説明

同時押出逆作用剤粒子を含有する改変防止剤形およびその製造工程

本発明は、隔離できるオピオイド拮抗薬のような副作用物質を含む同時押出医薬組成物と剤形に関する。オピオイドのような活性薬剤を含む剤形の医薬組成物と剤形の転換に関する。本発明は、また、そのような剤形を用いて患者を治療する方法と患者を治療するための剤形使用の説明書とともに剤形を含むキットに関するものである。本発明は、さらに、副作用物質とシースを包含するコアの同時押出を含む医薬組成物と剤形の調合過程に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は米国仮出願番号60/464,295(出願日:2003年4月21日)であり、すべての開示は言及することによりここに具体化されている。
【0002】
発明の分野
本発明は、隔離できるオピオイド拮抗薬のような逆作用剤(adverse agent)を含む同時押出(co-extruded)された医薬組成物と剤形に関する。医薬組成物と剤形は、オピオイドのような活性薬剤を含む剤形の異物混入、乱用、誤用または流用を回避または阻止するのに有益である。本発明は、また、そのような剤形で患者を治療する方法および患者を治療するための剤形使用説明書を持つ剤形を含むキットに関するものである。本発明は、さらに、そのような医薬組成物と剤形の調合のための押出工程に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
オピオイド作動薬としても知られるオピオイドは、アヘンまたはモルヒネのような性質を示す活性薬剤グループである。より具体的には、オピオイド作動薬はいくつかの形態のオピオイド受容体活性を示す。オピオイドは主に強力な鎮痛剤として適度に使用されている。
【0004】
これまで技術的にオピオイド鎮痛剤形の異物混入防止が高められてきた。改変防止(tamper resistant)剤形を開発するための以前のアプローチには、オピオイド作動薬をオピオイド拮抗薬と組合わせることが含まれる。そのような組み合わせの特定例としては、ナロキソン、およびモルヒネまたはオキシモルヒネ(米国特許第3,493,657号 レウェインスタインその他)、メタドンおよびナロキソン(米国特許第3,773,955号 パッチャーその他)、メタドールまたはアセチルメタドールおよびナロキソン(米国特許第3,966,940号 パッチャーその他)、オキシコドンおよびナロキソン(米国特許第4,457,933号 ゴードンその他)、ブプレノルフィンおよびナロキソン(米国特許第4,582,835号 ルイスその他)を含有する組成物があげられる。
【0005】
パレルモらの米国特許第6,228,863号には、オピオイド作動薬とオピオイド拮抗薬を組合わせ、その結果作動薬を分離するためには少なくとも2段階が必要になる経口投与剤形が開示されている。
【0006】
ローズらの米国特許第5,935,975号には、薬、すなわち薬の作用薬および拮抗薬の併用投与による薬物依存治療法が開示されている。
【0007】
「異物混入防止経口オピオイド作動薬製剤」(PCT公開番号WO 01/58451)は、オピオイド作動薬剤形に隔離されたオピオイド拮抗薬を含むことにより、オピオイド鎮痛剤形に伴う潜在的な乱用を減少させることを目的としている。
【0008】
さらに、製薬業界において、治療活性剤の制御放出を提供する経口剤形を調合することが知られている。そのような制御放出組成物は、胃腸管の特定部分に達するまで、少なくとも投与剤の一部の吸収を遅延させるために使用されている。そのような薬剤の制御放出は、従来のように即時または急速な放出剤形が投与される際に生ずるよりも長期間にわたり、血流中における望ましい薬剤の濃度を維持するのに役立つ。
【0009】
長年にわたり、例えば、押出、造粒、コーディングなどを含む制御放出の医薬剤形が、提案されてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
改良された異物混入防止剤形およびその製剤のための改良技術が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の概要
本発明は、同時押出された医薬組成物および隔離された逆作用剤を含有する剤形、およびそのような組成物と剤形を製造するための同時押出方法に関する。本発明はまた、そのような医薬組成物または剤形を用いた患者の治療方法と、そのような医薬組成物または剤形および患者の治療のためのそのような組成物または剤形の使用を目的とする説明書を含むキットに関する。
【0012】
一実施態様では、本発明は、隔離された逆作用剤を包含する複数の同時押出された粒子を含む剤形に関する。逆作用剤粒子はコアと少なくとも部分的にコアを囲むシース(sheath)を含むことができる。好ましくは、コアは逆作用剤と少なくとも1つの疎水性物質を含むことができ、シースは好ましくは、少なくとも1つの疎水性物質を含むことができる。一実施態様では、逆作用剤はコアにのみ存在する。別の実施態様では、シースは実質的に逆作用剤を欠いている。本発明に従って、剤形はカプセルまたは錠剤、直腸に入れる座薬および膣に入れる座薬のような経口剤形を含む。
【0013】
別の実施態様では、本発明は、活性剤を含む複数の第1の粒子と、隔離された逆作用剤を含む複数の第2の粒子を含む剤形に関する。第2の粒子は、隔離された逆作用剤とシースを包含するコアを含む。
【0014】
一実施態様では、本発明はまた、第1の粒子が患者への投与においてオピオイド作動薬の制御放出を提供するオピオイド作動薬を包含する複数の第1の粒子、および隔離された逆作用剤とシースを包含するコアを含む複数の、同時押出された第2の粒子を含有する剤形に関する。
【0015】
一特定の実施態様では、本発明はまた、疎水性物質を包含するシースと隔離された逆作用剤と疎水性物質を包含するコアを形成することを含み、シースが少なくとも部分的にコアを囲む複数の逆作用剤粒子の形成方法に関する。
【0016】
さらに別の実施態様では、本発明は、(i)活性剤を含む複数の第1の粒子を形成すること、(ii)ストランド(strand)を形成するためにコア組成物とシース組成物を形成することによって逆作用剤を含む複数の第2の粒子を形成すること、ここでシース組成物は疎水性物質を含有し、コア組成物を少なくとも部分的に放射状に囲み、コア組成物は逆作用剤と疎水性物質を含み、および複数の第2の粒子を形成するためにストランドを切断すること、および(iii)患者の投与に適切な形態に、第1の粒子と第2の粒子を合わせること、を含む剤形の製造方法に関する。
【0017】
本発明は、さらに患者へ本発明の剤形の投与することを含む患者の治療方法に関する。本発明の一実施態様では、患者は痛みを治療される。
【0018】
本発明はまた、本発明の剤形をそれを必要とする患者に投与することを含む、痛みを治療するための剤形の乱用、誤用または流用を軽減する方法を含む。
【0019】
さらに別の実施態様では、本発明は、少なくとも本発明の一剤形と患者の治療のための剤形使用を説明する一組の説明書を含む患者の痛みを治療するキットに関する。本発明の一実施態様では、キットは患者の痛みを治療するためのものである。
【0020】
本発明は、限定されない本発明の実施態様を例示する、以下の詳細な説明と実施例を参照することにより、より十分に理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
発明の詳細な説明
1 定義
活性剤、逆作用剤、オピオイド作動薬またはオピオイド拮抗薬のような薬剤についてのここでの言及は、特に明記しない限り、そのような薬剤のすべての薬学的に許容されうる型、例えば遊離型、すべての薬学的に許容されうる塩、すべての薬学的に許容されうる塩基、すべての薬学的に許容されうる水和物、すべての薬学的に許容されうる溶媒和物、すべての立体異性体、すべての光学異性体、ならびにそのような薬剤のプロドラッグ、そのような薬剤におけるすべての薬学的活性類似体、および上記のすべての混合物を含むものとする。
【0022】
ここで使用される語句「薬学的に許容されうる塩」とは、酸および窒素基のような塩基性基から形成される活性剤または逆作用剤の塩である。一般的に、そのような塩の例には、限定されないが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、過リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸、酸性酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロネート(glucaronate)、サッカラート、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、グルビオネート(glubionate)、パモエート(すなわち、l,l'-メチレン-ビス-(2-ヒドロオキシ-3-ナフトエート))塩が含まれる。
【0023】
用語「薬学的に許容されうる塩」とは、あるいは、カルボン酸またはスルホン酸官能基のような酸官能基および薬学的に許容されうる無機塩基および有機塩基を有する活性剤または逆作用剤から調製された塩のことである。一般的に、そのような塩基の例には、限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウムのようなアルカリ金属の水酸化物;カルシウムおよびマグネシウムのようなアルカリ土類金属の水酸化物;アルミニウムおよび亜鉛のようなその他の金属の水酸化物;アンモニアおよび未置換または水酸基置換のモノアルキルアミン、ジアルキルアミン、またはトリアルキルアミンのような有機アミン;ジシクロヘキシルアミン;トリブチルアミン;ピリジン;N-メチルアミン、N-エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ、ビスまたはトリス-(2-ヒドロキシエチル)アミン、2-ヒドロキシ-タート-ブチルアミンまたはトリス-(ヒドロキシメチル)メチルアミンのようなモノ、ビスまたはトリス-(2-ヒドロキシ-低級アルキルアミン)、N,N,-ジメチル-N-(2-ヒドロキシエチル)アミン、またはトリ-(2-ヒドロキシエチル)アミンのようなN,N,-ジ-低級アルキル-N-(ヒドロキシ-低級アルキル)アミン;N-メチル-D-グルカミン;およびアルギニン、リジンのようなアミノ酸、等が含まれる。
【0024】
「患者」または「動物」とは好ましくは哺乳動物で、制限されないが、ウシ、サル、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、ハツカネズミ、ラット、ウサギ、モルモットを含み、好ましくはヒトである。
【0025】
ここで使用される語句「活性剤」とは、患者の血流に吸収される際に生物学的作用を引き起こす薬剤のことである。
【0026】
