説明

同軸コネクタプラグ

【課題】中心導体がずれることを抑制しつつ、低背化を図ることができる同軸コネクタプラグを提供することである。
【解決手段】外部導体12aは、z軸方向に延在する円筒状をなしている。中心導体14aは、z軸方向に延在する円筒状をなし、かつ、外部導体12a内に設けられている。絶縁体16は、中心導体14aを外部導体12aに固定する。中心導体14aには、中心導体14aの内部と外部とを連通する孔Hが設けられている。絶縁体16は、孔Hを介して中心導体14aの外部から内部に侵入している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸コネクタプラグに関し、より特定的には、筒状の外部導体及び外部導体内に設けられている筒状の中心導体を備えている同軸コネクタプラグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の同軸コネクタプラグとしては、例えば、特許文献1に記載のコネクタプラグが知られている。図14は、特許文献1に記載のコネクタプラグ510の断面構造図である。
【0003】
コネクタプラグ510は、図14に示すように、ソケット状中心導体512、中心導体接合部514、外側導体516及び絶縁ハウジング518を備えている。外側導体516は、上下方向に延在する円筒状をなしており、グランド電位に保たれる。ソケット状中心導体512は、外側導体516の中心に設けられ、上下方向に延在する円筒状をなしている。ソケット状中心導体512には、高周波信号が入出力する。中心導体接合部514は、ソケット状中心導体512に接続されており、水平方向に引き出されている。絶縁ハウジング518は、ソケット状中心導体512を外側導体516の中心に固定する樹脂部材である。
【0004】
ところで、特許文献1に記載のコネクタプラグ510は、低背化が困難であるという問題を有している。より詳細には、コネクタプラグ510には、レセプタクルコネクタが装着される。この際、ソケット状中心導体512には、レセプタクルコネクタのピン状中心導体が上側から挿入される。そのため、ソケット状中心導体512は、下側に向かって押さえ付けられる。この際、ソケット状中心導体512が下方にずれてしまうおそれがある。
【0005】
そこで、コネクタプラグ510では、ソケット状中心導体512と中心導体接合部514の接続部分は、クランク形状をなしている。これにより、ソケット状中心導体512の下に絶縁ハウジング518が位置するようになり、ソケット状中心導体512は、下側に向かって押さえ付けられたとしても、絶縁ハウジング518によって下方にずれることが抑制される。
【0006】
しかしながら、絶縁ハウジング518がソケット状中心導体512の下側に存在すると、コネクタプラグ510の高さは、絶縁ハウジング518の高さの分だけ高くなってしまう。すなわち、特許文献1に記載のコネクタプラグ510の低背化が困難となってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−104836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の目的は、中心導体がずれることを抑制しつつ、低背化を図ることができる同軸コネクタプラグを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態に係る同軸コネクタプラグは、上下方向に延在する筒状をなしている第1の外部導体と、上下方向に延在する筒状をなし、かつ、前記第1の外部導体内に設けられている第1の中心導体と、前記第1の中心導体を前記第1の外部導体に固定する絶縁体と、を備えており、前記第1の中心導体には、該第1の中心導体の内部と外部とを連通する連通部が設けられており、前記絶縁体は、前記連通部を介して前記第1の中心導体の外部から内部に侵入していること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、中心導体がずれることを抑制しつつ、低背化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る同軸コネクタプラグの外観斜視図である。
【図2】同軸コネクタプラグの断面構造図である。
【図3】同軸コネクタプラグの外部導体部の外観斜視図である。
【図4】同軸コネクタプラグの中心導体部の外観斜視図である。
【図5】同軸コネクタプラグの中心導体部の正面図である。
