説明

合焦装置、合焦方法および合焦プログラム

【課題】貼り合わせ基板の貼り合わせ面に対して効率的に合焦させることが可能な合焦装置、合焦方法および合焦プログラムを提供すること。
【解決手段】複数の基板が貼り合わされてなる基板Wに対して、基板Wの主面に垂直な方向に移動して合焦し、基板Wを撮像する光学ユニット16と、光学ユニット16が撮像した撮像画像の所定の位置における輝度情報を算出する算出部23と、算出部23が算出した輝度情報をもとに、所定の位置における合焦位置が基板Wの貼り合わせ面であるか否かを判定する判定部24と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、フラットパネルディスプレイ用のガラス基板や半導体基板やプリント基板などを検査する検査装置に用いる合焦装置、合焦方法および合焦プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)やPDP(Plasma Display Panel)や有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイや表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(SED:Surface−conduction Electro−emitter Display)などのFPD(Flat Panel Display)基板や、半導体ウエハや、プリント基板など、各種基板の製造では、その歩留りを向上するために、各パターニングプロセス後、逐次、配線の短絡や接続不良や断線やパターン不良などのパターニングエラーが存在するか否かが検査される。基板検査装置は、基板が載置される浮上プレートより下方から基板を照明しつつ基板検査を行う、いわゆる透過照明型の基板検査装置である。また、基板によっては、基板を撮像する撮像素子側から照明する落射照明型の基板検査装置も用いられる。
【0003】
基板検査装置は、基板を撮像する撮像部を有しており、撮像部によって撮像された基板の撮像画像を用いて、基板に欠陥等があるか否かの検査を行う。撮像部は、自動で基板上の撮像領域に合焦するオートフォーカス機能を有する。これにより、基板に対して設定した座標における基板画像を自動で取得することができる。
【0004】
上述した基板検査装置に用い得る合焦装置として、一回のオートフォーカスのための撮像のみで焦点位置までの距離と方向の情報を推定するとともに、自動で速やかに合焦させることができる合焦装置が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−338385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、検査対象の基板は、2枚の基板を貼り合わせたもの、例えば、貼り合わせ側の一方の面に形成された所定の色情報を有するカラーフィルターに焦点を合わせて撮像し、検査が行われる場合がある。この場合、特許文献1が開示する合焦装置は、一回のオートフォーカスで合焦させることができるものの、2枚の基板を貼り合わせた基板において貼り合わせ側に焦点を合わせて撮像する場合に、基板の外面側に焦点が合ってしまい、所定の色情報を有する撮像対象に合焦した画像を得ることができないという問題があった。また、再合焦処理の際に推定された焦点位置までの距離および方向をもとにレンズ系または撮像素子を移動させることができるものの、色ごとに点像分布係数を算出しなければならず、構成が複雑になっていた。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、貼り合わせ基板の貼り合わせ面に対して効率的に合焦させることが可能な合焦装置、合焦方法および合焦プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる合焦装置は、複数の基板が貼り合わされてなる検査基板に対して、該検査基板の主面に垂直な方向に移動して合焦し、前記検査基板を撮像する光学ユニットと、前記光学ユニットが撮像した撮像画像内の所定の位置における輝度情報を算出する算出部と、前記算出部が算出した輝度情報をもとに、前記所定の位置における合焦位置が前記検査基板の貼り合わせ面であるか否かを判定する判定部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる合焦方法は、複数の基板が貼り合せられてなり、貼り合せ側の面に色情報を有する部材が形成された検査基板に対して鉛直方向に移動して合焦し、前記検査基板を撮像する撮像ステップと、前記撮像ステップで撮像した撮像画像内の所定の位置における輝度情報を算出する算出ステップと、前記算出ステップで算出した輝度情報をもとに、前記所定の位置における合焦位置が前記検査基板の貼り合わせ面であるか否かを判定する判定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる合焦プログラムは、複数の基板が貼り合せられてなり、貼り合せ側の面に色情報を有する部材が形成された検査基板に対して鉛直方向に移動して合焦し、前記検査基板を撮像する撮像手順と、前記撮像手順で撮像した撮像画像内の所定の位置における輝度情報を算出する算出手順と、前記算出手順で算出した輝度情報をもとに、前記所定の位置における合焦位置が前記検査基板の貼り合わせ面であるか否かを判定する判定手順と、をコンピュータに行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる合焦装置、合焦方法および合焦プログラムは、撮像した撮像対象の輝度値または輝度値差を算出し、閾値と比較することで、撮像対象の合焦位置の正否を判定するようにしたので、貼り合わせ基板の貼り合わせ面に対して効率的に合焦させることが可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施の形態にかかるフラットパネルディスプレイ(FPD)検査装置の構成を模式的に示す模式図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態にかかる検査装置の基板を示す模式図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態にかかる検査装置のカラーフィルターの一例を示す模式図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態にかかる検査装置の処理を示すフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の実施の形態にかかる検査装置の基板近傍を示す模式図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態にかかる検査装置の処理の変形例を示すフローチャートである。
【図7】図7は、本発明の実施の形態にかかる検査装置の変形例の基板近傍を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解し得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。すなわち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。
【0014】
まず、本発明の実施の形態にかかる合焦装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、合焦装置の例として検査対象の基板に対して光学系ユニットを移動するタイプの基板検査装置を説明する。ただし、本実施の形態は、これに限定されず、光学ユニットに対して基板を移動するタイプの基板検査装置に適用することも可能である。また、基板検査装置は、オフライン型であるものとして説明するが、インライン型であってもよい。
【0015】
図1は、本実施の形態にかかるフラットパネルディスプレイ(FPD)検査装置の概略構成を示す模式図である。図1に示すように、FPD検査装置1は、搬送された矩形をなす基板Wの欠陥を検出する基板処理部1aと、FPD検査装置1全体の制御を行う制御機構1bと、を備える。
【0016】
また、基板処理部1aは、架台としてのベースフレーム11と、ベースフレーム11の天板である略矩形をなすステージ12と、ステージ12上に固定されて基板Wを保持する基板ホルダ13と、ステージ12を一方の辺に沿って跨ぐ門型フレーム14と、門型フレーム14に保持された光学ユニット16と、光学ユニット16を門型フレーム14ごと移動させる移動機構18と、を備える。
【0017】
また、門型フレーム14に設けられた移動機構18は、たとえばステージ12の下に設置される。ステージ12の下には、門型フレーム14の長手方向に直交する方向(X方向)に沿って延在するX軸部材19も設けられている。移動機構18は、制御部20の制御の下、X軸部材19に沿って移動することで、光学ユニット16を門型フレーム14ごとX方向に沿って移動させる。門型フレーム14は、いわゆるガントリステージと呼ばれるものであり、移動機構18の移動方向(X方向)に直交する方向(Y方向)に設けられたY軸部材15を備える。光学ユニット16は、門型フレーム14をY軸部材15に沿って移動可能な移動機構17によって門型フレーム14に保持されている。移動機構17は、制御部20の制御の下、門型フレーム14をY軸部材15に沿って移動する。
【0018】
ベースフレーム11は、たとえばブロック状の大理石やスチール材を組み合わせたフレームなど、耐震性の高い部材によって構成される。加えて、ベースフレーム11と設置面(たとえば床)との間には、たとえばスプリングや油圧ダンパなどで構成された振動吸収機構が設けられる。これにより、ステージ12および光学ユニット16の振動がさらに防止される。
【0019】
