説明

同軸コネクタ

【課題】電波の損失および反射を抑制でき、周波数特性を向上できる同軸コネクタを提供する。
【解決手段】同軸コネクタ21は、プリント回路基板に当接して配置する絶縁性の基台26を備える。基台26には略円筒状の導電性のカバー体41を取り付ける。カバー体41は、プリント回路基板23に近接して位置するアースコンタクト被取付部43を有する。カバー体41内にはインシュレータ61を配設し、インシュレータ61でコンタクト71を保持する。アースコンタクト被取付部43にはアースコンタクト72を取り付ける。アースコンタクト被取付部43は、カバー体41の軸方向中間部に形成した第1溝51と、カバー体41の軸方向他端部に形成した第2溝52とを有する。アースコンタクト72は、第1溝51に係合接続する第1係合アーム部85と、第2溝52に係合接続する第2係合アーム部92とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波の損失および反射を抑制でき、周波数特性を向上できる同軸コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば高周波を伝送する同軸ケーブルを接続するBNCコネクタ等の同軸コネクタとしては、図8ないし図10に示すものが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
この図8ないし図10に示す同軸コネクタは、挿通孔1を有しプリント回路基板2に当接して配置される絶縁性の基台3と、挿通孔1に挿通され軸方向一端側にプラグ接続部4を有し軸方向他端側にプリント回路基板2から離れて位置するアースコンタクト被取付部5を有し軸方向中間部に基台3の挿通孔1の周縁部に当接するフランジ部6を有する略円筒状の導電性のカバー体7と、カバー体7内に嵌入されたインシュレータ8と、インシュレータ8にて保持され一端側にプラグ接続部11を有し他端側にプリント回路基板2の回路に接続される回路接続部12を有する平板状のコンタクト13と、カバー体7のアースコンタクト被取付部5の外周側に取り付けられたアースコンタクト15とを備えている。
【0004】
また、カバー体7のアースコンタクト被取付部5は、カバー体7の外周面にこのカバー体7の周方向に沿って形成された係合溝16を有している。さらに、アースコンタクト15は、アースコンタクト被取付部5の係合溝16に係合接続され基台3のフランジ部6との間で基台3の挿通孔1の周縁部を挟持する略C字状をなす一対の係合アーム部17と、コンタクト13の回路接続部12と離間対向して位置しプリント回路基板2の回路に接続される回路接続部18とを有している。
【非特許文献1】[online]、エムデン無線工業株式会社、[平成19年3月13日検索]、インターネット<URL:http://www.emuden.com/products411/regular1-1.htm>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の同軸コネクタでは、図10に示されるように、カバー体7とプリント回路基板2との間に比較的な大きな空間20があり、その空間20内でコンタクト13の回路接続部12の一部が露出しているため、その露出部分から高周波である電波が逃げ、電波の損失を生じるおそれがある。
【0006】
また、上記従来の同軸コネクタでは、アースコンタクト15を係合接続する係合溝16がカバー体7の外周面におけるカバー体7の軸方向他端つまりプリント回路基板2側の端から離れた位置に形成されているため、カバー体7の軸方向他端側の部分で電波の反射が生じるおそれもある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、電波の損失および反射を抑制でき、周波数特性を向上できる同軸コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の同軸コネクタは、挿通孔を有し、プリント回路基板に当接して配置される絶縁性の基台と、前記挿通孔に挿通され、軸方向一端側にプラグ接続部を有し、軸方向他端側に前記プリント回路基板に近接して位置するアースコンタクト被取付部を有し、軸方向中間部に前記基台の挿通孔の周縁部に当接するフランジ部を有する略円筒状の導電性のカバー体と、このカバー体内に配設されたインシュレータと、このインシュレータにて保持され、一端側にプラグ接続部を有し、他端側に前記プリント回路基板の回路に接続される回路接続部を有するコンタクトと、前記カバー体のアースコンタクト被取付部の外周側に取り付けられたアースコンタクトとを備え、前記アースコンタクト被取付部は、前記カバー体の外周面にこのカバー体の周方向に沿って形成された第1溝と、前記カバー体の外周面の軸方向他端部にこのカバー体の周方向に沿って形成され、前記第1溝より前記プリント回路基板側に位置する第2溝とを有し、前記アースコンタクトは、前記第1溝に係合接続され、前記フランジ部との間で前記基台の挿通孔の周縁部を挟持する第1係合アーム部と、前記第2溝に係合接続され、先端側に前記プリント回路基板の回路に接続される回路接続部分が形成された第2係合アーム部とを有するものである。
