説明

同軸線通信装置及び同軸線通信システム

【課題】ブースタを設置するための宅内工事が不要となり、しかも、同軸線通信による双方向のデータ通信を行うことが可能な同軸線通信装置を得る。
【解決手段】同軸線通信装置13は、同軸線通信によって放送信号及びデータの通信を行う同軸線通信装置であって、端子71〜73と、端子71と端子72との間の信号処理部74と、端子72と端子73との間の信号処理部75と、を備え、信号処理部74は、上流機器から端子71に入力された放送信号を増幅するブースタ部77を有し、ブースタ部77によって増幅された放送信号を、端子72から同軸線51を介して下流機器に向けて伝送し、信号処理部75は、上流機器から端子73に入力されたデータを、端子72から同軸線51を介して下流機器に向けて伝送し、下流機器から同軸線51を介して端子72に入力されたデータを、端子73から上流機器に向けて伝送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸線通信装置及びそれを備えた同軸線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年における通信技術の進展に伴い、放送事業者から送信された地上デジタル放送やBS,CSデジタル放送等の放送信号を、光ファイバ等の有線通信回線を介してユーザの住宅に伝送する放送サービスが普及しつつある。ユーザの住宅内においては、放送事業者から送信された放送信号を光回線終端装置によって受信し、受信した放送信号を住宅内に敷設されている同軸線を介して各部屋に分配することにより、アンテナを設置することなく各部屋のテレビによって放送番組を視聴することが可能となる(例えば下記非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】“フレッツ・テレビ フレッツ光映像サービス 接続イメージ・導入工事例”、[online]、[平成22年11月4日検索]、インターネット<URL:http://www.isdn-info.co.jp/ftv/line.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
受信した放送信号を同軸線を介して住宅内の各部屋に分配する場合には、同軸線自身における損失や分配器を通過する際の減衰等によって、放送信号の信号レベルが低下する場合がある。このような場合には、宅内工事を行って同軸線の途中にブースタを配置することにより、放送信号を増幅させる必要がある。従って、ユーザにとってはブースタを設置するための宅内工事が煩雑であるとともに、宅内工事に伴って導入コストが増大するという問題がある。
【0005】
また、いわゆる片方向増幅器が搭載されたブースタを設置した場合には、光回線終端装置からテレビに向かう方向(下り方向)の放送信号に対しては増幅を行って当該信号を伝送することができるが、テレビから光回線終端装置に向かう方向(上り方向)には信号の伝送を行うことができない。放送信号に重畳させてIP(Internet Protocol)ベースのデータ通信を同軸線通信によって行う場合であっても、上り方向のデータ通信は片方向増幅器によって遮断される。従って、片方向増幅器が搭載されたブースタを設置した場合には、下り方向の通信のみならず上り方向のデータ通信が必要なVOD(Video On Demand)等のサービスを提供することができないという問題がある。
【0006】
本発明はかかる問題を解決するために成されたものであり、ブースタを設置するための宅内工事が不要となり、しかも、同軸線通信による双方向のデータ通信を行うことが可能な、同軸線通信装置及びそれを備えた同軸線通信システムを得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る同軸線通信装置は、同軸線通信によって放送信号及びデータの通信を行う同軸線通信装置であって、第1端子、第2端子、及び第3端子と、前記第1端子と前記第2端子との間の第1信号処理部と、前記第2端子と前記第3端子との間の第2信号処理部と、を備え、前記第1信号処理部は、上流機器から前記第1端子に入力された放送信号を増幅するブースタ部を有し、当該ブースタ部によって増幅された放送信号を、前記第2端子から同軸線を介して下流機器に向けて伝送し、前記第2信号処理部は、上流機器から前記第3端子に入力されたデータを、前記第2端子から同軸線を介して下流機器に向けて伝送し、下流機器から同軸線を介して前記第2端子に入力されたデータを、前記第3端子から上流機器に向けて伝送することを特徴とするものである。
【0008】
