説明

吐出容器

【課題】吐出弁が繰り返し作動しても、該吐出弁が連通路を確実に閉塞して、安定してシール性を確保できるとともに、内容物の劣化を防止できる。
【解決手段】容器本体4の外容器3には、内容器2との間に外気が吸入される吸気孔7cが形成され、吐出キャップ24には、吸気孔7cと外部との連通及び遮断を切り替える空気弁12と、吐出口13と内容器2の内部とを連通する連通路25と、連通路25を吐出口13側から開閉自在に閉塞する吐出弁15と、吐出弁15に連結され、内容器2の内圧変動により弾性変形して該吐出弁15を作動させ該連通路25を開閉させる弾性連結片16と、が備えられ、オーバーキャップ6は、吐出弁15を内容器2の内部側へ向けて押下する押下部21を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の吐出容器として、従来、例えば下記特許文献1に示されるような、内容物が収容されるとともに内圧の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器、及び、内容器が内装されるとともに弾性変形可能な外容器を備える容器本体と、容器本体の口部に装着され、内容物を吐出する吐出口が形成された吐出キャップと、吐出キャップに着脱自在に配設されたオーバーキャップと、を備える構成が知られている。
また、外容器には、内容器との間に外気が吸入される吸気孔が形成され、吐出キャップには、吸気孔と外部との連通及び遮断を切り替える空気弁と、吐出口と内容器の内部とを連通する連通路と、連通路を吐出口側から開閉自在に閉塞する吐出弁と、吐出弁に連結され、内容器の内圧変動により弾性変形して吐出弁を作動させ連通路を開閉させる弾性連結片と、が備えられている。
【0003】
この吐出容器においては、容器本体の内容器に収容された内容物を吐出させる際、容器本体の外容器をスクイズ変形(弾性変形)させる。これにより、内容器が外容器とともに変形して減容される。そして、この減容変形に伴い内容器の内圧が正圧となり、この正圧によって弾性連結片が弾性変形するとともに吐出弁が内容器の内部から吐出口側へ向けて開けられ、連通路が開放される。これにより、内容器に収容された内容物が、連通路を通って吐出口から吐出される。
【0004】
その後、内容器の内圧が低下すると、弾性連結片が弾性復元力により復元変形して吐出弁が閉じられ、連通路が閉塞されて内容器が密封され、さらに前述したスクイズ変形を解除すると、外容器は復元変形しようとする。このとき、外容器と内容器との間に発生した負圧が吸気孔を通して空気弁に作用することにより、この空気弁が作動して吸気孔と外部とが連通され、該吸気孔から外気が外容器と内容器との間に吸入される。
外気が吸入されることにより、外容器と内容器との間の内圧が大気圧まで上昇すると、空気弁が復元変形して吸気孔と外部とを遮断する。このように、外容器と内容器との間に外気が吸入されることにより、内容器の減容形状が保持される。
【0005】
この状態から、再び容器本体の外容器をスクイズ変形させると、空気弁は遮断状態とされていることから外容器と内容器との間の内圧が正圧となり、この正圧によって内容器が減容変形される。内容器が減容変形されることにより、前述同様の作用が得られ、内容物が吐出される。
このように、スクイズ変形された外容器が復元変形しても、内容器は内容物の減少とともに減容されていき、しかも内容器の内部に外気が流入することが防止されている。これにより、内容物の劣化が防止されて、保存性が高められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−59131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の吐出容器では、内容物の吐出が繰り返されるうちに、吐出弁を作動させる弾性連結片が劣化して次第に復元変形されにくくなり、該吐出弁が連通路を閉塞できなくなるおそれがあった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、吐出弁が繰り返し作動しても、該吐出弁が連通路を確実に閉塞して、安定してシール性を確保できるとともに、内容物の劣化を防止できる吐出容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