【図6】組み立て途中における同軸コネクタプラグの中心導体部を示した図である。
【図7】同軸コネクタプラグの絶縁体の外観斜視図である。
【図8】中心導体部と絶縁体とが組み立てられたときの外観斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る同軸コネクタレセプタクルの外観斜視図である。
【図10】同軸コネクタレセプタクルの外部導体部の外観斜視図である。
【図11】同軸コネクタレセプタクルの中心導体部の外観斜視図である。
【図12】同軸コネクタレセプタクルの絶縁体の外観斜視図である。
【図13】図13(a)は、取り付け前の同軸コネクタプラグ及び同軸コネクタレセプタクルの断面構造図であり、図13(b)は、取り付け後の同軸コネクタプラグ及び同軸コネクタレセプタクルの断面構造図である。
【図14】特許文献1に記載のコネクタプラグの断面構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態に係る同軸コネクタプラグについて説明する。
【0013】
(同軸コネクタプラグの構成)
まず、本発明の一実施形態に係る同軸コネクタプラグについて図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る同軸コネクタプラグ10の外観斜視図である。図2は、同軸コネクタプラグ10の断面構造図である。図3は、同軸コネクタプラグ10の外部導体部12の外観斜視図である。図4は、同軸コネクタプラグ10の中心導体部14の外観斜視図である。図5は、同軸コネクタプラグ10の中心導体部14の正面図である。図6は、組み立て途中における同軸コネクタプラグ10の中心導体部14を示した図である。図7は、同軸コネクタプラグ10の絶縁体16の外観斜視図である。図8は、中心導体部14と絶縁体16とが組み立てられたときの外観斜視図である。
【0014】
以下では、図1において、絶縁体16の法線方向をz軸方向と定義し、z軸方向から平面視したときに、絶縁体16の2辺に平行な方向をx軸方向及びy軸方向と定義する。x軸方向、y軸方向及びz軸方向は、互いに直交している。また、z軸方向は鉛直方向と平行である。
【0015】
ただし、同軸コネクタプラグ10には、後述する同軸コネクタレセプタクルが下側から装着される。すなわち、同軸コネクタプラグ10の使用時には、同軸コネクタプラグ10は、開口が下方を向いた状態で用いられる。したがって、図1の下方向が鉛直方向の上方向を意味し、図1の上方向が鉛直方向の下方向を意味する。そこで、図1の下方向をz軸方向の正方向と定義し、図1の上方向をz軸方向の負方向と定義する。
【0016】
同軸コネクタプラグ10は、フレキシブルプリント基板のような回路基板上に表面実装され、図1及び図2に示すように、外部導体部12、中心導体部14及び絶縁体16を備えている。
【0017】
外部導体部12は、導電性及び弾性を有する1枚の金属板(例えば、りん青銅)に打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことにより作製されている。更に、外部導体部12には、銀メッキ又は金メッキが施されている。外部導体部12は、図1及び図3に示すように、外部導体12a及び外部端子12b〜12dを含んでいる。外部導体12aは、図1ないし図3に示すように、z軸方向に延在する円筒形状をなしている。
【0018】
また、外部導体12aには、スリットSが設けられている。スリットSは、外部導体12aのz軸方向の正方向側の端部とz軸方向の負方向側の端部との間を直線的につなぐように設けられている。これにより、外部導体12aは、z軸方向の負方向側から平面視したときに、円環状につながっておらず、C字型をなしている。
【0019】
外部端子12b〜12dは、外部導体12aに接続され、かつ、外部導体12aのz軸方向の正方向側に設けられている。外部端子12bは、外部導体12aからz軸方向の正方向側に引き出されていると共に、x軸方向の負方向側に折り返されている。外部端子12cは、外部導体12aからz軸方向の正方向側に引き出されていると共に、y軸方向の正方向側に折り返されている。また、外部端子12cは、z軸方向から平面視したときにT字型をなしている。外部端子12dは、外部導体12aからz軸方向の正方向側に引き出されていると共に、y軸方向の負方向側に折り返されている。また、外部端子12dは、z軸方向から平面視したときにT字型をなしている。
【0020】