第1の態様に係る同軸線通信装置によれば、第1信号処理部は、上流機器から第1端子に入力された放送信号を増幅するブースタ部を有し、当該ブースタ部によって増幅された放送信号を、第2端子から同軸線を介して下流機器に向けて伝送する。従って、同軸線自身における損失や分配器を通過する際の減衰等によって放送信号の信号レベルが低下する場合であっても、ブースタ部によって放送信号を増幅することにより、十分な信号レベルの放送信号を得ることができる。その結果、同軸線の途中にブースタを設置するための宅内工事が不要となるため、煩雑な宅内工事を省略できるとともに、宅内工事に伴う導入コストの増大を回避することが可能となる。
【0009】
また、第2信号処理部は、上流機器から第3端子に入力されたデータを、第2端子から同軸線を介して下流機器に向けて伝送し、下流機器から同軸線を介して第2端子に入力されたデータを、第3端子から上流機器に向けて伝送する。従って、第1信号処理部が有するブースタ部として片方向増幅器が使用される場合であっても、第1信号処理部とは別に第2信号処理部を設けることにより、第2信号処理部によって双方向のデータ通信を行うことができる。その結果、下り方向の通信のみならず上り方向のデータ通信が必要なVOD等のサービスを提供することが可能となる。
【0010】
本発明の第2の態様に係る同軸線通信装置は、第1の態様に係る同軸線通信装置において特に、前記第1端子には、放送信号の送信局から通信回線を介して回線終端装置が受信した放送信号が、当該回線終端装置から入力されることを特徴とするものである。
【0011】
第2の態様に係る同軸線通信装置によれば、第1端子には、放送信号の送信局から通信回線を介して回線終端装置が受信した放送信号が、当該回線終端装置から入力される。従って、放送信号を受信するためのアンテナの設置が不要となるため、ユーザは、当該同軸線通信装置を用いた同軸線通信システムを簡易かつ低コストで導入することが可能となる。
【0012】
本発明の第3の態様に係る同軸線通信装置は、第1又は第2の態様に係る同軸線通信装置において特に、上流機器から前記第2信号処理部を介して下流機器に伝送されるデータは、VOD(Video On Demand)サービスにおけるコンテンツデータを含むことを特徴とするものである。
【0013】
第3の態様に係る同軸線通信装置によれば、上流機器から第2信号処理部を介して下流機器に伝送されるデータは、VODサービスにおけるコンテンツデータを含む。従って、ユーザは、地上デジタル放送やBS,CSデジタル放送等の放送番組のみならず、VODサービスのコンテンツをも視聴できるため、ユーザの利便性を向上することができる。
【0014】
本発明の第4の態様に係る同軸線通信システムは、放送信号の送信局から通信回線を介して放送信号を受信する回線終端装置と、同軸線通信によって放送信号及びデータの通信を行う同軸線通信装置と、を備え、前記同軸線通信装置は、第1端子、第2端子、及び第3端子と、前記第1端子と前記第2端子との間の第1信号処理部と、前記第2端子と前記第3端子との間の第2信号処理部と、を有し、前記第1信号処理部は、前記回線終端装置から前記第1端子に入力された放送信号を増幅するブースタ部を有し、当該ブースタ部によって増幅された放送信号を、前記第2端子から同軸線を介して下流機器に向けて伝送し、前記第2信号処理部は、上流機器から前記第3端子に入力されたデータを、前記第2端子から同軸線を介して下流機器に向けて伝送し、下流機器から同軸線を介して前記第2端子に入力されたデータを、前記第3端子から上流機器に向けて伝送することを特徴とするものである。
【0015】
第4の態様に係る同軸線通信システムによれば、第1信号処理部は、上流機器から第1端子に入力された放送信号を増幅するブースタ部を有し、当該ブースタ部によって増幅された放送信号を、第2端子から同軸線を介して下流機器に向けて伝送する。従って、同軸線自身における損失や分配器を通過する際の減衰等によって放送信号の信号レベルが低下する場合であっても、ブースタ部によって放送信号を増幅することにより、十分な信号レベルの放送信号を得ることができる。その結果、同軸線の途中にブースタを設置するための宅内工事が不要となるため、煩雑な宅内工事を省略できるとともに、宅内工事に伴う導入コストの増大を回避することが可能となる。
【0016】
また、第2信号処理部は、上流機器から第3端子に入力されたデータを、第2端子から同軸線を介して下流機器に向けて伝送し、下流機器から同軸線を介して第2端子に入力されたデータを、第3端子から上流機器に向けて伝送する。従って、第1信号処理部が有するブースタ部として片方向増幅器が使用される場合であっても、第1信号処理部とは別に第2信号処理部を設けることにより、第2信号処理部によって双方向のデータ通信を行うことができる。その結果、下り方向の通信のみならず上り方向のデータ通信が必要なVOD等のサービスを提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ブースタを設置するための宅内工事が不要となり、しかも、同軸線通信による双方向のデータ通信を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る同軸線通信システムの適用例を示す図である。
