説明

同報送信装置

【課題】アプリケーションが通信プロトコルおよび送信先を意識することなく、複数の通信プロトコルでの送信が必要な装置群への同報送信を行う同報送信装置を得る。
【解決手段】送受信アプリケーション002からの同報送信要求を受けて同報送信を行う通信管理装置100は、ネットワーク003に接続された複数の装置ごとにそれぞれ適用可能な通信プロトコルを予め設定した装置情報(1)131と、この装置情報(1)131を参照して、装置ごとの通信プロトコルを選択する通信プロトコル選択部120と、この選択された装置ごとの通信プロトコルにより、ネットワーク003を介して、同報送信を行う個別プロトコル通信部140とを有し、送受信アプリケーション002が通信プロトコルおよび送信先を意識することなく、同報送信できるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の通信プロトコルでの送信が必要な装置群への同報送信を行う同報送信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の通信プロトコルでの送信が必要な装置群への同報送信を行うシステムでは、それぞれのアプリケーションが複数のプロトコルを理解し、全ての送信先装置毎に送信すべきプロトコルを判断し送信を行う必要があり、アプリケーションの負担が重いという問題があった。
このような問題を解決する手段として、例えば、特許文献1には、データ通信管理部によりプロトコルを隠蔽し、アプリケーションは同報命令を管理部に1回発行するのみで同報を行うことができるデータ通信方式が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−057075号公報(第7〜18頁、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の方法は、アプリケーションの同報送信の負担を減らす効果があるが、同報送信に使用されるプロトコルは、マルチキャストおよびユニキャストである。マルチキャストは、同報送信に適したプロトコルであるが、その使用にはネットワークの設定が必要であり、またユニキャストは同報先の装置が増加すると負荷が増加するとともに、送信先をアプリケーションが指定する必要がある、という問題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、アプリケーションが通信プロトコルおよび送信先を意識することなく、複数の通信プロトコルでの送信が必要な装置群への同報送信を行うことができる同報送信装置を得ることを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係わる同報送信装置は、ネットワークを介して複数の通信プロトコルによる送信が必要な装置群への同報送信を行う同報送信装置であって、同報送信される複数の送信先装置について、それぞれ適用可能な通信プロトコルを予め設定した装置情報を記憶した記憶装置、アプリケーションからの同報送信要求に応じて、装置情報を参照して、送信先装置ごとに通信プロトコルを選択する通信プロトコル選択部、およびこの通信プロトコル選択部により選択された送信先装置ごとの通信プロトコルにより、それぞれの送信先装置へアプリケーションからの同報送信要求に応じた送信を行う個別プロトコル通信部を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、以上説明したように、ネットワークを介して複数の通信プロトコルによる送信が必要な装置群への同報送信を行う同報送信装置であって、同報送信される複数の送信先装置について、それぞれ適用可能な通信プロトコルを予め設定した装置情報を記憶した記憶装置、アプリケーションからの同報送信要求に応じて、装置情報を参照して、送信先装置ごとに通信プロトコルを選択する通信プロトコル選択部、およびこの通信プロトコル選択部により選択された送信先装置ごとの通信プロトコルにより、それぞれの送信先装置へアプリケーションからの同報送信要求に応じた送信を行う個別プロトコル通信部を備えたので、アプリケーションが通信プロトコルおよび送信先を意識することなく、複数の通信プロトコルでの送信が必要な装置群への同報送信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1による同報送信装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による同報送信装置を含むシステムを示す構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1による同報送信装置の構成管理部が管理する装置情報(1)を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態1による同報送信装置の通信管理装置の処理を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態2による同報送信装置を示す構成図である。
