説明

吐出器

【課題】発泡部材を通過して発泡した気液混合体がノズル孔から吐出されるときの泡質を所期したものに安定させることができる吐出器を提供する。
【解決手段】上方付勢状態で下方移動可能に立設されたステム10を有するポンプ1と、ステム10の上端部に配設されノズル孔21が形成された押下ヘッド2と、を備え、ポンプ1に、ステム10に連係する液用ピストン50と、液用ピストン50を収容する液用シリンダ16と、ステム10に連係する空気用ピストン40と、空気用ピストン40を収容する空気用シリンダ15と、液用シリンダ16からの液体と空気用シリンダ15からの空気とを混合する気液混合室3と、気液混合室3で混合された気液混合体を発泡する発泡部材60と、が備えられている。押下ヘッド2には、ステム10内とノズル孔21とを連通する装着筒部22が下方に向けて延設され、装着筒部22の上端部内に発泡部材60が配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体が収容された容器の口部に上方付勢状態で下方移動可能に立設されたステムを有するポンプと、前記ステムの上端部に配設されノズル孔が形成された押下ヘッドと、を備えるとともに、前記ポンプに、前記ステムに連係する液用ピストンと、該液用ピストンが内部に上下摺動自在に収容された液用シリンダと、前記ステムに連係する空気用ピストンと、該空気用ピストンが内部に上下摺動自在に収容された空気用シリンダと、前記液用シリンダからの液体と前記空気用シリンダからの空気とを混合する気液混合室と、該気液混合室で混合された気液混合体を発泡する発泡部材と、が備えられた吐出器が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−184222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の吐出器では、発泡部材を通過して発泡した気液混合体がノズル孔から吐出されるときの泡質を所期したものに安定させることに対して改善の余地があった。
【0005】
本発明は係る実情に鑑みてなされたものであり、発泡部材を通過して発泡した気液混合体がノズル孔から吐出されるときの泡質を所期したものに安定させることができる吐出器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の請求項1に記載の発明は、液体が収容された容器の口部に上方付勢状態で下方移動可能に立設されたステムを有するポンプと、前記ステムの上端部に配設されノズル孔が形成された押下ヘッドと、を備える吐出器であって、前記ポンプには、前記ステムに連係する液用ピストンと、該液用ピストンが内部に上下摺動自在に収容された液用シリンダと、前記ステムに連係する空気用ピストンと、該空気用ピストンが内部に上下摺動自在に収容された空気用シリンダと、前記液用シリンダからの液体と前記空気用シリンダからの空気とを混合する気液混合室と、該気液混合室で混合された気液混合体を発泡する発泡部材と、が備えられ、前記押下ヘッドには、前記ステムに装着されるとともに該ステム内と前記ノズル孔とを連通する装着筒部が下方に向けて延設されていて、該装着筒部の上端部内に前記発泡部材が配設されていることを特徴とする吐出器を提供する。
【0007】
この吐出器では、発泡部材が、押下ヘッドの装着筒部内でもノズル孔に最も近い上端部に配設されているので、発泡部材を通過して発泡した気液混合体(以下、泡体という)が、ノズル孔に到達するまでの距離を短く抑えることが可能になり、所期した泡質の泡体をノズル孔に到達させ易くすることができる。
なお、発泡部材からノズル孔に到達するまでの距離が長いと、押下ヘッドの内面に摺接してノズル孔に到達しない泡体が大量になり易く、これに伴い、押下ヘッド内に残存した泡体が液状に戻る液状物も大量になり、この大量の液状物に新たに生成された泡体が当接することにより、該新たに生成された泡体の多くの泡が潰されて所期した泡質の泡体がノズル孔から吐出され難くなるおそれがある。
また、この発明では、発泡部材が、押下ヘッドの装着筒部の上端部内に配設されているので、この装着筒部の長さを短く抑え易くすることが可能になり、押下ヘッドの成形金型の構造を複雑にすることなく、製造効率を容易に高めることができる。
【0008】
また、上記吐出器では、前記液用シリンダ内には、下端部が前記液用シリンダ内の下端開口部に着座および離反可能な下部弁体とされるとともに、上端部が前記液用シリンダ内と前記ステムの上端部内との連通およびその遮断を切替える上部弁体とされた棒状の弁部材が配設され、該弁部材のうち、前記上端部と前記下端部との間に位置する中間部分の外周面には、その上下方向における全長にわたって連続して延びる縦溝が、周方向に間隔をあけて複数形成され、前記複数の縦溝の径方向の内端面は、上下方向における全長にわたって面一となっていることが好ましい。