中心導体部14は、1枚の金属板(例えば、りん青銅)に打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことにより作製されている。更に、中心導体部14には、銀メッキ又は金メッキが施されている。中心導体部14は、図1及び図4に示すように、中心導体14a及び外部端子14bを備えている。
【0021】
中心導体14aは、図1に示すように、外部導体12a内(より詳細には、外部導体12aの中心)に設けられている。すなわち、中心導体14aは、z軸方向から平面視したときに、外部導体12aに囲まれている。また、中心導体14aは、図4に示すように、z軸方向に延在している円筒形状をなしている。中心導体14aには、上下方向に延在する3つのスリットが設けられている。これにより、中心導体14aは、水平方向に僅かに広がることが可能である。
【0022】
外部端子14bは、図4に示すように、中心導体14aのz軸方向の正方向側の端部に接続され、かつ、x軸方向の正方向側(中心導体14aの中心軸に直交する方向)に沿って直線状に延在している。ただし、外部端子14bには、図2に示すように、0.01mm程度の小さな段差が設けられている。よって、外部端子14bは、図2に示すように、絶縁体16のz軸方向の正方向側の面から0.01mm程度はみ出している。外部端子14bは、図1に示すように、z軸方向から平面視したときに、外部導体12aの中心を挟んで外部端子12bと対向している。
【0023】
ところで、中心導体14aの側面のx軸方向の負方向側の部分には、図5に示すように、中心導体14aの内部と外部とを連通する孔(連通部)Hが設けられている。以下に、孔Hについて中心導体部14の製造工程を交えながら説明する。
【0024】
中心導体部14の作製の際には、図6(a)に示すように、1枚の金属板がT字型に打ち抜かれる。図6(a)の状態では、中心導体14aは、y軸方向に延在している平板状部材である。中心導体14aのy軸方向の両端に位置する辺にはそれぞれ、切り欠きHa,Hbが設けられている。また、図6(a)の状態では、外部端子14bは、中心導体14aのy軸方向の中央からx軸方向の負方向側に向かって延在している平板状部材である。そして、複数の中心導体部14がy軸方向に並ぶように、外部端子14bのx軸方向の正方向側の端部において金属板に接続されている。
【0025】
次に、図6(b)に示すように、平板状の中心導体14aが円筒をなすように折り曲げられる。具体的には、中心導体14aのy軸方向の両端の辺が接合するように平板状の中心導体14aが円環状に曲げられる。この際、切り欠きHa,Hbが繋がって、孔Hが形成される。更に、図6(b)に示すように、円筒状の中心導体14aがz軸方向の負方向側に向かって折り曲げられる。これにより、中心導体部14が完成する。
【0026】
絶縁体16は、樹脂等の絶縁性材料により作製されているベース部材であり、中心導体部14を外部導体部12に固定する役割を果たしている。絶縁体部16は、図1及び図7に示すように、ベース部16a及び突起16bを含んでいる。ベース部16aは、z軸方向から平面視したときに、矩形状をなしており、図2に示すように、外部導体12aのz軸方向の正方向側の開口を覆っている。ただし、ベース部16aには、切り欠きC1〜C3が設けられている。切り欠きC1は、ベース部16aのx軸方向の負方向側の辺の中央部分が除去されることにより形成されている。切り欠きC2は、ベース部16aのy軸方向の正方向側の辺の中央部分が除去されることにより形成されている。切り欠きC3は、ベース部16aのy軸方向の負方向側の辺の中央部分が除去されることにより形成されている。
【0027】
突起16bは、ベース部16aのx軸方向の正方向側の辺の中央部分がz軸方向の負方向側に突出することにより形成されている。
【0028】
中心導体部14と絶縁体16とは、図8に示すように、インサートモールド成形により一体成形されている。これにより、中心導体14aは、ベース部16aの中央よりz軸方向の負方向側に向かって突出している。また、中心導体14aは、図2に示すように、絶縁体16のz軸方向の正方向側の面から露出している。更に、中心導体部14の外部端子14bは、突起16bのz軸方向の正方向側において、絶縁体16からx軸方向の正方向側に引き出されている。
【0029】
更に、絶縁体16は、図2に示すように、中心導体14aの周囲に設けられていると共に、孔Hを介して中心導体14aの外部から内部に侵入している。これにより、中心導体部14は、絶縁体16に対して強固に固定されている。