ここで使用される語句「逆作用剤」とは、例えば多幸症効果のような活性剤の少なくとも一つの生物学的作用を部分的または全面的に打ち消す、または無効にする、あるいは、患者または動物の血流に十分な量が吸収された場合に例えば嘔吐、吐き気、下痢、後味の悪さのような1つ以上の不快な生理的反応を生ずる薬剤のことである。
【0027】
ここで使用される用語「制御放出」とは、通常(すなわち即時放出)剤形の単回投与より長期の作用の持続時間を提供する速度で、剤形から活性剤を生体内に放出し投与することである。
【0028】
例えば、典型的な即時放出の経口剤形は、例えば4〜24時間にわたる間隔で薬を放出する制御放出の経口剤形と比較して、例えば1時間にわたる間隔で薬を放出することができる。
【0029】
ここで使用される語句「オピオイド作動薬」とは、任意に、立体特異的にオピオイド受容体のいくつかの亜種のいずれか1つ以上に結合し、作動薬活性を産生する活性剤のことである。
【0030】
ここで使用される語句「オピオイド拮抗薬」とは、例えば多幸症効果のようなオピオイド作動薬の少なくとも1つの生物学的作用を減少させるか、または患者または動物の血流に十分な量が吸収された場合に少なくとも1つの不快な生理的反応を導き出す逆作用剤のことである。
【0031】
ここで使用される語句「実質的に逆作用剤を欠くシース」とは、場合により、押出または同時押出された成分、例えばコアからシースに移動する少量以外の逆作用剤を含まれないシースのことである。
【0032】
2 逆作用剤を含む剤形
一実施態様では、逆作用剤は隔離されない。この実施態様では、逆作用剤は即時放出または制御放出に制限されず、いずれにしろ生体内に放出できる。
【0033】
上記のように、本発明の一実施態様は、同時押出された医薬組成物と隔離された逆作用剤を含む剤形と、そのような配合と剤形の製造方法を目的とする。
【0034】
一実施態様では、本発明は、隔離された逆作用剤を包含する複数の同時押出された粒子を含む剤形に関する。本発明のこれらの組成物と剤形は、隔離された逆作用剤を血流中に生体内放出または吸収させ、患者に完全な剤形を投与することを大きく減少、限定あるいは抑制する様式で製剤または製造される。従って、ほんの少量、好ましくは約10重量%未満、より好ましくは約1重量%未満の逆作用剤が生体内に放出されるか、血流中に吸収されることにより、完全な剤形として患者に投与される、もしくは全く放出されない。逆作用剤がオピオイド拮抗薬の場合、好ましくは約0.5mg未満、より好ましくは約0.05mg未満のオピオイド拮抗薬が生体内に放出され、完全な剤形として患者に投与される。
【0035】
逆作用剤は、a)コアを形成するための逆作用剤の生体内放出を制限または遅延させる物質と逆作用剤、およびb)少なくとも部分的にコアを覆うか、または囲むシースを同時押出することにより隔離される。一実施態様では、逆作用剤は少なくとも1つの疎水性物質、任意に結合剤、可塑剤、および/または、賦形剤とともに押出される。一実施態様では、シースは少なくとも1つの疎水性物質、任意に結合剤、可塑剤、および/または、賦形剤を含むことができる。コアは少なくとも部分的にシースによって囲まれるか、または覆われ、逆作用剤を含むコアの部分はさらされる。一実施態様では、シースはコアの大部分を覆うか、または囲む。例えば、コアが円筒形の場合、シースは軸方向にさらされたコアの両端を離れながらコアの長さを放射状に囲むことができる。
【0036】
一実施態様では、本発明は、隔離された逆作用剤を包含する複数の同時押出された粒子を含む固形剤形に関し、ここで粒子は逆作用剤を包含するコアを含み、コアは少なくとも部分的にシースに囲まれている。粒子はコアとシースの同時押出によって製造される。好ましくは、シースはコア成分の全てではなく、大部分を囲む。一実施態様では、同時押出され、隔離された逆作用剤粒子は逆作用剤を含むコアとシースを包含し、コアは逆作用剤と疎水性マトリックス物質を含み、シースは疎水性マトリックス物質を含み、コアは少なくとも部分的にシースに囲まれる。
【0037】
一実施態様では、本発明は、 (i)活性剤を含む複数の第1の粒子;および(ii)隔離された逆作用剤とシースを包含するコアを含有する複数の同時押出された第2の粒子を含有する剤形、ならびに製剤および使用の方法に関する。一実施態様では、隔離された逆作用剤を含む同時押出された粒子(「隔離された逆作用剤粒子」)は、患者に投与する剤形を形成するために活性剤を含む粒子と結合することができる。例えば、複数の同時押出され、隔離された逆作用剤と活性剤を含む複数の粒子(「活性剤粒子」)は、カプセルに配置されるか、または錠剤、カプレット、座薬、またはその他の剤形を形成するために圧縮される。
【0038】
本発明の剤形は、例えば錠剤またはカプセルの形態の経口で、または例えば直腸に入れる座薬または膣に入れる座薬として投与される。好ましい実施態様では、本発明は経口剤形を目的としている。
【0039】
一実施態様では、隔離された逆作用剤は、例えば粒子の大きさが全寸約0.1mm〜約3.0mmの粒子のような小粒の粒子に取り込まれる。粒子は、円筒形、球形、四角または不定形のようないずれの形態もとりうる。
【0040】
特定の実施態様では、逆作用剤は同時押出され、隔離された逆作用剤粒子として存在することができる。一実施態様では、逆作用剤はコアにのみ、またはコアとシースの両方に存在することができる。別の実施態様では、逆作用剤は同時押出された多層粒子の1つ以上の中間層に存在することができる。
【0041】
本発明の多粒子押出は従来の錠剤装置と標準技術を使用して経口錠剤へ圧縮することができる。錠剤(圧縮と成形)、カプセル(ソフトゼラチンとハードゼラチン)、その他の錠剤(pill)の製造技術と組成物は、本明細書に参照して取り込まれる「レミングトンの薬学(アーザー・オソル編集)1553-1593 (1980) 」に記載されている。
【0042】
一実施態様では、経口剤形は、ハードまたはソフトゼラチンのカプセルに、効果的な量の溶融押出多粒子(「MEM」)を含むように調製される。例えば、逆作用剤を含む複数の同時押出されたMEMと活性剤を含む複数のMEMは、隔離された逆作用剤の著しい放出なしで体液で摂取し、接触する場合、活性剤の効果的な持続放出を提供するために十分な量のゼラチンカプセルに配置される。あるいは、逆作用剤のみがMEMに製剤される。
【0043】
別の実施態様では、MEMは、本明細書に明確に参照して取り込まれる米国特許第4,957,681号 (クリメッシュら)に記載される錠剤に圧縮することができる。
【0044】
別の実施態様では、粒子を含む同時押出された逆作用剤において、逆作用剤はコアとシースを持つ粒子のコア(「逆作用剤コア」)にのみ存在する。逆作用剤コアは少なくとも部分的にシースに囲まれている。コアとシースは共に好ましくは、投与後の粒子の生体内溶解を制限する緩染剤として作用する少なくとも1つの疎水性物質を含む。コアの疎水性物質はシースの疎水性物質と同一の場合とそうでない場合がある。逆作用剤を含む粒子の大きさは、好ましくは全寸約0.1mm〜約5.0mmであり、より好ましくは全寸約0.1mm〜約3.0mmである。好ましい一実施態様では、逆作用剤は円筒形粒子のコア内に隔離され、コアは同時押出された円筒形粒子の一端または両端にさらされ、放射状にシースに囲まれている。そのような粒子は、以下にさらに詳細に議論されるように、コアとシースを同時押出し、同時押出されたストランドを粒子にすることにより製造される。
【0045】
特定の実施態様では、本発明は、活性剤を含む複数の第1の粒子と隔離された逆作用剤を包含する同時押出された複数の第2の粒子を包含する剤形を含む。特定の実施態様では、活性剤粒子は少なくとも8時間以上、好ましくは少なくとも12時間以上、より好ましくは少なくとも24時間、あるいはそれ以上生体内に活性剤を制御放出するように製剤される。活性剤粒子は、押出、溶融押出、造粒、コーティング不活性ビーズ等の当業者に既知の方法に従って製造される。
【0046】
特定の実施態様では、活性剤粒子と同時押出され、隔離された逆作用剤粒子は類似しており、好ましくは互いに手動で分離する可能性を減少させるために大きさと外観が同一である。
【0047】
同時押出され、隔離された逆作用剤粒子は、同時押出され、隔離された逆作用剤粒子が目的どおり患者に完全に投与される場合、比較的少量の隔離された逆作用剤のみが生体内に放出、および好ましくは、隔離された逆作用剤が放出されないように製剤される。
【0048】
活性剤粒子と同時押出され、隔離された逆作用剤粒子を含む完全な剤形が患者に投与される場合、隔離された逆作用剤の比較的少量のみが生体内に放出されるか、好ましくはほとのど放出されない。一方、活性剤は即時放出から制御放出へ変わることができるが、目的の速度で抄出される。しかし、活性剤粒子と同時押出され、隔離された逆作用剤粒子を含む剤形は、特に(例えば約40℃〜50℃以上、約100℃以上まで)熱した溶媒中で、例えば咀嚼、破砕、細粉化、または溶解による改変を防止すると、体内に吸収できる逆作用剤が実質的に増加する。逆作用剤はその後、例えば多幸症効果のような少なくとも1つの活性剤の効果を減少させるか、または患者に1つ以上の不快な効果を導くことで、効果を発揮することができる。従って、逆作用剤が活性剤の拮抗薬であれば、少なくとも1つの活性剤の効果が、逆作用剤の効果によって、好ましくは実質的に減少されるか、または除去される。例えば、活性剤がオピオイド作動薬であり、逆作用剤がオピオイド拮抗薬であれば、オピオイド受容体結合を干渉し、オピオイド作動薬の多幸症効果を減少することで、剤形が改変防止される場合、大幅に増加したオピオイド拮抗薬によって生物学的利用が可能になる。その結果、目的どおり、つまり実質的に完全な剤形として本発明の剤形を投与された患者のみが、治療剤の完全な薬学的効果を体験する。逆作用剤は催吐薬であり、剤形が改変されると、催吐薬の即時放出と吸収が、吐き気および/または嘔吐を誘発させ、使用者に剤形の改変をさせなくし、また患者の体内から治療剤を排除することになる。剤形における活性剤の乱用は、従って逆作用剤によって引き起こされる望ましくない効果によって望ましくないものとなる。
【0049】
患者に完全投与する場合、実質的に活性剤の効用を減少させない、または不快な生理反応を発生させないために、好ましくは剤形からのいずれの逆作用剤の生体内放出は十分低くする。逆作用剤の放出速度は、同時押出され、隔離された逆作用剤粒子の逆作用剤コアとシースの組成によって大部分が決定される。同時押出され、隔離された逆作用剤粒子は、好ましくは約10重量%未満、より好ましくは約1重量%未満の逆作用剤が放出され、完全な剤形が生体内に投与されるか、または逆作用剤は放出されない。逆作用剤がオピオイド拮抗薬の場合、隔離された逆作用剤粒子は全体で、好ましくは約0.5mg未満、より好ましくは約0.05mg未満のオピオイド拮抗薬を放出し、完全な剤形が生体内に投与される。例えば、経口剤形が5.0mgの隔離されたオピオイド拮抗薬を含み、溶解試験をUSPバスケット法(USPタイプ I バスケット、100 rpm;700ml 擬似胃(simulated gastric filled)、酵素なしpH 1.2;900mlの擬似腸液(simulated intestinal fluid)に37℃で1時間;試験中酵素なしpH 7.5)を使用して行った場合、36時間以上擬似胃腸液(simulated gastricintestinal fluid)に放出されるオピオイド拮抗薬の量は0.5mg未満、より好ましくは0.05mg未満である。
