説明

同期化されたストリーム・パッキング

並列の提示におけるA/Vストリーム間でコンテキスト的に異なるパケットの同期化されたストリーム・パッキングの方法及び装置を提供する。方法は、ビデオ・パケットの到着タイムスタンプ及び/又は提示タイムスタンプそれぞれに一致する到着タイムスタンプ及び/又は提示タイムスタンプを有するサブピクチャ/サブタイトル・パケット及び/又はオーディオ・パケットを識別する工程(210)を含む。上記方法は、識別されたサブピクチャ/サブタイトル・パケット及びオーディオ・パケット、並びに一致するタイムスタンプを有するビデオ・パケットによってビデオ・オブジェクト単位(VOBU)及び/又は伝送ストリーム(TS)をパッキングする工程(220)も含む。

【発明の詳細な説明】
【関連出願との相互参照】
【0001】
本願は、その内容全体を本明細書及び特許請求の範囲に援用する、西暦2006年4月26日付出願の米国仮出願第60/674,767号の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は一般にディジタル多用途ディスク(従来、ディジタル・ビデオ・ディスク(DVD)として知られている)、高品位ディジタル多用途ディスク(HD DVD)及びブルーレイ・ディスク(BD)に関し、特に、DVD上、HD DVD上又はBD上に埋め込まれた別々のオーディオ/ビデオ(A/V)ストリームのサブストリーム間の同期化を容易にする手法に関する。
【背景技術】
【0003】
DVD、HD DVD及びブルーレイの技術仕様は現在、複数の並列A/Vストリーム間でシームレスに切り換える機構を規定している。しかし、それぞれの場合において、ストリームのオーディオ及びサブピクチャのコンテンツは、ストリーム全ての間でビット単位で同一であるよう制限されている。これによって、A/Vストリーム間におけるオーディオ・データの差によってもたらされる信号スパイクによって生じ得る、オーディオ・スピーカへの潜在的な損傷が妨げられ、多重化されたA/Vストリームそれぞれ内の前述のデータの編成に関する制限も緩和される。しかし、前述の制限によって、シームレスなマルチアングル機能を用いることができるアプリケーション範囲が大きく制限される。
【0004】
DVDの開発は、動画像専門家グループ圧縮(MPEG)手法などの圧縮手法を用いて圧縮しているがノーカットの映画を単一のディスクが収容することを大容量のビデオ・ファイルが可能にするのに十分な記憶容量を達成しようとしたコンパクト・ディスク(CD)の開発に続いた。西暦1990年代中盤におけるその最初の登場以降、DVDは、消費者に向けた映画及びビデオのコンテンツの広範囲にわたる頒布の媒体に好ましい選択肢となり、急速に広まった。高品質化し、大容量化したオーディオ・ビデオ・コンテンツの頒布のための同様な光ディスク形式が、DVDの次に予定される形式として開発されている。最も顕著な形式のうちの2つは、HD DVD及びBDとして知られている。
【0005】
現行のDVD、HD DVD及びBDは通常、互いに並列に同期化された少なくとも1つのA/Vストリーム(通常は、いくつかのA/Vストリーム)を有する。多くの場合、前述のA/Vストリームは、別のアングルからの同じシーンのショットの別々のレコーディングを含む。よって、前述の別々のA/Vストリームは多くの場合、「アングル」として表す。別々のアングル(すなわち、別々のストリーム)の選択は、「マルチアングル・ナビゲーション」(視聴者は、ディスプレイ画面上の関連したアイコンを選択することによって所望のアングルを選択する)として知られている処理によって行われる。前述のディスク及び関連再生装置のメーカによって採用されたDVD、HD DVD及びBDの技術仕様は、「マルチアングル・ビデオ」(コンテンツ作成者は、最大9個の同時A/Vストリームを規定することが可能であり、そのうちのどれをもいつでもディスプレイ画面上に表示することが可能である)として知られている処理を規定している。再生中、視聴者は、DVDプレイヤ上、HD DVDプレイヤ上若しくはBDプレイヤ上、又は前述のプレイヤ用のリモコン装置上のボタンを介してコマンドを起動させることによって、同期化されたA/Vストリーム組間でシームレスに切り換えることが可能である。しかし、現在利用可能なDVD、HD DVD及びBDのオーサリング・ツールの既知の形式の技術仕様及び実現形態の下で、各A/Vストリームに記憶されたオーディオ・データ及びサブピクチャ・データは同一の状態に留まっている。すなわち、異なるビデオ・データのみがアングル間で許容される。サブピクチャ・データは、ビデオを介して表示されるボタン、サブタイトルやその他のグラフィカル・エレメントのレンダリングを表す。このことによって、並列のA/Vストリームが選択された際に別のオーディオ及びサブピクチャのコンテンツを自動的に提示することができなくなり、かつ、供給媒体上に記憶されたオーディオ・データ及びサブピクチャ・データの冗長な複製がもたらされ、他のコンテンツの容量が制限される。