【図6】この発明の実施の形態2による同報送信装置の構成管理部が管理する装置情報(2)および送達確認部が管理する送達情報を示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態2による同報送信装置の構成管理部が管理する装置情報(2)の補足説明を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態2による同報送信装置の通信管理装置の処理を示すフローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態2による同報送信装置の通信管理装置の送達確認処理を示すフローチャートである。
【図10】この発明の実施の形態3による同報送信装置を示す構成図である。
【図11】この発明の実施の形態3による同報送信装置を含むシステムを示す構成図である。
【図12】この発明の実施の形態3による同報送信装置の構成管理部が管理する装置・ネットワーク情報および送達確認部が管理する送達情報を示す説明図である。
【図13】この発明の実施の形態3による同報送信装置の通信管理装置の処理を示すフローチャートである。
【図14】この発明の実施の形態3による同報送信装置の通信管理装置の送達確認処理を示すフローチャートである。
【図15】この発明の実施の形態4による同報送信装置を示す構成図である。
【図16】この発明の実施の形態4による同報送信装置の構成管理部が管理する装置・ネットワーク情報およびネットワーク監視情報を示す説明図である。
【図17】この発明の実施の形態4による同報送信装置の通信管理装置の処理を示すフローチャートである。
【図18】この発明の実施の形態4による同報送信装置の通信管理装置の送達確認処理を示すフローチャートである。
【図19】この発明の実施の形態5による同報送信装置を示す構成図である。
【図20】この発明の実施の形態5による同報送信装置の構成管理部が管理する装置・ネットワーク情報と送達確認部が管理する送達時間統計を示す説明図である。
【図21】この発明の実施の形態5による同報送信装置の通信管理装置の処理を示すフローチャートである。
【図22】この発明の実施の形態5による同報送信装置の通信管理装置の送達確認処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
図1は、この発明の実施の形態1による同報送信装置を示す構成図である。
図1において、装置001は、同報送信装置であり、送受信アプリケーション002と通信管理装置100を有する。装置001は、ネットワーク003によって、他装置と接続されている。
通信管理装置100は、アプリケーションインタフェース部110と、通信プロトコル選択部120と、構成管理部130と、個別プロトコル通信部140から構成される。この構成各部はソフトウェアによって構成され得る。
アプリケーションインタフェース部110は、送受信アプリケーション002からの送信命令を受け取るとともに、送受信アプリケーション002への受信通知を行う機能を持つ。
通信プロトコル選択部120は、構成管理部130から取得した装置情報(1)131(図3で後述する。)を用いて、送信されるデータについて、送信先の装置毎にどのプロトコルで送信するかを決定し、個別プロトコル通信部140へ渡す機能を持つ。
【0010】
構成管理部130は、記憶装置に格納された装置情報(1)131にアクセスし、システムを構成する装置の情報を管理する。個別プロトコル通信部140は、各プロトコルの通信を実行する機能を持ち、具体的にはブロードキャスト通信部141、マルチキャスト通信部142、UDPユニキャスト通信部143、TCPユニキャスト通信部144などから成る。それぞれの通信部は、送受信のプロトコルに依存する処理を受け持っていて、通信プロトコル選択部120とのデータ送受信は、プロトコルを隠蔽し同じインタフェースとなっている。
【0011】
図2は、この発明の実施の形態1による同報送信装置を含むシステムを示す構成図である。
図2において、本システム構成を示し、図1の装置001と同様の構成の送信元装置A201は、装置B202および装置C203とは、同じネットワークA401によって接続され、装置D204および装置E205とは、ルータK301を介して、ネットワークA401およびネットワークB402により接続され、また、装置F206とは、ルータL302を介して、ネットワークA401およびネットワークC403により接続されている。
なお、装置B、装置C、装置D、装置E、装置Fは、いずれも図1の装置001と同様の構成であってもよく、そうでなくてもよい。
【0012】
図3は、この発明の実施の形態1による同報送信装置の構成管理部が管理する装置情報(1)を示す説明図である。
図3において、構成管理130が管理する装置情報(1)131の例について示されている。装置情報(1)131では、装置の一覧とその装置に送信する際に使用する通信プロトコルが装置毎に設定される。図の例では、装置Bおよび装置Cは同じネットワークであるためブロードキャストにて送信、装置Dおよび装置EはネットワークBがマルチキャスト可能なネットワークであると仮定してマルチキャスト通信、装置Fはブロードキャストおよびマルチキャストが使用できないネットワークと仮定してTCPユニキャスト通信という設定が行われている。
【0013】
図4は、この発明の実施の形態1による同報送信装置の通信管理装置の処理を示すフローチャートである。
【0014】
次に、動作について説明する。
