の比率(NTX:NRX)は、概して、以下のように表される。
【0035】
TX:NRX≒1:α
【0036】
したがって、図1のように、合成器5、6で合成する複数の受信ビームに関して、受信時にオーバーラップするアンテナ素子2の個数をNoverwrapとして、合成器5、6のそれぞれに信号分配して入力するアンテナ素子2を設けることにより、送信時および受信時に利用するアンテナ素子2の個数NTXが同一のままで、式(4)の関係を満たすことが可能となる。
なお、受信時に2つの合成器5、6に対してオーバーラップするアンテナ素子2の個数Noverwrapは、以下の式(5)により求められる。
【0037】
【数5】

【0038】
ここで、変数xATXとして、係数αによる近似解を用いた場合には、オーバーラップ個数Noverwrapは、概して、以下の式(6)で表される。
【0039】
【数6】

【0040】
式(6)から、オーバーラップ個数Noverwrapは、近似的に、0.2〜0.6NTXとなる。
【0041】
以上のように、この発明の実施の形態1(図1)に係る合成開口レーダ装置は、2つの受信信号を合成処理およびSAR処理することによりSAR画像を得るために、送受信共用の複数のアンテナ素子2が並設されたアレーアンテナ1と、複数のアンテナ素子2のすべてを用いて電波を送信するための分配器4と、分配器4を介して複数のアンテナ素子2から送信電波を放射させるための送信機3と、複数のアンテナ素子2からの各受信ビームを2組に合成して2つのビーム信号B1、B2を生成する2つの合成器5、6と、2つのビーム信号B1、B2を受信する2つの受信機7、8と、2つの受信機7、8を介した2つの受信信号を合成する合成処理部10と、合成処理部10からの合成信号を用いてSAR画像を生成するSAR処理部11と、を備えている。
【0042】
2つの合成器5、6は、複数のアンテナ素子2による送信時のビームパターンの1stサイドローブP1と、複数のアンテナ素子2による受信時のビームパターンの1stヌルQ1とが重なるように、複数のアンテナ素子2の両端側に位置するNRX個(第1の所定数)のアンテナ素子2を受信時に用いる。
また、受信時に用いる個数NRX(第1の所定数)は、複数のアンテナ素子2の個数(NTX個)の約70%に設定されている。
複数のアンテナ素子2の中央部に位置するNoverwrap個(第2の所定数)のアンテナ素子2は、2つのビーム信号B1、B2を受信する際にオーバーラップしている。
【0043】
このように、送信開口の寸法および開口数と、デュアルビーム(B1、B2)のプレビームシェーピング技術における受信開口の寸法および開口数と、を最適化して組み合わせることにより、開口効率の低下によるアンテナ利得低下が生じることなく、低サイドローブアンテナビームを実現し、アンビギュイティを抑制したSAR画像を取得することが可能となる。
【0044】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1(図1)では、複数のアンテナ素子2の中央部に位置するアンテナ素子2を受信時におけるオーバーラップ素子として用いたが、図6のように、複数のアンテナ素子2の両端部の外側に、受信専用の第2の所定数のアンテナ素子2Aを追加並設して、オーバーラップ素子を解消してもよい。
【0045】
図6はこの発明の実施の形態2に係る合成開口レーダ装置のシステム全体を示すブロック構成図であり、前述(図1参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「A」を付して詳述を省略する。
なお、受信専用のアンテナ素子2Aは、送受信共用のアンテナ素子であってもよく、受信時のみにOFF制御されるように構成してもよい。
【0046】
図6においては、前述(図1)の構成に対して、受信専用のアンテナ素子2Aが追加された点のみが異なる。
図6の構成により、前述と同様の作用効果を奏するうえ、図1内のオーバーラップ素子が不要となる。
【0047】
実施の形態3.
なお、上記実施の形態1、2(図1、図6)では、複数のアンテナ素子2からの受信ビームを2組のビーム信号B1、B2に合成した後に、2つの受信機7、8で受信したが、図7のように、アンテナ素子2の個数NTXと同数の受信機7Bを介して各受信ビームを受信し、信号処理装置9B内の2つのビーム形成演算処理部19、20により2つの受信信号を生成してもよい。
【0048】
図7はこの発明の実施の形態3に係る合成開口レーダ装置のシステム全体を示すブロック構成図であり、前述(図1参照)と同様のものについては、前述と同一符号を付して、または符号の後に「B」を付して詳述を省略する。
図7においては、前述(図1)のプレビームシェーピング技術に代えて、すべてのアンテナ素子2からの受信ビームを受信するDBF方式を適用している。
【0049】
図7において、アレーアンテナ1Bは、複数(NTX個)のアンテナ素子2と、分配器4とを備えており、各アンテナ素子2は、複数(NTX台)の受信機7Bに個別に接続されている。
【0050】
信号処理装置9Bは、各受信機7Bに個別に接続された複数(NTX個)のデータファイルDFと、2つのビーム形成演算処理部19、20と、前述と同様の合成処理部10およびSAR処理部11とを備えている。
この場合、複数のアンテナ素子2からの各受信ビームは、アンテナ素子2の個数と同数(NTX台)の受信機7Bを介して受信され、複数のビーム信号として信号処理装置9Bに入力される。
【0051】
信号処理装置9Bにおいては、各受信機7Bからのビーム信号(データ)を、各データファイルDFに格納し、ビーム形成演算処理部19、20によりビーム形成処理を行い、2つのビーム信号に対応した受信信号を生成する。
以下、2つのビーム信号(受信信号)を合成処理部10で合成し、SAR処理部11でSAR画像を生成する。
【0052】
