説明

同種腫瘍細胞又は異種腫瘍細胞を含む腫瘍ワクチン

【課題】本発明は、腫瘍を治療するための組成物であって、(i)同種腫瘍細胞又は異種腫瘍細胞;及び(ii)薬学的に許容可能な賦形剤を含む該組成物を提供する。
【解決手段】2個体以上のヘテロ接合個体が、同一の又は類似する組織学的グレードである同様のガン又は腫瘍を有する場合に、1つの個体から別の個体に腫瘍又はガンの組織又は細胞を移植することは、移植された組織又はガンの拒絶反応を誘発するだけでなく、該腫瘍又はガンと、類似のペプチドを有する他の腫瘍との間で共有されるペプチドに対する免疫系の免疫認識をも増強する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、腫瘍の治療に関する。特に、本発明は、腫瘍の免疫介在性の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
免疫系は2つの系列からなり、この2系列は速さと特異性により区別されるが、複雑に関連して、内因性傷害及び外因性傷害の両方に対し速やかで制御された応答を示す16,21
。自然免疫系(innate immune system)は、物理的傷害、化学的傷害及び微生物学的傷害に対し、即時型の宿主防御を提供する16,21。自然免疫系は、好中
球、単球、マクロファージ、補体、サイトカイン及び急性期タンパク質を含む16,21。自
然免疫系は抗原特異性を欠くにもかかわらず、自己を非自己である外来性のペプチドと識別することができる16,21。しかしながら、適応免疫(adaptive immuni
ty)では、高度に特異的な抗原に対する応答の際に、Bリンパ球及びTリンパ球を必要とする16,21。適応免疫の利点の1つは、更なる刺激に対し、より強く且つより速やかな
応答をもたらす、免疫記憶の能力である8,9
【0003】
適応免疫(特異的免疫)の決定的な特徴は、標的免疫応答において、抗原特異的な受容体を有するTリンパ球とBリンパ球を使用する点である16,21。主要なT細胞のエフェク
ターは、CD4受容体を有するヘルパーT細胞と、CD8受容体を有する細胞傷害性T細胞である16,21。ヘルパーT細胞は、MHCIIと相互作用し、免疫応答を協調し、外来
性の抗原を認識し、免疫系の種々の部分を活性化し、B細胞を活性化することに関与している。細胞傷害性T細胞は、MHCI受容体と相互作用し、外因性病原体に対する免疫応答の開始に関与する16,21
【0004】
主要組織適合複合体(MHC)は、免疫応答の制御や調節において重要な役割を果たすタンパク質をコードする遺伝子領域である10,16。MHCの遺伝子産物は、その構造及び
生物学的特性に基づき、2つの別々のグループ、つまりMHCII及びMHCIIに分類される10,16。MHCクラスI受容体は、全ての有核細胞上に存在する10,16。該MHCクラスI受容体は、内因的に合成されたペプチドを提示し、自己の認識と密接に関連する。MHCクラスII受容体は、免疫応答に関連する細胞上にのみ見出され、細菌により産生されるタンパク質のような外因性のタンパク質を提示する10,16。以前は、MHCIが腫
瘍の拒絶反応に関与すると考えられていたが、最近になってMHCIIが拒絶反応の一因となることが見出された。
【0005】
MHCクラスI分子に結合する抗原の多様性は、互いに関連する3つの基本的な原則に基づく。第一に、クラスI分子は、多くの異なる配列を有するペプチドと結合する能力を有する2,16。これらのMHCクラスI:抗原複合体は、細胞障害性Tリンパ球(CDS)により認識され、最終的には類似する外来性タンパク質を有する細胞の破壊をもたらす2,16。第二に、各生物は多くの異なるクラスI遺伝子を発現する2,16。最後に、MHCは各遺伝子座において、多くの対立遺伝子を有する遺伝子多型を示す2,16,23。ヒトの場合に
は、MHCIは、ヒト白血球抗原(HLA)と呼ばれる2以上の遺伝子座で表され、該遺伝子座はHLA−A、HLA−B及びHLA-Cであり、このうち最も多くの遺伝子多型
を有するのはHLA−Bである16,23。これらの要因は、高度な個体差と、選択圧を生じ
させる制御因子、つまり細胞性免疫系の必要性とを示唆している。
【0006】
個体間での器官や組織の移植の際に利用されるのは、この高度な特異性と最も重要な選択圧である23。一卵性双生児や遺伝的に近い親族は、類似したHLA遺伝子座を有するため、移植された組織を拒絶する可能性が低い16。これは、MHCIが共優性的に発現し、殆どの場合、組換えなしで未変化の状態で遺伝するという事実に基づく16,23。従って、
一卵性双生児及び同系のラットのようなホモ接合個体は、理論的にはそのホモ接合体ドナーから脳腫瘍を受容することが可能である。しかしより重要なことは、ホモ接合個体が、特異的な標的免疫応答に基づきヘテロ接合体ドナーからの脳腫瘍を拒絶することである。