【0009】
この場合、弁部材の中間部分に複数の縦溝が形成され、かつこれら複数の縦溝の径方向の内端面は、上下方向における全長にわたって面一となっているので、成形金型から離型した後の弁部材を、内部応力の発生を抑えつつ早期に冷却させ易くすることが可能になり、製造効率をより一層向上させることができるとともに、使用する材料の量も抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、発泡部材を通過して発泡した気液混合体がノズル孔から吐出されるときの泡質を所期したものに安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る吐出器を構成するポンプ及び押下ヘッドの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。
図1には、本発明に係る吐出器を構成するポンプ1及び押下ヘッド2が示されている。図中Oは、ポンプ1および押下ヘッド2が装着される図示しない容器の容器軸線を示し、以下では、容器軸線Oに沿って押下ヘッド2側を上側、ポンプ1側を下側という。また、容器軸線Oに直交する方向を径方向、容器軸線Oの周回方向を周方向という。
【0013】
ポンプ1は、上記容器の口部に上方付勢状態で下方移動可能に立設されたステム10を有し、押下ヘッド2は、ステム10の上端部に配設されノズル孔21を有している。
ポンプ1には、ステム10が上下動自在に挿入される挿通孔31を備えるとともに容器の口部に装着される装着キャップ30と、押下ヘッド2およびステム10に連係した空気用ピストン40が内部に上下摺動自在に収容された空気用シリンダ15と、押下ヘッド2およびステム10に連係した液用ピストン50が内部に上下摺動自在に収容された液用シリンダ16と、空気用シリンダ15からの空気と液用シリンダ16からの液体とが合流する気液混合室3と、この気液混合室3とノズル孔21との間に配設され、気液混合室3で混合された気液混合体を発泡する発泡部材60と、が備えられている。
【0014】
図示の例では、装着キャップ30は、挿通孔31が形成された天壁部32と、天壁部32の外周縁から下方に向けて延設された装着周壁部33と、天壁部32において挿通孔31の外周縁部から上方に向けて延設されたガイド筒部34と、を備えており、装着周壁部33の内周面には容器の口部に螺着するためのネジ部35が形成されている。
【0015】
液用シリンダ16および空気用シリンダ15はそれぞれ円筒状をなしており、本実施形態では液用シリンダ16と空気用シリンダ15とが一体に形成され、空気用シリンダ15の上端開口部における外周面が、装着キャップ30の装着周壁部33および天壁部32の内面に密着させられている。空気用シリンダ15は、有底筒状に形成され、その底面に筒状の液用シリンダ16が、その内部と空気用シリンダ15の内部とが連通した状態で連結された構成とされている。つまり、大径の空気用シリンダ15の下側に小径の液用シリンダ16が連設されている。
【0016】
ノズル孔21を有する押下ヘッド2には、下方に向けて延設されて内部にステム10が嵌合された装着筒部22と、下方に向けて延設されて装着筒部22をその径方向外方から囲繞する外筒部23と、が備えられている。装着筒部22の上端開口部は、先端にノズル孔21が形成されたノズル筒部24の基端に形成された基端開口部に連通している。このノズル筒部24の基端開口部は下方に向けて開口しており、装着筒部22とノズル筒部24とはL字状をなすように接続されている。
【0017】
装着筒部22は、装着キャップ30に設けられたガイド筒部34の内側に上下動自在に挿入されている。また、外筒部23の内径は、ガイド筒部34の外径よりも大きくなっており、押下ヘッド2を押し下げたときに、外筒部23の内周面とガイド筒部34の外周面とが径方向で対向するようになっている。また、装着筒部22の下端部の上下方向における位置は、外筒部23の下端部の上下方向における位置と同等であり、より詳しくは、外筒部23の下端部よりもわずかに下方に突出している。
【0018】
そして、本実施形態では、前述の発泡部材60は、装着筒部22の上端部内に配設されている。また発泡部材60の下端部にはステム10の上端部が嵌合されている。
【0019】