【図2】同軸線通信装置13の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係る同軸線通信システムの適用例を示す図である。ユーザの住宅1の部屋2内には、回線終端装置11、分配器12、同軸線通信装置13、及びテレビ14が設置されている。また、住宅1の部屋3内には、同軸線通信装置21及びテレビ22が設置されている。
【0021】
回線終端装置11は、光ファイバ等の通信回線63を介して、送信サーバ61及び配信サーバ62に接続されている。送信サーバ61は、放送信号を送信する送信局に設置されており、地上デジタル放送やBS,CSデジタル放送等の放送信号が、送信サーバ61から通信回線63を介して回線終端装置11に送信される。配信サーバ62は、VOD(Video On Demand)サービスを提供する配信局に設置されており、VODサービスによって提供される映像等のコンテンツデータ(IPベースの通信データ)が、配信サーバ62から通信回線63を介して回線終端装置11に送信される。
【0022】
回線終端装置11は、ONU(Optical Network Unit)とルータとが一体となったONU一体型ルータ等の光回線終端装置である。回線終端装置11には、住宅1内に構築された同軸線通信システムにおけるホームゲートウェイとしての機能が実装されていてもよい。回線終端装置11は、同軸ケーブル31を介して分配器12の入力端子に接続されており、また、LAN(Local Area Network)ケーブル34を介して同軸線通信装置13に接続されている。分配器12の出力端子は、同軸ケーブル32を介してテレビ14に接続されており、また、分配器12の他の出力端子は、同軸ケーブル33を介して同軸線通信装置13に接続されている。なお、スイッチングハブ等の中継機器を用いることにより、テレビ14と回線終端装置11とをLANケーブルを介して接続してもよい。
【0023】
同軸線通信装置13は、同軸線通信を行うための同軸モデムである。同軸線通信装置13は、同軸ケーブル35を介して、部屋2の壁面のテレビ端子(F型端子)15に接続されている。同様に、同軸線通信装置21は、同軸線通信を行うための同軸モデムであり、同軸ケーブル41を介して、部屋3の壁面のテレビ端子(F型端子)23に接続されている。また、同軸線通信装置21は、同軸ケーブル42及びLANケーブル43を介してテレビ22に接続されている。テレビ端子15とテレビ端子23とは、住宅1内に敷設された同軸線51を介して互いに接続されている。
【0024】
回線終端装置11が送信サーバ61から受信した放送信号は、回線終端装置11から同軸ケーブル31、分配器12、及び同軸ケーブル32をこの順に経由して、テレビ14に入力される。これにより、テレビ14によって放送番組を視聴することが可能となる。
【0025】
また、回線終端装置11が送信サーバ61から受信した放送信号は、回線終端装置11から同軸ケーブル31、分配器12、同軸ケーブル33、同軸線通信装置13、同軸ケーブル35、同軸線51、同軸ケーブル41、同軸線通信装置21、及び同軸ケーブル42をこの順に経由して、テレビ22に入力される。これにより、テレビ22によって放送番組を視聴することが可能となる。
【0026】
また、テレビ22によってVODサービスのコンテンツを視聴する場合において、テレビ22から配信サーバ62へ送信するIPベースの通信データ(例えば、ユーザが視聴したいコンテンツを選択するための通信データ)は、テレビ22からLANケーブル43、同軸線通信装置21、同軸ケーブル41、同軸線51、同軸ケーブル35、同軸線通信装置13、LANケーブル34、回線終端装置11、及び通信回線63をこの順に経由して、配信サーバ62に入力される。回線終端装置11が配信サーバ62から受信したコンテンツデータは、回線終端装置11からLANケーブル34、同軸線通信装置13、同軸ケーブル35、同軸線51、同軸ケーブル41、同軸線通信装置21、及びLANケーブル43をこの順に経由して、テレビ22に入力される。これにより、テレビ22によってVODサービスのコンテンツを視聴することが可能となる。なお、テレビ14と回線終端装置11とがLANケーブルを介して接続されている場合には、テレビ14によってVODサービスのコンテンツを視聴することも可能となる。なお、テレビ22は、VODサービスのコンテンツの視聴のほか、インターネットへのアクセスやその他のIPベースの通信を行うことができる。また、同軸線通信装置21にLANケーブルでPCを接続した場合も、VODサービスのコンテンツの視聴のほか、インターネットへのアクセスやその他のIPベースの通信を行うことができる。
【0027】
