説明

吐出器

【課題】塗布部材を備える吐出器であって、塗布部材で気液混合体を塗布する際の操作性を良好なものにできる吐出器を提供する。
【解決手段】押下ヘッド2が先端部にノズル孔21が形成されたノズル筒部24を備え、ノズル筒部24の先端部に、中空の塗布部材120が着脱自在に装着され、塗布部材120の先端面にノズル孔21と連通する吐出孔125が複数形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体が収容された容器の口部に上方付勢状態で下方移動可能に立設されたステムを有するポンプと、前記ステムの上端部に配設され液体流出用の開口が形成された押下ヘッドと、を備えるとともに、前記ポンプに、前記ステムに連係する液用ピストンと、該液用ピストンが内部に上下摺動自在に収容された液用シリンダと、前記ステムに連係する空気用ピストンと、該空気用ピストンが内部に上下摺動自在に収容された空気用シリンダと、前記液用シリンダからの液体と前記空気用シリンダからの空気とを混合する気液混合室と、該気液混合室で混合された気液混合体を発泡する発泡部材と、が備えられた吐出器が知られている。
【0003】
この種の容器では、例えば特許文献1に示されるように、押下ヘッド(筒状部材100に対応)に、刷毛を有する塗布部材が、刷毛を液体流出用の開口に向けて突出させられた状態で着脱自在に装着された構成が知られている。
この特許文献1に係る容器では、押下ヘッドを押下すると、発泡部材を通過し発泡した気液混合体が、ノズル孔から吐出されて塗布部材の刷毛に到達し、その後、塗布部材を押下ヘッドから離脱して移動させ、被塗布面に刷毛を擦り付けることで、気液混合体を被塗布面に塗布することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−296157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の吐出器では、気液混合体を被塗布面に塗布するに際し、塗布部材を押下ヘッドから離脱させ、塗布後に塗布部材を押下ヘッドに装着する必要があり、操作性を向上させることに改善の余地があった。
【0006】
本発明は係る実情に鑑みてなされたものであり、塗布部材を備える吐出器であって、塗布部材で内容物を塗布する際の操作性を良好なものにできる吐出器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の解決手段として、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の請求項1に記載の発明は、内容物が収容された容器の口部に上方付勢状態で下方移動可能に立設されたステムを有するポンプと、前記ステムの上端部に配設されノズル孔が形成された押下ヘッドと、を備える吐出器であって、前記押下ヘッドは、先端部に前記ノズル孔が形成されたノズル筒部を備え、該ノズル筒部の先端部には、中空の塗布部材が着脱自在に装着され、該塗布部材の先端面には、前記ノズル孔と連通する吐出孔が複数形成されていることを特徴とする吐出器を提供する。
【0008】
この吐出器では、押下ヘッドを押下してノズル孔に到達した内容物は、塗布部材の内部を通って複数の吐出孔から吐出され、塗布部材の先端面上に内容物が到達する。そして、この塗布部材の先端面を被塗布面に摺り付けることで、被塗布面に内容物を塗布することができる。
このように、内容物を被塗布面に塗布するに際し、内容物を塗布部材の先端面上に至らせれば、吐出器ごと移動させて、被塗布面に塗布部材の先端面を擦り付けることができるので、例えば塗布部材をノズル筒部から取り外して塗布する場合に比べて、良好な操作性を具備させることができる。
また、塗布部材がノズル筒部に着脱自在に装着されているので、塗布部材やノズル筒部に付着した内容物が固化しても、塗布部材をノズル筒部から取り外すことで、これらを容易に洗浄することができるので、使い勝手を良好なものにできる。
【0009】
また、上記吐出器では、前記ノズル筒部が、前記ステムの中心軸に対して交差する方向に延在していることが好ましい。
【0010】
この場合、ノズル筒部が、ステムの中心軸に対して交差する方向に延在しているので、吐出器の姿勢を大きく傾けずに被塗布面まで移動させて泡体を塗布することができ、使い勝手をより良好なものにできる。
【0011】
