吐出器
【課題】口内に吐出した内容物の漏出を抑制できる吐出器を提供すること。
【解決手段】押下ヘッド13が、ステムの上端に嵌着される押下筒部32と、押下筒部32から前方に向けて突出すると共に前方に向けて開口する吐出孔42Aが形成されたノズル筒部35と、を備え、ノズル筒部35には、ノズル筒部35の外周面から径方向外方に向けて突出する一対のほぼ対向配置された突条部41Aが、前後方向に延設されており、突条部41Aにおける前後方向の中間部には、平面視で左右方向の内方に向けて円弧状をなして窪む凹部41Bが形成されている。
【解決手段】押下ヘッド13が、ステムの上端に嵌着される押下筒部32と、押下筒部32から前方に向けて突出すると共に前方に向けて開口する吐出孔42Aが形成されたノズル筒部35と、を備え、ノズル筒部35には、ノズル筒部35の外周面から径方向外方に向けて突出する一対のほぼ対向配置された突条部41Aが、前後方向に延設されており、突条部41Aにおける前後方向の中間部には、平面視で左右方向の内方に向けて円弧状をなして窪む凹部41Bが形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、吐出器として、上方付勢状態で下方移動可能に立設されたステムを有する吐出機構と、ステムに装着される押下ヘッドと、を備え、この押下ヘッドがステムの上端に嵌着される押下筒部と、押下筒部から前方に向けて突出すると共に前方に向けて開口する吐出孔が形成されたノズル筒部と、を有する、吐出器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような吐出器では、吐出口が口内を向くようにノズル筒部をくわえた状態で、押下ヘッドを押下して内容物を口内に吐出させるように使用される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2563442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の吐出器では、口内に吐出した内容物が、口尻とノズル筒部の外周面との間隙を通って漏れるおそれがあった。
【0005】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、口内に吐出した内容物の漏出を抑制できる吐出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の吐出器は、上方付勢状態で下方移動可能に立設されたステムを有する吐出機構と、前記ステムに装着される押下ヘッドと、を備える吐出器であって、前記押下ヘッドが、前記ステムの上端に嵌着される押下筒部と、前記押下筒部から前方に向けて突出すると共に前方に向けて開口する吐出孔が形成されたノズル筒部と、を備え、前記ノズル筒部には、該ノズル筒部の外周面から径方向外方に向けて突出する一対のほぼ対向配置された突条部が、前後方向に延設されていることを特徴とする。
【0007】
この発明では、ノズル筒部に一対の突条部を配設することにより、吐出孔を口内に向けた状態でノズル筒部をくわえたときに、一対の突条部を口尻で隙間なく密接に挟み込みやすくなる。これにより、口尻とノズル筒部の外周面との間を通って口の内部と外部とが連通することを抑制でき、吐出孔から口内に吐出した内容物が口の外部に漏れ出ることを防止できる。
【0008】
また、本発明の吐出器では、前記突条部における前後方向の中間部には、平面視で径方向内方に向けて円弧状をなして窪む凹部が形成されていてもよい。
この場合では、突条部に凹部を形成しているので、この凹部に口尻が位置するようにノズル筒部をくわえることによって、凹部に口尻を無理なく添えやすくなる。これにより、吐出孔から口内に吐出した内容物が口の外部に漏れ出ることをより確実に防止できる。
【0009】
また、本発明の吐出器では、前記押下ヘッドが、前記押下筒部から前方に向けて突設されて前記ステムからの内容物が流通する流通筒部を備え、前記ノズル筒部が、前記流通筒部に前後方向にスライド移動自在に装着され、前記ノズル筒部及び前記流通筒部それぞれには、前記ノズル筒部が前記流通筒部に対して前進端位置に移動したときに互いに係合することによって、前記ノズル筒部のこれ以上の前進移動を規制するストッパ部が各別に配設されていてもよい。
この場合では、ノズル筒部が流通筒部に対して前後方向でスライド移動自在とすることによって、使用時にノズル筒部を流通筒部に対して前進移動させると、吐出孔を口内の口先側から奥に位置させやすくなる。これにより、内容物が口の外部に漏れ出ることをよりいっそう防止できる。また、吐出器の流通段階や待機状態においてノズル筒部を流通筒部に対して後退移動させることにより、吐出器をコンパクトにすることができる。
さらに、ストッパ部が配設されており、ノズル筒部が流通筒部から前方に抜けることを防止するので、使用時の操作性を悪化させることなく流通段階や待機状態において吐出器をコンパクトにすることができる。
【0010】
また、本発明の吐出器では、前記吐出機構及び前記押下ヘッドを備える吐出器本体に着脱自在に装着されると共に前記押下ヘッドの下降移動を規制するカバー体をさらに備え、前記吐出器本体が、内容物が収容された容器本体の口部に装着される有頂筒状の装着キャップを備えると共に、前記吐出機構が、前記ステムが前記装着キャップの天壁部を上下方向に貫くように配設され、前記カバー体が、前記吐出器本体のうち、前記装着キャップの前記天壁部よりも上方に位置する上側部分を囲む筒状をなし、下端が前記装着キャップの前記天壁部上に配置され、かつ、上下方向に延在して後方に向けて開口すると共に前記上側部分が後方に向けて通過可能な通過開口部を有し、前記カバー体には、前記ノズル筒部に離脱自在に係合し、該カバー体の前記吐出器本体に対する相対的な前進移動に伴って前記ノズル筒部を前記流通筒部に対して前進移動させる係合部が配設されていてもよい。
この場合では、カバー体を備えることによって、流通段階や待機状態において、吐出器に不意に加えられた外力によってステムが押し下げられて内容物が吐出孔から吐出されることを防止できる。
また、カバー体に係合部を設けることで、係合部をノズル筒部に係合させた状態でカバー体を吐出器本体に対して前後方向に移動させて着脱すると、ノズル筒部が流通筒部に対して前後方向にスライド移動される。これにより、カバー体を吐出器本体から離脱させると同時にノズル筒部を流通筒部から前方に引き出し、また、カバー体を吐出器本体に取り付けると同時にノズル筒部を流通筒部に対して後方に引き込ませることができるので、操作性がよりいっそう向上する。
さらに、カバー体の着脱に伴ってノズル筒部のスライド移動が行えるので、口内に入れる部分に直接指が触れず、衛生的である。また、カバー体の装着時に係合部が吐出孔に係合している場合には、内容物がノズル筒部内に残留しても、携帯時に残留した内容物が外部に漏れ出ることを防止できる。
【発明の効果】
【0011】
この発明にかかる吐出器によれば、一対の突条部を口尻で隙間なく密接に挟み込みやすくなるので、吐出孔から口内に吐出した内容物が口の外部に漏れ出ることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態における吐出器を示す軸方向断面図である。
【図2】カバー体を取り外した状態における図1の吐出器を示す側面図である。
【図3】図1のA−A矢視断面図である。
【図4】図1のノズル筒部を示す斜視図である。
【図5】図1のカバー体を示す軸方向断面図である。
【図6】図5のカバー体を示す側面図である。
【図7】図6のB−B矢視断面図である。
【図8】図1の吐出器の使用状態を示す軸方向断面図である。
【図9】同じく、図1の吐出器の使用状態を示す軸方向断面図である。
【図10】図9のC−C矢視断面図である。
【図11】本発明を適用可能な他のノズル筒部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明における吐出器の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0014】