【0006】
A/Vストリームは、順次読み出されると、提示されたストリームを有する短い単位において互いに結合されるサブストリーム(オーディオ、ビデオ、及びサブピクチャ)の基本レベルのデータ・パケットで構成される。DVDビデオでは、前述の基本データ単位は、ビデオ・オブジェクト単位(VOBU)として知られており、それぞれは、約0.4乃至1秒間の提示データを含む。HD DVDビデオでは、これはEVOBUとして知られている。VOBU及びEVOBUの語は本明細書及び特許請求の範囲では、例証の目的で、同義で用い得る。複数のA/Vストリームが並列に提示されると、各ストリームは、インタリーブ単位(すなわちILVU。ビデオ提示時間に基づいて他の並列A/VストリームのILVUと同期化される)に1つ又は複数のVOBUを集める。よって、新たなストリームが選択されると、現行ILVUからのデータがILVUの最後まで再生し、新たなストリームのILVUがシームレスにその時点で提示される。このようにして、ビデオのシームレスな提示が保証される。
【0007】
BDは、別の語(すなわち、伝送ストリーム(TS))を用いた同様なパケットの組み合わせを表す。BDは、ILVUの代わりに、各TSにおけるアングル切り換え点を用いて、ビデオの連続性を確実にする一方でストリームを切り換えることが可能な点をマーキングして、上記単位における提示データの持続時間を制限しない。
【0008】
VOBU、TS、RTPやその他のパケット化マルチメディア形式におけるオーディオ・パケット、ビデオ・パケット及びサブピクチャ・パケットは全て、通常、復号化するために配信されるべき時点を示す第1のタイプのタイムスタンプ、及び提示すべき時点を示す第2のタイプのタイムスタンプによってマーキングされる。VOBUの場合、配信タイムスタンプは、ISO/IEC13818−1に規定されているように「system_clock_reference」において符号化される。伝送ストリーム(TS)の場合、配信タイムスタンプは通常、ISO/IEC13818−1から導き出された技術仕様の一部に規定されているように、「arrival_timestamps」と呼ばれる。本明細書及び特許請求の範囲の記載では、「arrival_timestamp」の語は併せて、VOBU及びTSにおける配信タイムスタンプを表す。提示タイムスタンプは、ISO/IEC13818−Iに規定された通常のPTSである。
【0009】
別々のバッファリング・モデル及び復号器の設計によって、単一のVOBUにおける(、又はTSにおけるアングル切り換え点マーカにおける)非ビデオ・パケットは、同様な提示時間を全て表す訳でないことがあり得る。例えば、オーディオ・パケットは提示時間8を表すことができる一方、ビデオ・パケットは提示時間4を表すことができ、提示時間4のオーディオ・パケットは先行VOBUから配信されている。オーディオ・データ及びサブピクチャ/サブタイトル・データが、並列の提示における別々のA/Vストリームの場合に、ILVUにおけるVOBU間(、又はTS間)で同一である場合、ILVU又はTSの切り換えは、オーディオ、サブピクチャ/サブタイトル、及び、ビデオの同期化、又は対応/同期化に対する影響を有しない。しかし、オーディオ及びサブピクチャのデータ・パケットが、別々のA/VストリームのVOBU間又はTS間で異なる場合、新たなVOBU又はTSからのビデオの提示時間に対応するオーディオ・パケット又はサブピクチャ/サブタイトル・パケットが先行VOBU又はTSから既に配信されているという場合が生じ得る。それによって、適切な時点で提示されているが、現行のコンテキストと対応/同期化されていないオーディオ又はサブピクチャ/サブタイトルが生じる。
【0010】