の吐出容器は、内容物が収容されるとともに内圧の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器、及び、前記内容器が内装されるとともに弾性変形可能な外容器を備える容器本体と、前記容器本体の口部に装着され、前記内容物を吐出する吐出口が形成された吐出キャップと、前記吐出キャップに着脱自在に配設されたオーバーキャップと、を備え、前記外容器には、前記内容器との間に外気が吸入される吸気孔が形成され、前記吐出キャップには、前記吸気孔と外部との連通及び遮断を切り替える空気弁と、前記吐出口と前記内容器の内部とを連通する連通路と、前記連通路を前記吐出口側から開閉自在に閉塞する吐出弁と、前記吐出弁に連結され、前記内容器の内圧変動により弾性変形して該吐出弁を作動させ該連通路を開閉させる弾性連結片と、が備えられ、前記オーバーキャップは、前記吐出弁を前記内容器の内部側へ向けて押下する押下部を備えることを特徴とする。
【0010】
この発明に係る吐出容器では、容器本体の内容器に収容された内容物を吐出させる際、容器本体の外容器をスクイズ変形(弾性変形)させる。これにより、内容器が外容器とともに変形して減容される。そして、この減容変形に伴い内容器の内圧が正圧となり、この正圧によって弾性連結片が弾性変形するとともに吐出弁が連通路から吐出口側へ向けて離間して、連通路が開放される。これにより、内容器に収容された内容物が、連通路を通って吐出口から吐出される。
【0011】
その後、内容器の内圧が低下すると、弾性連結片が弾性復元力により復元変形して吐出弁が閉じられ、連通路が閉塞されて内容器が密封され、さらに前述したスクイズ変形を解除すると、外容器は復元変形しようとする。このとき、外容器と内容器との間に発生した負圧が吸気孔を通して空気弁に作用することにより、この空気弁が作動して吸気孔と外部とが連通され、該吸気孔から外気が外容器と内容器との間に吸入される。
外気が吸入されることにより、外容器と内容器との間の内圧が大気圧まで上昇すると、空気弁が復元変形して吸気孔と外部とを遮断する。このように、外容器と内容器との間に外気が吸入されることにより、内容器の減容形状が保持される。
【0012】
この状態から、再び容器本体の外容器をスクイズ変形させると、空気弁は遮断状態とされていることから外容器と内容器との間の内圧が正圧となり、この正圧によって内容器が減容変形される。内容器が減容変形されることにより、前述同様の作用が得られ、内容物が吐出される。
吐出後は、オーバーキャップを吐出キャップに装着する。
【0013】
従来では、このように吐出が繰り返されるうち、吐出弁を作動させる弾性連結片が復元変形されにくくなるおそれがあったが、本発明では、オーバーキャップに押下部が設けられ、該押下部が吐出弁を内容器の内部側へ向けて押下するので、吐出弁が確実に復元変位して、連通路を閉塞できる。
【0014】
すなわち、内容物を吐出した後、オーバーキャップを吐出キャップに装着する際、該オーバーキャップの押下部が吐出弁を押し下げて連通路を確実に閉めるので、シール性が確保される。これにより、内容器に収容される内容物の劣化が確実に防止される。
【0015】
また、本発明に係る吐出容器において、前記吐出弁は、前記連通路の開口周縁部に当接及び離間する開閉部と、前記開閉部から前記吐出口側へ向けて突出する突起部と、を備え、前記押下部は、前記突起部に前記吐出口側から当接することとしてもよい。
【0016】
この場合、オーバーキャップの押下部と吐出弁の突起部とが互いに当接する位置は、該吐出弁の開閉部よりも上方(オーバーキャップ側)へ離間される。これにより、下記の効果が得られる。
【0017】
すなわち、吐出弁の開閉部には、吐出後に内容物が残留・付着しやすく、該内容物が乾燥して固着することがある。このような開閉部に押下部が当接すると、内容物の前述の固着により、吐出弁と押下部とが互いに接着するおそれがある。この状態のまま、オーバーキャップを吐出キャップから取り外すと、該オーバーキャップの押下部が吐出弁を引き上げてしまうとともに、該吐出弁に連結された弾性連結片が破断(損傷)されるおそれがある。
