説明

吊り具の反転機構

【課題】急激に反転した時に、スムーズに反転を止める事ができ、機械への衝撃が少ない吊り具の反転機構を提供する。
【解決手段】反転の反転軸の同軸上にディスクを有し、該ディスクの外周上に凹部分と凸部分による傾斜部を配設し、該ディスクの外周上を押圧する押圧機構を有し、該押圧機構にはローラを有し、該ローラが凹部分から凸部分に向かった傾斜部を移動する時に反転へのブレーキを掛ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役物運搬機の吊り具の反転機構のブレーキに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の反転機構は、手動で反転させる場合には、反転軸には特にブレーキを付けていないものがあった。また、ショックアブソーバーとストッパーで反転の衝撃を抑えるものがあった。
【0003】
手動で反転させる場合は、荷役物の重心が反転軸と一致している場合にはさほど問題ない。しかし、荷役物の重心が反転軸から離れると、荷役物の重量によるモーメントが発生する為に反転した時に、スムーズに反転を止める事ができず、作業者の力を必要としていた。(例えば、参考文献1)
【0004】
ショックアブソーバーとストッパーで反転の衝撃を抑えるものでは、衝撃をショックアブソーバーで吸収するので、ある期間使用しているとショックアブソーバーが破損していた。また、ストッパーは固定しているため、反転はエンドレス回転は出来ないという欠点があった。
【0005】
図9は、従来の技術である。回転軸にディスク30が取り付けられており、ディスク30にはストッパー31が固着されている。ショックアブソーバー32はステー(図示せず)に取り付けられている。図9(a)の状態から矢印33の方向に反転を開始し、図9(b)の様にショックアブソーバー32にストッパー31が当たり、回転の衝撃を抑えている。
【特許文献1】特願2000−128287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、手動の反転機構において、反転軸に荷役物の重心が無い時に、作業者が反転の速度を抑えるのに力を必要とする点である。また、ショックアブソーバーとストッパーを取り付けて、回転の衝撃を抑えても、ある程度の衝撃が発生して、機械やショックアブソーバーの耐久性が損なわれた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、反転の反転軸の同軸上にディスクを有し、該ディスクの外周上に凹部分と凸部分による傾斜部を配設し、該ディスクの外周上を押圧する押圧機構を有し、該押圧機構にはローラを有し、該ローラが凹部分から凸部分に向かった傾斜部を移動する時に反転へのブレーキが掛かる事を最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の吊り具の反転機構は、急激に反転した時に、作業者の力を要せずスムーズに反転を止める事ができるという利点がある。また、機械の耐久性向上の利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、荷役物運搬機の総体図である。台座1に旋回台2が取り付けられている。旋回台2にはアーム式の荷役物運搬機3が取り付けられている。アーム4の先端には、吊り具5が取り付けられている。吊り具5は荷役物6を把持している。吊り具5には、荷役物6を反転させるハンドル7があり、そのハンドル7を作業者8が握っている。よって、荷役物6を反転させて、任意の位置に移載させる事ができる。
【0010】
図2は、吊り具の側面図である。フレーム9にブロック10が取り付けられ、ブロック10にシャフト11が嵌合されている。ブロック10には、押圧機構12が取り付けられている。シャフト11には、クランプ装置13が取り付けられ、荷役物6を把持している。シャフト11には、ディスク14が取り付けられている。ディスク14は、反転軸17の同軸上である。シャフト11には、ハンドル7が取り付けられ、作業者がハンドル7を反転させることにより、荷役物6とクランプ装置13が反転する。反転機構15は、ブロック10とシャフト11とハンドル7で構成している。荷役物6の重心16が、反転軸17より上にあるので、クランプして持ち上げ、回転ロックピン(図示せず)を解除すると、回転しようとする。例えば、回転ロックピン(図示せず)を解除して、作業者がほんの少し反転をしようとすると、重心16が回転軸17より上に位置しているので、自然に回転する。荷役物6の重量や重心位置によっては、急反転する。
【0011】
図3は、図2のハンドル7を90度反転させた図である。符号は、図2と同様である。
【0012】
図4は、ステーとブロックとディスクと押圧機構の側面図である。符号は、図2と同様である。押圧機構12は、エアーシリンダ18とロッド19に支承されたローラ20で構成されている。エアーシリンダ18にエアーが供給されており、矢印21方向にローラ20でディスク14を押圧している。
【0013】
図5〜8は、押圧機構とディスクである。(a)は、(b)の側面図である。ディスク14は、反転軸17上に配設されている。ディスク14は、ディスク14の外周上に凹部分22と凸部分23による傾斜部24を配設している。
【0014】
図5〜8を用いて、荷役物を把持している時の作用を説明する。図5の状態は、図2の荷役物が横の状態であり、押圧機構12によりローラ20がディスク14を押圧している。図5から図6になるように、回転ロックピン(図示せず)を解除して、右反転をするとローラ20が傾斜部24の下端に接する。そして、図6の状態から更に反転を掛けると、図7の状態となる。図7では、傾斜部24を登るため、矢印25方向にローラ20が押し上げられるので、反転速度が抑えられる。図7の状態から右回転すると図8の状態となる。図8の状態で回転ロックピン(図示せず)を設定すると、反転機構の反転が固定される。
【0015】
よって、図5の状態から荷役物を把持している状態で急反転した場合には、傾斜部24でディスク14がローラ20を押し上げるので、図6と図8の間の傾斜部24を移動するときに反転のブレーキが掛かる。また、押圧機構12には、エアーシリンダ18でなく、バネなどの弾性体でも良い。また、凸部23の数は1つでも3つ以上でも良く、位置はディスク14上のどこでも良いので、反転の途中でも段階的に反転速度を抑える事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】荷役物運搬機の総体図
【図2】吊り具の側面図
【図3】図2のハンドルを90度反転させた図
【図4】ステーとブロックとディスクと押圧機構の側面図
【図5】押圧機構とディスク
【図6】押圧機構とディスク
【図7】押圧機構とディスク
【図8】押圧機構とディスク
【図9】従来の技術
【符号の説明】
【0017】
1 台座
2 旋回台
3 荷役物運搬機
4 アーム
5 吊り具5
6 荷役物
7 ハンドル
8 作業者
9 フレーム
10 ブロック
11 シャフト
12 押圧機構
13 クランプ装置
14 ディスク
15 反転機構
16 重心
17 反転軸
18 エアーシリンダ
19 ロッド
20 ローラ
21 矢印
22 凹部分
23 凸部分
24 傾斜部
25 矢印
30 ディスク
31 ストッパー
32 ショックアブソーバー
33 矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷役物を反転する反転機構を有する荷役物運搬機の吊り具において、反転の反転軸の同軸上にディスクを有し、該ディスクの外周上に凹部分と凸部分による傾斜部を配設し、該ディスクの外周上を押圧する押圧機構を有し、該押圧機構にはローラを有し、該ローラが凹部分から凸部分に向かった傾斜部を移動する時に反転のブレーキが掛かる事を特徴とする吊り具の反転機構。
【請求項2】
該押圧機構は、エアーシリンダを有している事を特徴とする請求項1記載の吊り具の反転機構。
【請求項3】
該押圧機構は、弾性体を有している事を特徴とする請求項1記載の吊り具の反転機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−156042(P2008−156042A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−345392(P2006−345392)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【出願人】(000100735)アイコクアルファ株式会社 (17)