説明

同軸ケーブルコネクタ

【課題】接続が簡単且つ確実にできる。
【解決手段】コネクタ本体と,前記コネクタ本体に枢着され,外周の対向する位置には平行に配設した一対の平面部が形成され,内周に接続対象のF型レセプタクルが挿入されるための拡開性を持つと共に該F型レセプタクルの先端部に形成された雄ネジと螺合する雌ネジ部が形成された接続手段と,前記コネクタ本体に同一中心軸を有するように内設した,該コネクタ本体内に固定するためのリング形状の係止部と,該係止部からコネクタ本体の中心軸方向へ向けて突設しその先端内周部が前記同軸ケーブル周囲を咬持する咬持部とを備え,前記コネクタ本体内の後方端部に固定手段によって固定された抜け止め具と,から成り,同軸ケーブル端部を前記コネクタ本体内へ後方から挿入操作することで,前記抜け止め具は,前記咬持部が前記同軸ケーブル周囲を咬持して同軸ケーブルの抜脱を阻止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,同軸ケーブルを接続対象のF型レセプタクルに接続するために同軸ケーブル端部に装着する同軸ケーブル用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
編組導体(外部導体)とラミネート箔との間に挿入する本体挿入部を備える筒状のコネクタ本体と,コネクタ本体の基端部に枢着すると共に接続対象の外部導体(F型レセプタクル)に螺合するように形成した接続手段と,同軸ケーブルにコネクタ本体を挿入後,本体挿入部を圧着固定する固着リングとを備えた同軸ケーブルコネクタにおいて,本体挿入部にすり割りを形成したり,本体挿入部の先端部に隆起部を備えたり,コネクタ本体内面に,螺旋状の突起を刻設したりすることによって,この接続部からノイズの侵入あるいは放出がなく,及び,固着力の優れた接続を行うことのできる同軸ケーブルコネクタが提案されており,接続対象のF型レセプタクルに接続手段を螺合する事によって抜け難い接続ができる。
(例えば,特許文献1参照)
【0003】
【特許文献1】特開2001−297839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが,このように構成された同軸ケーブルコネクタは,同軸ケーブルの装着において,固着リングをカシメることによって同軸ケーブルとコネクタ本体を圧着固定する必要があり,この圧着作業は簡単ではなく,また,工具を用いて強く締付ける必要があるのでその作業は危険性を伴うものであるという同軸ケーブルの装着の方法に問題があった。 また,同軸ケーブルの装着が完了してもその同軸ケーブルコネクタの接続作業に問題があった。即ち,同軸ケーブルコネクタが,F型レセプタクルの周囲に差し込むだけで接続できるF型プラグ式のものであればその接続は簡単であるものの,簡単に抜けてしまうといった信頼性の点で問題があり,従来例の如くネジ付きのコネクタを使って螺合による接続をする場合は,引き抜け難い接続ができ信頼性は高いものの,その接続操作が煩雑であると言った問題がある。特に,接続対象のF型レセプタクルが,例えばテレビ端子であるとすると,このテレビ端子はパネルに供えられた円筒状の空間にF型レセプタクルが備えられた非突出型である物が多く,F型レセプタクルの周囲に空間が殆どないことから同軸ケーブルコネクタの接続作業が非常にやり難く,差込型のものを使用せざるを得ないものであった。
一方,地上デジタル放送が急速に進歩し,パソコンに地上アナログ放送チューナや地上デジタル放送チューナが内蔵され,パソコンのモニタでテレビを楽しむ事が増えてきた。また,小型で軽量な液晶テレビも普及しており,パソコンや液晶テレビを自在に持ち運んで,必要な時に必要な場所でテレビを見るようになってきている。従って,テレビやノートパソコンとテレビ端子とを接続するケーブルは,その接続作業が簡単で且つ確実にできるものが望まれる。また一方では,画面サイズの大きな液晶テレビも普及しており,この場合,大型の液晶テレビは自在に持ち運べないので,テレビ端子が設置された壁面の近傍に,テレビ台などに乗せられて設置されることになる。つまりテレビとテレビ端子とを接続するケーブルはテレビ台等を動かさずには設置や取り外しがし難いので,一度接続したものは,長年にわたって緩むことなく確実に接続を維持することが望まれる。
つまり,近年,ユーザーにとってテレビ受信用のコネクタは,受信環境にフレキシブルに対応できるように,接続作業が煩雑でなく簡単にできる操作性のよさや,体にやさしい取扱性を合わせ持つ製品であることが重要であるばかりでなく,合わせて,高信頼性・高耐久性を必要とする使用条件にも対応できる製品であることも求められるのである。しかも,デジタル放送受信に使用する場合には,外部からの妨害電波によって,映像にブロックノイズが発生したり映像がフリーズしたり,酷いときには映像断となったりといった,デジタル放送に特有の症状が発生する恐れがあり,高周波特性が良いことは言うまでもなく,優れたイミュニティー特性を有する製品であることも要求されるなど,幅広い用途に対応できるように構成されている必要がある。
そこで,本発明は上記問題点に鑑み,同軸ケーブルコネクタへの同軸ケーブルの装着が簡単であるばかりでなく,この同軸ケーブルが抜け難く且つ回転し難い同軸ケーブルコネクタを提供することを目的とする。
更に他の目的は,同軸ケーブルの装着が簡単であるばかりでなく,簡単な操作によって同軸ケーブルの取り外しができる同軸ケーブル用コネクタを提供することを目的とする。 他の目的は,接続対象のF型レセプタクルへの取付けが簡単で,かつ,引き抜け難い同軸ケーブルコネクタを提供することを目的とする。
他の目的は,小型で配線がスッキリできる同軸ケーブルコネクタを提供することを目的とする。
他の目的は,接続対象のF型レセプタクルが非突出型であっても接続操作が簡単で,且つ,引き抜け難い同軸ケーブルコネクタを提供することを目的とする。
他の目的は,高周波特性及びイミュニティー特性のよい同軸ケーブルコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために,請求項1の発明は,少なくとも,少なくとも,同軸ケーブルを挿入して装着する円筒状部と,前記円筒状部に装着する同軸ケーブルの内部絶縁体と外部導体との間に挿入される円筒状挿入部を備えたコネクタ本体と,
該コネクタ本体内の後端部に固定手段によって固定された抜け止め具と,
前記コネクタ本体の前方に枢着され,接続対象のF型レセプタクルと接続するための接続手段と,を具備し,