【0007】
前述したように、MHCクラスI受容体は、免疫応答において重大な役割を果たす殆どの細胞上に位置する表面糖タンパク質である。これらのMHCクラスIは、抗原ペプチドに結合し、ナチュラルキラー細胞及びCD8と相互作用する5,16,25。これらのペプチド
は、ウイルス感染細胞及び腫瘍感染細胞由来の、分解された内在性タンパク質に由来する5,16,25。抗原プロセシングは、多くの工程を含む複雑な機構である。これらの工程のい
ずれかに問題があると、MHCクラスI:抗原複合体が発現されず、T細胞による認識と破壊が回避される可能性がある12。MHCI複合体の喪失又は調節不全は、CD8による破壊を回避するための、頻繁に観察される機構である12。この「自己喪失」17マーカーは、MHCI複合体との相互作用により阻害され、HLA−2/HAの発現が低下した細胞により刺激される、ナチュラルキラー細胞による認識の増強を引き起こすことは、直観的に推測できよう18。完全に機能する免疫系であっても、未解明の回避方法により、腫瘍は認識を回避することができる12。この回避機構は十分理解されていないが、腫瘍を免疫系による認識から回避させる機構のいくつかは実験的に説明されている。これらの機構は、HLAハロタイプの欠損又は突然変異から、インターフェロンに対する不応答に及ぶ12。MHCクラスI受容体の変化又は欠損は、種々の腫瘍の発生に関連するが、MHCクラスI分子の存在は、ガンに対する耐性に関与することが示されている。
【0008】
MHCクラスI分子の抗腫瘍形成作用の一例は、ミトコンドリアDNAの完全性(integrity)の免疫監視において見出される。ある研究では、MHCI分子の役割の一つは、ミトコンドリアの突然変異体を有する細胞を除去することである13。ヒト神経膠腫細胞は、ミトコンドリアDNAとミトコンドリア複合体の両方に複数の突然変異を有する7。このデータから、同一の組織型又は組織学的グレードの神経膠腫は、そのDNA中
に同様の突然変異を有し、MHCクラスI分子と細胞膜の両方と結合する、同様の異常表面タンパク質を有すると推測できる。反対に、完全な免疫系は、腫瘍の発生及び進行を許容する場合もある。
【0009】
ある種のガンの進行は、腫瘍特異的抗原の発現とそれに付随する免疫応答に関連することが示されている15。従って、腫瘍の効果的な拒絶及び免疫は、ワクチンの自己接種のみでは達成できない。このような障害にも係らず、免疫系を使用してガンに対抗できるという証拠が増えている。調節を失った免疫系と正常に機能している免疫系は、ともにガンの免疫拒絶に対抗するが、一方、悪性腫瘍を自然拒絶するという結果が報告されている19,26。興味深いことに、自己免疫疾患は、悪性腫瘍患者の良好な予後に寄与する可能性があ
ることも示唆されている6,19。これらの患者においては、同定されたIgG特異性の大部分は、ヒトペプチド及び微生物ペプチドの両方に対し、かなりの相同性を有する14。ここから、観察された腫瘍の自己免疫は、分子擬態により開始される可能性があるという仮説が導かれる。これに関する研究によれば、4人の患者において、頭蓋内感染した後に、悪性の脳腫瘍の長期に亘る寛解が示され4、微生物感染したガン患者の生存率の向上が示さ
れた20,22。ここで、分子擬態誘導性の自己免疫を、腫瘍の治療に利用できるか否かとい
う疑問が生じる。重要なことに、ヒトタンパク質と他種のタンパク質との間には、かなりの相同性が存在することが示されている。更なる実験により、内皮細胞由来の異種抗原は、自己の血管形成内皮細胞に対する免疫寛容を妨げることができることが示された20。これは、腫瘍に対する自己寛容が、相同的な異種抗原との交差反応により妨げられる場合があることを示唆している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
発明の要約
本発明は、2個体以上のヘテロ接合個体が、類似する又は同一の組織学的グレードの、同様のガン又は腫瘍を有する場合に、1つ(又は2以上)の個体から別の(又は他方の)個体に腫瘍又はガンの組織又は細胞を移植することは、移植された組織又はガンの拒絶反応を誘発するだけでなく、該腫瘍又はガンと、類似のペプチドを有する他の腫瘍との間で共有されるペプチドに対する免疫系の免疫認識をも増強し得ることを見いだしたことに基づく。同種腫瘍は、樹立した腫瘍の予防接種に使用され、該腫瘍の大きさを減少させ、又は該腫瘍を除去し、記憶の持続を確立し得る。この技術は、最終的に原発腫瘍の拒絶反応を引き起こすだけでなく、免疫記憶の持続をも引き起こし、生物が再度腫瘍を発生することを予防する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第一の態様によれば、腫瘍を治療又は予防するための組成物は、