一方、本発明によれば、吐出弁の突起部とオーバーキャップの押下部とが互いに当接する位置が、開閉部よりも上方へ離間されているので、内容物の固着によって突起部と押下部とが互いに接着状態となることが防止されているとともに、弾性連結片の破断が防止される。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る吐出容器によれば、吐出弁が繰り返し作動しても、該吐出弁が連通路を確実に閉塞して、安定してシール性を確保できるとともに、内容物の劣化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る吐出容器の要部を示す側断面図である。
【図2】図1の吐出容器の吐出口から内容物を吐出する状態を説明する図である。
【図3】図1の吐出容器における内容物の吐出後の状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る吐出容器について説明する。
図1に示すように、吐出容器1は、内容物が収容されるとともに内圧の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器2、及び、内容器2が内装されるとともに弾性変形可能な外容器3を備える容器本体4と、容器本体4の口部4aに装着され、内容物を吐出する吐出口13が形成された吐出キャップ24と、吐出キャップ24に着脱自在に配設されたオーバーキャップ6と、を備えている。
【0021】
ここで、容器本体4は有底筒状に形成され、オーバーキャップ6は有頂筒状に形成され、これら4、6が共通軸と同軸に配置されている。
以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿ってオーバーキャップ6側を上側、容器本体4の底部側を下側といい、また容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸Oを中心に周回する方向を周方向という。
【0022】
図示の例では、容器本体4は、内容器2が外容器3の内面に剥離可能に積層されたいわゆるデラミボトルとなっている。
容器本体4の口部4aは、上側に位置する上筒部7と、下側に位置し上筒部7よりも大径に形成された下筒部8と、を備える二段筒状に形成されている。
【0023】
上筒部7のうち、外容器3で構成された部分(以下、外上筒部という)7aの外周面に嵌合凸部7bが形成されている。また、外上筒部7aにおいて、嵌合凸部7bより下側に位置する部分には、内容器2との間に外気が吸入される吸気孔7cが形成されている。嵌合凸部7bにおいて吸気孔7cの上側に位置する部分には、上下方向に延びる溝7eが形成されている。
【0024】
外上筒部7aの内周面は平滑な円筒面とされ、この内周面に、上筒部7のうち、内容器2で構成された部分(以下、内上筒部という)7dが積層されている。また、内上筒部7dの上端部は、径方向の外側に折り返されて外上筒部7aの上端開口縁上に配置されている。
容器本体4は、例えば、共押出し成形した二層構造のパリソンをブロー成形することにより成形され、外容器3はポリエチレン樹脂製とされるとともに、内容器2はポリエチレン樹脂に対して相溶性のないポリアミド系の合成樹脂製とされている。
【0025】
また、吐出キャップ24は、内筒体9と、外筒体5と、弁筒体17と、を備えている。
内筒体9は、天壁部9a及び周壁部9bを備える有頂筒状に形成され、天壁部9aから上方に向けて連通筒10が立設されている。
【0026】
内筒体9の周壁部9bは、容器本体4の口部4a内に嵌合されている。また、周壁部9bにおける上下方向の中央部には、径方向外方に向けて突設されるとともに周方向に沿って延びる環状の鍔部9cが形成されている。鍔部9cは、口部4aの上端開口縁に上側から当接している。
また、鍔部9cの外縁部には、嵌合筒部9dが上方に向けて突設されている。嵌合筒部9dの下端部には、径方向に貫通し、かつ、下方に向けて開口する外気流通孔9eが周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0027】
連通筒10の内側は、上端が後述する吐出筒11内に連通可能で、かつ、下端が容器本体4の口部4a内に連通する連通路25となっている。連通筒10の上端には、径方向内方に向けて突出されるとともに周方向に沿って延びる環状の吐出弁受け部10aが設けられている。