発泡部材60は、筒状のケーシング61と、ケーシング61内に装入された2つの発泡エレメント62と、を備えている。ケーシング61は、上側に大径部、下側に小径部を有する2段円筒状をなしていて、大径部は装着筒部22の内側に挿入固定され、小径部はステム10の上端部の内側に嵌合されている。小径部の外周面にはその下端から上方に延びて大径部の底部外表面に至り、さらにその径方向外方に向けて延在して開口した複数のケーシング溝61aが形成されている。
【0020】
さらに、発泡エレメント62は筒状本体に網が張設された構成とされており、ケーシング61内に配された2つの発泡エレメント62のうち、下側に位置する方は、筒状本体の下側開口面に網が張設され、上側に位置する方では筒状本体の上側開口面に網が張設されている。
【0021】
ここで、装着筒部22の上端開口部、ノズル筒部24の基端開口部、及び発泡部材60の上端開口部それぞれの上下方向における位置は、互いに同等とされている。より具体的には、発泡部材60の上端開口部は、ノズル筒部24の基端開口部よりもわずかに下方に位置している。
なお、ノズル筒部24の基端開口部にノズル孔21側で隣接するノズル筒部24の底壁には、上方に突出する突出底壁が形成されており、該突出底壁の内面側(ノズル孔21と反対側)には、前記基端開口部の径方向の内側に向かって突出し、発泡部材60の上端部に係合する係止突起が形成されている。
そして、この実施形態では、発泡部材60の上端開口部は、前記突出底壁よりもわずかに下方に位置しており、この突出底壁よりもノズル孔21側に位置するノズル筒部24の底壁とほぼ面一に位置するように装着筒部22内に設けられている。
【0022】
ステム10は、装着筒部22の下端開口面から下方に突出している。装着筒部22の内周面においてステム10の上端部が嵌合された部分には、上下方向に延在し、かつ下方に開口した複数の縦溝22aが形成されている。これらの縦溝22aは、ステム10の上端開口縁を径方向に跨いで、発泡部材60のケーシング61に形成された複数のケーシング溝61aに連通している。
【0023】
空気用ピストン40は、空気用シリンダ15内に気密状態で上下摺動可能に配設され、多段筒状の外筒41と、この外筒41の内側に配置された内筒42と、外筒41の上端部と内筒42の外周面とを連結し、上下方向に貫通する空気孔43を有する天板部44と、内筒42の外周面に嵌合されて上記空気孔43を開閉する弁体45と、を備えている。このうち、内筒42の内側に、ステム10において装着筒部22に嵌合した上端部の下方に連なる部分が上下動可能に挿入されている。
ここで、装着キャップ30のガイド筒部34の上端が内筒42の上端よりもわずかに上方に位置している。
【0024】
空気用ピストン40における内筒42の上端縁には、装着筒部22の下端側内周面に摺接する上側摺接部42aが、内筒42の全周にわたって形成されている。また、外筒41の下端部には、空気用シリンダ15の内面に摺接する環状の下側摺接部41aが形成されている。
【0025】
上側摺接部42aの上端縁と、装着筒部22の内面との間には、上下方向の隙間Sが設けられている。また、装着筒部22の下端と、内筒42の上端縁との間には、隙間が設けられている。
【0026】
また、天板部44に形成された空気孔43は、装着キャップ30の挿通孔31よりも径方向の外側で、装着キャップ30の天壁部32と上下方向で対向する位置に形成されている。そして、天板部44において空気孔43よりも径方向の内側に位置する部位には、邪魔板46が上方に向けて突設されている。邪魔板46の上端は、装着キャップ30の天壁部32に、該天壁部32の下方から近接又は当接している。
【0027】
ここで、前記隙間Sには、装着筒部22の内周面に形成された縦溝22aが開口している。また、ステム10の外周面において、空気用ピストン40における内筒42が配設された部分には、上下方向に延在し、かつ隙間Sに開口する複数のステム溝10aが形成されている。このステム溝10a、装着筒部22に形成された縦溝22a、発泡部材60のケーシング61に形成されたケーシング溝61a、および前記隙間Sによって、空気用シリンダ15と気液混合室3とを連通する空気通路5が構成されている。
【0028】
次に、液用シリンダ16内に配設されて上下に摺動する液用ピストン50は、その上端側がステム10の内側に液密状態で挿入固定される小径筒部51とされ、下端側がステム10の下端開口縁から下方に突出し、かつその外周面がステム10の外周面とほぼ面一とされた大径筒部52とされている。
【0029】
液用ピストン50および液用シリンダ16の内部には、上端部が中空逆円錐状をなす上部弁体17aとされるとともに下端部が液用シリンダ16内の下端開口部に着座および離反可能な下部弁体17bとされた棒状の弁部材17が設けられている。
【0030】
