説明

吊り上げ式石詰篭

【課題】石詰篭に簡単な線条手段を付加するだけで、栗石が充填された大重量の石詰篭を底面及び側面が湾曲しないように吊り上げて運搬することができるようにする。
【解決手段】底面網11及び側面網12a,12b,13a,13bを有する篭本体10に吊り上げ用の線条手段20A,20Bを取り付けることにより形成され、線条手段20A,20Bは、相対する一対の線条部材21,22からなり、一対の線条部材21,22の中間部分21a,22aは底面網11に非固定状態に係合し、一対の線条部材21,22の先端は、篭本体10の内部を互いに逆向きかつ斜め上向きに延びて側面網12a,12bの相対する位置に連結され、一対の線条部材21,22の基端は篭本体10の内部を上方に向けて立ち上がり、リフト手段に吊り掛けるための吊掛部が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に石詰めした状態で吊り上げることができる吊り上げ式石詰篭に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、護岸工事や道路工事等の各種工事に使用される石詰篭(角形蛇篭)は、菱形金網によって六面体状に形成され、その設置に当たっては、空の石詰篭を工事現場に運搬して所定の場所に配置したあと、別途に搬入した栗石を充填するのが一般的であった。ところが、この場合の作業の主体は人力であるため、工事が完成するまでに多くの手数と時間とが必要であり、効率的とはいえなかった。
【0003】
このような問題を解決するため、特許文献1−特許文献5には、石詰篭に骨材である栗石を詰めることにより必要量の栗石が予め充填された石詰篭を形成し、この石詰篭を施工現場へ搬送して設置する方法が開示されている。この方法によれば、石詰篭と骨材とを施工現場に別々に搬送する必要がなく、しかも、現場での充填作業も必要ないため、作業が大幅に簡略化されることになる。
【0004】
しかし、これらの公知例は、栗石が充填された大重量の石詰篭を吊り上げるため、該石詰篭を特殊で頑丈な構造にするか、特殊なリフト手段を用いる必要があり、吊り上げのための構造が複雑であったり、栗石の重量によって石詰篭の底面や側面が下方や側方に湾曲し易いなどの問題がある。
【0005】
即ち、特許文献1に記載のものは、石詰篭の胴網及び側網の上下端を横杆で補強すると共に、上下の横杆の間に縦杆を掛け渡し、該縦杆の上端に逆U字形の吊り手を溶接により固定し、この吊り手にクレーンのフックを掛けて吊り上げるようにしており、石詰篭の補強構造が複雑である。
【0006】
また、特許文献2に記載のものは、石詰篭の上面四隅に上向きに延びる吊りフックを形成し、これらの吊りフックに吊込装置の垂下フックを係止させて石詰篭を吊り上げるようにしており、石詰篭の底面や側面が湾曲し易いという問題がある。
【0007】
更に、特許文献3に記載のものは、石詰篭の内部に変形防止用の矩形の保護枠体を取り付けて石詰めしたあと、相対する一対の側面網の列線内にバー状の金物部材を挿通して係止させ、この金物部材にワイヤロープを掛けて石詰篭を吊り上げ、運搬後に前記保護枠体を取り外すようにしており、作業が面倒である。
【0008】
また、特許文献4に記載のものは、リフト手段として厚鋼板や型鋼等を組み合わせて溶接加工したものを使用しているため、該リフト手段の構成が非常に複雑である。
更に、特許文献5に記載のものは、相対する一対の側面網における列線の内部に、ワイヤロープを掛けるためのバー状の係止部材を挿通しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開昭61−23317号公報
【特許文献2】特開平5−132914号公報
【特許文献3】特開平7−109718号公報
【特許文献4】特開2002−97616号公報
【特許文献5】特開2007−224602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、石詰篭に簡単な線条手段を付加するだけで、栗石が充填された大重量の石詰篭を底面や側面が下方や側方に湾曲しないように吊り上げて運搬することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため本発明の吊り上げ式石詰篭は、菱形金網製の底面網及び側面網を有する容器形の篭本体に、吊り上げ用の線条手段を複数組取り付けることにより形成され、前記線条手段は、相対する一対の線条部材からなり、該一対の線条部材の中間部分は前記底面網に非固定状態に係合し、該一対の線条部材の先端部分は、篭本体の内部を互いに逆向きかつ斜め上向きに延びて先端が前記側面網の相対する位置に連結され、該一対の線条部材の基端部分は、篭本体の内部を上方に向けて立ち上がり、基端がリフト手段に吊り掛けられることを特徴とするものである。
【0012】
本発明において、前記一対の線条部材は、前記篭本体の中央に対して対称に配設されている。
また、前記一対の線条部材の中間部分は、前記底面網に沿って少なくとも一つの網目を跨ぐように延在していることが望ましい。
本発明において好ましくは、前記側面網を形成する菱形金網の列線の内部に骨線が挿通され、該骨線に前記線条部材の先端が連結されていることである。
【0013】
本発明の好ましい具体的な構成態様によれば、前記篭本体は、前記底面網と、相対する一対の第1側面網及び第2側面網と、相対する他の一対の第3側面網及び第4側面網とを有する四角い容器形をなし、前記線条手段における一対の線条部材の先端は、前記第1側面網と第2側面網との相対する位置に連結されている。
【0014】
この場合、前記篭本体が複数の補助線条手段を有し、該補助線条手段は、相対する一対の補助線条部材からなり、該一対の補助線条部材の中間部分は前記底面網に非固定状態に係合し、一つの補助線条手段における一対の補助線条部材の先端部分は、篭本体の内部を斜め上向きに延びて先端が前記第3側面網にそれぞれ連結され、他の一つの補助線条手段における一対の補助線条部材の先端部分は、篭本体の内部を斜め上向きに延びて先端が前記第4側面網にそれぞれ連結され、各補助線条部材の基端部分は篭本体の内部を上方に向けて立ち上がり、基端が前記リフト手段に吊り掛けられるようになっていることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、石詰篭に、相対する一対の線条部材からなる線条手段を付加するという簡単な構成により、栗石が充填された大重量の石詰篭を前記線条手段により底面や側面が下方や側方に湾曲しないように吊り上げて運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る石詰篭の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】図1の石詰篭のIII−III線に沿った断面図で、栗石を積めた状態を示すものである。
【図4】図3の要部拡大図である。
【図5】図4の右側面図である。
【図6】本発明に係る石詰篭の第2実施形態を示す斜視図である。
【図7】図6の石詰篭のVII−VII線に沿った断面図で、補助線条手段のみを示すものである。
【図8】図6の石詰篭のVIII−VIII線に沿った断面図で、補助線条手段のみを示すものである。
【図9】本発明に係る石詰篭の第3実施形態を図3と同様位置で破断して示す断面図である。
【図10】本発明に係る石詰篭の第4実施形態を図3と同様位置で破断して示す断面図である。
【図11】本発明に係る石詰篭の第5実施形態を図3と同様位置で破断して示す断面図である。
【図12】本発明に係る石詰篭の第6実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1−図3は本発明に係る石詰篭の第1実施形態を示すもので、この石詰篭1Aは、菱形金網製の篭本体10に吊り上げ用の線条手段20A,20Bを取り付けることにより形成されている。図では2組の線条手段20A及び20Bが取り付けられている。
なお、前記2組の線条手段20A及び20Bは互いに同じ構成を有しているため、以下の説明において、それらを区別して表示する必要がない場合には単に「線条手段20」と標記することもある。
【0018】
前記篭本体10は、底面網11と、相対する一対の第1側面網12a及び第2側面網12bと、相対する他の一対の第3側面網13a及び第4側面網13bと、必要に応じて取り付けられる上面網(不図示)とからなっていて、前記第1側面網12aと第2側面網12bとを結ぶ前後方向の篭幅より、前記第3側面網13aと第4側面網13bとを結ぶ左右方向の篭幅の方が長い矩形の箱形に形成され、内部に骨材としての栗石14を充填した状態で建設資材として取り扱われるものである。しかし、篭幅の大小関係は前記の場合と逆であっても良く、前後方向の篭幅と左右方向の篭幅が等しくても構わない。
【0019】
前記底面網11と第1−第4側面網12a−13bとは、それぞれ菱形金網によって矩形のパネル状に形成されている。この菱形金網は、図4及び図5からも分かるように、扁平螺旋形状に折曲した複数の列線15を折曲部15aにおいて順次連繋してなるもので、前記第1−第4側面網12a−13bにおいては、前記列線15が横向き(水平方向)に配設され、底面網11においては、前記列線15が第1側面網12a及び第2側面網12bの列線15と同じ向き(篭本体10の左右方向)に配設されている。しかし、列線15の配設方向はこれと違っていても良く、第1−第4側面網12a−13bのうち少なくとも第3側面網13a及び第4側面網13bの列線15を篭本体10の高さ方向に配設することもできる。
【0020】
前記底面網11及び第1−第4側面網12a−13bは、各々を個別に形成して相互に連結しても良いが、例えば、前記底面網11の列線15の向きが前記第1側面網12a及び第2側面網12bと同じ向きである場合には、これら底面網11と第1側面網12aと第2側面網12bとを一連の菱形金網によって一体に形成することもできる。また、隣接する面網同士の連結は、各面網の外周を取り囲む針金製の外周枠16の互いに対応する枠同士を、スクリューストッパーのような連結金具17で結合することにより行われる。
【0021】
前記第1側面網12a及び第2側面網12bには、前記線条手段20における一対の線条部材21,22の先端を連結するための骨線18a,18bが挿通されている。即ち、前記第1側面網12a及び第2側面網12bを形成する菱形金網の互いに隣接する2つの列線15,15の内部には、図4及び図5に示すように、両列線15,15の連繋部15bを通るように共通の前記骨線18a,18bが挿通されている。図示した例では、上から2列目の列線15と3列目の列線15との内部に前記骨線18a,18bが挿通されている。
【0022】
前記骨線18a,18bは、前記列線15を形成する針金と同様の針金で形成されたもので、該列線15と同等あるいはそれ以上の剛性を有し、その長さは前記側面網12a,12bの網長(左右方向の長さ)よりも若干短く形成され、該骨線18a,18bの両端は、側面網12a,12bの両端の外周枠16に連結されることなく、フリーのままとされている。即ち、前記骨線18a,18bは、単に列線15の内部に挿通されているだけで、側面網12a,12bに対して非固定の状態にある。
なお、前記骨線18a,18bは、図4及び図5に鎖線で示すように、前記連繋部15b以外の場所で一つの列線15の内部に挿通しても良い。
【0023】
また、前記底面網11にも同様の骨線19a,19bが2本挿通されている。即ち、該底面網11の中央位置より第2側面網12b側に寄った位置と第1側面網12a側に寄った位置との2カ所において、隣接する2つの列線15,15の内部に、それらの連繋部15bを通るように第1骨線19aと第2骨線19bとが挿通されている。これらの骨線19a,19bも底面網11の網長より長さが若干短く形成されていて、その両端は該底面網11の両端の外周枠16に連結されることなく、フリーのままとされている。
なお、この底面網11においても、前記骨線19a,19bは前記連繋部15b以外の場所で一つの列線15の内部に挿通することもできる。
【0024】
前記線条手段20A,20Bは、それぞれ相対する一対の線条部材21及び22により形成され、該線条部材21,22は、針金やワイヤロープのような金属製の線材かあるいは化学繊維製の線材のような、引っ張り強度の大きい線材により形成されている。
【0025】
前記一対の線条部材21,22は、中間部分21a,22aを底面網11に非固定状態に係合されると共に、先端部分21b,22bを第1側面網12aと第2側面網12bとに別々に連結され、基端部分21c,22cは上向きに立ち上がって先端がリフト手段に吊り掛けるための吊掛部21d,22dとなっている。
【0026】
前記構成について詳述すると、一方の第1線条部材21は、篭本体10の中央より第2側面網12b側に寄った位置で底面網11の網目に該篭本体10の内側から外側に向けて挿通されることにより、前記第1骨線19aに第2側面網12b側から当接、係合されたあと、中間部分21aが該底面網11の下面に沿って少なくとも一つの網目を跨ぐように第1側面網12a側に向けて延在し、該底面網11の中央又は中央近傍で再び篭本体10の内側に向けて網目に挿通され、先端部分21bが篭本体10の内部を前記第1側面網12aに向けて斜め上向きに延びたあと、その先端が該第1側面網12aの前記骨線18aに連結されている。また、該第1線条部材21の基端部分21cは、篭本体10の中央に向けて斜め上向きに立ち上がり、その基端の前記吊掛部21dに、リフト手段の吊り棒24を挿通するための環が形成されている。
【0027】
これに対して他方の第2線条部材22は、篭本体10の中央より第1側面網12a側に寄った位置で底面網11の網目に該篭本体10の内側から外側に向けて挿通されることにより、前記第2骨線19bに第1側面網12a側から当接、係合されたあと、中間部分22aが前記底面網11の下面に沿って少なくとも一つの網目を跨ぐように第2側面網12b側に向けて延在し、底面網11の中央又は中央近傍で再び篭本体10の内側に向けて網目に挿通され、先端部分22bが該篭本体10の内部を前記第2側面網12bに向けて斜め上向きに延びたあと、その先端が該第2側面網12bの前記骨線18bに連結されている。また、該第2線条部材22の基端部分22cは、篭本体10の中央に向けて斜め上向きに立ち上がり、その基端の前記吊掛部22dに、リフト手段の吊り棒24を挿通するための環が形成されている。そして、該第2線条部材22の吊掛部22dと前記第1線条部材21の吊掛部21dとは、一カ所に集約されている。
【0028】
従って、前記線条手段20を形成する一対の線条部材21,22は、該線条手段20の中心に対して対称をなすように配設されていることになる。換言すれば、前記一対の線条部材21,22は、篭本体10の中央に対して対称をなすように配設されているということもできる。この場合の「対称」とは、必ずしも幾何学的に完全な対称である場合だけを言うのではなく、若干のずれがあっても実質的に対称と言えるものがそれに含まれる。
【0029】
前記第1及び第2線条部材21,22の先端を第1及び第2側面網12a,12bに連結する位置は、該側面網12a,12bの高さ方向の中間位置かそれより上方位置であることが望ましい。
また、前記線条手段20は、石詰篭1Aを吊り上げた場合の左右の重量バランスがとれるように、篭本体10の左右対称となる位置に2組配設されている。しかし、該線条手段20は、篭本体10の長さに応じて3組以上設けることもできる。
【0030】
前記構成を有する石詰篭1Aは、その内部に必要量の栗石14を充填し、必要に応じて上面に上面網を取り付けたあと、前記線条手段20の吊掛部21d,22dの環にリフト手段の一部を構成する吊り棒24を挿通し、この吊り棒24にワイヤロープ等を掛けてパワーショベル等の重機により吊り上げ、目的の場所に運搬する。前記ワイヤロープは、前記吊り棒24と共にリフト手段の一部を構成するものである。
なお、前記目的の場所とは、石詰篭1Aを一時的に保管するための保管場所や、トラックの荷台、あるいは工事現場における石詰篭1Aの設置場所等である。
【0031】
前記石詰篭1Aを吊り上げたとき、図3から分かるように、前記第1線条部材21及び第2線条部材22の中間部分21a,22aによって底面網11の中央部付近が上向きに支持されると共に、該第1線条部材21及び第2線条部材22の先端部分21b,22bによって第1側面網12a及び第2側面網12bが内向きに引っ張られるため、前記底面網11や第1側面網12a及び第2側面網12bが栗石14の重量によって外側に湾曲するのが防止される。
【0032】
このとき、前記第1側面網12a及び第2側面網12bにおいては、前記第1線条部材21及び第2線条部材22の先端が骨線18a及び18bに連結されているため、該線条部材21,22による強大な引張力は該骨線18a,18bに直接作用し、列線15に直接作用しない。しかも、前記引張力は、前記骨線18a,18bが網目内で石詰篭1Aの内側へ若干湾曲した状態に変形することによって吸収されるため、列線15の変形や損傷等による側面網12a,12bの破損が生じない。
【0033】
前記骨線18a,18bは、列線15の内部に挿通されているだけで、その両端は前記第1側面網12a及び第2側面網12bに連結されていないが、該骨線18a,18bは剛性を有し、しかも複数箇所で前記第1線条部材21及び第2線条部材22に連結されているため、前記引張力により大きく折れ曲がって前記第1側面網12a及び第2側面網12bの網目から抜け出すことはない。
【0034】
底面網11においても同様に、前記第1線条部材21及び第2線条部材22が第1骨線19a及び第2骨線19bに係合することによって列線15に作用する支持力が緩和されるため、該列線15の変形や損傷等による底面網11の破損が防止される。
なお、前記底面網11の中央にも骨線19cを挿通することができる。
また、前記各骨線18a,18b,19a−19cの両端は、必要に応じて前記側面網12a,12b及び底面網11の外周枠16に連結しても構わない。
【0035】
前記石詰篭1Aが目的の場所に運搬されると、前記吊り棒24及びワイヤロープは取り外され、前記線条手段20も必要に応じて取り外されるか、あるいは小さく折り曲げられて石詰篭1Aの内部に収納される。
【0036】
前記線条手段20を石詰篭1Aの内部に収納する場合には、その収納が容易になるように、前記第1線条部材21及び第2線条部材22の基端部分21c及び22cが篭本体10から上方に突出する長さをできるだけ短く形成しておくことが望ましく、その突出長さは、少なくとも前記吊掛部21d,22d即ち環が篭本体10から上方に完全に突出する長さであれば良い。
また、前記線条手段20を取り外す場合、前記第1線条部材21及び第2線条部材22を全て完全に取り外すことができないときは、外部に露出する部分をカッターで切断することもできる。
更に、前記線条手段20を取り外さないで残す場合には、前記石詰篭1Aを現場に並べて設置したとき、前後や左右あるいは上下に隣接する石詰篭1A同士を前記第1線条部材21及び第2線条部材22で連結することもできる。
【0037】
なお、図3から分かるように、前記第1線条部材21の中間部分21aと第2線条部材22の中間部分22aとは、第1骨線19a又は第2骨線19bの位置から底面網11の中央まで延在して互いに重なり合っていないが、両方の中間部分21a及び22aを、第1骨線19aの位置から第2骨線19bの位置まで延在させることによって左右に完全に重なり合うように配置しても良い。
【0038】
図6−図8には石詰篭の第2実施形態が示されている。この第2実施形態の石詰篭1Bは、前記第1実施形態の石詰篭1Aに、第3側面網13a及び第4側面網13bの変形を防止するための2組の補助線条手段30A,30Bを付加したものである。分かり易くするため、図6では、線条手段20A,20Bが実線で記載され、補助線条手段30A,30Bが二点鎖線で記載されている。また、図7及び図8では、補助線条手段30A,30Bのみが記載されている。
この第2実施形態の石詰篭1Bにおける前記補助線条手段30A,30B以外の構成は実質的に前記第1実施形態と同じであるため、主要な同一構成部分に第1実施形態と同じ符号を付してその説明は省略し、前記補助線条手段30A,30Bに関連する構成についてのみ以下に説明することとする。
【0039】
前記補助線条手段30A,30Bは、相対する一対の補助線条部材31,32により形成されている。第3側面網13a側に位置する第1補助線条手段30Aは、第3側面網13a側に位置する第1線条手段20Aに近接して配置され、第4側面網13b側に位置する第2補助線条手段30Bは、第4側面網13b側に位置する第2線条手段20Bに近接して配置されている。
【0040】
即ち、前記第1補助線条手段30Aにおいては、第1補助線条部材31の中間部分31aが、前記第1線条手段20Aの第1線条部材21に近接する位置で前記第1骨線19aに非固定状態に係合されると共に、第2補助線条部材32の中間部分32aが、前記第1線条手段20Aの第2線条部材22に近接する位置で前記第2骨線19bに非固定状態に係合され、前記第1補助線条部材31及び第2補助線条部材32の先端部分31b及び32bは、篭本体10の内部を第3側面網13aに向けて斜め上向きに延び、各々の補助線条部材31,32の先端が、前記第3側面網13aに挿通された骨線18cにそれぞれ連結されている。また、各補助線条部材31,32の基端部分31c,32cは、前記線条部材21,22の基端部分21c,22cに沿って篭本体10の内部を上方に向けて立ち上がり、基端の吊掛部31d,32dに前記リフト手段に吊り掛けるための環が形成されている。
【0041】
また、前記第2補助線条手段30Bにおいては、第1補助線条部材31の中間部分31aが、前記第2線条手段20Bの第1線条部材21に近接する位置で前記第1骨線19aに非固定状態に係合されると共に、第2補助線条部材32の中間部分32aが、前記第2線条手段20Bの第2線条部材22に近接する位置で前記第2骨線19bに非固定状態に係合され、前記第1補助線条部材31及び第2補助線条部材32の先端部分31b及び32bは、篭本体10の内部を第4側面網13bに向けて斜め上向きに延び、各々の補助線条部材31,32の先端が、前記第4側面網13bに挿通された骨線18dにそれぞれ連結されている。また、各補助線条部材31,32の基端部分31c,32cは、前記線条部材21,22の基端部分21c,22cに沿って篭本体10の内部を上方に向けて立ち上がり、基端の吊掛部31d,32dに前記リフト手段に吊り掛けるための環が形成されている。
前記補助線条手段30A,30Bの吊掛部31d,32dと前記線条手段20A,20Bの吊掛部21d,22dとは、一カ所に集約されている。
【0042】
この第2実施形態の石詰篭1Bはこのように形成されているので、それを吊り上げた際に前記2組の補助線条手段30A,30Bによって第3側面網13a及び第4側面網13bの変形が防止される。
なお、前記2組の補助線条手段30A,30Bは、前記2組の線条手段20A,20Bに近接して配設されているが、該線条手段20A,20Bから第3側面網13a側及び第4側面網13b側に離れた位置に配設することもできる。
【0043】
図9−図11にはそれぞれ、線条手段20における一対の線条部材21,22の配置が異なる石詰篭が例示されている。
このうち図9に示す第3実施形態の石詰篭1Cにおいては、線条手段20の第1線条部材21及び第2線条部材22の基端部分21c及び22cが、底面網11の中央部から上方に向けてほぼ真っ直ぐ立ち上がり、前記第1線条部材21の中間部分21aは、前記底面網11の中央から第1側面網12a側に向けて少なくとも一つの網目を跨ぐように延在し、前記第2線条部材22の中間部分22aは、前記底面網11の中央から第2側面網12b側に向けて少なくとも一つの網目を跨ぐように延在し、前記第1線条部材21の先端部分21bは第1側面網12aに向けて斜め上向きに延び、その先端が該第1側面網12aの骨線18aに連結され、前記第2線条部材22の先端部分22bは第2側面網12bに向けて斜め上向きに延び、その先端が該第2側面網12bの骨線18bに連結されている。
この第3実施形態の石詰篭1Cの前記以外の構成は、前記第1実施形態の石詰篭1Aと実質的に同じである。
【0044】
また、図10に示す第4実施形態の石詰篭1Dが前記第3実施形態の石詰篭1Cと相違する点は、第1線条部材21の先端部分21bが第2側面網12b側に折り返されて先端が該第2側面網12bの骨線18bに連結され、第2線条部材22の先端部分22bは第1側面網12a側に折り返されて先端が該第1側面網12aの骨線18aにそれぞれ連結されていることである。
この第4実施形態の石詰篭1Dの前記以外の構成は、前記第1実施形態の石詰篭1Aと実質的に同じである。
【0045】
更に、図11に示す第5実施形態の石詰篭1Eが前記第3実施形態の石詰篭1Cと相違する点は、第1線条部材21及び第2線条部材22の中間部分21a及び22aが底面網11の中央の骨線19cに一点で係合されたあと、先端部分21b及び22bが篭本体10の内部を斜め上向きに延び、各々の先端が第1側面網12a及び第2側面網12bの骨線18a及び18bに連結されていることである。
この場合、図11に鎖線で示すように、前記第1線条部材21及び第2線条部材22の中間部分21a及び22aを、底面網11の中央より第1側面網12a側及び第2側面網12b側に寄った位置で骨線19a及び19bにそれぞれ係合させても良い。
この第5実施形態の石詰篭1Eの前記以外の構成は、前記第1実施形態の石詰篭1Aと実質的に同じである。
【0046】
なお、前記第3−第5実施形態の石詰篭1C−1Eにも、前記第2実施形態の石詰篭1Bに設けられているような補助線条手段30A,30Bを設けることができる。
また、前記第1−第5実施形態の石詰篭1A−1Eにおいては、各線条手段20の線条部材21,22及び各補助線条手段30A,30Bの補助線条部材31,32が、底面網11及び側面網12a−13bに挿通された骨線19a−19c,18a−18dに係合あるいは連結されているが、このような骨線に係合あるいは連結することなく、底面網11及び側面網の列線15又は列線15同士の連繋部15bに直接係合あるいは連結しても構わない。
【0047】
図12には石詰篭の第6実施形態が示されている。この第6実施形態の石詰篭1Fは、平面視形状がほぼ正方形をなす比較的小形のもので、篭本体10の第1側面網12a及び第2側面網12bと第3側面網13a及び第4側面網13bとが全て同じ大きさに形成されており、該篭本体10に2組の線条手段20A,20Bが互いに直角に交叉する向きに取り付けられている。分かり易くするため、第1線条手段20Aが実線で記載され、第2線条手段20Bが二点鎖線で記載されている。
【0048】
即ち、一方の第1線条手段20Aは、第1線条部材21及び第2線条部材22の中間部分21a及び22aが、底面網11の中央より第1側面網12a側及び第2側面網12b側に寄った相対する位置でそれぞれ該底面網11に係合したあと、各々の先端部分21b及び22bが篭本体10の内部を斜め上向きに延び、その先端が第1側面網12aと第2側面網12bとの相対する位置にそれぞれ連結されている。
【0049】
また、他方の第2線条手段20Bは、第1線条部材21及び第2線条部材22の中間部分21a及び22aが、底面網11の中央より第3側面網13a側及び第4側面網13b側に寄った位置でそれぞれ該底面網11に係合したあと、各々の先端部分21b及び22bが篭本体10の内部を斜め上向きに延び、その先端が第3側面網13aと第4側面網13bとの相対する位置にそれぞれ連結されている。
【0050】
前記第6実施形態の石詰篭1Fにおいて、前記第1線条部材21及び第2線条部材22の中間部分21a及び22aが係合する位置、及び各線条部材21及び22の先端が連結される位置には、鎖線で示すようにそれぞれ骨線34が挿通されているが、該骨線34を挿通することなく、前記線条部材21,22の中間部分21a,22a及び先端を、底面網11及び側面網12a,12b,13a,13bの列線15又は列線15同士の連繋部15bに直接係合又は連結しても良い。
また、この第6実施形態の石詰篭1Fにおいて、前記第1線条部材21及び第2線条部材22の中間部分21a及び22aは、第1実施形態の石詰篭1Aのように、底面網11の下面に沿って少なくとも一つの網目を跨ぐように延在していても良い。
【0051】