よって、オーディオ・データ及びサブピクチャ・データが、前述の光ディスク形式の何れか1つから再生される同期化された並列A/Vストリームにおいてコンテキスト的に異なっており、提示中に種々のA/Vストリームを視聴者が相互作用的に選択するうえでストリームの連続性、並びにビデオ・データとの同期化を維持するようにデータを記憶する方法に対する必要性が存在している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来技術の前述並びにその他の欠点及び不利点は、同期化されたストリーム・パッキングに関する本発明によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の局面によれば、並列の提示におけるA/Vストリーム間でコンテキスト的に異なるパケットの同期化されたストリーム・パッキングの方法を提供する。上記方法は、ビデオ・パケットの到着タイムスタンプ及び/又は提示タイムスタンプそれぞれに一致する到着タイムスタンプ及び/又は提示タイムスタンプを有するサブピクチャ/サブタイトル・パケット及び/又はオーディオ・パケットを識別する工程を含む。上記方法は、識別されたサブピクチャ/サブタイトル・パケット及びオーディオ・パケット、並びに一致するタイムスタンプを有するビデオ・パケットによってビデオ・オブジェクト単位(VOBU)及び/又は伝送ストリーム(TS)をパッキングする工程も含む。
【0013】
本発明の更に別の局面によれば、並列の提示におけるA/Vストリーム間でコンテキスト的に異なるパケットの同期化されたストリーム・パッキングの装置を提供する。上記装置は、ビデオ・パケットの到着タイムスタンプ及び/又は提示タイムスタンプそれぞれに一致する到着タイムスタンプ及び/又は提示タイムスタンプを有するサブピクチャ/サブタイトル・パケット及び/又はオーディオ・パケットを識別する手段を含む。上記装置は、識別されたサブピクチャ/サブタイトル・パケット及びオーディオ・パケット、並びに一致するタイムスタンプを有するビデオ・パケットによってビデオ・オブジェクト単位(VOBU)及び/又は伝送ストリーム(TS)をパッキングする手段も含む。
【0014】
本発明の更なる局面によれば、並列の提示においてコンテキスト的に異なる複数のA/Vストリームのうちから別のA/Vストリームを提示する方法を提供する。上記方法は、インタリーブ単位(ILVU)における最初のビデオ・オブジェクト単位(VOBU)の最初、又は伝送ストリーム(TS)におけるアングル切り換え点マーカにおけるオーディオ・パケットにオーディオ・フレーム・ヘッダをパッキングする工程を含む。上記方法は、完全なオーディオ・フレームで結ぶように、ILVUにおける、若しくは複数のA/Vストリームのうちの同じA/Vストリームにおける別のILVUにおける最後のVOBUにおける、又はTSにおける別のアングル切り換え点マーカの直前の、最終オーディオ・パケットをパッキングする工程も含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の前述並びにその他の局面、特徴及び利点は、添付図面に関して検討するものとする、以下の、例示的な実施例の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0016】
本発明は、以下の例示的な図によって、より深く理解することができる。
【実施例】
【0017】
本発明は、同期化されたストリーム・パッキングに関する。一実施例によれば、オーディオ・コンテンツ及び/又はサブピクチャ/サブタイトル・コンテンツが異なるインタリーブされた複数のオーディオ/ビデオ(A/V)の提示間のシームレスな切り換えを可能にするために、多重化されたストリーム(例えば、MPEGプログラム・ストリーム及び伝送ストリーム)内のオーディオ・パケット及びサブピクチャ・パケットの編成を制御する方法を提供する。
【0018】
本明細書は、本発明の原理を例証する。よって、本明細書及び特許請求の範囲に明示的に説明されているものでないか、又は示されているものでないが、本発明の原理を実施し、その趣旨及び範囲内に含まれる種々の構成を当業者が考え出すことができるであろう。
【0019】
本明細書及び特許請求の範囲記載の、例、及び条件付き言い回しは全て、本発明の原理、及び、技術を進展させるために本願発明者が寄与する本願の概念の理解を支援するという教示の目的のためであることが意図されており、前述の特に記載された例及び条件に限定されないと解されるものとする。
【0020】
更に、本発明の原理、局面及び実施例、並びにその具体例を記載した、本明細書及び特許請求の範囲内の提示は全て、その構造的な均等物及び機能的な均等物を包含することが意図されている。更に、現在知られている均等物、及び、将来において開発される均等物(すなわち、構造に係わらず、同じ機能を行う、開発される何れかの構成要素)を前述の均等物が含むことが意図されている。
【0021】