【0030】
また、外部導体部12は、絶縁体16に対して取り付けられている。より詳細には、外部端子12b〜12dが切り欠きC1〜C3を介して絶縁体16のz軸方向の正方向側に引き出されている。外部導体12aのz軸方向の正方向側の開口は、絶縁体16のベース部16aにより覆われている。また、突起16bは、図1に示すように、スリットS内に位置している。すなわち、突起16bは、スリットSを塞ぐ蓋部材として機能している。ただし、突起16bは、外部導体12aには接触していない。すなわち、突起16bと外部導体12aとの間にはわずかな隙間が存在している。これにより、外部導体12aは、その直径が小さくなる方向にわずかに変形できる。
【0031】
(同軸コネクタレセプタクル)
次に、本発明の一実施形態に係る同軸コネクタプラグ10に装着される同軸コネクタレセプタクルについて図面を参照しながら説明する。図9は、本発明の一実施形態に係る同軸コネクタレセプタクル110の外観斜視図である。図10は、同軸コネクタレセプタクル110の外部導体部112の外観斜視図である。図11は、同軸コネクタレセプタクル110の中心導体部114の外観斜視図である。図12は、同軸コネクタレセプタクル110の絶縁体116の外観斜視図である。
【0032】
以下では、図9において、絶縁体116の法線方向をz軸方向と定義し、z軸方向から平面視したときに、絶縁体116の2辺に平行な方向をx軸方向及びy軸方向と定義する。x軸方向、y軸方向及びz軸方向は、互いに直交している。また、z軸方向は鉛直方向と平行である。
【0033】
ただし、同軸コネクタレセプタクル110は、同軸コネクタプラグ10に対して下側から装着される。すなわち、同軸コネクタレセプタクル110の使用時には、同軸コネクタレセプタクル110は、開口が上方を向いた状態で用いられる。したがって、図9の上方向が鉛直方向の上方向を意味し、図9の下方向が鉛直方向の下方向を意味する。そこで、図9の上方向をz軸方向の正方向と定義し、図9の下方向をz軸方向の負方向と定義する。
【0034】
同軸コネクタレセプタクル110は、ガラスエポキシ配線基板のような回路基板上に表面実装され、図9に示すように、外部導体部112、中心導体部114及び絶縁体116を備えている。
【0035】
外部導体部112は、導電性及び弾性を有する1枚の金属板(例えば、りん青銅)に打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことにより作製されている。更に、外部導体部112には、銀メッキ又は金メッキが施されている。外部導体部112は、図9及び図10に示すように、外部導体112a及び外部端子112b〜112dを含んでいる。外部導体112aは、図9及び図10に示すように、z軸方向に延在する円筒形状をなしている。
【0036】
外部端子112b〜112dは、外部導体112aに接続され、かつ、外部導体112aのz軸方向の負方向側に設けられている。外部端子112bは、外部導体112aからz軸方向の負方向側に引き出されていると共に、x軸方向の正方向側に折り返されている。外部端子112cは、外部導体112aからz軸方向の負方向側に引き出されていると共に、y軸方向の正方向側に折り返されている。また、外部端子112cは、z軸方向から平面視したときにT字型をなしている。外部端子112dは、外部導体112aからz軸方向の負方向側に引き出されていると共に、y軸方向の負方向側に折り返されている。また、外部端子112dは、z軸方向から平面視したときにT字型をなしている。
【0037】
中心導体部114は、1枚の金属板(例えば、りん青銅)に打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことにより作製されている。更に、中心導体部114には、銀メッキ又は金メッキが施されている。中心導体部114は、図9及び図11に示すように、中心導体114a及び外部端子114bを備えている。
【0038】
中心導体114aは、図9に示すように、外部導体112aの中心においてz軸方向に延在するように設けられている。すなわち、中心導体114aは、z軸方向から平面視したときに、外部導体112aに囲まれている。そして、中心導体114aは、図11に示すように、z軸方向に延在している円柱形状をなしている。
【0039】
外部端子114bは、図11に示すように、中心導体114aのz軸方向の負方向側の端部に接続され、かつ、x軸方向の負方向側に向かって延在している。外部端子114bは、図9に示すように、z軸方向から平面視したときに、外部導体112aの中心を挟んで外部端子112bと対向している。