ステージ12は、Y方向に延び、搬送面上で基板Wを浮上させて載置する略板状をなす複数の浮上プレートを備える。浮上プレートをX方向に沿って並べることで、基板Wの搬送経路が形成される。このように、ステージ12は、各浮上プレートがX方向に沿ってすのこ状に並べられた構造を有する。各浮上プレートには、図示しないエア供給部からのエアの供給によって鉛直上方に向けてエアを吹き出す複数の吹出穴が設けられる。なお、吹出穴は、ラグランジュ点の間隔のように、基板Wの撓み振動が発生しないような間隔で配置されることが好ましい。また、基板Wの位置決め方法としては、ステージ12上に搬入された基板Wを支持してステージ12に載置するリフトピン、およびステージ12に載置された基板Wを整列させる整列機構等を用いる方法が挙げられる。
【0020】
光学ユニット16は、視野領域を調節する顕微鏡161と、顕微鏡161によって視野領域または焦点位置が調節された基板Wを撮像する撮像部162とを有する。この光学ユニット16によって取得された画像を解析することで、基板Wに欠陥が存在するか否かを検出することができる。なお、光学ユニット16は、たとえば基板Wの欠陥部分に対して行うレーザ照射修復や塗布修正等を行う修復ユニット、配線等の寸法測定、膜厚測定、色測定などを行う測定ユニットなどの処理を所定の位置で施す処理ユニットを適用することができる。また、光学ユニット16は、顕微鏡161を有さない撮像形態であってもよい。
【0021】
顕微鏡161は、撮像部162の撮像視野を縮小して所望の拡大倍率の画像取得を実現するための拡大光学系である。また、撮像部162は、例えば、LED等の照明部と、集光レンズ等の光学系と、CMOSイメージセンサまたはCCD等の撮像素子とを有する。照明部は、撮像素子の撮像視野に白色光等の照明光を発光して、撮像視野内の被写体を照明する。この光学系は、この撮像視野からの反射光を撮像素子の撮像面に集光して、撮像素子の撮像面に撮像視野の被写体画像を結像する。撮像素子は、この撮像視野からの反射光を、撮像面を介して受光し、この受光した光信号を光電変換処理して、この撮像視野の被写体画像を撮像する。顕微鏡161は、制御部20の制御のもと、顕微鏡161自身または顕微鏡161が内部に有するレンズ系が、基板Wの撮像面に対して垂直な方向(Z方向)に移動して自動で被写体に合焦するオートフォーカス機能を有する。オートフォーカスは、コントラストが最大となる位置を検出して合焦させるものであってもよいし、レーザを用いて合焦させるものであってもよい。
【0022】
また、FPD検査装置1が、少なくとも基板処理部1aを囲み、光学ユニット16の上方に設けられるクリーンな空気(以下、クリーンエアという)を送り込むFFUを有する外装を備えていれば、クリーンルームを形成することができるので好ましい。このクリーンルームは、基板の搬入口および搬出口ならびに下部のダクト以外、密閉された内部空間である。
【0023】
FFUは、例えば、パーティクルなどのダストが除去されたクリーンエアを送出する。この結果、特に光学ユニット16の移動領域を、ダストの少ないクリーンな状態とする。また、光学ユニット16近傍に集中して送出されたクリーンな空気は、クリーンルーム内でダウンフローを形成したのち、排気口から排気される。
【0024】
制御機構1bは、制御部20、入力部21、出力部22、算出部23、判定部24、および記憶部25を備える。制御機構1bは、ROM、RAM等を備えたコンピュータで実現される。
【0025】
制御部20は、FPD検査装置1全体の制御を行う。入力部21は、キーボード、マウス、マイクロフォン等を用いて構成され、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を外部から取得する。出力部22は、ディスプレイ、プリンタ、スピーカー等を用いて構成される。
【0026】
算出部23は、光学ユニット16が取得した基板Wの画像から所定位置における各色の輝度値を算出する。算出部23は、算出した輝度値を用いて、各検査位置における色の輝度値の差である輝度値差を算出する。
【0027】
判定部24は、算出部23で算出された輝度値差を用いて、撮像された基板Wの画像の合焦位置が正しい位置か否かを判定する。本実施の形態では、合焦位置が、2枚の基板が貼り合わされてなる基板Wの貼り合わせ面にあるか否かを判定する。
【0028】
記憶部25は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、FPD検査装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる、本実施の形態にかかる合焦プログラムを含む各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成される。また、記憶部25は、後述する合焦判定に用いられる輝度値差データD1を記憶している。
【0029】
