説明

吐出ポンプ

【課題】吐出操作後のノズル部からの液垂れを防止できる吐出ポンプを提供することを目的とする。
【解決手段】シリンダ部3と、シリンダ部3の内周面に沿ってシリンダ軸方向に摺動可能なピストン部4と、ピストン部4を操作する操作部5と、シリンダ部3内の液室32に連通された管状の吸込み部6と、吸込部6の内側に配設され、ピストン部4の引戻し動作に連動して開けられる開閉可能な吸込み弁7と、シリンダ部3の側方に向かって突出していると共にシリンダ部3に直結されて液室32に連通された筒状のノズル部8と、ノズル部8の内側に配設され、ピストン部4の押込み動作に連動して開けられる開閉可能な吐出弁9と、を備える吐出ポンプ1であって、ピストン部のうちの少なくとも液室32に面する壁部40が、液室32の内圧に応じて操作部5に対して相対的に変位可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体の内側に収容された内容物を吐出するための吐出ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の吐出ポンプとして、従来、例えば下記特許文献1に示されているように、シリンダ部と、シリンダ部の内周面に沿ってシリンダ軸方向に摺動可能なピストン部と、ピストン部を操作する操作部と、シリンダ部内の液室に連通された内側筒部(吸込み部)と、内側筒部の内側に配設された開閉可能な第一逆止弁(吸込み弁)と、シリンダ部の側方に向かって突出すると共にシリンダ部に直結されてシリンダ部内の液室に連通された筒状のノズル部と、ノズル部の内側に配設された開閉可能な第二逆止弁(吐出弁)と、容器本体の口部に装着される装着キャップと、を備える構成が知られている。
【0003】
上記したシリンダ部は、装着キャップの上方に配設されており、容器本体の外側に配設されている。また、上記した操作部は、ピストン部に連結されたトリガーと、トリガーを付勢するバネと、を備えており、トリガーを押し下げることでピストン部が下方に押し込まれ、トリガーを押し下げる力を解除することでバネによってトリガーが押し上げられてピストン部が上方に引き戻される構成となっている。また、上記した第一、第二逆止弁は、シリンダ部内の液室の内圧に応じて開閉される逆止弁であり、第一逆止弁は、ピストン部が押し込み位置から上方に引き戻されて液室が負圧になることで開けられ、第二逆止弁は、ピストン部が下方に押し込まれて液室が正圧になることで開けられる。
【0004】
上記した吐出ポンプでは、トリガーを押し下げ操作することで、ピストン部が押し込まれて第二逆止弁が開けられ、その結果、液室内の内容物がノズル部の内側を通って外部に吐出される。そして、ピストン部の押込み動作が停止して液室の内圧が大気圧と等しくなると、第二逆止弁が弾性によって閉じられる。その後、トリガーを離すことで、バネによる付勢によってピストン部が引き戻され、第一逆止弁が開けられ、その結果、容器本体内の内容物が内側筒部を通って液室内に吸い込まれる。そして、ピストン部の引戻し動作が停止して液室の内圧が容器本体の内圧と等しくなると、第一逆止弁が弾性によって閉じられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−90201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来の吐出ポンプでは、上述したようにピストン部が引き戻されてシリンダ部内の液室に内容物が吸い込まれる際、ピストン部が最上端の位置まで戻り切ってから第一逆止弁が閉じられるまでの間に、内側筒部の内側を流通する内容物(液体)の慣性によって液室内に内容物が流入するおそれがある。この場合、液室の内圧が加圧されるので、第二逆止弁が一時的に開いて液室内の内容物がノズル部内に漏出し、ノズル部の先端から液垂れが生じるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、吐出操作後のノズル部からの液垂れを防止できる吐出ポンプを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る吐出ポンプは、シリンダ部と、該シリンダ部の内周面に沿ってシリンダ軸方向に摺動可能なピストン部と、該ピストン部を操作する操作部と、前記シリンダ部内の液室に連通された管状の吸込み部と、該吸込部の内側に配設され、前記ピストン部の引戻し動作に連動して開けられる開閉可能な吸込み弁と、前記シリンダ部の側方に向かって突出していると共に該シリンダ部に直結されて前記液室に連通された筒状のノズル部と、該ノズル部の内側に配設され、前記ピストン部の押込み動作に連動して開けられる開閉可能な吐出弁と、を備える吐出ポンプであって、前記ピストン部のうちの少なくとも前記液室に面する壁部が、前記液室の内圧に応じて前記操作部に対して相対的に変位可能であることを特徴としている。
【0009】