図2は、同軸線通信装置13の構成を示すブロック図である。同軸線通信装置13は、同軸ケーブル33が接続される端子71と、同軸ケーブル35が接続される端子72と、LANケーブル34が接続される端子73とを備えている。なお、同軸線通信装置13が端子71〜73以外の端子を備えていてもよい。
【0028】
同軸線通信装置13は、端子71と端子72との間の通信経路に配置された信号処理部74と、端子73と端子72との間の通信経路に配置された信号処理部75とを備えている。
【0029】
信号処理部74は、分波部76、ブースタ部77、合波部78、及び合分波部79を有している。ブースタ部77は、例えば地上デジタル放送に割り当てられている周波数帯域の放送信号を増幅するためのブースタアンプ85と、BS,CSデジタル放送に割り当てられている周波数帯域の放送信号を増幅するためのブースタアンプ86とを有している。つまり、同軸線通信装置13は、ブースタ内蔵型の同軸モデムである。ブースタアンプ85,86は、いずれも片方向増幅器であり、上流機器である回線終端装置11から下流機器である同軸線通信装置21に向かう下り方向(つまり端子71から端子72に向かう方向)には信号を伝送し、一方、下流機器である同軸線通信装置21から上流機器である回線終端装置11に向かう上り方向(つまり端子72から端子71に向かう方向)には信号を伝送しない。
【0030】
分波部76は、端子71から入力された放送信号を、地上デジタル放送の放送信号とBS,CSデジタル放送の放送信号とに分波する。ブースタアンプ85は、地上デジタル放送の放送信号を増幅して合波部78に入力する。ブースタアンプ86は、BS,CSデジタル放送の放送信号を増幅して合波部78に入力する。合波部78は、地上デジタル放送の放送信号とBS,CSデジタル放送の放送信号とを合波して合分波部79に入力する。合分波部79は、合波部78から入力された放送信号を端子72に入力する。
【0031】
信号処理部75は、外部インタフェース80、制御部81、送信部82、受信部83、及び切替部84を有している。
【0032】
下り方向(つまり端子73から端子72に向かう方向)のデータ通信において、外部インタフェース80は、端子73から入力されたコンテンツデータを制御部81に入力する。制御部81は、外部インタフェース80から入力されたコンテンツデータを送信部82に入力する。送信部82は、制御部81から入力されたコンテンツデータに対して変調等の処理を行って切替部84に入力する。切替部84は、送信部82から入力されたコンテンツデータを合分波部79に入力する。合分波部79は、切替部84から入力されたコンテンツデータを端子72に入力する。
【0033】
端子72からは、信号処理部74から入力された放送信号と信号処理部75から入力されたコンテンツデータとが重畳された通信信号が、同軸線通信装置21に向けて出力される。
【0034】
上り方向(つまり端子72から端子73に向かう方向)のデータ通信において、合分波部79は、端子から入力された通信データ(例えば、視聴したいコンテンツを選択するためのデータ)を切替部84に入力する。切替部84は、合分波部79から入力された通信データを受信部83に入力する。受信部83は、切替部84から入力された通信データに対して復調等の処理を行って制御部81に入力する。制御部81は、受信部83から入力された通信データを外部インタフェース80に入力する。外部インタフェース80は、制御部81から入力された通信データを端子73に入力する。端子73からは、外部インタフェース80から入力された通信データが、回線終端装置11に向けて出力される。図1を参照して、回線終端装置11は、同軸線通信装置13から入力された通信データを、配信サーバ62に向けて送信する。
【0035】
ここで、信号処理部75は、時分割通信方式によって同軸線通信装置21との間で双方向のデータ通信を行うように構成されている。切替部84は、制御部81からの制御によって、同軸線通信装置21に向けての通信データの送信期間(つまり送信部82の動作期間)と、同軸線通信装置21からの通信データの受信期間(つまり受信部83の動作期間)とを交互に繰り返す。
【0036】
なお、同軸線通信装置21の構成は同軸線通信装置13の構成と同様である。但し、同軸線通信装置21には必ずしも分波部76、ブースタ部77、及び合波部78が設けられている必要はない。
【0037】
このように本実施の形態に係る同軸線通信装置13によれば、信号処理部74(第1信号処理部)は、回線終端装置11等の上流機器から端子71(第1端子)に入力された放送信号を増幅するブースタ部77を有し、当該ブースタ部77によって増幅された放送信号を、端子72(第2端子)から同軸線51等を介して、同軸線通信装置21等の下流機器に向けて伝送する。従って、同軸線51等自身における損失や分配器12を通過する際の減衰等によって放送信号の信号レベルが低下する場合であっても、ブースタ部77によって放送信号を増幅することにより、十分な信号レベルの放送信号を得ることができる。その結果、同軸線51の途中にブースタを設置するための宅内工事が不要となるため、煩雑な宅内工事を省略できるとともに、宅内工事に伴う導入コストの増大を回避することが可能となる。
