説明

同定対象個体が登録個体か否かを判定する判定方法及び判定システム

【課題】同定対象個体が登録個体か否かを判定する判定方法及び判定システムを提供する。
【解決手段】非生体標識に固有のスペックル画像を画像センサーによって検出するため、コヒーレント光を散乱するように検出面を設けた前記非生体標識を登録個体に付与し、前記非生体標識に関するスペックル画像に対応する参照スペックル画像情報をデータベースに格納するステップと、前記同定対象個体に関するスペックル画像情報を取得するステップと、前記同定対象個体の前記スペックル画像情報が前記データベースに格納された前記参照スペックル画像情報とマッチするか否かを判定するステップと、当該ステップにおいてマッチすると判定されたとき、前記同定対象個体を前記登録個体と判定し、それ以外は前記同定対象個体を前記登録個体ではないと判定するステップとを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は認証方法や認証システムに係り、特に、同定対象個体が登録個体か否かを判定する判定方法及び判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
アクセス管理システムやセキュリティシステム、銀行システムのほとんどで、ユーザーの身元を確認して、この確認が出来た後にアクセスを認めるために、磁気カードやICカード(接触式ICカードや非接触式ICカード)、暗証番号の入力といった方法を採用している。しかし、この中でも非接触式ICカードは比較的高価である。また、偽造を防止するために、壊れるようなビニルラベルやレーザーセキュリティラベル、RFIDタグを多くの製品が備えている。しかし、これらのラベルやタグにおいても偽造の可能性が残っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4335218号公報
【特許文献2】特開2009−139134号公報
【特許文献3】特開2010−117253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の判定方法や判定システムは、これに用いるカード等を偽造することによりセキュリティが破られる可能性があるという問題があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、この問題を解決することができる判定方法及び判定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、同定対象個体が登録個体か否かを判定する判定方法であって、(a)非生体標識がコヒーレント光を散乱して生じる、前記非生体標識に固有のスペックル画像を画像センサーによって検出するため、前記コヒーレント光を散乱するように検出面を設けた前記非生体標識を登録個体に付与し、前記非生体標識に関するスペックル画像に対応する参照スペックル画像情報をデータベースに格納するステップと、(b)前記同定対象個体に関するスペックル画像情報を取得するステップと、(c)前記同定対象個体の前記スペックル画像情報が前記データベースに格納された前記参照スペックル画像情報とマッチするか否かを判定するステップと、(d)前記ステップ(c)においてマッチすると判定されたとき、前記同定対象個体を前記登録個体と判定し、その他の場合は前記同定対象個体を前記登録個体ではないと判定するステップとを有することを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、同定対象物品が登録物品か否かを判定する判定方法であって、(a)前記登録物品に固有のスペックル画像を画像センサーによって検出するため、コヒーレント光を散乱するように前記登録物品に検出面を設け、前記スペックル画像に対応する前記登録物品に関する参照スペックル画像情報をデータベースに格納するステップと、(b)前記同定対象物品に関するスペックル画像情報を取得するステップと、(c)前記同定対象物品の前記スペックル画像情報が前記データベースに格納された前記登録物品に関する前記参照スペックル画像情報とマッチするか否かを判定するステップと、(d)前記ステップ(c)においてマッチすると判定されたとき、前記同定対象物品を前記登録物品と判定し、その他の場合は前記同定対象物品を前記登録物品ではないと判定するステップとを有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、同定対象個体が登録個体か否かを判定する判定システムであって、前記登録個体に付与される非生体標識と、前記非生体標識に関する、前記非生体標識に固有のスペックル画像に対応する参照スペックル画像情報を格納するデータベースと、コヒーレント光を検出面に向けて放射する光放射モジュールと、スペックル画像を取得するために前記検出面で散乱された光を検出可能な画像センサーとを有するスペックル画像取得装置と、前記スペックル画像取得装置と接続し、前記データベースにアクセス可能であり、同定モードにおいて動作可能な処理装置であって、前記スペックル画像取得装置を制御して前記同定対象個体に関するスペックル画像情報を取得し、前記同定対象個体のスペックル画像情報が前記データベースに格納された参照スペックル画像情報とマッチするか判定し、マッチすると判定された場合に前記同定対象個体を登録個体と判定し、その他の場合は非登録個体と判定する処理装置を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の同定対象個体が登録個体か否かを判定する判定方法及び判定システムによると、広く応用可能で、高いセキュリティレベルを有する判定方法及び判定システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明にかかる判定システムの一実施形態を示す概略図である。
【図2】本発明の第一の実施形態における標識入力装置を示す概略図である。
【図3】銀行カードとして用いられるよう、基板に設けられた非生体標識の例を示す概略図である。
【図4】傷や汚れから非生体標識の検出面を保護するための防護部材の例を示す概略図である。
【図5】偽造防止IDタグとして用いられるよう、装置に設けられた非生体標識の例を示す概略図である。
【図6】本発明の第一の実施形態における判定システムの筐体を示す概略図である。
【図7】本発明にかかる判定方法を示すフローチャート図である。
【図8】本発明にかかる判定方法を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、各図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1に本発明の第一の実施形態に係る、同定対象個体(to−be−identified individual)が登録個体か否かを判定する判定システムを示す。本実施形態における判定システムは、非生体標識1、標識入力装置2、スペックル画像取得装置3、処理装置4、データベース5、そして通知ユニット6を有している。非生体標識1は、各登録個体に付与されたものである。後述するように、この登録個体は人や物を指している。本システムは二つの動作モードでの動作が可能であり、一つは非生体標識1に関する非生体標識1に固有のスペックル画像に対応する参照スペックル画像情報を取得してデータベース5に格納する登録モードであり、もう一つは 同定対象個体に関するスペックル画像情報を取得し、データベース5に格納された参照スペックル画像情報と比較して同定対象個体が登録個体か否かを判定する同定モードである。
【0011】
図2を参照して、標識入力装置2について以下の通り説明する。標識入力装置2は標識位置規制ユニット21と図示しない標識検出装置を有している。標識位置規制ユニット21は登録対象1(すなわち登録モードにおける登録個体に付与された非生体標識1であり、以下同じ符号1を用いる)の位置を定め、もしくは同定対象個体(すなわち同定モードにおいて同定される同定対象個体に付与された標識)に係わる同定対象7をスペックル画像取得装置3に対して特定の位置に定めるためのものである。標識検出装置は 標識入力装置2の登録対象1又は同定対象7が標識入力装置2の特定の位置にあることを検知することができ、処理装置4に対してその存在を通知するためのトリガー信号を送出する。本実施形態においては、標識位置規制ユニット21は特定の位置に導くスロット形状をしている。なお、この標識位置規制ユニット21はまた、登録対象1や同定対象7がその表面を傷つけられることなく、スペックル画像取得装置3に対して特定の場所に導かれて固定されるようであれば、クランプ部材を用いてもかまわない。
【0012】
スペックル画像取得装置3は、光放射モジュール31、第一のレンズ32、光制限モジュール33及び画像センサー34を備えている。この光放射モジュール31は高コヒーレント光を登録対象1の検出面11や同定対象7の検出面71に対して第一のレンズ32を通して放射することが可能である。画像センサー34は、検出面11や71で散乱した散乱光のうちスペックル画像が得られるよう光制限モジュール33を介して伝播してきたものを検出することができる。光制限モジュール33は第二のレンズ331とフロント・アパーチャ332、リア・アパーチャ333を備え、フロント・アパーチャ332、リア・アパーチャ333はそれぞれ入射光の光路方向に設定された第二のレンズ331の前と後ろに近接して配置される。リア・アパーチャ333は検出面11や71で散乱された光を回折し、干渉効果を生じさせるためのものである。スペックル画像取得装置3の更なる詳細については、特許第4335218号公報(米国特許出願公開公報2007/0139659号)に開示されている。しかしながら、スペックル画像取得装置の実施についてはこの特許第4335218号公報(米国特許出願公開公報2007/0139659号)に開示されたものに限られるわけではないことに留意すべきである。
【0013】