【0050】
本発明の一実施態様では、活性剤粒子と同時押出され、隔離された逆作用剤粒子は、互いに2つの粒子の区別をしにくくするために、ほぼ、好ましくは厳密に、同色、同じ大きさ、同形である。2種類の粒子は、外見上類似させるために表面をコーティングで覆われる。薬剤経口剤形に使用されるコーティングは、2種類の粒子の溶解形態が本発明の目的を達成できる限り、いずれの既知の種類も使用される。
【0051】
特定の実施態様では、剤形または活性剤粒子のいずれか、および/または同時押出され、隔離された逆作用剤粒子は、安定性を向上させるために長期高温にさらされて、保存(cure)される。ここで使用される用語「保存(curing)」とは、最終的な安定剤形を獲得する目的のための剤形(または中間産物)の熱処理のことである。当業者も理解しているように、本発明の製剤が一部または全疎水緩染剤としてポリマーを取り込むと、熱処理は保存効果を出し、ポリマーは場合によりそれ自体で架橋(cross-link)し、より安定した状態になる。本発明の製剤が、例えば硬化植物油、またはステアリルアルコールのような疎水性物質を含む場合、熱処理はポリマー保存よりもむしろ製剤のアニーリングといってよい。しかしながら、本発明の目的では、「保存」とは、保存とアニーリングを含むものとみなされる。疎水性物質がワックス様の物質のみを含む場合、保存は約35℃〜約65℃の温度で、最大の安定性を十分に達成できる期間、例えば約4〜約72時間おこなわれる。別の実施態様では、保存は約40℃〜約60℃の温度で、約5〜約48時間またはそれ以上で、好ましくは少なくとも24時間おこなわれる。安定した剤形の結果を得るための適切な保存時間は当業者によって判断される。
【0052】
3 逆作用剤
上述のように、本発明は同時押出された剤形および隔離された逆作用剤を含有する医薬組成物、ならびにそのような剤形と組成物の製造方法および投与方法を目的とする。一実施態様では、本発明は隔離された逆作用剤を含有する複数の同時押出された粒子を含む剤形に関する。
【0053】
隔離された逆作用剤は、少なくとも部分的に活性剤の生物学的作用を減少させ、または遮断させ、動物または患者の血流に吸収された場合に不快な効果を発生させる医薬活性剤である。逆作用剤の例は、制限されないが、治療活性作動薬の拮抗薬である。オピオイド作動薬が本発明の剤形中の活性剤として使用される場合、オピオイド拮抗薬は逆作用剤として使用することができる。同様に、ベンゾジアゼピン(benzodiazepine)が本発明の剤形中の活性剤として使用される場合、ベンゾジアゼピン拮抗薬は逆作用剤として使用できる。バルビツール酸塩が本発明の剤形の活性剤として使用される場合、バルビツール拮抗薬は逆作用剤として使用される。アンフェタミンが本発明の剤形の活性剤として使用される場合、アンフェタミン拮抗薬は逆作用剤として使用される。活性剤がその正常の治療範囲以上に投薬されると有毒である場合、すなわち過剰服用の可能性がある場合に、有毒活性剤の解毒剤は逆作用剤として使用することができる。
【0054】
一実施態様では、逆作用剤はオピオイド拮抗薬である。本発明に有益なオピオイド拮抗薬は、限定されないが、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、ナルブフィン、ナロルフィン、シクラザシン、シクラゾシン、レバロルファン、薬学的に許容されうるそれらの塩、およびその混合物を含む。
【0055】
有益なオピオイド拮抗薬の塩には、酸とオピオイド拮抗薬の塩基性窒素基から形成される塩が含まれる。塩使用のオピオイド拮抗薬の例として、制限されないが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、蓚酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、過リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロネート(glucaronate)、サッカラート、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、パモエート(すなわち、l、l'-メチレン-ビス-(2-ヒドロオキシ-3-ナフトエート))塩が含まれる。
【0056】
その他のオピオイド拮抗薬の塩には、カルボン酸またはスルホン酸官能基のような酸官能基、および薬学的に許容されうる無機塩基または有機塩基を持つ拮抗薬から調製された塩が含まれる。そのような塩基には、上記セクション1、用語「薬学的に許容されうる塩」として参照される段落にに定義されるものが含まれるが、これに限定されない。
【0057】
特定の実施態様では、オピオイド拮抗薬はナルメフェン、ナロキソン、ナルトレキソン、または薬学的に許容されうるそれらの塩である。別の実施態様では、オピオイド拮抗薬はナルトレキソン塩酸塩のようなナルトレキソン塩である。
【0058】
本発明の逆作用剤として使用されるベンゾジアゼピン拮抗薬にはフルマゼニルが含まれるが限定されない。
【0059】
本発明の逆作用剤として使用されるバルビツール拮抗薬にはここに記載されているアンフェタミンが含まれるが限定されない。
【0060】
本発明の逆作用剤として使用される覚醒剤拮抗薬は、限定されないが、ここに記載されているベンゾジアゼピンが含まれる。
【0061】
本発明の別の実施態様では、逆作用剤は嘔吐のような望ましくない生理反応を引き起こす薬剤である。この種類の逆作用剤はオピオイド、ベンゾジアゼピン、バルビツール酸塩または覚醒剤を含むあらゆる種類の治療剤と共に使用される。本発明の逆作用剤として使用することが適切な嘔吐剤の例として、投与後嘔吐を安全にかつ効果的に誘発させるトコンおよびアポモルヒネを含むあらゆる薬剤が含まれるが、これらに制限されない。
【0062】
4 活性剤
本発明の活性剤は複数の粒子で製剤されることもあれば、製剤されないこともある。
【0063】
あらゆる種類の活性剤を、本発明の剤形に使用することができる。有益な活性剤の例として、鎮痛剤、抗炎症剤、駆虫剤、不整脈治療剤、抗菌剤、抗ウィルス剤、抗凝固剤、抗鬱薬、抗糖尿病薬、抗てんかん薬、抗真菌剤、抗痛風剤、抗高血圧薬、抗マラリア薬、抗片頭痛薬、ムスカリン性受容体拮抗薬、抗新生物薬、勃起障害改良薬、免疫抑制剤、抗原虫薬、抗甲状腺薬、抗不安薬、鎮静剤、催眠薬、神経安定薬、β-ブロッカー、心臓イオンチャネル薬(cardiac ionotropic agents)、副腎皮質ステロイド、利尿薬、抗パーキンソン病薬、胃腸薬、ヒスタミン受容体拮抗薬、角質溶解薬、脂質調節剤、抗狭心症薬、cox-2 阻害剤、ロイコトリエン阻害剤、マクロライド、筋弛緩剤、栄養剤、オピオイド鎮痛剤、プロテアーゼ阻害剤、性ホルモン、覚醒剤、筋弛緩薬、抗骨粗鬆症薬、抗肥満薬、認識促進剤、抗尿失禁薬、栄養油、抗良性前立腺肥大薬、必須脂肪酸、および非必須脂肪酸が含まれるが、これらに制限されない。活性剤粒子は1つ以上の活性剤を含むことができる。
【0064】
活性剤のより具体的な例には、オピオイド、ベンゾジアゼピン、バルビツール酸塩、および覚醒剤、例えばメチルフェニデートおよびアンフェタミン、ドロナビノール、グルテチミド、メチルフェニデート、ナビロン、タンパク同化ステロイド、メチルプリロン(methylprylon)、エスクロロビノール、エチナメート、フェンフルラミン、メプロバメート、ペモリン、レボメトアジル、ベンズフェタミン、クロルフェンテルミン、ジエチルプロピオン、フェンテルミン、メブタメート、クロルテルミン、フェニルアセトン、ドロナビノール、ナビロン、ベンフェタミン、抱水クロラール、エスクロロビノール、パラアルデヒド、ミダゾラム、およびデトロプロポキシフェンなどが含まれるが、これらに制限されない。
【0065】
特定の実施態様では、活性剤はオピオイド作動薬である。有益なオピオイド作動薬には、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルヒネ、デキストロモラミド、デゾシン、ジアムプロミド(diampromide)、ジアモルホン(diamorphone)、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、フェンタニール、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ヒドロモルフォドン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルヒネ、ミロヒネ、ナルセイン、ニコモルヒネ、ノルレボファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ナルブフェン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、パントポン、パパベレタム、パレゴリック、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェンジメトラジン、フェンジメトラゾン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミデ、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロポキシフェン、プロピルヘキセドリン、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、薬学的に許容されうるそれらの塩およびその混合物が含まれるが、これらに制限されない。
【0066】
特定の実施態様では、オピオイド作動薬はヒドロコドン、モルヒネ、ヒドロモルホン、オキシコドン、コデイン、レボルファノール、メペリジン、メタドン、オキシモルホン、ブプレノルフィン、フェンタニルおよびその誘導体、ジピパノン、ヘロイン、トラマドール、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、ブトルファノール、レボルファノール、およびそれらの混合物から成る群から選択される。一実施態様では、オピオイド作動薬はオキシコドン、ヒドロモルホンまたはヒドロコドンである。
【0067】
用語「ベンゾジアゼピン」は、ベンゾジアゼピンとベンゾジアゼピンの誘導体である薬剤のことであり、中枢神経系を抑制することができる。ベンゾジアゼピンにはアルプラゾラム(alprazolam)、ブロマゼパム、クロルジアゼポキシド、クロラゼプ酸、ジアゼパム、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ケタゾラム、ロラゼパム、ニトラゼパム、オキサゼパム、プラゼパム、クアゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、メチルフェニデートおよびそれらの混合物が含まれるが、これらに制限されない。