このような特徴により、シリンダ部内の液室に内容物が貯留された状態で、操作部を操作してピストン部が押し込まれると、吐出弁が開いて液室内の内容物がノズル部の内側を通って外部に吐出される。そして、ピストン部の押込み動作が停止すると、吐出弁が閉じられて内容物の吐出が停止する。その後、ピストン部が引き戻されると、吸込み弁が開いて吸込み部の内側を通って内容物がシリンダ部内の液室に吸い込まれる。そして、ピストン部の引戻し動作が停止すると、吸込み弁が閉じられて液室内への内容物の流入が停止する。このとき、ピストン部の引戻し動作が停止してから吸込み弁が閉じられるまでの間に、吸込み部の内側を流通する内容物の慣性によって液室内に内容物が流入する場合がある。この場合、液室の内圧によって、ピストン部のうちの少なくとも液室に面する壁部が変位して液室の容積が増大する。これにより、ピストン部の引戻し動作の停止後に液室内に流入した分の内容物の体積が吸収され、ピストン部の引戻し動作の停止直後に吐出弁が一時的に開けられることが防止される。
【0010】
また、本発明に係る吐出ポンプは、前記ピストン部の前記液室に面する壁部が、前記液室の内圧に応じて該液室の内方側及び外方側のうちの少なくとも一方に向かって膨出変形可能であることが好ましい。
【0011】
これにより、ピストン部の液室に面する壁部が液室の内方側に向かって膨出変形可能である場合、ピストン部が押し込まれた位置から引き戻されるときに、シリンダ部内の液室の内圧が負圧になるため、その負圧によって上記した液室に面する壁部が引っ張られて液室の内方側に向かって膨出変形する。そして、ピストン部の引戻し動作が停止してから吸込み弁が閉じられるまでの間に液室内に内容物が流入した際に、液室の内圧によって上記した液室に面する壁部が復元変形して液室の容積が増大し、ピストン部の引戻し動作の停止後に液室内に流入した分の内容物の体積が吸収される。
また、ピストン部の液室に面する壁部が液室の外方側に向かって膨出変形可能である場合、ピストン部の引戻し動作が停止してから吸込み弁が閉じられるまでの間に液室内に内容物が流入した際に、液室の内圧によって上記した液室に面する壁部が液室の外方側に向かって膨出変形して液室の容積が増大し、ピストン部の引戻し動作の停止後に液室内に流入した分の内容物の体積が吸収される。
【0012】
また、本発明に係る吐出ポンプは、前記ピストン部が、前記液室の内圧に応じて前記操作部に対して相対的にシリンダ軸方向に沿って剛体変位可能であってもよい。
【0013】
これにより、ピストン部が押し込まれた位置から引き戻されるときに、ピストン部が操作部に対して相対的にシリンダ軸方向に沿って液室の内方側に向かって剛体変位する。そして、ピストン部の引戻し動作が停止してから吸込み弁が閉じられるまでの間に液室内に内容物が流入した際に、液室の内圧によってピストン部が操作部に対して相対的にシリンダ軸方向に沿って液室の外方側に向かって剛体変位する。これにより、液室の容積が増大し、ピストン部の引戻し動作の停止後に液室内に流入した分の内容物の体積が吸収される。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る吐出ポンプによれば、ピストン部のうちの少なくとも液室に面する壁部が変位することにより、ピストン部の引戻し動作の停止後に吐出弁が一時的に開けられることが防止されるので、シリンダ部内の液室に貯留された内容物がノズル部内に漏出するのを防止することができ、吐出操作後のノズル部からの液垂れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態を説明するための吐出ポンプの縦断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を説明するための吐出ポンプの縦断面図であり、ピストン部押込み動作中の状態を表した図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を説明するための吐出ポンプの縦断面図であり、ピストン部引戻し動作中の状態を表した図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態を説明するための吐出ポンプの縦断面図であり、ピストン部引戻し完了直後の状態を表した図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を説明するための吐出ポンプのうちのピストン部を拡大した縦断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態を説明するための吐出ポンプの縦断面図であり、ピストン部押込み動作中の状態を表した図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態を説明するための吐出ポンプの縦断面図であり、ピストン部引戻し動作中の状態を表した図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態を説明するための吐出ポンプの縦断面図であり、ピストン部引戻し完了直後の状態を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る吐出ポンプの実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0017】