アプリケーション002からの同報送信命令を受信した通信管理装置100の処理の流れについて、図4を用いて説明する。
通信管理装置100のアプリケーションインタフェース部110は、アプリケーション002からの同報送信要求を受信する(S101)。
アプリケーションインタフェース部110は、受け取った同報送信要求を通信プロトコル選択部120に渡す。通信プロトコル選択部120は、構成管理部130から装置情報(1)131を受け取る(S102)。通信プロトコル選択部120は、装置情報(1)131から、送信先装置が、装置B、装置C、装置D、装置E、装置Fの5台であると設定し、送信先装置毎にループを実行する(S103)。
【0015】
装置Bに対する処理では、装置情報(1)131から、送信プロトコルをブロードキャストと選択する(S104)。通信プロトコルはブロードキャストであり(S105)、かつ他の装置でブロードキャスト実施済みでない(S106)ため、送信データを個別プロトコル通信部140内のブロードキャスト通信部141に渡し、ブロードキャスト通信部141は、送信を実行する(S109)。
装置Cに対する処理では、同じくブロードキャストが選択される(S104)(S105)が、先ほどの装置Bの処理で既にブロードキャスト送信済みであるため(S106)、処理しない。
【0016】
装置Dに対する処理では、マルチキャスト選択され(S104)(S105)、他の装置でマルチキャスト実施済みでない(S106)ため、送信データを個別プロトコル通信部140内のマルチキャスト通信部142に渡し、マルチキャスト通信部142は、送信を実行する(S109)。
装置Eに対する処理では、マルチキャスト選択かつ送信済み(S104)(S105)(S106)であるため、処理しない。
装置Fに対する処理では、TCPユニキャストが選択されたため(S104)(S105)、送信データを個別プロトコル通信部140内のTCPユニキャスト通信部144に渡し、TCPユニキャスト通信部144は送信を実行する(S108)。
以上で、全ての送信先装置への処理が終了したので(S107)同報送信処理を終了する。
【0017】
実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
送受信アプリケーション002は、送信先装置の一覧および送信先装置毎の送信プロトコルを設定する必要はなく、送信データを指定するのみで同報送信が実行できるため、これらを意識する必要がなく、アプリケーションの負担が大きく削減される。
また、同報装置の送信先の追加削除およびネットワークの構成変更等による送信プロトコルの変更は、装置情報(1)の情報を変更するのみで対応可能で、アプリケーションの修正なしで対応可能であり、可用性が高まる。
また、同じネットワークで接続された装置への通信は、ブロードキャストを用いることにより、マルチキャストを用いる際のネットワークの設定なしで、1回の送信で複数の装置への同報送信が可能である。
【0018】
実施の形態2.
実施の形態2では、実施の形態1の通信管理装置100に送信の成功失敗を検知する送達確認部121を追加し、装置毎に優先順位付けされた複数の送信プロトコルを持つ装置情報と、送信成功失敗を検知し、失敗時には次優先度のプロトコルにて再送信を行うことで、送信失敗を防止する機能を有するものである。
図5は、この発明の実施の形態2による同報送信装置を示す構成図である。
図5において、001〜003、100、110、120、130、140、141〜144は図1におけるものと同一のものである。図5では、通信プロトコル選択部120と個別プロトコル通信部140との間に送達確認部121を配置し、送達確認部121がアクセスする記憶装置に格納された送達確認情報122を追加している。また、構成管理部130がアクセスする装置情報(2)132が実施の形態1の装置情報(1)131とは異なっている。
なお、システム構成は実施の形態1の図2と同じである。実施の形態2の装置B、装置C、装置D、装置E、装置Fは図1の構成を持っている。
【0019】
図6は、この発明の実施の形態2による同報送信装置の構成管理部が管理する装置情報(2)および送達確認部が管理する送達情報を示す説明図である。
図6において、構成管理130が管理する装置情報(2)132と、送達確認部121が管理する送達確認情報122との例について示している。
装置情報(2)132では、装置の一覧とその装置に送信する際に使用する通信プロトコルが、装置毎に優先度をもち複数設定される。図6の例では、装置Bには、優先度1がブロードキャスト、優先度2がUDPユニキャスト、優先度3がTCPユニキャストと設定されている。これにより、装置Bへの送信は、初回ブロードキャストで実行され、ブロードキャストが失敗した場合には次にUDPユニキャスト、UDPユニキャストも失敗した場合にはTCPユニキャストにて送信する。なおTCPユニキャストでも失敗した場合、送信失敗となる。
装置Cも、装置Bと初回と2回目は同じだが、優先度3が存在しないので、2回目のUDPユニキャスト失敗時点で送信失敗となる点が異なる。
【0020】