【0028】
外筒体5は、天壁部5a及び周壁部5bを備える有頂筒状に形成され、天壁部5aには吐出筒11が貫設されている。吐出筒11の上端開口は、前記吐出口13とされている。
外筒体5の周壁部5bの内周面には、容器本体4の口部4aの嵌合凸部7bにアンダーカット嵌合する嵌合凸部5cが形成されている。また、周壁部5bの下端部内に、口部4aの下筒部8が気密状態で嵌合されている。これにより、吸気孔7cが、外筒体5の周壁部5bの下側からこの吐出容器1の外部と連通することが防止されている。
【0029】
さらに外筒体5には、連通路25を上側(吐出口13側)から開閉自在に閉塞する吐出弁15と、吐出弁15に連結され、内容器2の内圧変動により弾性変形して吐出弁15を作動させ連通路25を開閉させる弾性連結片16と、が備えられている。
【0030】
外筒体5の天壁部5aには、下方へ向けて突設されるとともに周方向に沿って延びる環状の空気弁受け筒18が形成されている。また、天壁部5aにおいて空気弁受け筒18と該空気弁受け筒18よりも径方向外方に位置する後述の嵌合筒26との間に位置する部分には、外気流入孔5dが形成されている。
【0031】
また、吐出筒11のうち、天壁部5aよりも下側に位置する下側部分11aの内径は、上側に位置する上側部分11bの内径よりも大きくなっていて、下側部分11aの内周面と上側部分11bの内周面との間に段部11cが形成されている。吐出筒11の下側部分11aは、連通筒10に外嵌されており、段部11cは、連通筒10の上端外縁部に上側から当接している。
【0032】
吐出筒11の上端開口縁のうちの一部は、他の部位よりも上方に突出しているとともに、上方へ向かうに従い漸次径方向外方へ向かって傾斜するリップ部11dとされている。
また、吐出筒11の上側部分11bにおける下端部には、径方向内方に向けて突設されるとともに周方向に間隔をあけて形成された複数の弾性連結片16を介して、円板状の吐出弁15が連結されている。隣り合う弾性連結片16同士の間には周方向に隙間が形成されており、該隙間には内容物が流通するようになっている。
【0033】
吐出弁15の外縁部は、連通筒10の吐出弁受け部10aの内縁部に上側から当接しており、これにより連通路25が閉塞されている。また、弾性連結片16が弾性変形することにより、吐出弁15は上方(吐出口13側)へ向けて変位可能とされているとともに連通路25が開放するようになっている。
また、吐出弁15は、連通路25の開口周縁部(吐出弁受け部10aの内縁部)に当接及び離間する円板状の開閉部14と、開閉部14から上方へ向けて突出する円柱状の突起部19と、を備えている。図示の例では、突起部19は開閉部14よりも小径とされている。
【0034】
弁筒体17は、外筒体5の周壁部5bの上端部内に嵌合された嵌合筒26と、嵌合筒26の下端部から径方向内方へ向けて突設されるとともに周方向に沿って延びる環状をなし、弾性変形可能とされて吸気孔7cと外部との連通及び遮断を切り替える空気弁12と、を備えている。空気弁12の内縁部には、上方へ向けて突出されるとともに周方向に沿って延びる環状の突部12aが形成されている。また、周壁部5bの上端部内における弁筒体17の下側には、前記嵌合筒部9dが嵌合されている。
空気弁12の突部12aは、空気弁受け筒18に下側から当接しているとともに、空気弁12の弾性変形によって下側へ向けて離間可能とされている。
【0035】
オーバーキャップ6は、天壁部6a及び周壁部6bを備える有頂筒状に形成され、天壁部6aには下方に向けて栓筒20が突設されている。栓筒20の下端部は、吐出筒11の上端部内に嵌合されており、これにより吐出口13が閉塞されている。
【0036】
また、オーバーキャップ6は、吐出弁15を下方(内容器2の内部側)へ向けて押下する押下部21を備えている。押下部21は、オーバーキャップ6の天壁部6aに下方に向けて突設されているとともに、栓筒20の径方向内方に配置されている。図示の例では、押下部21は、径方向に沿う横断面形状が十字状をなし、上下方向に沿って延びる柱状に形成されている。押下部21は、吐出弁15の突起部19に上方から当接している。
【0037】