よって、例えば、本明細書記載のブロック図が、本発明の原理を実施する例証的な回路の概念図を表すことが当業者によって認識されるであろう。同様に、コンピュータ又はプロセッサを明示的に示しているか否かに係わらず、コンピュータ読み取り可能な媒体において実質的に表し、よって、コンピュータ又はプロセッサによって実行することができる種々の処理を、何れかのフローチャート、フロー図、状態遷移図、疑似コード等が表すことが認識されるであろう。
【0022】
図に示す種々の構成要素の機能は、専用ハードウェア、並びに適切なソフトウェアと関連してソフトウェアを実行することができるハードウェアを用いることによって備えることができる。プロセッサによって備えられる場合、機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、又は複数の個々のプロセッサ(一部は共有され得る)によって備えることができる。更に、「プロセッサ」又は「コントローラ」の語を明示的に用いていることは、ソフトウェアを実行することができるハードウェアを排他的に表していると解されないものとし、ディジタル信号プロセッサ(「DSP」)ハードウェア、ソフトウェアを記憶するリード・オンリー・メモリ(「ROM」)、ランダム・アクセス・メモリ(「RAM」)、及び不揮発性記憶装置を限定なしで暗黙的に含み得る。
【0023】
他のハードウェア(通常のハードウェア及び/又はカスタム)も含むことができる。同様に、図に示すスイッチは何れも、概念的なものに過ぎない。その機能は、プログラム・ロジックの処理によって、専用ロジックによって、プログラム制御と専用ロジックとの相互作用によって行うことができ、又は手作業によっても行うことができる。具体的な手法は、意味合いから、より具体的に理解されるように実施者によって選択可能である。
【0024】
本願の特許請求の範囲では、特定された機能を行う手段として記載された構成要素は、前述の機能を行う何れかの手段(例えば、a)その機能を行う回路要素の組み合わせ、b)何れかの形態のソフトウェア(よって、上記機能を行うために上記ソフトウェアを実行する適切な回路と組み合わせた、ファームウェア、マイクロコード等を含む)を含む)を包含することが意図されている。前述の特許請求の範囲記載の本発明は、特許請求の範囲が要求するやり方で、記載された種々の手段によって提供される機能が組み合わせられ、集約されることにある。よって、前述の機能を提供することが可能な如何なる手段も、本明細書及び特許請求の範囲記載のものと均等であるものとする。
【0025】
図1に移れば、本発明を適用することができるディジタル多用途ディスク(DVD)プレイヤ10は、参照番号10によって全体を示す。DVDプレイヤ10は、サーボ機構14の制御下でDVD13を回転させるドライブ・モータ12を含む。やはりサーボ機構14によって制御されるピックアップ・ヘッド・モータ16は、光ピックアップ・ヘッド18をDVD13にわたって移動させて、それによって収容される情報を読み出す役目を担う。プリアンプ20は、復号器22に入力するために、ピックアップ・ヘッド18の出力を増幅する。復号器22は、DVD13から読み出された光情報を復号化してプログラム・ストリームをもたらす。逆多重化器24は、通常、メタデータ等の形式で、別個の成分((a)オーディオ・ストリーム、(b)ビデオ・ストリーム、(c)サブピクチャ・ストリーム、及び(d)ナビゲーション情報)にプログラム・ストリームを逆多重化する。
【0026】
オーディオ・ストリーム、ビデオ・ストリーム及びサブピクチャ・ストリームは、オーディオ復号器26、ビデオ復号器28及びサブピクチャ復号器30それぞれのうちの別個の1つによる復号化を受ける。同期化器32(場合によっては、提示エンジンとして知られている)は、別個に復号化されたオーディオ・ストリーム、ビデオ・ストリーム及びサブピクチャ・ストリームを同期化させ、NTSC又はPALに限定されないがそれらを含むいくつかの既知のテレビジョン形式の1つによって適切に再生するための埋め込まれたオーディオを備えたビデオ・ストリームに合成する。ビデオ・ディジタル・アナログ変換器34は、テレビジョン受像機などのディスプレイ装置(図示せず)上に表示するために、ビデオ・ストリームをアナログ・ビデオに変換する一方、オーディオ・ディジタル・アナログ変換器36は、ディスプレイ装置によるか、又は他の手段(図示せず)による後の再生のために、埋め込まれたオーディオをアナログ・オーディオに変換する。
【0027】