図2は、FPD検査装置に搬送される基板を示す模式図である。図2に示す基板Wは、矩形の第1基板W1と略同一の形状をなす第2基板W2とが貼り合わされてなる。基板Wは、第1基板W1または第2基板W2の少なくとも一方の基板の面にカラーフィルター、電極パターン等が形成される。
【0030】
図3は、本実施の形態にかかるFPD検査装置のカラーフィルターの一例を示す模式図である。上述した第1基板W1または第2基板W2の一方の基板には、例えば、図3(a)に示すような3つのカラーフィルターCF1〜CF3を一組として複数形成されている。例えば、カラーフィルターCF1は赤色のフィルターであり、カラーフィルターCF2は緑色のフィルターであり、カラーフィルターCF3は青色のフィルターである。図3(b)は、3つのカラーフィルターCF1〜CF3を通過する線上における各色の理想的な輝度値を示すグラフであり、横軸は、図3(a)のカラーフィルターCF1〜CF3の配列に対応している。また、図3(c)は、図3(b)に示すグラフの実測値の一例を示す模式的なグラフである。図3(c)におけるグラフは、例えば、撮像された基板Wの画像をもとに、算出部23が算出した輝度値を用いてグラフ化される。
【0031】
図3(b)に示すグラフのように、カラーフィルターCF1の各位置における輝度値は、曲線Fa1のように、カラーフィルターCF1に対応する位置で最大値255となり、カラーフィルターCF2,CF3に対応する位置での輝度値は、ほぼ0となる。また、カラーフィルターCF2,CF3においても曲線Fb1,Fc1の各カラーフィルターに対応する位置で最大値255となり、他のカラーフィルターに対応する位置での輝度値は、ほぼ0となる。また、図3(c)に示すグラフのように、実測値の場合、各カラーフィルターCF1〜CF3に対応する曲線Fa2〜Fc2において、最大値は255より低く、最小値は0より大きい値となる。
【0032】
ここで、算出部23は、設定されている合焦検査を行う検査ポイントにおける輝度値を抽出する。検査ポイントは、例えば搬入されるステージ12上で位置決めされた基板Wの面に対して二次元座標を設定して、入力部21等から検査ポイントの座標が登録されたものである。算出部23は、抽出した検査ポイントにおける各輝度値をもとに、輝度値差を算出する。このとき、各色の輝度値に対して最も高い輝度値を有する色の輝度値から他の色の輝度値を減算する。また、減算した値の絶対値を用いるようにしてもよい。
【0033】
算出部23による輝度値差の算出後、判定部24は、得られた輝度値差が、輝度値差データD1に登録されている輝度値差にかかる閾値と比較して、検査ポイントにおける基板画像の合焦の良否を判定する。ここで、閾値は、それぞれの検査ポイントにおける輝度値差が設定され、閾値以上であれば、適切に合焦していると判定する。また、検査ポイントにおけるカラーフィルターの配置パターンに応じた値、例えば、赤色に対する緑色、青色のそれぞれの輝度値差がプラス150であって、青色に対する赤色の輝度値差がプラス140である等、個別に設定されていてもよい。
【0034】
図4は、FPD検査装置が行う処理を示すフローチャートである。まず、制御部20は、ステージ12上で載置された基板Wに対して、上述したような設定された検査ポイントに光学ユニット16を移動させる(ステップS102)。光学ユニット16が検査ポイントに移動後、制御部20は、光学ユニット16に合焦処理を行わせる(ステップS104)。制御部20は、合焦処理後、撮像部23によって得られた基板画像の輝度値を算出部23に算出させて取得する(ステップS106)。輝度値の取得後、制御部20は、算出部23に合焦後輝度値差を算出させる(ステップS108)。このとき、算出部23は、少なくとも設定されている検査ポイントにおける合焦後輝度値差を算出する。
【0035】
合焦後輝度値差算出後、制御部20は、得られた合焦後輝度値差が閾値以上となっているか否かを判定部24に判定させる(ステップS110)。ここで、合焦後輝度値差が閾値以上である場合(ステップS110:Yes)、制御部20は、ステップS116に移行して検査処理を行う。検査処理終了後、次の検査ポイントがある場合(ステップS118:Yes)、制御部20は、ステップS102に移行して光学ユニット16を次の検査ポイントに移動させ、上述した処理を繰り返す。また、次の検査ポイントがない場合(ステップS118:No)、制御部20は、作業を終了する。
【0036】
一方、制御部20は、得られた合焦後輝度値差が閾値未満となっている場合(ステップS110:No)、光学ユニット16の顕微鏡161を下降させる(ステップS112)。このとき、顕微鏡161は、図5に示すように、合焦位置が、本来の合焦位置である合焦ポイントP1ではなく、合焦ポイントP2になっているため、画像として十分な輝度が得られていない。このため、制御部20は、顕微鏡161を下降させて、合焦位置が合焦ポイントP1となるように調節した後、再度合焦処理を行う(ステップS114)。ステップS114による合焦処理の後、制御部20は、ステップS116に移行して検査処理を行う。ここで、顕微鏡161の下降動作は、顕微鏡161が内部に有する被写体を結像するレンズ系を移動させるものであってもよいし、撮像部162が移動するものであってもよい。