本実施形態における吐出器1は、図1から図3に示すように、内容物を収容する有底円筒状の容器体2の口部2Aに装着される吐出器本体3と、吐出器本体3に着脱自在に装着されるカバー体4と、を備える。
吐出器本体3は、容器体2の口部2Aに装着される有頂筒状の装着キャップ11と、装着キャップ11に上方付勢状態で下方移動可能に貫設された円筒状のステム25を有するポンプ(吐出機構)12と、ステム25の上端に装着される押下ヘッド13と、を備える。
ここで、容器体2、装着キャップ11及びステム25それぞれの中心軸は、共通軸上に位置している。以下、この共通軸を容器軸Oと称し、容器軸Oに沿って容器体2側を下側、その反対側を上側と称する。また、容器軸Oに直交する方向を径方向と称し、容器軸O回りに周回する方向を周方向と称する。
【0015】
装着キャップ11は、中央部に円形の開口部が形成された天壁部21と、天壁部21の外周縁部から下方に向けて延設された装着筒部22と、天壁部21に上記開口部と同軸に配設されると共に上方に向けて延設された案内筒部23と、を備える。装着筒部22の内周面には、容器体2の口部2Aの外周面に形成された雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が形成されている。
【0016】
ポンプ12は、上記ステム25と、内部にステム25の下部が上下動自在に配設されたシリンダ26と、シリンダ26の内部に上下摺動自在に配設されたピストン部材(図示略)と、ステム25を上方に向けて付勢する付勢部材(図示略)と、を備える。
ステム25の上部は、シリンダ26の上端から上方に突出し、装着キャップ11の案内筒部23内に配設されており、この上部の上端部は、案内筒部23の上端から上方に突出している。
シリンダ26は、円筒状をなしており、容器軸Oと同軸に配設されている。シリンダ26の上端には、全周にわたってフランジ部26Aが径方向外方に向けて突設されており、このフランジ部26Aは、装着キャップ11の天壁部21の下面と容器体2の口部2Aの開口端縁上のパッキン27とにより上下方向で挟み込まれている。シリンダ26の下端部内には、パイプ28の上端部が嵌合されており、このパイプ28の下端開口部は、容器体2内の底部に位置している。
【0017】
押下ヘッド13は、板状の頂壁部31と、頂壁部31から下方に向けて延設された円筒状の押下筒部32と、頂壁部31の外周縁から下方に向けて延設されて押下筒部32を径方向外側から囲繞する円筒状の囲繞筒部33と、押下筒部32から径方向外方に向けて突設されて内容物が流通する円筒状の流通筒部34と、流通筒部34に対してスライド移動自在に装着された円筒状のノズル筒部35と、を備える。
ここで、流通筒部34及びノズル筒部35それぞれの中心軸は、共通軸上に位置している。以下、この共通軸をノズル軸O’と称し、ノズル軸O’に沿う流通筒部34の先端側を前側、流通筒部34の基端側を後側と称する。また、ノズル軸O’に直交する方向を径方向(ノズル径方向)と称し、特に、容器軸O及びノズル軸O’双方に直交する方向を左右方向と称する。
【0018】
また、押下ヘッド13には、前方及び上方の双方向に開口する陥凹部13Aが形成されており、この陥凹部13Aは、頂壁部31から下方に向けて延設された垂直壁部36と、垂直壁部36の下端縁から前方に向けて延設された水平壁部37と、によって画成されている。
【0019】
垂直壁部36は、前後方向から見て矩形状をなしており、垂直壁部36には、押下筒部32の内側と流通筒部34の内側とを連通させる連通開口部36Aが形成されている。連通開口部36Aの内側には、垂直壁部36よりも前方に向けて突出する円柱状の嵌合突出部38が配設されている。この嵌合突出部38は、ノズル軸O’と同軸に配設されており、嵌合突出部38の後端部と連通開口部36Aの開口縁部とは、容器軸O回りで間隔をあけて配設されたブリッジ部39によって接続されている。
水平壁部37は、平面視半円状をなしており、垂直壁部36の下端縁と囲繞筒部33の前方側の上端縁とを接続している。
【0020】
頂壁部31は、平面視において半円状をなしている。
押下筒部32及び囲繞筒部33は、容器軸Oと同軸に配設されている。また、押下筒部32内には、ステム25の上端部が嵌合されており、押下筒部32内とステム25内とは、連通している。
囲繞筒部33の下端縁は、装着キャップ11の天壁部21と上下方向で向かい合っている。また、囲繞筒部33の内径は、案内筒部23の外径よりも大きくなっており、囲繞筒部33の下端部は、案内筒部23の上端部を径方向外側から囲繞している。そのため、案内筒部23は、押下ヘッド13の上下動に伴って囲繞筒部33の内側に下側から進退移動する。
【0021】
流通筒部34は、垂直壁部36から前方に向けて突設されており、流通筒部34の前端部には、外方に突出する第1ストッパ部(ストッパ部)34Aが全周にわたって形成されている。さらに、流通筒部34の前端部のうち、第1ストッパ部34Aよりも後方における左右方向の両端部には、外方に突出する一対の案内突出部34Bが形成されている。
【0022】
ノズル筒部35は、図1から図4に示すように、筒状の外筒部41と、外筒部41と同軸に配設された円筒状の内筒部42と、外筒部41の前端と内筒部42の前端とを接続する円環状の接続壁部43と、外筒部41の後端部に配設された板状の後壁部44と、後壁部44の上端縁から後方に延設された延設板部45と、を有する。
外筒部41には、左右方向の両端部から左右方向の外方に向けて突出する一対の突条部41Aが形成されている。一対の突条部41Aは、外筒部41と滑らかに連設されており、外筒部41の前後方向の全長にわたって延設されている。突条部41Aを含む外筒部41の外周面における上下方向の幅は、左右方向の中間部から外方に向かうにしたがって漸次小さくなっている。本実施形態では、外筒部41のうちノズル軸O’よりも上側に位置する部分の外周面は、左右方向の中間部において上方に向けて突出するように湾曲すると共に、この中間部から左右方向の外方に向かうにしたがって下方に向けて窪むように湾曲する滑らかな曲面となっている。同様に、外筒部41のうちノズル軸O’よりも下側に位置する部分の外周面は、左右方向の中間部において下方に向けて突出するように湾曲すると共に、この中間部から左右方向の外方に向かうにしたがって上方に向けて窪むように湾曲する滑らかな曲面となっている。このように、突条部41Aを含む外筒部41の外周面形状は、ノズル筒部35をくわえる口の形状に合わせられている。なお、外筒部41の後端は、垂直壁部36に当接または近接している。
【0023】
一対の突条部41Aそれぞれにおける前後方向の中間部(本実施形態では前端部側)には、平面視で左右方向の内側に向けて窪む円弧状の凹部41Bが形成されている。
また、外筒部41の左右方向の内縁部は、前端から前後方向の中間部にわたって左右方向の内方に突出しており、この突出部分には、図2及び図3に示すように、左右方向の内方に窪む第1案内溝部41Cが前後方向の全長にわたって形成されている。第1案内溝部41C内には、流通筒部34の案内突出部34Bが前後方向で移動自在に配設されており、流通筒部34に対するノズル筒部35の前後方向のスライド移動を案内する。
さらに、外筒部41の後端部には、図1及び図3に示すように、内方に突出して流通筒部34の第1ストッパ部34Aと係合する第2ストッパ部(ストッパ部)41Dが全周にわたって形成されている。
【0024】
内筒部42の前端開口部は、図1から図4に示すように、吐出孔42Aとされており、内筒部42は、流通筒部34内に摺接している。また、内筒部42の後端部内には、嵌合突出部38が嵌め込まれている。
後壁部44は、垂直壁部36に近接または当接している。
延設板部45は、平面視において半円状をなしており、押下ヘッド13の頂壁部31上に摺接または近接している。
【0025】
カバー体4は、図1、図3及び図5から図7に示すように、吐出器本体3のうち、装着キャップ11の天壁部21よりも上方に位置する上側部分を囲む筒状をなしている。そして、カバー体4は、有頂筒状のカバー本体部51と、カバー本体部51から前方に突設された円筒状のノズルカバー部52と、を備える。