また、上記吐出器では、前記塗布部材が前記ノズル筒部に対して、周方向に回転可能に装着されていることが好ましい。
この場合、塗布部材の向きを塗布面の方向に応じて適宜変更させることができ、使い勝手に優れる。特に塗布部材が横長の形状等である場合に有効である。
【0012】
また、上記吐出器では、前記ポンプが、前記ステムに連係する液用ピストンと、該液用ピストンが内部に上下摺動自在に収容された液用シリンダと、前記ステムに連係する空気用ピストンと、該空気用ピストンが内部に上下摺動自在に収容された空気用シリンダと、
前記液用シリンダからの液体と前記空気用シリンダからの空気とを混合する気液混合室と、該気液混同室で混合された気液混合体を発泡する発泡部材と、を備えている構成でもよい。
この場合、押下ヘッドを押下してノズル孔に到達した気液混合体(泡体)を、被塗布面に容易に塗布することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、塗布部材で内容物を塗布する際の操作性を良好なものにできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る吐出器の断面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】第1の実施形態の吐出器が備える塗布部材をノズル筒部の軸方向に沿って見た図である。
【図4】図1のA−A線に沿う塗布部材とヘッドキャップとの断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る吐出器の断面図である。
【図6】第2の実施形態の吐出器の塗布部材にキャップ部材を取り付けた状態の吐出器の断面図である。
【図7】第2の実施形態の吐出器が備える塗布部材をノズル筒部の軸方向に沿って見た図である。
【図8】第2の実施形態の吐出器の塗布部材の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。
図1には、本発明の第1の実施形態に係る吐出器100が示されている。この吐出器100は、有底筒状の容器101の口部102にポンプ1および押下ヘッド2を装着して構成されている。図中Oは、容器101の容器軸線を示し、以下では、容器軸線Oに沿って押下ヘッド2側を上側、ポンプ1側(容器101の底部側)を下側という。また、容器軸線Oに直交する方向を径方向、容器軸線Oの周回方向を周方向という。
【0016】
ポンプ1は、容器101の口部102に上方付勢状態で下方移動可能に立設されたステム10を有し、押下ヘッド2は、ステム10の上端部に配設されノズル孔21を有している。ステム10は、その中心軸が容器軸線Oと同軸となるように容器101に配設されている。
【0017】
ポンプ1には、ステム10が上下動自在に挿入される挿通孔31を備えるとともに容器101の口部102に装着される装着キャップ30と、押下ヘッド2およびステム10に連係した空気用ピストン40が内部に上下摺動自在に収容された空気用シリンダ15と、押下ヘッド2およびステム10に連係した液用ピストン50が内部に上下摺動自在に収容された液用シリンダ16と、空気用シリンダ15からの空気と液用シリンダ16からの液体とが合流する気液混合室3と、この気液混合室3とノズル孔21との間に配設され、気液混合室3で混合された気液混合体を発泡する発泡部材60と、が備えられている。
【0018】
図示の例では、装着キャップ30は、挿通孔31が形成された天壁部32と、天壁部32の外周縁から下方に向けて延設された装着周壁部33と、天壁部32において挿通孔31の外周縁部(天壁部32の内周縁)から上方に向けて延設されたガイド筒部34と、を備えており、装着周壁部33の内周面には容器101の口部102の外周面に螺着するためのネジ部35が形成されている。
【0019】
液用シリンダ16および空気用シリンダ15はそれぞれ円筒状をなしており、本実施形態では液用シリンダ16と空気用シリンダ15とが一体に形成され、空気用シリンダ15の上端開口部における外周面が、装着キャップ30の装着周壁部33および天壁部32の内面に密着させられている。空気用シリンダ15は、有底筒状に形成され、その底面に筒状の液用シリンダ16が、その内部と空気用シリンダ15の内部とが連通した状態で連結された構成とされている。つまり、大径の空気用シリンダ15の下側に小径の液用シリンダ16が連設されている。