DVDプレイヤ10内では、通常、関連したメモリを有するマイクロプロセッサ、又はマイクロコンピュータ若しくはマイクロコントローラの形態の中央処理装置(CPU)38は、視聴者インタフェース(U/I)40(通常、リモコンの形式の赤外線(I/R)送信器、及びI/R受信器の組み合わせを備える)を介して入力される視聴者コマンドに応じて、ナビゲーション、及びDVDプレイヤの他の局面を制御する役目を担う。特にナビゲーションに関しては、CPU38は、復号化されたメタデータを逆多重化器24から受信し、同期化器32によって受信されるためのメニュー情報を生成する。このようにして、メニュー情報は最終的には、視聴者によって視聴されるために最終的に表示される。表示された情報に応答して、視聴者は通常、CPU38によって受信されるための1つ又は複数のコマンドをU/I40を介して入力する。CPU38は今度は、ピックアップ・ヘッド18を移動させて、所望のプログラム・コンテンツを取り出すようサーボ機構14を制御する。
【0028】
DVD技術仕様(DVD Specifications for Read−Only Disc / Part 3. VIDEO SPECIFICATIONS、 Version 1.0, August 1996)は、ビデオ・オブジェクト単位(VOBU)としてDVDナビゲーションが施すことが可能な最小のオブジェクトを規定している。VOBUは通常、約0.4乃至1.2秒の再生持続時間に対応する、多重化されたビデオ・データ、オーディオ・データ、サブピクチャ・データ、ハイライト・データ、及びその他のナビゲーション・データを含む。複数のオーディオ及びサブピクチャのデータ・サブストリーム(例えば、ステレオ・オーディオ・サブストリーム及びサラウンドサウンド・オーディオ・サブストリーム、並びに/又は、ドイツ語及びポルトガル語のサブタイトル)が各VOBUにおいて存在し得る。前述の多重化されたデータのこの組み合わせは、「A/Vストリーム」を構成する。マルチアングル・セグメントでは、シームレスな切り換え又はほぼシームレスな切り換えのためにストリ―ム間のすばやいアクセスを可能にするために、複数のA/Vストリームが、単一のビデオ・オブジェクト(VOB)ストリームに併せてインタリーブされる。
【0029】
DVD技術仕様は、A/Vストリームの同期化を備える、共通のタイムスタンプ内の複数のアングルのA/Vストリーム・コンテンツを合わせるための1つ又は複数のVOBUのブロックとしてインタリーブ単位(ILVU)を規定している。再生中、同期化器32は、現在選択されているA/Vストリームに対応するILVUのみを復号化し、表示する。DVD技術仕様は、アングルの数(すなわち、利用可能なストリームの数)、物理装置の走査速度、及び復号化バッファ(図示せず)のサイズに基づいてILVUの最大サイズを規定している。この最大サイズを超えた場合、何れのアングルのシームレスな再生も保証することが可能でない。
【0030】
一実施例によれば、提示中に別のオーディオ/ビデオ(A/V)ストリームの選択において、サブピクチャ/サブタイトル、オーディオ及びビデオのデータ間の同期化を維持し、前述のデータ間の連続性を備えるために、並列に提示される複数のオーディオ・ビデオ・ストリームのうちの少なくとも1つのうちのサブピクチャ/サブタイトル・デ―タ及び/又はオーディオ・デ―タの記憶の方法を提供する。
【0031】
並列の提示におけるA/Vストリーム間でコンテキスト的に異なるオーディオ・パケット及びサブピクチャ/サブタイトル・パケットのビデオとの一定の同期化及び一致を確実にするために、ビデオ・オブジェクト単位(VOBU)又は伝送ストリーム(TS)は、ビデオ・パケットの到達タイムスタンプに到着タイムスタンプが(サブピクチャ/サブタイトル・パケット又はオーディオ・パケットそれぞれの時間基準の一単位内で)一致するサブピクチャ/サブタイトル・パケット及びオーディオ・パケットを含むべきである。サブピクチャ/サブタイトルは通常、固有のフレーム・レートを有しておらず、その代わり、そのフレーム・レートは通常、ビデオ・フレーム・レートから導き出されるか、又はビデオ・フレーム・レートに関係している。同様のルールが提示タイムスタンプにあてはまる。VOBU又はTSは、ビデオ・パケットの提示タイムスタンプに提示タイムスタンプが(サブピクチャ/サブタイトル・パケット又はオーディオ・パケットの時間基準の一単位内で)一致するサブピクチャ/サブタイトル・パケット及びオーディオ・パケットを含むべきである。VOBU又はTSがこのようにしてパッキングされた場合には、別のA/VストリームのVOBU間又はTS間でオーディオ又はサブピクチャ/サブタイトル・データが異なる場合に、オーディオ・データ、サブピクチャ/サブタイトル・データ、及びビデオ・データ間の同期化、及びコンテキスト的一致が維持される。
【0032】