【0026】
カバー本体部51は、押下ヘッド13を上方から覆う上壁部53と、上壁部53から下方に延設されて吐出器本体3の上記上側部分を径方向外側から覆う周壁部54と、を有する。
上壁部53は、平面視で円状をなしており、押下ヘッド13の頂壁部31を上方から全域にわたって覆っている。また、上壁部53と頂壁部31との間には、間隙が設けられている。
周壁部54は、容器軸Oと同軸に配設されると共に上壁部53の外周縁から下方に延在している。また、本実施形態では、周壁部54内に吐出器本体3の上記上側部分を嵌め込むことによってカバー体4を上記上側部分に装着する。
【0027】
また、周壁部54には、上下方向にわたって延在して後方に開口する通過開口部54Aが形成されており、周壁部54は、平面視C字状をなしている。これにより、カバー体4及び吐出器本体3の前後方向に沿う相対的な進退移動に伴って、上記上側部分は、通過開口部54Aが左右方向に拡幅するように周壁部54を弾性変形させながら通過開口部54Aを後方に通過することで、周壁部54内に対して嵌合及び離脱され、カバー体4に対して着脱される。
さらに、周壁部54の上端部において通過開口部54Aに周方向で隣接する部分には、上下方向に延在する切欠部54Bが形成されている。切欠部54Bの上端は、上下方向において周壁部54の上端と一致し、切欠部54Bの下端は、押下ヘッド13の囲繞筒部33の下端よりも上側に位置している。これにより、周壁部54の周方向両端部が弾性変形しやすくなる。
【0028】
周壁部54の下端は、装着キャップ11の天壁部21上に配設されている。また、周壁部54の上下方向の中間部には、径方向内方に突出する規制突出部54Cが周方向に延設されており、周壁部54の下端と規制突出部54Cとの間には、上下方向にわたって延在する補強リブ部54Dが形成されている。規制突出部54Cは、囲繞筒部33の下端縁に囲繞筒部33の下側から近接または当接している。そのため、周壁部54は、押下ヘッド13の下方への移動を規制している。
【0029】
ノズルカバー部52は、流通筒部34及びノズル筒部35を外側から覆っており、接続壁部43を前方から覆う前壁部55と、前壁部55から後方に延設されてノズル筒部35の外筒部41を外側から覆う被覆筒部56と、を有する。
前壁部55は、円板状をなしており、接続壁部43を前方から全域にわたって覆っている。また、前壁部55の中央部には、内筒部42の内側に嵌合して吐出孔42Aを閉塞する栓筒部(係合部)55Aが後方に向けて突設されている。
【0030】
被覆筒部56は、外筒部41の外周面と同様の内周面形状及び外周面形状を有しており、押下ヘッド13の外筒部41を外方から覆っている。そして、被覆筒部56は、流通筒部34及びノズル筒部35と同軸に配設されると共に前壁部55の外周縁部から後方に延在している。また、被覆筒部56には、外筒部41の突条部41Aを前後方向で案内する第2案内溝部56Aが前後方向の全長にわたって形成されており、この第2案内溝部56Aには、突条部41Aの凹部41Bと係合する係合突出部56Bが左右方向の内方に突設されている。
【0031】
次に、以上のような構成の吐出器1による内容物の吐出方法について説明する。
まず、例えばカバー体4の周壁部54を指などで保持し、カバー体4を吐出器本体3に対して前方に引き出す。カバー体4を引き出していくと、周壁部54は、通過開口部54Aが周方向に拡大するように弾性変形しながら、案内筒部23及び囲繞筒部33の外周面に摺接しつつこの外周面に沿って案内される。そして、吐出器本体3のうち上記上側部分は、カバー体4に対してこの通過開口部54Aを後方に通過する(図8参照)。
【0032】
また、カバー体4を引き出していくと、カバー体4の前壁部55に突設された栓筒部55Aがノズル筒部35の内筒部42の内側に係合していると共に被覆筒部56に形成された係合突出部56Bが突条部41Aに形成された凹部41Bに係合しているため、カバー体4の前方への移動に伴ってノズル筒部35が流通筒部34に対して前方にスライド移動しながら引き出されていく。
ノズル筒部35が流通筒部34に対して前方に引き出され、ノズル筒部35が流通筒部34に対して前進端位置に到達すると、ノズル筒部35の外筒部41に形成された第2ストッパ部41Dと流通筒部34に形成された第1ストッパ部34Aとは、互いに係合し、ノズル筒部35が流通筒部34に対してこれ以上前進移動することを規制する。なお、流通筒部34の案内突出部34Bがノズル筒部35の外筒部41に形成された第1案内溝部41C内でスライド移動するため、ノズル筒部35は、流通筒部34に対してノズル軸O’回りで回転することなく安定して引き出される。
【0033】
その後、カバー体4をさらに引き出していくと、ノズル筒部35の流通筒部34に対する前進移動が規制されているため、前壁部55の栓筒部55Aの内筒部42に対する係合と係合突出部56Bの凹部41Bに対する係合とが解除され、カバー体4が取り外される(図9及び図10参照)。なお、外筒部41の突条部41Aが被覆筒部56に形成された第2案内溝部56A内でスライド移動するため、カバー体4は、ノズル筒部35をノズル軸O’回りで回転させることなく安定して引き出される。これにより、吐出孔42Aが開放される。
以上のようにして、カバー体4を取り外すと、ノズル筒部35は、流通筒部34に対して前進端位置に到達する。
【0034】
このようにノズル筒部35を流通筒部34に対して前進端位置に到達させた状態で、吐出孔42Aを口内に向けた状態でこのノズル筒部35をくわえる。このとき、ノズル筒部35の左右両端部に一対の突条部41Aが対向配置されており、この突条部41Aの前後方向の中間部に凹部41Bが形成されているので、口尻とノズル筒部35との間に隙間が形成されない。
【0035】
この状態で押下ヘッド13を押し下げると、ステム25が下方に移動させられる。そして、ステム25の移動に追従して上記ピストン部材がシリンダ26の内周面に摺接しつつ下方に移動する。これにより、シリンダ26内の内容物が圧縮され、この圧縮されたシリンダ26内の内容物は、ステム25内に進入してステム25内を上方に移動し、押下ヘッド13内に流入する。そして、内容物は、押下筒部32内から流通筒部34内を通ってノズル筒部35の内筒部42内に流入し、吐出孔42Aから吐出される。このとき、口尻とノズル筒部35の外周面との間を通って口の内部と外部とが連通することが抑制されるので、吐出孔42Aから口内に吐出された内容物が口の外部に漏れ出るのが防止される。
【0036】
その後、押下ヘッド13の押し下げを解除すると、上記ピストン部材が上記付勢部材の上方付勢力によってシリンダ26の内周面に摺接しつつ上方に復元移動する。これにより、シリンダ26内が減圧され、容器体2内に収容されている内容物がパイプ28を通じてシリンダ26内に吸い上げられる。
【0037】
カバー体4を吐出器本体3の上記上側部分に取り付ける場合には、上述と逆の手順を行う。すなわち、例えばカバー体4の周壁部54を指などで保持し、カバー体4を吐出器本体3に対して後方に押し込む。ここでは、カバー体4の前壁部55に突設された栓筒部55Aとノズル筒部35の内筒部42とを位置合わせすると共に外筒部41の突条部41Aと被覆筒部56に形成された第2案内溝部56Aとを位置合わせした状態で、カバー体4を押し込む。
カバー体4を押し込んでいくと、周壁部54は、通過開口部54Aが周方向に拡大するように弾性変形しながら案内筒部23及び囲繞筒部33の外周面に摺接しつつこの外周面に沿って案内される。そして、吐出器本体3のうち上記上側部分は、カバー体4に対して通過開口部54Aを前方に通過し、周壁部54内に対して嵌合され、カバー体4に対して取り付けられる。
【0038】