所定寸法に処理された同軸ケーブル端部を前記コネクタ本体内へ前記固定手段を介して挿入操作することで,前記抜け止め具が同軸ケーブルの抜脱を阻止するように構成された同軸ケーブルコネクタにおいて,
前記接続手段は,前記コネクタ本体の前方の外周に枢着するための円筒状基部と,接続対象を接続するための円筒状受け口部からなり,
前記接続手段の前記円筒状基部には,外周の対向する位置に平行に配設した一対の平面部からなる2面幅が形成されており,
前記操作手段は,前記平面部に対向する位置に,該平面部に対応する形状に貫通した当付孔を有し,該当付孔の,少なくとも円筒状操作手段の軸線に直交する平面方向の外周に形成される開口端面が,前記平面部と略同一平面上若しくは僅かに軸線側となるように構成した。
【0006】
請求項2の発明は,請求項1に記載の同軸ケーブルコネクタにおいて,前記接続手段の前記円筒状受け口部は,内周に接続対象のF型レセプタクルが挿入されるための拡開性を持つと共に該F型レセプタクルの先端部に形成された雄ネジと螺合する雌ネジ部が形成される。
【0007】
請求項3の発明は,請求項1又は請求項2の何れか一項に記載の同軸ケーブルコネクタにおいて,前記円筒状操作手段は,外周面に滑り止めの凸凹を有するように構成した。
【0008】
請求項4の発明は,請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の同軸ケーブルコネクタにおいて,前記円筒状操作手段の前方側端部には,径方向外方に突出した押圧用の指掛けを有するように構成される。
【0009】
請求項5の発明は,請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の同軸ケーブルコネクタにおいて,前記コネクタ本体の前方側先端の外周縁部に段差が設けられ,該段差には,コネクタ本体の中心軸と同心円を形成するリング状に形成され,周径は前記円筒状基部の内周と前記段差との間に形成される環状凹部に保持される大きさで,中心軸方向の寸法は前記段差より僅かに大きく前記コネクタ本体の先端より突出するように形成された導電性弾性材からなる接触リングを備えるように構成される。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば,少なくとも,少なくとも,同軸ケーブルを挿入して装着する円筒状部と,前記円筒状部に装着する同軸ケーブルの内部絶縁体と外部導体との間に挿入される円筒状挿入部を備えたコネクタ本体と,
該コネクタ本体内の後端部に固定手段によって固定された抜け止め具と,
前記コネクタ本体の前方に枢着され,接続対象のF型レセプタクルと接続するための接続手段と,を具備し,
所定寸法に処理された同軸ケーブル端部を前記コネクタ本体内へ前記固定手段を介して挿入操作することで,前記抜け止め具が同軸ケーブルの抜脱を阻止するように構成された同軸ケーブルコネクタにおいて,
前記接続手段は,前記コネクタ本体の前方の外周に枢着するための円筒状基部と,接続対象を接続するための円筒状受け口部からなり,
前記接続手段の前記円筒状基部には,外周の対向する位置に平行に配設した一対の平面部からなる2面幅が形成されており,
前記操作手段は,前記平面部に対向する位置に,該平面部に対応する形状に貫通した当付孔を有し,該当付孔の,少なくとも円筒状操作手段の軸線に直交する平面方向の外周に形成される開口端面が,前記平面部と略同一平面上若しくは僅かに軸線側となるように構成したので,
同軸ケーブルコネクタに対しての同軸ケーブル接続が簡単にできる。加えて,円筒状操作手段の当付孔を介して接続手段の平面部に直接工具を当付て締付けができ,円筒状操作手段を備えても,接続手段の締付け性を損なうことがないので強固に接続することができる。また,接続手段に備えた回転操作部としての円筒状操作手段と2面幅の位置が,円筒状受け口部の後方の略同じ位置に重なるように構成されているので,工具の掛け代を操作手段の後方にしなえさせる必要が無く,プラグの前後方向の長さを所定以上に長くすることもなく小型にできる。つまり,例えば接続対象のF型レセプタクルがテレビ端子によく見られる非突出型であっても,その接続作業は指先であろうが工具を使ってであろうが何れの方法でも簡単に行うことができ,しかも抜け落ちないように強固に保持できるのである。また,小型であることからテレビ端子が取付けられた壁面からの突出寸法も短くできるのである。
【0011】
請求項2の発明によれば,請求項1に記載の同軸ケーブルコネクタにおいて,請求項1に記載の同軸プラグにおいて,前記接続手段の前記円筒状受け口部は,内周に接続対象のF型レセプタクルが挿入されるための拡開性を持つと共に該F型レセプタクルの先端部に形成された雄ネジと螺合する雌ネジ部が形成されるように構成したので,
接続対象のF型レセプタクルが雌ネジ部に当接するまでは摺動によって挿着し,当接した後はF型レセプタクルの先端部に前記雌ねじ部を螺合させれば接続が完了するので,接続作業が簡単で時間短縮が可能になる。しかも引き抜け難く信頼性が高い。
【0012】
請求項3の発明によれば,請求項1又は請求項2の何れか一項に記載の同軸ケーブルコネクタにおいて,前記円筒状操作手段は,外周面に滑り止めの凸凹を有するように構成したので,
滑り止め作用によって指先での回転操作が容易と成る。
【0013】
請求項4の発明によれば,請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の同軸ケーブルコネクタにおいて,前記円筒状操作手段の前方側端部には,径方向外方に突出した押圧用の指掛けを有するように構成したので,
同軸ケーブルコネクタに対しての同軸ケーブル接続時に同軸ケーブルコネクタを保持し易くなる。また,F型レセプタクルへの接続時には,接続手段に対して指先による押圧力を加え易くなり,接続対象のF型レセプタクルへの接続作業がよりスムーズにやり易くなる。そして,このF型レセプタクルがテレビ端子によく見られる円筒状の空間に埋め込まれた非突出型のものに対して接続する場合,指掛けがテレビ端子を閉塞しているパネルに対して近接して配設され,パネルから突出することが少なくなるので,接続後に指掛けが邪魔になることはない。
【0014】