【0020】
ノズル孔21を有する押下ヘッド2には、下方に向けて延設されて内部にステム10が嵌合された装着筒部22と、下方に向けて延設されて装着筒部22をその径方向外方から囲繞する外筒部23と、装着筒部22から斜め上方に向けて延在するノズル筒部24と、が備えられている。装着筒部22の上端開口部は、先端にノズル孔21が形成されたノズル筒部24の基端に形成された基端開口部に連通している。
このノズル筒部24の基端開口部は下方に向けて開口しており、ノズル筒部24は、その中心軸をステム10の中心軸と同軸になるようにステム10に接続された装着筒部22に対して交差する方向に延在している。すなわち、ノズル筒部24は、ステム10の中心軸に対して交差する方向に延在し、本実施形態では、比較的緩い傾斜角で斜め上方に延在している。
【0021】
装着筒部22は、装着キャップ30に設けられたガイド筒部34の内側に上下動自在に挿入されている。また、外筒部23の内径は、ガイド筒部34の外径よりも大きくなっており、押下ヘッド2を押し下げたときに、外筒部23の内周面とガイド筒部34の外周面とが径方向で対向するようになっている。
【0022】
前記発泡部材60は、押下ヘッド2の装着筒部22の内側において、該装着筒部22の上下方向略中央の位置に配設され、発泡部材60の下端部にはステム10の上端部が嵌合されている。
図2に拡大して示すように、発泡部材60は、筒状のケーシング61と、ケーシング61内に装入された2つの発泡エレメント62と、を備えている。ケーシング61は、上側に大径部、下側に小径部を有する2段円筒状をなしていて、大径部は装着筒部22の内側に挿入固定され、小径部はステム10の上端部の内側に嵌合されている。ここで、小径部の外周面にはその下端から上方に延びて大径部の底部外表面に至り、さらにその径方向外方に向けて延在して開口した複数のケーシング溝61aが形成されている。
【0023】
さらに、発泡エレメント62は筒状本体に網が張設された構成とされており、ケーシング61内に配された2つの発泡エレメント62のうち、下側に位置する方は筒状本体の下側開口面に網が張設され、上側に位置する方では筒状本体の上側開口面に網が張設されている。
【0024】
図2を続けて参照し、ステム10は、装着筒部22の下端開口面から下方に突出している。装着筒部22の内周面においてステム10の上端部が嵌合された部分には、上下方向に延在し、かつ下方に開口した複数の縦溝22aが形成されている。これらの縦溝22aは、ステム10の上端開口縁を径方向に跨いで、発泡部材60のケーシング61に形成された複数のケーシング溝61aに連通している。
【0025】
同様に図2を続けて参照し、空気用ピストン40は、空気用シリンダ15内に気密状態で上下摺動可能とされ、多段筒状の外筒41と、この外筒41の内側に配置された内筒42と、外筒41の上端部と内筒42の外周面とを連結し、上下方向に貫通する空気孔43を有する天板部44と、内筒42の外周面に嵌合されて上記空気孔43を開閉する弁体45と、を備えている。このうち、内筒42の内側に、ステム10において装着筒部22に嵌合した上端部の下方に連なる部分が上下動可能に挿入されている。
【0026】
空気用ピストン40における内筒42の外周面の上端には、装着筒部22の下端側内周面に摺接する上側摺接部42aが、内筒42の全周にわたって形成されている。また、外筒41の下端部には、空気用シリンダ15の内面に摺接する環状の下側摺接部41aが形成されている。上側摺接部42aの上端縁と、装着筒部22の内面との間には、上下方向の隙間Sが設けられている。
【0027】
ここで、前記隙間Sには、装着筒部22の内周面に形成された縦溝22aが開口している。また、ステム10の外周面において、空気用ピストン40における内筒42が配設された部分には、上下方向に延在し、かつ隙間Sに開口する複数のステム溝10aが形成されている。このステム溝10a、装着筒部22に形成された縦溝22a、発泡部材60のケーシング61に形成されたケーシング溝61a、および前記隙間Sによって、空気用シリンダ15と気液混合室3とを連通する空気通路5が構成されている。
【0028】
次に、図1を参照し、液用シリンダ16内に配設されて上下に摺動する液用ピストン50は、その上端側がステム10の内側に液密状態で挿入固定される小径筒部51とされ、下端側がステム10の下端開口縁から下方に突出し、かつその外周面がステム10の外周面とほぼ面一とされた大径筒部52とされている。