【0009】
請求項2記載の同軸コネクタは、請求項1記載の同軸コネクタにおいて、アースコンタクト被取付部の第2溝には、カバー体の内外面を貫通する貫通孔が形成され、第2係合アーム部は、前記貫通孔に挿通され、インシュレータをこのインシュレータがカバー体内から抜け出ないように支持するものである。
【0010】
請求項3記載の同軸コネクタは、請求項1または2記載の同軸コネクタにおいて、アースコンタクト被取付部は、カバー体の外周面の軸方向他端部に形成された被当接面を有し、アースコンタクトは、前記被当接面に当接接続され、先端側にプリント回路基板の回路に接続される回路接続部分が形成された当接アーム部を有するものである。
【0011】
請求項4記載の同軸コネクタは、請求項3記載の同軸コネクタにおいて、アースコンタクトは、一対の第2係合アーム部と1本の当接アーム部とを有し、前記3本のアーム部の回路接続部分は、コンタクトの回路接続部を中心とする仮想円上に略等間隔で配置されているものである。
【0012】
請求項5記載の同軸コネクタは、請求項1ないし4のいずれか一記載の同軸コネクタにおいて、インシュレータは、2つのインシュレータ形成部材同士が互いに結合されて構成され、コンタクトは、前記両インシュレータ形成部材間で挟持されているものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、カバー体のアースコンタクト被取付部がプリント回路基板に近接して位置し、このアースコンタクト被取付部がカバー体の外周面に周方向に沿って形成された第1溝とカバー体の外周面の軸方向他端部に周方向に沿って形成され第1溝よりプリント回路基板側に位置する第2溝とを有し、アースコンタクトが第1溝に係合接続されフランジ部との間で基台の挿通孔の周縁部を挟持する第1係合アーム部と第2溝に係合接続され先端側に回路接続部分が形成された第2係合アーム部とを有するため、電波の損失および反射を抑制でき、周波数特性を向上できる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、アースコンタクトの第2係合アーム部が第2溝の貫通孔に挿通されインシュレータをこのインシュレータがカバー体内から抜け出ないように支持するため、インシュレータがカバー体内から抜け出ることを適切に防止できる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、アースコンタクトが被当接面に当接接続され先端側に回路接続部分が折曲げにより形成された当接アーム部を有するため、周波数特性をより一層向上できる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、3本のアーム部の回路接続部分がコンタクトの回路接続部を中心とする仮想円上に略等間隔で配置されているため、周波数特性を確実に向上できる。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、インシュレータが2つのインシュレータ形成部材同士が互いに結合されて構成されており、これら両インシュレータ形成部材間でコンタクトを適切に挟持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の同軸コネクタの一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0019】
図1ないし図4において、21は同軸コネクタで、この同軸コネクタ21は、例えばプリント回路基板23上に50ΩBNCコネクタ(図示せず)と同じ高さ位置に並べて配置することが可能な75ΩBNCコネクタ等である。
【0020】
同軸コネクタ21は、基板当接面25がプリント回路基板23に当接した状態で配置されるボディ等の基台26を備えている。基台26は絶縁性を有する合成樹脂等で一体に形成されている。
【0021】