請求項5の発明によれば,請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の同軸ケーブルコネクタにおいて,前記コネクタ本体の前方側先端の外周縁部に段差が設けられ,該段差には,コネクタ本体の中心軸と同心円を形成するリング状に形成され,周径は前記円筒状基部の内周と前記段差との間に形成される環状凹部に保持される大きさで,中心軸方向の寸法は前記段差より僅かに大きく前記コネクタ本体の先端より前方に突出するように形成された導電性弾性材からなる接触リングを備えるように構成したので,
同軸プラグを接続対象のF型レセプタクルの接続したときに,該F型レセプタクルの外部導体の加工や製法によってバラツキがある先端と,コネクタ本体の前方側先端との間の電気的接続を安定させ,高周波特性及びイミュニティー特性を良好に維持することができる。
また,同軸ケーブルコネクタがF型レセプタクルに螺合によって接続するように構成されている場合,接触リングが中心軸方向に僅かに突出するように形成されていることから,先ずF型レセプタクルの先端が接触リングに当接し,更に螺合を進めることによって接触リングは弾性変形して押しつぶされる。しかし,次にF型レセプタクルの先端は,コネクタ本体の前方側先端に当接する事によって螺合が完了するので,接触リングは必要以上押しつぶされることが無い。即ち,螺合による回転方向への負荷が接触リングに必要以上に加わらないので,接触リングが摩擦などによって切断してしまうといったことも無く,同軸プラグの着脱の繰り返しにも絶え得る高信頼性を有すると共に,着脱を繰り返しても良好な電気的特性を維持できるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に,本発明を具体化した実施形態の例を,図面を基に詳細に説明する。
図1は本発明に係る同軸ケーブル用コネクタの第1の実施形態を示し,同軸ケーブルを挿入した状態を一部断面で示した同軸ケーブル用コネクタの側面図。図2は図1の同軸ケーブル用コネクタにおいて,同軸ケーブル挿入前の側面図である。図3は図1の同軸ケーブルコネクタにおけるコネクタ本体を説明するための一部断面で示した側面図である。図4は同軸ケーブルコネクタを構成する接続手段の一部断面を示す説明図であり,(a)は上面図,(b)は側面図。図5は同軸ケーブルコネクタを構成する接続手段に備える円筒状操作手段の一部断面を示す説明図であり,(a)は上面図,(b)は側面図。図6は同軸ケーブルコネクタを構成する接続手段に円筒状操作手段を取付けた状態の説明図であり,(a)は上面図,(b)は側面図。図7は円筒状操作手段の異なる実施例を備えた接続手段の説明図であり,(a)は上面図,(b)は側面図である。図8はコネクタをテレビ端子に接続するときの説明図であり,(a)は接続前の状態を示し,(b)は接続後の状態を示す。図9は図3に示すコネクタ本体のケーブル挿通孔を説明するために拡大して示す斜視図であり,(a)は本発明の実施例,(b)は異なる実施例を示す。図10は抜け止め具の説明図であり(a)は上面図,(b)はA−A線端面図である。図11は抜け止め具の異なる実施例を示す説明図であり(a)は上面図,(b)はB−B線端面図である。図12は本発明に係る同軸ケーブル用コネクタの異なる実施形態を示し,同軸ケーブルを挿入した状態を一部断面で示した同軸ケーブル用コネクタの側面図。図13は図12におけるコネクタ本体を説明するための一部断面で示した側面図である。図14は図3におけるコネクタ本体の異なる実施例を説明するための一部断面で示した側面図である。図15は図14のコネクタ本体を使った同軸ケーブル用コネクタの異なる実施形態を示し,同軸ケーブルを挿入した状態を一部断面で示した同軸ケーブル用コネクタである。
尚,以下の説明では特に明記しないかぎリ,同軸ケーブルが装着される側を後方,F型レセプタクルを受入れる側を前方とする。
【実施例1】
【0016】
図1において,41は後端部にケーブル装着手段を備え,同軸ケーブル7(以下,単にケーブルと称する。)に外嵌する筒状のコネクタ本体,50はコネクタ本体の前方に連結されたレセプタクル等の接続対象に接続する接続手段である。本発明の第1の実施形態におけるケーブル装着手段は,装着したケーブルの抜けを防止する抜け止め具130,抜け止め具130を固定する固定手段としての蓋体13,装着するケーブル7の内部絶縁体7bと外部導体7cの間に挿入する円筒状挿入部6とから構成されている。
【0017】
図3によく示されるように,コネクタ本体41は,後部に同軸ケーブルの端部を挿入するためのケーブル挿通孔143を有し,前部に前記ケーブル挿通孔143と同一中心軸線上に連設する嵌合孔43を有した第1の円筒状部44と,後部に装着するケーブル7の内部絶縁体7bと外部導体7cの間に挿入する前記円筒状挿入部6を有し,前部には前記円筒状挿入部6と一部同心円筒を形成するように設けた円筒状止着部46を備えた第2の円筒状部47から構成されている。第2の円筒状部47は,前記円筒状部44のケーブル挿通孔143によって形成される同軸ケーブルの収納空間内部に,前記円筒状挿入部6が突出するように嵌合孔43の前方側から挿入され,円筒状止着部46の中間地点46aにおいて前記嵌合孔43に圧入固着によって取付けられている。
そして前記第2の円筒状部47は,内部に一体的に同一径で形成されている挿通孔201を有し,その円筒状挿入部6の外周は先細の後方端部から円筒状止着部46にかけて肉厚を徐々に厚く成るように円錐状に形成されてケーブル7の内部絶縁体7bと外部導体7cの間に挿入し易く形成されている。
また,第2の円筒状部47を構成する円筒状止着部46の前方先端部には,外周方向に突設した鍔部46bが形成されており,第1の円筒状部44と第2の円筒状部47とを組付けた状態で,前記第1の円筒状部44の前方端と,前記鍔部46bの後方側面との間には環状溝部48が形成されるように構成されている。この環状溝部48は後に詳述する接続手段50を枢着するためのガイド溝であり,このため,予め接続手段50に前記第2の円筒状部47を組付けた状態で,この第2の円筒状部47を前記第1の円筒状部44に形成された嵌合孔43に圧入固着することによって,接続手段50はコネクタ本体の前方で枢着されて抜け落ちることがない。
【0018】
尚,図には示されていないが,円筒状挿入部6の側面に,この円筒状挿入部6と同様に,円筒状止着部46から円筒状挿入部6の先端に亘って徐々に低く形成されている回転阻止手段としての直線状の帯状突起を1又は複数形成すれば,接続されたケーブルの回転方向の動きに対して信頼性の高いものとなる。この帯状突起は1つだけであっても良いし,円筒状挿入部6の前方から後方端部にかけて全体に形成せず,一部だけに設けても良い。また,帯状突起の替わりに,円筒状挿入部6の側面にローレットを形成してもよい等実施例に限定されるものではない。また,円筒状挿入部6の先端部外周に突起部を形成すればケーブル7の引き抜け方向にも強くなる。