【0038】
また、信号処理部75(第2信号処理部)は、上流機器から端子73(第3端子)に入力されたデータを、端子72から同軸線51等を介して下流機器に向けて伝送し、下流機器から同軸線51等を介して端子72に入力されたデータを、端子73から上流機器に向けて伝送する。従って、信号処理部74が有するブースタ部77のブースタアンプ85,86として片方向増幅器が使用される場合であっても、信号処理部74とは別に信号処理部75(つまりブースタ部77を迂回するバイパス経路)を設けることにより、信号処理部75によって双方向のデータ通信を行うことができる。その結果、下り方向の通信のみならず上り方向のデータ通信が必要なVOD等のサービスを提供することが可能となる。
【0039】
また、本実施の形態に係る同軸線通信装置13によれば、端子71には、放送信号の送信局が有する送信サーバ61から通信回線63を介して回線終端装置11が受信した放送信号が、回線終端装置11から分配器12を介して入力される。従って、放送信号を受信するためのアンテナの設置が不要となるため、ユーザは、同軸線通信装置13を用いた同軸線通信システムを簡易かつ低コストで導入することが可能となる。
【0040】
また、本実施の形態に係る同軸線通信装置13によれば、上流機器から信号処理部75を介して下流機器に伝送されるデータは、VODサービスにおけるコンテンツデータを含む。従って、ユーザは、地上デジタル放送やBS,CSデジタル放送等の放送番組のみならず、VODサービスのコンテンツをも視聴できるため、ユーザの利便性を向上することができる。
【0041】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0042】
11 回線終端装置
13,21 同軸線通信装置
51 同軸線
71〜73 端子
74,75 信号処理部
77 ブースタ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸線通信によって放送信号及びデータの通信を行う同軸線通信装置であって、
第1端子、第2端子、及び第3端子と、
前記第1端子と前記第2端子との間の第1信号処理部と、
前記第2端子と前記第3端子との間の第2信号処理部と、
を備え、
前記第1信号処理部は、上流機器から前記第1端子に入力された放送信号を増幅するブースタ部を有し、当該ブースタ部によって増幅された放送信号を、前記第2端子から同軸線を介して下流機器に向けて伝送し、
前記第2信号処理部は、
上流機器から前記第3端子に入力されたデータを、前記第2端子から同軸線を介して下流機器に向けて伝送し、
下流機器から同軸線を介して前記第2端子に入力されたデータを、前記第3端子から上流機器に向けて伝送する、同軸線通信装置。
【請求項2】
前記第1端子には、放送信号の送信局から通信回線を介して回線終端装置が受信した放送信号が、当該回線終端装置から入力される、請求項1に記載の同軸線通信装置。
【請求項3】
上流機器から前記第2信号処理部を介して下流機器に伝送されるデータは、VOD(Video On Demand)サービスにおけるコンテンツデータを含む、請求項1又は2に記載の同軸線通信装置。
【請求項4】
放送信号の送信局から通信回線を介して放送信号を受信する回線終端装置と、
同軸線通信によって放送信号及びデータの通信を行う同軸線通信装置と、
を備え、
前記同軸線通信装置は、
第1端子、第2端子、及び第3端子と、
前記第1端子と前記第2端子との間の第1信号処理部と、
前記第2端子と前記第3端子との間の第2信号処理部と、
を有し、
前記第1信号処理部は、前記回線終端装置から前記第1端子に入力された放送信号を増幅するブースタ部を有し、当該ブースタ部によって増幅された放送信号を、前記第2端子から同軸線を介して下流機器に向けて伝送し、
前記第2信号処理部は、
上流機器から前記第3端子に入力されたデータを、前記第2端子から同軸線を介して下流機器に向けて伝送し、
下流機器から同軸線を介して前記第2端子に入力されたデータを、前記第3端子から上流機器に向けて伝送する、同軸線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−119743(P2012−119743A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265026(P2010−265026)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(502312498)住友電工ネットワークス株式会社 (212)
【出願人】(399041158)西日本電信電話株式会社 (215)
【Fターム(参考)】