そして、基台26は、略板状の本体部27を有し、この本体部27には略円形状の挿通孔28がその本体部27を厚さ方向に貫通して形成されている。本体部27の挿通孔28に臨んだ内周面には、回り止め用の凹部29が形成されている。また、本体部27から互いに離間対向する一対の突出板部31と略円柱状の突出柱部32とがプリント回路基板23側に向って突出しており、両突出板部31の先端面と突出柱部32の先端面とにて、プリント回路基板23に当接する当接部である基板当接面25が構成されている。さらに、突出柱部32の先端面にはシールドコンタクト被取付孔33が形成され、このシールドコンタクト被取付孔33には導電性を有する金属製で板状のシールドコンタクト34が取り付けられている。このシールドコンタクト34は、プリント回路基板23を貫通してプリント回路基板23の回路(図示せず)に半田付けにより接続されるリード部である平板状の回路接続部35を有している。また、突出柱部32の基端面には、電気機器等のケース(図示せず)に対して基台26を取り付けるための取付用ねじ(図示せず)をねじ込むねじ用孔37が形成されている。また、シールドコンタクト34には、ねじ用孔37にねじ込まれた取付用ねじの先端側と接触する一対の接触部38が形成されている。
【0022】
また、同軸コネクタ21は、基台26の挿通孔28に挿通された状態で基台26に取り付けられた両端面開口状の略円筒状をなすシェル等のカバー体41を備えている。カバー体41は、導電性を有する金属等にて一体に形成されている。
【0023】
そして、カバー体41は、図5にも示すように、軸方向一端側に同軸ケーブルのプラグ(図示せず)が接続されるプラグ接続部42を有し、軸方向他端側つまりプリント回路基板23側の端部側にプリント回路基板23に近接して位置するアースコンタクト被取付部43を有し、軸方向中間部である例えば軸方向略中央に径方向外方に突出して基台26の挿通孔28の周縁部に当接するフランジ部44を有している。
【0024】
なお、図3に示されるように、アースコンタクト被取付部43は、基台26の本体部27からプリント回路基板23側に向って突出し、このアースコンタクト被取付部43とプリント回路基板23との間には若干の間隔があるが、例えば図示しないが、間隔をなくしてアースコンタクト被取付部の先端つまりカバー体41の軸方向他端がプリント回路基板23に接触する構成でもよい。
【0025】
プラグ接続部42の外周面には、同軸ケーブルのプラグと係合する一対の突起46が一体に突設されている。プラグ接続部42の内周面には、環状の抜け止め用の段部47が一体に突設されている(図4参照)。
【0026】
アースコンタクト被取付部43は、カバー体41の外周面両側にこのカバー体41の周方向に沿って形成された第1溝51と、カバー体41の外周面両側の軸方向他端部つまりアースコンタクト被取付部43の先端部にこのカバー体41の周方向に沿って形成され第1溝51よりプリント回路基板23側に位置する第2溝52とを有している。すなわち、アースコンタクト被取付部43の外周面には軸方向に並んだ2段の第1溝51および第2溝52が形成されている。各第2溝52は例えばカバー体41の軸方向他端近傍に形成されており、この各第2溝52の溝底面52aには、カバー体41の内外面を貫通する貫通孔53がカバー体41の周方向に長孔状に開口形成されている。また、アースコンタクト被取付部43はカバー体41の径方向に沿った平面部54を有し、この平面部54には基台26の凹部29と係合してカバー体41の基台26に対する回転を規制する直方体状の係合凸部55が一体に突設され、この係合凸部55はフランジ部44に連設されている。なお、平面部54のうちカバー体41の軸方向他端部に位置する部分が被当接面56となっている。
【0027】
さらに、同軸コネクタ21は、カバー体41内に嵌入配設された絶縁体であるインシュレータ61を備えている。インシュレータ61は、例えば絶縁性を有する合成樹脂等でそれぞれ一体に形成された2つの分割部材であるインシュレータ形成部材62同士が嵌合によって互いに結合されて構成されている。各インシュレータ形成部材62にはそれぞれ複数の凸部62aおよび凹部62bが形成され、これら凸部62aと凹部62bとの嵌合によって両インシュレータ形成部材62同士が互いに結合されている。
【0028】
そして、インシュレータ61は、カバー体41の軸方向に長手方向を有する長手状で円筒状のコンタクト保持部63を有している。このコンタクト保持部63の長手方向一端部、長手方向中央部および長手方向他端部の各々には、コンタクト保持部63の外周面から突出する円形環状の突部64,65,66が一体に突設され、これら突部64,65,66の外周面がカバー体41の内周面と接触する。コンタクト保持部63と突部64,66との間には略三角形状のリブ部67が設けられている。また、カバー体41内においてカバー体41の軸方向他端近傍に位置してプリント回路基板23と離間対向する突部66のプリント回路基板23との対向面両側には、窪み部68が形成されている。なお、図示しないが、コンタクト保持部63の長手方向中央部の内周面には、回り止め用の凹部が形成されている。