また、カバー体4を押し込んでいくと、栓筒部55Aと内筒部42とが係合し、カバー体4の後方への移動に伴ってノズル筒部35が流通筒部34に対して後方にスライド移動しながら押し込まれていく。ノズル筒部35が流通筒部34に対して後退端に到達すると、ノズル筒部35の外筒部41の後端(及び後壁部44)が押下ヘッド13の垂直壁部36に当接し、また、内筒部42の後端部の内側に嵌合突出部38が嵌め込まれ、ノズル筒部35が流通筒部34に対してこれ以上後退移動することを規制する。
以上のようにして、カバー体4を取り付けると、ノズル筒部35は、流通筒部34に対して後退端位置に到達する。
【0039】
このようにカバー体4を取り付けた状態、すなわち販売前の流通、保管時もしくは販売陳列時、または購入者による内容物の使用後の保管時などでは、カバー体4の上壁部53が押下ヘッド13の頂壁部31の全域を上方から覆っているので、押下ヘッド13に外力が加わりにくくなる。また、カバー体4の上壁部53に外力が加わった場合であっても、周壁部54の下端が装着キャップ11の天壁部21に近接または当接しているので、カバー体4の下方への移動が規制される。そのため、押下ヘッド13に対して押下ヘッド13を押し下げようとする外力が加わりにくくなる。さらに、押下ヘッド13に押下ヘッドを押し下げようとする外力が加わった場合であっても、周壁部54の規制突出部54Cが囲繞筒部33の下端縁に下側から近接または当接しているので、押下ヘッド13の下方への移動が規制される。そのため、押下ヘッド13が押し下げられることを防止する。
【0040】
以上のような構成の吐出器1によれば、一対の突条部41Aにより口尻で隙間なく密接に挟み込みやすくなると共に、凹部41Bに口尻を添えやすくなっているので、吐出孔42Aから口内に吐出した内容物が口の外部に漏出することを防止できる。
また、ノズル筒部35を流通筒部34に対して前進移動させることによって吐出孔42Aを口内の奥に位置付けやすくなるので、内容物が口の外部により漏出しにくくなる。さらに、ノズル筒部35を流通筒部34に対して後退移動させることによって、流通段階や待機状態のように使用しない状態において吐出器1をコンパクト化することができる。ここで、第1及び第2ストッパ部34A、41Dを配設することで、使用時にノズル筒部35が流通筒部34から前方に離脱することを防止するので、使用時の操作性を悪化させずに吐出器1をコンパクト化することができる。
さらに、カバー体4を備えることで、流通段階や待機状態において押下ヘッド13に不意に外力がかかって内容物が吐出されることを防止できる。また、カバー体4の吐出器本体3に対する前後移動に伴ってノズル筒部35を流通筒部34に対して前後方向でスライド移動させることができるので、操作性がさらに向上する。ここで、ノズル筒部35に直接指が触れることなくカバー体4の着脱に伴ってノズル筒部35をスライド移動させることができるので、衛生的である。また、栓筒部55Aが吐出孔42Aに係合するので、使用後に内容物がノズル筒部35内に残留していても、残留した内容物が携帯時に外部に漏れ出ることを防止できる。
【0041】
なお、本実施形態では、図4に示すように、ノズル筒部35が後壁部44及び延設板部45を有しているが、例えば図11に示すノズル筒部100のように、外筒部101を短縮すると共に後壁部44及び延設板部45を設けない構成としてもよい。これにより、ノズル筒部100の構成が簡略化される。
【0042】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、ノズル筒部の外筒部の形状は、一対の突条部を有していれば、他の形状であってもよい。ここで、ノズル筒部の延在方向は、容器体の接地面と平行方向である前後方向に対して傾斜してもよい。また、一対の突条部の突出方向は、容器体の接地面と平行方向である左右方向に限らず、左右方向に対して傾斜してもよく、一対の突条部の延在方向は、ノズル軸に対して傾斜してもよい。さらに、突条部は厳密に対向位置に配置されていなくてもよく、縦断面でハの字状にするなど、ノズル筒部をくわえる口の形状に合わせて構成することができる。
ノズル筒部は、外筒部及び内筒部を有する二重筒状をなしているが、外筒部のみを有する構成など、他の構成であってもよい。
突条部の前後方向の中間部には、凹部が形成されているが、凹部を形成しなくてもよい。また、突条部は、外筒部の前後方向の全長にわたって形成されているが、前後方向の一部に形成されてもよい。
ノズル筒部は、流通筒部に対して前後方向でスライド移動自在に装着されているが、流通筒部に対してスライド移動自在でなくてもよく、流通筒部と一体にまたは流通筒部を設けずに直接押下筒部と一体に構成されてもよい。
カバー体には、上壁部及び規制突出部が設けられているが、上壁部及び規制突出部のいずれか一方のみが設けられている構成としてもよい。また、上壁部及び規制突出部の双方を設けずにカバー体の前方への引き出しに伴ってノズル筒部を前方に引き出す構成としてもよい。この場合、カバー体の周壁部の下端は、装着キャップの天壁部上に配置しなくてもよい。
さらに、係合部としてカバー体の前壁部にノズル筒部の内筒部と係合する栓筒部を突設しているが、カバー体の引き出しに伴ってノズル筒部を引き出せれば、栓筒部に限らず、他の構成としてもよい。
さらに、カバー体を設けない構成としてもよい。
吐出器本体は、吐出ポンプの構成となっているが、いわゆるエアゾール機構など、他の構造であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
この発明によれば、口内に吐出した内容物の漏出を抑制できる吐出器に関して、産業上の利用可能性が認められる。
【符号の説明】
【0044】
1 吐出器、2 容器体、2A 口部、3 吐出器本体、4 カバー体、11 装着キャップ、12 ポンプ(吐出機構)、13 押下ヘッド、21 天壁部、25 ステム、32 押下筒部、34 流通筒部、34A 第1ストッパ部(ストッパ部)、35,100 ノズル筒部、41A 突条部、41B 凹部、41D 第2ストッパ部(ストッパ部)、42A 吐出孔、54A 通過開口部、55A 栓筒部(係合部)、56 被覆筒部
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、吐出器として、上方付勢状態で下方移動可能に立設されたステムを有する吐出機構と、ステムに装着される押下ヘッドと、を備え、この押下ヘッドがステムの上端に嵌着される押下筒部と、押下筒部から前方に向けて突出すると共に前方に向けて開口する吐出孔が形成されたノズル筒部と、を有する、吐出器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような吐出器では、吐出口が口内を向くようにノズル筒部をくわえた状態で、押下ヘッドを押下して内容物を口内に吐出させるように使用される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2563442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の吐出器では、口内に吐出した内容物が、口尻とノズル筒部の外周面との間隙を通って漏れるおそれがあった。
【0005】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、口内に吐出した内容物の漏出を抑制できる吐出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の吐出器は、上方付勢状態で下方移動可能に立設されたステムを有する吐出機構と、前記ステムに装着される押下ヘッドと、を備える吐出器であって、前記押下ヘッドが、前記ステムの上端に嵌着される押下筒部と、前記押下筒部から前方に向けて突出すると共に前方に向けて開口する吐出孔が形成されたノズル筒部と、を備え、前記ノズル筒部には、該ノズル筒部の外周面から径方向外方に向けて突出する一対のほぼ対向配置された突条部が、前後方向に延設されていることを特徴とする。
【0007】