(i)同種腫瘍細胞又は異種腫瘍細胞;及び
(ii)薬学的に許容可能な賦形剤
を含む。
【0012】
同種細胞又は異種細胞は、1個体以上の同種個体又は同系個体により提供され、細胞全体又は溶解物のいずれかとして提供される。前記組成物は、同系細胞の溶解物を含んでいてもよい。
【0013】
本発明の第二の態様によれば、患者内の腫瘍を治療するための薬剤の製造において、同種腫瘍細胞又は異種腫瘍細胞が使用される。
【0014】
該薬剤は、同系細胞の溶解物を更に含んでいてもよい。同種腫瘍細胞又は異種腫瘍細胞は、細胞全体であっても細胞溶解物であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、腫瘍を治療するだけでなく、効果的に免疫系を腫瘍に標的し、従来の化学療法薬の送達又は標的に伴う問題を回避できるという利点を有する。更に、化学療法には多くの望ましくない副作用、例えば脱毛症、悪心、下痢、貧血及び感染リスクの増大があるが、本発明の治療法を用いればこれらの副作用は回避される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明を、添付図面を用いて説明する。
【図1】図1は、Sprague Dawleyラットにおける実験計画の概略図である。ラットは2つのグループに分けられた。同系細胞株(C6;SD−A)を投与されるラットと同種細胞株(9L;SD−B)を投与されるラットである。本研究の同系細胞株投与群は、2つのグループ:対照群(ラット5匹;SD−A1)と処置群(ラット4匹;SD−A2)とに分けられた。27日目に、4匹のSD−A1ラットを屠殺した。この時点で残っているSD−A1ラット(ラット9)を処置プロトコルに供した。初めに同種9L細胞株を注射した全てのSDラット(SD−B)の側腹部に、同系C6細胞株(100000個の細胞)を注射し、10日後に更に500000個のC6細胞をボーラス投与した。
【図2】図2は、Fisher344ラットにおける実験計画の概略図である。ラットは2つのグループに分けられた。同系9L細胞株を投与されるラット(FisherA)と同種C6細胞株を投与されるラット(FisherB)である。同系細胞株投与群のラット(FisherA)は、対照群(FisherA−1)と処置群(FisherA−2)とに分けられた。FisherA−1ラットには、同系RG2細胞、同系9L細胞又は培地のみを投与した。FisherA−2ラットは、同種細胞、同種細胞と同種細胞の溶解物、同系細胞の溶解物と異種細胞、又は異種細胞のみで処置された。FisherBラットには、初めに同種C6細胞を注射した。続いて、FisherBラットの側腹部に、同系9L細胞(100000個の細胞)を注射し、10日後に500000個の細胞をボーラス投与した。
【図3】図3は、同系腫瘍(C6)を皮下移植した9匹のSDラットにおける腫瘍の発生又は進行を示したグラフである。ラットは、前述したように、対照群か処置群のいずれかに分けられた。腫瘍の進行は、腫瘍体積(mm3)を測定することにより決定した。ラット1、2、3、4は、C6腫瘍移植後に何の処置も受けなかった。ラット5、6、7、8は、同種9L細胞及び同種9L細胞の溶解物と同系C6細胞の溶解物とで処置され。ラット9には、ラット5〜8の場合のような処置群に切換える前に、非常に大きな腫瘍が形成されていた。
【図4】図4は、同系腫瘍(9L)を皮下移植したFisher344ラット内での腫瘍の発生又は進行を示したグラフである。次いで、対照用ラット(FisherA−1)に、同系RG2細胞(ラット1)、同系9L細胞(ラット2)、又は培地のみ(ラット3)を注射した。ラット1については、注射する細胞の投与量を2倍にしたところ、非常に大きい腫瘍が形成された。処置したラット(FisherA−2)は、同種C6細胞のみ(ラット4)、同種C6細胞とその溶解物(ラット5)、同系9L細胞の溶解物と異種U87細胞及び異種LN229細胞(ラット6)、異種U87細胞及び異種LN229細胞のみ(ラット7)で処置された。ラット8は、同系9L細胞の溶解物のみで処置された。腫瘍の進行は、腫瘍体積(mm3)を測定することにより決定した。
【図5】図5は、対照Fisher344ラット(A)及び処置Fisher344ラット(B)から採取した腫瘍の切片を示す。切片は7μmの厚さで切り、前述したプロトコルに従って、CD4受容体に対する抗体で染色した。矢印は、CD4表面マーカーに陽性に染色している細胞の位置を示す。対照サンプル(A)と処置サンプル(B)の倍率は40倍である。