【0029】
また、同軸コネクタ21は、インシュレータ61のコンタクト保持部63にて保持、すなわち両インシュレータ形成部材62間で挟持されたコンタクト71と、カバー体41のアースコンタクト被取付部43の外周側にカバー体41の軸方向と直交する方向から取り付けられたアースコンタクト72とを備えている。コンタクト71およびアースコンタクト72は、いずれも導電性を有する金属等にて一体に形成されている。
【0030】
コンタクト71は、インシュレータ61のコンタクト保持部63より長い寸法に形成された棒状のもので、円筒状部73と円錐台状部74と平板状部75とにて構成されている。円筒状部73の長手方向中央部の外周面にはインシュレータ61の凹部と係合してコンタクト71のインシュレータ61に対する回転を規制する円形状の係合凸部76が一体に突設されている。
【0031】
コンタクト71の長手方向一端側はコンタクト保持部63の一端開口部63aからインシュレータ61外へ突出し、この突出部分が同軸ケーブルのプラグ(図示せず)が接続されるプラグ接続部77となっている。プラグ接続部77はカバー体41内に位置し(図4参照)、このプラグ接続部77の両側にはコンタクト71の長手方向に沿った長孔78が形成されている。また、コンタクト71の長手方向他端側は、カバー体41の軸方向他端位置つまりアースコンタクト被取付部43の先端位置で開口するコンタクト保持部63の矩形状の他端開口部63bからインシュレータ61外およびカバー体41へ突出している。そして、この突出部分である平板状部75が、プリント回路基板23を貫通してプリント回路基板23の回路に半田付けにより接続される平板状の回路接続部79となっている。
【0032】
アースコンタクト72は、図6および図7にも示すように、略矩形状の本体板部81を有し、この本体板部81の短手方向一端部には中間部で直角に折り曲げられた折曲板部82が一体に設けられている。そして、この折曲板部82には、互いに離間対向して位置しカバー体41のアースコンタクト被取付部43の第1溝51に係合接続されフランジ部44との間でシールドプレート83を介して基台26の挿通孔28の周縁部を挟持する略C字状の両側一対の第1係合アーム部85が一体に設けられている。すなわち、折曲板部82から2本の第1係合アーム部85がカバー体41側に向って突出している。各第1係合アーム部85の内縁には、カバー体41の第1溝51に嵌入係合する円弧状の係合縁部86が形成され、この係合縁部86の先端には第1溝51の溝底面51aに引っ掛かって抜け止めする引掛爪部87が形成されている。各第1係合アーム部85の基端部には基台26の本体部27のプリント回路基板23側の面に当接する略半球状の凸部88が一体に突設されている。
【0033】
また、本体板部81の短手方向他端部における長手方向両端部には、互いに離間対向して位置しカバー体41のアースコンタクト被取付部43の第2溝52に係合接続され先端側にプリント回路基板23を貫通してプリント回路基板23の回路に半田付けにより接続される平板状の回路接続部分91が折曲げにより形成された両側一対の第2係合アーム部92が一体に設けられている。すなわち、本体板部81の短手方向他端部両側から、第2溝52の貫通孔53に挿通され窪み部68と係合してインシュレータ61をこのインシュレータ61がカバー体41内からプリント回路基板23側へ抜け出ないように支持する2本の第2係合アーム部92がカバー体41側に向って突出している。各第2係合アーム部92は、基端側の第1板部93と先端側の第2板部94とにて構成され、この第2板部94が回路接続部分91となっている。第1板部93の内縁には、貫通孔53からカバー体41内に挿入され窪み部68との係合によりインシュレータ61を支持する直線状の支持縁部95が形成され、この支持縁部95の先端には第2溝52の溝底面52aに引っ掛かって抜け止めする引掛爪部96が形成されている。
【0034】
さらに、本体板部81の短手方向他端部における長手方向中央部には、カバー体41の軸方向他端部の被当接面56に当接接続され先端側にプリント回路基板23を貫通してプリント回路基板23の回路に半田付けにより接続される平板状の回路接続部分97が折曲げにより形成された1本の当接アーム部98が一体に設けられている。すなわち、本体板部81の短手方向他端部における両第2係合アーム部92間の位置から、1本の当接アーム部98がカバー体41側に向って突出している。この当接アーム部98は、基端側の第1板部99と先端側の第2板部100とにて構成され、この第2板部100が回路接続部分97となっている。また、第2板部100の幅広状の基端部分100aにおけるカバー体41側の面全体が、アースコンタクト被取付部43の被当接面56に面状に当接する当接面101となっている。
