説明

吊下げユニット及びこの吊下げユニットの取換え用具

【課題】人の手が届かない高い天井や壁等の被固定材に対しても、情報表示媒体の取り付けと取り外し作業、従ってまた、交換作業を容易に行えるとともに、簡易,軽量にして安価に製造できるようにする。
【解決手段】本発明は、所要の情報を表した情報表示媒体Pを、被固定材Tに吊り下げるための吊下げユニットAにおいて、上記被固定材Tに固定するための本体Bと、上記情報表示媒体Pを保持するための保持体Cとを有し、本体Bに、保持体Cを吊持するための吊持部20を形成しているとともに、保持体Cに、上記吊持部20に吊持させるための被吊持部30と、情報表示媒体Pを支持するための媒体支持部31とを形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば石膏ボード等により形成されている天井材や壁等の被固定材に情報表示媒体を吊り下げるための吊下げユニット及びこの吊下げユニットの取換え用具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の吊下げユニットとして特許文献1に記載された構成のものがある。図13(A),(B)は、特許文献1に開示された吊下げユニットの主要部を示す説明図である。
特許文献1に記載された吊下げユニットは、吊下げる広告媒体1の上端1′の設定位置を店舗内の天井設置位置から高さを得られる寸法を金属製で側面V字形態の支持アーム2を広告媒体1の幅寸法と略同等寸法若しくは近似寸法の媒体吊下げ枠3の上面における両端付近に取り付け、これとはべつに、広告媒体1の上端1′付近を媒体挟着体4を設け、この媒体挟着体4と前記媒体吊り枠3とをマグネット5を介して合体できるようにした構成のものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−144671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された吊下げユニットは、広告媒体1の上端1′付近に設けた媒体挟着体4と前記媒体吊り枠3とをマグネット5を介して合体しているので、広告媒体1に働く下方への力が、マグネット5の磁力を超えて働くと容易に脱落してしまうという問題がある。
【0005】
また、人の手が届かない高い天井等に吊り下げられているときには、例えば脚立等を利用しての取り付け,取り外し作業を行わなければならず、それらの作業が煩雑である。
さらに、マグネット5等を採用しているために構造が複雑になるとともに軽量化が難しく、また、コストが高くなるという欠点がある。
【0006】
そこで本発明は、人の手が届かない高い天井や壁等の被固定材に対しても、情報表示媒体の取り付けと取り外し作業、従ってまた、交換作業を容易に行えるとともに、簡易,軽量にして安価に製造することができる吊下げユニット及びこの吊下げユニットの取換え用具の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る吊下げユニットは、所要の情報を表した情報表示媒体を、被固定材に吊り下げるためのものであり、上記被固定材に固定するための本体と、上記情報表示媒体を保持するための保持体とを有し、本体に、保持体を吊持するための吊持部を形成しているとともに、保持体に、上記吊持部に吊持させるための被吊持部と、情報表示媒体を支持するための媒体支持部とを形成している。
【0008】
同上の目的を達成するための本発明に係る取換え用具は、所要の全長にした柄の上端部に受け部材を固定したものであり、受け部材は、これに本体受け部と保持体受け部とが形成されているとともに、本体受け部には、磁石によって被固定材に固定されている本体を、その被固定材から取り外すための取外し部が形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、人の手が届かない高い天井や壁等の被固定材に対しても、情報表示媒体の取り付けと取り外し作業、従ってまた、交換作業を容易に行えるとともに、簡易,軽量にして安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る吊下げユニットを示す正面図である。
【図2】同上の吊下げユニットの一部をなす本体を示しており、(A)は、その正面図、(B)は、その平面図、(C)は、その断面図、(D)は、その底面図である。