この発明では、ノズル筒部に一対の突条部を配設することにより、吐出孔を口内に向けた状態でノズル筒部をくわえたときに、一対の突条部を口尻で隙間なく密接に挟み込みやすくなる。これにより、口尻とノズル筒部の外周面との間を通って口の内部と外部とが連通することを抑制でき、吐出孔から口内に吐出した内容物が口の外部に漏れ出ることを防止できる。
【0008】
また、本発明の吐出器では、前記突条部における前後方向の中間部には、平面視で径方向内方に向けて円弧状をなして窪む凹部が形成されていてもよい。
この場合では、突条部に凹部を形成しているので、この凹部に口尻が位置するようにノズル筒部をくわえることによって、凹部に口尻を無理なく添えやすくなる。これにより、吐出孔から口内に吐出した内容物が口の外部に漏れ出ることをより確実に防止できる。
【0009】
また、本発明の吐出器では、前記押下ヘッドが、前記押下筒部から前方に向けて突設されて前記ステムからの内容物が流通する流通筒部を備え、前記ノズル筒部が、前記流通筒部に前後方向にスライド移動自在に装着され、前記ノズル筒部及び前記流通筒部それぞれには、前記ノズル筒部が前記流通筒部に対して前進端位置に移動したときに互いに係合することによって、前記ノズル筒部のこれ以上の前進移動を規制するストッパ部が各別に配設されていてもよい。
この場合では、ノズル筒部が流通筒部に対して前後方向でスライド移動自在とすることによって、使用時にノズル筒部を流通筒部に対して前進移動させると、吐出孔を口内の口先側から奥に位置させやすくなる。これにより、内容物が口の外部に漏れ出ることをよりいっそう防止できる。また、吐出器の流通段階や待機状態においてノズル筒部を流通筒部に対して後退移動させることにより、吐出器をコンパクトにすることができる。
さらに、ストッパ部が配設されており、ノズル筒部が流通筒部から前方に抜けることを防止するので、使用時の操作性を悪化させることなく流通段階や待機状態において吐出器をコンパクトにすることができる。
【0010】
また、本発明の吐出器では、前記吐出機構及び前記押下ヘッドを備える吐出器本体に着脱自在に装着されると共に前記押下ヘッドの下降移動を規制するカバー体をさらに備え、前記吐出器本体が、内容物が収容された容器本体の口部に装着される有頂筒状の装着キャップを備えると共に、前記吐出機構が、前記ステムが前記装着キャップの天壁部を上下方向に貫くように配設され、前記カバー体が、前記吐出器本体のうち、前記装着キャップの前記天壁部よりも上方に位置する上側部分を囲む筒状をなし、下端が前記装着キャップの前記天壁部上に配置され、かつ、上下方向に延在して後方に向けて開口すると共に前記上側部分が後方に向けて通過可能な通過開口部を有し、前記カバー体には、前記ノズル筒部に離脱自在に係合し、該カバー体の前記吐出器本体に対する相対的な前進移動に伴って前記ノズル筒部を前記流通筒部に対して前進移動させる係合部が配設されていてもよい。
この場合では、カバー体を備えることによって、流通段階や待機状態において、吐出器に不意に加えられた外力によってステムが押し下げられて内容物が吐出孔から吐出されることを防止できる。
また、カバー体に係合部を設けることで、係合部をノズル筒部に係合させた状態でカバー体を吐出器本体に対して前後方向に移動させて着脱すると、ノズル筒部が流通筒部に対して前後方向にスライド移動される。これにより、カバー体を吐出器本体から離脱させると同時にノズル筒部を流通筒部から前方に引き出し、また、カバー体を吐出器本体に取り付けると同時にノズル筒部を流通筒部に対して後方に引き込ませることができるので、操作性がよりいっそう向上する。
さらに、カバー体の着脱に伴ってノズル筒部のスライド移動が行えるので、口内に入れる部分に直接指が触れず、衛生的である。また、カバー体の装着時に係合部が吐出孔に係合している場合には、内容物がノズル筒部内に残留しても、携帯時に残留した内容物が外部に漏れ出ることを防止できる。
【発明の効果】
【0011】
この発明にかかる吐出器によれば、一対の突条部を口尻で隙間なく密接に挟み込みやすくなるので、吐出孔から口内に吐出した内容物が口の外部に漏れ出ることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態における吐出器を示す軸方向断面図である。
【図2】カバー体を取り外した状態における図1の吐出器を示す側面図である。
【図3】図1のA−A矢視断面図である。
【図4】図1のノズル筒部を示す斜視図である。
【図5】図1のカバー体を示す軸方向断面図である。
【図6】図5のカバー体を示す側面図である。
【図7】図6のB−B矢視断面図である。
【図8】図1の吐出器の使用状態を示す軸方向断面図である。
【図9】同じく、図1の吐出器の使用状態を示す軸方向断面図である。
【図10】図9のC−C矢視断面図である。
【図11】本発明を適用可能な他のノズル筒部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明における吐出器の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0014】
本実施形態における吐出器1は、図1から図3に示すように、内容物を収容する有底円筒状の容器体2の口部2Aに装着される吐出器本体3と、吐出器本体3に着脱自在に装着されるカバー体4と、を備える。
吐出器本体3は、容器体2の口部2Aに装着される有頂筒状の装着キャップ11と、装着キャップ11に上方付勢状態で下方移動可能に貫設された円筒状のステム25を有するポンプ(吐出機構)12と、ステム25の上端に装着される押下ヘッド13と、を備える。
ここで、容器体2、装着キャップ11及びステム25それぞれの中心軸は、共通軸上に位置している。以下、この共通軸を容器軸Oと称し、容器軸Oに沿って容器体2側を下側、その反対側を上側と称する。また、容器軸Oに直交する方向を径方向と称し、容器軸O回りに周回する方向を周方向と称する。
【0015】
装着キャップ11は、中央部に円形の開口部が形成された天壁部21と、天壁部21の外周縁部から下方に向けて延設された装着筒部22と、天壁部21に上記開口部と同軸に配設されると共に上方に向けて延設された案内筒部23と、を備える。装着筒部22の内周面には、容器体2の口部2Aの外周面に形成された雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が形成されている。
【0016】
ポンプ12は、上記ステム25と、内部にステム25の下部が上下動自在に配設されたシリンダ26と、シリンダ26の内部に上下摺動自在に配設されたピストン部材(図示略)と、ステム25を上方に向けて付勢する付勢部材(図示略)と、を備える。
ステム25の上部は、シリンダ26の上端から上方に突出し、装着キャップ11の案内筒部23内に配設されており、この上部の上端部は、案内筒部23の上端から上方に突出している。
シリンダ26は、円筒状をなしており、容器軸Oと同軸に配設されている。シリンダ26の上端には、全周にわたってフランジ部26Aが径方向外方に向けて突設されており、このフランジ部26Aは、装着キャップ11の天壁部21の下面と容器体2の口部2Aの開口端縁上のパッキン27とにより上下方向で挟み込まれている。シリンダ26の下端部内には、パイプ28の上端部が嵌合されており、このパイプ28の下端開口部は、容器体2内の底部に位置している。
【0017】
押下ヘッド13は、板状の頂壁部31と、頂壁部31から下方に向けて延設された円筒状の押下筒部32と、頂壁部31の外周縁から下方に向けて延設されて押下筒部32を径方向外側から囲繞する円筒状の囲繞筒部33と、押下筒部32から径方向外方に向けて突設されて内容物が流通する円筒状の流通筒部34と、流通筒部34に対してスライド移動自在に装着された円筒状のノズル筒部35と、を備える。
ここで、流通筒部34及びノズル筒部35それぞれの中心軸は、共通軸上に位置している。以下、この共通軸をノズル軸O’と称し、ノズル軸O’に沿う流通筒部34の先端側を前側、流通筒部34の基端側を後側と称する。また、ノズル軸O’に直交する方向を径方向(ノズル径方向)と称し、特に、容器軸O及びノズル軸O’双方に直交する方向を左右方向と称する。
【0018】