【図6】図6は、対照Fisher344ラット(A)及び処置Fisher344ラット(B)から採取した腫瘍の切片を示す。切片は7μmの厚さで切り、前述したプロトコルに従って、CD8受容体に対する抗体で染色した。矢印は、CD8表面マーカーに陽性に染色している細胞部位を示す。対照サンプル(A)と処置サンプル(B)の倍率は40倍である。
【図7】図7は、対照Fisher344ラット(A)及び処置Fisher344ラット(B)から採取した腫瘍の切片を示す。切片は7μmの厚さで切り、前述したプロトコルに従って、Bリンパ球に対する抗体(CD20)で染色した。矢印は、CD20表面マーカーに陽性に染色している細胞部位を示す(図5b)。対照サンプル(A)と処置サンプル(B)の倍率は40倍である。
【図8】図8は、対照Fisher344ラット(A)及び処置Fisher344ラット(B)から採取した腫瘍の切片を示す。切片は7μmの厚さで切り、前述したプロトコルに従って、マクロファージに対する抗体(CD68)で染色した。矢印は、CD68表面マーカーに陽性に染色している細胞部位を示す。対照サンプル(A)と処置サンプル(B)の倍率は40倍である。
【図9】図9は、対照Fisher344ラット(A)及び処置Fisher344ラット(B)から採取した腫瘍の切片を示す。切片は7μmの厚さで切り、前述したプロトコルに従って、樹状細胞マーカーに対する抗体(DRC)で染色した。矢印は、DRC表面マーカーに陽性に染色している細胞部位を示す。対照サンプル(A)と処置サンプル(B)の倍率は40倍である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
発明の説明
本発明は、同種腫瘍細胞又は異種腫瘍細胞及び同系細胞を利用して、患者の免疫系の認識(awareness)を増大させ、腫瘍を治療するものである。本発明の腫瘍細胞ワクチンは、同一の組織学的グレードではあるが異なるMHCI分子を有するガン又は腫瘍
で、類似するペプチドを共有する。
【0018】
前記ワクチンは、同種腫瘍細胞の全体もしくは異種腫瘍細胞の全体、又は同種腫瘍細胞の溶解物もしくは異種腫瘍細胞の溶解物を用いて調製される。該ワクチンは、1種以上の同系細胞の溶解物を更に含んでいてもよい。
【0019】
同種細胞又は異種細胞は、好ましくは、治療を受ける患者の腫瘍細胞と同じ(又は類似の)組織学的グレードの腫瘍細胞である。従って、患者が脳神経膠芽腫を有する場合には、前記ワクチンは、同種又は異種の脳神経膠芽腫細胞を用いて調製される。この方法によれば、細胞内に含まれるペプチドは類似し、適切な免疫応答が生じる可能性が高まる。
【0020】
ワクチン組成物は、通常、2個体以上のヘテロ接合個体に由来する、同種又は異種の細胞又は溶解物を含む。好ましくは、該ワクチン組成物は、少なくとも3個体のヘテロ接合個体に由来する、同種又は異種の細胞又は溶解物を用いて調製される。
【0021】
「同種の(allogeneic)」という用語は、同一種の異なる個体から採取された細胞を指す。
【0022】
「異種の(xenogeneic)」という用語は、異なる種の生物に由来するもの、又は異なる種の生物から得られるものを意味する。
【0023】
「同系の(syngeneic)」という用語は、同一種の遺伝的に同一なメンバーを意味する。例えば、一卵性双生児は、同系である細胞及び組織を有する。
【0024】
「同一又は類似する組織学的グレード」のガン又は腫瘍に関する記載について述べる。当業者であれば、これは同一種類のガンであり、同一の分化レベルを示すガンを指すことを理解するであろう。グレードの段階づけは、Elston−Ellis法に従って実施することができる(Simpson et al、J.Clin.Oncol.、2000;18:2059−2069)。
【0025】
「ガン」及び「腫瘍」という表現は、同義的に使用される。
【0026】
本発明は、治療有効量の同種腫瘍細胞又は異種腫瘍細胞と、場合により薬学的に許容可能な賦形剤とを投与することを含む医薬組成物を提供する。
【0027】
該医薬組成物は、ヒト医学及び獣医学におけるヒト用途又は動物用途であってもよく、典型的には薬学的に許容可能な賦形剤を含む。治療用途において許容可能な賦形剤は、薬学分野で良く知られており、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.(A.R.Gennaro 編集、1985年)に記載されている。医薬品賦形剤の選定は、意図する投与経路及び標準的な薬務に基づいて選択することができる。医薬組成物は、賦形剤として、又は賦形剤に加えて、いかなる適切な結合剤、潤滑剤、懸濁剤、コーティング剤、可溶化剤を含んでいてもよい。「賦形剤」という表現は、希釈剤及び担体を含む。
【0028】