また,第2の円筒状部47は第1の円筒状部44に一体形成することもできるなど,実施の形態に限定されるものではない。
【0019】
更に,第1の円筒状部44に形成されたケーブル挿通孔143の内面から中心軸方向に向かって,同軸ケーブルの収納空間の前方から後方部に亘り回転阻止手段としての直線状の帯状突起45が複数形成されている。この帯状突起45は,例えば断面形状を四角形状や3角形状に形成されており,本願の実施例ではケーブル挿通孔の開口部側が先端に向けて徐々に低く形成されている。このように,コネクタ本体41の内部に帯状突起45を形成したので,同軸ケーブル挿入操作により,内部絶縁体7bと外部導体7cの間に円筒状挿入部6が進入し,保護被覆7dが円筒状挿入部6の周囲にせり上がって行くことになり,帯状突起45が確実に保護被覆7dに食い込む。
尚,本願の実施例では第1の円筒状部44内面に形成された帯状突起45を備えさせた例を示したが,特にこの実施例に限定されるものではなく,前記図には示されていない前記円筒状挿入部6の外周に形成された帯状突起との組合せで使用しても良いし,所望の性能を得られるのなら何れか一方だけ備えさせてもよい。
また帯状突起は,夫々に対して対向する2ヶ所だけに設けても回転阻止に十分有効であるし,1ヶ所だけであっても,回転阻止力を発揮させることは可能である。
【0020】
次に,接続手段50について図4を用いて詳細に説明する。尚,図4(a)は上面図であり,(b)は側面図である。この図によく示されるように本発明における接続手段50は,前記コネクタ本体41の外周に,円周方向に回動可能に枢着するように取付けるための円筒状基部51と,該円筒状基部51の前方側に延長させ,内周に接続対象のF型レセプタクルが挿入されるための拡開性を持つ円筒状受け口部55とから構成された金属材料などの導電材を加工したものである。
前記円筒状基部51の内面には軸心方向に突設した凸部53が形成されており,該凸部53が,前記第2の円筒状部47の後方側を前記第1の円筒状部44に圧入固着したときに形成される環状溝部48に嵌め込まれて,円筒状基部51(即ち,接続手段50)はコネクタ本体41の前方に回転自在に枢着される。即ち,接続手段50の円筒状受け口部55側から前記第2の円筒状部47を挿通し,その後に,該第2の円筒状部47を前記第1の円筒状部44に圧入固着する事によって組立てが完了し抜け落ちることがない。
尚,円筒状基部51の外周に形成された52はローレットであり,後述する円筒状操作手段の滑り止めのために形成されたものであり,滑り止めとしての他の手段を備えさせればローレットは無くてもよい。また,51a,51bは円筒状基部51の外周であって相対向する位置に形成された,所定の大きさからなる一対の平面部であり,この平面部51a,51bによって円筒状基部51に2面幅が形成されている。
【0021】
前記円筒状受け口部55には,接続対象のF型レセプタクルの受入れを容易にすると共にF型レセプタクルの外部導体との接続をよくするために,該円筒状受け口部55の前方端から後方にかけて軸方向に延びる少なくとも1つのすり割り55aが形成されている。更に,円筒状受け口部55の先端部の外周には,リングバネ56が備えられることによって,このリングバネ56の締め付け作用によって円筒状受け口部55内周とF型レセプタクルの外周とがより確実に接続されるように構成されている。
尚,円筒状受け口部55の構成は,すり割り55aに替えて,円筒状受け口部55の内周に導電性を有した弾性材からなる軸方向に長いリング状のバネを備えさせてもよく,特に実施例に限定されるものではない。
【0022】
更に,円筒状受け口部55内面の後方部には,接続対象のF型レセプタクルの先端部に形成された雄ネジと螺合する雌ネジ部57が形成されており,本願の実施形態における雌ネジ部57は,前記F型レセプタクルの雄ネジの先端部との間において略3回転螺合するようなネジ山数に形成されている。尚,本発明の実施形態においては,円筒状受け口部をF型レセプタクルに螺合した状態において引き抜け方向に対する強度を所定値以上となるように目標を定めたことから,略3回転螺合するようなネジ山数に形成したが,特に実施例に限定されるものではなく,3回転より多くても良いし,3回転の螺合より少なくてもよい。
【0023】
この円筒状受け口部55は,接続対象のF型レセプタクルに対して,上記実施例の如く摺動と螺合の組合せで接続するように構成されるばかりでなく,摺動固着した状態で電気的に接続され,更に前記雌ネジ部57を接続対象であるF型レセプタクルの雄ネジに螺合させても使用できるといった2様の接続方法が可能なように決めても良いし,受け口部55内周の略前面に雌ネジを形成し螺合だけ(所謂,ねじ込み式)の接続で使用するように構成してもよい等,その接続手順は何れであってもよい。
また,円筒状受け口部55の奥行は,軸方向の寸法が規格値における最小であるF型レセプタクルに対して螺合した状態で,前記コネクタ本体41(言い換えれば,第2の円筒状部47)の右側先端49が,前記F型レセプタクルの先端面と当接する(即ち,コネクタを締付けたときに,円筒状受け口部55の前端が,F型レセプタクルが取付けられた台座,例えば,ハウジングやシールドケースなどの壁面に当接しない)ように円筒状受け口部55の奥行が定められておれば,高周波特性やイミュニティーの優れたものとすることができる。
更に,円筒状受け口部55に形成された前記すり割り55aは,例えば,コネクタを接続対象のF型レセプタクルに摺動固着した状態で使用する場合を勘案して,円筒状受け口部55に受入れたF型レセプタクルの寸法より僅かに短く形成すれば,すり割りによって生じる隙間がF型レセプタクルによって塞がれ,高周波信号が漏れたり,外部からの妨害電波によって影響を受けたりすることがない。
即ち,本発明によれば,接続対象のF型レセプタクルが雌ネジ部57に当接するまでは摺動によって挿着し,当接した後はF型レセプタクルの先端部に前記雌ねじ部57を螺合させれば接続が完了するので,接続作業が簡単で時間短縮が可能になり,しかも抜け落ちないように固着できる。また,このように簡単な接続作業であっても,外部からの妨害電波に対するイミュニティー特性や高周波特性に優れたものとなる。
【0024】