また、押下ヘッド13には、前方及び上方の双方向に開口する陥凹部13Aが形成されており、この陥凹部13Aは、頂壁部31から下方に向けて延設された垂直壁部36と、垂直壁部36の下端縁から前方に向けて延設された水平壁部37と、によって画成されている。
【0019】
垂直壁部36は、前後方向から見て矩形状をなしており、垂直壁部36には、押下筒部32の内側と流通筒部34の内側とを連通させる連通開口部36Aが形成されている。連通開口部36Aの内側には、垂直壁部36よりも前方に向けて突出する円柱状の嵌合突出部38が配設されている。この嵌合突出部38は、ノズル軸O’と同軸に配設されており、嵌合突出部38の後端部と連通開口部36Aの開口縁部とは、容器軸O回りで間隔をあけて配設されたブリッジ部39によって接続されている。
水平壁部37は、平面視半円状をなしており、垂直壁部36の下端縁と囲繞筒部33の前方側の上端縁とを接続している。
【0020】
頂壁部31は、平面視において半円状をなしている。
押下筒部32及び囲繞筒部33は、容器軸Oと同軸に配設されている。また、押下筒部32内には、ステム25の上端部が嵌合されており、押下筒部32内とステム25内とは、連通している。
囲繞筒部33の下端縁は、装着キャップ11の天壁部21と上下方向で向かい合っている。また、囲繞筒部33の内径は、案内筒部23の外径よりも大きくなっており、囲繞筒部33の下端部は、案内筒部23の上端部を径方向外側から囲繞している。そのため、案内筒部23は、押下ヘッド13の上下動に伴って囲繞筒部33の内側に下側から進退移動する。
【0021】
流通筒部34は、垂直壁部36から前方に向けて突設されており、流通筒部34の前端部には、外方に突出する第1ストッパ部(ストッパ部)34Aが全周にわたって形成されている。さらに、流通筒部34の前端部のうち、第1ストッパ部34Aよりも後方における左右方向の両端部には、外方に突出する一対の案内突出部34Bが形成されている。
【0022】
ノズル筒部35は、図1から図4に示すように、筒状の外筒部41と、外筒部41と同軸に配設された円筒状の内筒部42と、外筒部41の前端と内筒部42の前端とを接続する円環状の接続壁部43と、外筒部41の後端部に配設された板状の後壁部44と、後壁部44の上端縁から後方に延設された延設板部45と、を有する。
外筒部41には、左右方向の両端部から左右方向の外方に向けて突出する一対の突条部41Aが形成されている。一対の突条部41Aは、外筒部41と滑らかに連設されており、外筒部41の前後方向の全長にわたって延設されている。突条部41Aを含む外筒部41の外周面における上下方向の幅は、左右方向の中間部から外方に向かうにしたがって漸次小さくなっている。本実施形態では、外筒部41のうちノズル軸O’よりも上側に位置する部分の外周面は、左右方向の中間部において上方に向けて突出するように湾曲すると共に、この中間部から左右方向の外方に向かうにしたがって下方に向けて窪むように湾曲する滑らかな曲面となっている。同様に、外筒部41のうちノズル軸O’よりも下側に位置する部分の外周面は、左右方向の中間部において下方に向けて突出するように湾曲すると共に、この中間部から左右方向の外方に向かうにしたがって上方に向けて窪むように湾曲する滑らかな曲面となっている。このように、突条部41Aを含む外筒部41の外周面形状は、ノズル筒部35をくわえる口の形状に合わせられている。なお、外筒部41の後端は、垂直壁部36に当接または近接している。
【0023】
一対の突条部41Aそれぞれにおける前後方向の中間部(本実施形態では前端部側)には、平面視で左右方向の内側に向けて窪む円弧状の凹部41Bが形成されている。
また、外筒部41の左右方向の内縁部は、前端から前後方向の中間部にわたって左右方向の内方に突出しており、この突出部分には、図2及び図3に示すように、左右方向の内方に窪む第1案内溝部41Cが前後方向の全長にわたって形成されている。第1案内溝部41C内には、流通筒部34の案内突出部34Bが前後方向で移動自在に配設されており、流通筒部34に対するノズル筒部35の前後方向のスライド移動を案内する。
さらに、外筒部41の後端部には、図1及び図3に示すように、内方に突出して流通筒部34の第1ストッパ部34Aと係合する第2ストッパ部(ストッパ部)41Dが全周にわたって形成されている。
【0024】
内筒部42の前端開口部は、図1から図4に示すように、吐出孔42Aとされており、内筒部42は、流通筒部34内に摺接している。また、内筒部42の後端部内には、嵌合突出部38が嵌め込まれている。
後壁部44は、垂直壁部36に近接または当接している。
延設板部45は、平面視において半円状をなしており、押下ヘッド13の頂壁部31上に摺接または近接している。
【0025】
カバー体4は、図1、図3及び図5から図7に示すように、吐出器本体3のうち、装着キャップ11の天壁部21よりも上方に位置する上側部分を囲む筒状をなしている。そして、カバー体4は、有頂筒状のカバー本体部51と、カバー本体部51から前方に突設された円筒状のノズルカバー部52と、を備える。
【0026】
カバー本体部51は、押下ヘッド13を上方から覆う上壁部53と、上壁部53から下方に延設されて吐出器本体3の上記上側部分を径方向外側から覆う周壁部54と、を有する。
上壁部53は、平面視で円状をなしており、押下ヘッド13の頂壁部31を上方から全域にわたって覆っている。また、上壁部53と頂壁部31との間には、間隙が設けられている。
周壁部54は、容器軸Oと同軸に配設されると共に上壁部53の外周縁から下方に延在している。また、本実施形態では、周壁部54内に吐出器本体3の上記上側部分を嵌め込むことによってカバー体4を上記上側部分に装着する。
【0027】
また、周壁部54には、上下方向にわたって延在して後方に開口する通過開口部54Aが形成されており、周壁部54は、平面視C字状をなしている。これにより、カバー体4及び吐出器本体3の前後方向に沿う相対的な進退移動に伴って、上記上側部分は、通過開口部54Aが左右方向に拡幅するように周壁部54を弾性変形させながら通過開口部54Aを後方に通過することで、周壁部54内に対して嵌合及び離脱され、カバー体4に対して着脱される。
さらに、周壁部54の上端部において通過開口部54Aに周方向で隣接する部分には、上下方向に延在する切欠部54Bが形成されている。切欠部54Bの上端は、上下方向において周壁部54の上端と一致し、切欠部54Bの下端は、押下ヘッド13の囲繞筒部33の下端よりも上側に位置している。これにより、周壁部54の周方向両端部が弾性変形しやすくなる。
【0028】
周壁部54の下端は、装着キャップ11の天壁部21上に配設されている。また、周壁部54の上下方向の中間部には、径方向内方に突出する規制突出部54Cが周方向に延設されており、周壁部54の下端と規制突出部54Cとの間には、上下方向にわたって延在する補強リブ部54Dが形成されている。規制突出部54Cは、囲繞筒部33の下端縁に囲繞筒部33の下側から近接または当接している。そのため、周壁部54は、押下ヘッド13の下方への移動を規制している。
【0029】
ノズルカバー部52は、流通筒部34及びノズル筒部35を外側から覆っており、接続壁部43を前方から覆う前壁部55と、前壁部55から後方に延設されてノズル筒部35の外筒部41を外側から覆う被覆筒部56と、を有する。
前壁部55は、円板状をなしており、接続壁部43を前方から全域にわたって覆っている。また、前壁部55の中央部には、内筒部42の内側に嵌合して吐出孔42Aを閉塞する栓筒部(係合部)55Aが後方に向けて突設されている。
【0030】
被覆筒部56は、外筒部41の外周面と同様の内周面形状及び外周面形状を有しており、押下ヘッド13の外筒部41を外方から覆っている。そして、被覆筒部56は、流通筒部34及びノズル筒部35と同軸に配設されると共に前壁部55の外周縁部から後方に延在している。また、被覆筒部56には、外筒部41の突条部41Aを前後方向で案内する第2案内溝部56Aが前後方向の全長にわたって形成されており、この第2案内溝部56Aには、突条部41Aの凹部41Bと係合する係合突出部56Bが左右方向の内方に突設されている。