医薬組成物には、保存剤、安定化剤及び染料が含まれていてもよい。保存剤の例としては、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸及びp−ヒドロキシ安息香酸のエステル類が挙げられる。酸化防止剤及び懸濁剤も使用されうる。
【0029】
異なった送達系に応じて、異なった組成物又は製剤が必要とされる場合がある。
【0030】
医薬組成物は、必要に応じて注射により非経口的に、例えば、静脈内、筋肉内又は皮下に投与することができる。非経口投与の場合には、医薬組成物は滅菌水溶液の形態で有効に使用でき、該滅菌水溶液は、他の物質、例えば、該溶液を血液と等張にするのに十分な塩類又は単糖類を含んでいてもよい。
【0031】
ワクチンは、本発明の組成物から調製されうる。
【0032】
有効成分として免疫原性細胞を含むワクチンの調製は、当業者に公知である。通常は、前記ワクチンは、溶液もしくは懸濁液のいずれかの注射液として調製され;注射に先立ち、液体中に溶解させるか又は懸濁するのに適した固体の形態で調製してもよい。製剤は乳化されていてもよく、又はリポソーム中に封入された細胞であってもよい。免疫原性の活性成分は、薬学的に許容可能でありかつ該活性成分と相溶性である賦形剤と混合されることがしばしばある。適切な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等、及びそれらの組合せである。
【0033】
更に、前記ワクチンは、所望により、ワクチンの有効性を増強する、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤、及び免疫賦活剤のような、少量の補助物質を含んでいてもよい。効果的な免疫賦活剤の例としては、水酸化アルミニウム、N−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(CGP 11637、ノル−MDPとも称される)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(CGP I9835A、MTP−PEとも称される)、及び細菌から抽出された3つの成分、モノホスホリル脂質A、トレハロースジミコレート及び細胞壁骨格(MPL+TDM+CWS)を2%スクアレン/Tween80乳濁液中に含むRIBI、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
免疫賦活剤及び他の薬剤の更なる例としては、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(ミョウバン)、硫酸ベリリウム、シリカ、カオリン、カーボン、油中水乳剤、水中油乳剤、ムラミルジペプチド、菌体内毒素、脂質X、コリネバクテリウム・パルバム(アクネ菌)、百日咳菌、ポリリボヌクレオチド、アルギン酸ナトリウム、ラノリン、リゾレシチン、ビタミンA、サポニン、リポソーム、レバミゾール、DEAB−デキストラン、ブロック共重合体又は他の合成免疫賦活剤が挙げられる。前記免疫賦活剤は、種々の供給元から、例えば、Merck Adjuvant 65(Merck and Company、lnc.、ローウェー、ニュージャージー州)又はFreund’s incomplete Adjuvant及びComplete Adjuvant(Difco Laboratories、デトロイト、ミシガン州)として市販されている。
【0035】
典型的には、Amphigen(水中油型)、Alhydrogel(水酸化アルミニウム)、又はAmphigenとAlhydrogelとの混合物のような免疫賦活剤が使用される。水酸化アルミニウムのみが、ヒトへの使用が認可されている。
【0036】
免疫原と免疫賦活剤との比率は、両者が有効量で存在する限り、広い範囲で変化してもよい。例えば、水酸化アルミニウムは、ワクチン混合物の約0.5%(Al23基準)の量で存在してもよい。該ワクチンは、免疫原を最終濃度が0.2〜200mg/mlの範囲内、好ましくは5〜50mg/mlの範囲内、最も好ましくは15mg/mlで含むように製剤するのが好都合である。
【0037】
ワクチンは、通常、注射により非経口的に、例えば皮下注射又は筋肉内注射のいずれかに投与される。
【0038】
通常は、個々の被験者に最も適するであろう実際の投与量を医師が決定するが、この投与量は、特定の患者の年齢、体重及び応答により変化する。以下に示す投与量は、平均的なケースの典型例である。より多い又はより少ない投与量範囲が有効な場合が個々に存在し得ることは言うまでもない。
【0039】
各成分の量は当業者に明らかである。適切な量は以下の通りである:
a)DNPで修飾され、異なるMHCIを有する1×106(±0.5×106)個の同種腫瘍細胞
b)DNPで修飾され、照射された2×106(±1×106)個の自己腫瘍細胞