【図3】同上の吊下げユニットの一部をなす本体を示しており、(A)は、その平面図、(B)は、その正面図、(C)は、その側面図である。
【図4】図2(B)に包囲線Iで示す部分の拡大図であり、嵌合用片間に位置決め用ピン92を嵌合した状態を示している。
【図5】フック部材を示すものであり、(A)は、その正面図、(B)は、その側面図、(C)は、その平面図である。
【図6】図2に包囲線IIで示す部分の拡大図であり、フック部材を本体に嵌合させた状態を示している。
【図7】保持体を示すものであり、(A)はその正面図、(B)は、その下面図である。
【図8】一例に係る媒体挟持部材を示すものであり、(A)は、可動片を閉じた状態の端面図、(B)は、可動片を閉じた状態の端面図である。
【図9】一例に係る取換え用具を示すものであり、(A)は、その側面図、(B)は、その平面図である。
【図10】(A)は、取換え用具に保持体を載せようとする様子を示す斜視図、(B)は、取換え用具に載せた保持体を本体に吊り下げる様子を示す斜視図である。
【図11】(A)は、被固定材に磁着固定している本体を取り外そうとしている状態を示す斜視図、(B)は、被固定材Tから本体を取り外した状態を示す斜視図である。
【図12】(A)は、一例に係る固定用アタッチメントの拡大正面図、(B)は、その固定用アタッチメントの拡大平面図である。
【図13】(A),(B)は、特許文献1に開示された吊下げユニットの主要部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る吊下げユニットを示す正面図、図2は、その吊下げユニットの一部をなす本体を示しており、(A)は、その正面図、(B)は、その平面図、(C)は、その断面図、(D)は、その底面図である。
【0012】
本発明の一実施形態に係る吊下げユニットAは、例えば石膏ボードからなる天井や壁等の被固定材T(図1参照)に、情報表示媒体Pを吊り下げるためのものであり、本体Bと、保持体Cとともに、本実施形態においては、媒体挟持部材Dを有して構成されている。
【0013】
情報表示媒体Pは、商品名,価格やキャッチコピー等の所要の情報を表示した広告紙等のことである。
一例に係る本体Bは、長軸線O1(図2参照)に沿って細長い基部10と、二つの吊持部20,20とを有するものであり、それらはいずれもポリプロピレン等の合成樹脂により形成されている。
【0014】
基部10は、全長L、一定の深さH及び幅Wにし、かつ、上面を開口した断面略半円弧形の外殻11内を、補強リブ12,12により区画形成した中空構造になっており、また、その外殻11の両端部11a,11aはそれぞれ略球面に曲成されている。
【0015】
補強リブ12,12は、外殻11の全長Lを二分する短軸線O2の両端部側に所要の間隔をおき、かつ、外殻11の開口端面11bよりも所要の寸法tだけ低く形成されている。
外殻11の両端部11a,11aには、図2(B),(C)に示すように、長軸線O1に一致してピン用リブ13,13が配設されている。
【0016】
ピン用リブ13,13は、外殻11の開口端面11bよりも所要の寸法tだけ低く形成されており、これには、後述する固定用ピン90を挿通させるためのピン挿通孔14,14が形成されている。
ピン挿通孔14,14は、固定用ピン90をそれぞれ被固定材Tに差し込み可能に嵌入するように、外殻11の両端部11a,11aからピン用リブ13,13の角部との間に所要の角度にして傾設されている。
【0017】
本実施形態においては、ピン用リブ13,13とピン挿通孔14,14とにより、固定用ピン90を、被固定材Tに対して傾斜させ、かつ、その被固定材Tに差し込み可能に保持するピン保持部をなしている。
【0018】
ピン用リブ13,13の内端には、外殻11の内壁面11cの底部から上方に向け、かつ、その外殻11の開口端面11bよりも所要の寸法tだけ低い円筒形にした嵌合筒15,15が突出して形成されている。
【0019】
固定用ピン90は、図1に示すように、摘み90aにピン部材90bの基端部を固着したものであり、そのピン部材90bの先端部は、被固定材Tに容易に差し込めるように尖らせている。
ピン部材90bは、摘み90aを本体Bの外殻11の両端部11a,11a外壁面に当接させたときに、被固定材Tに所要の長さだけ差し込まれる全長にしている。
【0020】