【0035】
このようにアースコンタクト72は、一対の第2係合アーム部92と1本の当接アーム部98とを有し、これら3本のアーム部92,92,98の回路接続部分91,91,97が、コンタクト71の回路接続部79を中心とする仮想円上に略等間隔、つまり略120度間隔で配置されている。
【0036】
次に、上記実施の形態の作用等を説明する。
【0037】
同軸コネクタ21を組み立てる場合、まず、コンタクト71を一方のインシュレータ形成部材62上に載せた後、この一方のインシュレータ形成部材62に対して他方のインシュレータ形成部材62を突き合わせるように結合し、これら両インシュレータ形成部材62にてコンタクト71を保持する。
【0038】
次いで、そのコンタクト71を保持したインシュレータ61をカバー体41内にこのカバー体41の軸方向他端開口から嵌入し、インシュレータ61の挿入方向先端側の突部64をカバー体41の内周側の段部47に当接させる。
【0039】
続いて、シールドプレート83を基台26に載せた後、カバー体41を基台26の挿通孔28に差し込み、シールドプレート83をカバー体41のフランジ部44と基台26の挿通孔28の周縁部との間で挟持する。またシールドコンタクト34を基台26の突出柱部32のシールドコンタクト被取付孔33に挿入する。
【0040】
次いで、アースコンタクト72を基台26の両突出板部31間に2段の溝51,52に沿うように挿入してカバー体41のアースコンタクト被取付部43に取り付ける。すなわち、アースコンタクト72の一対の第1係合アーム部85をカバー体41の第1溝51に係合接続し、アースコンタクト72の一対の第2係合アーム部92をカバー体41の第2溝52に係合接続し、アースコンタクト72の当接アーム部98をカバー体41の被当接面56に当接接続する。
【0041】
そして、一対の第1係合アーム部85を第1溝51に係合接続すると、これら両第1係合アーム部85とカバー体41のフランジ部44との間で基台26の挿通孔28の周縁部が挟持され、カバー体41が基台26に固定的に取り付けられる。
【0042】
また、一対の第2係合アーム部92を第2溝52に係合接続すると、これら両第2係合アーム部92の支持縁部95によってインシュレータ61が支持される。すなわち、インシュレータ61の長手方向一端部がカバー体41の段部47にて支持されるとともに、インシュレータ61の長手方向他端部がアースコンタクト72の第2係合アーム部92の支持縁部95にて支持され、インシュレータ61がカバー体41内から抜け出ないようになっている。
【0043】
こうして組み立てた同軸コネクタ21を取付用ねじ等にて電気機器等のケースに取り付け、この取り付けた同軸コネクタ21に同軸ケーブルのプラグを接続する。
【0044】
そして、この同軸コネクタ21によれば、カバー体41のアースコンタクト被取付部43がプリント回路基板23付近まで延びてプリント回路基板23に近接して位置し、このアースコンタクト被取付部43には軸方向に2段の溝51,52と被当接面56が形成され、アースコンタクト72が第1溝51に係合接続された一対の第1係合アーム部85とカバー体41の端部位置で第2溝52に係合接続された一対の第2係合アーム部92とカバー体41の端部位置で被当接面56に当接接続された当接アーム部98とを有するため、従来の構成に比べて電波の損失および反射を効果的に抑制でき、周波数特性を向上でき、よって例えば3GHzの高周波帯域で定在波比:1.5以下の特性を有している。
【0045】
また、アースコンタクト72の一対の第2係合アーム部92が第2溝52の貫通孔53に挿通されインシュレータ61をこのインシュレータ61がカバー体41内から抜け出ないように支持するため、インシュレータ61がカバー体41内から抜け出ることを適切に防止でき、また、カバー体41の端部をかしめてインシュレータ61を抜け出ないようにする必要がなく、組立て性の向上を図ることができる。
【0046】
なお、同軸コネクタ21は、基台26に1つの挿通孔28を設けてこの挿通孔28に1つのカバー体41を挿入して構成する1ピン構造には限定されず、例えば基台26に複数の挿通孔を設けて各挿通孔にカバー体を挿入して構成するような複数ピン構造でもよい。
【0047】