上部弁体17aは、液用シリンダ16内とステム10の上端部内との連通およびその遮断を切替える弁である。ここで、図中符合4は、液用ピストン50と液用シリンダ16の下端部内面との間に配設されたコイルスプリングを示しており、コイルスプリング4は、液用ピストン50を、大径筒部52の下方から上方付勢状態で下方移動可能に支持している。
【0031】
弁部材17において、上部弁体17aと下部弁体17bとの間に位置する中間部分の外周面には、その上下方向における全長にわたって連続して延びる縦溝18が形成されている。この縦溝18は、上記中間部分の周方向に間隔をあけて複数形成されており、縦溝18の径方向の内端面は、上下方向における全長にわたって面一とされている。
なお、例えば、前記中間部分の横断面は、十字状に形成されている。
【0032】
ここで、ステム10の内周面において、液用ピストン50と発泡部材60との間に位置する部分には、径方向内方に向けて円環状の弁座12が突設されており、この弁座12に着座および離反可能に球状の液吐出弁13が設けられている。そして、ステム10の内部において、発泡部材60の小径部の下端と、弁座12の上面との間の空間が上記気液混合室3となっている。
【0033】
さらに、ステム10の外周面においては、複数のステム溝10aそれぞれの下端が位置する部分に、その全周にわたって突状部11が突設されている。押下ヘッド2を押下する前の待機状態では、この突状部11の上面に、空気用ピストン40における内筒42の下端が当接することにより、空気用シリンダ15における空気通路5の開口部を塞いで、空気用シリンダ15の内部と気液混合室3との連通を遮断するようになっている。
【0034】
また、押下ヘッド2の外筒部23の下端と、装着キャップ30の天壁部32の上面と、の間には、押下ヘッド2の下方移動を規制するストッパ部材70が配設されている。ストッパ部材70は、ガイド筒部34に着脱自在に嵌合されている。ストッパ部材70は、横断面でC状に形成されたストッパ本体71と、ストッパ本体71の開放部分と略対向する位置で該ストッパ本体71の外周面に一体に形成されたつまみ部72と、を備えている。
【0035】
以上のようなポンプ1および押下ヘッド2が備えられる吐出器では、押下ヘッド2を押下する前の待機状態において、ステム10の突状部11の上面に、空気用ピストン40における内筒42の下端が当接し、かつ押下ヘッド2における装着筒部22の下端部と空気用ピストン40の内筒42の上端との間に上下方向の隙間Sが設けられている。
【0036】
この状態から、押下ヘッド2を押し下げると、装着筒部22が下降し、発泡部材60、ステム10、液用ピストン50も、コイルスプリング4が上下方向に圧縮変形されつつ下方に移動させられる。この際、空気用ピストン40は移動せず、この空気用ピストン40における内筒42の下端と、ステム10における突状部11の上面との間に隙間が形成され、また、空気用ピストン40における内筒42の上端縁と装着筒部22の内面との間の隙間Sは小さくなる。これにより、空気通路5を通して空気用シリンダ15内と気液混合室3内とが連通する。
さらに、液用ピストン50の下方への移動に伴い、下部弁体17bも下方に移動させられ、この下部弁体17bが液用シリンダ16の下端開口部に着座して閉塞し、液用ピストン50の上端部が、弁部材17の上部弁体17aから下方に離反し、液用シリンダ16とステム10内とが連通される。
【0037】
そして、さらに押下ヘッド2を押し下げると、空気用ピストン40も、弁体45が空気孔43を閉塞した状態で下方に移動させられることにより、空気用シリンダ15内において空気用ピストン40の下方に位置する下室内の空気が圧縮させられる。これにより、この下室内の空気が、空気用ピストン40における内筒42の下端とステム10の突状部11との間の隙間から空気通路5内に流入して気液混合室3に移送される。
【0038】
さらにこの際、弁部材17の下部弁体17bが液用シリンダ16の下端開口部を閉塞した状態で、液用ピストン50が下方移動するので、液用シリンダ16内の液体が上昇してステム10内に到達する。そして、液用シリンダ16内の液圧を、ステム10の弁座12に着座している液吐出弁13に作用させてこの液吐出弁13を弁座12から離反させることにより、液用シリンダ16内の液体を気液混合室3内に移送する。
【0039】
上述のようにして、気液混合室3内で液体および空気を合流させ、発泡部材60を通過させて液体を発泡させた後に、押下ヘッド2のノズル孔21を通じて泡状の液体(気液混合体(泡体))を吐出させる。
その後、押下ヘッド2の押し下げを解除すると、コイルスプリング4の弾性復元力により押下ヘッド2、ステム10、このステム10に連係された空気用ピストン40および液用ピストン50が上方付勢状態に戻ることになる。