[第1の実施の形態]
まず、本発明の第1の実施の形態について図1から図4に基づいて説明する。
なお、本実施の形態では、吐出ポンプ1における操作部5側(図1における上側)を上方とし、その反対側(図1における下側)を下方とする。また、図1に示す符号Oは、後述するシリンダ部3の中心軸線を示しており、以下、単に軸線Oと記す。また、この軸線Oに沿った方向(シリンダ軸方向)を、以下、単に「軸方向」と記し、軸線Oに直交する方向を、以下、単に「径方向」と記し、軸線O回りの方向を、以下、単に「周方向」と記す。
【0018】
図1に示すように、吐出ポンプ1は、容器本体10に収容された内容物を吐出するためのポンプであり、容器本体10の口部11に装着されている。詳しく説明すると、吐出ポンプ1の概略構成としては、容器本体10の口部11に装着される装着キャップ2と、装着キャップ2の上方に配設されたシリンダ部3と、シリンダ部3の内周面に沿って軸方向に摺動可能なピストン部4と、このピストン部4を操作する操作部5と、シリンダ部3内の液室32に連通された管状の吸込み部6と、吸込み部6の内側に配設された吸込み弁7と、シリンダ部3の側方に向かって突出すると共にシリンダ部3に直結されてシリンダ部3内の液室32に連通された筒状のノズル部8と、ノズル部8の内側に配設された吐出弁9と、を備えている。
【0019】
容器本体10は、内容物を収容する容器であり、例えばガラス瓶やペットボトルや合成樹脂製ボトル等である。この容器本体10の口部11は、軸線Oを中心軸線にして軸方向に延在する円筒形状の筒部であり、口部11の外周面には、雄ねじ12が形成されている。また、この口部11の内側には、筒状の中栓13が装着されている。この中栓13は、円筒形状の筒状部材であり、軸線Oを共通軸にして口部11と同軸上に配設されている。また、中栓13の軸方向中間部の外周面には、径方向外側に向けて突出したフランジ部14が形成されている。このフランジ部14は、周方向の全周に亘って形成された円環状の板部である。このフランジ部14は、中栓13を支持するための支持部であり、口部11の上端面に載置されている。
【0020】
装着キャップ2は、円筒形状の筒体であり、軸線Oを中心軸線にして軸方向に沿って延設されている。この装着キャップ2の内周面には、口部11の雄ねじ12に螺合される雌ねじ20が形成されており、装着キャップ2は、口部11の外周に螺着されている。
【0021】
シリンダ部3は、内容物を貯留する液室32が内側に形成された円筒形状の有底筒部であり、容器本体10の外部(口部11の直上)に配置されている。このシリンダ部3には、装着キャップ2に連結される連結部30が設けられている。この連結部30は、シリンダ部3の底壁部31の下面から垂下された筒状部であり、軸線Oを中心軸線にして軸方向に沿って延設されている。この連結部30の下端部は、装着キャップ2の上端部の内側に挿入されて装着キャップ2の上端部にアンダーカット嵌合されている。また、この連結部30の下端面は上記した中栓13のフランジ部14上に載置されており、このフランジ部14を介してシリンダ部3は口部11の上端面に支持されている。
【0022】
ピストン部4は、上記した液室32を画成する可動壁であり、シリンダ部3の内側に配置されている。このピストン部4は、軸線Oに対して垂直に配設された板状の底壁部40と、底壁部40の外縁から立設された筒状の周壁部41と、周壁部41の外周に周設された筒状の摺接部43と、を備えている。
【0023】
底壁部40は、液室32に面する平面視円形の壁部であり、シリンダ部3の底壁部31の上方に間隔をあけて対向配置されている。この底壁部40は、液室32の内圧に応じて操作部5に対して相対的に変位可能な壁部である。詳しく説明すると、底壁部40は、液室32の内圧が減圧されることで液室32の内方側(下側)に向かって膨出変形可能な可撓性を有する板部であり、この底壁部40の下面は、液室32に面しており、液室32の内圧が作用する受圧面となっている。なお、この底壁部40の外周部の上面には後述する連結部材53のフランジ部53bが当接されており、このフランジ部53bによって底壁部40が上方から押さえられているので、底壁部40の上向きの膨出変形は規制されている。
【0024】
周壁部41は、円筒形状の筒部であり、軸線Oを共通軸にしてシリンダ部3と同軸上に配設されている。摺接部43は、軸線Oを共通軸にしてシリンダ部3と同軸上に配設された略円筒形状の筒部であり、この摺接部43の軸方向中間部は、上記した周壁部41の上端部に連結されている。摺接部43の上端部は、軸方向上側に向かうに従い漸次拡径されたテーパー形状に形成されており、また、摺接部43の下端部は、軸方向下側に向かうに従い漸次拡径されたテーパー形状に形成されている。そして、これら摺接部43の上下端部は、それぞれシリンダ部3の内周面に全周に亘って液密に摺接されている。
【0025】
操作部5は、シリンダ部3の上端部に被着された中蓋50と、シリンダ部3に対して相対的に軸方向に沿って押し下げ可能な押下ヘッド51と、押下ヘッド51を上方に付勢するコイルスプリング52と、押下ヘッド51とピストン部4とを連結する連結部材53と、を備えている。