更なる課題は、新たなA/VストリームのILVUが提示された場合のオーディオ・データ又はサブピクチャ/サブタイトル・データの潜在的な破損である。前述のILVUにおける最初のVOBUの最初における(、又はTSのアングル切り換え点マーカにおける)オーディオ・データ・パケット又はサブピクチャ・データ・パケットが、断片化されており、後続の完全なパケットが生起するまで復号化することができないことがあり得るからである。
【0033】
この課題を解決するために、ILVUにおける最初のVOBUの最初における(、又はTSのアングル切り換え点マーカにおける)オーディオ・データ・パケットはオーディオ・フレーム・ヘッダを含むべきであり、ILVUにおける最後のVOBUにおける最後のオーディオ・パケット(又は、TSにおけるアングル切り換え点マーカ直前の、最後のオーディオ・パケット)は、完全なオーディオ・フレームを含むべきである(すなわち、オーディオ・フレームの断片化は、何れのILVU境界をまたがっても(又は何れのアングル切り換え点マーカをまたがっても)生起すべきでない)。同様に、サブピクチャ/サブタイトル・データは、サブピクチャ単位(SPU)ヘッダ又はエポック開始ヘッダから始まらなければならない。
【0034】
図2に移れば、並列の提示におけるA/Vストリーム間でコンテキスト的に異なるパケットの同期化されたストリーム・パッキングの方法を、参照番号200によって全体を示す。
【0035】
方法200は、機能ブロック210に制御を移す開始ブロック205を含む。機能ブロック210は、ビデオ・パケットの到着タイムスタンプに到着タイムスタンプが一致するサブピクチャ/サブタイトル・パケット及び/又はオーディオ・パケットを識別し、機能ブロック220に制御を移す。
【0036】
機能ブロック220は、識別されたサブピクチャ/サブタイトル・パケット及びオーディオ・パケット、並びに一致する到着タイムスタンプを有するビデオ・パケットによってビデオ・オブジェクト単位(VOBU)又は伝送ストリーム(TS)をパッキングし、終了ブロック225に制御を移す。終了ブロック225は上記方法を終結させる。
【0037】
図3に移れば、並列の提示におけるA/Vストリーム間でコンテキスト的に異なるパケットの同期化されたストリーム・パッキングの方法を、参照番号300によって全体を示す。
【0038】
方法300は、機能ブロック310に制御を移す開始ブロック305を含む。機能ブロック310は、ビデオ・パケットの提示タイムスタンプに提示タイムスタンプが一致するサブピクチャ/サブタイトル・パケット及び/又はオーディオ・パケットを識別し、機能ブロック320に制御を移す。機能ブロック320は、識別されたサブピクチャ/サブタイトル・パケット及びオーディオ・パケット、並びに一致する提示タイムスタンプを有するビデオ・パケットによってビデオ・オブジェクト単位(VOBU)又は伝送ストリーム(TS)をパッキングし、終了ブロック325に制御を移す。終了ブロック325は上記方法を終結させる。
【0039】
図4を参照すれば、並列の提示においてコンテキスト的に異なる複数のA/Vストリームのうちから別のA/Vストリームを提示する方法を、参照番号400によって全体を示す。
【0040】
方法400は、機能ブロック410に制御を移す開始ブロック405を含む。機能ブロック410は、インタリーブ単位(ILVU)における最初のビデオ・オブジェクト単位(VOBU)の最初におけるオーディオ・パケットにオーディオ・フレーム・ヘッダをパッキングするか、又は、伝送ストリーム(TS)におけるアングル切り換え点マーカにおけるオーディオ・パケットにオーディオ・フレーム・ヘッダをパッキングし、制御を機能ブロック420に移す。
【0041】
機能ブロック420は、完全なオーディオ・フレームで結ぶ(オーディオ断片化が、どのILVU境界又はアングル切り換えマーカをまたがっても存在しない)ように、上記ILVUにおける(、若しくは同じA/Vストリームにおける別のILVUにおける)最後のVOBUにおける最後のオーディオ・パケットをパッキングするか、又は、TSにおける別のアングル切り換え点マーカ直前の最後のオーディオ・パケットをパッキングし、機能ブロック430に制御を移す。
【0042】
機能ブロック430は、サブピクチャ単位(SPU)ヘッダ又はエポック開始ヘッダで始まるようサブピクチャ/サブタイトル・パケットをパッキングし、終了ブロック435に制御を移す。終了ブロック435は、上記方法を終結させる。
【0043】