ここで,本発明の同軸プラグの異なる実施例を図14,15を基に説明する。この実施例では,図14に示されるように,前記コネクタ本体41の前方側先端49(即ち,第2の円筒状部47の先端)の外周縁部に段差49aaが設けられ,該段差49aには,コネクタ本体41の中心軸と同心円を形成するリング状に形成され,周径は前記接続手段50の内周と前記段差49aとの間に形成される環状凹部に保持される大きさで,中心軸方向の寸法は前記段差より僅かに大きく前記コネクタ本体41の先端49より突出するように形成された導電性弾性材からなる接触リング61を備えたものである。
つまり,上述のような同軸ケーブルコネクタがF型レセプタクルに螺合によって接続するように構成されている場合,接触リング61が中心軸方向前方に僅かに突出するように形成されていることから,先ずF型レセプタクルの先端が接触リング61に当接し,更に螺合を進めることによって接触リング61は弾性変形して押しつぶされる。しかし,次にF型レセプタクルの先端は,コネクタ本体20の前方側先端49に当接する事によって螺合が完了するので,接触リング61は必要以上押しつぶされることが無い。即ち,螺合による回転方向への負荷が接触リング61に必要以上に加わらないので,接触リング61が摩擦などによって捩れたり切断したりしてしまうといったことも無く,同軸ケーブルコネクタの着脱の繰り返しにも絶え得る高信頼性を有すると共に,着脱を繰り返しても良好な電気的特性を維持できるのである。
【0025】
図5に示される151は,円筒状基部51の外周面の全て若しくは一部を被うように形成された合成樹脂材からなる円筒状操作手段であり,接続手段50の接続操作を行うためのものである。
本発明の実施例では,この円筒状操作手段151は全体形状が略円形筒状で合成樹脂材からなり,前記円筒状基部51に嵌め込まれたりモールド加工されたりして取付けられる。そして円筒状操作手段151の外周面には,凸凹153が適宜に形成されており,その滑り止め効果によって接続作業に容易性を持たせることができる。また,円筒状操作手段151を弾性を有する柔らかな素材で形成すれば,接続操作において指先に加わる負担も軽減される。
この円筒状操作手段151を円筒状基部51に取付けた状態を図6に示す。このとき,操作手段の該円筒状部51に形成された2面幅の平面部51a,51bに対向する位置に,夫々の平面部51a,51bに対応する形状に形成されて貫通した当付孔151a,151bを形成し,該当付孔151a,151bの,少なくとも円筒状操作手段151の軸線に直交する平面方向の外周に形成される開口端面152a,152bが,前記平面部51a,51bと略同一平面上若しくは僅かに軸線側となるように構成することによって,円筒状操作手段151を備えても,レンチやスパナのような工具で直接に平面部51aを挟み込んでの機械的な接続もできるし,指先での接続もでき,円筒状操作手段151が接続手段50の締付け性を損なうことがない。
【0026】
本発明の実施形態においては,円筒状操作手段151は前方側と後方側が略同一周径で形成されている例を示しているが,図7に示されるように後方側開口端部の外周径より前方側開口端部の外周径の方を大きくして,円筒状操作手段151の前方側開口端部の外周面に押付用の指掛け155を備えさせてもよい。即ち,本発明の目的には,コネクタの接続の煩雑さを低減すると共に,それでも引き抜け難い接続ができるようにすることが含まれており,そのため接続方法は,対象のF型レセプタクルが雌ネジ部57に当接するまでは摺動によって挿着し,当接した後はF型レセプタクルの先端部に前記雌ネジ部57を螺合させて接続が完了するように構成されている。従って,接続時にはコネクタをF型レセプタクルに対して押付けるように力を加えながら行えば,その接続作業はスムーズで確実に行うことができる。つまり,前記指掛け155は円筒状操作手段151の前方側開口端部の径方向外方に突設されていて,指先が指掛け155に当て付け易くなっており,接続手段に対して押圧力を加え易くなり,雌ネジ部57がF型レセプタクルにスムーズに螺合することができるのである。このコネクタを,例えば図8に示されるように接続対象のF型レセプタクル85がテレビ端子80によく見られる円筒状の空間83に埋め込まれた非突出型のものに対して接続する場合,凸凹153の滑り止め効果と指掛け155の押圧力の受止作用によって接続が簡単にできる。そして,接続状態においては指掛け155がテレビ端子を閉塞しているパネル82に対して近接することになり,パネル82から突出することが少なくなるので,指掛け155が邪魔になることはない。また,コネクタをレセプタクルから引き抜くためには,まず円筒状操作手段151(即ち,接続手段)を回転操作すればよく,格別に指掛け155を必要としないが,F型レセプタクルに対する螺合が解除されれば,パネル82と指掛け155との間の間隙が大きくなり,指掛け155に指を掛け易くなることから,指掛け155はプラグの引き抜き手段としての役割を有することになる。
【0027】
以上,本発明の同軸ケーブルコネクタのF型レセプタクルに対する接続性について説明したが,本発明によれば,接続手段50の回転操作部である円筒状操作手段151と,円筒上基部51に形成された2面幅の位置が,円筒状受け口部55の後方に順番に配設された構成ではなく,略同じ位置に重なるように構成されているので,コネクタの接続手段の多様性を有しながら,コネクタの前後方向の長さを所定以上に長くすることもなく小型にできるのである。つまり,例えば接続対象のF型レセプタクルがテレビ端子によく見られる非突出型であっても,その接続作業は指先であろうが工具を使ってであろうが何れの方法でも簡単に行うことができ,しかも抜け落ちないように強固に保持できる。また,小型であることからテレビ端子が取付けられた壁面からの突出寸法も短くできるのである。
尚,円筒状操作手段151を剛性を有する合成樹脂材で形成されておれば,円筒状操作手段151の外周に2面幅を形成すれば良く,この場合,前記貫通孔151a,151bを設ける必要はない。従って,円筒状基部51に2面幅を形成する必要がなくコストの削減ができる。
また,このように円筒状基部51に円筒状操作手段151を備えた場合,円筒状基部51に形成されたローレットはなくてもよいが,ローレットが形成されておれば円筒状操作手段151の内面に形成された溝(図には示されていない)と嵌合させて円筒状操作手段151の空回りを防止し,その円筒状操作手段151に加わる力をロスなく伝えることができる。更に円筒状操作手段151の外周面に形成された凸凹153の滑り止め効果を加えれば,接続手段50の接続対象であるF型レセプタクルへの接続が,指先であっても簡単,且つ,強固に締付けることができる。