処理装置4はスペックル画像取得装置3に接続され、データベース5にアクセス可能であり、登録モード及び同定モードにおいて動作可能である。
登録モードにおいて、処理装置4はスペックル画像取得装置3が標的検出装置(図示せず)から標識入力装置2の特定の位置に非生体標識1が存在することを知らせるトリガー信号を受信して、登録された個体に関する非生体標識1の検出面11のスペックル画像を取得し、このスペックル画像取得装置3によって取得されたスペックル画像に対応する参照スペックル画像情報をデータベース5に格納するように制御する。なお、登録の際に登録個体に関する他のデータをデータベース5に入力するようにしてもよい。データの例として、登録個体に付与されたID番号、登録個体が人である場合には登録個体の写真、登録個体が物である場合には管理シリアル番号、等が挙げられる。このようにして、スペックル画像取得ステップ、格納ステップ、データ入力ステップを繰り返すことにより、複数の個体をシステムに登録することができる。
【0014】
データベース5に参照スペックル画像情報を少なくとも一つ登録した後で、処理装置4は同定モードで動作することが可能になる。説明を単純なものにするため、ここでは一つの個体のみがシステムに登録され、データベース5には参照スペックル画像情報が一つだけ登録されているものとする。同定モードにおいて、処理装置4はスペックル画像取得装置3が標識入力装置2の特定の位置に非生体標識1が存在することを知らせるトリガー信号を受信して、同定対象個体に関するスペックル画像情報を取得するように制御し、この同定対象個体に関するスペックル画像情報がデータベース5内に格納されている参照スペックル画像情報とマッチするかどうか判定し、更にマッチすると判定した場合は同定対象個体を登録個体と判定し、それ以外の場合は非登録個体と判定する。
【0015】
本実施形態において、処理装置4がマッチするか否かを判定する方法として、相互相関(cross correlation)や正規化相互相関(normalized cross correlation)といった相関によるテンプレートマッチングの手法を使用する。特に、処理装置4はまず同定対象個体のスペックル画像情報とデータベース5に格納された参照スペックル画像情報との間の相関係数が所定のしきい値を超えているか否かを判別し、相関係数が所定のしきい値を超えている場合はマッチしていると判別し、それ以外の場合はマッチしていないと判別する。
【0016】
一つの実施形態として、データベース5に格納された参照スペックル画像情報との画像マッチングを実行するために、処理装置4はさらに同定対象個体に関するスペックル画像の特徴を少なくとも一つ抽出することが可能である。この特徴は縁の部分や角の部分、SIFT(scale invariant feature transform)により抽出されたスペックル画像の特徴点でもよい。データベース5に格納された参照スペックル画像情報は非生体標識1に関するスペックル画像を表したものでもよいし、その代わりに非生体標識1に関するスペックル画像の特徴を少なくとも一つ表したものでもよい。特徴のマッチング方法は、特徴点の間の類似度チェック(例えば、ユークリッド距離を利用したものなど)によるものでもよいし、上述した相関係数を使用したものでもよい。
【0017】
通知ユニット6は処理装置4に接続され、同定対象個体が登録個体であるか否かについて処理装置4が判別した結果に応じて通知を行うためのものである。通知ユニット6は結果を視覚的に表示するディスプレイ・スクリーン、及び/又は結果を音声として出力するスピーカー、及び/又は結果を光の点滅によって通知する光表示装置を有するようにしてもよい。
【0018】
また、当該システムは更に、同定対象個体が登録個体であるか否かについて処理装置4が判別した結果に応じて所定の動作を実行する、処理装置4に接続された認証制御ユニット(図示せず)を有するようにしてもよい。このような認証制御ユニットを有するシステムの例として、ドアセキュリティシステムがあり、同定対象個体が登録個体であると処理装置4が判別したとき、認証制御ユニットが自動ドアの錠を開け、それ以外のときは自動ドアを施錠したままにする。システムがこのような認証制御ユニットを含んでいるときは、通知ユニット6を設けても設けなくてもよいことに留意すべきである。
【0019】
ここで、複数の登録個体にそれぞれ割り当てられる全ての非生体標識1が、仮に同一の材料を用いて、同一の装置により、同一の工程で製造されたとしても、物理特性における自然の限界から、これらの非生体標識1の検出面11から得られるスペックル画像に同一のものは存在しないことに留意すべきである。言い換えると、非生体標識1はそれぞれが唯一無二のものであって、複製も不可能である。このような非生体標識1に関するスペックル画像が変化しないよう、非生体標識1の検出面11を引っかき傷などから保護するために、非生体標識1は擦り傷耐性を有する素材によって製造されるか、検出面11をダイヤモンドの特性を有する薄膜で被覆することが好ましい。更に、検出面11は光を散乱する必要があるため、検出面11は非透明かつ非鏡面状であることが好ましい。しかしながら、半透明の検出面11も本発明の他の実施形態として使用可能であることに留意すべきである。