送達情報122では、装置毎に優先度を持つ通信プロトコルについて送達結果が設定される。この送達情報122は、同報送信先装置毎に生成され、初期状態では優先度を持つプロトコルのみが設定可能で、それ以外(優先度が×)のプロトコルの欄は使用しない。同報送信実施時に送信プロトコルの欄に送信中を設定し、以降、受信側が返す成功失敗通知を送達確認部121が受け取り、成功であれば成功、失敗であれば失敗を設定してゆく。この送達情報122と装置情報(2)132を用いて、通信プロトコル選択部120は、送信プロトコルを決定する。
【0021】
図7は、 この発明の実施の形態2による同報送信装置の構成管理部が管理する装置情報(2)の補足説明を示す図である。
図7には、図6の補足説明として、装置情報(2)132で優先度が高くても送信しない場合の例を示している。装置Cに対し優先度1で送信するブロードキャストは、装置Bも受信可能であるため、ブロードキャスト送信時にはユニキャスト送信しないようにする。同様にマルチキャスト送信時にはユニキャスト送信しないようにする。これらについては図8のフローチャートの説明時に詳細説明する。
【0022】
図8は、この発明の実施の形態2による同報送信装置の通信管理装置の処理を示すフローチャートである。
図8において、S101〜S103、S105〜109は図4における処理と同じ処理である。図8では、S103に続いてS111の処理が実行され、S105でNOの場合にS190の処理が実行されるようになっている。
【0023】
図9は、この発明の実施の形態2による同報送信装置の通信管理装置の送達確認処理を示すフローチャートである。
【0024】
次に、動作について説明する。
アプリケーション002からの同報送信命令を受信した通信管理装置100の処理の流れについて、図8、図9を用いて説明する。
図8のS101、S102、S103は実施の形態1の図4と同じである。
送信先の各装置にてループを回し、装置Bに対する処理では、通信プロトコル選択部120は、装置情報(2)132および送達情報122から、優先度が最も高く、かつ送達確認で失敗していない、優先度1のプロトコルであるブロードキャストを選択する(S111)。後は、実施の形態1と同じく、ブロードキャスト通信を実行する(S108)。
S105の処理で、NOの場合には、ブロードキャストもしくはマルチキャストが送信可能な装置で、かつ他の装置で自装置も受信できるブロードキャストもしくはマルチキャスト実施予定でないかどうかにより(S190)、YESの場合には、S108に移り、NOの場合にはS106へ移行する。
装置C〜装置Fへの処理も同様に実施する。
【0025】
以上で、全ての装置の処理が終了したので(S107)、送達確認処理に移る。
図9の送達確認処理は、送信先の装置毎に実施する。送達確認部121では、送信先の装置毎に送信結果待ちを実施する(S112)。
送信先装置B〜装置F上の通信管理装置100内でデータを受信した各個別プロトコル通信部140は、送信結果を送信元装置Aに返信する。この結果は、送信元装置A上の各個別プロトコル通信部140が受信し、送達確認部121に受信結果が渡される(S113)。この結果が成功の場合(S114)、送達情報122の該当装置および該当プロトコルに成功を書込み(S115)、当該装置への送信処理は完了となる。
【0026】
結果が失敗だった場合(S114)および受信タイムアウトが発生した場合(S116)は、送達情報122の該当装置および該当プロトコルに失敗を書込む(S117)。このとき、送達情報122の当該装置情報の全てが失敗となった場合(S118)、それ以上の送信は不可能なので、当該装置への送信処理は失敗で終了となる。
まだ失敗していない送達情報中のプロトコルが存在していた場合、次のプロトコルでの送信を行うために、図8のS110の枠内で示されたプロトコル選択処理で、次のプロトコルを選択し、送信を行う(S119)。送達確認処理は、引き続き結果受信待ちを継続する。
【0027】
以下、図6を例として説明する。
装置Bには、初回ブロードキャストで送信する。装置Bの送達確認処理は、成功結果が返ってきたら送達情報122の装置B−ブロードキャストの欄に成功を記入し、処理を完了する。
装置Cには、同様にブロードキャストで送信するが、装置Cの送達確認処理はタイムアウトで失敗したとすると、送達情報122の装置C−ブロードキャストの欄に失敗を記入し、次の送信プロトコルの選択を行う。
まだ失敗していないプロトコルは、UDPユニキャストのみなので、UDPユニキャストで装置Cに対し、再度送信し、送達確認を継続する。この装置CへのUDPユニキャストも送達確認で失敗受信したとすると、装置Cへはこれ以上送信できないので、装置Cへの送信は失敗として処理終了する。
【0028】
装置Dと装置Eに対しても、同様に初回はマルチキャストで送信するが、装置Dは送達確認で成功受信、装置Eは失敗受信したとする。装置Dは成功なので処理を終了し、装置Eは、次の優先度であるUDPユニキャストで送信を行う。この装置EへのUDPユニキャストが送達確認で成功受信すると、装置Eはそこで処理を終了する。
装置Fについては、UDPユニキャストのみなので、送信実行時に送信中を設定し、送達確認受信待ちの状態を示している。
【0029】
図7は優先度の特殊な設定例であり、これに基いて、図8のフローチャートのS190で示された条件がNOとなる場合の補足説明を行う。