c)2×106(±1×106)個の自己(同系)腫瘍細胞の溶解物
d)1×106(±0.5×106)個の同種腫瘍細胞の溶解物
添付図面を参照しつつ、本発明を更に説明する。
【実施例】
【0040】
細胞株及び細胞培養:
本実験で使用する細胞株は、ラット神経膠腫細胞株(9L、C6、RG2)及びヒト神経膠腫細胞株(U87、LN229)である。全ての細胞株は、American Type Tissue Collection(ATTC)から入手し、加湿した培養器中にて、37℃、5%CO2雰囲気下で、加熱滅菌した10%ウシ胎仔血清(FCS)、5
%ペニシリン−ストレプトマイシン及びHepesバッファーを添加したDulbecco’s Modified Eagles Medium(DMEM)(GIBCO、グランドアイランド、ニーヨーク州)中で培養した。
【0041】
細胞溶解物の調製:
1.0×105個の細胞を培養液の入った5mlチューブ内に入れ、2.5×103rpmで5分間遠心分離した。上清を捨て、150μlの滅菌蒸留水をチューブに添加した。細胞水溶液を十分混合し、1.0mlのエッペンドルフチューブに移し、1.0×104
で10分間遠心分離した。上清は捨てずに、この溶液全体を細胞溶解物の注入に使用した。
【0042】
抗体及び免疫組織化学:
Fisher344ラットから採取した腫瘍サンプルを、Optimum Temperature Compound(OTC)中で凍結させ、クリオスタット中で7μmの切片に切断した。これらの切片を乾燥し、アセトンで固定し、PBSで1〜2分間十分洗浄した。2次抗体を採取した種に由来する免疫血清を用いてブロッキングを行った。スライドを再度完全に洗浄し、次いでCD−4、CD−57(Nora Castro Lab Ltd.、バーリンゲーム、カリフォルニア州)、CD−8、樹枝状細網細胞(DRC)(Dako Corporation、カーペンテリア、カリフォルニア州)、CD−20、CD−68(Ventana、トゥーソン、アリゾナ州)に対する1次抗体で染色した。スライドを再度洗浄し、ビオチン化した2次抗体を添加した。これらを再度リンスし、PBS中に3%過酸化水素と9重量部の1%アジ化ナトリウムとを含む溶液中に入れた。次いで、スライドをリンスし、ABCを30〜40分間添加した。これらをPBSで洗浄し、ジアミノベンチジン四酢酸塩を用いて発色させ、対比染色した。全てのスライドの写真は、光学顕微鏡で撮影した。
【0043】
腫瘍増殖解析:
全ての腫瘍を目視検査と触診とにより検出した。腫瘍を検出した時点で、電気かみそりで剃ることにより、腫瘍の周囲の部分を更に露出させた。注射の際には、ノギスを用いて、腫瘍の大きさをミリメートル単位で測定した。測定は、頭部・尾部(長さ)方向、上方・下方(高さ)方向、中心部・側面部(幅)方向で行った。腫瘍体積は、長さ×幅×高さ×0.5により計算した。
【0044】
インビボ実験:
全ての動物プロトコルは、南カリフォルニア大学における施設内動物管理使用委員会(IACUC)により承認された。全てのラットを、無菌環境下にて維持した。実験用には、Sprague Dawleyラット及びFisher344ラットを使用した。全てのラットは雄であり、4〜6週齢であった。ラットは、Harlan(インディアナポリス、インディアナ州)から入手した。皮下腫瘍モデルにおいては、C6及び9Lは、洗浄
にDMEMのみを用いて組織培養瓶から回収した。次いで、150μl中に懸濁した100000〜150000個の細胞を含む注射器を準備した。
【0045】
Sprague Dawley(SD)ラットを2つのグループに分けた(図1)。SD−A(9匹のラット)に、SDラット用の同系様神経膠腫細胞株であるC6神経膠腫を移植した。SD−B(3匹のラット)に同種9L細胞株を注射した。グループAのラットの側腹部に触知可能な腫瘍が形成された時点で、これらのラットを更に2つのグループに分けた。SD−A1(対照群−5匹のラット)には注射を行わなかった。SD−A2(処置群−4匹のラット)には、同種9L細胞と、同種9L細胞の溶解物と、同系C6細胞の溶解物との組合せを注射した。27日目に、5匹のSD−A1のうちの4匹を屠殺した。この時、対照用ラットの1匹であるラット9に、SD−A2ラットと同じ処置プロトコルを開始した。免疫応答を増強するために、同種細胞と同系細胞の溶解物と同種細胞の溶解物との組合せを用いた。腫瘍を形成しなかったSD−Bラットに、同系C6細胞(100000個の細胞)を投与し、10日後に別の500000個のC6細胞を追加免疫することにより、免疫記憶を試験し、側腹部の腫瘍の形成を確認した。
【0046】