以上のように、この発明の実施の形態3(図7)に係る信号処理装置は、2つの受信信号を合成処理およびSAR処理することによりSAR画像を得るために、送受信共用の複数のアンテナ素子2が並設されたアレーアンテナ1と、複数のアンテナ素子2のすべてを用いて電波を送信するための分配器4と、分配器4を介して複数のアンテナ素子2から送信電波を放射させるための送信機3と、複数のアンテナ素子2からの受信ビームを個別に受信する複数の受信機7Bと、複数の受信機7Bを介した複数のビーム信号から2つのビーム信号に対応した受信信号を生成する2つのビーム形成演算処理部19、20と、2つのビーム形成演算処理部19、20からの2つの受信信号を合成する合成処理部10と、合成処理部10からの合成信号を用いてSAR画像を生成するSAR処理部11と、を備えている。
【0053】
2つのビーム形成演算処理部19、20は、複数のアンテナ素子2による送信時のビームパターンの1stサイドローブP1と、複数のアンテナ素子2による受信時のビームパターンの1stヌルQ1とが重なるように、複数のアンテナ素子2の両端側に位置するNRX個(第1の所定数)のアンテナ素子2に対応した受信機7Bからのビーム信号を用いる。
また、各ビーム形成演算処理部19、20が用いる受信機7Bの個数NRX(第1の所定数)は、複数のアンテナ素子の個数(NTX個)の約70%に設定されている。
【0054】
これにより、送信時には、アレーアンテナ1内のNTX個のアンテナ素子2のすべてを用い、受信時には、送信アンテナパターンの1stサイドローブP1の方位と、受信アンテナパターンの1stヌルQ1の方位とを合わせるように、NRX個のアンテナ素子2を用いて合成および受信し、2つのビーム信号(受信信号)を、合成処理部10で合成することができる。
したがって、前述と同様に、高い開口能率を維持し、かつ高い指向性利得を維持し、低サイドローブのアンテナパターンを両立したアレーアンテナを用いた合成開口レーダ装置を得ることができる。
【0055】
なお、上記実施の形態1〜3では、SARシステムで使用する場合について述べたが、その他のデュアルビームアンテナを用いたレーダシステムにおいても、低サイドローブアンテナとして適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0056】
1、1B アレーアンテナ、2、2A アンテナ素子、3 送信機、4 分配器、5、6 合成器、7、7B、8 受信機、9、9B 信号処理装置、10 合成処理部、11 SAR処理部、19、20 ビーム形成演算処理部、B1、B2 ビーム信号、DF、DF1、DF2 データファイル、Mo メインローブ、Noverwrap オーバーラップ個数、NRX 受信素子数、NTX 送信素子数、P1 1stサイドローブ、Q1 1stヌル、P1’ 改善後の1stサイドローブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの受信信号を合成処理およびSAR処理することによりSAR画像を得るための信号処理装置であって、
送受信共用の複数のアンテナ素子が並設されたアレーアンテナと、
前記複数のアンテナ素子のすべてを用いて電波を送信するための分配器と、
前記分配器を介して前記複数のアンテナ素子から送信電波を放射させるための送信機と、
前記複数のアンテナ素子からの各受信ビームを2組に合成して2つのビーム信号を生成する2つの合成器と、
前記2つのビーム信号を受信する2つの受信機と、
前記2つの受信機を介した2つの受信信号を合成する合成処理部と、
前記合成処理部からの合成信号を用いてSAR画像を生成するSAR処理部と、
を備え、
前記2つの合成器は、
前記複数のアンテナ素子による送信時のビームパターンの1stサイドローブと、前記複数のアンテナ素子による受信時のビームパターンの1stヌルとが重なるように、
前記複数のアンテナ素子の両端側に位置する第1の所定数のアンテナ素子を受信時に用いるとともに、
前記第1の所定数を、前記複数のアンテナ素子の個数の約70%に設定したことを特徴とする合成開口レーダ装置。
【請求項2】
前記複数のアンテナ素子の中央部に位置する第2の所定数のアンテナ素子は、前記2つのビーム信号を受信する際にオーバーラップしていることを特徴とする請求項1に記載の合成開口レーダ装置。
【請求項3】
前記複数のアンテナ素子の両端部に、受信専用の第2の所定数のアンテナ素子が並設されていることを特徴とする請求項1に記載の合成開口レーダ装置。
【請求項4】
2つの受信信号を合成処理およびSAR処理することによりSAR画像を得るための信号処理装置であって、
送受信共用の複数のアンテナ素子が並設されたアレーアンテナと、
前記複数のアンテナ素子のすべてを用いて電波を送信するための分配器と、
前記分配器を介して前記複数のアンテナ素子から送信電波を放射させるための送信機と、
前記複数のアンテナ素子からの受信ビームを個別に受信する複数の受信機と、
前記複数の受信機を介した複数のビーム信号から2つのビーム信号に対応した受信信号を生成する2つのビーム形成演算処理部と、
前記2つのビーム形成演算処理部からの2つの受信信号を合成する合成処理部と、
前記合成処理部からの合成信号を用いてSAR画像を生成するSAR処理部と、
を備え、
前記2つのビーム形成演算処理部は、
前記複数のアンテナ素子による送信時のビームパターンの1stサイドローブと、前記複数のアンテナ素子による受信時のビームパターンの1stヌルとが重なるように、
前記複数のアンテナ素子の両端側に位置する第1の所定数のアンテナ素子に対応した受信機からのビーム信号を用いるとともに、
前記第1の所定数を、前記複数のアンテナ素子の個数の約70%に設定したことを特徴とする合成開口レーダ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate