説明

吊り下げられた応力ゲージを備える磁場センサー

本発明は、磁場センサー(100)に関連し、磁場センサー(100)は、磁気手段(112)を備えた本体部(108)であり、磁気手段は検出すべき外部磁場の作用によって本体部に印加されるトルクを生成することができる、本体部(108)と、検出すべき磁場の方向に垂直な軸を有する少なくとも1つのピボットリンクによってセンサーのインレー部分(114)に本体部を機械的に連結する、本体部から分離されている、連結手段(116)と、連結手段から分離され、インレー部分に機械的に連結されている第1の部分(123)と、本体部に機械的に連結されている第2の部分(125)と、第1の部分と第2の部分との間に備えられ、インレー部分と本体部との間に吊り下げられている第3の部分(127)とを有する、少なくとも1つの吊り下げられている応力ゲージ(124)を備える、トルクにより本体部上に印加される応力を検出するための手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MEMSまたはNEMS小型センサーを使用する、磁気センサーの分野、より具体的には、単軸または多軸磁場(mono− or multi−axis magnetic fields)を測定するためのデバイスおよび方法に関するものである。
【0002】
対象用途としては、例えば、地球磁場を測定して方位を再構成するもの(コンパスタイプの用途)が挙げられるが、磁気測定場(magnetic measuring field)を使用するすべての用途(例えば、遠隔電流測定)もそうである。
【背景技術】
【0003】
小型センサーを使用して磁場測定を実行するために、物理学の異なる原理に基づいて多くの技術が開発されてきた。例としては、特に、ホール効果センサー、GMR(巨大磁気抵抗)センサー、AMR(異方性磁気抵抗)センサー、フラックスゲートまたは磁気測定センサー、ローレンツ力センサー、または磁性体センサーが挙げられる。
【0004】
頻繁に遭遇する問題の1つは、複数の軸にそって磁場測定を実行することができるセンサーの生産に関するものである。センサーの平面内に配置された2本の軸にそった磁場の成分を測定するセンサーは、すでに製作されている。しかし、磁場の垂直成分(センサーの平面に対して垂直な成分)も測定したい場合、このようなセンサーの生産は、特にセンサーの平面内に配置されている磁場の磁気成分をこのセンサーで測定したい場合に、いっそう複雑なものとなる。
【0005】
さらに、ある種のセンサーは、いくつかの磁場測定を実行するように適合されない。例えば、磁場の測定を実行するためには、ホール効果センサーの分解能はあまりにも低すぎて、この磁場の方向を正確に決定することができない。GMRセンサーはヒステリシスを有しており、地球磁場の測定(約50μTに等しい)とは相容れない低磁場非線形測定(約100μT未満)を実行する。
【0006】
例えば、AMRおよびフラックスゲートセンサーなどの他の種類のセンサーも、かなりの電力消費を伴い、これは、例えば、これらのセンサーがボード搭載用途で使用されることが意図されている場合に欠点となりうる。
【0007】
ローレンツ力センサーは、地球磁場などの磁場の正確な測定を実行したい場合にきわめて大きい。さらに、共振モードでの動作には、高価な真空パッケージングを通じてのみ得られる実質的な品質係数が要求される。
【0008】
ローレンツ力センサーに関して、硬磁性体センサーは、磁場の存在下において力またはトルクを発生させるために電流を必要とせず、これは電力消費に関して有利である。しかし、既存の磁性体センサーには、他にも、1または2本の軸のみによる検出、非集積化センサーであること、加速度に過敏であること、または磁場検出感度が過度に低いことといった欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の一目的は、もっぱらマイクロシステムまたはナノシステム技術を使用して作ることができる、つまり、MEMSまたはNEMSタイプであり、単軸もしくは多軸磁場検出を可能にする、加速度にはあまり敏感でなく、強い磁気感受性を有する、高集積化された、コンパクトな磁場センサーを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのために、本発明は、少なくとも、
−磁気手段を備えた本体部であって、磁気手段は検出すべき外部磁場の作用によって本体部に印加されるトルクを生成することができる、本体部と、
−検出すべき磁場の方向に垂直な軸を有する少なくとも1つのピボットリンクによってセンサーのインレー部分に本体部を機械的に連結する、本体部から分離されている、連結手段と、
−連結手段から分離され、インレー部分に機械的に連結されている少なくとも1つの第1の部分と、本体部に機械的に連結されている少なくとも1つの第2の部分と、さらには第1の部分と第2の部分との間に備えられ、インレー部分と本体部との間に吊り下げられている少なくとも1つの第3の部分とを有する、少なくとも1つの吊り下げられている応力ゲージを備える、トルクの作用により本体部によって印加される応力を検出するための手段とを具備する磁場センサーを提案する。
【0011】
特に、このようなデバイスを使用すると、地球磁場(約50μTでもある)の成分をよい方位精度(典型的には約1°未満)で測定することが可能になる。さらに、このようなセンサーを携帯できる自律型の用途で使用すると、使用される検出手段によっては容積を縮小し、質量を小さくし、電力消費を潜在的に減らせる。
【0012】
このデバイスは、遠隔電流の測定などの、他の種類の磁場測定にも適用される。
【0013】
このようなセンサーは、いくつかの独立した部分、つまり、本体部、連結手段、および検出手段を有する。このセンサーでは、応力ゲージをインレー部分と本体部との間に吊り下げる。そのために、ゲージの少なくとも2つの部分(例えば、端部)は、(例えば、インレー連結部によって)インレー部分および本体部に機械的に連結される。したがって、応力ゲージの少なくとも1つの第3の部分は、これら2つの要素の間に吊り下げられ、この第3の部分はセンサーのどの要素とも接触せず、特に、連結手段とは接触しない。
【0014】
磁場を検出するための手段が吊り下げられるとした場合、つまり、磁気手段を有する本体部およびセンサーの残り部分と無相関である場合、センサーの異なる部分、つまり本体部、検出手段、および連結手段を、互いに独立して最適化することが可能である。特に、異なる厚さを持つようにこれら3つの部分を製造することが可能である。これらの検出手段を異なる場所に位置決めし、本体部によって印加される応力のよい測定を実行できるように検出手段の場所を選択することも可能である。
【0015】
さらに、応力ゲージを、インレー部分と本体部との間に吊り下げられるように製作することによって、このゲージを、そのセクションができる限り小さくなるように製作することが可能であり、これにより、その検出器感度を最適化することが可能になる。センサーの一要素内に埋め込まれていない、吊り下げた応力ゲージを使用することによって、応力ゲージがセンサーの要素内のドーパント注入によって、例えば、連結手段上に形成された場合に現れる漏れ電流の出現が回避される。
【0016】
さらに、磁場の測定が、吊り下げられたゲージ、つまり、磁場に敏感な部分と無相関である手段、つまり、本体部によって行われるならば、センサーの構造により、本質的に、その設計に応じて、吊り下げられているゲージ上の応力増幅が引き起こされ、これにより、実行される測定の感度が改善されうる。
【0017】
さらに、少なくとも、
−磁気手段を備えた本体部であって、磁気手段は検出すべき外部磁場の作用によって本体部に印加されるトルクを生成することができる、本体部と、
−検出すべき磁場の方向に垂直な軸を有する少なくとも1つのピボットリンクによってセンサーのインレー部分に本体部を機械的に連結する連結手段と、
−インレー部分と本体部との間に吊り下げられる少なくとも1つの応力ゲージを有する、トルクの作用により本体部によって印加される応力を検出するための手段とを有する磁場センサーが提案される。
【0018】
吊り下げられた応力ゲージは、ピボットリンクの軸の外に、および/またはピボットリンクの軸に垂直に配置されうる。
【0019】
その結果、トルクが本体部の平面に垂直な軸を有する場合、応力ゲージは、好ましくは、ピボットリンクの軸に関して、少なくとも本体部の前記平面内で、オフセットされうる。トルクが本体部の平面内に軸を有する場合、応力ゲージは、好ましくは、少なくとも本体部の平面に垂直な少なくとも1つの平面内に配置され、ピボットリンクの軸に関してオフセットされうる。
【0020】
磁気手段は、強磁性体、好ましくは、硬強磁性体を備えるものとしてよく、その磁化方向は、検出すべき磁場の方向およびピボットリンクの軸に垂直である。このような磁気手段は、特に、電力を使用せずに動作するという利点を有し、これはセンサーの電力消費の低減に寄与する。
【0021】
強磁性体は、例えば、CoPt、またはNdFeB、またはSmCoとすることができる。これらの材料は、特に、強い保磁力、例えば、約0.1Tより大きい保磁力を有するという利点を有し、これは、従来技術のAMRセンサー内に存在する磁気層とは異なり、センサーの耐用期間において再磁化する必要はないことを意味する。
【0022】
一代替的形態では、強磁性体は、軟強磁性体、つまり、保磁力が低い、例えば、約1mT以下の、例えば、FeNiまたはCoFeからなる軟強磁性体とすることができる。軟強磁性体の磁化は、外部磁場に応じて、特に、測定すべき磁場に応じて変化する。したがって、磁気手段が軟強磁性体を備える場合、磁気手段を備える本体部は、測定すべき磁場の方向に直交する方向に楕円形とすることができ、これにより、測定すべき磁場の方向に直交する前記方向にいわゆる「形状」異方性を引き起こす。この楕円形の長さ/幅の比は、5以上とすることができる。さらに、軟磁性体から生じる磁場の測定結果が非線形であれば、この非線形性を、測定すべき磁場に関して、例えば、100以上の比で、非常に大きくなるように形状異方性磁場(磁場の形状および特性に依存する)を最大化することによって最小化することが可能である。
【0023】
軟強磁性体から作り出される磁場の測定の非線形性を最小にするために、磁気手段が軟強磁性体を含む場合に、センサーが、固定であるか、または可変である分極磁場によって軟強磁性体を磁化することができる前記強磁性体に対する磁化手段を有することもできるということも可能であり、強磁性体およびこれらの磁化手段は電磁石を形成することを意図されている。これらの磁化手段は、定常もしくは可変電流が通ることが意図される少なくとも1つのコイルを有することができ、このコイルは、構造内に組み込むことができ、センサーの本体部上に位置決めすることができ、または例えば、センサーの他の要素の外にあり、肉眼で見える寸法を有することができる。
【0024】
最後に、軟強磁性体が、強磁性体を層の特定の積み重ねにすることによって、硬強磁性体に似た特性を有する、つまり、外部磁場に応じて変化しない磁化を有することも可能である。実際、磁気手段は、反強磁性体の1つまたは複数の層と交互になるように配置された強磁性体の1つまたは複数の層の積み重ねを備えることができる。このような一代替的形態では、層のそれぞれの積み重ねは、互いから切り離されている平行ブロックの集合を形成しうる。これらのブロックは、直方体の形状を取ることができ、それぞれのブロックは積み重ねのそれぞれの層の一部を有することができる。さらに、これらのブロックが磁化軸の方向に平行に細長い場合、これにより、測定すべき磁場の方向に直交する方向に形状異方性が持ち込まれる。
【0025】
他の代替的形態では、磁気手段は、平面内で電流が通ることが意図されている少なくとも1つのコイルを有することができ、これにより、検出すべき磁場の方向に垂直な方向で誘起磁場を発生させることが可能になる。
【0026】
磁気手段の測定すべき磁場に敏感なパラメータが、制御されつつ変化する場合(例えば、磁気手段が可変分極磁場内に配置された少なくとも1つの軟強磁性体を有し、この場合に敏感なパラメータが強磁性体の磁化に対応しているとき、または磁気手段が可変電流が通ることを意図されている少なくとも1つのコイルを備え、この場合に敏感なパラメータがコイルの電流に対応するとき)、この敏感なパラメータをセンサーの本体部の機械的共振周波数に実質的に近い周波数で変化させることが可能であり、これにより、センサーの本体部を共振させ、こうして形成される機械的共振器の品質係数(100,000より大きい値とすることができる)だけセンサーの検出手段上に印加される力を増幅することが可能になる。この方法で、センサーの感度をこの品質係数だけ増大させることが可能である。
【0027】
本体部は、磁気手段が配置されるボックス、または磁気手段が配置される面を有するものとしてよい。
【0028】
この方法では、本体部は、強磁性体が配置されるボックス、またはコイルが配置される面を有するものとしてよい。
【0029】
連結手段は、少なくとも1つのちょうつがいを有することができる。好ましくは、このちょうつがいは、本体部の厚さ以下の厚さを有するものとしてよい。
【0030】
本体部は、実質的に直方体の形状を取ることができる。本体部は、2つの主要な、互いに関して平行な、または対向する面を有することができ、ちょうつがいは本体部のこの2つの主要面に実質的に垂直な本体部の他の面に連結することができる。
【0031】
吊り下げられている応力ゲージは、ピエゾ抵抗タイプのものとすることができ、導体材料からなる、例えばまっすぐな、少なくとも1つの梁、または例えば、U字形、組格子模様、またはコイル状に曲げられる金属材料からなる少なくとも1つの梁を有することができる。
【0032】
ピエゾ抵抗検出機能を実装することによって、センサーは、周囲圧力で動作することができ、したがって、カプセル封入を必要としない。
【0033】
検出手段は、吊り下げられている応力ゲージの電気抵抗を測定するための手段も有することができる。
【0034】
吊り下げられている応力ゲージは、共振器タイプとすることができ、少なくとも1つの振動梁を有し、また検出手段は振動梁を励起するための手段および梁の振動周波数の変動を測定するための手段を備えることができる。したがって、このような検出を実行することによって、例えば、振動梁の共振周波数の容量性検出を実行することによって、センサーの電力消費を低く抑える。振動梁は、実質的に長手方向の梁であるか、または他の形状、例えば、音叉の形状の梁とすることができる。
【0035】
振動梁を励起するための手段は、振動梁に結合された少なくとも1つの励起電極に電気的に接続されている直流および/または交流成分を持つ少なくとも1つの電圧発生器を有することができ、また梁の振動周波数の変動を測定するための手段は、振動梁に結合された少なくとも1つの検出電極の電位の周波数変動を測定するための少なくとも1つの手段を有することができる。振動周波数の変動を測定するための手段は、ピエゾ抵抗手段とすることができる。
【0036】
一代替的形態では、センサーは、インレー部分と本体部との間に吊り下げられた少なくとも1つの第2の応力ゲージも有することができ、これら2つの吊り下げられている応力ゲージはピボットリンクの軸のいずれかの側に配置されうる。特に、この代替的形態を使用すると、差動磁場検出(differential magnetic field detection)を行うことができ、これにより、磁場の測定精度を上げることが可能になる。好ましくは、応力ゲージは、ピボットリンクの軸に関して対称的に配置するとよい。
【0037】
センサーは、インレー部分とホイートストンブリッジ内に取り付けられた本体部との間に吊り下げられた少なくとも1つの応力ゲージを有することができる。センサーが吊り下げられている応力ゲージをいくつか有している場合、それらの応力ゲージのうちの1つまたは複数をホイートストンブリッジ内に取り付けることができる。単一の応力ゲージがホイートストンブリッジ内に取り付けられる場合、ホイートストンブリッジの他の抵抗器は、基準抵抗器とすることができる。
【0038】
他の代替的形態では、センサーは、
−第1の本体部と実質的に類似の、第2の磁気手段を備えた第2の本体部であって、第2の磁気手段は検出すべき磁場の作用によって第2の本体部に印加される第2のトルクを生成することができる、第2の本体部と、
−検出すべき磁場の方向に垂直な軸を有する少なくとも1つのピボットリンクによってセンサーのインレー部分に第2の本体部を機械的に連結する第2の連結手段と、
−第2のトルクの作用により第2の本体部によって印加される応力を検出するための第2の手段であって、インレー部分と第2の本体部との間に吊り下げられ、それぞれ張力または圧縮力が加えられた状態で作動する第1の吊り下げられている応力ゲージに関して圧縮力または張力が加えられた状態で差動的に作動することが意図されている少なくとも1つの第2の応力ゲージを有する、第2の手段も有することができる。
【0039】
この差動アセンブリを使用することで、センサーによって差動検出が行われるため、外部磁場によって本体部に印加されるトルクに由来する信号の加速度に由来する信号(圧縮力または張力)を無相関にすることが可能である。
【0040】
他の代替的形態では、例えば実質的に直方体の形状を持つ、センサーの本体部は、互いに平行な、または対向する、例えば実質的に正方形の形状の2つの主要面を有し、また両方の主要面を通る陥凹部を有することができ、2つの主要面を通る平面内のいくつかのセクションは例えば実質的に正方形の形状を有することができ、陥凹部はこれら2つの主要面のいくつかのセクションに関して中心位置に揃えることができる。この場合、センサーは、
−検出すべき磁場の方向に垂直であり、また本体部の2つの主要面に垂直である軸を有するピボットリンクによって、それぞれの壁が本体部の2つの主要面に垂直であり陥凹部の側部を形成する、本体部の壁を陥凹部内に配置されているセンサーのインレー部分にそれぞれ機械的に連結することができる少なくとも2つの連結手段と、
−センサーのインレー部分と本体部との間に吊り下げられた少なくとも1つのピエゾ抵抗応力ゲージも有することができる。
【0041】
このようなセンサーがいくつかの吊り下げられた応力ゲージを有する場合、前記ゲージを対として連結手段のピボットリンクの軸のそれぞれのいずれかの側に配置することができる。
【0042】
これらの代替的実施形態は、差動磁場測定を実行できるという利点を有する。したがって、これらのセンサーは、磁場測定中にセンサーが受ける可能性のある加速度に対してかろうじて感受性があるか、または全く感受性がない。
【0043】
他の実施形態では、本体部は、本体部の重心がピボットリンクの軸のレベルに実質的に近いか、またはそのレベルにあるような形状を有することができる。この方法で、本体部は、ピボットリンクの軸の周りで実質的に平衡する質量をなす。この代替的形態により、磁場測定中に加速度に対するセンサーの感度を最小にすることが可能になる。
【0044】
磁気手段の重心は、ピボットリンクの軸に実質的に近いものとしてよい。
【0045】
センサーは、MEMSおよび/またはNEMSタイプのものとすることができる。
【0046】
有利には、センサーは、SOI基板から作ることができる。このセンサーを製作するのに、例えばSOI基板内でプレーナ技術を使用することによって、それに、例えば、類似の方法で、例えば同じ基板から、作ることができる3軸加速度計を組み込むか、またはこの技術を用いた差動センサーに加速度の測定を直接実行させることが可能である。したがって、移動の方向付けと測定の両方を実行することを可能にする高度センター(altitude centers)を製作することが可能である。さらに、このセンサーは、組立てを必要としないMEMSおよび/またはNEMS構造を形成することができ、これにより、生産コストが低減され、センサーの堅牢性および小型化とコンパクト性が高まる。
【0047】
本発明は、すでに説明されているような2つ、または3つの磁気センサーをそれぞれ有する2つまたは3つの方向を持つ磁場センサーにも関係し、これらの磁気センサーはそれらのセンサーによって測定されることが意図されている磁場の方向が互いに垂直になるように配置される。したがって、複数の一緒に集積化される単軸センサーにより、センサーの平面に垂直な軸を含む、2または3つの軸にそった磁場の成分を測定することが可能である。
【0048】
このセンサーが3方磁気センサーである場合、これらの磁気センサーの2つの磁気センサーのピボットリンクの軸は、第3の磁気センサーのピボットリンクの軸に垂直であるものとしてよい。
【0049】
それぞれの磁気センサーは、少なくとも1つの強磁性体を有することができ、その磁化方向は、前記センサーによって検出される磁場の成分の方向に垂直であり、前記センサーのピボットリンクの軸に垂直であるものとすることができる。
【0050】
一代替的形態では、それぞれの磁気センサーは、少なくとも1つの強磁性体を有することができ、その磁化方向は、前記センサーのピボットリンクの軸に垂直であり、それら3つの磁気センサーの強磁性体の磁化方向は類似度の高いものとすることができ、また磁力線の方向を前記磁力線の初期方向に垂直な第1の方向に再配向することができる少なくとも1つの磁束ガイドを有することもでき、前記磁束ガイドはこのセンサーが前記再配向された磁力線によって形成される磁場を測定できるように3つの磁気センサーのうちの1つに結合される。
【0051】
センサーは、磁束ガイドが結合されるセンサーに類似の少なくとも1つの第4の磁気センサーを有することもでき、前記磁束ガイドは場合によっては前記磁力線の初期方向に垂直であるが、磁力線の第1の再配向された方向と反対の第2の方向に従って磁力線を配向することができ、磁束ガイドは第4のセンサーが第2の方向の前記再配向された磁力線によって形成される磁場を測定できるように第4の磁気センサーに結合することもできる。
【0052】
磁束ガイドは、少なくとも1つの磁力線増幅要素を有することができる。
【0053】
一般に、検出すべき磁場の測定範囲は、磁気手段のいくつかのパラメータ(例えば、磁性体の体積および/または性質)を修正することによって、および/または応力ゲージのサイズおよび/またはその位置決めを修正することによって調節することができる。
【0054】
本発明は、磁場センサーを製作するための方法にも関係し、この方法は、少なくとも、
−磁気手段を備えた本体部であって、磁気手段は検出すべき外部磁場の作用によって本体部に印加されるトルクを生成することができる、本体部を製作するステップと、
−検出すべき磁場の方向に垂直な軸を有する少なくとも1つのピボットリンクによってセンサーのインレー部分に本体部を機械的に連結する、本体部から分離されている、連結手段を製作するステップと、
−連結手段から分離され、少なくとも1つの第1の部分がインレー部分に機械的に連結され、少なくとも1つの第2の部分が本体部に機械的に連結され、第1の部分と第2の部分との間に配置された少なくとも1つの第3の部分がインレー部分と本体部との間に吊り下げられている少なくとも1つの吊り下げられた応力ゲージを有する、トルクの作用により本体部によって印加される応力を検出するための手段を製作するステップとを含む。
【0055】
本発明は、付属の図面を参照しつつ、純粋に参考のため、また非制限的なものとして用意されている実施形態の説明を読むと理解が進むであろう。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1A】第1の実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーの上面図である。
【図1B】第1の実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーの横から見た図である。
【図2A】第2実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーの上面図である。
【図2B】第2の実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーの横から見た図である。
【図3】第2の実施形態の代替的実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーの上面図である。
【図4】第2の実施形態の代替的実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーの上面図である。
【図5A】第3の実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーの上面図である。
【図5B】第3の実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーの横から見た図である。
【図6A】第4実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーの上面図である。
【図6B】第4の実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーの横から見た図である。
【図7】第5の実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーの上面図である。
【図8】特定の一実施形態による、本発明の主題である、3次元磁場センサーの上面図である。
【図9A】本発明の主題である、3次元磁場センサーのいくつかの要素の代替的実施形態を示す図である。
【図9B】本発明の主題である、3次元磁場センサーのいくつかの要素の代替的実施形態を示す図である。
【図10A】本発明の主題である、磁場センサーの強磁性体と反強磁性体の層の積み重ねの例を示す図である。
【図10B】本発明の主題である、磁場センサーの強磁性体と反強磁性体の層の積み重ねの例を示す図である。
【図11A】本発明の主題である、3次元磁場センサーの代替的実施形態を示す図である。
【図11B】本発明の主題である、3次元磁場センサーの代替的実施形態を示す図である。
【図12A】特定の実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーの平衡状態にある本体部の例を図式的に示す図である。
【図12B】特定の実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーの平衡状態にある本体部の例を図式的に示す図である。
【図13A】特定の実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーを生産するための方法のステップを示す図である。
【図13B】特定の実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーを生産するための方法のステップを示す図である。
【図13C】特定の実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーを生産するための方法のステップを示す図である。
【図13D】特定の実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーを生産するための方法のステップを示す図である。
【図13E】特定の実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーを生産するための方法のステップを示す図である。
【図13F】特定の実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーを生産するための方法のステップを示す図である。
【図13G】特定の実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーを生産するための方法のステップを示す図である。
【図13H】特定の実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーを生産するための方法のステップを示す図である。
【図13I】特定の実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーを生産するための方法のステップを示す図である。
【図13J】特定の実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーを生産するための方法のステップを示す図である。
【図14A】特定の実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーを生産するための方法のステップを示す図である。
【図14B】特定の実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーを生産するための方法のステップを示す図である。
【図14C】特定の実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーを生産するための方法のステップを示す図である。
【図14D】特定の実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーを生産するための方法のステップを示す図である。
【図14E】特定の実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーを生産するための方法のステップを示す図である。
【図14F】特定の実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーを生産するための方法のステップを示す図である。
【図14G】特定の実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーを生産するための方法のステップを示す図である。
【図14H】特定の実施形態による、本発明の主題である、磁場センサーを生産するための方法のステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
上述の異なる図の同一の、類似の、または同等の部分には、一方の図から次の図へと簡単に移行できるように参照用に同じ番号を振ってある。
【0058】
図に示されている異なる部分は、図を判読しやすくするために必ずしも均等目盛を使用して示されてはいない。
【0059】
後述の異なる図に示され、同じ参照番号を付けられている軸は、一方の図と次の図とで類似のものである。
【0060】
さまざまな可能性(代替えの態様および実施形態)は、相互に排他的ではないと理解されなければならず、組み合わせることができる。
【0061】
第1の実施形態による磁場センサー100の一例は、図1Aおよび1Bに関して説明されており、それぞれ、センサー100の上面図および横から見た図となっている。
【0062】
センサー100は、半導体からなる支持層102、誘電体層104、およびこれもまた半導体からなる表層106によって形成される積み重ねを有するSOI基板から作られる。層102および106の半導体は、例えば、単結晶または多結晶シリコンである。表層106は、SiGeまたはIII−V族の他の材料から形成することも可能である。誘電体層104は、例えば、SiOからなる。一代替的形態では、センサー100は、他の種類の基板(バルク、ガラス上の半導体、など)から作ることも可能である。
【0063】
センサー100は、センサー100の可搬部分を形成し、磁場の作用によって本体部108を移動することができる磁気手段を備える本体部108を有する。この第1の実施形態では、本体部108は、表層106内に形成されるボックス110を有し、そこでは、強磁性体112が配列され、永久磁石を形成し、センサー100が検出することを意図されている外部磁場Bext1(これもまた図1Aおよび1Bの矢印によって示されている)の方向に垂直な永久磁石磁化方向Bmagnet(図1Aおよび1Bでは軸xに平行な矢印によって示されている)を有する。強磁性体112は、例えば、CoPt、またはNdFeB、またはSmCoからなる。
【0064】
一代替的形態では、強磁性体112は、保磁力が低い軟強磁性体、例えば、FeNiまたはCoFeとすることができる。この代替的形態では、センサー100は、強磁性体112を磁化し、それにより電磁石を形成することができる磁化手段を有することも可能である。これらの磁化手段では、可変電流または定常電流を通すことが意図されている、本体部108上に、またはセンサー100の隣に配置された、コイルを有することができる。
【0065】
この第1の実施形態では、本体部108は、直方体の形状を取り、その第1の主要面118は、下面と呼ばれ、誘電体層104と接触している表層106の面を通過する平面内にあり、また平面(X,Y)に平行であり、第2の主要面120は、下面118の反対側にあり上面と呼ばれる。下面118および上面120は、センサー平面100と呼ばれる平面に平行であり、これはさらに平面(X,Y)に平行である。さらに、強磁性体112は、直方体の形のブロックも形成する。この第1の実施形態では、センサー100は、センサー100の平面に垂直な単一成分を有する磁場Bext1を検出することが意図されている。
【0066】
本体部108は、例えば、数マイクロメートル程度、例えば、20μmから1mmまでの範囲のX軸とY軸にそった寸法、および約1μmに等しい、または約0.1μmから10μmまでの範囲、または数10マイクロメートルの厚さ(Z軸にそった寸法)を有する。強磁性体112によって形成されるブロックは、数マイクロメートルから500μmまでの範囲、例えば、約10μmに等しいものとすることができる幅W(y軸にそった寸法)、および約20μmから500μmまでの範囲、例えば、約100μmに等しいものとすることができる長さL(x軸にそった寸法)を有する。特に強磁性体112が軟強磁性体である場合に、強磁性体112によって形成されるブロックのアスペクト比L/Wは有意であり、例えば、約5以上とすることができる。
【0067】
本体部108、およびより正確にはボックス110は、2つのちょうつがい116によって、表層106の一部によって形成される、センサー100の固定部分、またはインレー部分114に連結される。ちょうつがい116は、表層106内のエッチングされたシリコン部分であり、これらは、実質的に直方体の形状をしており、厚さ(Z軸にそった寸法)は数ナノメートル程度、または数十ナノメートルから数マイクロメートルまでの範囲、例えば、約50nmから500nmまでの範囲である。ちょうつがい116は、インレー部分114とボックス110との間にY軸に平行な軸を有するピボットリンクを形成する。これらのちょうつがい116のそれぞれは、主要面118と120に垂直なボックス110の同じ側の一方の端部に連結される。図1Aおよび1Bの例では、ちょうつがい116は、本体部108の下面118が配置される平面の延長部内に配列されている。一代替的形態において、これらのちょうつがい116は、本体部108から異なる高さのところに、例えば、本体部108の上面120が配置される平面の延長部内で連結される。
【0068】
センサー100は、本体部108と支持層102との間、さらにはちょうつがい116と支持層102との間に形成された空の空間122を有する。この空の空間122は、センサー100の生産時に排除された誘電体層104の一部が占有する空間に対応する。したがって、静止時には、つまり、本体部108が外部磁場の応力を受けないとき(Bext1=0)、ちょうつがい116は、本体部108の機械的な支持を行い、それをセンサー100の平面に平行な平面内に維持する。
【0069】
センサー100は、永久磁石の磁化方向Bmagnetに垂直、またセンサー100の平面に垂直な配向の外部磁場Bext1の作用によって本体部108の移動を検出することを可能にする手段124も有する。このような磁場Bext1は、磁気質量112を作り、したがって本体部108を形成し、インレー部分114と本体部108との間にちょうつがい116によって形成されるピボットリンクの軸の周りの回転を受ける。図1Aおよび1Bの例では、この軸はY軸に平行であり(したがって、BmagnetおよびBext1に垂直であり)、ちょうつがい116の厚みの真ん中の、ちょうつがい116とインレー部分114との間の接合部を通過する。さらに、ちょうつがい116が本体部108の同じ側の2つの端部の近くに固定されるとすると、これらが、可能な外力が、例えば、センサー100が加速度を受け、加速度がセンサー100の平面内で配向されるためセンサー100の平面内で本体部108の回転させることを妨げる、つまり、Z軸およびX軸に平行な軸にそって本体部108の回転を妨げる。
【0070】
検出手段124は、ここでは、インレー部分114と本体部108の上面120との間に吊り下げられている応力ゲージである。この応力ゲージ124は、センサー100の平面に実質的に平行な平面内に配列される。応力ゲージ124はちょうつがい116から空間で隔てられる。同様に、本体部108の上面図120の平面の延長部内にちょうつがいが形成される一代替的実施形態では、応力ゲージ124は、この場合には、本体部108の下面118とインレー部分114との間に吊り下げることが可能である。一般に、検出手段124およびちょうつがい116は、検出手段124が磁場Bext1に曝されたときに本体部108の移動を検出できるようにセンサー100の平面に平行な同じ平面内に配列されない。
【0071】
その結果、ちょうつがい116によって形成された枢軸の周りの本体部108の回転運動により、磁場Bext1に垂直で、本体部108の回転の平面(平面(X,Z)に平行な平面)内に配置される、応力ゲージ124に力が加えられる。図1Aおよび1Bの例では、矢印で示され、参照記号Fで表されているこの力は、本体部108の回転が磁場Bext1の方向に配向されている場合に応力ゲージ124を伸長する。磁場Bext1が、図1Aおよび1Bに示されている方向と反対の方向に配向された場合、応力ゲージ124は、図示されている、応力ゲージ124を圧縮する、力Fとは反対の方向に配向される力を受ける。
【0072】
このセンサー100の構造は、本質的に、ゲージ124への応力を増幅するが、それは、吊り下げられている応力ゲージ124、ちょうつがい116、および本体部108がレバーアーム構造を形成するからである。したがって、ちょうつがい116と応力ゲージ124との間の距離が小さければ小さいほど、応力ゲージ124に印加される圧縮もしくは伸長力も大きく、これは磁場の結果である。
【0073】
センサー100のこの第1の実施形態では、応力ゲージ124は、ピエゾ抵抗タイプのものであり、金属梁によって形成される。この梁はここでは「U」字形に曲げられる。その結果、梁124の両端123は、インレー部分114に当接するように配列され、インレー部分114に機械的に連結され(インレーリンクによって)、梁の、梁124の曲げられたゾーンによって形成される、実質的に半円形の部分125は、本体部108に当接するように配列され、本体部108に(インレーリンクによって)機械的に連結される。応力ゲージ124は、ここでは、本体部108とインレー部分114との間に形成された空の空間129内のインレー部分114と本体部108との間に吊り下げられ、2つのちょうつがい116が配置されている端部123と半円形部分125との間に配列された2つの部分127を有する。梁124のマイクロメータ単位のまたはナノメートル単位の寸法を与えた場合、後者は、マイクロ梁もしくはナノ梁、またはマイクロワイヤもしくはナノワイヤとも称されうる。梁124は、Bext1がゼロのときに、初期抵抗Rを有し、これは、ゼロでない磁場Bext1の存在下で本体部108の移動によって梁124が圧縮されるか、または伸長されるときに、±ΔRだけ変化し、ΔRの値はBext1の値に比例する。この方法で、ΔRの値を測定することによって、Bext1の値を推定することが可能である。一代替的形態では、ピエゾ抵抗応力ゲージ124は、半導体ベースの梁によって形成されるか、またはより一般的には、ピエゾ抵抗特性を有する任意の種類の材料から構成することが可能である。
【0074】
センサー100は、2つの電気接点128に接続されている、応力ゲージ124、ここではオーム計の電気抵抗を測定するための手段126を有する。それぞれの電気接点128は、インレーゾーン114上に配列された金属部分によって形成され、それぞれの電気接点128は応力ゲージ124の2つの端部のうちの一方に、つまり、梁124の2つの端部のうちの一方に接続される。したがって、応力ゲージ124の抵抗の変動ΔRを測定することが可能である。
【0075】
したがって、センサー100は、センサー100の静止部分を形成するインレー部分114とセンサー100の可動部分を形成する本体部108との間に吊り下げられた磁場測定手段124を有する。したがって、これらの測定手段124は、磁場に敏感な構造、つまり、永久磁石112を有する本体部108から無相関である。したがって、センサー100は、測定手段124と磁場108に敏感な部分との間が無相関であるとした場合に、互いに無関係に最適化されうる3つの部分、
−磁場に敏感で、永久磁石を備える第1の部分、つまり、本体部108と、
−第1の部分が磁場に曝されたときに得られる応力に敏感な第2の部分、つまり、検出手段124と、
−第1の部分をアンカーまたはインレー部分に連結する3の部分、つまり、ちょうつがい116とを有する。
【0076】
この最適化は、例えば、互いと無関係に選択できる、これらの部分のうちのそれぞれの厚さ(Z軸に平行な寸法)に関係するものとしてよい。
【0077】
第2の実施形態による磁場センサー200の一例は、図2Aおよび2Bに関して説明されており、それぞれ、センサー200の上面図および横から見た図となっている。
【0078】
第1の実施形態によるセンサー100と同様に、センサー200は、層102、104、および106(図2Aには示されていない)を有するSOI基板から作られ、本体部108、インレー部分114、応力ゲージ124、および測定手段126を備える。
【0079】
センサー100に対し、センサー200は、センサー200の平面(センサー100の平面に類似しており、平面(X,Y)に平行である)に垂直な磁場を検出するようには意図されていないが、磁場Bext2はセンサー200の平面内で配向され、ここではY軸に平行であり、磁化方向Bmagnetに垂直である。
【0080】
このような検出を実行するため、本体部108は、2つのちょうつがい116によってインレーゾーン114に連結されないが、その単一のちょうつがい216によって厚み全体にわたって、本体部108の2つの主要面118および120に垂直な本体部108の一方の側の実質的に真ん中で、本体部108に連結され、インレー部分114から本体部108を隔てる空の空間129内に配列される。この磁場Bext2は、強磁性体112を形成する傾向があり、したがって、本体部108は、センサー200の平面に垂直な軸の周りの回転を受ける。図2Aおよび2Bの例では、この軸はZ軸に平行であり(したがって、BmagnetおよびBext2に垂直であり)、ちょうつがい216とインレー部分114との間の接合部を通過する。ちょうつがい216は、ここでは、インレー部分114に関して本体部108の、すでに説明されているちょうつがい116と同じ機械的支持を行い、ピボットリンクの役割を果たす。
【0081】
センサー200の応力ゲージ124は、ちょうつがい216の側部に形成される。したがって、図2Aおよび2Bに示されている検出すべき磁場Bext2(つまり、Y軸に平行な成分を有する)の存在下で、応力ゲージ124は、図2Aおよび2Bに示されているように力Fで圧縮され、そこから、Bext2の値は、センサー100と同じ原理(応力ゲージ124の電気抵抗の変動の測定結果)に従って推定することができる。検出すべき磁場の成分がBext2と反対の方向にある場合、応力ゲージ124は、力Fと反対の方向の力によって伸長される。
【0082】
図3は、第2の実施形態の第1の代替的形態におけるセンサー200の上面図である。この代替的形態では、検出手段124は、吊り下げられている金属梁によって形成されたピエゾ抵抗応力ゲージを有しないが、吊り下げられている半導体梁によるものを有している。ここで、この梁はシリコンベースであり、SOI基板の表層の一部をエッチングすることによって形成され、それからセンサー200が作られる。
【0083】
吊り下げられているU字形金属梁に対して、シリコン梁124は、ここでは、実質的にまっすぐな形状であり、第1の端部123は(インレー連結部によって)インレー部分114に機械的に連結され、第2の端部125は(インレー連結部によって)本体部108のボックス110に機械的に連結され、空の空間129内に吊り下げられる中心部分127が本体部108とインレー部分114との間に形成される。梁がボックス110およびインレー部分114と同じ材料から作られるならば、電気接点128の1つは、ここでは、梁124の第1の自由端の近くのインレー部分114の第1の部分上に形成され、第2の電気接点128は、ちょうつがい216が連結されるインレー部分114の部分上に形成される。オーム計126を電気接点128の間に接続することによって、シリコン梁124の抵抗および抵抗変動とともに、インレー部分114および梁124の端部123、125と電気接点128との間に配置されているボックス110のシリコンの抵抗を測定する。インレー部分114および梁124の端部123、125の間のボックス110のシリコンの電気抵抗が変化しないならば、測定された抵抗変動は、吊り下げられている梁124の電気抵抗の変動にも対応する。
【0084】
代替的形態は、特に、磁気センサー内の電気接点128の配置に対し応力をかけないという利点を有する。したがって、電気接点128は、梁124の端部と異なる場所に配列されうる。さらに、この代替的形態では、特に実質的にナノメートル規模の寸法を持つセクションが梁にある場合に、梁124内に非常に実質的に高いピエゾ抵抗効果が生じうる。
【0085】
図4は、第2の実施形態の第2の代替的形態におけるセンサー200の上面図である。この第2の代替的形態では、検出手段124は、ピエゾ抵抗応力ゲージを備えず、その代わりに共振器204を備え、これは例えば表層106内にエッチングすることによって作られる、振動リーフ(vibrating leaf)または振動梁と称することもでき、本体部108とインレー部分114との間に形成される空の空間129内に、インレー部分114に(インレーリンクによって)機械的に連結された第1の端部203、本体部108に(インレー連結部によって)機械的に連結された第2の端部205、およびインレー部分114と本体部108との間に吊り下げられる中心部207を備える。検出手段124は、共振器204を振動するように意図されている2つの励起電極206、さらには2つの励起電極206の間に配列され、共振器204の振動周波数の変動を検出するように意図されている検出電極208も備える。電極206および208のそれぞれの上に、さらにはインレー部分114上に、電気接点128が形成される。直流成分と交流成分とを送出する、電圧発生器202は、励起電極206上に形成された2つの電気接点128に接続される。最後に、電圧計210を検出電極208上に配列されている電気接点128と質量との間に接続する(インレー部分114はこの質量にも連結される)。
【0086】
したがって、磁場Bext2が存在することで本体部108が移動して力Fが共振器204に印加された場合、励起電極206の間に印加される電圧の交流成分の周波数に等しい共振器204の振動周波数は、これらの電圧が周波数変動を測定するための手段、つまり電圧計210によって梁の共振周波に依存するので、修正される。周波数変動は、検出電極208と電圧計210とによって検出される。この測定された周波数差から、Bext2の値を推定することが可能になる。
【0087】
第3の実施形態によるこの磁場センサー300の一例は、図5Aおよび5Bに関して説明されており、それぞれ、センサー300の上面図および横から見た図となっている。
【0088】
このセンサー300は、すでに説明されているセンサー100に似た第1の検出構造100aを有する。さらに、センサー300は、第1の検出構造100aと同じ要素を有するが、配列の仕方が異なる第2の検出構造100bも有する。これら2つの検出構造100aおよび100bの本体部108aおよび108bは、類似しており、これら2つの構造100a、100bの強磁性体112aおよび112bはZ軸に平行に配向されている同じ磁化方向(Bmagnet)を有する。しかし、これら2つの検出構造100aおよび100bの他の要素、つまり、インレー部分114a、114b、ちょうつがい116a、116b、検出手段124a、124b、および電気接点128a、128bは、センサー300の平面および検出構造100aおよび100bの平面に平行な平面(X,Y)に垂直な軸にそって他方の要素に関して互いに軸対称に配列される。このようにして、ちょうつがい116aは第1の構造100a内で本体部108aの第1の側部に連結され、ちょうつがい116bは、第2の検出構造100b内において、構造上の類似性から、本体部108aの第1の側部に対応する本体部108bの第1の側部の反対側の本体部108bの第2の側部に連結される。
【0089】
したがって、センサー300により、磁場の示差測定を実行することが可能になる。2つの検出構造100a、100bの本体部108a、108bが同じ磁場、ここではBext1に曝された場合、2つの強磁性体112a、112bの同じ磁化配向Bmagnetが与えられたとすると2つの検出構造100a、100bに対する配向および値に関して類似している、発生する力Fにより、結局、第1の検出構造100aの検出手段124aが伸長し、第2の検出構造100bの検出手段124bが圧縮される。
【0090】
このような差動センサー300は、そのような加速度の存在下で、2つの検出手段124a、124bのいずれかの側において磁場Bext1によって引き起こされる力Fに加えて、追加の圧縮および張力を受けた以降に測定することを意図されている磁場Bext1に平行な加速度に敏感でないという利点を有する。この追加の圧縮および張力は、互いに補完し合うものであり、したがって、オーム計126a、126bを使用して行った測定の結果から、加速度の効果を排除することによって、Fの値を推定し、したがって、Bext1の実際の値を計算することが可能になる。
【0091】
第4の実施形態による磁場センサー400の一例は、図6Aおよび6Bに関して説明されており、それぞれ、センサー400の上面図および横から見た図となっている。
【0092】
すでに説明されているセンサー200に対して、センサー400は、センサー200の応力ゲージ124に対応する、第1の検出手段124aを有するが、例えば、第1の検出手段124aに類似の、第2の検出手段124bも有する。したがって、これらの検出手段124a、124bは、それぞれ、「U」字形に曲げられ、本体部108とインレー部分114との間に吊り下げられている金属梁によって形成されるピエゾ抵抗応力ゲージを有する。ちょうつがい216は、第1の検出手段124aと第2の検出手段124bとの間に配列される。したがって、ちょうつがい216に配置されている本体部108の回転の軸のいずれかの側に応力ゲージ124a、124bが配列されていることが見て取れる。
【0093】
したがって、センサー300と同様に、このセンサー400は、磁場示差測定構造を形成する。本体部108が、図6Aおよび6Bに示されている磁場Bext2に曝された場合、センサー400の平面に垂直な軸の周りの本体部108の回転に対応する、本体部108の移動は、第1の検出手段124aに印加される圧縮力F、およびの第2の検出手段124bに印加される張力Fとなる。
【0094】
第5の実施形態による磁場センサー500の一例は、図7に関して説明されており、それぞれ、センサー500の上面図となっている。
【0095】
すでに説明されているセンサー100、200、300、および400と同様に、センサー500は、半導体ベースの支持層102、誘電体層104、およびこれもまた半導体からなる表層106によって形成される積み重ねを備えるSOI基板から作られる。センサー500は、磁気手段を備える本体部508を有する。この第5の実施形態では、本体部508は、SOI基板の表層106内に形成されるボックス510を有し、そこでは、強磁性体512が配列され、センサー500が検出することを意図されている外部磁場Bext2の方向に垂直な永久磁石磁化方向Bmagnetを有する永久磁石を形成する。強磁性体512は、例えば、すでに説明されている強磁性体112に類似の性質を持つものである。
【0096】
この第5の実施形態では、本体部508は、直方体の形状を有し、その第1の主要面は、下面と呼ばれ、図7には示されていないが、誘電体層104と接触している表層の面を通過する平面内に含まれ、また平面(X,Y)に平行であり、その第2の主要面520は、下面の反対側にあり、上面と呼ばれる。下面および上面520は、センサー500の平面と呼ばれる平面に平行である(平面(X,Y)に平行である)。本体部508は陥凹部509も有し、平面(X,Y)に平行な平面内のそのセクションは実質的に正方形である。ボックス510の内壁は、陥凹部509の輪郭を形成し、ボックス510の外壁は、本体部508の外側の輪郭を形成する。
【0097】
本体部508は、インレー部分514と呼ばれるセンサー500の静止部分に連結され、陥凹部509内に配列される表層の一部によって特に形成される。本体部508とインレー部分504との間の連結部は、4つのちょうつがい516aから516d、例えば、センサー200および400に関してすでに説明されているちょうつがい216と同様に形成される。インレー部分514は平面(X,Y)に平行な平面内に実質的に正方形のセクションを有し、ちょうつがい516a〜516dのそれぞれは、インレーゾーン514の側部を、陥凹部509の、ボックス510の内壁の側部に連結する。
【0098】
センサー500は、4つのピエゾ抵抗応力ゲージ524aから524dを備える検出手段も有し、それぞれ「U」字形に曲げ、陥凹部509を画成する内壁のところのボックス510の側部とインレー部分514の四隅との間に吊り下げられている金属梁によって形成される。4つのピエゾ抵抗応力ゲージ524a〜524dは、平面(X,Y)内において、検出すべき磁場Bext2の方向に垂直な方向に延在する。
【0099】
磁場Bext2は、強磁性体512を形成する傾向があり、したがって、本体部508は、Z軸に平行な軸の周りの回転を受ける、つまり、センサー500の平面に垂直であり、センサー500の平面内のその位置はインレー部分514の中心に実質的に対応する。
【0100】
したがって、その結果、インレー部分514の周りの本体部508の回転運動により、インレー部分514の対向する2つのコーナーに配置されている検出手段524a、524cのうちの2つに印加される圧縮力Fおよびインレー部分514の他の対向する2つのコーナーに配置されている他の2つの検出手段524b、524dに印加される伸長力Fが印加され、これら2つの力FおよびFは磁場Bext2に垂直であり、センサー500の平面内に配置される。検出すべき磁場がBext2の方向と反対の方向に配向される場合、圧縮力Fは、検出手段524b、524d上に印加され、伸長力Fは、検出手段524a、524c上に印加される。
【0101】
ピエゾ抵抗応力ゲージ524a〜524dのうちのそれぞれのピエゾ抵抗応力ゲージの2つの端部が、インレー部分514上に形成された一対の電気接点528a〜528dに接続される。この第5の実施形態では、4つのピエゾ抵抗応力ゲージ524a〜524dのうちのそれぞれのピエゾ抵抗応力ゲージの電気接点のうちの1つが電圧発生器V 530に接続され、他の4つの電気接点は電圧Vを測定する電圧計532に接続され、これによりホイートストンブリッジが形成される。したがって、圧縮力Fを受けるピエゾ抵抗応力ゲージ524aおよび524cには抵抗変動−ΔRがあり、伸長力Fを受けるピエゾ抵抗応力ゲージ524bおよび524dには抵抗変動+ΔRがある。4つの応力ゲージ524a〜524dは、それぞれ、互いに類似の初期抵抗Rを有し、したがって、
【0102】
【数1】

【0103】
となるか、または
【0104】
【数2】

【0105】
となる。
【0106】
次いで、Bext2の値をΔRの値から推定することができる。
【0107】
以下に例として、すでに説明されている、本体部108を有する、センサー200で得られる特性の理論値を示すが、ボックス110の外壁に対応する、平面(X,Y)におけるその寸法は、約100μmに等しく、その厚さ(Z軸にそった寸法)は約1μmに等しい。このセンサー200の応力ゲージ124は、ここでは、センサー500についてすでに説明されている原理による3つの基準抵抗器を持ち、高さが約500nmに等しく、幅が約100nmに等しく、長さが約1μmに等しい、ホイートストンブリッジ内に取り付けられたシリコンナノワイヤであり、
感度=21V/V/T
である。
【0108】
ノイズ密度(1kHzで、電圧Vbridgeを5Vとする)=8nV/Hz0.5
【0109】
分解能(帯域幅50Hzおよび電圧Vbridge、つまり、5Vのホイートストンブリッジの端子における電圧)=4,2.10−10
【0110】
フルスケール(動作範囲)=9.10−4
【0111】
すでに説明されている磁場センサー100から500は、与えられた軸にそった磁場、つまり、1つの軸にそった単一成分を有する磁場の測定を実行する。互いに垂直な2つの軸にそった成分を有する磁場の測定を実行する、つまり、2次元磁場測定を実行するセンサーを作ることも可能である(センサー2D)。そのために、磁場Bext1を検出することができるすでに説明されているセンサーのうちの1つに類似の第1の構造を形成し、Bext1に垂直な磁場Bext2を検出することができるすでに説明されているセンサーのうちの1つに類似の第2の構造を形成する。したがって、これら2つの構造を使用することで、磁場の成分を互いに垂直な2つの方向で測定することが可能になる。こうして、例えば、センサー100と200、または100と400、または100と500、または300と200、または300と400、または300と500に対応する2つの測定構造を有するセンサー2Dが得られる。
【0112】
互いに垂直な3つの軸にそった成分を有する磁場の測定を実行する、つまり、3つの方向で磁場測定を実行するセンサーを作ることも可能である。このような1つのセンサー600の一例は、図8に示されている。このセンサー600は、すでに説明されているセンサー100に類似の、Z軸に平行な測定すべき磁場の成分BextAを測定することができる第1の構造602を有する。一代替的形態では、この第1の構造602は、センサー300に類似のものとすることが可能である。センサー600は、すでに説明されているセンサー200に類似の、Y軸に平行な測定すべき磁場の成分BextBを測定することができる第2の構造604も有する。一代替的形態では、この第2の構造604は、センサー400またはセンサー500に類似のものとすることが可能である。
【0113】
最後に、センサー600は、第2の構造604と同じ要素を有するが、平面(X,Y)内で90°の回転を受けている第3の構造606も有する。こうして、この第3の構造606の応力ゲージは、Y軸に平行な圧縮または伸長力を受け、したがって、X軸に平行な磁場の成分BextCを測定することができる。この第3の構造の本体部の強磁性体608は、第1の構造602と第2の構造604の強磁性体610および612の磁場配向Bmagnet1に垂直であり、X軸に平行な磁場配向Bmagnet2を有する。この強磁性体608は、センサー600の生産時に、最初から、したがって強磁性体610および612と異なる、そのような磁場配向を有する強磁性体を蒸着することによって、または最初に第1の構造604および第2の構造606と同じ強磁性体を蒸着し(したがって、磁性体608、610、および612の3つの部分は磁場配向Bmagnet1を有する)、次いで、周囲温度で磁石の保磁力場より低い値により垂直の磁場を印加している間に、例えばレーザーにより、強磁性体608を局部的に加熱し、この磁場配向を磁場配向Bmagnet2が得られるまで修正することによって、得ることができる。
【0114】
センサー100についてすでに説明されている代替的実施形態(磁化手段と結合されるか、または結合されない軟強磁性体の使用)も、すでに説明されているセンサー200から600に適用されうる。
【0115】
このセンサー3Dの一代替的実施形態では、センサー600の第3の構造606を図9Aに示されている構造614で置き換えることができる。この構造614は、Z軸に平行な磁場配向Bmagnet3を有する、この第3の構造の強磁性体616に関するものであることを除き、第1の構造602と似ている。このような強磁性体は、強磁性体610および612と最初から異なっているか、または第1の構造602および第2の構造604のと似ている強磁性体の磁場の下で局部加熱を行うことによって得ることができる。
【0116】
第2の代替的実施形態では、センサー600の第3の構造606を図9Bに示されている構造618で置き換えることができる。この構造618は、この構造618が強磁性体またはボックスを有していないことを除いて、構造614に類似している。実際、すでに説明されている構造およびセンサーと異なり、この構造618は、ここでは直方体の形状を有し、例えば図1Aおよび1Bに関して説明されている本体部108のと似た寸法を持つ、半導体ベースである、例えば、シリコンの本体部622を有する。コイル620は、本体部622の主要面の周囲に配列される。したがって、このコイル622に電流が通されたときに、磁場BextCの存在下で、本体部622は構造614の磁性体616が受けるのと似た回転力に曝される。したがって、この構造618を使用することで、X軸に平行な磁場の成分BextCを検出することが可能になる。
【0117】
第3の代替的実施形態では、3つの構造602、604、および606が、構造602、604、および606のうちのそれぞれの構造の各本体部内で、図8に示されている例の場合と同様に単一の強磁性体608、610、612を有せず、あるいは、図10Aに示されているように、強磁性体からなる層と反強磁性体からなる層とを交互に含む層の積み重ねを有することが可能である。この積み重ねは、図10Aの例で902.1〜902.4と参照されているそれぞれの強磁性体ベースの層が反強磁性体904.1〜904.5の2つの層の間に配列されるように形成されうる。
【0118】
強磁性体は、高い飽和磁化、例えば約1000emu/cm(約1.26T)より大きい値を持つ、軟強磁性体とすることができる。このような強磁性体はFe、Co、およびNiの合金としてよい。反強磁性体は、Mnの合金、例えばNiMn、PtMn、またはPdPtMnのタイプの合金としてよい。他の例によれば、反強磁性体は、FeMn、IrMn、NiO、またはFeとしてよい。
【0119】
反強磁性体904.1〜904.5の層が、強磁性体902.1〜902.4の層のうちのそれぞれのいずれかの側部に配列されるとすれば、反強磁性体と強磁性体との間の界面における交換カップリングにより、これらの材料の磁場配向を画定する秩序アニーリング(order annealing)の際に画定される方向に挿入された強磁性体の層の磁化をブロックすることが可能である。
【0120】
反強磁性体904.1〜904.5の層は、厚さt’(図10Aに示されているz軸にそった寸法)を有する、例えば約2nmから50nmまでの範囲、例えば、20nm程度とすることができる。強磁性体ベースの層902.1〜902.4は、厚さt(図10Aに示されているz軸にそった寸法)を有する、例えば約2nmから40nmまでの範囲、例えば、10nm程度とすることができる。この積み重ねは、例えば、総数約8から50(図10Aの例では9)の層を有し、この層の数は積み重ねが約100nmから600nmまでの範囲、例えば実質的に約100nmに等しい全厚を有するように層の厚さtおよびt’に応じて特に適合されている。
【0121】
これらの層の積み重ねは、センサー600のそれぞれの構造602、604、および606において、楕円形のまたは細長い、直方体ブロックを形成する。したがって、層のそのような積み重ねによって形成されるそれぞれのブロックは、例えば、約20μmから500μmまでの範囲、例えば20μm程度の幅W(図10Aのy軸にそった寸法、これは図8に示されている構造602および604に対するy軸にそい、図8の構造606に対するx軸にそった寸法に対応する)、および例えば、約20μmから500μmまでの範囲、例えば100μm程度の長さL(図10Aのx軸にそった寸法、これは図8の構造602および604に対するx軸にそい、図8の構造606に対するy軸にそった寸法に対応する)を有する。それぞれのブロックのアスペクト比L/Wは、実質的な値、例えば5以上とすることができる。
【0122】
一代替的形態では、構造602、604、および606の層のこれらの積み重ねのうちの1つまたは複数は、直方体の形状で平行な、互いに切り離されている、図10Bの例において906.1から906.3で参照されているサブブロックの集合の形態を取りうる。これらのブロック、つまり層の積み重ねを平行六面体のサブブロックに、特に実質的アスペクト比が長さLと幅Wとの比、例えばL/W≧10であるサブブロックに細分することで、検出すべき磁場の方向に直交する方向に形状異方性を持ち込み、したがって、その最大の寸法Lの方向に対応するそれらの各主方向にそって適切な磁化整列(alignment of the magnetizations)を確実にすることが可能である。この幅Wは、例えば、約0.25μmから10μmまでの範囲であり、好ましくは約5μmより小さい。このようなサブブロックは、強磁性体と反強磁性体の積み重ねた層において、例えばIBE(イオンエッチング)型のエッチングを実行することによって得ることができる。
【0123】
強磁性体と反強磁性体の層の積み重ねは、図8に示されている磁性体608、610、および612と同様に、つまり、構造602および604に対する磁場配向Bmagnet1の方向にそって、また構造606に対する磁場配向Bmagnet2の方向に、磁場配向されることが意図されており、ただし、これら2つの磁場配向Bmagnet1およびBmagnet2は互いに垂直である。
【0124】
この代替的実施形態に従って構造602、604、および606の製造する際に、層902.1〜902.4および904.1〜904.5の積み重ねを形成した後、秩序アニーリングを実行し、この温度により、反磁性体を秩序化することが可能になる。
【0125】
反強磁性体が秩序状態にない、例えば、NiMn、PtMn、またはPdPtMnのタイプ、つまり、蒸着後に交換カップリングを有しない材料である場合、この材料の秩序化温度以上の温度でアニーリング工程を実行する。この秩序化温度は、典型的には約250℃より高い。FeMn、IrMn、NiO、またはFeなどの秩序反強磁性体(orderly antiferromagnetic material)、つまり、蒸着後に交換カップリングを有する反強磁性体については、典型的には約150℃から250℃までの範囲の、この材料のブロッキング温度またはネール温度より高い温度でアニーリング工程を実行する。反強磁性体がPtMnである場合に、例えば260℃より高い温度でアニーリングを実行することができる。
【0126】
アニーリング時に、特にその開始時に、磁場
【0127】
【数3】

【0128】
が印加され、磁場配向Bmagnet1およびBmagnet2に関してゼロでない角度、例えば約45°に等しい角度を形成するように配向される。
【0129】
印加磁場は、困難軸にそってブロックの飽和磁場に対応する所定の磁場の値を超えるように強度
【0130】
【数4】

【0131】
=Bsatが与えられている飽和磁場とすることができる。
【0132】
困難軸は、ブロック、つまり、層の積み重ねの磁化を整列するように印加される磁場が最大となる軸であり、この磁場は層の積み重ねの最小の寸法、つまり、幅Wにそって磁化を飽和させるために必要な磁場である。異なる幅を持つ層の積み重ねが形成される場合、最小の幅を持つ層の積み重ねの飽和磁場より大きい飽和磁場が印加される。
【0133】
印加される飽和磁場は、前記所定の値よりかなり大きく、例えば、1Tまたは2T程度であるものとしてよい。
【0134】
アニーリング時に、印加磁場の強度が下がるため、構造602および604の層の積み重ねの長さが測定される軸に対応する、x軸にそって射影される印加磁場のモジュールは、構造602および604の層の積み重ねの飽和磁場H以上であり、構造606の層の積み重ねの長さが測定される軸に対応する、y軸にそって射影される印加磁場のモジュールは、構造606の層の積み重ねの飽和磁場H以上である。
【0135】
したがって、y軸にそって射影される印加磁場のモジュールは、その磁化困難軸にそって構造602および604の層の積み重ねの飽和磁場より小さい。さらに、x軸にそって射影される印加磁場のモジュールは、構造606の層の積み重ねの磁化困難軸にそって飽和磁場より小さい。
【0136】
y軸にそって射影される印加磁場のモジュールは、磁化困難軸にそって構造602および604の層の積み重ねの飽和磁場に比べて20倍弱く、これにより、その主方向(その長さLに平行な方向)から5°において構造602および604の層の積み重ねにおける磁化の整列が保証される。
【0137】
x軸にそって配向された長さLの層の積み重ねの飽和磁場Hは、式
【0138】
【数5】

【0139】
を使用して評価することができる。
【0140】
y軸にそった層のこの同じ積み重ねの飽和磁場Hは、式
【0141】
【数6】

【0142】
を使用して評価することができ、ただし、
t:積み重ねに対する強磁性体ベースの層の集合の厚さ、
:強磁性体の飽和磁化、
L:磁性体の層の最大の寸法、つまり長さ、
W:磁性体の層の最小の寸法、つまり幅。
【0143】
例えば、長さ約100μm、幅2μm、および厚さ約100ナノメートルの積み重ねに対して、H=1.10−4TおよびH=0.513Tとなる。
【0144】
45°で0.03Tの磁場を印加することによって、その配向に関係なくブロックの主軸の5°以上で磁化の配向を得ることが可能である。
【0145】
最小の寸法にそって射影される磁場のモジュールは、好ましくは、最大の寸法に関して5°よりよい整列が確実になるようにHの約5%より小さく、最大の寸法に関して2°よりよい整列に対して約2%より小さい。
【0146】
構造602および604の層の積み重ねが異なる幅を有する場合、主方向、つまり、層のそれぞれの積み重ねの長さLにそった方向に関して異なる整列が得られる。
【0147】
例えば、構造602の積み重ねの層が第1の幅W=W1=10μmを有し、第2の構造604の積み重ねの層が第2の幅W=W2=2μmを有し、構造602および604の層が長さL=100μmを有し、例えば約0.03Tに等しい磁場が印加される場合、構造602の層の積み重ねにおける磁化は、主方向に関して約20°だけ整列がずれるが、この整列のずれは構造604の層の積み重ねにおいて僅か5°である。
【0148】
アニーリング炉内で過剰に弱い磁場を使用しなくてもすむように、幅Wが約2μmより小さい層の積み重ねを形成することが好ましい場合がある。
【0149】
磁場の強度を下げた後、アニーリング温度を下げて、層のそれぞれの積み重ねにおいて、反強磁性体と強磁性体との交換を発生し、これにより、磁化方向を永久的に凍結することが可能になる。
【0150】
アニーリングの終了時に、磁化配向がx軸の方向と実質的に平行であるか、またはx軸の方向から5°より小さい角度だけ異なりうる方向において同じであるそれぞれが強磁性体と反強磁性体の層の積み重ねを有する構造602および604が得られるが、構造606は、構造602および604の層の積み重ねの方向に実質的に直交する、異なる配向の磁化を有する強磁性体と反強磁性体の層の積み重ねを有することができる。
【0151】
そのようなセンサーにより、磁石のものと似た強い崩壊的磁場が構造602、604、および606の磁化配向を逆転するとすれば、この配向は、磁石がセンサーから一定距離だけ離された後に回復するであろう。小さな軸(幅)にそった磁化は、磁気崩壊がある場合に回転しうるが、崩壊が終わると初期位置に戻る。
【0152】
図11Aに示されているセンサー600の第4の代替的実施形態では、後者を第1の構造602、および図8に示されている構造604に類似の2つの構造604.1および604.2から作ることが可能である。図8に示されているセンサー600と同様に、第1の構造602によって、z軸に平行な磁場の成分BextAを測定することが可能になり、第2の構造604.1によって、y軸に平行な磁場の成分BextBを測定することが可能になる。
【0153】
このセンサー600は、第2の構造604.1に類似する、第3の構造604.2も有する。この第3の構造604.2は、磁束ガイド650に結合され、これにより、第3の構造604.2の磁性体612の磁化方向Bmagnet1に垂直な方向、つまり、y軸に平行な方向に磁場の成分BextCを再配向し、第3の構造が磁場の成分BextCを測定できるようにすることが可能である。
【0154】
磁束ガイド650は、軟強磁性体から作られ、x軸に平行な磁力線をy軸に平行な磁力線として再配向することを可能にする構造を有する。磁束ガイド650は、幅がLyに等しい入口と幅がLxに等しい出口を有する漏斗形状の入力要素652を有し、Lxは磁性体612によって形成されるブロックの長さ(x軸にそった寸法)に対応する。入力要素652は、90°の角度をなす第1の曲げられた要素654に連結され、これにより、y軸に平行に、入力要素652に入った磁力線を再配向することが可能である。次いで、この再配向された磁場は、第3の構造604.2によって測定されうる。磁束ガイド650は、x軸に平行な磁力線を再配向することを可能にする第2の曲げられた要素656も有し、次いで、これらの再配向された磁力線は幅がLxに等しい入力部および幅がLyに等しい出力部を有する、逆さ漏斗の形状の出力要素658によって「排出」される。磁束ガイド650の異なる要素が、第3の構造604.2の周りに対称構造を形成する。
【0155】
磁束ガイド650の入力要素652により、例えば約5に等しいものとしてよい、比Ly/Lxに実質的に比例する磁力線の増幅を実行することが可能である。このようにして、成分BextC=50μTの場合、第3の構造604.2によって測定される誘導は、By=−218μTとなるようにy軸に平行に配向された誘導に対応するものとしてよい。成分BextC=50μTの場合、第3の構造604.2によって測定される誘導は、By=225μTとなるようにy軸に平行に配向された誘導に対応するものとしてよい。
【0156】
このような磁束ガイド650を1つ使用することで、同じ磁場配向(図11Aの例のBmagnet1)を持つ磁性体からすべて作ることができる構造から3軸センサーを生産することが可能になる。
【0157】
図11Aに示されているセンサー600の例では、磁束ガイド650に結合されている第3の構造604.2により、磁場の成分BextCを測定することが可能である。しかし、第3の構造604.2は、磁場の成分BextBだけでなく、y軸平行な可能な加速度にも敏感である。磁場の成分BextBおよびy軸にそった加速度に関して磁場の成分BextCを測定することが意図されている構造の敏感さを落とすために、センサー600を図11Bに示されている他の代替的形態に従って作ることができる。
【0158】
図11Bに示されているセンサー600のこの代替的実施形態では、センサー600は構造602、および図11Bにおいて604.1、604.2、および604.3と参照されている、図8の構造604に類似の3つの構造を備える。図11Aに示されているセンサー600と同様に、第1の構造602によって、Z軸に平行な測定すべき磁場の成分BextAを測定することが可能になり、第2の構造604.1によって、Y軸に平行な磁場の成分BextBを測定することが可能になる。
【0159】
他の2つの構造604.2および604.3は、磁場の成分BextCを測定するために異なる動作をする。そのために、これら2つの構造604.2および604.3は、磁束ガイド660に結合される。磁束ガイド660は、例えば図11Aに関してすでに説明されている入力要素652および第1の曲げられた要素654に類似している、第1の入力要素662.1および第1の曲げられた要素664.1を有し、第1の曲げられた要素664.1によって、y軸に平行に再配向された磁力線を第3の構造604.2内に入れることが可能である。同様に、磁束ガイド660は第2の入力要素662.2および第2の曲げられた要素664.2を有し、これにより、y軸に平行な磁場の成分BextCの磁力線を再配向し、第1の入力要素662.1および第1の曲げられた要素664.1によってなされる再配向の方向と反対の方向にすることが可能である。磁束ガイド660は、第3の要素666も有し、これにより、構造604.2および604.3から出る磁力線を再配向し、それらを、例えば、図11Aに関してすでに説明されている出力要素658と同様に、出力要素668へ伝えることが可能である。
【0160】
この代替的形態では、本体部の連結要素、ならびに第3の構造604.2および第4の構造604.3の応力ゲージは、第3の構造604.2および第4の構造604.3ならびに磁束ガイド660によって形成されるアセンブリが磁場の成分BextBおよびy軸に平行な加速度に対して敏感でないように本体部の同じ側に配列される。
【0161】
磁束ガイド650および660の入力要素はフレア型でないように作ることもでき、これらの要素はこの場合に一様な幅Lxを有する。この場合、磁束ガイド650および660は、事前の増幅を行わずに磁力線を再配向する。入力要素をフレア型にしないようにすることも可能であるが、磁束ガイドの曲げられた要素は磁場の成分BextCに従って磁力線を増幅せず、むしろy軸に平行に再配向された磁力線を増幅するようにフレア型部分を有することが可能である。
【0162】
すでに説明されているセンサーは、SOI基板から表面技術を使用して形成され、これにより、これらのセンサーをSOI基板内に完全に組み込んだ状態にできる。
【0163】
すでに説明されているセンサー100から500の一代替的形態では、ボックス内に配列されている強磁性体を有するこれらのセンサーの本体部をモノリシック構造の本体部で置き換えることができ、それぞれ上で説明されている検出構造618と同様に、本体部の主要面の1つの上に配列されたコイルを有する。さらに、他の代替的形態では、すでに説明されているセンサーの本体部は、強磁性体が配列されるボックスを備えないが、その代わりに、磁性体の複数の積み重ねられた層によって形成されうる。
【0164】
さらに、すでに説明されているセンサー100から600において、使用される強磁性体は硬質または軟質としてよい。最後に、センサー100から600のうちの1つが軟強磁性体で作られる場合、センサー600の代替的実施形態ですでに説明されているように、この材料を強磁性体または反強磁性体からなる層の積み重ねの形態に配列することも可能である。
【0165】
センサー100から600のうちの1つが軟強磁性体、またはコイルを有するモノリシック構造の本体部を使用する場合(例えば、すでに説明されている検出構造618のように)、つまり、測定すべき磁場に敏感なセンサーのパラメータが可変である場合、この敏感なパラメータをセンサーの本体部の機械的共振周波数に実質的に近い周波数に合わせて変化させることが可能であり、これにより、センサーの本体部を共振させ、そうして形成される機械共振器の品質係数だけセンサーの検出手段に印加される力を増幅することが可能になる。
【0166】
本体部が実質的に矩形であり、連結手段のその軸が実質的に本体部の側部のうちの1つの側部にある、すでに説明されている異なるセンサーの一代替的実施形態では、これらのセンサーの本体部は、本体部の重心が実質的にセンサーの連結手段の枢軸にあるような形状を取りうる。
【0167】
実際、加速度の存在下において、センサーの本体部は、力場
【0168】
【数7】

【0169】
を受けるが、ただし、
【0170】
【数8】

【0171】
は加速度であり、ρは本体部の材料の密度である。座標
【0172】
【数9】

【0173】
の点におけるこの力場から結果として生じるトルクは、
【0174】
【数10】

【0175】
と書くことができるが、ただし、
【0176】
【数11】

【0177】
はピボットの座標であり、Vは本体部の体積である。本体部のスケール上で
【0178】
【数12】

【0179】
は一定であると考えられるとすると、
【0180】
【数13】

【0181】
が成り立つという事実に言い換えられる本体部がピボットのところで平衡している状況である場合、ピボットのところで本体部に印加されるトルク
【0182】
【数14】

【0183】
は、加速度への本体部の感受性のように、ゼロである。
【0184】
同様に、センサーの本体部上に配置される磁気手段は、有利には、このピボットで印加される、磁場勾配
【0185】
【数15】

【0186】
の存在下で磁性体に加えられる力場から結果として得られるトルクが、この場合に、0に実質的に近く、その結果、磁場勾配に対するセンサーの感度もそうであるようにピボットに関して平衡している可能性がある。
【0187】
このような1つの本体部702の第1の実施形態は、図12Aに線図として示されている。磁気手段は、この図には示されていないけれども、本体部702上、および/または本体部702内に、バランスよく、均一に分配される。この図12Aでは、本体部702は、平面(X,Y)内に、実質的に矩形の形状を有し、x軸にそったその寸法はy軸にそった寸法より大きく、本体部702の重心への接近手段をなす陥凹部704を有する。したがって、本体部702は、「U」字形であり、その重心は陥凹部704によって露わにされる壁705のところに実質的にある。本体部702は、実質的に重心のところでちょうつがい706に連結され(壁705によって)、このちょうつがい706は図12Aに示されていないセンサーのインレーゾーンにも連結されることが意図されている。本体部702を有するセンサーの2つの応力ゲージ708a、708bも、本体部702の壁705に連結される。このような1つの本体部702は、ちょうつがい706の連結軸(z軸に平行な軸)の周りで平衡する質量を形成し、例えば、y軸にそって配向される磁場を検出するために、本体部108の代わりに、すでに説明されているセンサー400内で使用されうる。
【0188】
このような1つの本体部802の実施形態の第2の例は、図12Bに線図として示されている。ここでもまた、磁気手段は図示されていないけれども、例えば、本体部802上、および/または本体部802内に、均一に分配され、平衡状態にある。この図12Bでは、本体部802は、平面(X,Y)内において、実質的に矩形である。本体部802は、センサーのインレーゾーン807が配列される中央陥凹部804を有し、これは実質的に本体部802の重心のところでy軸に平行な連結軸を形成する2つのちょうつがい806によって本体部802に連結される。本体部802は、応力ゲージ808a、808bが配列され、本体部802に連結される2つの他の陥凹部804bも有する。
【0189】
このような1つの本体部802は、ちょうつがい806によって形成される連結軸の周りで平衡する質量を形成し、例えば、z軸にそって配向される磁場を検出するために、本体部108の代わりに、すでに説明されているセンサー100内で使用されうる。
【0190】
例えば、これらのセンサーを特定の大気中で動作させたい場合、すでに説明されているセンサーをカプセルに封入することも可能である。このようなカプセル封入により、腐食および化学攻撃を受けやすい、また機械的に脆い、NdFeBまたはSmCoなどの使用されている強磁性体を保護することも可能である。このようなカプセル封入は、MEMSタイプのデバイスに対する従来のカプセル封入と同様に行うことができる。さらに、すでに説明されているセンサーの真空カプセル封入により、ブラウンノイズを低減することが可能である。その場合、磁性体は、不動態層によって保護されうる。
【0191】
最後に、すでに説明されているセンサーはすべて、例えば、第1の端部のところで少なくとも1つの連結要素によって互いに機械的に連結された少なくとも2つの剛性アームを備える応力増幅セルを具備することができ、その2つの剛性アームのうちの第1のアームの第2の端部は本体部に機械的に連結され、その2つの剛性アームのうちの第2のアームの第2の端部はインレーゾーンに連結され、前記連結要素、つまりその2つの剛性アームの第1の端部は吊り下げられている応力ゲージの一端に機械的に連結される(この端部はすでに説明されているセンサーの本体部に連結されるものに対応する)。そのような応力増幅セルは、特に、センサーの平面内で、例えば、センサーが作られるSOI基板の表層内に形成されうる。すでに説明されている磁場センサーを1つまたは複数の応力増幅セルと結合することによって、これらのセンサーによって行われる磁場測定の感度が改善される。
【0192】
図13Aから13J(横から見た図)に関して、図1Aおよび1Bに関してすでに説明されているセンサー100を生産する第1の方法の一例を説明する。
【0193】
図13Aに示されているように、センサー100は、すでに説明されている層102、104、および106を有するSOI基板から作られる。この実施形態では、シリコンの層102は、約750μmに等しい厚さを有し、SiOの層104は、厚さ約0.4μmであり、シリコンの表層106は、厚さ約5μmである。SiNベースの層107も、例えば、LPCVD(低圧化学蒸着)によって表層106上に蒸着される。この層107は、エッチングマスクを形成することが意図されている。
【0194】
次いで、リソグラフィおよびエッチングを、DRIE(深掘り反応性イオンエッチング)により表層106内で行い、ちょうつがい116(図13B)を形成することが意図されている表層106の一部を取り除く。このエッチングは、誘電体層104上のストッパーで行われる。
【0195】
次いで、図13Cに示されているように、表層106の前記一部を薄くして、ちょうつがい116を形成する。この薄くする作業は、所望の厚さ(z軸にそった寸法)がちょうつがい116に対して得られるまで行われる。この薄くする作業は、センサー100および300の場合と同様に、ちょうつがいの厚さがセンサーの本体部の厚さより小さいときに行われる。しかし、ちょうつがいの厚さが本体部の厚さに実質的に等しいちょうつがい200、400、または500のうちの1つが作られる場合、この薄くする工程は実行されない。
【0196】
次いで、閉塞酸化物109、例えば、リン珪酸ガラスを、デバイス全体に蒸着し、ちょうつがい116の周りの空の空間を一時的に充填する。次いで、SiNの層107上の閉塞酸化物を、例えば、SiN層107上のストッパーを使用した機械化学的平坦化によって取り除き、先行するエッチング工程(図13D)によって表層106内に形成されたキャビティ内に見つかった閉塞酸化物109のみを保持する。
【0197】
図13Eに示されているように、リソグラフィおよび時間エッチングを、例えば、DRIEにより、シリコンの表層106内のストッパーを使用してシリコン106の表層内で行い、センサー100の強磁性体112の蒸着が意図されている場所111を形成する。
【0198】
次いで、強磁性体をデバイス全体に蒸着して、その場所111を充填する。次いで、SiN層107上に配置されている強磁性体を、例えば、SiN層107上のストッパーを使用した機械化学的平坦化によって取り除き、場所111(図13F)内に見つかった強磁性体112のみを保持する。
【0199】
次いで、強磁性体112のアニーリングおよび磁化を行い、ここではX軸に平行な、材料112の磁化方向Bmagnetを画定する。次いで、例えばSiNからなる、例えば約0.3μmに等しい厚さを持つ不動態層113をデバイスに蒸着するが、ただし、応力ゲージが吊り下げられることを意図されている場所(図13G)を除く。
【0200】
次いで、金属ゲージ124の蒸着を行い、次いで、SiOベースの保護層115をデバイス全体に蒸着するが、これは特に応力ゲージ124(図13H)を保護することが意図されている。
【0201】
次いで、図13Iに示されているように、保護層115内に、特に応力ゲージ124の自由端の上に開口部が形成され、金属化の蒸着によって電気接点128が形成され、表層106内でディープエッチングも行われ、これにより、ボックス110の輪郭を画定し、形成する。最後に、デバイス上に存在する酸化物、つまり、保護層115、さらには閉塞酸化物109、およびボックス110の下に、またちょうつがい116の下に配置されているSiOの層104の一部分のエッチングが行われ、これにより、本体部108およびちょうつがい116がセンサー100(図13J)の残り部分から取り除かれる。
【0202】
上記の工程は、センサー100の製造に関して説明されているけれども、これらは、すでに説明されている他のセンサー200、300、400、500、および600の製造にも適用されうる。
【0203】
次に、図14Aから14H(横から見た図)を参照して、図3に関して説明されている代替的形態における、つまり、シリコン梁によって形成されたピエゾ抵抗ゲージを有する、センサー200を製造する第2の方法の一例を説明する。
【0204】
図14Aに示されているように、センサーは、すでに説明されている層102、104、および106を有するSOI基板から作られる。この実施形態では、シリコンの層102は、約750μmの厚さを有し、SiOの層104は、厚さ約0.4μmであり、シリコンの表層106は、厚さ約200nmである。ピエゾ抵抗ゲージ124、つまり、ここではシリコンナノ梁を形成するために、表層106内でエッチングを実行する。
【0205】
次いで、図14Bに示されているように、デバイス上に酸化物蒸着を行い、それにより、ピエゾ抵抗応力ゲージ124を画成する層106内にすでにエッチングされているゾーンを充填する。次いで、この酸化物をエッチングして、ピエゾ抵抗ゲージ124のところに一部117のみ保持する。
【0206】
次いで、シリコン層106の厚膜エピタキシーを行い、特に酸化物部分117を覆い、次いで不動態層107、ここではSiNベースの層をエピタキシー層106(図14C)上に蒸着する。
【0207】
図13Eと同様に、リソグラフィおよび時間エッチング、例えば、DRIEを、エピタキシーシリコン層106内のストッパーを使用してエピタキシーシリコン層106内で行い、センサー200の強磁性体112の蒸着が意図されている場所111を形成する(図14D)。
【0208】
次いで、強磁性体をデバイス全体に蒸着して、特にその場所111を充填する。次いで、SiNの層107上に配置されている強磁性体を、例えば、SiN層107上のストッパーを使用した機械化学的平坦化によって取り除き、場所111に強磁性体層112のみを保持する。次いで、強磁性体層112のアニーリングおよび磁化を行い、ここではX軸に平行な、材料112の磁化方向Bmagnetを画定する。次いで、例えばSiNからなる、例えば約0.3μmに等しい厚さを持つ不動態層113をデバイスに蒸着する(図14E)。
【0209】
次いで、不動態層113の一部をエッチングし、次いで、金属層を蒸着し、不動態層113(図14F)内ですでにエッチングされている部分でエッチングすることによって電気接点128を形成する。
【0210】
次いで、不動態層113およびエピタキシーシリコン層106においてエッチングを行い、ボックス110だけでなく、ボックス110とデバイスの残り部分(図14G)との間でピボットリンクを機械的に連結し形成することが意図されているちょうつがい(参照されていない)を画成する。
【0211】
次いで、誘電体層104の一部とともに酸化物部分117を、例えば、ウェットエッチングによってエッチングし、ボックス110、応力ゲージ124、およびちょうつがいをセンサー200の残り部分から剥離する(図14H)。次いで、不動態層113を、例えばエッチングすることによって、取り除くことも可能である。
【0212】
上記の方法は、センサー200の製造に関して説明されているけれども、これは、すでに説明されている他のセンサー100、300、400、500、および600の製造にも適用されうる。
【符号の説明】
【0213】
ext1 外部磁場
ext2 磁場
extA 成分
extB 成分
extC 磁場
magnet 永久磁石磁化方向
magnet1 磁場配向
magnet2 磁場配向
magnet3 磁場配向
、F
圧縮力
伸長力
電圧発生器
電圧
100 磁場センサー
100a 第1の検出構造
100b 第2の検出構造
102 支持層
104 誘電体層
106 表層
107 SiNの層
108 本体部
108aおよび108b 本体部
109 閉塞酸化物
110 ボックス
111 場所
112 強磁性体
112aおよび112b 強磁性体
113 不動態層
114 インレー部分
114a、114b インレー部分
115 保護層
116 ちょうつがい
116a、116b ちょうつがい
117 一部
118 下面
120 上面
122 空の空間
123 両端
124 手段
124a、124b 検出手段
125 半円形部分
126 手段
126a、126b オーム計
127 部分
128 電気接点
128a、128b 電気接点
129 空の空間
200 磁場センサー
202 電圧発生器
203 第1の端部
204 共振器
205 第2の端部
206 励起電極
207 中心部
208 検出電極
210 電圧計
216 ちょうつがい
300 磁場センサー
400 磁場センサー
500 磁場センサー
508 本体部
509 陥凹部
510 ボックス
512 強磁性体
514 インレー部分
516aから516d ちょうつがい
520 主要面
524aから524d ピエゾ抵抗応力ゲージ
528a〜528d 電気接点
530 電圧発生器V1
532 電圧計
600 センサー
602 第1の構造
604 第2の構造
604.1、604.2、604.3 構造
606 第3の構造
608、610および612 強磁性体
614 構造
616 強磁性体
618 構造
620 コイル
622 本体部
650 磁束ガイド
652 入力要素
654 第1の曲げられた要素
656 第2の曲げられた要素
658 逆さ漏斗の形状の出力要素
660 磁束ガイド
662.1 第1の入力要素
662.2 第2の入力要素
664.1 第1の曲げられた要素
664.2 第2の曲げられた要素
702 本体部
704 陥凹部
705 壁
706 ちょうつがい
708a、708b 応力ゲージ
802 本体部
804 中央陥凹部
804b 陥凹部
806 ちょうつがい
807 インレーゾーン
808a、808b 応力ゲージ
902.1〜902.4 強磁性体
904.1〜904.5 反強磁性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁場センサー(100、200、300、400、500、602、604、604.1〜604.3、606)であって、少なくとも
−磁気手段(112、512、608、610、612、620)を備えた本体部(108、508、622、702、802)であって、磁気手段は検出すべき外部磁場の作用によって本体部(108、508、622、702、802)に印加されるトルクを生成することができる、本体部と、
−検出すべき前記磁場の方向に垂直な軸を有する少なくとも1つのピボットリンクによって前記センサーのインレー部分(114、514、807)に前記本体部(108、508、622、702、802)を機械的に連結する、前記本体部(108、508、622、702、802)から分離されている、連結手段(116、216、516、706、806)と、
−前記連結手段(116、216、516、706、806)から分離され、前記インレー部分(114、514、807)に機械的に連結されている少なくとも1つの第1の部分(123、203)と、前記本体部(108、508、622、702、802)に機械的に連結されている少なくとも1つの第2の部分(125、205)と、さらには前記第1の部分(123、203)と前記第2の部分(125、205)との間に備えられ、前記インレー部分(114、514、807)と前記本体部(108、508、622、702、802)との間に吊り下げられている少なくとも1つの第3の部分(127、207)とを有する、少なくとも1つの吊り下げられている応力ゲージ(124、204、524、708a、708b、808a、808b)を備える、前記トルクの作用により本体部(108、508、622、702、802)によって印加される応力を検出するための手段とを有する磁場センサー。
【請求項2】
前記吊り下げられている応力ゲージ(124、204、524、708a、708b、808a、808b)は、前記ピボットリンクの前記軸の外側に、および/またはピボットリンクの前記軸に垂直に配列される請求項1に記載のセンサー(100、200、300、400、500、602、604、604.1〜604.3、606)。
【請求項3】
前記磁気手段は、磁化の方向が検出すべき磁場の方向および前記ピボットリンクの前記軸に垂直である少なくとも1つの強磁性体(112、512、608、610、612)、または検出すべき前記磁場の前記方向に垂直な方向で誘起磁場を発生させることを可能にする平面内で電流が通ることが意図されている少なくとも1つのコイル(620)を有する請求項1から2のいずれか一項に記載のセンサー(100、200、300、400、500、602、604、604.1、606)。
【請求項4】
前記強磁性体(112、512、608、610、612)は、軟強磁性体である請求項3に記載のセンサー(100、200、300、400、500、602、604、604.1、606)。
【請求項5】
強磁性体(112、512、608、610、612)などの前記強磁性体(112、512、608、610、612)に対する磁化手段も有し、前記磁化手段は、電磁石を形成することが意図されている請求項4に記載のセンサー(100、200、300、400、500、602、604、604.1、606)。
【請求項6】
前記磁気手段は、反強磁性体(904.1〜904.5)の1つまたは複数の層と交互に並ぶように配列された強磁性体(902.1〜902.4)の1つまたは複数の層の積み重ねを有する請求項1から3のいずれか一項に記載のセンサー(100、200、300、400、500、602、604、604.1、606)。
【請求項7】
層のそれぞれの積み重ねは、互いから切り離されている平行なブロック(906.1、906.2、906.3)の集合を形成する請求項6に記載のセンサー(100、200、300、400、500、602、604、604.1、606)。
【請求項8】
前記本体部(108、508、622、702、802)は、前記磁気手段(112、512、608、610、612)が配列されているボックス(110、510)、または前記磁気手段(620)が配列されている面を有する請求項1から7のいずれか一項に記載のセンサー(100、200、300、400、500、602、604、604.1〜604.3、606)。
【請求項9】
前記連結手段は少なくとも1つのちょうつがい(116、216、516、706、806)を有する請求項1から8のいずれか一項に記載のセンサー(100、200、300、400、500、602、604、604.1〜604.3、606)。
【請求項10】
前記本体部(108、622、702、802)は、互いに平行な2つの主要面(118、120)を有し、前記ちょうつがい(116、216、706、806)は前記本体部(108、622、702、802)の前記2つの主要面に実質的に垂直な前記本体部(108、622、702、802)の他方の面に連結される請求項9に記載のセンサー(100、200、300、400、602、604、604.1〜604.3、606)。
【請求項11】
前記吊り下げられている応力ゲージ(124、524、708a、708b、808a、808b)は、ピエゾ抵抗タイプであり、半導体材料または金属材料からなる少なくとも1つの梁を有する請求項1から10のいずれか一項に記載のセンサー(100、200、300、400、500、602、604、604.1〜604.3、606)。
【請求項12】
前記検出手段は、前記吊り下げられている応力ゲージ(124、524、708a、708b、808a、808b)の電気抵抗を測定するための手段(126、530、532)も有する請求項11に記載のセンサー(100、200、300、400、500、602、604、604.1〜604.3、606)。
【請求項13】
前記吊り下げられている応力ゲージは、共振器タイプであり、少なくとも1つの振動梁(204)を有し、前記検出手段は前記振動梁(204)を励起するための手段(202、206)および前記梁(204)の振動周波数の変動を測定するための手段(208、210)も有する請求項1から10のいずれか一項に記載のセンサー(200)。
【請求項14】
前記振動梁(204)を励起するための前記手段は、前記振動梁(204)に結合された少なくとも1つの励起電極(206)に電気的に接続されている直流および/または交流成分(202)を持つ少なくとも1つの電圧発生器を有し、前記梁(204)の前記振動周波数の変動を測定するための前記手段は、前記振動梁(204)に結合された少なくとも1つの検出電極(208)の電位の周波数変動を測定するための少なくとも1つの手段(210)を有する請求項13に記載のセンサー(200)。
【請求項15】
前記インレー部分(114)と前記本体部(108)との間に吊り下げられた少なくとも1つの第2の応力ゲージ(124b)も有し、前記2つの吊り下げられている応力ゲージ(124a、124b)は前記ピボットリンクの前記軸のいずれかの側に配列される請求項1から14のいずれか一項に記載のセンサー(400)。
【請求項16】
前記インレー部分(514)とホイートストンブリッジ内に取り付けられた前記本体部(508)との間に吊り下げられた少なくとも1つの応力ゲージ(524)を有する請求項1から15のいずれか一項に記載のセンサー(500)。
【請求項17】
−前記第1の本体部(108a)と実質的に類似の、第2の磁気手段(112b)を備えた第2の本体部(108b)であって、前記第2の磁気手段は検出すべき前記磁場の作用によって前記第2の本体部(108b)に印加される第2のトルクを生成することができる、第2の本体部(108b)と、
−検出すべき前記磁場の方向に垂直な軸を有する少なくとも1つのピボットリンクによって前記センサー(300)のインレー部分(114b)に前記第2の本体部(108b)を機械的に連結する第2の連結手段(116)と、
−前記第2のトルクの作用により前記第2の本体部(108b)によって印加される応力を検出するための第2の手段であって、前記インレー部分(114b)と前記第2の本体部(108b)との間に吊り下げられ、それぞれ張力または圧縮力が加えられた状態で作動する前記第1の吊り下げられている応力ゲージ(124a)に関して圧縮力または張力が加えられた状態で差動的に作動することが意図されている少なくとも1つの第2の応力ゲージ(124b)を有する、第2の手段も有する請求項1から16のいずれか一項に記載のセンサー(300)。
【請求項18】
前記本体部(508)は、2つの平行な主要面(520)を有し、前記2つの主要面(520)を通る、前記2つの主要面(520)のいくつかのセクションに関して中心位置に揃えられている陥凹部(509)を有するセンサー(500)であって、
−検出すべき前記磁場の方向に垂直であり、前記本体部(508)の前記2つの主要面(520)に垂直である軸を有するピボットリンクによって、それぞれの壁が前記本体部(508)の前記2つの主要面(520)に垂直であり前記陥凹部(509)の側部を形成する、前記本体部(508)の壁を前記陥凹部(509)内に配列されている前記センサー(500)の前記インレー部分(514)にそれぞれ機械的に連結する少なくとも2つの連結手段(516a〜516d)と、
−前記センサー(500)の前記インレー部分(514)と前記本体部(508)との間に吊り下げられた少なくとも1つのピエゾ抵抗応力ゲージ(524a〜524d)も有する請求項1〜16のいずれか一項に記載のセンサー(500)。
【請求項19】
MEMSタイプおよび/またはNEMSタイプである請求項1から18のいずれか一項に記載のセンサー(100、200、300、400、500、602、604、604.1 − 604.3、606)。
【請求項20】
前記本体部(702、802)は、前記本体部(702、802)の重心が前記ピボットリンクの前記軸に実質的に近くなるような形状を有する請求項1から19のいずれか一項に記載のセンサー(100、200、300、400、500、602、604、604.1〜604.3、606)。
【請求項21】
前記磁気手段(112、512、608、610、612、620)の重心は、前記ピボットリンクの前記軸に実質的に近い請求項1から20のいずれか一項に記載のセンサー(100、200、300、400、500、602、604、604.1〜604.3、606)。
【請求項22】
前記磁気センサー(602、604、604.1〜604.2、606)はこれらのセンサー(602、604、604.1〜604.2、606)によって測定されることが意図されている前記磁場の方向が互いに垂直になるように配列される請求項1から21のいずれか一項に記載の2つ、または3つの磁気センサー(602、604、604.1〜604.2、606)をそれぞれ有する2つまたは3つの方向を持つ磁場センサー(600)。
【請求項23】
前記磁気センサー(604、604.1〜604.2、606)のうちの2つの磁気センサーの前記ピボットリンクの前記軸は、前記第3の磁気センサー(602)の前記ピボットリンクの前記軸に垂直である請求項22に記載の3方磁場センサー(600)。
【請求項24】
それぞれの磁気センサー(602、604、606)は、少なくとも1つの強磁性体を有し、前記磁性体の磁化方向は、前記センサー(602、604、606)によって検出される前記磁場の成分の方向に垂直であり、前記センサー(602、604、606)の前記ピボットリンクの前記軸に垂直である請求項23に記載のセンサー(600)。
【請求項25】
それぞれの磁気センサー(602、604.1〜604.3)は、少なくとも1つの強磁性体(610、612)を有し、前記磁化方向は、前記センサー(602、604.1〜604.3)の前記ピボットリンクの前記軸に垂直であり、前記3つの磁気センサー(602、604.1〜604.3)の前記強磁性体(610、612)の前記磁化方向は類似しており、また磁力線を前記磁力線の初期方向に垂直な第1の方向に再配向することができる少なくとも1つの磁束ガイド(650、660)を有し、前記磁束ガイド(650、660)はこのセンサー(604.2)が前記再配向された磁力線によって形成される前記磁場を測定できるように前記3つの磁気センサーのうちの1つ(604.2)に結合される請求項23に記載のセンサー(600)。
【請求項26】
前記磁束ガイド(660)が結合される前記センサー(604.2)に類似の少なくとも1つの第4の磁気センサー(604.3)も有し、前記磁束ガイド(660)は前記磁力線の初期方向に垂直であるが、前記磁力線の前記第1の再配向された方向と反対の第2の方向に前記磁力線を配向することができ、前記磁束ガイド(660)は前記第4のセンサー(604.3)が前記第2の方向の前記再配向された磁力線によって形成される前記磁場を測定できるように前記第4の磁気センサー(604.3)にも結合される請求項25に記載のセンサー(600)。
【請求項27】
前記磁束ガイド(650、660)は、少なくとも1つの磁力線増幅要素(652、662.1、662.2)を有する請求項25または26のいずれか一項に記載のセンサー(600)。
【請求項28】
磁場センサー(100、200、300、400、500、602、604、604.1〜604.3、606)を製作する方法であって、少なくとも
−磁気手段(112、512、608、610、612、620)を備えた本体部(108、508、622、702、802)を製作する工程であって、前記磁気手段は検出すべき外部磁場の作用によって本体部(108、508、622、702、802)に印加されるトルクを生成することができる、工程と、
−検出すべき前記磁場の方向に垂直な軸を有する少なくとも1つのピボットリンクによって前記センサーのインレー部分(114、514、807)に前記本体部(108、508、622、702、802)を機械的に連結する、前記本体部(108、508、622、702、802)から分離されている、連結手段(116、216、516、706、806)を製作する工程と、
−前記連結手段(116、216、516、706、806)から分離され、少なくとも1つの第1の部分が前記インレー部分(114、514、807)に機械的に連結され、少なくとも1つの第2の部分が前記本体部(108、508、622、702、802)に機械的に連結され、前記第1の部分と前記第2の部分との間に配列されている少なくとも1つの第3の部分が前記インレー部分(114、514、807)と前記本体部(108、508、622、702、802)との間に吊り下げられている少なくとも1つの吊り下げられている応力ゲージ(124、204、524、708a、708b、808a、808b)を有する、前記トルクの作用により本体部(108、508、622、702、802)によって印加される応力を検出するための手段を製作する工程と含む方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図13E】
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【図13F】
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【図13G】
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【図13H】
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【図13I】
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【図13J】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図14E】
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【図14F】
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【図14G】
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【図14H】
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【公表番号】特表2012−515907(P2012−515907A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546794(P2011−546794)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050710
【国際公開番号】WO2010/084165
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(502124444)コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ (383)
【Fターム(参考)】