また,2面幅を従来のネジ式F型コネクタと同じである11mmとすれば,本発明のコネクタに対して,従来から使用している冶工具がそのまま使え,利便性を損なうことがない。
【0028】
次に,本発明の同軸ケーブルコネクタに対するケーブルの装着に係る説明を行う。先ず,前記ケーブル挿着手段を構成する抜け止め具130について説明する。図10は抜け止め具の具体例であり,(a)の正面図に示すように,略円盤状に形成され,弾性を有する金属,例えばバネ用ステンレスで形成されている。
この抜け止め具130は,コネクタ本体41の中心軸と同心円を形成するリング状の係止部130bと,該リング状の係止部130bに内側に,係止部130bの中心線方向に向けて突設させた咬持部としての複数の爪部130aとから成る。
係止部130bには,130cで示される係止爪が形成されている。この係止爪130cは,係止部130bからコネクタ前方に突出するように係止部の周縁に1又は複数個,折り曲げ形成されている。
爪部130aの先端部の形状は本願の実施例においては台形形状をしているが,ケーブルの挿入を容易とするならば先端分を鋭角的に尖らせてもよいし,更にはケーブルの引き抜き方向の力に対する耐力をより強くするためには,爪部130aが形成する内径が装着するケーブル7の外径より小さな径で形成され,その先端はケーブル7に線接触するように,内周がケーブルの径に合わせたアールを設けて形成してもよく,特に限定されるものではなく,ケーブルを保持するに要求される所定の保持力に対して最適な形状をなすようにすればよい。
【0029】
更には,爪部130aは,図10(b)のA−A線端面図に示すように,コネクタ前方となるコネクタ本体41の内部方向に,折り曲げ角θを例えば約45°として折り曲げ形成され,抜け止め具130全体は前方に窄み形成した略円錐形状としてもよい。
このように折り曲げることで,ケーブルの挿入操作の際爪部130aは容易に拡径するので,挿入操作をスムーズに実施できる。また,このように形成した場合であっても挿入したケーブルに引っ張り応力が加わった場合,爪部130aがケーブルに確実に食い込むので,抜け落ちることがない。
【0030】
尚,抜け止め具130作製の際,打ち抜きにより作製し,その後爪部130aを折り曲げることになるが,爪部130aの打ち抜きは前方(図10(b)の左側)から打ち抜くと良い。こうすることで,その反対側となる爪部130aのケーブル7に接触する端部(図10(b)左側の内周端部)が鋭角に形成され,ケーブル7を確実に咬持操作するよう作製できる。また図4では,爪部130aが12箇所に形成されているが,切り欠きの幅を変更することで容易にその数を変更できる。
【0031】
このように形成された抜け止め具130は,図9(a)に詳しく説明されている,コネクタ本体41の後部に形成されたケーブル挿通孔143に組み付けられる。このケーブル挿通孔143の開口端部内周には,前記抜け止め具130に対応するように,前記抜け止め具130の嵌合部が形成されている。
この嵌合部には段部143aが形成されている。この段部143aは,周径が前記抜け止め具3の係止部130bが内接される大きさに形成されていると共に,前記抜け止め具130の係止部130bを段部143aに当接するように載置したときに,前記係止部130bに備えた係止爪130cに対向する位置には,該係止爪130cが挿入されて嵌合する嵌合溝143cが形成され,前記係止爪130cと嵌合溝143cとは嵌合して取付けられる。更にケーブル挿通孔の開口部外周には,雄ねじ143bが形成されている。
【0032】
図1及び図2に示される13は,略中心に同軸ケーブル7を挿通するための挿通孔12を有すると共に,内部には前記コネクタ本体の後方側端部に形成された雄ねじ143bに螺合するように形成された雌ねじ13bが形成されて,前記コネクタ本体41の後端部にに着脱自在に構成された蓋体である。この蓋体13は,コネクタ抜け止め具130をコネクタ本体41内に固定するためのものであり,抜け止め具130はこの蓋体13内面と前記段部143aとの間に形成される間隙に挟まれて,軸線方向の移動を阻止されると共に,前記係止手段によって軸線を中心軸とした回転を阻止されて取付けられるのである。
尚,この抜け止め具130の異なる実施例を図11(a),(b)に示す。この実施例における抜け止め具は前記係止爪130cの変わりに係止部130bに切欠部130dを形成したものであり,ケーブル挿通孔143における嵌合部は,図9(b)に示されるように,段部143aから延設された,前記切欠部130dに嵌合する突起143dを備えたものであり,この嵌合においてコネクタ抜け止め具130の回転を阻止するように取付けられるのである。
尚,この実施例においては蓋体13が請求孔に記載の固定手段であり,前記ケーブル挿着手段を構成するものである。
【0033】
次に,上記コネクタの組立て及びケーブルへの装着手順を説明する。コネクタの組立ては,先ず接続手段50の前方から第2の円筒状部47の円筒状挿入部6が後方に突出するように挿入しておく。次に接続手段50が取付けられた第2の円筒状部47を第1の円筒状部44に形成された嵌合孔43から挿入して,第1の円筒状部44と第2の円筒状部47とが連結される。この時,第2の円筒状部47は圧入等により両者は固着一体化されコネクタ本体41となる。この状態で,接続手段50の内面に形成された凸部53がコネクタ本体41の外周に形成される環状溝部48に嵌め込まれ,接続手段50は回転自在に第2の円筒状部(即ち,コネクタ本体41)に連結される。
その後,上述するようにケーブル挿通孔143から抜け止め具130をコネクタ本体41に形成された嵌合部に装着し,蓋体13を締付けることによって,コネクタは完成する。
【0034】
ケーブル7の装着操作は次のように実施される。最初に挿入するケーブル7端部を加工する。具体的には図2に示すように,中心導体7a及び内部絶縁体7bが所定の長さに露出されるよう内部絶縁体7b及び保護被覆7dを切除し,円筒状挿入部6が挿入し易いように,外部導体7cを保護被覆7d上に捲りあげる。後は,ケーブル7をコネクタ本体1の後方から挿入操作すれば良い。