図7の設定例では、装置Bも装置Cもブロードキャストが送信可能であるが、装置BはUDPユニキャストが優先度1で、装置Cはブロードキャストが優先度1になっている。この場合、初回送信にて装置Bが優先度1であるUDPユニキャストを送信した場合、装置Cの優先度1であるブロードキャストも装置Bに届くので、装置Bは2回の受信処理を行ってしまう。このような重複送信を避けるため、送信プロトコルがユニキャストの場合、他の装置で当該装置が受信可能なブロードキャストもしくはマルチキャストが送信実施予定かどうかをチェックし、送信予定であれば、優先度に関わらずブロードキャストもしくはマルチキャストで受信することとし、ユニキャスト送信をキャンセルする。
【0030】
実施の形態2によれば、実施の形態1の効果に加え、以下の効果が得られる。
送信先の装置毎に送達確認を実施するため、送信失敗を検知できる。
また、優先度の高いプロトコルによる送信失敗時に、優先度の低い別のプロトコルを順に選択し送信を行うため、送信失敗を削減できる。
【0031】
実施の形態3.
実施の形態3では、ネットワーク多重系のシステム構成に実施の形態2を適用し、装置情報にネットワーク情報を追加することで、複数の送信経路が存在する場合でも、プロトコルおよび経路を切り替えながら送信処理を行い、送信失敗を防止する機能を有するものである。
以下、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。
図10は、この発明の実施の形態3による同報送信装置を示す構成図である。
図10において、001〜003、100、110、120〜122、130、140、141〜144は図5におけるものと同一のものである。図10では、ネットワークが003と004の二重系となり、構成管理部130が管理する図5の装置情報(2)132が、装置情報に加えネットワークの情報を追加した装置・ネットワーク情報133に、変更されている。
【0032】
図11は、この発明の実施の形態3による同報送信装置を含むシステムを示す構成図である。
図11において、201〜206、301、302、403は図2におけるものと同一のものである。図11では、ネットワークAとネットワークBがそれぞれ二重化され、ネットワークA−1(411)、A−2(421)、ネットワークB−1(412)、B−2(422)となっている。このため、ネットワークA−2(421)とネットワークB−2(422)間にルータM311が配置されている。
なお、ルータK301は、ネットワークA−1(411)とネットワークB−1(412)間に配置され、また、ルータL302は、ネットワークA−1(411)とネットワークC403間に配置されている。なお、各装置の内部構成は図1の構成である。
【0033】
図12は、この発明の実施の形態3による同報送信装置の構成管理部が管理する装置・ネットワーク情報および送達確認部が管理する送達情報を示す説明図である。
図12において、装置・ネットワーク情報133では、装置毎およびネットワーク毎に優先度情報が設定される。図12の例では、装置Bのプロトコル優先度は、高い順に、ネットワークA−1へのブロードキャスト、ネットワークA−2へのブロードキャスト、ネットワークA−1へのUDPユニキャスト、ネットワークB−1へのUDPユニキャスト、ネットワークA−1へのTCPユニキャスト、ネットワークA−2へのTCPユニキャストの順番になる。
送達情報122も同様に、装置毎およびネットワーク毎に送達情報が設定されている。
【0034】
図13は、この発明の実施の形態3による同報送信装置の通信管理装置の処理を示すフローチャートである。
図13において、S101〜S103、S105〜S109、S190は図8における処理と同じ処理である。図13では、図8のS111に代って、S121の処理が実行されるようになっている。
【0035】
図14は、この発明の実施の形態3による同報送信装置の通信管理装置の送達確認処理を示すフローチャートである。
図14において、S112〜S118は図9における処理と同じ処理である。S119では、図13のS120の枠内の処理を行い、次のプロトコルで送信する。
【0036】
次に、動作について説明する。
アプリケーション002からの同報送信命令を受信した通信管理装置100の処理の流れについて、図13を用いて説明する。
S101、S102、S103は、実施の形態2と同じである。
各装置にてループを回し、装置Bに対する処理では、通信プロトコル選択部120は、装置・ネットワーク情報133および送達情報122から、優先度が最も高く、かつ送達確認で失敗していない、優先度1のプロトコルおよびネットワークであるネットワークA−1へのブロードキャストを選択する(S121)。後は実施の形態2と同じく、ブロードキャスト通信を実行する(S108)。
装置C〜装置Fに対する処理も同様に実施する。以降は実施の形態2と同じである。
実施の形態3では、プロトコルに加え、どちらのネットワークに対して送信を行うかも優先度に応じて選択する点が実施の形態2と異なる点である。
また、送達確認処理は図14により行うようになっている。
【0037】
実施の形態3によれば、実施の形態2の効果に加え、以下の効果を得られる。
多重系ネットワーク構成において、プロトコルに加え送信ネットワークにも優先度を設定し、送信失敗時に別プロトコル及び別ネットワークを順に選択し送信を行うため、送信失敗を削減できる。
【0038】
実施の形態4.