【0026】
中蓋50は、軸線Oに対して垂直に配設された円環状の天壁部50aと、天壁部50aの外縁から垂下された外筒部50bと、天壁部50aの内縁から垂下された内筒部50cと、内筒部50cの下端部の内側に配設された円環状の底壁部50dと、底壁部50dの内縁から立設されたガイド筒部50eと、を備えている。天壁部50aは、シリンダ部3の上方に配置され、シリンダ部3の上端面に載置されている。外筒部50bは、シリンダ部3の上端部の外周に周設された円筒形状の筒部であり、軸線Oを共通軸にしてシリンダ部3と同軸上に配置されていると共にシリンダ部3の上端部にアンダーカット嵌合されている。内筒部50cは、シリンダ部3の上端部の内側に配設された略円筒形状の筒部であり、軸線Oを共通軸にしてシリンダ部3及び外筒部50bと同軸上に配置されている。底壁部50dは、軸線Oに対して垂直に配設された円環状の板部である。ガイド筒部50eは、内筒部50cの内側に配設された円筒形状の直筒部であり、軸線Oを共通軸にして内筒部50cと同軸上に配置されている。
【0027】
押下ヘッド51は、軸線Oに対して垂直に配設された円環状の天壁部51aと、天壁部51aの外縁から垂下された周壁部51bと、天壁部51aの内縁から垂下された内筒部51cと、天壁部51aの下面から垂下された筒状のスプリング保持部51dと、を備えている。天壁部51aは、中蓋50の天壁部50aの上方に配設されている。周壁部51bは、中蓋50の外筒部50b及びシリンダ部3の外周に周設された円筒形状の直筒部であり、軸線Oを共通軸にして中蓋50の外筒部50b及びシリンダ部3と同軸上に配置されている。内筒部51cは、周壁部51bの内側に配設された円筒形状の直筒部であり、軸線Oを共通軸にして周壁部51bと同軸上に配置されている。また、内筒部51cの外径は、中蓋50のガイド筒部50eよりも小径であり、内筒部51cは、ガイド筒部50eの内側に挿入されている。スプリング保持部51dは、コイルスプリング52の上端部を保持する円筒形状の筒部であり、周壁部51bの上端部と内筒部51cの上端部との間に配設されている。
【0028】
コイルスプリング52は、押し込まれたピストン部4を引き戻す付勢力を付与するための付勢部材であり、上記した中蓋50と押下ヘッド51との間に介装されている。詳しく説明すると、コイルスプリング52は、押下ヘッド51の周壁部51bの内側に配設されており、コイルスプリング52の下端は、上記した中蓋50の底壁部50dの上面に係止され、コイルスプリング52の上端は、上記した押下ヘッド51のスプリング保持部51dの内側に嵌め込まれて押下ヘッド51の天壁部51aの下面に係止されている。
【0029】
連結部材53は、押下ヘッド51の内筒部51cの内側に嵌合された嵌合部53aと、嵌合部53aの下端から径方向外側に突出したフランジ部53bと、を備えている。嵌合部53aは、有頂筒状の筒部であり、軸線Oを共通軸にして押下ヘッド51の内筒部51cと同軸上に延設されている。この嵌合部53aの上端部は、押下ヘッド51の内筒部51cにアンダーカット嵌合されており、嵌合部53aの上端面は、押下ヘッド51の天壁部51aの上面と面一に形成されている。フランジ部53bは、周方向の全周に亘って形成された円環状の板部であり、ピストン部4の底壁部40の上面に載置されていると共にピストン部4の周壁部41の内側にアンダーカット嵌合されている。このフランジ部53bの下面には、ピストン部4の底壁部40の上面との間に隙間をあけて対向する段差面53cが形成されている。この段差面53cは、フランジ部53bの内縁に沿って円環状に形成されている。また、フランジ部53bには、上記した段差面53cからフランジ部53bの上面にかけて貫通した空気孔53dが形成されている。また、フランジ部53bは、中蓋50の底壁部50dの下面に係止されており、これにより、コイルスプリング52による押下ヘッド51(ピストン部4)の上昇が制限されて押下ヘッド51(ピストン部4)のストロークの上端位置が位置決めされている。
【0030】
吸込み部6は、容器本体10の内部に収容された内容物をシリンダ部3内の液室32に吸い込むための管状部であり、その概略構成としては、シリンダ部3の底壁部31の下面から垂下されていると共にシリンダ部3の内側に連通した接続筒部60と、接続筒部60に接続されたディップチューブ61と、を備えている。
【0031】
接続筒部60は、上記した連結部30の内側に配設されていると共に軸線Oを共通軸にして同軸上に配設された筒部である。この接続筒部60は、上端部が拡径されている。すなわち、接続筒部60は、シリンダ部3の内部に向けて開口された大径の上筒部62と、上筒部62の下方に段差を介して連設された小径の下筒部63と、を備えている。下筒部63の上端部の内周面には、全周に亘って径方向内側に突出した円環状の弁座部64が形成されている。また、下筒部63は、上記した中栓13の内側に嵌入されている。なお、接続筒部60は、上記したシリンダ部3と一体に形成されている。
【0032】