【0040】
絶縁体116は、樹脂等の絶縁性材料により作製され、図9及び図12に示すように、z軸方向から平面視したときに、矩形状をなしている。ただし、絶縁体116には、切り欠きC4が設けられている。切り欠きC4は、絶縁体116のx軸方向の正方向側の辺の中央部分が除去されることにより形成されている。
【0041】
外部導体部112と中心導体部114と絶縁体116とは、インサートモールド成形により一体成形されている。これにより、外部導体112aは、絶縁体116の中央よりz軸方向の正方向側に向かって突出している。更に、外部導体112aのz軸方向の負方向側の端部は、絶縁体116により覆われている。外部端子112bは、切り欠きC4を介して絶縁体116外に引き出されている。更に、外部端子112c,112dはそれぞれ、絶縁体116のy軸方向の正方向側の辺及び負方向側の辺から絶縁体116外に引き出されている。また、中心導体114aは、外部導体112aに囲まれた領域内において絶縁体116からz軸方向の正方向側に向かって突出している。また、外部端子114bは、絶縁体116からx軸方向の負方向側に引き出されている。
【0042】
(同軸コネクタレセプタクルの同軸コネクタプラグへの取り付け)
以下に、同軸コネクタレセプタクル110の同軸コネクタプラグ10への取り付けについて図面を参照しながら説明する。図13(a)は、取り付け前の同軸コネクタプラグ10及び同軸コネクタレセプタクル110の断面構造図であり、図13(b)は、取り付け後の同軸コネクタプラグ10及び同軸コネクタレセプタクル110の断面構造図である。
【0043】
図13(a)に示すように、同軸コネクタプラグ10は、外部導体12aの開口がz軸方向の負方向側を向いた状態で用いられる。そして、図13(b)に示すように、同軸コネクタレセプタクル110は、同軸コネクタプラグ10に対してz軸方向の負方向側から装着される。具体的には、外部導体112aは、外部導体12aに対してz軸方向の負方向側から挿入される。外部導体112aの外周面の径は、外部導体12aの内周面の径よりも僅かに大きく設計されている。そのため、外部導体112aの外周面は、外部導体12aの内周面に圧接し、外部導体12aは、外部導体112aにより水平方向に押し広げられる。すなわち、外部導体12aは、スリットS全体の幅が大きくなるように広がる。そして、外部導体12aの内周面の凹凸と外部導体112aの外周面の凹凸とが係合する。これにより、外部導体12aは、外部導体112aを保持する。外部導体12a,112aは、使用時には、接地電位に保たれる。
【0044】
更に、中心導体14aは、中心導体114aと接続される。具体的には、中心導体114aは、図13(b)に示すように、円筒形状の中心導体14a内に挿入される。中心導体114aの外周面の径は、中心導体14aの内周面の径よりも僅かに大きく設計されている。そのため、中心導体114aの外周面は、中心導体14aの内周面に圧接し、中心導体14aは、中心導体114aにより水平方向に反るように押し広げられる。これにより、中心導体14aは、中心導体114aを保持する。中心導体14a,114aには、使用時には、信号電流が流れる。
【0045】
(効果)
以上のように構成された同軸コネクタプラグ10によれば、中心導体14aがずれることを抑制しつつ、低背化を図ることができる。より詳細には、中心導体14aには、中心導体14aの内部と外部とを連通する孔Hが設けられており、絶縁体16は、孔Hを介して中心導体14aの外部から内部に侵入している。これにより、中心導体14aは、絶縁体16に強固に固定されるようになるので、同軸コネクタレセプタクル110の装着の際に、絶縁体16から外れることが抑制される。更に、円筒状の中心導体14aの側面に設けられた孔Hに充填された絶縁体16の一部により中心導体部14が固定されているので、中心導体14aのz軸方向の正方向側に絶縁体16が設けられなくてもよい。これにより、同軸コネクタプラグ10の低背化が図られる。
【0046】
また、同軸コネクタプラグ10では、孔Hに充填された絶縁体16の一部により中心導体14aが絶縁体16に固定されているので、同軸コネクタレセプタクル110が同軸コネクタプラグ10から外される際に、中心導体部14aがずれることが抑制される。
【0047】
(その他の実施形態)