実施の形態4では、実施の形態3の通信装置内の構成管理部にネットワークの監視を行うネットワーク監視部を追加し、送信処理とは独立してネットワーク監視を行い、異常が発生しているネットワークには送信処理を行わないことで、無駄な送信処理を防止する機能を有するものである。
以下、この発明の実施の形態4について詳細に説明する。
図15は、この発明の実施の形態4による同報送信装置を示す構成図である。
図15において、001〜003、100、110、120〜122、130、133、140、141〜144は図10におけるものと同一のものである。図15では、図10の構成に比べ、構成管理部130に、ネットワークの正常および異常の監視を行うネットワーク監視部134を設け、ネットワーク監視部134が監視結果を管理するネットワーク監視情報135が追加されている。
【0039】
図16は、この発明の実施の形態4による同報送信装置の構成管理部が管理する装置・ネットワーク情報およびネットワーク監視情報を示す説明図である。
図16において、133は図12におけるものと同一のものである。ネットワーク監視情報135は、ネットワーク監視部134が定周期で更新を実施し、ネットワークが正常であれば丸、異常であれば×を設定する。監視方法は送受信アプリケーション002の通信とは独立にネットワーク監視部134が独自で実施する。
装置・ネットワーク情報133は、実施の形態3と同じである。
【0040】
図17は、この発明の実施の形態4による同報送信装置の通信管理装置の処理を示すフローチャートである。
図17において、S101〜S103、S105〜S109、S190は図13における処理と同じ処理である。図17では、図13のS121に代って、S131の処理が実行されるようになっている。
【0041】
図18は、この発明の実施の形態4による同報送信装置の通信管理装置の送達確認処理を示すフローチャートである。
図18において、S112〜S118は図14における処理と同じ処理である。S119では、図17のS130の枠内の処理を行い、次のプロトコルで送信する。
【0042】
次に、動作について説明する。
アプリケーション002からの同報送信命令を受信した通信管理装置100の処理の流れについて、図17、図18を用いて説明する。
図17のS101、S102、S103は、実施の形態3と同じである。
各装置にてループを回し、装置Bに対する処理では、通信プロトコル選択部120は、装置・ネットワーク情報133、送達情報122およびネットワーク監視情報135から、優先度が最も高く、かつ送達確認で失敗していない、かつネットワーク監視の結果が正常であるものとして、優先度2のプロトコルおよびネットワークである、ネットワークA−2へのブロードキャストを選択する。
つまり、優先度1のネットワークA−1へのブロードキャストは、ネットワーク監視の結果、ネットワークA−1が異常であると認識され、通信プロトコル選択部120の選択肢から外される(S131)。
【0043】
図18の送達確認処理についても同様に処理され、例えば装置BのネットワークA−2へのブロードキャストが失敗した場合、次に選択されるのは、故障していないネットワークで、次に優先度の高い優先度4を持つ、ネットワークA−2へのUDPユニキャスト送信となる(S119)。これ以外の処理は実施の形態3と同じである。
送達確認処理で失敗し、次のプロトコルを選択する場合(S118)も同様である。
実施の形態4では、ネットワーク監視情報が異常となったネットワークのプロトコルは、プロトコル選択部120の選択肢から除外される点が、実施の形態3と異なる点である。
【0044】
実施の形態4によれば、実施の形態3の効果に加え、以下の効果が得られる。
多重系ネットワーク構成における送信プロトコルおよびネットワーク選択時に、予め異常なネットワークへの送信を除外することにより、失敗することがわかっている異常ネットワークへの送信を防止し、アプリケーションの同報送信時間を短縮させ、性能を向上させることができる。
【0045】
実施の形態5.