【0037】
なお、ステップS116における検査処理は、1枚の基板Wのすべての検査ポイントの合焦処理終了後(ステップS118の後)に行ってもよい。また、合焦後輝度値差の閾値は、合焦ポイントP2で得られる輝度値差より大きく、合焦ポイントP1で得られる合焦後輝度値差より小さい値、例えば、輝度値差150等に設定される。
【0038】
上述した実施の形態のように、撮像した撮像対象の合焦後輝度値差を算出し、閾値と比較することで、撮像対象の合焦の良否を判定するようにしたので、貼り合わせ基板の貼り合わせ側に形成された所定の輝度を有する撮像対象に対して効率的に合焦させることが可能である。
【0039】
なお、判定部による合焦の良否の判定は、各色の輝度値に対して設けた閾値によって判定してもよい。
【0040】
また、本実施の形態では、カラーフィルターが赤色、緑色、青色の3色であるものとして説明したが、用いる色は、2色でもよく、4色以上であってもよい。例えば、4色用いる場合は、赤色、緑色、青色、黄色等の組み合わせが挙げられる。
【0041】
(変形例)
図6は、本実施の形態にかかるFPD検査装置が行なう処理の変形例を示すフローチャートである。まず、制御部20は、ステージ12上に載置された基板Wに対して、上述したような設定された検査ポイントに光学ユニット16を移動させ(ステップS202)、移動した位置での輝度値を算出部23に算出させる(ステップS204)。制御部20は、輝度値を算出後、算出部23にステップS204で得られた輝度値に対する合焦前輝度値差を算出させる(ステップS206)。
【0042】
合焦前輝度値差の算出後、制御部20は、光学ユニット16に合焦処理を行わせる(ステップS208)。制御部20は、合焦処理後、撮像部23によって得られた基板画像の輝度値を算出部23に算出させて取得する(ステップS210)。輝度値の取得後、制御部20は、算出部23に合焦後輝度値差を算出させる(ステップS212)。このとき、算出部23は、少なくとも設定されている検査ポイントにおける輝度値差を算出する。
【0043】
合焦後輝度値差算出後、制御部20は、得られた合焦後輝度値差が閾値以上となっているか否かを判定部24に判定させる(ステップS214)。ここで、合焦後輝度値差が閾値以上である場合(ステップS214:Yes)、制御部20は、ステップS222に移行して検査処理を行う。検査処理終了後、次の検査ポイントがある場合(ステップS224:Yes)、制御部20は、ステップS202に移行して光学ユニット16を次の検査ポイントに移動させ、上述した処理を繰り返す。また、次の検査ポイントがない場合(ステップS224:No)、制御部20は、作業を終了する。
【0044】
一方、制御部20は、得られた合焦後輝度値差が閾値未満となっている場合(ステップS214:No)、合焦後輝度値差が、合焦前輝度値差以下であるか否かを判定部24に判定させる。このとき、判定部24が、合焦後輝度値差が合焦前輝度値差以下であると判定した場合(ステップS216:Yes)、制御部20は、顕微鏡161を上昇させる(ステップS218)。また、判定部24が、合焦後輝度値差が合焦前輝度値差より大きいと判定した場合(S216:No)、制御部20は、顕微鏡161を下降させる(ステップS220)。
【0045】
このとき、光学ユニット16の顕微鏡は、図7に示すように、合焦位置が、本来の合焦位置である合焦ポイントP1ではなく、合焦ポイントP2、またはカラーフィルターCF1を通過した合焦ポイントP3になっているため、画像として十分な輝度が得られていない。ここで、合焦位置は基板の撮像面に対して垂直な一方向に移動するため、合焦前輝度値差と合焦後輝度値差との大小関係は、合焦ポイントP1を境に変化する。特に、合焦位置が合焦ポイントP1より上方側を基板Wに近づく方向に移動している場合、合焦後輝度値差は、合焦前輝度値差よりも大きくなっていき、合焦位置が合焦ポイントP1より下方側を基板Wに遠ざかる方向に移動している場合、合焦後輝度値差は、合焦前輝度値差よりも小さくなっていく。撮像部からの画像によって連続して輝度値を取得している場合は、輝度値差を算出して、前後の輝度値差の大小関係を判断して、顕微鏡161を上昇または下降させるかを順次判定するものであってもよい。
【0046】
制御部20は、顕微鏡を上昇または下降させた後、ステップS208に移行して、再度合焦処理を行い、上述した処理を繰り返す。繰り返しにより、合焦後輝度値差は、その都度更新される。
【0047】
上述した変形例では、合焦ポイントが本来合焦すべきポイントより下方となった場合にも対応できるとともに、顕微鏡を上昇させるべきか下降させるべきかを判断することが可能となり、一段と効率的に合焦を行うことができる。
【0048】