Fisherラットも2つのグループに分けた(図2)。Fisher−A(8匹のラット)には、同系9L細胞株を移植した。Fisher−B(3匹のラット)には、同種C6細胞株を注射した。Fisher−Aのラットの側腹部に触知可能な腫瘍が形成された時点で、これらのラットを更に2つのグループに分けた。Fisher A−1(対照群−3匹のラット)は、同系9L細胞、同系RG2細胞、又は培地のみを注射した。Fisher A−2(処置群−5匹のラット)には、同種C6細胞、同種C6細胞の溶解物、又は異種U87及び異種LN229細胞の組合せ、を投与した(図2参照)。最初に腫瘍を形成し、続いてこの腫瘍が拒絶されたFisher Bラットに、同種9L細胞とその溶解物との併用混合物を投与することにより、免疫記憶を試験し、腫瘍の増殖を確認した。
【0047】
皮下組織の採取
全ての実験動物は、過剰量のペントバルビタールを用いて安楽死させた。全ての腫瘍を取り除き、無菌状態下で解剖して4つの小片に切り取り、−80℃にて保管した。全ての腫瘍切片を7μmに切り、免疫組織化学により染色した。
【0048】
結果
神経膠芽腫に関する殆どの研究は、小型実験動物モデルを用いている。最も頻繁に使用される免疫応答性宿主モデルには、ラットの2つの異なる系統である、Sprague DawleyラットとFisher 344ラットが含まれる1。C6は、SDラットの同系様細胞株であり、一方9L細胞株及びRG2細胞株は、Fisher 344ラットと同系である1,11
【0049】
Fisherラットのうち3匹にC6細胞株を注射した(Fisher B)。明確な限局性腫瘍が形成されたが、この腫瘍はその後40日間で拒絶された。同様の手順を用いて、3匹のSDラットを9L細胞株で処置した(SD−B)。各SDラットは、目視可能又は触知可能な腫瘍の増殖を伴わずに、9L腫瘍を拒絶した。SD−Aラットには、各々C6細胞株を注射した。これらのラット全てが、10日以内に目視可能な腫瘍を発生した。この時点で、5匹のラットを対照群(SD−A1)として保持し、一方残りの4匹のラットを処置群(SD−A2)とした。27日目にラット1〜4を屠殺し、ラット9の「治療」を試みた。この際、ラット9を処置群に入れ、SD−A2グループと同じ注射を投与し始めた。
【0050】
9匹のSD−Aラットにおける腫瘍増殖及び処置応答性を解析した(図3)。処置したSD−A2ラット(ラット5〜8)においては、個々のラットに、同種細胞溶解物及び同系細胞溶解物並びに同種細胞及び同系細胞を含む、異なる組合せを投与した。例えば、5日後に、ラット5は側腹部に触知可能な腫瘍を有しており、該ラットは腫瘍とは反対側に、同種9L細胞の溶解物(50000個)、同系C6細胞の溶解物(50000個)、及び同種9L細胞(50000個)を1回注射された。注射5日後に、腫瘍は消散した。注射18日後に、ラット6、7、8(SD−A2ラット)の全ては、目視可能な腫瘍を有していた。この時、これらの各ラットに、50000個の同種9L細胞の溶解物に50000個の同系C6細胞の溶解物と50000個の同種9L細胞とを加えたものを注射した。23日目と28日目に、これらの注射を繰り返した。処置開始後15日目である33日目に、ラット6には更なる処置を施した。注射27日後に、未処置のラット(SD−A1、ラット1〜4)を腫瘍の大きさ測定のために屠殺した。未処置のラット(ラット1〜4)において腫瘍が進行していたのに比べて、ラット5、6、7、8(SD−A2)においては、その腫瘍が完全に消散していた。ラット9に未処置グループ同様の実験を開始し、ラット1〜4を屠殺して数日後に、ラット9の治療を行った。ラット9には、同種9L細胞の溶解物(50000個)に同系C6細胞の溶解物(50、000個)及び同種9L細胞(50000個)を加えたものを4日毎に注射し、腫瘍の大きさが治療開始時の11%となった55日目に、ラット9を組織学的分析用に屠殺した。
【0051】
20日後に、測定可能な腫瘍を全く有しない「処置した」SDラットの、反対側の側腹後部に、元の腫瘍を発生させたのと同じ同系C6腫瘍細胞株を、初めに100000個の細胞を、そして10日後に5倍の500000個の細胞を、再度注射した。該ラットについては、目視可能な又は触知可能な腫瘍増殖の兆候を3日毎にモニターした。160日目には、SDラットは腫瘍のない状態を保持していた。
【0052】
図4は、9L細胞を移植された8匹のFisher ラット(Fisher−A)の、腫瘍増殖及び処置応答性を示す。20日目に、ラット1、2及び3(Fisher A−1)の反対側の腹に、同系RG2細胞(100000個の細胞;ラット1)及び9L(100000個の細胞;ラット2)、又は培地のみ(ラット3)を注射した。腫瘍の大きさは全く低下せず、RG2は、ラット1においては、相乗的効果を有すると考えられた。同種C6細胞又は同種C6細胞の溶解物、同系9L細胞の溶解物、又は異種U87細胞及び異種LN229細胞を注射したラット4〜8(Fisher A−2)は、全て、腫瘍の大きさが減少したようであった。