【0068】
バルビツール酸塩はバルビツール酸(2,4,6,-トリオキソヘキサヒドロピリミジン)に由来する鎮静・睡眠薬を意味する。バルビツール酸塩には、アモバルビタール、アプロバルボタール、ブタバルビタール、ブタルビタール、メトヘキシタール、メフォバルビタール、メタビタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、セコバルビタール、およびそれらの混合物が含まれるが、これらに制限されない。
【0069】
覚醒剤は中枢神経系を刺激する薬剤を意味する。覚醒剤には、アンフェタミン、デキストロアンフェタミン樹脂複合体、デキストロアンフェタミン、メタアンフェタミン、メチルフェニデートのようなアンフェタミンとその混合物が含まれるが、これらに制限されない。
【0070】
活性剤は、限定されるわけではないが、過敏性腸症候群、過敏腸疾患、クローン病、便秘、術後緊張減退症、胃腸感染症のような結腸疾患を治療するために結腸領域で局所的に作用する剤、および、リンパ系組織に抗原物質を送達する治療剤を含む、結腸への送達を目的とする剤である。結腸疾患の治療のための活性剤には、5-ASA;ヒドロコーチゾンとブデソニードのようなステロイド;下剤;便柔軟剤;オクトレオタイド;シサプライド;抗コリン作動薬;オピオイド;カルシウムチャンネルブロッカー;結腸細胞に送達するためのDNA;グルコサミン;リドグレルのようなトロンボキサンA2合成酵素阻害剤;オンダンセトロンのような5HT3-拮抗薬、クロストリジウム・ディフィシレ(Clostridium difficile)のような感染性細菌に対する抗体;および、例えばHIV予防のための抗ウイルス剤が含まれるが、これらに制限されない。
【0071】
また、活性剤は、全身的に活性があり、結腸領域での吸収が改良されている剤である。そのような薬剤には、へパリン、インシュリン、カルシトニン、ヒト成長ホルモン(HGH)、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、インターフェロン、オクトレオタイドとバプレオタイドのようなソマトスタチンと類縁体、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、副甲状腺ホルモン(PTH)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHBH)およびその類縁体、心房性ナトリウム利尿因子(ANF)、バソプレシン、デスモプレシン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、および鎮痛剤のような極性化合物が含まれる。
【0072】
活性剤粒子は、さらに疎水性物質、結合剤、可塑剤、賦形剤、およびその組み合わせを包含する。適切なマトリックス物質は、例えば即時放出または持続放出のような望ましい結果に到達するために十分な速度で活性剤を放出できるような物質を含有する。一実施態様では、浸透性マトリックス物質が胃腸液へのオピオイド作動薬の拡散放出のために使用される。
【0073】
5 逆作用剤粒子
本発明に従って、逆作用剤は同時押出された多層粒子に製剤される。好ましい特定の実施態様では、逆作用剤は、少なくとも部分的にコアを囲む、好ましくはコアの大部分を囲むシースを含む、同時押出された二層の粒子で隔離される。例えば、図1は、同時押出された円筒形の粒子(10)を含む、限定されていない本発明の一実施態様の透視図である。隔離された逆作用剤はコア(12)内部に含まれる。大部分のコアはシース(14)に覆われている。例えば、コアは、放射状にコアの外曲面(13)を覆うシースを有し、軸方向に覆われていないコアの少なくとも一端(17)をそのままにしている円筒形である。図1では、円筒形粒子(16)の一端でコアの覆われていない部分は斜線部分(17)で示されている。
【0074】
5.1 コア
隔離された逆作用剤を含む本発明のコアは、好ましくは疎水性マトリックス物質を包含する。本発明で有益な疎水性マトリックス物質には、胃腸管で不溶性または低溶解度を有する当業者に既知のものが含まれる。そのような物質には、アクリル酸ポリマーおよびコポリマーとメタクリル酸ポリマーとコポリマー、およびアルキルセルロースから成る群から選択される疎水性物質が含まれるが、これらに限定されない。該マトリックスはまた、ゼイン(zein)、シェラック、硬化ヒマシ油、硬化植物油のような追加の疎水性物質またはその混合物が含まれる。不溶性のそのような疎水性物質は自然に分解でき、最終的に逆作用剤のある部分を放出する。薬学的な技術における通常の技術の一つでは、例えば隔離された逆作用剤の生体内放出を制限または大幅に制限するため、逆作用剤コア中の疎水性マトリックス物質の含量を変化させることにより、そのような放出速度を制御することができる。逆作用剤を隔離するこの方法およびその他の方法は当業者に既知であり、通常の実験により決定することができる。
【0075】
一実施態様では、疎水性マトリックス物質はアクリルポリマーを包含する。適切なアクリルポリマーの例として、アクリル酸コポリマーおよびメタクリル酸コポリマー、メチルメタクリル酸コポリマー、エトキシエチルメタクリル酸、シアンエチルメタクリル酸、アミノアルキルメタクリル酸コポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリメタクリル酸、ポリ(メチルメタクリル酸)コポリマー、ポリ(メタクリル酸)(無水物)、メチルメタクリル酸、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリル酸ポリマー、ポリ(メタクリック酸無水物)、およびグリシジルメタクリル酸コポリマーが含まれるが、これらに制限されない。適切なアクリルポリマーの追加例として、アクリルモノマーとメタクリルモノマーのモルあたり約0.02 〜0.03モルのトリ(低級アルキル)アンモニウム基を含むアクリル酸エステルとメタクリル酸エステル(例 アクリル酸低級アルキルエステルおよびメタクリル酸低アルキルエステルのコポリマー)から合成されたコポリマーを含有するアクリル樹脂が含まれるが、これに制限されない。
【0076】
アクリルポリマーは1つまたはそれ以上のアンモニオメタクリル酸コポリマーを含むことができる。アンモニオメタクリル酸コポリマーは当業者には周知であり、低含量の4級アンモニウム基を持つアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルが完全に重合したコポリマーである。既知の治療剤で望ましい溶解プロフィール(dissolution profile)を得るために、異なる物理的特性を持つ2つまたはそれ以上のアンモニオメタクリル酸コポリマーを含まれなければならない。例えば、4級アンモニウム基の中性(メタ)アクリル酸エステルに対するモル比を変えることで、得られるコーティングの透過性が修正されることは知られている。通常の技術方法で、望ましい放出速度で治療剤を放出するコポリマーを提供するモノマーを容易に結合できる。4級アンモニウム基の官能性を持つアクリル酸コポリマーとメタクリル酸のコポリマーは、EUDRAGIT RS(商標)およびEUDRAGIT RL(商標)(ローム製薬会社(Rohm Pharma) ドイツ ダルムシュタット)として市販されている。好ましいアンモニオメタクリル酸樹脂には、EUDRAGIT PO(商標)のようなあらゆる形態のEUDRAGIT RS(商標)が含まれる。EUDRAGIT RS(商標)は、エチルアクリル酸(EA)、メチルメタクリル酸(MM)、およびトリメチルアンモニウムエチルメタクリル酸塩酸塩(TAM)の水不溶性コポリマーで、そのEA:MN:TAMのモル比が1:2:0.01であることが知られている(米国特許第6,306,391号参照)。EUDRAGIT PO(商標)はEUDRAGIT RS(商標)の粉末形態であることが知られている(米国特許第5,492,692号参照)。
【0077】
一実施態様では、疎水マトリックス物質は水不溶性セルロースポリマーを包含する。特定の実施態様では、セルロースポリマーはセルロースエーテル、セルロースエステルまたはセルロースエステルエーテルである。好ましくは、セルロースポリマーは、約0以上〜3以下のアンヒドログルコースの置換率(「D.S.」)を持つ。ここで使用される用語D.S.とは、置換基によって置換されるセルロースポリマーのアンヒドログルコース単位に存在するヒドロキシル基の平均数のことである。代表的なセルロースポリマーには、セルロースアシレート(cellulose acylate)、セルロースジアシレート(cellulose diacylate)、セルローストリアシレート、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、モノセルロースアルカニレート(alkanylate)、ジセルロースアルカニレート、トリセルロースアルカニレート、モノセルロースアロイレート(aroylate)、ジセルロースアロイレート、トリセルロースアロイレート、モノセルロースアルケニレート(alkenylate)、ジセルロースアルケニレート、トリセルロースアルケニレートから選択されるポリマーが含まれるが、これらに制限されない。典型的なセルロースポリマーには、約1〜約2のD.S.を持つセルロースアセテートと約2〜約3のD.S.を持つセルロースポリマーが含まれる。好ましくは、セルロースポリマーはエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオナート(低、中、または高分子量)、セルロースアセテートプロピオナート、セルロースアセテートブチラート、セルロースアセテートフタラート、またはセルローストリアセテートである。より好ましいセルロースはエチルセルロースである。
【0078】
より具体的なセルロース系ポリマーは、約1.8のD.S.を持つセルロースプロピオナート;約1.8のD.S.を持つセルロースアセテートブチラート;約2.9〜3のD.S.を持つセルローストリアシレート、例えばセルローストリアセテート、セルローストリバレレート、セルローストリラウレート、セルローストリパルミテート、セルローストリスクシネートおよびセルローストリオクタノエート;約2.2〜2.6のD.S.を持つセルロースジアシレート、例えばセルロースジスクシネート、セルロースジパルミテート、セルロースジオクタノエート、セルロースジペンタノエート;およびセルロースアセテートブチラート、セルロースアセテートオクタノエートブチラート、およびセルロースアセテートプロピオナートのようなセルロースのコエステルを持つセルロースプロピオナートを含む。