図5に移れば、マルチアングル・ビデオのVOBUデータ構造及びILVUデータ構造との多重化されたA/Vストリーム・データの関係を、参照番号500によって全体を示す。図5に示すように、図1の復号器22によって復号化されたプログラム・ストリームの各ブロックは、ナビゲーション・パケット(NV_PCK)、ビデオ・パケット(V_PCK)、オーディオ・パケット(A_PCK)及びサブピクチャ・パケット(SP_PCK)を含む。シームレスなアングル毎の次のILVUがある場所を示すILVU開始点のテーブルを含む、各VOBUの最初におけるNV_PCKのナビゲーション・データ構造(DSI)部分におけるシームレス・アングル情報データ構造(SML_AGLI)を規定している。前述の情報によって、次のILVUを提示し始める準備ができている場合にVOBストリーム内で進む場所についてサーボ機構14を図1のCPU38が制御することが可能になる。
【0044】
更に、DVD技術仕様は、相互作用ボタンのハイライト情報(HLI)を表す各VOBUの最初におけるナビゲーション・データの一部分内のいくつかのデータ構造を規定する。前述のデータ構造(ハイライト一般情報(HLI_GI)、ボタン色情報テーブル(BTN_COLIT)やボタン情報テーブル(BTN_IT)など)は、画面表示に表示されるボタンの数、位置、外観及び機能を規定する。
【0045】
本発明の前述並びにその他の特徴及び利点は、本明細書及び特許請求の範囲記載の教示に基づいて当業者によって容易に確認することができる。本発明の教示は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、特定用途向プロセッサ、又はこれらの組み合わせの種々の形態で実現することができる。
【0046】
最も好ましくは、本発明の教示はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせとして実現される。更に、ソフトウェアは好ましくは、プログラム記憶装置上に有形に実施されたアプリケーション・プログラムとして実現される。アプリケーション・プログラムは、何れかの適切なアーキテクチャを備えるマシンにアップロードすることができ、前述のマシンによって実行することができる。本明細書及び特許請求の範囲記載の種々の処理及び機能は、マイクロ命令コードの一部若しくはアプリケーション・プログラムの一部、又はそれらの何れかの組み合わせ(CPUによって実行することができる)であり得る。
【0047】
更に、添付図面に表した構成システム部分及び構成方法の一部は好ましくはソフトウェアで実現されるので、システム構成部分間又は処理機能ブロック間の実際の接続は、本発明がプログラムされるやり方によって変わり得る。本明細書及び特許請求の範囲に記載の教示が与えられれば、当業者は、本発明の前述及び同様の実現形態又は構成を考え出すことができるであろう。
【0048】
添付図面を参照して例証的な実施例を本明細書及び特許請求の範囲において説明したが、本発明は前述のまさにその実施例に限定されるものでなく、本発明の範囲又は趣旨から逸脱しない限り、当業者によって種々の変更及び修正を行うことができる。前述の変更及び修正は全て、特許請求の範囲記載の本発明の範囲内に含まれることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の例示的な実施例による、本発明を適用することができるDVDプレイヤを示すブロック図である。
【図2】本願の原理による、並列の提示におけるA/Vストリーム間でコンテキスト的に異なるパケットの同期化されたストリーム・パッキングの方法を示すフロー図である。
【図3】本願の原理による、並列の提示におけるA/Vストリーム間でコンテキスト的に異なるパケットの同期化されたストリーム・パッキングの方法を示すフロー図である。
【図4】本願の原理による、並列の提示においてコンテキスト的に異なる複数のA/Vストリームのうちから別のA/Vストリームを提示する方法を示すフロー図である。
【図5】オーディオ/ビデオ・ストリーム、ビデオ・オブジェクト単位(VOBU)、及びインタリーブ単位(ILVU)の間の関係を示すブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列の提示におけるA/Vストリーム間でコンテキスト的に異なるパケットの同期化されたストリーム・パッキングの方法であって、
ビデオ・パケットの到着タイムスタンプ及び提示タイムスタンプそれぞれの少なくとも一方に一致する到着タイムスタンプ及び提示タイムスタンプの少なくとも一方を有するサブピクチャ/サブタイトル・パケット及びオーディオ・パケットの少なくとも一方を識別する工程と、