図2はケーブル挿入前の状態であり,装着完了した状態は図1のようになる。ケーブル7の挿入は,保護被覆7dがケーブル挿通孔143の底面に当接する所定位置まで行われる。こうすることで,円筒状挿入部6は内部絶縁体7bと外部導体7cの間に挿入され,外部導体7cとコネクタ本体41とは円筒状挿入部6を介して確実に電気的接続が成されるし,円筒状挿入部6の作用によって,保護被覆7dが周囲にせり上がって行くので,コネクタ本体41の内部に形成された帯状突起45が確実に保護被覆に食い込むことになり,ケーブル7は回転応力が加わっても容易に回転することがなく,良好な接続状態を維持できる。
そして,爪部3aは上述するように確実にケーブル7を咬持するよう作用する。更に,中心導体7aの先端は接続手段50の先端位置まで突出し,接続手段50の中心軸(M)上にケーブル7の中心導体が配置され,接続手段の中心導体を得る。
【0035】
尚,図において,7eはアルミ箔を示している。同軸ケーブルの外部導体は,網状の導体(上述する編組7c)とその内側に設けられたアルミ箔7eから構成されているのが一般的であり,このようにアルミ箔7eを有する場合,ケーブル端部加工の際,アルミ箔7eは捲ること無く内部絶縁体7bに沿わせたままで,円筒状挿入部6はアルミ箔7eと網状の導体(上述する外部導体7c)の間に挿入される。
本発明の実施例に使用されている同軸ケーブル7は,中心導体7aと,該中心導体7aを中心に保持して取り巻くように備えられた内部絶縁体7bと,外部導体としての編組7cとアルミ箔7e,保護被覆7dが同心配置するように構成されたものが示されているが,外部導体としての編組7cだけを備えた同軸ケーブルであっても良いし,更に編組が二重になった同軸ケーブルでもよく,同軸ケーブルの種類は特に実施例に限定されるものではない。
【0036】
ここで,前記固定手段の異なる実施例を図12及び図13を用いて説明する。この実施例は抜け止め具130をコネクタ本体に固着する方法が異なるものであり,コネクタ抜け止め具130を段部143aに載置してから,ケーブル挿通孔143の外周縁144をカシメ若しくはへら押などによって縮径する事によって,抜け止め具130をコネクタ本体内に固着する。この場合,ケーブル挿通孔143に蓋体13は必要ないし,ケーブル挿通孔の外周には雄ねじ143bは形成する必要がない。
【0037】
以上,本発明の同軸ケーブルコネクタによれば,コネクタに装着した同軸ケーブルは,抜け止め具130の作用により引っ張り応力が加わっても抜けてしまうようなことがなく,堅牢な装着ができる。それでいて,蓋体13を外せば抜け止め具130が咬持された状態でコネクタ本体41から同軸ケーブル7を容易に抜き取ることができるので,ケーブル交換等の作業を容易に実施できる。更に,同軸ケーブルの端部を所定の形状に処理してコネクタ本体41に挿入すれば,コネクタ装着が完了してコネクタ部が完成するので,コネクタ装着も容易である。また,外したコネクタを再利用できるので無駄がない。
また,抜け止め具130はケーブルの挿入をスムーズに実施できるばかりでなくこれ自体でケーブル7の回転を阻止できるので,前記帯状突起45と合わせてケーブルの回転を阻止でき,良好な接続状態を維持できる。
【0038】
また,このようにして同軸ケーブルが装着された同軸ケーブルコネクタは,その接続対象のF型レセプタクルが雌ネジ部に当接するまでは摺動によって挿着し,当接した後はF型レセプタクルの先端部に前記雌ねじ部を螺合させれば接続が完了するので,接続作業が簡単で時間短縮が可能になる。また,この螺合回数を略3回転とすることにより,引き抜け方向に対する引っ張り力に対して所定値以上の強度を有することができる。また,接続手段には,凸凹手段や指掛けを備えた円筒状操作手段を設けることで,凸凹の滑り止め効果や指掛けの押圧力の受止作用により,指先だけの力だけでも簡単・強固にF型レセプタクルに締付けることができる。つまり,パソコンや小型液晶テレビ等の持ち運びができる端末側装置を使って,必要なときに必要な場所でテレビを楽しむような使い方をする場合でも,接続や取り外しの煩雑さの少ない操作性のよさと,指先に負担がかからない取扱性の良さをもつ,使い勝手の優れたものと成る。そして,ケーブルはコネクタ本体41内に形成した帯状突起や,抜け止め具によって確実に保持されているので,接続や取り外しに伴うケーブルへの回転応力や引張り力に対して信頼性の高いものとなる。
また,このようにケーブルが装着やF型レセプタクルに対する接続作業が簡単にできても,高周波特性に加え外部からの妨害電波に対するイミュニティー特性にも優れているので,この同軸ケーブルコネクタを採用すれば,特別な技術を持たくても,例えばテレビ端子とディジタル放送受信用チューナ内蔵テレビとの接続などのような,ディジタル放送受信に最適な配線が可能になる。
【0039】
加えて,接続手段の本体部分を構成する円筒状基部には2面幅が形成してあり,円筒状操作手段に形成した貫通孔から,円筒状基部に形成された2面幅に対して直接工具を当付て締付作業ができる。つまり,円筒状操作手段と2面幅の位置が円筒状受け口部の後方の略同じ位置に重なるように配設された構成に成っているので,コネクタの前後方向の長さを小型にでき,例えば接続対象のF型レセプタクルが円筒状の空間に埋め込まれた非突出型のテレビ端子であっても,その接続作業は指先で行ってもできるが,接続対象のF型レセプタクルがテレビ台などの背面にある壁面に設置されたテレビ端子である場合のように,一度接続したら取り外しをしないような恒久的な接続には,工具を使っての接続を行うことができるので,指先に負荷を加えることなく強固に増し締めができる。また,2面幅が従来のネジ式F型コネクタと同じである11mmであるので,一般的に市販されている工具や家庭にあるような工具が使え,利便性の面でも優れている。そして装着後も,軸方向の寸法が短いことから,テレビ背後の限られた空間であっても,テレビ端子への接続でってもスッキリと配線できるのである。
また,この同軸ケーブルコネクタは,同軸ケーブル端部への接続が簡単であるばかりでなく,接続対象のF型レセプタクルへの接続の時間短縮ができ,しかも強固に接続できることから,テレビ端子とテレビ受像機との接続ばかりでなく,宅内の分配器や直列ユニットなどを接続する同軸ケーブルに使用することによって,施設工事の工期短縮が可能となると言った,ディジタル放送対応テレビ受信の宅内配線システムにも好適な高性能・高信頼の同軸ケーブルコネクタを提供できるのである。
【0040】