【0079】
コアは一般的に約30重量%〜約99重量%の1つまたはそれ以上の疎水性マトリックス物質を含み、好ましくは約50重量%〜約95重量%の1つまたはそれ以上の疎水性マトリックス物質を含み、より好ましくは約60重量%〜約95重量%の1つまたはそれ以上の疎水性マトリックス物質を含む。
【0080】
逆作用剤を含むコアは、任意に1つまたはそれ以上の結合剤、追加の遅延剤、可塑剤、および/または賦形剤を含むことができる。結合剤はマトリックスを完全な状態を維持するのに有益で、体液への薬剤の放出を遅延することにも役立つ。結合剤の例として、天然および合成ワックス、水不溶性ワックス、脂肪アルコール、脂肪酸、硬化油脂、脂肪酸エステル、脂肪グリエルシード(fatty acid glyercides)、炭化水素および炭化水素の骨格を持つ疎水性および親水性ポリマー、およびステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒドロキシセルロースのような水溶性ポリマーのような混合物が含まれる。
【0081】
可塑剤は、疎水性マトリックス物質がセルロースポリマーまたはアクリル酸ポリマーを含む場合に有益である。適切な可塑剤の限定されない例としては、例えばアセチルトリエチルシトレートおよび/またはアセチルトリブチルシトレートがある。
【0082】
逆作用剤コアはまた、その他の賦形剤を含むことができ、賦形剤は押出間の製剤のプロセス可能性および/または最終産物の特性を改良するために添加される。液体賦形剤の限定されない例としては、水および、石油、動物油、植物油、または合成油、例えばピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油、ヒマシ油、トリグリセリドなどが含まれる。固形賦形剤の例としては、マグネシウムステアレート、マグネシウム下剤、アラビアゴム、ゼラチン、澱粉糊、滑石、ケラチン、コロイダルシリカ、尿素などが含まれる。着色剤がまたコアに添加される。
【0083】
5.2 シース
本発明の同時押出され、隔離された逆作用剤を含む粒子は、少なくとも部分的に逆作用剤を含むコアを囲む、好ましくは大部分の逆作用剤を含むコアを囲むシースを含有する。好ましい一実施態様では、シースは全てではないが、大部分のコアを囲む。シースは、好ましくは疎水性マトリックス物質、および任意に結合剤、追加された遅延剤、可塑剤、および賦形剤を含む。シースが少量の逆作用剤を含むことができる場合、シースは逆作用剤を全く含まないことが好ましい。
【0084】
一実施態様では、コアに関して記載したのと同様に、シースの疎水性物質は、アクリル酸ポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸ポリマーおよびコポリマー、および水不溶性アルキルセルロースからなる群から選ばれる1つまたはそれ以上の物質を含有する。シースは任意にコアに関して記載したのと同様に、シェラック、ゼイン、硬化ヒマシ油、硬化植物油、およびそれらの混合物のような1つまたはそれ以上の追加の疎水性物質を含む。
【0085】
シースに使用される疎水性マトリックス物質は、逆作用剤を含むコアに使用されるものと同一の場合とそうでない場合がある。シースに使用される疎水性物質は好ましくは実質的に胃腸管では不溶性であるが、この物質は、ある程度まで生体内で、自然に溶解または生分解でき、それにより少量の逆作用剤のコアからの生体内放出が認められる。通常の薬学技術の1つでは、例えばシースの組成を改変し、シースの厚みを増加し、シースでコアの大部分を囲み、コアのサイズおよび/または容量を変える、および/またはシースおよび/またはコアの組成を変えることで、そのような放出速度を制御し制限することができる。これらの方法およびその他の方法は通常の技術の1つとして知られているが、本明細書からも通常の実験として判断できる。
【0086】
シースは1つまたはそれ以上の疎水性マトリックス物質を約10重量%〜約99重量%、好ましくは約40重量%〜約95重量%、より好ましくは約60重量%〜約90重量%含むことができる。
【0087】
シースはさらに、逆作用剤を含むコアに関して記載したように、1つまたはそれ以上の追加の遅延剤、または1つまたはそれ以上の結合剤または可塑剤または賦形剤、またはそれらの組合わせを含む。
【0088】
6 活性剤粒子
本発明は、限定はされないが、活性剤を含む粒子を含む適切な剤形に製剤することができる活性剤を包含する組成物と剤形を含む。本発明の組成物と剤形は、経口投与に続いて、生体内への活性剤のいかなる放出速度、例えば即時放出または制御放出をも提供できる。好ましい実施態様では、活性剤を含む粒子は、オピオイド作動薬のような活性剤の制御放出を提供する。オピオイド拮抗薬の制御放出剤形の製剤および製造方法は技術的に知られている。例えば、米国特許第5,958,452号、第5,965,161号、第5,968,551号、第6,294,195号、第6,335,033号は、それぞれ参照して明確に本明細書に取り込まれるが、制御放出経口オピオイド作動薬剤形を開示する。1つまたはそれ以上のそのような特許の開示には、製剤、マトリックス物質、コーティング物質、疎水性物質、遅延剤、結合剤、可塑剤、賦形剤、ならびにビーズのコーティング方法、スフェロイドの成形方法、造粒方法(湿乾)、オピオイド作動薬の制御放出経口剤形のための錠剤、カプレット、多粒子カプセル形成のための押出方法の詳細が記載されている。
【0089】
活性剤は経口投与に続いて、生体内に活性剤の制御放出を提供するマトリックスに分散される。すべての制御放出マトリックスは活性剤粒子を製造するために使用される。特定の制御放出マトリックスは経口製剤として知られている(例えば、レミングトンの薬学 第18版、マック出版社、Easton, PA, 1990年、 p. 1684-1685参照)。上記特許に開示された制御放出マトリックスに加えて、有益な制御放出マトリックスの他の例は、米国特許第6,143,328号、第6,063,405号、第5,462,747号、第5,451,409号、第5,334,392号、第5,226,331号、第5,549,912号、第5,508,042号、第5,656,295号、第5,324,351号、第5,356,467号、第5,472,712号に記載されており、この内容は参照して本明細書に明確に取り込まれている。
【0090】
制御放出マトリックスは、可溶性の疎水性物質を含むことができ、任意に親水性物質を結合する。可溶性の疎水性物質は、例えば疎水ポリマーまたは天然または合成のワックスまたは油で、約45℃〜約100℃の融点で、一実施態様では約50℃〜約90℃の融点である硬化植物油、硬化ヒマシ油のような油である。疎水性物質はヒドリキシセルロースのような疎水性ポリマー;ポリエチレングリコールのような水溶性可溶物質;第二リン酸カルシウムまたは乳糖のような水溶性微粒子物質である。
【0091】
すべての既知方法が本発明に使用される制御放出オピオイド作動薬を製造するのに使用されるが、好ましい方法はマトリックス物質と共にオピオイド作動薬を溶融押出する方法である。
【0092】
制御放出マトリックスに分散された活性剤は、例えば乾式造粒法または湿式造粒法を使用して製剤することにより、または活性剤を可溶性成分以外の成分と混合することにより調製される。制御放出マトリックに包含される適切な不溶性物質には以下のものが含まれるが、制限されない:
(a)ゴム、セルロースエーテル、タンパク質に由来する物質、ナイロン、アクリル樹脂、ポリ乳酸、ポリビニルクロライド、デンプン、ポリビニルピロリドン、および酢酸フタル酸セルロースのような親水性ポリマーまたは疎水性ポリマー。これらのポリマーのうちセルロースエーテル、例えばアルキルセルロース(例:エチルセルロース)、 C1-C6 ヒドロアルキルセルロース(例:ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース)、およびアクリル樹脂(例:メタクリル酸コポリマーなどのメタクリレート)のような置換セルロースエーテルが用いられる。制御放出マトリックスは好都合に、約1(重量)%〜約80(重量)%の疎水性ポリマーおよび/または親水性ポリマーを含む。
(b)消化できる長鎖(C8-C40、一実施態様ではC8-C50)の、脂肪酸のような置換炭化水素または非置換炭化水素;硬化植物油;ラウリル、ミリスチル、ステアリル、セチルのような脂肪アルコール、または一実施態様ではセトステリアルアルコール;脂肪酸、例えばグリセリルモノステアラートのグリセリルエステル;鉱油;および蜜ろう、グリコろう、キャスターろう、カルナバろうなどのワックス。約25℃〜約90℃の融点を持つ炭化水素は一実施態様で使用される。これらの長鎖炭化水素物質のうち、脂肪(脂肪族)アルコールは一実施態様において有益である。制御放出マトリックスは少なくとも一つの消化できる長鎖の炭化水素を約60(重量)%まで含むことができる。
(c)ポリアルキレングリコール。制御放出マトリックスは少なくとも一つのポリアルキレングリコールを約60(重量)%まで含むことができる。
【0093】
本発明の経口剤形に使用される適切な制御放出マトリックスは、1つまたはそれ以上のセルロースエーテルまたはアクリル樹脂、1つまたはそれ以上のC12-C36脂肪族アルコール、一実施態様ではC12-C22脂肪族アルコール、および/または1つまたはそれ以上の硬化植物油を含む。特に適切なマトリックスでは1つまたはそれ以上のアルキルセルロース、1つまたはそれ以上のC12-C36脂肪族アルコール、一実施態様ではC12-C22脂肪族アルコール、および任意に1つまたはそれ以上のポリアルキレングリコールを含む。別の実施態様では、マトリックスは約0.5(重量)%〜約60(重量)%、別の実施態様では、約1%〜約50%のセルロースエーテルを含む。
【0094】
アクリル樹脂は、例えばメタクリル酸コポリマーUSNFタイプA(EUDRAGIT L(商標))、タイプB(EUDRAGIT S(商標))、タイプC(EUDRAGIT L100-55(商標))、EUDRAGIT NE30D(商標)、EUDRAGIT E(商標)、EUDRAGIT RL(商標)、EUDRAGIT RS(商標)(ローム製薬会社 ドイツ ダルムシュタットから市販)のようなメタクリレートである。一実施態様では、マトリックスは約0.5(重量)%〜約95(重量)%、別の実施態様では約10(重量)%〜約50(重量)%のアクリル樹脂を含む。
【0095】
ポリアルキレングリコールがない場合、一実施態様のマトリックスは約1(重量)%〜約40(重量)%、別の実施態様では約2(重量)%〜約36(重量)%の脂肪族アルコールを含む。ポリアルキレングリコールが経口剤形に存在する場合、一実施態様の脂肪族アルコールとポリアルキレングリコールの合計重量は約2%〜約40%、別の実施態様では約2(重量)%〜約36%(重量)のマトリックスが含まれる。
【0096】