また、オーバーキャップ6の周壁部6bの下端部と吐出キャップ24の周壁部5bの上端部とを連結するヒンジ22が設けられている。ヒンジ22は、容器軸Oを径方向に挟むリップ部11dの反対側に配置されている。オーバーキャップ6の周壁部6bの下端部において、容器軸Oを径方向に挟むヒンジ22の反対側には、径方向外方に向かって開閉操作片23が突設されている。
【0038】
以上説明した本実施形態に係る吐出容器1によれば、下記の作用効果を奏する。
この吐出容器1では、容器本体4の内容器2に収容された内容物を吐出させる際、開閉操作片23を操作してオーバーキャップ6を開け、図2に示すように、吐出口13が下方に向くような吐出姿勢とした状態で、容器本体4の外容器3をスクイズ変形(弾性変形)させる。これにより、内容器2が外容器3とともに変形して減容される。そして、この減容変形に伴い内容器2の内圧が正圧となり、この正圧によって弾性連結片16が弾性変形するとともに吐出弁15が連通路25から上方へ向けて離間して、連通路25が開放される。これにより、内容器2に収容された内容物が、連通路25を通って吐出口13から吐出される。
【0039】
その後、内容器2の内圧が低下すると、弾性連結片16が弾性復元力により復元変形して吐出弁15が閉じられ、連通路25が閉塞されて内容器2が密封され、さらに前述したスクイズ変形を解除すると、外容器3は復元変形しようとする。このとき、外容器3と内容器2との間に発生した負圧が吸気孔7cを通して空気弁12に作用することにより、この空気弁12が吸気孔7c側へ向けて開いて吸気孔7cと外部とが連通され、外気が外気流入孔5d、外気流通孔9e、及び、溝7eを通して吸気孔7cから外容器3と内容器2との間に吸入される。
外気が吸入されることにより、外容器3と内容器2との間の内圧が大気圧まで上昇すると、空気弁12が復元変形して吸気孔7cと外部とを遮断する。このように、外容器3と内容器2との間に外気が吸入されることにより、内容器2の減容形状が保持される。
【0040】
この状態から、再び容器本体4の外容器3をスクイズ変形させると、空気弁12は遮断状態とされていることから外容器3と内容器2との間の内圧が正圧となり、この正圧によって内容器2が減容変形される。内容器2が減容変形されることにより、前述同様の作用が得られ、内容物が吐出される。
吐出後は、図3に示すように、開閉操作片23を操作してオーバーキャップ6を閉めるとともに、吐出キャップ24に装着する。
【0041】
従来では、このように吐出が繰り返されるうち、吐出弁を作動させる弾性連結片が復元変形されにくくなるおそれがあったが、本発明では、オーバーキャップ6に押下部21が設けられ、該押下部21が吐出弁15を下方へ向けて押下するので、吐出弁15が確実に復元変位して、連通路25を閉塞できる。
【0042】
すなわち、内容物を吐出した後、オーバーキャップ6を吐出キャップ24に装着する際、該オーバーキャップ6の押下部21が吐出弁15を押し下げて連通路25を確実に閉めるので、シール性が確保される。これにより、内容器2に収容される内容物の劣化が確実に防止される。
【0043】
また、吐出弁15には、上方へ向けて突出する突起部19が形成され、図3に示すように、オーバーキャップ6を閉めたときに、押下部21は突起部19に上側から当接するようにされている。従って、オーバーキャップ6の押下部21と吐出弁15の突起部19とが互いに当接する位置は、該吐出弁15の開閉部14よりも上方へ離間される。これにより、下記の効果が得られる。
【0044】
すなわち、吐出弁15の開閉部14には、吐出後に内容物が残留・付着しやすく、該内容物が乾燥して固着することがある。例えば、このような開閉部14に押下部21が当接すると、内容物の前述の固着により、吐出弁15と押下部21とが互いに接着するおそれがある。この状態のまま、オーバーキャップ6を吐出キャップ24から取り外すと、該オーバーキャップ6の押下部21が吐出弁15を引き上げてしまうとともに、該吐出弁15に連結された弾性連結片16が破断(損傷)されるおそれがある。
一方、本実施形態によれば、吐出弁15の突起部19とオーバーキャップ6の押下部21とが互いに当接する位置が、開閉部14よりも上方へ離間されているので、内容物の固着によって突起部19と押下部21とが互いに接着状態となることが防止されているとともに、弾性連結片16の破断が防止される。
【0045】