【0040】
以上に説明した本発明の実施形態では、発泡部材60が、押下ヘッド2の装着筒部22内でもノズル孔21に最も近い上端部に配設されているので、発泡部材60を通過して発泡した気液混合体(以下、発泡体という)が、ノズル孔21に到達するまでの距離を短く抑えることが可能になり、所期した泡質の泡体をノズル孔21に到達させ易くすることができる。
なお、発泡部材60からノズル孔21に到達するまでの距離が長いと、押下ヘッド2の内面に摺接してノズル孔21に到達しない泡体が大量になり易く、これに伴い、押下ヘッド2内に残存した泡体が液状に戻る液状物も大量になり、この大量の液状物に新たに生成された泡体が当接することにより、該新たに生成された泡体の多くの泡が潰されて所期した泡質の泡体がノズル孔21から吐出され難くなるおそれがある。
また、本実施形態では、装着筒部22の長さを短く抑え易くすることが可能になり、押下ヘッド2の成形金型の構造を複雑にすることなく、製造効率を容易に高めることができる。
【0041】
また、本実施形態では、液用シリンダ16内に、下端部が液用シリンダ16内の下端開口部に着座および離反可能な下部弁体17bとされるとともに、上端部が液用シリンダ16内とステム10の上端部内との連通およびその遮断を切替える上部弁体17aとされた棒状の弁部材17が配設され、弁部材17のうち、前記上端部と前記下端部との間に位置する中間部分の外周面に、その上下方向における全長にわたって連続して延びる縦溝18が、周方向に間隔をあけて複数形成され、複数の縦溝18の径方向の内端面は、上下方向における全長にわたって面一となっている。
【0042】
この場合、弁部材17の中間部分に複数の縦溝18が形成され、かつこれら複数の縦溝18の径方向の内端面は、上下方向における全長にわたって面一となっているので、成形金型から離型した後の弁部材17を、内部応力を抑えつつ早期に冷却させ易くすることが可能になり、製造効率をより一層向上させることができるとともに、使用する材料の量も抑制することができる。
【0043】
以上、本発明に係る吐出器の実施形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 ポンプ
2 押下ヘッド
3 気液混合室
10 ステム
15 空気用シリンダ
16 液用シリンダ
17 弁部材
17a 上部弁体
17b 下部弁体
18 縦溝
21 ノズル孔
22 装着筒部
40 空気用ピストン
50 液用ピストン
60 発泡部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が収容された容器の口部に上方付勢状態で下方移動可能に立設されたステムを有するポンプと、
前記ステムの上端部に配設されノズル孔が形成された押下ヘッドと、
を備える吐出器であって、
前記ポンプには、
前記ステムに連係する液用ピストンと、
該液用ピストンが内部に上下摺動自在に収容された液用シリンダと、
前記ステムに連係する空気用ピストンと、
該空気用ピストンが内部に上下摺動自在に収容された空気用シリンダと、
前記液用シリンダからの液体と前記空気用シリンダからの空気とを混合する気液混合室と、
該気液混合室で混合された気液混合体を発泡する発泡部材と、
が備えられ、
前記押下ヘッドには、前記ステムに装着されるとともに該ステム内と前記ノズル孔とを連通する装着筒部が下方に向けて延設されていて、該装着筒部の上端部内に前記発泡部材が配設されていることを特徴とする吐出器。
【請求項2】
請求項1記載の吐出器であって、
前記液用シリンダ内には、下端部が前記液用シリンダ内の下端開口部に着座および離反可能な下部弁体とされるとともに、上端部が前記液用シリンダ内と前記ステムの上端部内との連通およびその遮断を切替える上部弁体とされた棒状の弁部材が配設され、
該弁部材のうち、前記上端部と前記下端部との間に位置する中間部分の外周面には、その上下方向における全長にわたって連続して延びる縦溝が、周方向に間隔をあけて複数形成され、
前記複数の縦溝の径方向の内端面は、上下方向における全長にわたって面一となっていることを特徴とする吐出器。

【図1】
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【公開番号】特開2013−95459(P2013−95459A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238749(P2011−238749)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】