ポリアルキレングリコールは、例えばポリプロピレングリコールまたは一実施態様ではポリエチレングリコールである。ポリアルキレングリコールの平均分子量は一実施態様では約200〜約15,000ダルトンで、別の実施態様では約400〜約12,000ダルトンである。
【0097】
活性剤を含む制御放出マトリックスは、制限されないが、融解造粒、湿式造粒法、乾式混合、湿式造粒法、および共沈を含む従来の薬学技術を使用するマトリックスの成分に治療剤を分散させることによって容易に調製できる。
【0098】
制御放出製剤は、一実施態様では、胃液および/または腸液に摂取され露出された時に治療剤をゆっくりと放出する。
【0099】
7 同時押出工程
本発明はまた、逆作用剤を含むコアと少なくとも部分的にコアを囲むシースを溶融同時押出のような同時押出することにより隔離された逆作用剤を包含する医薬組成物または剤形の調製方法に関する。一実施態様では、本発明は、a)押出ストランドを形成するために、逆作用剤を包含するコア、および少なくとも部分的、好ましくはコアの大部分を囲むシースを同時押出し;b)複数の隔離された逆作用剤粒子を形成するための押出ストランドを切断することによる、複数の隔離された逆作用剤粒子の製造方法に関する。一実施態様では、コアは逆作用剤および疎水性物質を含み、シースは疎水性物質を包含する。
【0100】
別の一実施態様では、本発明はa)活性剤を含む複数の第1の粒子を形成し;b)第2の粒子が逆作用剤と疎水性物質を含むコア、および少なくとも部分的に、好ましくはコアの大部分を囲む疎水性物質を含むシースを含有する、隔離された逆作用剤を包含する複数の第2の粒子を同時押出し;c)第1と第2の粒子を混合することを含む剤形の製造方法に関する。
【0101】
一般的に、押出および/または同時押出による活性剤を含む組成物または粒子の調製方法は周知である。例えば、米国特許第5,958,452号、第5,965,161号、第6,335,033号を参照できる。それぞれは、本明細書に全体として明確に組み込まれ、粒子からなる剤形を含む医薬剤形の既知の押出方法および形成方法を開示する。活性剤の投与のための二層の組成物または粒子を形成するための同時押出方法も知られている。例えば、本明細書に全体として明確に組み込まれる、米国特許出願公開番号2002/0119197 A1を参照できる。しかしながら、隔離された逆作用剤のような隔離された成分を包含する組成物または剤形を形成するための同時押出方法に関する先行技術の示唆はない。
【0102】
本発明に従って、同時押出工程は、患者に目的どおり生体内で完全に投与するための、もしあれば限定量で放出される、隔離された逆作用剤を包含する医薬組成物または剤形を製造するために使用される。一実施態様では、組成物または剤形は、逆作用剤を含み、好ましくは逆作用剤を含まないシースによって少なくとも部分的に長さに沿って放射状に囲まれるコアを持つ、同時押出され、隔離された逆作用剤の円筒形粒子を含む。さらなる実施態様では、オピオイド拮抗薬のような隔離された逆作用剤を含む同時押出粒子は活性剤を含む粒子とともにゼラチンカプセルに配置される。
【0103】
本発明はさらに、第1押出形成機に逆作用剤を含む逆作用剤コア製剤および疎水性マトリックス物質をチャージし;第2押出形成機に疎水性マトリックス物質を包含するシース製剤をチャージし;第1および第2の押出形成機において製剤を加熱し;シースによって放射状に囲まれた逆作用剤コアを包含するストランドを形成するために製剤を押出し;粒子にストランドを下塗りする(rendering)ことを含む、剤形に有益な逆作用剤を隔離した微粒子の調製方法に関する。
【0104】
本発明の同時押出工程に有益な装置の例には、2つの粉末供給ホッパー、1つは逆作用剤コアの成分充填用、もう1つはシース成分充填用が含まれる。逆作用剤コアの成分には、逆作用剤と疎水性マトリックス物質、任意に、制限されないが、上記の遅延剤、結合剤、可塑剤、賦形剤を含む追加の物質が含まれる。シースの成分には、疎水性マトリックス物質と上記の、制限されないが、追加の遅延剤、結合剤、可塑剤、賦形剤を含む追加物質が含まれる。各ホッパーの内容物が押出機にチャージされる。各押出機の出口は複数の同軸出口オリフィス(orifice)を持つ同一の同軸ダイ(die)に取り付けられるため、ストランドと逆作用剤を隔離するために放射状にコアを囲むシースのコアに逆作用剤とともに押し出されるストランドを形成する。
【0105】
各押出成形機は、例えば1つまたは2つのスクリューと加熱容器が装備されている。それぞれのスクリュー押出機は単独で、(i)逆回転(すなわち回転と反対方向に駆動)し、相互に絡まない、(ii)共回転(すなわち回転と同方向に駆動)し、相互に絡まない、(iii)逆回転し、相互に絡む、または(iv)共回転し、相互に絡むタイプでありうる。それぞれの押出機は単独で、ハウジングの端に位置する単一の放出口または放射状出口を持つ。それぞれのスクリュー押出機は独立して、スクリューのそれぞれの端に駆動手段または片端にのみ駆動手段を持つ。それぞれのスクリュー押出機は単独で、直径に対する長さの比、L/D比が5-70、好ましくは20-60である。そのような装置は例えば真空アタッチメント(vacuum attachment)を有するライストリッツのツインスクリュー押出機、ライストリッツ・ミクロ18/GL 40D ツインスクリュー押出機またはワーナー&フライデラーのモデルZSK-30ツインスクリュー押出機が技術的に知られている。
【0106】
各押出機の単独的にそれぞれ調整可能な容器部分(barrel zone)の温度は所定の製剤のために必要な温度に設定され、押出機は一般的に約30分間熱で平衡化される。ツインスクリュー押出機の内部圧力は、約600〜約980ミリバールの陰圧(negative)で維持される。
【0107】
定常状態の温度に達した後、それぞれの粉末供給ホッパーの内容物が予め加熱された個々の押出機に供給され、その結果、スクリューを回し、成分を練ることで一連のゾーンを通過し、加熱し混合することで、一般的には温度約30℃〜約200℃、好ましくは約50℃〜約150℃で、混合溶融塊をそれぞれの押出機に形成する。任意に、空気流通口を押出機につけることができる。粉末製剤とは独立に、液体成分を溶融塊に追加することが望まれる場合は、既知の手段、例えばギアポンプのような容積移送式ポンプによって供給される注入ポートで押出機に液体が注入される。
【0108】
各押出機を出る溶融塊は、任意に結合ブロックおよび/またはメインゲートアダプターの下流にあり、ダイの出口オリフィスを通過し、その結果、逆作用剤コアとコアを隔離するシースを包含する単一または複数の押出ストランドを形成する同軸ダイで混合される。一般的に、各押出機の回転速度rpmは、ダイオリフィスでの混合産物が一時間あたり約1kg〜約20kgまたはそれ以上、好ましくは約6kg〜約8kgであるように調整される。各押出機の回転速度は各押出機の産物が望ましいコアとシースの比を得られるように調整されるパラメーターの1つである。
【0109】
ダイ出口オリフィスの寸法および/または切断面は結果として生じるストランドの厚さと形状を変化させるために調整できる。例えば、オリフィスは円形の切断面に制限されず、楕円形、四辺形、長方形、六角形、三角形、五星形などであってよい。一般的に円形の切断面を持つオリフィスは、直径約0.1〜約5.0mmのストランドを提供するために調整される。ストランドの形はその他の要因のうち、ダイ出口オリフィスの開口部の形と粒子にストランドを入れる方法によって決定される。
【0110】
同時押出工程から生成されたストランドはその後オリフィスから運ばれ、当業者に既知の方法、例えば冷却時にストランドが凝固および硬化するようなファン冷却トンネルまたは継続移動ベルトを使用する方法によって固化することができる。ストランドは当業者に既知の方法、例えばレーザー切断、熱線切断または裁断機を使用する方法によって押出ストランドを粒子中に入れるための適切なデバイスを目的としている。粒子にストランドを入れる工程は凝固前、凝固中または凝固後であってよい。
【0111】
一実施態様では、同時押出工程から生じる硬化ストランドは、ローラー、固定ナイフ、ローラーカッターなどを使用できるペレタイザーによって切断される。回転速度と切断速度は望ましいサイズの粒子を生成し、特性を出すように設定される。適切な器具とシステムはニュージャージー州のランド・カステル社などの業者から販売されている。その他の適切な装置は当業者には明らかである。
【0112】
一実施態様では、同時押出ストランドは逆作用剤を含むコアがシリンダーの両端で表れる、図1に示されるような多くの円筒を形成するために切断される。いずれにせよ、逆作用剤を含むコアとシースの成分は隔離された逆作用剤の体内放出速度を制限するために製剤化される。
【0113】
さらに、粒子は、ダイ出口オリフィスに依存した大きさの範囲内のいかなる幾何学的形状、例えばビーズ、シード、ペレットであってよい。一実施態様では、形成された微粒子は直径約0.1〜約3.0mmの球状である。別の実施態様では、形成された微粒子は長さ約0.1〜約3.0mm、直径約0.1〜約3.0mmの円筒形である。
【0114】
コアとシースの寸法が変化することは製剤押出の当業者には明らかである。例えばダイオリフィスの変更によってコアの直径とシースの厚みは変化する。一般的にコアの直径は約0.05〜約2.95mm、好ましくは約0.3〜約2.0mmである。シースの厚みは疎水性マトリックス物質の安定性およびコアの厚みによって決定される。一般的にシースの厚みは約0.05〜約2.95mm、好ましくは約0.3〜約2.0mmである。コアの直径とシースの厚みは切断面が約3.0mm以下の微粒子を提供するように調整される。通常の実験により、押出における当業者は適切な寸法で逆作用剤を含む粒子を調製するためにパラメーターを修正することができる。
【0115】
切断に続いて、同時押出された粒子は集められ、そのような固体の医薬組成物に使用されるような方法で使用できる。切断に続いて、任意に、粒子は#16TBC(約0.054”)と#26TBC(約0.031”)の開口スクリーンを使用してセパレーターを通過させ、集められる。好ましい実施態様では、逆作用剤を含む同時押出された粒子と活性剤を含む粒子は患者への経口投与のためにハードゼラチンカプセルに一緒に配置される。
【0116】
8 投与方法
本発明はまた、治療を必要としている患者に本発明の剤形を投与することを含む、患者の病態を治療する方法をを目的としている。剤形は例えば、錠剤またはカプセルのような経口剤形、または座薬のような直腸または膣にいれる剤形である。一実施態様では、症状が痛みであり、剤形にはオピオイドおよび隔離されたオピオイド拮抗薬が含まれる。特定の実施態様では、剤形は一日に2回患者に投与され、別の実施態様では一日に1回投与される。
【0117】
8.1 用量単位あたりの量