【0020】
検出面11の唯一性のため、非生体標識1をセキュリティ目的や同定目的に使用することができる。特に、図3に示すように、非生体標識1をカード本体9の基板の片面に設け、IDカード、銀行カード若しくはクレジットカードのいずれか一つとしてこのカードを使用することができる。また、図4に示すように、このシステムは更に保護部材10を備え、非生体標識1の検出面11を引っかき傷や汚れから保護することができる。非生体標識1は保護部材10に対して移動可能に設けられ、使用の際は保護部材10から露出するようにし、保管の際は保護部材10により隠されるようになっている。
【0021】
また、図5に示すように、登録個体が時計100やその他の高価なものといった物品であるような場合、基板となるものは紙シートや粘着性ラベル91であってもよく、非生体標識1は物品に取り付けられる物品の偽造防止用IDタグであっても構わない。更に、高価なものは通常注意深く、また保護されながら保存されるため、本発明の別の実施形態として、物品の一部それ自体が、その表面を検出面11とする非生体標識1の役割を果たすようにすることができる。
【0022】
図6に示すように、本システムは更に、標識入力装置2、スペックル画像取得装置3、処理装置4、データベース5を収納するための筐体8を備えている。
本発明は上述したような(例えば自動ドアを用いたセキュリティ・エントランス・システム)スタンドアローン型の応用のほかに、以下に述べるような回路接続による応用も可能である。
【0023】
本発明が特定の建物の複数の自動ドアを用いたセキュリティ・システムに応用された場合、本発明のシステムは処理装置4、データベース5、認証制御ユニット(図示せず)をそれぞれ一つ、そして標識入力装置2とスペックル画像取得装置3を複数セット含み、この標識入力装置2とスペックル画像取得装置3のセットはそれぞれ対応する自動ドア付近に配置され、処理装置4と有線ケーブル、無線、ネットワークなどによって接続されている。
【0024】
ある人物(すなわち、同定対象個体)がこの建物に特定の自動ドアを通って入りたいと考えて、同定対象7を対応する標識入力装置2に置いたとき、トリガー信号が対応するスペックル画像取得装置3に送信され、このスペックル画像取得装置3がこの同定対象7に関するスペックル画像情報を取得することができるようにする。スペックル画像情報は引き続き処理装置4に対して送信される。この処理装置4は当該自動ドアから離れた場所にあってもよい。この処理装置4はデータベース5に格納された参照スペックル画像情報を参照して同定対象7が登録個体か否かを判定する。この人物がシステムに登録済みと判定された場合、認証制御ユニットが当該自動ドアの錠を開けて登録人物の通行を許可し、その他の場合は当該人物の建物への進入を拒否するため当該自動ドアを施錠したままにする。なお、この通行許可/拒否の判定結果を通知するようにしてもよい。また、登録人物に関する氏名やID番号、登録人物の写真等といった他の情報をデータベース5から抽出して、この通知に含めるようにしても良い。
【0025】
更に、本発明が銀行システムに応用された場合、一つのシステムを特定の支店内に配置して登録実行に特化し、もう一つのシステム(若しくは複数のシステム)をATM装置の中に組み込んで同定実行に特化することもできる。この場合、登録を行うシステムだけがデータベース5を備え、同定を行うシステムはこのデータベース5に有線ケーブルや無線、ネットワークを介してアクセスできるようになっている。また、システム設計に応じて、同定対象個体が登録個体であるか否かの判定を同定実行用システムの処理装置4で行わせても良いし、登録実行用システムの処理装置4で行わせても良い。この種の応用例において、登録は第一の場所で行われ、同定は第一の場所とは異なった第二の場所で行われることになる。
図7を参照して、本発明の第一の実施形態における、同定対象個体が登録個体であるか否かを判定する方法について以下の通り説明する。
【0026】
ステップS1において、非生体標識1がコヒーレント光を散乱して生じる、非生体標識1に固有のスペックル画像を画像センサー34によって検出するため、コヒーレント光を散乱するように非生体標識1に検出面11を設け、非生体標識1を登録個体に付与するとともに、非生体標識1に関するスペックル画像に対応する参照スペックル画像情報をデータベース5に格納する。
ステップS2において、同定対象個体に関するスペックル画像情報が取得される。
ステップS3において、同定対象個体のスペックル画像情報がデータベース5に格納された参照スペックル画像情報とマッチするか否かが判定される。
ステップS4において、ステップS3でマッチすると判定されたとき、前記同定対象個体を前記登録個体と判定し、その他の場合は前記同定対象個体を前記登録個体ではないと判定する。