【0029】
液用ピストン50および液用シリンダ16の内部には、上端部が中空逆円錐状をなす上部弁体17aとされるとともに下端部が液用シリンダ16内の下端開口部に着座および離反可能な下部弁体17bとされた棒状の弁部材17が設けられている。
【0030】
上部弁体17aは、液用シリンダ16内とステム10の上端部内との連通およびその遮断を切替える弁である。ここで、図中符合4は、液用ピストン50と液用シリンダ16の下端部内面との間に配設されたコイルスプリングを示しており、コイルスプリング4は、液用ピストン50を、大径筒部52の下方から上方付勢状態で下方移動可能に支持している。
【0031】
ここで、図2を参照し、ステム10の内周面において、液用ピストン50と発泡部材60との間に位置する部分には、径方向内方に向けて円環状の弁座12が突設されており、この弁座12に着座および離反可能に球状の液吐出弁13が設けられている。そして、ステム10の内部において、発泡部材60の小径部の下端と、弁座12の上面との間の空間が上記気液混合室3となっている。
【0032】
さらに、ステム10の外周面においては、複数のステム溝10aそれぞれの下端が位置する部分に、その全周にわたって突状部11が突設されている。押下ヘッド2を押下する前の待機状態では、この突状部11の上面に、押下ヘッド2が上方に付勢された状態で、空気用ピストン40における内筒42の下端が当接することにより、空気用シリンダ15における空気通路5の開口部を塞いで、空気用シリンダ15の内部と気液混合室3との連通を遮断するようになっている。
【0033】
ここで、図1に示されるように、ノズル筒部24の先端部には、中空の塗布部材120が着脱自在に装着されている。この塗布部材120は、ノズル筒部24の先端部に着脱自在に嵌合された基筒部121と、基筒部121の先端から該基筒部121の延在方向に直交する軸直方向に張り出した円板状の張出板部122と、張出板部122の外周縁に沿って延在しかつノズル筒部24の突出方向に沿って突出する突出筒部123と、突出筒部123に嵌合して該突出筒部123を閉塞する円板状の塗布面板部124と、を備えている。
【0034】
張出板部122と塗布面板部124との間には隙間が設けられ、塗布面板部124には、図3および図4に示されるように、ノズル孔21と連通する吐出孔125が、その外周部を除く全域にわたって複数形成されている。また、本実施形態では、塗布部材120は吐出器100の側面視で、装着キャップ30の天壁部32の略真上に位置するように、ノズル筒部24に取り付けられている。
また、前記塗布面板部124の裏面(張出板部122側を向く面)には、前記基筒部121の開口と対向する位置に突部140が形成されている。
前記突部140の先端部分は、略半円状に形成され、その横断面が十字状となっている。
さらに、前記吐出孔125は、前記突部140を避けて形成されており、これによって内容物を塗布面板部124上に、均等に吐出することができる。
なお、前記突部140の形状は、適宜選択可能である。
【0035】
塗布部材120および押下ヘッド2は、有頂筒状のヘッドキャップ130によって覆われ、ヘッドキャップ130は、装着キャップ30の装着周壁部33の上部に着脱可能に外嵌されている。図4に示すように、ヘッドキャップ130には、塗布部材120を収容可能なように塗布部材120の形状に沿って張り出した塗布部材収容部131が形成されている。
【0036】
以上のようなポンプ1および押下ヘッド2が備えられる吐出器では、図1および図2を併せて参照し、押下ヘッド2を押下する前の待機状態において、ステム10の突状部11の上面に、空気用ピストン40における内筒42の下端が当接し、かつ押下ヘッド2の下端と空気用ピストン40の内筒42の上端との間に上下方向の隙間Sが設けられている。
【0037】
この状態から、先ずヘッドキャップ130を取り外して、押下ヘッド2を押し下げると、装着筒部22が下降し、発泡部材60、ステム10、液用ピストン50も、コイルスプリング4が上下方向に圧縮変形させられつつ下方に移動させられる。この際、空気用ピストン40は移動せず、この空気用ピストン40における内筒42の下端と、ステム10における突状部11の上面との間に隙間が形成され、また、空気用ピストン40における内筒42の上端縁と装着筒部22の内面との間の隙間Sは小さくなる。これにより、空気通路5を通して空気用シリンダ15内と気液混合室3内とが連通する。