本発明に係る同軸コネクタプラグは、前記実施形態に係る同軸コネクタプラグ10に限らずその要旨の範囲内において変更可能である。
【0048】
なお、同軸コネクタプラグ10では、孔Hが中心導体14aに設けられることにより、中心導体14aの内部に絶縁体16が侵入しているが、中心導体14aの内部と外部とを連通する連通部を介して絶縁体16が中心導体14a内に侵入していればよい。よって、中心導体14aのz軸方向の正方向側の端部に切り欠きが設けられ、該切り欠きを介して絶縁体16が中心導体14a内に侵入していてもよい。
【0049】
また、孔Hは、図6(a)に示すように、切り欠きHa,Hbがつながることにより形成されている。しかしながら、孔Hは、切り欠きHa,Hbの少なくとも一方が設けられることにより形成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上のように、本発明は、同軸コネクタプラグに有用であり、特に、中心導体がずれることを抑制しつつ、低背化を図ることができる点において優れている。
【符号の説明】
【0051】
H 孔
10 同軸コネクタプラグ
12,112 外部導体部
12a,112a 外部導体
12b〜12d,112b〜112d 外部端子
14,114 中心導体部
14a,114a 中心導体
14b,114b 外部端子
16,116 絶縁体
16a ベース部
16b 突起
110 同軸コネクタレセプタクル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延在する筒状をなしている第1の外部導体と、
上下方向に延在する筒状をなし、かつ、前記第1の外部導体内に設けられている第1の中心導体と、
前記第1の中心導体を前記第1の外部導体に固定する絶縁体と、
を備えており、
前記第1の中心導体には、該第1の中心導体の内部と外部とを連通する連通部が設けられており、
前記絶縁体は、前記連通部を介して前記第1の中心導体の外部から内部に侵入していること、
を特徴とする同軸コネクタプラグ。
【請求項2】
前記連通部は、前記第1の中心導体に設けられている孔であること、
を特徴とする請求項1に記載の同軸コネクタプラグ。
【請求項3】
前記絶縁体は、前記第1の外部導体の上側の開口を覆っており、
前記第1の中心導体の上端は、前記絶縁体の上面から露出していること、
を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の同軸コネクタプラグ。
【請求項4】
前記第1の中心導体に接続され、かつ、該第1の中心導体の中心軸に直交する方向に沿って直線状に延在している外部端子を、
更に備えていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の同軸コネクタプラグ。
【請求項5】
前記第1の中心導体は、板状部材の両端が接合するように該板状部材が環状に曲げられて作製されていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の同軸コネクタプラグ。
【請求項6】
前記連通部は、前記第1の中心導体に設けられている孔であり、
前記孔は、前記板状部材の両端の少なくとも一方に切り欠きが設けられることにより形成されていること、
を特徴とする請求項5に記載の同軸コネクタプラグ。
【請求項7】
前記第1の中心導体は、円筒形状をなしていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の同軸コネクタプラグ。
【請求項8】
前記絶縁体は、樹脂により作製されていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の同軸コネクタプラグ。
【請求項9】
前記第1の外部導体には、同軸コネクタレセプタクルの筒状の第2の外部導体が挿入され、
前記第1の中心導体には、前記同軸コネクタレセプタクルの第2の中心導体が挿入されること、
を特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の同軸コネクタプラグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−98122(P2013−98122A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242324(P2011−242324)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】