ステップS5において、ステップS4で判定された結果を通知する。これに代えて、若しくはこれに加えて、ステップS4での判定結果に対応する動作を本ステップS5で行う。
【0027】
本発明の一実施形態として、ステップS1において、データベース5に格納された前記参照スペックル画像情報は、非生体標識1に関するスペックル画像の少なくとも一つの特徴を表し、前記ステップS2において、スペックル画像情報は同定対象個体のスペックル画像の少なくとも一つの特徴を表すようにすることもできる。
【0028】
図8を参照して、本発明の第二の実施形態における、同定対象物品が登録物品であるか否かを判定する方法について以下の通り説明する。
ステップS1’において、登録物品に固有のスペックル画像を画像センサー34によって検出するため、コヒーレント光を散乱するように前記登録物品に検出面11を設け、前記スペックル画像に対応する前記登録物品に関する参照スペックル画像情報をデータベース5に格納される。
ステップS2’において、同定対象物品に関するスペックル画像情報が取得される。
ステップS3’において、同定対象物品のスペックル画像情報がデータベース5に格納された登録物品に関する参照スペックル画像情報とマッチするか否かが判定される。
ステップS4’において、ステップS3’でマッチすると判定されたとき、同定対象物品は登録物品と判定され、その他の場合、同定対象物品は登録物品ではないと判定される。
この第二の実施形態は在庫登録システムとして実現することも可能である。しかしながら、このシステムの装置や設備は第一の実施形態で開示されたものと同様である。
【0029】
以上まとめると、本発明は以下のような効果や特徴を有する。
1.物理特性における自然の限界から、仮に同一の材料を用いて、同一の装置により、同一の工程で製造されたとしても、二つのものが同一のスペックル画像を生じさせるということは無い。このため、各非生体標識1の検出面11は唯一無二のものであって、複製も不可能である。検出面11の唯一性のため、非生体標識1をセキュリティ管理や同定目的に使用することができる。
2.非生体標識1は、そのスペックル画像が変化しないように、擦り傷耐性を有する素材によって製造され、検出面11をダイヤモンドの特性を有する薄膜で被覆して、引っかき傷や汚れから保護することが好ましい
3.非生体標識1が物に付着される場合、物の偽造を防ぐことができる、唯一の偽造防止IDタグとして用いられることができる。
本発明について、最も実用的かつ好ましい実施形態により以上の通り説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、すべての修正や同様の形態を包含するように、最も広い解釈の精神と範囲内の様々な形態を含んでいると理解すべきものである。
【符号の説明】
【0030】
1 非生体標識(登録対象)
10 保護部材
100 時計
11 検出面
2 標識入力装置
21 標識位置規制ユニット
3 スペックル画像取得装置
31 光放射モジュール
32 第一のレンズ
33 光制限モジュール
331 第二のレンズ
332 フロント・アパーチャー
333 リア・アパーチャー
34 画像センサー
4 処理装置
5 データベース
6 通知ユニット
7 同定対象
71 検出面
8 筐体
9 カード本体
91 ラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同定対象個体が登録個体か否かを判定する判定方法であって、
(a)非生体標識がコヒーレント光を散乱して生じる、前記非生体標識に固有のスペックル画像を画像センサーによって検出するため、前記コヒーレント光を散乱するように検出面を設けた前記非生体標識を登録個体に付与し、前記非生体標識に関するスペックル画像に対応する参照スペックル画像情報をデータベースに格納するステップと、
(b)前記同定対象個体に関するスペックル画像情報を取得するステップと、
(c)前記同定対象個体の前記スペックル画像情報が前記データベースに格納された前記参照スペックル画像情報とマッチするか否かを判定するステップと、
(d)前記ステップ(c)においてマッチすると判定されたとき、前記同定対象個体を前記登録個体と判定し、その他の場合は前記同定対象個体を前記登録個体ではないと判定するステップとを有することを特徴とする判定方法。
【請求項2】
前記ステップ(a)において、前記データベースに格納された前記参照スペックル画像情報は、前記非生体標識に関するスペックル画像の少なくとも一つの特徴を表し、前記ステップ(b)において、前記スペックル画像情報は前記同定対象個体のスペックル画像の少なくとも一つの特徴を表すことを特徴とする請求項1記載の判定方法。
【請求項3】
前記判定方法は更に、ステップ(d)において判定された結果を通知するステップを有することを特徴とする請求項1記載の判定方法。
【請求項4】
前記判定方法は更に、ステップ(d)においてなされた判定結果に応じて動作を実行するステップを有することを特徴とする請求項1記載の判定方法。