さらに、液用ピストン50の下方への移動に伴い、下部弁体17bが下方に移動させられ、この下部弁体17bが液用シリンダ16の下端開口部に着座して閉塞し、液用ピストン50の上端部が、弁部材17の上部弁体17aから下方に離反する。
【0038】
そして、さらに押下ヘッド2を押し下げると、空気用ピストン40も、弁体45が空気孔43を閉塞した状態で下方に移動させられることにより、空気用シリンダ15内において空気用ピストン40の下方に位置する下室内の空気が圧縮させられる。これにより、この下室内の空気が、空気用ピストン40における内筒42の下端とステム10の突状部11との間の隙間から空気通路5内に流入して気液混合室3に移送される。
【0039】
さらにこの際、弁部材17の下部弁体17bが液用シリンダ16の下端開口部を閉塞した状態で、液用ピストン50が下方移動するので、液用シリンダ16内の液体が上昇してステム10内に到達する。そして、液用シリンダ16内の液圧を、ステム10の弁座12に着座している液吐出弁13に作用させてこの液吐出弁13を弁座12から離反させることにより、液用シリンダ16内の液体を気液混合室3内に移送する。
【0040】
上述のようにして、気液混合室3内で液体および空気を合流させ、発泡部材60を通過させて液体を発泡させた後に、押下ヘッド2のノズル孔21を通じて泡状の液体(気液混合体(泡体))を吐出させ、さらに塗布部材120の吐出孔125から吐出させる。
その後、押下ヘッド2の押し下げを解除すると、コイルスプリング4の弾性復元力により押下ヘッド2、ステム10、このステム10に連係された空気用ピストン40および液用ピストン50が上方付勢状態に戻ることになる。
【0041】
以上に説明したように、本発明の実施形態では、押下ヘッド2を押下してノズル孔21に到達した気液混合体(以下、泡体)が、塗布部材120の内部を通って複数の吐出孔125から吐出され、塗布部材125の先端面上に泡体が到達する。そして、この塗布部材120の先端面を被塗布面に摺り付けることで、被塗布面に泡体を塗布することができる。
このように、泡体を被塗布面に塗布するに際し、泡体を塗布部材120の先端面上に至らせれば、吐出器1ごと移動させて、被塗布面に塗布部材120の先端面を擦り付けることができるので、例えば塗布部材をノズル筒部から取り外して塗布する場合に比べて、良好な操作性を具備させることができる。
また、塗布部材120がノズル筒部24に着脱自在に装着されているので、塗布部材120やノズル筒部24に付着した液体や泡体が固化しても、塗布部材120をノズル筒部24から取り外すことで、これらを容易に洗浄することができるので、使い勝手を良好なものにできる。
【0042】
また、この吐出器1では、ノズル筒部24が、ステム10の中心軸に対して交差する方向に延在している。この場合、吐出器1の姿勢を大きく傾けずに被塗布面まで移動させて泡体を塗布することができ、使い勝手をより良好なものにできる。
【0043】
以下では、本発明の第2の実施形態について図5乃至図8を用いて説明する。本実施形態では、塗布部材の形状が上記第1の実施形態の塗布部材120と形状が異なる。本実施形態において第1の実施形態と同様の構成要素についは、同一符合で示し、説明を省略する。
【0044】
本実施形態に係る塗布部材220は、ノズル筒部24の先端部に着脱自在でかつ回転自在に外嵌された基筒部221と、基筒部221の先端に該基筒部221の軸直方向に突設された張出板部222と、張出板部222にノズル筒部24の突出方向に突設された突出筒部223と、突出筒部223に嵌合して該突出筒部223を閉塞する略長方形状の塗布面板部224と、を備えている。
図8は、図5に示した状態から塗布部材220を90度回転させた状態を示している。同図に示されるように、張出板部222は、基筒部221の先端から該基筒部221の外側に各別に張り出した一対の外側張出板227と、基筒部221の先端から該基筒部221の内側にその全周にわたって張り出した環状の内側張出部228と、を備えている。
突出筒部223は、前記突出方向から見て、一対の外側張出板227の各外周縁部に沿って内側張出部228を介して一体に連続して延びる略矩形(略長方形)環状に形成されている。