嵌合筒15,15は、鉄製のレール100を配設した構造の被固定材Tに、本体Bを磁着させるための円柱形の磁石91,91(図2(C)参照)、及びガイドレール110を配設した構造の被固定材Tに本体Bを取り付けるためのアタッチメントFを嵌合固定するためのものである。なお、鉄製レール100,ガイドレール110及びアタッチメントFの詳細については後述する。
磁石91,91は、嵌合筒15,15に嵌入されたときに、外殻11の開口端面11bとほぼ面一となる高さに形成されている。
【0021】
嵌合筒15,15の内側であって外殻11の内壁面11cの底部には、吊持部嵌合孔16,16が穿設されている。
吊持部嵌合孔16,16は、長軸O1に一致して形成された平面視長方形のものであり、それら吊持部嵌合孔16,16の長軸O1を挟む両側縁部には、係止用片17,17、17,17が互いに所要の間隔もって立設されている。
【0022】
係止用片17,17,17,17は、吊持部嵌合孔16,16に嵌入された、吊持部であるフック部材20を係止するためのものであり、互いに所要の間隔もって立設されている。
なお、本実施形態においては、基部10とフック部材20とを別体に形成したものを例として説明するが、それら双方を一体に形成してもよい。
【0023】
各係止用片17は、外殻11の開口端面11bよりも所要の寸法tだけ低く形成されているとともに、その内縁は、これの下半部が側面視において幅広に、また、上半部が下半部よりも幅狭に形成され、これにより、上半部と下半部との間に係止用段差17aを形成している。
【0024】
外殻11には、位置決め用ピン92を嵌合するための嵌合用片18,18、18,18が、短軸線O2の両側に互いに所要の間隔をおいて配列されている。
各嵌合用片18は、外殻11の開口端面11bよりも所要の寸法tだけ低く形成されているとともに、その内縁は、下半部が側面視において幅狭に、また、上半部が下半部よりも幅広にそれぞれ形成されており、これにより、上半部と下半部との間に係止用段差18aを形成している。
【0025】
図3は、位置決め用ピン92を示すものであり、(A)は、その正面図、(B)は、その平面図、(C)は、その側面図である。また、図4は、図2(B)に包囲線Iで示す部分の拡大図であり、嵌合用片18,18、18,18間に位置決め用ピン92を嵌合した状態を示している。
【0026】
位置決め用ピン92は、2本のピン部材93,93を基台94に植設したものである。
基台94は、鍔部体94aとピン支持片94bとを一体に形成したものである。
鍔部体94aは、上記した外殻11の底部内面形状に一致して曲成した連結片94cの両端部に起立片94d,94dを一体に形成した側面視略U字形になっている。
ピン支持片94bは縦長の直方体形のものであり、これの上面94eに上記したピン部材93,93が互いに所要の間隔をおいて植設されている。
【0027】
起立片94d,94dの開放端部には、上記した嵌合用片18,18の間隔に一致した係止用片94f,94fが水平に突出して形成されており、これの両側片部94g,94gが上記した係止用段差18a,18aに係止するようになっている(図4参照)。
【0028】
上記したピン部材93,93を短軸線О2上に互いに離間させて配設していることにより、位置決め用ピン92を被固定材Tに差し込むだけで、本体Bを被固定材Tにしっかりと位置決めすることができる。
【0029】
図5はフック部材20を示すものであり、(A)は、その正面図、(B)は、その側面図、(C)は、その平面図、図6は、図2に包囲線IIで示す部分の拡大図であり、フック部材を本体に嵌合させた状態を示している。
【0030】
フック部材20は、嵌合部21とフック部22とを一体に形成したものである。
嵌合部21は、上記した本体Bの外殻11の底部に一致させて曲成した基台21aの上面に、上述した係止用片17の係止用段差17aに係止するための係止部材21b,21bを互いに所要の間隔にして突出形成するとともに、その基台21aの下面にフック部22を垂下形成している。
フック部22は、側面視において、基部22aと開放端部22bとの間を開放した略S字形に形成されている。
【0031】
次に、図7を参照して保持体Cについて説明する。図7は保持体Cを示すものであり、(A)はその正面図、(B)は、その下面図である。
保持体Cは、上記したフック部材20,20に吊持させるための被吊持部30と、情報表示媒体Pを吊下するための媒体支持部31,31とを一体に形成したものである。
【0032】