【0053】
Fisher344ラットの全てを、下垂足および歩行不能を発症した40日目に屠殺した。これらの各ラットの腫瘍を取り除き、染色用に切り取った。処置した腫瘍は、対照の腫瘍よりも、有意に多くのCD4、CD8、Bリンパ球(CD20)、マクロファージ(CD68)及び樹状細胞を含有することが見出された(図3〜7)。
【0054】
免疫記憶の役割を決定するため、初めに同種細胞株を注射したSDラット及びFisher344ラットが、同系細胞株を受容できるか否かを試験した。40日後にC6を拒絶したFisher344ラット(Fisher B)には、同系9L細胞を再度注射し;初めに9L細胞株を拒絶したSDラット(SD−B)にはC6細胞を注射した。全ての注射は、元の注射とは反対側の側腹部に、500000個の細胞を用いて行った。SDラットにおいては、目視可能又は触知可能な腫瘍は全く発生しなかった。Fisherラットにおいては、注射部位に小さな(<1cm×<1cm×1cm)増殖が生じた。この増殖は触診でのみ認識可能であり、次第に小さくなり、10日後までには全く検出不能となった。両系統のラットにおいて、150日目には腫瘍は存在しなかった。
【0055】
上記の結果は、同種(又は異種)細胞、同種細胞の溶解物及び同系細胞の溶解物を繰り返し皮下注射することにより、免疫認識が増強され、腫瘍の大きさが低下することを示唆している。
【0056】
本明細書中で参照された全ての刊行物は、参照により本明細書中に取り込まれる。
【0057】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍を治療又は予防するための組成物であって、
(i)同種腫瘍細胞又は異種腫瘍細胞;及び
(ii)薬学的に許容可能な賦形剤
を含む該組成物。
【請求項2】
同系細胞の溶解物を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記(i)が溶解物である、請求項1又は請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
同種細胞又は異種細胞の溶解物を更に含む、請求項1〜請求項3のうちいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記(i)の細胞が脳由来の細胞である、請求項1〜請求項4のうちいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記同系細胞が脳由来の細胞である、請求項2に従属した請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記同種細胞又は異種細胞が2個体以上のヘテロ接合個体の腫瘍に由来する、請求項1〜請求項6のうちいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
患者内の腫瘍を治療するための薬剤の製造における、同種腫瘍細胞又は異種腫瘍細胞の使用。
【請求項9】
前記患者内の前記腫瘍が、同種細胞又は異種細胞の腫瘍と同じ組織学的グレードである請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記医薬が、同系細胞又は同系細胞の溶解物を更に含む、請求項8又は請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記同種腫瘍細胞が溶解物として提供される、請求項5〜請求項7のうちいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
前記同種腫瘍細胞又は異種腫瘍細胞が、2個体以上のヘテロ接合個体の腫瘍に由来する、請求項8〜請求項11のうちいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
腫瘍を治療又は予防するための方法であって、請求項1〜請求項7のうちいずれか1項に記載の組成物を患者に投与することを含む、該方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−214499(P2012−214499A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−172672(P2012−172672)
【出願日】平成24年8月3日(2012.8.3)
【分割の表示】特願2008−551800(P2008−551800)の分割
【原出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(508227330)
【Fターム(参考)】