ディップチューブ61は、容器本体10の内側に配置されて容器本体10内の内容物を吸い上げるためのチューブであり、例えば可撓性を有するフレキシブルチューブからなる。なお、ディップチューブ61は、単なる円筒状のパイプであってもよい。ディップチューブ61の下端は、容器本体10内に開放されており、ディップチューブ61の上端は、上記した接続筒部60の内側に嵌合されて上記した上筒部62を介してシリンダ部3の内部に連通されている。
【0033】
吸込み弁7は、シリンダ部3内の液室32から吸込み部6内への内容物の流出を止める逆止弁であり、ピストン部4の引戻し動作(上方移動)に連動して開けられる。
詳しく説明すると、吸込み弁7は、上記した接続筒部60の上筒部62の内側に嵌合された周壁部70と、周壁部70の内側に配設されて上記した弁座部64の内側を開閉する板状の弁体部71と、弁体部71の外周面と周壁部70の内周面とを連結する弾性変形可能な連結部72と、を備えている。
【0034】
周壁部70は、軸線Oを共通軸にして上筒部62と同軸上に配設された円筒形状の筒部であり、上筒部62の内側にアンダーカット嵌合されている。弁体部71は、平面視円形の平板部であり、弁座部64の上面に液密に密接(着座)されている。連結部72は、弁体部71の外周面と周壁部70の内周面とを繋ぐブリッジ状の連結片であり、周方向に間欠的に複数配設されている。なお、吸込み弁7は、1つの連結部72で弁体部71を支持した一点弁であってもよい。
【0035】
ノズル部8は、シリンダ部3内の液室32に貯留された内容物を外部に吐出させるための筒状部であり、その概略構成としては、シリンダ部3の底壁部31の下面から側方(軸線Oに交差する方向)に向かって突出していると共にシリンダ部3の内側に連通した接続筒部80と、接続筒部80に接続されたノズル筒81と、を備えている。
【0036】
接続筒部80は、略円筒形状の筒部であり、先端側に向かって下向きに傾斜している。なお、図1に示す鎖線Lは、この接続筒部80の中心軸線を示しており、以下、単に「ノズル軸線L」と記す。また、ノズル軸線Lに沿った方向を「ノズル軸方向」とし、ノズル軸線Lに直交する方向を「ノズル径方向」とし、ノズル軸線L回りの方向を「ノズル周方向」とする。
【0037】
接続筒部80の基端は、端壁部82によって閉塞されており、また、接続筒部80の基端部の上部は、シリンダ部3の内部に向けて開口されている。また、接続筒部80の内側には、ノズル軸線Lに対して垂直に配設された隔壁部83が配設されている。この隔壁部83には、ノズル軸方向に沿って延在する直筒状の挿通孔84が形成されている。この挿通孔84は、隔壁部83をノズル軸方向に貫通する貫通孔であり、ノズル軸線Lを中心軸線にして隔壁部83の中央部分に形成されている。また、挿通孔84のノズル先端側の端部84aは、ノズル基端側からノズル先端側に向かうに従い漸次拡径されたテーパー形状に形成されている。また、隔壁部83には、ノズル軸方向に貫通する複数の流通孔85が形成されている。この流通孔85は、内容物が流通する流路であり、挿通孔84の周囲に間欠的に形成されている。
【0038】
ノズル筒81は内容物を吐出するための筒部材である。ノズル筒81の基端部は接続筒部80の外周にアンダーカット嵌合されており、ノズル筒81の内側は接続筒部80の内側に連通されている。ノズル筒81の先端部は下向きに屈曲されており、ノズル筒81の先端は下向きに開口されている。
【0039】
吐出弁9は、ノズル部8内からシリンダ部3内の液室32への内容物及び空気の流入を止める逆止弁であり、ピストン部4の押込み動作(下方移動)に連動して開けられる。
詳しく説明すると、吐出弁9は、挿通孔84の内側に挿通された挿通部90と、挿通部90の両端部に設けられた一対の係止部91,92と、ノズル部8の接続筒部80の内周面に全周に亘って液密に密接する弁体部93と、が備えられている。
【0040】
挿通部90は、ノズル軸方向に延在する円柱形状の柱状部であり、ノズル軸線Lを共通軸に挿通孔84と同軸上に延設されている。一対の係止部91,92は、挿通部90に対して拡径された拡径部であり、隔壁部83の両側にそれぞれ配置されており、隔壁部83に対してそれぞれ係止されている。一対の係止部91,92のうち、隔壁部83のノズル基端側に配設された一方の係止部(第一係止部91)は、ノズル基端側に向かうに従い漸次縮径された略円錐台形状に形成されており、この第一係止部91を上述したテーパー状の挿通孔84のノズル先端側端部84aから挿通孔84内に挿入させることで、吐出弁9が挿通孔84に挿装される。また、隔壁部83のノズル先端側に配設された他方の係止部(第二係止部92)は、円柱形状に形成されている。弁体部93は、ノズル先端側に向かって漸次拡径されて弾性的に縮径変形可能なテーパー状の筒部であり、第二係止部92のノズル先端側の端部外縁からノズル先端側に向かって突設されている。この弁体部93の先端部(最大径部)は、接続筒部80の内周面に液密に密接されている。
【0041】
次に、上記した構成からなる吐出ポンプ1の作用について説明する。
【0042】