また、アースコンタクト72が一対の第2係合アーム部92と1本の当接アーム部98とからなる3本のアーム部92,92,98を有する構成には限定されず、例えばアースコンタクト72が一対の第2係合アーム部92のみを有する構成、これら一対の第2係合アーム部92のいずれか一方のみを有する構成、1本の当接アーム部98のみを有する構成等でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施の形態の同軸コネクタの分解斜視図である。
【図2】同上同軸コネクタの斜視図である。
【図3】同上同軸コネクタの側面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】同上同軸コネクタのカバー体の斜視図である。
【図6】同上同軸コネクタのアースコンタクトの斜視図である。
【図7】同上同軸コネクタのアースコンタクトの斜視図である。
【図8】従来の同軸コネクタの分解斜視図である。
【図9】同上同軸コネクタの斜視図である。
【図10】同上同軸コネクタの側面図である。
【符号の説明】
【0049】
21 同軸コネクタ
23 プリント回路基板
26 基台
28 挿通孔
41 カバー体
42 プラグ接続部
43 アースコンタクト被取付部
44 フランジ部
51 第1溝
52 第2溝
53 貫通孔
56 被当接面
61 インシュレータ
62 インシュレータ形成部材
71 コンタクト
72 アースコンタクト
77 プラグ接続部
79 回路接続部
85 第1係合アーム部
91 回路接続部分
92 第2係合アーム部
97 回路接続部分
98 当接アーム部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿通孔を有し、プリント回路基板に当接して配置される絶縁性の基台と、
前記挿通孔に挿通され、軸方向一端側にプラグ接続部を有し、軸方向他端側に前記プリント回路基板に近接して位置するアースコンタクト被取付部を有し、軸方向中間部に前記基台の挿通孔の周縁部に当接するフランジ部を有する略円筒状の導電性のカバー体と、
このカバー体内に配設されたインシュレータと、
このインシュレータにて保持され、一端側にプラグ接続部を有し、他端側に前記プリント回路基板の回路に接続される回路接続部を有するコンタクトと、
前記カバー体のアースコンタクト被取付部の外周側に取り付けられたアースコンタクトとを備え、
前記アースコンタクト被取付部は、
前記カバー体の外周面にこのカバー体の周方向に沿って形成された第1溝と、
前記カバー体の外周面の軸方向他端部にこのカバー体の周方向に沿って形成され、前記第1溝より前記プリント回路基板側に位置する第2溝とを有し、
前記アースコンタクトは、
前記第1溝に係合接続され、前記フランジ部との間で前記基台の挿通孔の周縁部を挟持する第1係合アーム部と、
前記第2溝に係合接続され、先端側に前記プリント回路基板の回路に接続される回路接続部分が形成された第2係合アーム部とを有する
ことを特徴とする同軸コネクタ。
【請求項2】
アースコンタクト被取付部の第2溝には、カバー体の内外面を貫通する貫通孔が形成され、
第2係合アーム部は、前記貫通孔に挿通され、インシュレータをこのインシュレータがカバー体内から抜け出ないように支持する
ことを特徴とする請求項1記載の同軸コネクタ。
【請求項3】
アースコンタクト被取付部は、カバー体の外周面の軸方向他端部に形成された被当接面を有し、
アースコンタクトは、前記被当接面に当接接続され、先端側にプリント回路基板の回路に接続される回路接続部分が形成された当接アーム部を有する
ことを特徴とする請求項1または2記載の同軸コネクタ。
【請求項4】
アースコンタクトは、一対の第2係合アーム部と1本の当接アーム部とを有し、
前記3本のアーム部の回路接続部分は、コンタクトの回路接続部を中心とする仮想円上に略等間隔で配置されている
ことを特徴とする請求項3記載の同軸コネクタ。
【請求項5】
インシュレータは、2つのインシュレータ形成部材同士が互いに結合されて構成され、
コンタクトは、前記両インシュレータ形成部材間で挟持されている
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の同軸コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−243686(P2008−243686A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−84565(P2007−84565)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000103194)エムデン無線工業株式会社 (15)
【Fターム(参考)】