被吊持部30は、上記したフック部材20,20の間隔よりも長尺に形成した断面円形の棒状部材であり、これの両端に上記した媒体支持部31,31を配設している。
被吊持部30には、これを受ける詳細を後述する取換え用具Eを位置決めするための位置決め片32,32が突設されている。これにより、取換え用具Eによって保持体Cを吊り上げ下ろしするときに、被吊持部30の長さ方向における取換え用具Eの位置ずれを防ぎ、保持体C及び情報表示媒体Pのバランスを保った状態での作業を行うことができる。
【0033】
媒体支持部31は、詳細を後述する媒体挟持部材Dを着脱自在に連結支持するものであり、それは、所要の厚みにした縦長方形の支持片33の下端に挟入支持片34を形成したものであり、これの支持片33の上端を被吊持部30の端部と一体に形成している。
【0034】
挟入支持片34は、後述する媒体挟持部材Dに挟入するようになっており、支持片33に対して直交する向き、換言すると水平にして形成されている。
この挟入支持片34は、平面視において、軸線O2に沿う細長い長方形に形成されているとともに、中央部分の範囲にわたり弾性凸部34aが下向きに突出して形成されている。
【0035】
弾性凸部34aは、媒体挟持部材Dの後述する溝43に対して褶動できる程度の弾性力を有するように変形可能に曲成されており、これにより、簡易な構造で媒体挟持部材Dを着脱容易にして弾性的に固定することができる。
なお、支持片33,33には、例えば別構造の媒体挟持部材を吊り下げるための紐(図示しない)の上端部を結わえるための紐用孔33a,33aが形成されている。
【0036】
図8は、一例に係る媒体挟持部材Dを示すものであり、(A)は、可動片を閉じた状態の端面図、(B)は、可動片を閉じた状態の端面図である。
一例に係る媒体挟持部材Dは、図1に示すように、情報表示媒体Pの幅に応じた全長にして形成されており、その構造は次のとおりである。
【0037】
媒体挟持部材Dは合成樹脂を一体成形したものであり、連結部40の一側辺縁に固定片41を、また、その連結部40の他側辺縁に可動片42をそれぞれ配設した構造のものである。
連結部40は、上記した挟入支持片34を挿通するための断面凸形の挿通溝43が、上下逆向きのL字形にした一対の起立片40a,40aにより区画形成されている。
【0038】
可動片42は、連結部40から垂設した固定片44の下辺縁に形成された蝶番部45を介して連結されており、挟持位置(ア)と、この挟持位置(ア)から外方に開いた非挟持位置(イ)との間で移動可能になっている。
【0039】
可動片42の内面42a上端部には、挟持位置(ア)に移動したときに、固定片44に当接する当接突起46が、固定片44に向けて突出して形成されている。
また、中間部から下方にかけては、情報表示媒体Pを挟持するための挟持突起47…が上下3段にして突設されている。
【0040】
次に、一例に係る取換え用具Eについて、図9を参照して説明する。図9は、一例に係る取換え用具Eを示すものであり、(A)は、その側面図、(B)は、その平面図である。
一例に係る取換え用具Eは、被固定材Tへの本体Bの取付け,取外し作業及び保持体Cの交換作業に使用するものであり、所要の全長にした柄50の上端部に受け部材60を固定したものである。
【0041】
受け部材60は、平面視において略長方形の受け63の下面に、円筒形の柄装着部64を一体に形成したものである。
受け63は、これの二つの両辺縁部に本体受け部61と保持体受け部62とが形成されている。
【0042】
本体受け部61は、本体Bを持ち上げるとともに、上記した位置決め用ピン92、固定用ピン90に代えて、磁石91によって被固定材Tに固定されている本体Bを、その被固定材Tから取り外すためのものであり、本体Bの底部形状に一致した円弧形に形成されている。
【0043】
本体受け部61の中央部分には、上記したフック部材20のフック部22を遊挿できる長孔61aが穿設され、これの中央部に、被固定材Tに磁着している本体Bを取り外すための取外し片61bが凸設されている。
【0044】
取外し片61bは、長孔61a内に突入するように延出し、かつ、本体受け部61の下面側に突出するように曲成されている。すなわち、長孔61aに遊挿したフック部22の一部を係止して、下方に引き下げられるようにしたものである。
また、保持体受け部62は、保持体Cを載置して持ち上げるためのものであり、被吊持部30の外径に一致させた断面半円形に形成されている。
【0045】