上記した吐出ポンプ1を用いて内容物を吐出する際には、図2に示すように、液室32に内容物が貯留された状態で、押下ヘッド51の天壁部51aの上面を押圧し、コイルスプリング52の付勢力に抵抗しながら押下ヘッド51を押し下げる。これにより、コイルスプリング52が軸方向に圧縮されると共に、連結部材53を介して押下ヘッド51に連結されたピストン部4が、押下ヘッド51と共にシリンダ部3に対して相対的に下降してシリンダ部3の底壁部31側に押し込まれ、液室32が減容される。そして、液室32の減容化によって液室32の内圧が所定の正圧まで上昇することで、その内圧によって弁体部93が弾性的に縮径変形し、弁体部93の先端部と接続筒部80の内周面との間に隙間Sが形成されて吐出弁9が開かれる。これにより、液室32内の内容物が接続筒部80の基端部の内側に流入した後、隔壁部83の流通孔85及び上記した隙間Sを通って接続筒部80内をノズル先端側に向かって流通し、さらに、接続筒部80内からノズル筒81内に流入してノズル筒81内を通ってノズル筒81の先端開口部から外部に吐出される。
【0043】
そして、上記した押下ヘッド51の押し下げ操作を止めてピストン部4の押込み動作(下降)を停止させると、弁体部93が弾性により復元変形して拡径される。これにより、弁体部93の先端部が接続筒部80の内周面に全周に亘って再び液密に密接して吐出弁9が閉じられ、その結果、ノズル部8からの内容物の吐出が停止される。
【0044】
次に、図3に示すように、押下ヘッド51への押圧力を解除すると、コイルスプリング52の付勢力によって押下ヘッド51が押し上げられ、連結部材53を介して押下ヘッド51に連結されたピストン部4が、押下ヘッド51と共にシリンダ部3に対して相対的に上昇してシリンダ部3の上端側に引き戻され、液室32の容積が増大される。その結果、液室32の内圧が負圧となり、その内圧によってピストン部4の底壁部40が引っ張られて液室32の内方側(下側)に向かって膨出変形する。
【0045】
また、上述したように液室32の内圧が負圧となると、その内圧によって吸込み弁7の弁体部71が引っ張られ、吸込み弁7の連結部72を弾性変形させながら弁体部71が引き上げられ、弁体部71が弁座部64から離間して吸込み弁7が開かれる。これにより、図1に示す容器本体10内の内容物がディップチューブ61内に流入してディップチューブ61内を上方に向かって流通し、弁座部64の内側を通って吸込み弁7の周壁部70の内側に流入する。そして、その内容物は、周壁部70と弁体部71との間の隙間を通って流通し、接続筒部60の上筒部62の内側を通過して液室32内に吸い込まれる。
【0046】
そして、図4に示すように、連結部材53のフランジ部53bの上面が中蓋50の底壁部50dの下面に当接することで、押下ヘッド51の上昇が停止してピストン部4の引戻し動作が停止する。これにより、吸込み弁7の連結部72の弾性によって弁体部71が引き下げられ、弁体部71が弁座部64に着座して液密に密接して吸込み弁7が閉じられ、その結果、液室32内への内容物の吸い込みが停止される。
【0047】
このとき、ピストン部4の引戻し動作が停止してから吸込み弁7が閉じられるまでの間に、吸込み部6の内側を流通する内容物の慣性によって液室32内に内容物が流入する場合がある。この場合、液室32の内圧によってピストン部4の底壁部40が押圧され、底壁部40が下向きに膨出した形状から元の平板形状に復元変形し、液室32の容積が増大する。これにより、ピストン部4の引戻し動作の停止後に液室32内に流入した分の内容物の体積が吸収されるので、液室32の内圧で吐出弁9の弁体部93が縮径変形することが抑制されてシール性が維持され、ピストン部4の引戻し動作の停止直後に吐出弁9が一時的に開けられることが防止される。
【0048】
上記した吐出ポンプ1によれば、ピストン部4の底壁部40が変位することで、ピストン部4の引戻し動作の停止後に液室32内に流入した分の内容物の体積が吸収され、ピストン部4の引戻し動作の停止後に吐出弁9が一時的に開けられることが防止されるので、シリンダ部3内の液室32に貯留された内容物がノズル部8内に漏出するのを防止することができる。これにより、吐出操作後にノズル部8の先端から内容物が液垂れするのを防止することができる。
【0049】
特に、上記した吐出ポンプ1によれば、ピストン部4のうちの底壁部40が液室32の内方側に膨出変形可能であり、この底壁部40が液室32の内方側に膨出変形した状態から元の平板形状に復元変形することにより、ピストン部4の引戻し動作の停止後に吐出弁9が一時的に開けられることが防止されるので、部品数を増やすことなく、ノズル部8の先端からの内容物の液垂れを防止することができる。
【0050】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について図5から図8に基づいて説明する。
なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0051】
本実施の形態における吐出ポンプ1は、ピストン部4が、液室32の内圧に応じて操作部5に対して相対的に軸方向に沿って剛体変位可能になっている。