【0031】
次に、以上のような構成の吐出器1による内容物の吐出方法について説明する。
まず、例えばカバー体4の周壁部54を指などで保持し、カバー体4を吐出器本体3に対して前方に引き出す。カバー体4を引き出していくと、周壁部54は、通過開口部54Aが周方向に拡大するように弾性変形しながら、案内筒部23及び囲繞筒部33の外周面に摺接しつつこの外周面に沿って案内される。そして、吐出器本体3のうち上記上側部分は、カバー体4に対してこの通過開口部54Aを後方に通過する(図8参照)。
【0032】
また、カバー体4を引き出していくと、カバー体4の前壁部55に突設された栓筒部55Aがノズル筒部35の内筒部42の内側に係合していると共に被覆筒部56に形成された係合突出部56Bが突条部41Aに形成された凹部41Bに係合しているため、カバー体4の前方への移動に伴ってノズル筒部35が流通筒部34に対して前方にスライド移動しながら引き出されていく。
ノズル筒部35が流通筒部34に対して前方に引き出され、ノズル筒部35が流通筒部34に対して前進端位置に到達すると、ノズル筒部35の外筒部41に形成された第2ストッパ部41Dと流通筒部34に形成された第1ストッパ部34Aとは、互いに係合し、ノズル筒部35が流通筒部34に対してこれ以上前進移動することを規制する。なお、流通筒部34の案内突出部34Bがノズル筒部35の外筒部41に形成された第1案内溝部41C内でスライド移動するため、ノズル筒部35は、流通筒部34に対してノズル軸O’回りで回転することなく安定して引き出される。
【0033】
その後、カバー体4をさらに引き出していくと、ノズル筒部35の流通筒部34に対する前進移動が規制されているため、前壁部55の栓筒部55Aの内筒部42に対する係合と係合突出部56Bの凹部41Bに対する係合とが解除され、カバー体4が取り外される(図9及び図10参照)。なお、外筒部41の突条部41Aが被覆筒部56に形成された第2案内溝部56A内でスライド移動するため、カバー体4は、ノズル筒部35をノズル軸O’回りで回転させることなく安定して引き出される。これにより、吐出孔42Aが開放される。
以上のようにして、カバー体4を取り外すと、ノズル筒部35は、流通筒部34に対して前進端位置に到達する。
【0034】
このようにノズル筒部35を流通筒部34に対して前進端位置に到達させた状態で、吐出孔42Aを口内に向けた状態でこのノズル筒部35をくわえる。このとき、ノズル筒部35の左右両端部に一対の突条部41Aが対向配置されており、この突条部41Aの前後方向の中間部に凹部41Bが形成されているので、口尻とノズル筒部35との間に隙間が形成されない。
【0035】
この状態で押下ヘッド13を押し下げると、ステム25が下方に移動させられる。そして、ステム25の移動に追従して上記ピストン部材がシリンダ26の内周面に摺接しつつ下方に移動する。これにより、シリンダ26内の内容物が圧縮され、この圧縮されたシリンダ26内の内容物は、ステム25内に進入してステム25内を上方に移動し、押下ヘッド13内に流入する。そして、内容物は、押下筒部32内から流通筒部34内を通ってノズル筒部35の内筒部42内に流入し、吐出孔42Aから吐出される。このとき、口尻とノズル筒部35の外周面との間を通って口の内部と外部とが連通することが抑制されるので、吐出孔42Aから口内に吐出された内容物が口の外部に漏れ出るのが防止される。
【0036】
その後、押下ヘッド13の押し下げを解除すると、上記ピストン部材が上記付勢部材の上方付勢力によってシリンダ26の内周面に摺接しつつ上方に復元移動する。これにより、シリンダ26内が減圧され、容器体2内に収容されている内容物がパイプ28を通じてシリンダ26内に吸い上げられる。
【0037】
カバー体4を吐出器本体3の上記上側部分に取り付ける場合には、上述と逆の手順を行う。すなわち、例えばカバー体4の周壁部54を指などで保持し、カバー体4を吐出器本体3に対して後方に押し込む。ここでは、カバー体4の前壁部55に突設された栓筒部55Aとノズル筒部35の内筒部42とを位置合わせすると共に外筒部41の突条部41Aと被覆筒部56に形成された第2案内溝部56Aとを位置合わせした状態で、カバー体4を押し込む。
カバー体4を押し込んでいくと、周壁部54は、通過開口部54Aが周方向に拡大するように弾性変形しながら案内筒部23及び囲繞筒部33の外周面に摺接しつつこの外周面に沿って案内される。そして、吐出器本体3のうち上記上側部分は、カバー体4に対して通過開口部54Aを前方に通過し、周壁部54内に対して嵌合され、カバー体4に対して取り付けられる。
【0038】
また、カバー体4を押し込んでいくと、栓筒部55Aと内筒部42とが係合し、カバー体4の後方への移動に伴ってノズル筒部35が流通筒部34に対して後方にスライド移動しながら押し込まれていく。ノズル筒部35が流通筒部34に対して後退端に到達すると、ノズル筒部35の外筒部41の後端(及び後壁部44)が押下ヘッド13の垂直壁部36に当接し、また、内筒部42の後端部の内側に嵌合突出部38が嵌め込まれ、ノズル筒部35が流通筒部34に対してこれ以上後退移動することを規制する。
以上のようにして、カバー体4を取り付けると、ノズル筒部35は、流通筒部34に対して後退端位置に到達する。
【0039】
このようにカバー体4を取り付けた状態、すなわち販売前の流通、保管時もしくは販売陳列時、または購入者による内容物の使用後の保管時などでは、カバー体4の上壁部53が押下ヘッド13の頂壁部31の全域を上方から覆っているので、押下ヘッド13に外力が加わりにくくなる。また、カバー体4の上壁部53に外力が加わった場合であっても、周壁部54の下端が装着キャップ11の天壁部21に近接または当接しているので、カバー体4の下方への移動が規制される。そのため、押下ヘッド13に対して押下ヘッド13を押し下げようとする外力が加わりにくくなる。さらに、押下ヘッド13に押下ヘッドを押し下げようとする外力が加わった場合であっても、周壁部54の規制突出部54Cが囲繞筒部33の下端縁に下側から近接または当接しているので、押下ヘッド13の下方への移動が規制される。そのため、押下ヘッド13が押し下げられることを防止する。
【0040】
以上のような構成の吐出器1によれば、一対の突条部41Aにより口尻で隙間なく密接に挟み込みやすくなると共に、凹部41Bに口尻を添えやすくなっているので、吐出孔42Aから口内に吐出した内容物が口の外部に漏出することを防止できる。
また、ノズル筒部35を流通筒部34に対して前進移動させることによって吐出孔42Aを口内の奥に位置付けやすくなるので、内容物が口の外部により漏出しにくくなる。さらに、ノズル筒部35を流通筒部34に対して後退移動させることによって、流通段階や待機状態のように使用しない状態において吐出器1をコンパクト化することができる。ここで、第1及び第2ストッパ部34A、41Dを配設することで、使用時にノズル筒部35が流通筒部34から前方に離脱することを防止するので、使用時の操作性を悪化させずに吐出器1をコンパクト化することができる。
さらに、カバー体4を備えることで、流通段階や待機状態において押下ヘッド13に不意に外力がかかって内容物が吐出されることを防止できる。また、カバー体4の吐出器本体3に対する前後移動に伴ってノズル筒部35を流通筒部34に対して前後方向でスライド移動させることができるので、操作性がさらに向上する。ここで、ノズル筒部35に直接指が触れることなくカバー体4の着脱に伴ってノズル筒部35をスライド移動させることができるので、衛生的である。また、栓筒部55Aが吐出孔42Aに係合するので、使用後に内容物がノズル筒部35内に残留していても、残留した内容物が携帯時に外部に漏れ出ることを防止できる。
【0041】
なお、本実施形態では、図4に示すように、ノズル筒部35が後壁部44及び延設板部45を有しているが、例えば図11に示すノズル筒部100のように、外筒部101を短縮すると共に後壁部44及び延設板部45を設けない構成としてもよい。これにより、ノズル筒部100の構成が簡略化される。