【請求項5】
前記判定方法において、前記非生体標識の前記検出面はダイヤモンドの特性を有する薄膜で被覆されていることを特徴とする請求項1記載の判定方法。
【請求項6】
前記ステップ(a)において、前記非生体標識は基板の一面に設けられることを特徴とする請求項1記載の判定方法。
【請求項7】
前記基板はカード本体であり、前記基板と前記非生体標識の組み合わせはIDカード、銀行カード若しくはクレジットカードのいずれか一つとして用いられることを特徴とする請求項6記載の判定方法。
【請求項8】
同定対象物品が登録物品か否かを判定する判定方法であって、
(a)前記登録物品に固有のスペックル画像を画像センサーによって検出するため、コヒーレント光を散乱するように前記登録物品に検出面を設け、前記スペックル画像に対応する前記登録物品に関する参照スペックル画像情報をデータベースに格納するステップと、
(b)前記同定対象物品に関するスペックル画像情報を取得するステップと、
(c)前記同定対象物品の前記スペックル画像情報が前記データベースに格納された前記登録物品に関する前記参照スペックル画像情報とマッチするか否かを判定するステップと、
(d)前記ステップ(c)においてマッチすると判定されたとき、前記同定対象物品を前記登録物品と判定し、その他の場合は前記同定対象物品を前記登録物品ではないと判定するステップとを有することを特徴とする判定方法。
【請求項9】
同定対象個体が登録個体か否かを判定する判定システムであって、
前記登録個体に付与される非生体標識と、
前記非生体標識に関する、前記非生体標識に固有のスペックル画像に対応する参照スペックル画像情報を格納するデータベースと、
コヒーレント光を検出面に向けて放射する光放射モジュールと、スペックル画像を取得するために前記検出面で散乱された光を検出可能な画像センサーとを有するスペックル画像取得装置と、
前記スペックル画像取得装置と接続し、前記データベースにアクセス可能であり、同定モードにおいて動作可能な処理装置であって、前記スペックル画像取得装置を制御して前記同定対象個体に関するスペックル画像情報を取得し、前記同定対象個体のスペックル画像情報が前記データベースに格納された参照スペックル画像情報とマッチするか判定し、マッチすると判定された場合に前記同定対象個体を登録個体と判定し、その他の場合は非登録個体と判定する処理装置を有することを特徴とする判定システム。
【請求項10】
前記スペックル画像取得装置と前記処理装置との間の接続は、有線ケーブル、ネットワーク、無線接続のいずれか一つにより接続されることを特徴とする請求項9記載の判定システム。
【請求項11】
前記処理装置は更に、登録モードでの動作が可能であり、前記処理装置は前記スペックル画像取得装置による前記登録個体の前記非生体標識の検出面のスペックル画像の取得を制御し、これにより前記スペックル画像取得装置により取得された前記スペックル画像に対応する前記参照スペックル画像情報を前記データベースに格納することを特徴とする請求項9記載の判定システム。
【請求項12】
前記非生体標識の前記検出面はダイヤモンドの特性を有する薄膜で被覆されていることを特徴とする請求項11記載の判定システム。
【請求項13】
前記処理装置は更に、前記同定対象個体に関する前記スペックル画像の少なくとも一つの特徴を抽出可能であり、前記データベースに格納された前記参照スペックル画像情報は前記非生体標識に関するスペックル画像の少なくとも一つの特徴を表すことを特徴とする請求項9記載の判定システム。
【請求項14】
前記判定システムは更に、前記処理装置に接続される通知ユニットを有し、当該通知ユニットは前記同定対象個体が前記登録個体であるか否かに関する前記処理装置の判定結果に応じて、通知を行うことを特徴とする請求項9記載の判定システム。
【請求項15】
前記判定システムは更に、前記処理装置に接続される認証コントロールユニットを有し、当該認証コントロールユニットは前記同定対象個体が前記登録個体であるか否かに関する前記処理装置の判定結果に応じて、動作を実行することを特徴とする請求項9記載の判定システム。
【請求項16】
前記非生体標識は、基板の一面に設けられることを特徴とする請求項9記載の判定システム。
【請求項17】
前記基板はカード本体であり、前記基板と前記非生体標識の組み合わせはIDカード、銀行カード若しくはクレジットカードのいずれか一つとして用いられることを特徴とする請求項16記載の判定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−233136(P2011−233136A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285251(P2010−285251)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(505030203)國防部軍備局中山科學研究院 (8)
【Fターム(参考)】