本発明の剤形では、一投与あたりの活性剤量は特定の指示に対して効果的な量であり、逆の効果を有する剤の量に依存しない。例えば、治療剤がオピオイド作動薬の場合、本発明の剤形におけるオピオイド作動薬量は一般的に約1〜約800mg、一実施態様では約5〜約160mgである。当業者は、過度の実験なしで、特定の指示に必要な治療剤の量を容易に決定できる。
【0118】
本発明の剤形中の逆作用剤量は、改変された場合に、相当量の逆作用剤が剤形に即時放出され、動物の血液中に吸収されるならば、逆作用剤が対象とする逆の効果を提供できる量である。剤形を用いて改変し、逆作用剤が多幸症のような活性剤の1つまたはそれ以上の薬理効果を減少または除去することを目的とする場合、剤形中の逆作用剤量は、相当量の両剤が剤形から放出され、改変が生じた後に動物の血液中に吸収される場合、活性剤の効果を減少させ、または除去させるために少なくとも十分である。
【0119】
逆作用剤がナルトレキソンまたはナルメフェンのようなオピオイド拮抗薬である場合、本発明の剤形中のオピオイド拮抗薬量は、約0.2〜約50mg、または約0.5〜約5mgである。オピオイド拮抗薬であるシクラゾシンまたはナルトレキソンが経口投与される場合、長時間作用性を持ったそれらの効果は持続し、24時間に達する。約10mg以下のこれらのオピオイド拮抗薬が一般的に本発明の経口製剤に使用される。
【0120】
改変により、逆作用剤が嘔吐のような望ましくない生理反応を引き起こす場合、剤形中の逆作用剤量は少なくとも改変後放出にそのような効果を引き起こすのに十分である。
【0121】
本発明の特定の実施態様では、剤形中の治療剤と逆作用剤の重量比は約1:1〜50:1であり、一実施態様では約1:1〜約20:1である。特定の別の実施態様では、重量比は約1:1〜約10:1である。
【0122】
オピオイド作動薬がヒドロコドンである限定されない実施態様では、持続放出型の剤形には一投与あたりヒドロコドン約5mg〜約80mgの鎮痛剤が含まれる。オピオイド作動薬がヒドロモルフォンである限定されない実施態様では、一投与あたりヒドロモルフォン約2mg〜約64mgの量を含むことができる。オピオイド作動薬がモルヒネである限定されない実施態様では、一投与あたりモルヒネ約2.5mg〜約800mgを剤形中に含むことができる。オピオイド作動薬がオキシコドンである限定されない実施態様では、剤形は一投与あたりオキシコドン約2.5mg〜約800mgを含むことができ、別の実施態様では、一投与あたり約20mg〜約30mgのオキシコドンを含むことができる。制御放出型のオキシコドン製剤が技術的に知られている。限定されない実施態様では、オピオイド作動薬は一投与あたり約25mg〜約800mg量のトラマドールである。剤形は1つ以上のオピオイド作動薬を含むことができ、各投与量はそれに従って調整される。
【0123】
用語「単位用量」は、本発明の目的では、望ましい一回量の活性剤(例:オピオイド作動薬)を患者へ投与するために必要な剤形合計量として定義される。
【0124】
8.2 直腸への投与方法
上述のように、本発明はまた、同時押出され、隔離された逆作用剤粒子と活性剤粒子を含む剤形の、それを必要とする患者への、直腸から吸収する座薬の形態での投与を目的とする。座薬として投与される場合、好ましくは、組成物は原料物質(base material)を含む。もし微粒子を溶解しないのであれば、いかなる原料物質も用いることができる。例えば、カカオバターは従来からの座薬の原料物質であるが、ワックスの添加により、わずかに融点をあげるように修飾される。特に多種の分子量を持つポリエチレングリコールを含む水混和性の座薬の原料物質が含まれる。座薬として投与される場合、座薬製剤中の複数の第1と第2の粒子の合計濃度は一般的に組成物の約5.0〜約80重量%である。
【0125】
8.3 キット
本発明はまた、本発明の少なくとも1つの剤形を含むキットを対象としている。一実施態様では、剤形は、例えばボトルまたは箱のような容器中に存在する。別の実施態様では、キットはさらに、患者の、例えば痛みを治療するために剤形を使用することを対象とする一組の説明書を含む。一実施態様では、説明書は印刷されたラベルを容器に貼付するか、またはコンテナに印刷することができる。別の実施態様では、説明書は容器または容器を包含する包装に挿入された印刷シートを含む。説明書はまた、剤形および/またはその使用法が剤形の乱用、誤用または流用を軽減するために設計されたことを記載する。
【実施例】
【0126】
次の実施例は本発明の理解を深めるために説明され、ここに記載され請求される本発明を具体的に限定して解釈すべきではない。当業者の範囲内にある、現在知られている、または後に開発されるのと同等の置換、および製剤の変更または実験計画のわずかな変更を含む、本発明の変化は本発明の範囲内にあるものとみなされる。
【0127】
実施例1:溶融押出によるシースで覆われず隔離されたオピオイド拮抗薬の調製
実施例1は、シースで覆われず隔離されたオピオイド拮抗薬粒子の調製を記述する。オピオイド拮抗薬を含む粒子の調製に使用される押出機へ供給される製剤を以下の表1に示す。
【表1】

【0128】
シースで覆われず隔離されたオピオイド拮抗薬(塩酸ナルトレキソン)粒子は、真空アタッチメントを持つライストリッツのツインスクリュー押出機の粉末供給ポッパーに表1の成分を充填することにより調製された。押出機にはツインスクリュー押出機とマルチゾーン加熱容器が装備されていた。初期ゾーンは標的温度50±2℃、中間ゾーンは標的温度105±3℃、最終ゾーンは標的温度70±2℃に維持された。ツインスクリュー押出機の内圧は約600〜約980ミリバールの陰圧に維持された。押出容器の注入端部は粉末供給ホッパーに隣接し、押出容器の出口端は粉末供給ホッパーに隣接し、出口端は直径約1mmの円形断面オリフィスと共にダイに取り付けられた。押出機は30分間で熱平衡となった。
【0129】
押出成形機の回転速度は望ましい産物を生成するためのレベルに設定され、製剤は溶融した塊が形成されるまで混合しながら加熱された。得られた粘稠な塊はは予熱容器からダイに運ばれ、粘稠製剤はスパゲッティのようなストランドとして直径約1mmの円形断面ダイオリフィスから押し出された。押出産物は凝固、硬化しながら継続移動ベルトでペレタイザーに移動する。得られた硬化ストランドはランド・キャッスル社のローラーナイフで直径約1.0mm、長さ約1.0mmの円筒形粒子にペレット化される。
【0130】
ペレット製造後、121mgのペレットは、2mgの塩酸ナルトレキソンを含むカプセルに入れられた後、ハードセラチンカプセルに包埋された。これらのカプセルはその後以下の溶解方法を使用して試験された。
【0131】
カプセルの溶解率は、USPバスケット方法によって測定した。装置はUSPタイプ1バスケット(100rpm)から成っていた。カプセルを700mlの擬似胃液(SGF)(酵素なしpH1.2)に、37℃で一時間、接触させた。その後、カプセルを試験の間、900mLの擬似腸液(SIF)(酵素なしpH7.5)に接触させた。溶解率はHPLCを使用してそれぞれの液体を検査することによって決定された。
【0132】
溶解率に提示された上記工程により調製されたカプセルは、表2の溶解率を示した。
【表2】

【0133】
実施例2: 溶融同時押出によるシースで覆われ、隔離されたオピオイド拮抗薬の調製
実施例2は、コアが隔離されたオピオイド拮抗薬であるナルトレキソン塩酸を含み、コアの大部分がナルトレキソンを含まないシースによって囲まれる場合、溶融同時押出によるシースで覆われ、隔離されたオピオイド拮抗薬粒子の調製に適切な工程の予言的な例を記載している。より具体的には、コアは円筒形で、シースはコアの両端が軸方向に曝される一方、放射状にコアの長さが囲まれる。この予言的な例に使用されるコア押出機とシース押出機に仕込まれる製剤が表3に示されている。
【表3】

【0134】
シースに覆われ、隔離されたオピオイド拮抗薬(塩酸ナルトレキソン)粒子のコアは、1)真空アタッチメントを持つライストリッツのツインスクリューコア押出機の粉末供給ホッパーに表3のコア製剤成分を充填し、2)真空アタッチメントを持つライストリッツのツインスクリューシース押出機の粉末供給ホッパーにシース製剤を充填することによって調製できる。各押出機にはツインスクリューとマルチゾーン加熱容器が装備されている。各押出機では、初期ゾーンは標的温度50±2℃、中間ゾーンは標的温度105±3℃、最終ゾーンは標的温度70±2℃に維持されている。各押出機は30分間で熱平衡となる。それぞれのツインスクリュー押出機の内圧は、約600〜約980ミリバールの陰圧に維持された。各押出機容器の注入口は各粉末供給ホッパーの出口端に取り付けられる。コア押出機容器の出口は同時押出ダイのコアオリフィスの注入口に接続でき、シース押出機容器の出口は同時押出ダイのシースオリフィスの注入口に取り付けられる。同時押出ダイを出す押出ストランドは、輪状シースによって放射状に囲まれる隔離された塩酸ナルトレキソンを包含する円筒状のコアを含む。
【0135】
各押出成形機の回転速度は、一時間あたり7kgのようなダイオリフィスで望ましい結合生産物を生成できるレベルに設定できる。製剤はそれぞれ溶融した塊を形成するまで混合しながら加熱される。それぞれ得られた粘稠な塊はそれぞれの押出機容器からそれぞれの同時押出ダイ注入口に運ばれる。押出産物は、凝固、硬化しながら継続移動ベルトでペレタイザー(pelletizer)に運ばれる。得られた硬化ストランドはランド・キャッスル社のローラーナイフで、直径約0.5〜1.5mm、長さ約1.0mm。例えば長さ約0.8〜1.4mm、直径約0.8〜1.2mmの円筒形粒子にペレット化される。これらの粒子ではコアの平均直径は約0.25〜0.5mmで、シースの平均の厚さは約0.25〜0.5mmである。
【0136】
製造後、120mgの同時押出粒子は、2mgのナルトレキソン塩酸塩を含むカプセルを提供するために、実施例1に記載されているハードゼラチンカプセルにカプセル化される。
【0137】
]放出されたナルトレキソン塩酸塩の溶解速度は、実施例1に記載されるようにその後測定される。実施例2の同時押出され、シースに覆われた、隔離されたオピオイド拮抗薬粒子から放出されたナルトレキソン塩酸塩の量は、実施例1の粒子からの放出量未満が期待される。
【0138】
上記記載のすべての特許、出願、刊行物、試験方法、文献、その他の資料は本明細書に参照することにより取り込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】本発明の逆作用剤を含む粒子の一実施態様の透視図である。円筒形の粒子(10)は隔離された逆作用剤を含み、コア(12)は逆作用剤を含み、該コアがシース(14)によって放射状に囲まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆作用剤と疎水性物質を含む同時押出コアと、少なくとも部分的にコアを囲む疎水性物質を含む同時押出シースを含有する同時押出逆作用剤粒子。
【請求項2】
逆作用剤がオピオイド拮抗薬である請求項1記載の同時押出逆作用剤粒子。
【請求項3】