【0042】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、ノズル筒部の外筒部の形状は、一対の突条部を有していれば、他の形状であってもよい。ここで、ノズル筒部の延在方向は、容器体の接地面と平行方向である前後方向に対して傾斜してもよい。また、一対の突条部の突出方向は、容器体の接地面と平行方向である左右方向に限らず、左右方向に対して傾斜してもよく、一対の突条部の延在方向は、ノズル軸に対して傾斜してもよい。さらに、突条部は厳密に対向位置に配置されていなくてもよく、縦断面でハの字状にするなど、ノズル筒部をくわえる口の形状に合わせて構成することができる。
ノズル筒部は、外筒部及び内筒部を有する二重筒状をなしているが、外筒部のみを有する構成など、他の構成であってもよい。
突条部の前後方向の中間部には、凹部が形成されているが、凹部を形成しなくてもよい。また、突条部は、外筒部の前後方向の全長にわたって形成されているが、前後方向の一部に形成されてもよい。
ノズル筒部は、流通筒部に対して前後方向でスライド移動自在に装着されているが、流通筒部に対してスライド移動自在でなくてもよく、流通筒部と一体にまたは流通筒部を設けずに直接押下筒部と一体に構成されてもよい。
カバー体には、上壁部及び規制突出部が設けられているが、上壁部及び規制突出部のいずれか一方のみが設けられている構成としてもよい。また、上壁部及び規制突出部の双方を設けずにカバー体の前方への引き出しに伴ってノズル筒部を前方に引き出す構成としてもよい。この場合、カバー体の周壁部の下端は、装着キャップの天壁部上に配置しなくてもよい。
さらに、係合部としてカバー体の前壁部にノズル筒部の内筒部と係合する栓筒部を突設しているが、カバー体の引き出しに伴ってノズル筒部を引き出せれば、栓筒部に限らず、他の構成としてもよい。
さらに、カバー体を設けない構成としてもよい。
吐出器本体は、吐出ポンプの構成となっているが、いわゆるエアゾール機構など、他の構造であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
この発明によれば、口内に吐出した内容物の漏出を抑制できる吐出器に関して、産業上の利用可能性が認められる。
【符号の説明】
【0044】
1 吐出器、2 容器体、2A 口部、3 吐出器本体、4 カバー体、11 装着キャップ、12 ポンプ(吐出機構)、13 押下ヘッド、21 天壁部、25 ステム、32 押下筒部、34 流通筒部、34A 第1ストッパ部(ストッパ部)、35,100 ノズル筒部、41A 突条部、41B 凹部、41D 第2ストッパ部(ストッパ部)、42A 吐出孔、54A 通過開口部、55A 栓筒部(係合部)、56 被覆筒部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方付勢状態で下方移動可能に立設されたステムを有する吐出機構と、
前記ステムに装着される押下ヘッドと、を備える吐出器であって、
前記押下ヘッドが、
前記ステムの上端に嵌着される押下筒部と、
前記押下筒部から前方に向けて突出すると共に前方に向けて開口する吐出孔が形成されたノズル筒部と、を備え、
前記ノズル筒部には、該ノズル筒部の外周面から径方向外方に向けて突出する一対のほぼ対向配置された突条部が、前後方向に延設されていることを特徴とする吐出器。
【請求項2】
前記突条部における前後方向の中間部には、平面視で径方向内方に向けて円弧状をなして窪む凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の吐出器。
【請求項3】
前記押下ヘッドが、前記押下筒部から前方に向けて突設されて前記ステムからの内容物が流通する流通筒部を備え、
前記ノズル筒部が、前記流通筒部に前後方向にスライド移動自在に装着され、
前記ノズル筒部及び前記流通筒部それぞれには、前記ノズル筒部が前記流通筒部に対して前進端位置に移動したときに互いに係合することによって、前記ノズル筒部のこれ以上の前進移動を規制するストッパ部が各別に配設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の吐出器。
【請求項4】
前記吐出機構及び前記押下ヘッドを備える吐出器本体に着脱自在に装着されると共に前記押下ヘッドの下降移動を規制するカバー体をさらに備え、
前記吐出器本体が、内容物が収容された容器本体の口部に装着される有頂筒状の装着キャップを備えると共に、前記吐出機構が、前記ステムが前記装着キャップの天壁部を上下方向に貫くように配設され、
前記カバー体が、前記吐出器本体のうち、前記装着キャップの前記天壁部よりも上方に位置する上側部分を囲む筒状をなし、下端が前記装着キャップの前記天壁部上に配置され、かつ、上下方向に延在して後方に向けて開口すると共に前記上側部分が後方に向けて通過可能な通過開口部を有し、
前記カバー体には、前記ノズル筒部に離脱自在に係合し、該カバー体の前記吐出器本体に対する相対的な前進移動に伴って前記ノズル筒部を前記流通筒部に対して前進移動させる係合部が配設されていることを特徴とする請求項3に記載の吐出器。
【請求項1】
上方付勢状態で下方移動可能に立設されたステムを有する吐出機構と、
前記ステムに装着される押下ヘッドと、を備える吐出器であって、
前記押下ヘッドが、
前記ステムの上端に嵌着される押下筒部と、
前記押下筒部から前方に向けて突出すると共に前方に向けて開口する吐出孔が形成されたノズル筒部と、を備え、
前記ノズル筒部には、該ノズル筒部の外周面から径方向外方に向けて突出する一対のほぼ対向配置された突条部が、前後方向に延設されていることを特徴とする吐出器。
【請求項2】
前記突条部における前後方向の中間部には、平面視で径方向内方に向けて円弧状をなして窪む凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の吐出器。
【請求項3】
前記押下ヘッドが、前記押下筒部から前方に向けて突設されて前記ステムからの内容物が流通する流通筒部を備え、
前記ノズル筒部が、前記流通筒部に前後方向にスライド移動自在に装着され、
前記ノズル筒部及び前記流通筒部それぞれには、前記ノズル筒部が前記流通筒部に対して前進端位置に移動したときに互いに係合することによって、前記ノズル筒部のこれ以上の前進移動を規制するストッパ部が各別に配設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の吐出器。
【請求項4】
前記吐出機構及び前記押下ヘッドを備える吐出器本体に着脱自在に装着されると共に前記押下ヘッドの下降移動を規制するカバー体をさらに備え、
前記吐出器本体が、内容物が収容された容器本体の口部に装着される有頂筒状の装着キャップを備えると共に、前記吐出機構が、前記ステムが前記装着キャップの天壁部を上下方向に貫くように配設され、
前記カバー体が、前記吐出器本体のうち、前記装着キャップの前記天壁部よりも上方に位置する上側部分を囲む筒状をなし、下端が前記装着キャップの前記天壁部上に配置され、かつ、上下方向に延在して後方に向けて開口すると共に前記上側部分が後方に向けて通過可能な通過開口部を有し、
前記カバー体には、前記ノズル筒部に離脱自在に係合し、該カバー体の前記吐出器本体に対する相対的な前進移動に伴って前記ノズル筒部を前記流通筒部に対して前進移動させる係合部が配設されていることを特徴とする請求項3に記載の吐出器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−71770(P2013−71770A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213896(P2011−213896)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】
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