また、この実施形態においても、塗布面板部224の裏面(張出板部222側を向く面)には、基筒部221の開口と対向する位置に突部240が形成されている。この突部240は、上記第1の実施形態の突部140と同様の機能を備える。
【0045】
張出板部222と塗布面板部224との間には隙間が設けられ、塗布面板部224には、図7に示されるように、ノズル孔21と連通する吐出孔225が、塗布面板部224の長手方向に沿って複数形成されている。本実施形態では、塗布部材220は吐出器の側面視で、塗布面板部224が装着キャップ30の天壁部32より径方向の外側に位置するように、ノズル筒部24に取り付けられ、容器軸線Oの径方向で塗布部材220が比較的離間した位置に位置している。
【0046】
また、図6には、塗布面板部224を覆うように、この塗布面板部224に着脱可能に取り付けられたキャップ部材230が示されている。キャップ部材230は、塗布面板部224の形状に対応しノズル筒部24の軸方向に沿って見て長方形状に形成されている。
この実施形態では、塗布面板部224の長手方向の向きを適宜変更可能であるため、操作性を向上できる。
【0047】
以上、本発明に係る吐出器の実施形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、塗布部材120および塗布部材220を挙げたが、塗布部材はその他の形状であってもよいことは言うまでもない。
また、塗布部材120または塗布部材220は、ノズル筒部24に対して回転可能または回転不能に設けてもよく、回転可能に設けた場合には、一定の回転角度で固定される係止手段を設けてもよい。
また、上記実施形態では、発泡部材60を備え、気液混合体(泡体)を吐出する吐出器について説明したが、本発明は、このような吐出器に限定されるものではなく、前記ポンプ1として、液体を吐出するポンプのもの、エアゾール機構のもの等、押下ヘッド(操作ボタン)を操作する(押し下げる)ことによって内容物を外部に吐出できるものを含むものである。
【符号の説明】
【0048】
1 ポンプ
2 押下ヘッド
3 気液混合室
10 ステム
15 空気用シリンダ
16 液用シリンダ
21 ノズル孔
40 空気用ピストン
50 液用ピストン
60 発泡部材
100 吐出器
101 容器
102 口部
120,220 塗布部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容された容器の口部に上方付勢状態で下方移動可能に立設されたステムを有するポンプと、
前記ステムの上端部に配設されノズル孔が形成された押下ヘッドと、
を備える吐出器であって、
前記押下ヘッドは、先端部に前記ノズル孔が形成されたノズル筒部を備え、
該ノズル筒部の先端部には、中空の塗布部材が着脱自在に装着され、
該塗布部材の先端面には、前記ノズル孔と連通する吐出孔が複数形成されていることを特徴とする吐出器。
【請求項2】
請求項1に記載の吐出器であって、
前記ノズル筒部が、前記ステムの中心軸に対して交差する方向に延在していることを特徴とする吐出器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の吐出器であって、
前記塗布部材が前記ノズル筒部に対して、周方向に回転可能に装着されていることを特徴とする吐出器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の吐出器であって、
前記ポンプは、
前記ステムに連係する液用ピストンと、
該液用ピストンが内部に上下摺動自在に収容された液用シリンダと、
前記ステムに連係する空気用ピストンと、
該空気用ピストンが内部に上下摺動自在に収容された空気用シリンダと、
前記液用シリンダからの液体と前記空気用シリンダからの空気とを混合する気液混合室と、
該気液混同室で混合された気液混合体を発泡する発泡部材と、
を備えていることを特徴とする吐出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−95469(P2013−95469A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239425(P2011−239425)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】