シースがコアの外面のほとんどを囲む請求項1記載の同時押出逆作用剤粒子。
【請求項4】
コアが実質的に円筒形で、シースが実質的にコアの全長に沿って半径方向にコアを囲む請求項3記載の同時押出逆作用剤粒子。
【請求項5】
副作用物質がオピオイド拮抗薬であり、粒子の大きさが約0.1mm〜約3.0mmである請求項4記載の同時押出逆作用剤粒子。
【請求項6】
副作用物質が隔離された請求項1記載の同時押出逆作用剤粒子。
【請求項7】
活性剤を含む複数の第1の粒子と、逆作用剤と少なくとも部分的にコアを囲むシースを包含するコアを含む複数の第2の粒子を含有する剤形。
【請求項8】
逆作用剤が隔離された請求項7記載の剤形。
【請求項9】
逆作用剤が同時押出された第2の粒子のコアにのみ存在する請求項8記載の剤形。
【請求項10】
活性剤がオピオイド作動薬で、逆作用剤がオピオイド拮抗薬である請求項8記載の剤形。
【請求項11】
オピオイド作動薬がアルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルヒネ、デキストロモラミド、デゾシン、ジアムプロミド、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、フェンタニール、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシルモルフィン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メタフォン、モルヒネ、ミロヒネ、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、ノルレボファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミデ、プロヘプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、トラマドール、チリジン、薬学的に許容されうるそれらの塩、および前述の2つ以上の混合物からなる群から選択される請求項7記載の剤形。
【請求項12】
オピオイド作動薬がモルヒネ、コデイン、ヒドロモルフォン、ヒドロコドン、オキシコドン、オキシモルホン、ジヒドロコデイン, ジヒドロモルヒネ、薬学的に許容されうるそれらの塩、および前述の2つ以上の混合物からなる群から選択される請求項11記載の剤形。
【請求項13】
オピオイド拮抗薬がシクラゾシン、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、ナルブフィン、ナロルフィン、シクラザシン、レバロルファン、薬学的に許容されうるそれらの塩、および前述の2つ以上の混合物からなる群から選択される請求項10記載の剤形。
【請求項14】
オピオイド拮抗薬がナルメフェン、ナロキソン、ナルトレキソン、薬学的に許容されうるそれらの塩、および前述の2つ以上の混合物からなる群から選択される請求項13記載の剤形。
【請求項15】
剤形が経口剤形である請求項8記載の剤形。
【請求項16】
剤形が第1の粒子と同時押出された第2の粒子を包含するカプセルを含有する請求項8記載の剤形。
【請求項17】
第1の粒子が患者の経口投与にオピオイド作動薬の制御放出を提供するオピオイド作動薬を含む複数の第1の粒子、およびオピオイド拮抗薬と少なくとも部分的にコアを囲むシースを含むコアを含有する同時押出された複数の第2の粒子を含有する経口剤形。
【請求項18】
オピオイド拮抗薬が隔離されている請求項17記載の経口剤形。
【請求項19】
シースがコアの大部分を囲む請求項18記載の経口剤形。
【請求項20】
第1の粒子と同時押出された第2の粒子の大きさが共に約0.1mm〜約3.0mmである請求項19記載の経口剤形。
【請求項21】
同時押出された第2の粒子のコアとシースがそれぞれ少なくとも1つの疎水性物質を含む請求項20記載の経口剤形。
【請求項22】
疎水性物質がアクリル酸およびメタクリル酸のポリマーおよびコポリマー、アルキルセルロース、天然および合成ワックス、水溶性ワックス、水不溶性ワックス、脂肪アルコール、脂肪酸、硬化油脂、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド、炭化水素、および炭化水素の骨格を有する疎水性および親水性ポリマーおよび前述のいずれか2つ以上の混合物からなる群から選択される請求項21記載の経口剤形。
【請求項23】
疎水性物質がアンモニオメタクリレートコポリマーを含む請求項22記載の経口剤形。
【請求項24】
オピオイド作動薬がアルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリジン、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルヒネ、デキストロモラミド、デゾシン、ジアムプロミド、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、ジオキサフェチルブチレート、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、フェンタニール、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メタフォン、モルヒネ、ミロヒネ、ナルブフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、ノルレボファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、ペンタゾシン、フェナドソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリトラミデ、プロヘプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、スフェンタニル、トラマドール、チリジン、薬学的に許容されうるそれらの塩、および前述の2つ以上の混合物からなる群から選択される請求項22記載の経口剤形。
【請求項25】
オピオイド作動薬がモルヒネ、コデイン、ヒドロモルフォン、ヒドロコドン、オキシコドン、オキシモルホン、ジヒドロコデイン, ジヒドロモルヒネ、薬学的に許容されうるそれらの塩、および前述の2つ以上の混合物からなる群から選択される請求項22記載の経口剤形。
【請求項26】
オピオイド拮抗薬がシクラゾシン、ナロキソン、ナルトレキソン、ナルメフェン、ナルブフィン、ナロルフィン、シクラザシン、レバロルファン、薬学的に許容されうるそれらの塩、および前述の2つ以上の混合物からなる群から選択される請求項22記載の経口剤形。
【請求項27】
オピオイド拮抗薬がナロキソン、ナルトレキソン、およびナルメフェン、薬学的に許容されうるそれらの塩、前述の2つ以上の混合物からなる群から選択される請求項26記載の経口剤形。
【請求項28】
剤形が第1の粒子と同時押出された第2の粒子を包含する錠剤を含む請求項18記載の経口剤形。
【請求項29】
剤形が第1の粒子と同時押出された第2の粒子を包含するカプセルを含む請求項18記載の経口剤形。
【請求項30】
同時押出された第2の粒子がオピオイド拮抗薬を0.05 mg以下で放出し、生体内に投与される請求項18記載の経口剤形。
【請求項31】
同時押出された第2の粒子がオピオイド拮抗薬が0.05 mg以下で放出し、生体内に投与される請求項30記載の経口剤形。
【請求項32】
押出ストランドを形成するためにコア組成物とシース組成物を同時押出し、ここでシース組成物が少なくともコア組成物の大部分を放射状に囲み、コア組成物は逆作用剤と疎水性物質を含み、シース組成物は疎水性物質を含み;および複数の逆作用剤粒子を形成するために所定の長さに押出ストランドを切断することを含む、複数の逆作用剤粒子の製造方法。
【請求項33】
逆作用剤がオピオイド拮抗薬で、その粒子の大きさが約0.1mm〜約3.0mmである請求項32記載の製造方法。
【請求項34】
逆作用剤が隔離される請求項32記載の製造方法。
【請求項35】
(a)活性剤を含む複数の第1の粒子を形成すること;
(b)押出ストランドを形成するためにコア組成物とシース組成物を同時押出することによって逆作用剤を含む複数の第2の粒子を形成し、ここでシース組成物がコア組成物の一部を放射状に囲み、コア組成物が逆作用剤と疎水性物質を含み、シース組成物は疎水性物質を含み、複数の第2の粒子を形成するために所定の長さに押出ストランドを切断すること;および、
(c)患者の投与に適切な形状で、第1の粒子と第2の粒子を加えること;を含む剤形の製造方法。
【請求項36】
第1の粒子と第2の粒子が外見上実質的に互いに同一である請求項35記載の方法。
【請求項37】
活性剤がオピオイド作動薬で、逆作用剤がオピオイド拮抗薬である請求項36記載の方法。
【請求項38】
]剤形は経口剤形で、第1の粒子と第2の粒子の大きさが約0.1mm〜約3.0mmである請求項37記載の方法。
【請求項39】
第1の粒子と第2の粒子が患者に投与するためにカプセルに配置される請求項35記載の方法。
【請求項40】
逆作用剤が隔離される請求項35記載の方法。
【請求項41】
オピオイド作動薬粒子を含む複数の第1の粒子、および
オピオイド拮抗薬を含むコアと少なくとも部分的にコアを囲むシースを含有する同時押出された複数の第2の粒子を含む経口剤形を患者に投与することを治療が含む、前記患者の痛みを治療する方法。
【請求項42】
逆作用剤が隔離される請求項41記載の方法。
【請求項43】
オピオイド拮抗薬が同時押出された第2の粒子のコアにのみ存在する請求項41記載の方法。
【請求項44】
請求項7または請求項17の経口剤形をそれを必要とする患者に処方する剤形の乱用、誤用または流用を軽減する方法。
【請求項45】
a)オピオイド作動薬を含む複数の第1の粒子;およびオピオイド拮抗薬を含むコアと少なくとも部分的にコアを囲むシースを含有する同時押出された複数の第2の粒子;およびb)痛みを治療するために無傷の形態で経口剤形を使用するための印刷された一組の説明書を含む患者の痛みを治療するためのキット。
【請求項46】
オピオイド拮抗薬が隔離される請求項45記載のキット。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2006−524261(P2006−524261A)
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−513318(P2006−513318)
【出願日】平成16年4月21日(2004.4.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/012776
【国際公開番号】WO2004/093819
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(599108792)ユーロ−セルティーク エス.エイ. (134)
【Fターム(参考)】