特に、基板の検査にかかる時間の短縮のため、前回の撮像で合焦した顕微鏡の高さを変更させずに次の検査ポイントの撮像を行う場合がある。この場合、基板の撓み等によって、合焦ポイントがずれてしまい、基板Wの裏面側に合焦してしまうが、変形例にかかる合焦ポイントの判定によって所定の合焦ポイントで撮像することができる。
【0049】
以上のように、本発明にかかる合焦装置、合焦方法および合焦プログラムは、検査対象の基板を撮像する際に効率的に合焦させることに有用である。
【符号の説明】
【0050】
1 FPD検査装置
1a 基板処理部
1b 制御機構
11 ベースフレーム
12 ステージ
13 基板ホルダ
14 門型フレーム
15 Y軸部材
16 光学ユニット
17,18 移動機構
19 X軸部材
20 制御部
21 入力部
22 出力部
23 算出部
24 判定部
25 記憶部
161 顕微鏡
162 撮像部
CF1〜CF3 カラーフィルター
W 基板
W1 第1基板
W2 第2基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板が貼り合わされてなる検査基板に対して、該検査基板の主面に垂直な方向に移動して合焦し、前記検査基板を撮像する光学ユニットと、
前記光学ユニットが撮像した撮像画像内の所定の位置における輝度情報を算出する算出部と、
前記算出部が算出した輝度情報をもとに、前記所定の位置における合焦位置が前記検査基板の貼り合わせ面であるか否かを判定する判定部と、
を備えたことを特徴とする合焦装置。
【請求項2】
前記貼り合わせ面には、複数の色が付与された色情報を有する部材が形成され、
前記算出部は、前記複数の色の輝度値をそれぞれ算出した後、算出したうちの所定の色の輝度値に対して他の色の輝度値を減算した合焦後輝度値差を輝度情報として算出し、
前記判定部は、前記合焦後輝度値差を閾値と比較して前記所定の位置における合焦位置が前記検査基板の貼り合わせ面であるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の合焦装置。
【請求項3】
前記光学ユニットは、合焦前に前記検査基板を撮像し、
前記算出部は、合焦前に取得した撮像画像の輝度値を算出し、該輝度値をもとに合焦前輝度値差を算出し、
前記判定部は、前記合焦位置が前記貼り合わせ面でないと判定した場合、前記合焦後輝度値差と前記合焦前輝度値差とを用いて前記光学ユニットの移動方向を判定することを特徴とする請求項2に記載の合焦装置。
【請求項4】
前記色情報を有する部材は、前記複数の色のフィルターが規則的に並べられたカラーフィルターであることを特徴とする請求項2に記載の合焦装置。
【請求項5】
複数の基板が貼り合せられてなり、貼り合せ側の面に色情報を有する部材が形成された検査基板に対して鉛直方向に移動して合焦し、前記検査基板を撮像する撮像ステップと、
前記撮像ステップで撮像した撮像画像内の所定の位置における輝度情報を算出する算出ステップと、
前記算出ステップで算出した輝度情報をもとに、前記所定の位置における合焦位置が前記検査基板の貼り合わせ面であるか否かを判定する判定ステップと、
を含むことを特徴とする合焦方法。
【請求項6】
前記色情報を有する部材は、複数の色を有し、
前記算出ステップは、前記複数の色の輝度値をそれぞれ算出した後、算出したうちの所定の色の輝度値に対して他の色の輝度値を減算した合焦後輝度値差を輝度情報として算出し、
前記判定ステップは、前記合焦後輝度値差が閾値と比較して前記所定の位置における合焦位置が前記検査基板の貼り合わせ面であるか否かを判定することを特徴とする請求項5に記載の合焦方法。
【請求項7】
複数の基板が貼り合せられてなり、貼り合せ側の面に色情報を有する部材が形成された検査基板に対して鉛直方向に移動して合焦し、前記検査基板を撮像する撮像手順と、
前記撮像手順で撮像した撮像画像内の所定の位置における輝度情報を算出する算出手順と、
前記算出手順で算出した輝度情報をもとに、前記所定の位置における合焦位置が前記検査基板の貼り合わせ面であるか否かを判定する判定手順と、
をコンピュータに行わせることを特徴とする合焦プログラム。
【請求項8】
前記色情報を有する部材は、複数の色を有し、
前記算出手順は、前記複数の色の輝度値をそれぞれ算出した後、算出したうちの所定の色の輝度値に対して他の色の輝度値を減算した合焦後輝度値差を輝度情報として算出し、
前記判定手順は、前記合焦後輝度値差を閾値と比較して前記所定の位置における合焦位置が前記検査基板の貼り合わせ面であるか否かを判定することを特徴とする請求項7に記載の合焦プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−154975(P2012−154975A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11401(P2011−11401)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】