詳しく説明すると、操作部5の連結部材53のフランジ部53bがピストン部4の周壁部41の内側に軸方向に沿って移動可能に収納されており、操作部5とピストン部4とが相対的に軸方向に沿って変位可能となっている。
【0052】
ピストン部4の周壁部41の内周面には、係合部41aが突設されている。この係合部41aは、周方向に沿って延在する凸条部であり、周壁部41の内周面に沿って全周に亘って形成されている。なお、係合部41aは、径方向内側に向けて突出した突起であってもよく、複数の係合部41aが周方向に間欠的に配設された構成であってもよい。
【0053】
連結部材53のフランジ部53bの外縁部には、上記したピストン部4側の係合部41aに対して下方から係合する係合部53eが形成されている。この係合部53eは、フランジ部53bの上面の外縁部に形成された段差面であり、フランジ部53bの全周に亘って形成されている。また、上記した双方の係合部41a,53eが互いに係合した状態において、連結部材53のフランジ部53bの下面とピストン部4の底壁部40の上面との間に隙間が開けられている。
【0054】
次に、上記した構成の吐出ポンプ1の作用について説明する。
【0055】
上記した吐出ポンプ1を用いて内容物を吐出する際には、図6に示すように、液室32に内容物が貯留された状態で、押下ヘッド51の天壁部51aの上面を押圧し、コイルスプリング52の付勢力に抵抗しながら押下ヘッド51を押し下げる。これにより、押下ヘッド51に連結された連結部材53が押下ヘッド51と共に下降し、連結部材53の係合部53eがピストン部4の係合部41aから離間して連結部材53のフランジ部53bの下面がピストン部4の底壁部40の上面に当接する。その後、押下ヘッド51が引き続き押し下げられることにより、ピストン部4が押下ヘッド51及び連結部材53と共にシリンダ部3に対して相対的に下降してシリンダ部3の底壁部31側に押し込まれ、液室32が減容される。その結果、液室32の内圧が加圧され、その内圧によって弁体部93が弾性的に縮径変形して吐出弁9が開かれ、液室32内の内容物がノズル部8から外部に吐出される。
そして、上記した押下ヘッド51の押し下げ操作を止めてピストン部4の押込み動作を停止させると、弁体部93が復元変形して吐出弁9が閉じられ、その結果、ノズル部8からの内容物の吐出が停止される。
【0056】
次に、図7に示すように、押下ヘッド51への押圧力を解除すると、コイルスプリング52の付勢力によって押下ヘッド51が押し上げられ、押下ヘッド51に連結された連結部材53が押下ヘッド51と共に上昇し、連結部材53のフランジ部53bの下面がピストン部4の底壁部40の上面から離間して連結部材53の係合部53eがピストン部4の係合部41aに係合する。その後、押下ヘッド51が引き続き押し上げられることにより、ピストン部4が押下ヘッド51及び連結部材53と共にシリンダ部3に対して相対的に上昇してシリンダ部3の上端側に引き戻され、液室32の容積が増大される。その結果、液室32の内圧が負圧となり、その内圧によって吸込み弁7の弁体部71が引っ張られ、吸込み弁7の連結部72を弾性変形させながら弁体部71が引き上げられ、弁体部71が弁座部64から離間して吸込み弁7が開かれる。これにより、図1に示す容器本体10内の内容物が吸込み部6内を通って液室32内に吸い込まれる。
【0057】
そして、図8に示すように、連結部材53のフランジ部53bの上面が中蓋50の底壁部50dの下面に当接することで、押下ヘッド51の上昇が停止してピストン部4の引戻し動作が停止する。これにより、吸込み弁7の連結部72の弾性によって弁体部71が引き下げられて吸込み弁7が閉じられ、液室32内への内容物の吸い込みが停止される。
このとき、ピストン部4の引戻し動作が停止してから吸込み弁7が閉じられるまでの間に、吸込み部6の内側を流通する内容物の慣性によって液室32内に内容物が流入すると、液室32の内圧によってピストン部4が上向きに押圧される。これにより、ピストン部4が連結部材53に対して相対的に軸方向上側に向かって剛体変位し、ピストン部4の係合部41aが連結部材53の係合部53eから離間してピストン部4の底壁部40の上面が連結部材53のフランジ部53bの下面に当接する。その結果、液室32の容積が増大し、ピストン部4の引戻し動作の停止後に液室32内に流入した分の内容物の体積が吸収されるので、液室32の内圧で吐出弁9の弁体部93が縮径変形することが抑制されてシール性が維持され、ピストン部4の引戻し動作の停止直後に吐出弁9が一時的に開けられることが防止される。
【0058】
上記した吐出ポンプ1によれば、ピストン部4全体が連結部材53に対して相対的に剛体変位可能となっているので、ピストン部4の停止後に液室32内に流入した分の内容物の体積を確実に吸収することができる。
【0059】