前記第6実施形態の石詰篭1Fにおける2組の線条手段20A,20Bの配置は、円筒形の石詰篭にも適用することができる。この円筒形の石詰篭は、円形の底面網と、円筒形の側面網と、必要に応じて取り付けられる円形の上面網とで形成されるもので、通称「だるま篭」と呼ばれるものである。
なお、円筒形の石詰篭の直径が大きい場合には、3組以上の線条手段を石詰篭の中心の周りに等角度で交叉させて配設することもできる。
【0052】
また、前記各実施形態においては、線条手段20A,20B及び補助線条手段30A,30Bの吊掛部21d,22d及び31d,32dに環が形成されているが、このような環は必ずしも必要ではなく、リフト手段に吊り掛けられるようになっていれば良い。
【符号の説明】
【0053】
1A,1B,1C,1D,1E,1F 石詰篭
10 篭本体
11 底面網
12a 第1側面網
12b 第2側面網
13a 第3側面網
13b 第4側面網
15 列線
18a,18b,18c,18d 骨線
20A,20B 線条手段
21 第1線条部材
22 第2線条部材
21a,22a 中間部分
21b,22b 先端部分
21c,22c 基端部分
21d,22d 吊掛部
30A,30B 補助線条手段
31 第1補助線条部材
32 第2補助線条部材
31a,32a 中間部分
31b,32b 先端部分
31c,32c 基端部分
31d,32d 吊掛部
34 骨線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
菱形金網製の底面網及び側面網を有する容器形の篭本体に、吊り上げ用の線条手段を複数組取り付けることにより形成され、
前記線条手段は、相対する一対の線条部材からなり、該一対の線条部材の中間部分は前記底面網に非固定状態に係合し、該一対の線条部材の先端部分は、篭本体の内部を互いに逆向きかつ斜め上向きに延びて先端が前記側面網の相対する位置に連結され、該一対の線条部材の基端部分は、篭本体の内部を上方に向けて立ち上がり、基端がリフト手段に吊り掛けられることを特徴とする吊り上げ式石詰篭。
【請求項2】
前記一対の線条部材は、篭本体の中央に対して対称に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の吊り上げ式石詰篭。
【請求項3】
前記一対の線条部材の中間部分は、前記底面網に沿って少なくとも一つの網目を跨ぐように延在していることを特徴とする請求項1又は2に記載の吊り上げ式石詰篭。
【請求項4】
前記側面網を形成する菱形金網の列線の内部に骨線が挿通され、該骨線に前記線条部材の先端が連結されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の吊り上げ式石詰篭。
【請求項5】
前記篭本体は、前記底面網と、相対する一対の第1側面網及び第2側面網と、相対する他の一対の第3側面網及び第4側面網とを有する四角い容器形をなし、前記線条手段における一対の線条部材の先端は、前記第1側面網と第2側面網との相対する位置に連結されていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の吊り上げ式石詰篭。
【請求項6】
前記篭本体が複数の補助線条手段を有し、該補助線条手段は、相対する一対の補助線条部材からなり、該一対の補助線条部材の中間部分は前記底面網に非固定状態に係合し、一つの補助線条手段における一対の補助線条部材の先端部分は、篭本体の内部を斜め上向きに延びて先端が前記第3側面網にそれぞれ連結され、他の一つの補助線条手段における一対の補助線条部材の先端部分は、篭本体の内部を斜め上向きに延びて先端が前記第4側面網にそれぞれ連結され、各補助線条部材の基端部分は篭本体の内部を上方に向けて立ち上がり、基端が前記リフト手段に吊り掛けられることを特徴とする請求項5に記載の吊り上げ式石詰篭。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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