尚,前記コネクタ本体は,第1の円筒状部44の軸線と,第2の円筒状部47の軸線が略直交するように配設され,コネクタが略L字型となるように構成してもよいなど,本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく,本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各部の構成を適宜に変更して実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る同軸ケーブル用コネクタの第1の実施形態を示し,同軸ケーブルを挿入した状態を一部断面で示した同軸ケーブル用コネクタである。
【図2】図1の同軸ケーブル用コネクタにおける同軸ケーブル挿入前の側面図である。
【図3】図1の同軸ケーブルコネクタにおけるコネクタ本体を説明するための一部断面で示した側面図である。
【図4】同軸ケーブルコネクタを構成する接続手段の一部断面を示す説明図であり,(a)は上面図,(b)は側面図をしめす。
【図5】接続手段に備える円筒状操作手段の一部断面を示す説明図であり,(a)は上面図,(b)は側面図を示す。
【図6】接続手段に円筒状操作手段を取付けた状態の説明図であり,(a)は上面図,(b)は側面図。
【図7】円筒状操作手段の異なる実施例を備えた接続手段の説明図であり,(a)は上面図,(b)は側面図である。
【図8】はコネクタをテレビ端子に接続するときの説明図であり,(a)は接続前の状態を示し,(b)は接続後の状態を示す。
【図9】図3に示すコネクタ本体のケーブル挿通孔を説明するために拡大して示す斜視図であり,(a)は本発明の実施例,(b)は異なる実施例を示す。
【図10】抜け止め具の説明図であり(a)は上面図,(b)は側面から見た断面図である。
【図11】抜け止め具の異なる実施例の説明図であり(a)は上面図,(b)は側面から見た断面図である。
【図12】本発明に係る同軸ケーブル用コネクタの異なる実施形態を示し,同軸ケーブルを挿入した状態を一部断面で示した同軸ケーブル用コネクタの側面図。
【図13】図12におけるコネクタ本体を説明するための一部断面で示した側面図である。
【図14】図3におけるコネクタ本体の異なる実施例を説明するための一部断面で示した側面図である。
【図15】図14のコネクタ本体を使った同軸ケーブル用コネクタの異なる実施形態を示し,同軸ケーブルを挿入した状態を一部断面で示した同軸ケーブル用コネクタである。
【符号の説明】
【0042】
6…円筒状挿入部,7…同軸ケーブル,7a…中心導体,7b…内部絶縁体,7c…外部導体,7d…外部被覆,12…挿通孔,13…蓋体,13b…目ねじ,41…コネクタ本体,43…嵌合孔,44…第1の円筒状部,45…帯状突起,46…円筒状止着部,46a…中間地点,46b…鍔部,47…第2の円筒状部,48…環状溝部,49…先端,49a…段差,50…接続手段,51…円筒状基部,51a…平面部,52…ローレット,53…凸部,55…円筒状受け口部,55a…すり割り,56…リングバネ,57…雌ネジ部,61…接触リング,80…テレビ端子,82…パネル,83…空間,85…F型レセプタクル,130…抜け止め具,130a…咬持部,130b…係止部,130c…係止爪,130d…切欠部,143…ケーブル挿通孔,143a…段部,143b…雄ねじ,143c…嵌合溝,143d…突起,144…外周縁,151…円筒状円筒状操作手段,151a・151b…貫通孔,152a・152b…開口端面,153…凸凹,155…指掛け,201…挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも,同軸ケーブルを挿入して装着する円筒状部と,前記円筒状部に装着する同軸ケーブルの内部絶縁体と外部導体との間に挿入される円筒状挿入部を備えたコネクタ本体と,
該コネクタ本体内の後端部に固定手段によって固定された抜け止め具と,
前記コネクタ本体の前方に枢着され,接続対象のF型レセプタクルと接続するための接続手段と,を具備し,
所定寸法に処理された同軸ケーブル端部を前記コネクタ本体内へ前記固定手段を介して挿入操作することで,前記抜け止め具が同軸ケーブルの抜脱を阻止するように構成された同軸ケーブルコネクタにおいて,
前記接続手段は,前記コネクタ本体の前方の外周に枢着するための円筒状基部と,接続対象を接続するための円筒状受け口部からなり,
前記接続手段の前記円筒状基部には,外周の対向する位置に平行に配設した一対の平面部からなる2面幅が形成されており,
前記操作手段は,前記平面部に対向する位置に,該平面部に対応する形状に貫通した当付孔を有し,該当付孔の,少なくとも円筒状操作手段の軸線に直交する平面方向の外周に形成される開口端面が,前記平面部と略同一平面上若しくは僅かに軸線側となるように構成されている,
ことを特徴とした同軸ケーブルコネクタ。
【請求項2】
前記接続手段の前記円筒状受け口部は,内周に接続対象のF型レセプタクルが挿入されるための拡開性を持つと共に該F型レセプタクルの先端部に形成された雄ネジと螺合する雌ネジ部が形成されたことを特徴とした請求項1に記載の同軸ケーブルコネクタ。
【請求項3】
前記円筒状操作手段は,外周面に滑り止めの凸凹を有することを特徴とした請求項1又は請求項2の何れか一項に記載の同軸ケーブルコネクタ。
【請求項4】
前記円筒状操作手段の前方側端部には,径方向外方に突出した押圧用の指掛けを有することを特徴とした請求項請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の同軸ケーブルコネクタ。
【請求項5】
前記コネクタ本体の前方側先端の外周縁部に段差が設けられ,該段差には,コネクタ本体の中心軸と同心円を形成するリング状に形成され,周径は前記円筒状基部の内周と前記段差との間に形成される環状凹部に保持される大きさで,中心軸方向の寸法は前記段差より僅かに大きく前記コネクタ本体の先端より突出するように形成された導電性弾性材からなる接触リングを備えたことを特徴とした請求項1乃至請求項4の何れかに記載の同軸ケーブルコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−273344(P2007−273344A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−99048(P2006−99048)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000113665)マスプロ電工株式会社 (395)