次に、被固定材Tに本体Bを固定し、また、被固定材Tに固定されている本体Bに保持体Cによって情報表示媒体Pを吊り下げる動作について説明する。図10(A)は、取換え用具Eに保持体Cを載せようとする様子を示す斜視図、(B)は、取換え用具Eに載せた保持体Cを本体Bに吊り下げる様子を示す斜視図である。
【0046】
まず、位置決め用ピン92及び固定用ピン90を用いて、本体Bを被固定材Tに固定する作業について説明する。
被固定材Tの所望の位置に対して、本体Bの開口端面11bを被固定材Tに対向させて接近させると、位置決め用ピン92…が被固定材Tに差し込まれ始める。このとき、固定用ピン19…は、本体Bに差し込んでいない。
【0047】
そして、本体Bの開口端面11bを被固定材Tに当接させると、位置決め用ピン92…が被固定材T内に十分に差し込まれ、本体Bを被固定材Tにしっかりと位置決めできる。
次に、固定用ピン90を、摘み90aが外殻11の外殻面に当接するまで押し込む。これにより、ピン部材19bの所要の長さ部分が被固定材Tに所要の角度、例えば45度の角度で差し込まれて、本体Bを被固定材Tにしっかりと固定することができる。
【0048】
そして、固定用ピン90を被固定材Tに差し込む際にも、本体Bは位置決め用ピン92により被固定材Tにしっかりと位置決め固定されている。従って、固定用ピン90を被固定材Tに差し込むときにも本体Bを抑えておく必要がなく、固定用ピン90を片手で容易に差し込むことができる。
【0049】
上記のようにして本体Bを被固定材Tに固定した後、図10(A)に示すように、保持体Cを取換え用具Eの保持体受け部62に載せる。このとき、位置決め片32,32によって受け63を位置決めできる。
この状態で保持体Cを吊り上げ、フック部材20のフック部22に被吊持部30を係止して吊り下げる。
【0050】
一方、被固定材Tに固定されている本体Bに吊り下げられている保持体C及び情報表示媒体Pを被固定材Tから取り外すには、図10(B)に示すようにして、保持体Cを本体Bに吊り下げる作業と概ね逆の手順によって取り外す。
【0051】
図11(A)は、被固定材Tに磁着固定している本体Bを取り外そうとしている状態を示す斜視図、(B)は、被固定材Tから本体を取り外した状態を示す斜視図である。
被固定材Tに例えば鉄製レール100が配設されている場合には、上記した位置決め用ピン92や固定用ピン90に代えて、磁石91によって本体Bを被固定材Tに固定することができる。
この場合、まず、本体Bの嵌合筒15に、磁石91を嵌入固定しておく。
磁石91を配設した本体Bを、取換え用具Eの保持体受け部62に載せ、被固定材Tの鉄製レール100に磁着させる。
【0052】
本体Bを被固定材Tから取り外すには、長孔61aにフック部22を遊挿させて、図11(B)に示すように、そのフック部22に取外し片61bを係止させ、保持体Cを下方に引き降ろすように外力Fを加えることにより、本体Bを被固定材Tから取り外すことができる。
【0053】
次に、図12を参照して、本体Bを被固定材Tに固定するための固定用アタッチメントFについて説明する。図12(A)は、一例に係る固定用アタッチメントの拡大正面図、(B)は、その固定用アタッチメントの拡大平面図である。
【0054】
一例に係る固定用アタッチメントFは、被固定材Tに配設されている断面上下逆向きT字形のガイドレール110の水平片111に係合固定するためのものであり、アタッチメント本体70、係合片71,71及び嵌合用突起73,73を一体に形成したものである。
【0055】
アタッチメント本体70は、平面視において、本体Bと略同一の輪郭形状に形成されており、これの下面であって、上記した嵌合筒15,15に対向することになる位置に、それら嵌合筒15,15に嵌合するための嵌合用突起73,73が突出して形成されている。
【0056】
係合片71,71は、アタッチメント本体70の長軸線O3を挟む両側であって、一側辺縁の一端部側と、他側辺縁の他端部側とに偏倚させて配設しており、それらは、上記水平片111に係合する、側面視において上下逆向きL字形に形成されている。
【0057】
上記の構成からなる固定用アタッチメントFを本体Bの開口端面11bを塞ぐようにして、嵌合筒15,15に嵌合用突起73,73を嵌入することにより、水平片111の両辺縁をそれぞれ係合片71,71で係合するようになっている。
これにより、本体Bをガイドレール110に固定することができるとともに、また、そのガイドレール110に沿って移動させて、任意の位置に固定することができる。