また、図3において、オーバーキャップ6の栓筒20が吐出筒11内に嵌合されることにより、吐出口13が閉塞されている。これにより、開閉部14の周囲に内容物が残ったとしても、該内容物の乾燥が防止されて、弾性連結片16の劣化が抑制される。また、内容器2の内部のシール性がより高められる。
【0046】
尚、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0047】
例えば、前述の実施形態では、吐出筒11の内周面に、周方向に間隔をあけて複数の弾性連結片16が設けられていることとしたが、弾性連結片16の数量は限定されるものではない。すなわち、弾性連結片16の数量は、単数、2つ、或いは3つ以上であってもよい。
【0048】
また、前述の実施形態における容器本体4は、内容器2が外容器3の内面に剥離可能に積層されたいわゆるデラミボトルであるとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、内容器2と外容器3とが別体に形成された二重容器であってもよい。
【0049】
また、吐出キャップ24の外筒体5の嵌合凸部5cが、容器本体4の口部4aの嵌合凸部7bにアンダーカット嵌合することとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、これら嵌合凸部5c、7bを用いる代わりに、例えば外筒体5に雌ねじ部、口部4aに雄ねじ部を形成してこれらを螺合することにより、吐出キャップ24を口部4aに装着することとしてもよい。
【0050】
また、前述したオーバーキャップ6は、ヒンジ22を中心に回動して吐出キャップ24に着脱自在に配設されるヒンジ式キャップであるが、これに限定されるものではなく、例えば、オーバーキャップ6は、螺合により吐出キャップ24に着脱自在に配設されるねじ式キャップや、押し込み操作により吐出キャップ24に着脱自在に配設される打栓式キャップであってもよい。
【0051】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 吐出容器
2 内容器
3 外容器
4 容器本体
4a 口部
6 オーバーキャップ
7c 吸気孔
12 空気弁
13 吐出口
14 開閉部
15 吐出弁
16 弾性連結片
19 突起部
21 押下部
24 吐出キャップ
25 連通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容されるとともに内圧の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器、及び、前記内容器が内装されるとともに弾性変形可能な外容器を備える容器本体と、
前記容器本体の口部に装着され、前記内容物を吐出する吐出口が形成された吐出キャップと、
前記吐出キャップに着脱自在に配設されたオーバーキャップと、を備え、
前記外容器には、前記内容器との間に外気が吸入される吸気孔が形成され、
前記吐出キャップには、
前記吸気孔と外部との連通及び遮断を切り替える空気弁と、
前記吐出口と前記内容器の内部とを連通する連通路と、
前記連通路を前記吐出口側から開閉自在に閉塞する吐出弁と、
前記吐出弁に連結され、前記内容器の内圧変動により弾性変形して該吐出弁を作動させ該連通路を開閉させる弾性連結片と、が備えられ、
前記オーバーキャップは、前記吐出弁を前記内容器の内部側へ向けて押下する押下部を備えることを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
請求項1に記載の吐出容器であって、
前記吐出弁は、
前記連通路の開口周縁部に当接及び離間する開閉部と、
前記開閉部から前記吐出口側へ向けて突出する突起部と、を備え、
前記押下部は、前記突起部に前記吐出口側から当接することを特徴とする吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−246182(P2011−246182A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123155(P2010−123155)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】