実施の形態5では、実施の形態4の通信管理装置の送達確認部に送達時間を計測する機能を追加し、計測した送達時間統計を通信プロトコル選択時の条件として使用することにより、高速に送信可能なネットワークおよびプロトコルを動的に選択する機能を持つものである。
以下、この発明の実施の形態5について詳細に説明する。
図19は、この発明の実施の形態5による同報送信装置を示す構成図である。
図19において、001〜003、100、110、120〜122、130、133〜135、140、141〜144は図15におけるものと同一のものである。図19では、図15の構成に比べ、送達確認部121内に、装置への送達時間を計測する送達時間計測部123が設けられ、送達時間計測部123が管理する情報として送達時間統計124が追加されている。この送達時間統計124は、通信プロトコル選択部120からも参照される。
【0046】
図20は、この発明の実施の形態5による同報送信装置の構成管理部が管理する装置・ネットワーク情報と送達確認部が管理する送達時間統計を示す説明図である。
図20において、構成管理部130が管理する装置・ネットワーク情報133および送達時間計測部123が管理する送達時間統計124の例について示している。
実施の形態5の装置・ネットワーク情報133は、実施の形態4と違い、同一装置・ネットワーク内で、同じ優先度の設定が可能になっている。
図20の例では、装置Bおよび装置Cのブロードキャスト通信は、ネットワークA−1とネットワークA−2に同じ優先度1が設定されている。この例では、ネットワーク間に同じ優先度を設定した例であるが、装置BのUDPユニキャスト通信とTCPユニキャスト通信のように、プロトコル間でも同様に同じ優先度が設定可能である。実施の形態1〜実施の形態4では、同じ優先度の設定時は通信プロトコル選択部120がプロトコルを選択できないので、同じ優先度は設定できなかった。
【0047】
送達時間統計124は、実施の形態5で新規追加されたデータであり、装置・ネットワークおよびプロトコル毎に、実際の送達確認にかかった時間および実行回数を記録している。
図20の例では、装置BネットワークA−1のブロードキャストの送達確認では、平均時間10、実行回数200回と設定されている。装置BネットワークA−2のブロードキャストの送達確認では、平均時間23、実行回数100と設定されている。
通信プロトコル選択部120は、この統計情報を参照することにより、どの通信プロトコル・ネットワークを使用すれば送達確認が高速か、つまり通信が高速かを取得することが可能である。
【0048】
図21は、この発明の実施の形態5による同報送信装置の通信管理装置の処理を示すフローチャートである。
図21において、S101〜S103、S105〜S109、S190は図17における処理と同じ処理である。図21では、図17のS131に代って、S141の処理が実行されるようになっている。
【0049】
図22は、この発明の実施の形態5による同報送信装置の通信管理装置の送達確認処理を示すフローチャートである。
図22において、S112〜S118は図18における処理と同じ処理である。S119では、図21のS130の枠内の処理を行い、次のプロトコルで送信する。
図22では、S115の次にS142の処理を加え、またS117の次にS143の処理を追加している。
【0050】
次に、動作について説明する。
アプリケーション002からの同報送信命令を受信した通信管理装置100の処理の流れについて、図21、図22を用いて説明する。
図21のS101、S102、S103は実施の形態4と同じである。
各装置にてループを回し、装置Bに対する処理では、通信プロトコル選択部120は、装置・ネットワーク情報133、送達情報122およびネットワーク監視情報135から、優先度が最も高く、かつ送達確認で失敗していない、かつネットワーク監視の結果が正常であるものとして、優先度2のプロトコルおよびネットワークを選択するが、図20の設定では該当する候補は「ネットワークA−1へのブロードキャスト」「ネットワークA−2へのブロードキャスト」の2種類存在する。
候補が複数存在する場合、通信プロトコル選択部120は、さらに送達時間統計124を参照する。ここで各候補の送達平均時間を取得すると、ネットワークA−1が10、ネットワークA−2が23と取得できる。このことからより高速なのはネットワークA−1へのブロードキャストであると判断し、これを選択する(S141)。以降の処理は、実施の形態4と同じである。
【0051】
図22の送達確認処理で失敗し、次のプロトコルを選択する場合(S118)も、上記と同様である。
また、図22の送達確認処理では、S115の処理に次いで、S142で、送信から受信までの時間を取得し、送達時間統計124を更新する処理を行う。