以上、本発明に係る吐出ポンプの実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記した第1の実施の形態では、ピストン部4の底壁部40が液室32の内方側に膨出変形可能となっているが、本発明は、ピストン部4の底壁部40が液室32の外方側に膨出変形可能となっていてもよい。これにより、ピストン部4の引戻し動作が停止してから吸込み弁7が閉じられるまでの間に液室32内に内容物が流入した際に、液室32の内圧によってピストン部4の底壁部40が液室32の外方側(上側)に向かって膨出変形することで液室32の容積が増大し、ピストン部4の引戻し動作の停止後に液室32内に流入した分の内容物の体積が吸収される。なお、ピストン部4の底壁部40が液室32の内方側及び外方側にそれぞれ膨出変形可能になっていてもよい。
【0060】
また、上記した実施の形態では、ノズル部8がシリンダ部3の底壁部31の下方からシリンダ部3の側方に突出されているが、本発明は、シリンダ部3の周壁部からノズル部が突出された構成であってもよい。
【0061】
また、上記した実施の形態では、ノズル部8が、シリンダ部3と一体に形成された接続筒部80と、その接続筒部80に接続されたノズル筒81と、からなり、吸込み部6が、シリンダ部3と一体に形成された接続筒部60と、その接続筒部60に接続されたディップチューブ61と、からなるが、本発明は、上記した構成のノズル部8や吸込み部6に限定されるものではない。例えば、一部品からなるノズル部や吸込み部であってもよく、或いは、3つ以上の部品からなるノズル部や吸込み部であってもよい。また、ノズル部や吸込み部は、シリンダ部と一体に形成されたものでもシリンダ部と別体に形成されてシリンダ部に組み付けられたものであってもよい。
【0062】
また、上記した実施の形態では、押下ヘッド51を押し下げ操作することでピストン部4を押し込む操作部5が備えられているが、本発明における操作部は適宜変更可能である。例えば、前記特許文献1に示されているような、トリガーを回動操作することでピストン部を押し込むトリガー式の操作部であってもよい。
【0063】
また、上記した実施の形態では、周壁部70と弁体部71と連結部72とからなる吸込み弁7が備えられているが、本発明における吸込み弁の構成は適宜変更可能であり、公知の弁構造を採用することが可能である。例えば、吸込み弁として、テーパー状の弁座部に対して離間可能に着座した球状の弁体を用いることも可能である。
【0064】
また、上記した実施の形態では、挿通部90と一対の係止部91,92と弁体部93とからなる吐出弁9が備えられているが、本発明は他の構成の吐出弁を用いることも可能である。例えば、ノズル部8の内側に配設されたリング状の弁座部と、その弁座部に対して離間可能に着座した弁体部と、からなる吐出弁であってもよい。
【0065】
また、本発明は、上記した第1の実施の形態と第2の実施の形態とを組み合わせた構成であってもよい。すなわち、ピストン部4の底壁部40が、液室32の内圧に応じて液室32の内方側及び外方側のうちの少なくとも一方に向かって膨出変形可能であり、且つ、ピストン部4が、液室32の内圧に応じて操作部5に対して相対的に軸方向に沿って剛体変位可能であってもよい。
【0066】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 吐出ポンプ
3 シリンダ部
4 ピストン部
5 操作部
6 吸込み部
7 吸込み弁
8 ノズル部
9 吐出弁
32 液室
40 底壁部(液室に面する壁部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ部と、
該シリンダ部の内周面に沿ってシリンダ軸方向に摺動可能なピストン部と、
該ピストン部を操作する操作部と、
前記シリンダ部内の液室に連通された管状の吸込み部と、
該吸込部の内側に配設され、前記ピストン部の引戻し動作に連動して開けられる開閉可能な吸込み弁と、
前記シリンダ部の側方に向かって突出していると共に該シリンダ部に直結されて前記液室に連通された筒状のノズル部と、
該ノズル部の内側に配設され、前記ピストン部の押込み動作に連動して開けられる開閉可能な吐出弁と、
を備える吐出ポンプであって、
前記ピストン部のうちの少なくとも前記液室に面する壁部が、前記液室の内圧に応じて前記操作部に対して相対的に変位可能であることを特徴とする吐出ポンプ。
【請求項2】
請求項1に記載の吐出ポンプにおいて、
前記ピストン部の前記液室に面する壁部が、前記液室の内圧に応じて該液室の内方側及び外方側のうちの少なくとも一方に向かって膨出変形可能であることを特徴とする吐出ポンプ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の吐出ポンプにおいて、
前記ピストン部が、前記液室の内圧に応じて前記操作部に対して相対的にシリンダ軸方向に沿って剛体変位可能であることを特徴とする吐出ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−95442(P2013−95442A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237813(P2011−237813)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】