前記識別されたサブピクチャ/サブタイトル・パケット及びオーディオ・パケット、並びに前記一致するタイムスタンプを有する前記ビデオ・パケットによってビデオ・オブジェクト単位(VOBU)及び伝送ストリーム(TS)の少なくとも一方をパッキングする工程とを備える方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、ディジタル多用途ディスク(DVD)プレイヤ、ディジタル・ビデオ・ディスク(DVD)プレイヤ、高品位ディジタル多用途ディスク(HD DVD)プレイヤ及びブルーレイ・ディスク(BD)プレイヤのうちの1つにおいて行われる方法。
【請求項3】
請求項1記載の、並列の提示におけるA/Vストリーム間でコンテキスト的に異なるパケットの同期化されたストリーム・パッキングの方法を行うために、マシンによって実行可能な命令のプログラムを有形に実施する、マシンによって読み取り可能なプログラム記憶装置。
【請求項4】
並列の提示におけるA/Vストリーム間でコンテキスト的に異なるパケットの同期化されたストリーム・パッキングの装置であって、
ビデオ・パケットの到着タイムスタンプ及び提示タイムスタンプそれぞれの少なくとも一方に一致する到着タイムスタンプ及び提示タイムスタンプの少なくとも一方を有するサブピクチャ/サブタイトル・パケット及びオーディオ・パケットの少なくとも一方を識別する手段と、
前記識別されたサブピクチャ/サブタイトル・パケット及びオーディオ・パケット、並びに前記一致するタイムスタンプを有する前記ビデオ・パケットによってビデオ・オブジェクト単位(VOBU)及び伝送ストリーム(TS)の少なくとも一方をパッキングする手段とを備える装置。
【請求項5】
請求項4記載の装置であって、ディジタル多用途ディスク(DVD)プレイヤ、ディジタル・ビデオ・ディスク(DVD)プレイヤ、高品位ディジタル多用途ディスク(HD DVD)プレイヤ及びブルーレイ・ディスク(BD)プレイヤのうちの1つにおいて実現される装置。
【請求項6】
並列の提示においてコンテキスト的に異なる複数のA/Vストリームのうちから別のA/Vストリームを提示する方法であって、
インタリーブ単位(ILVU)における最初のビデオ・オブジェクト単位(VOBU)の最初、又は伝送ストリーム(TS)におけるアングル切り換え点マーカにおけるオーディオ・パケットにオーディオ・フレーム・ヘッダをパッキングする工程と、
完全なオーディオ・フレームで結ぶように、前記ILVU、若しくは、前記複数のA/Vストリームのうちの同じA/Vストリームにおける別のILVUにおける最後のVOBUにおける、又は、前記TSにおける別のアングル切り換え点マーカ直前の、最後のオーディオ・パケットをパッキングする工程とを備える方法。
【請求項7】
請求項6記載の方法であって、ディジタル多用途ディスク(DVD)プレイヤ、ディジタル・ビデオ・ディスク(DVD)プレイヤ、高品位ディジタル多用途ディスク(HD DVD)プレイヤ及びブルーレイ・ディスク(BD)プレイヤのうちの1つにおいて行われる方法。
【請求項8】
請求項6記載の方法であって、どのILVU境界又はアングル切り換えマーカをまたがってもオーディオ・フレームの断片化が存在しないように前記最後のオーディオ・パケットがパッキングされる方法。
【請求項9】
請求項6記載の方法であって、サブピクチャ単位(SPU)ヘッダ及びエポック開始ヘッダの一方で始めるようサブピクチャ/サブタイトル・パケットをパッキングする工程を更に備える方法。
【請求項10】
請求項6記載の、並列の提示においてコンテキスト的に異なる複数のA/Vストリームのうちから別のA/Vストリームを提示する方法を行うために、マシンによって実行可能な命令のプログラムを有形に実施する、マシンによって読み取り可能なプログラム記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−539656(P2008−539656A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508844(P2008−508844)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/009588
【国際公開番号】WO2006/115606
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】46 Quai A. Le Gallo, F−92100 Boulogne−Billancourt, France
【出願人】(506351709)エムエクス エンターテインメント インコーポレイテツド (6)
【Fターム(参考)】