また、S117の処理に次いで、S143で、失敗時は送信から受信までの時間のタイムアウト時には、タイムアウト時間を取得し、送達時間統計124を更新する処理を行う。
実施の形態5では、複数の候補が見つかった場合、送達時間統計124に基いて、より高速な候補を優先度が高いとして選択する点が実施の形態4と異なる点である。
【0052】
実施の形態5によれば、実施の形態4の効果に加え、以下の効果が得られる。
優先度が同じ通信プロトコル・ネットワークを複数設定でき、同じ優先度の候補が存在する場合は、より高速に応答可能なものを使用することで、性能を向上させることができる。
【符号の説明】
【0053】
001 送信元装置
002 送受信アプリケーション
003 ネットワーク
004 ネットワーク(二重系)
100 通信管理装置
110 アプリケーションインタフェース部
120 通信プロトコル選択部
121 送達確認部
122 送達情報
123 送達時間計測部
124 送達時間統計
130 構成管理部
131 装置情報(1)
132 装置情報(2)
133 装置・ネットワーク情報
134 ネットワーク監視部
135 ネットワーク監視情報
140 個別プロトコル通信部
141 ブロードキャスト通信部
142 マルチキャスト通信部
143 UDPユニキャスト通信部
144 TCPユニキャスト通信部
201 送信元装置A
202 装置B
203 装置C
204 装置D
205 装置E
206 装置F
301 ルータK
302 ルータL
311 ルータM
401 ネットワークA
402 ネットワークB
403 ネットワークC
411 ネットワークA−1
412 ネットワークB−1
421 ネットワークA−2
422 ネットワークB−2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して複数の通信プロトコルによる送信が必要な装置群への同報送信を行う同報送信装置であって、
上記同報送信される複数の送信先装置について、それぞれ適用可能な通信プロトコルを予め設定した装置情報を記憶した記憶装置、
アプリケーションからの同報送信要求に応じて、上記装置情報を参照して、上記送信先装置ごとに通信プロトコルを選択する通信プロトコル選択部、
およびこの通信プロトコル選択部により選択された上記送信先装置ごとの通信プロトコルにより、それぞれの送信先装置へ上記アプリケーションからの同報送信要求に応じた送信を行う個別プロトコル通信部を備えたことを特徴とする同報送信装置。
【請求項2】
上記装置情報には、上記送信先装置ごとに優先順位が付与された複数の通信プロトコルが設定されるとともに、
上記記憶装置には、上記送信先装置ごとに、上記通信プロトコルごとの送達の成功または失敗を記録した送達情報が記憶され、
上記通信プロトコル選択部は、上記装置情報の上記通信プロトコルの優先順位にしたがい、上記送達情報を参照して、上記送信先装置ごとに上記通信プロトコルを選択することを特徴とする請求項1記載の同報送信装置。
【請求項3】
上記ネットワークは、多重系ネットワークであり、
上記装置情報の上記送信先装置ごとに付与された通信プロトコルの優先順位は、上記多重系を構成する個別のネットワークを区別して設定されるとともに、
上記送達情報には、上記送信先装置ごとに、上記ネットワークおよび上記通信プロトコルごとの送達の成功または失敗が記憶され、
上記通信プロトコル選択部は、上記装置情報および上記送達情報を参照して、上記送信先装置ごとに上記ネットワークおよび上記通信プロトコルの選択を行うことを特徴とする請求項2記載の同報送信装置。
【請求項4】
上記ネットワークを監視するネットワーク監視部を備え、
上記通信プロトコル選択部は、上記ネットワーク監視部の監視結果を参照して、上記送信先装置ごとに上記ネットワークおよび通信プロトコルの選択を行うことを特徴とする請求項3記載の同報送信装置。
【請求項5】
上記送信先装置ごとに、上記ネットワークおよび上記通信プロトコルごとの送達時間を計測する送達時間計測部を備え、
上記通信プロトコル選択部は、上記送達時間計測部の計測結果を参照して、上記送信先装置ごとに上記ネットワークおよび上記通信プロトコルの選択を行うことを特徴とする請求項4記載の同報送信装置。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−90046(P2012−90046A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234549(P2010−234549)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】