【0058】
上述した一実施形態によれば、次の効果を得ることができる。
・人の手が届かない高い天井や壁等の被固定材に対しても、情報表示媒体の取り付けと取り外し作業、従ってまた、交換作業を容易に行える。
・本体と保持体とを係止すめための磁石を必要としないので、簡易,軽量にして安価に製造することができる。
・本体にピン保持部とともに磁石やアタッチメント等を嵌合するための嵌合筒を形成しているので、被固定材の構造上の相違に関わらずに、同じ本体を使用することができ、経済的である。
・本体にフック部材を介して保持体を吊り下げているので、吊持状態を確実に維持することができる。
【0059】
なお、本発明は上述した実施形態に限るものではなく、次のような変形実施が可能である。
・上記した実施形態においては、二つの吊持部を有するものを例示したが、三つ以上の吊持部を所要の間隔で配列してもよいことは勿論である。
【0060】
・上述した実施形態においては、本体にピン保持部とともに磁石やアタッチメント等を嵌合するための嵌合筒を形成した例について説明したが、例えば本体にピン保持部のみを形成したものや嵌合筒のみを形成したものであってもよい。
・上述した実施形態においては、被固定材として天井を例として説明したが、例えば鉛直な壁等であっても適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
(13,14) ピン保持部
20 吊持部(フック部材)
30 被吊持部
31 媒体支持部
90 固定用ピン
92 位置決め用ピン
100 鉄製レール
A 吊下げユニット
B 本体
C 保持体
P 情報表示媒体
T 被固定材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所要の情報を表した情報表示媒体を、被固定材に吊り下げるための吊下げユニットにおいて、
上記被固定材に固定するための本体と、
上記情報表示媒体を保持するための保持体とを有し、
本体に、保持体を吊持するための吊持部を形成しているとともに、
保持体に、上記吊持部に吊持させるための被吊持部と、情報表示媒体を支持するための媒体支持部とを形成していることを特徴とする吊下げユニット。
【請求項2】
吊持部は、二以上のフック部材を互いに所要の間隔をおいて配列されており、
被吊持部は、それらフック部材の最両外側に配列したフック部材の間隔よりも長尺に形成されているとともに、その吊持部の両端に媒体支持部を配設していることを特徴とする請求項1に記載の吊下げユニット。
【請求項3】
被吊持部に対して取換え用具を位置決めをするための位置決め部を保持体に形成していることを特徴とする請求項1又は2に記載の吊下げユニット。
【請求項4】
本体には、この本体を被固定材に位置決めするための複数本の位置決め用ピンの各基端部が固定されているとともに、
本体を被固定材に固定するための固定用ピンを、被固定材に対して傾斜させ、かつ、その被固定材に差し込み可能に保持するピン保持部が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の吊下げユニット。
【請求項5】
被固定材に鉄製レールが配設されており、
本体には、これを鉄製レールに磁着させるための1又は2以上の磁石が配設されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の吊下げユニット。
【請求項6】
所要の全長にした柄の上端部に受け部材を固定したものであり、
受け部材は、これに本体受け部と保持体受け部とが形成されているとともに、
本体受け部には、磁石によって被固定材に固定されている本体を、その被固定材から取り外すための取外し部が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の吊下げユニットの取換え用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−128537(P2011−128537A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289345(P2009−289345)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(591135657)ワヨー株式会社 (29)