説明

吐出容器

【課題】内容物の吐出後、内容器に戻されなかった内容物が吐出口から漏出するのを抑制すること。
【解決手段】内容物が収容される内容器11、および該内容器11が内装されるとともに該内容器11との間に外気を吸入する吸気孔19が形成された外容器12を有する容器本体13と、該容器本体13の口部13aに装着され、内容物を吐出する吐出口14が形成された吐出キャップ15と、を備え、吐出キャップ15は、口部13aを閉塞する中栓部材21と、該中栓部材21を覆うとともに吐出口14が形成された有頂筒状の本体筒部材23と、を備え、中栓部材21には、吐出口14と内容器11内とを連通する連通孔43が形成され、連通孔43内には、当該連通孔43の軸線O方向に沿って摺動可能に嵌合され、軸線O方向に沿って弾性変位して当該連通孔43を開閉する弁体部44が配設されている吐出容器10を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1に記載されたような吐出容器が知られている。この吐出容器は、内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器、および該内容器が内装されるとともに該内容器との間に外気を吸入する吸気孔が形成された外容器を有する容器本体と、該容器本体の口部に装着され、内容物を吐出する吐出口が形成された吐出キャップと、外部と吸気孔とを連通する外気導入孔と、該外気導入孔と吸気孔との連通およびその遮断を切り替える空気弁部と、を備えている。前記吐出キャップは、有頂筒状の本体筒部材と、該本体筒部材内に連通する注出筒と、本体筒部材内および注出筒内の連通およびその遮断を切り替える逆止弁と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−231280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の吐出容器では、内容器内の内容物を吐出した後、逆止弁が作動することにより内容器に戻されず注出筒内に残存した内容物が、吐出口から漏出してしまうおそれがあった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、内容物の吐出後、内容器に戻されなかった内容物が吐出口から漏出するのを抑制することができる吐出容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る吐出容器は、内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器、および該内容器が内装されるとともに該内容器との間に外気を吸入する吸気孔が形成された外容器を有する容器本体と、該容器本体の口部に装着され、内容物を吐出する吐出口が形成された吐出キャップと、外部と前記吸気孔とを連通する外気導入孔と、該外気導入孔と前記吸気孔との連通およびその遮断を切り替える空気弁部と、を備える吐出容器であって、前記吐出キャップは、前記口部を閉塞する中栓部材と、該中栓部材を覆うとともに前記吐出口が形成された有頂筒状の本体筒部材と、を備え、前記中栓部材には、前記吐出口と前記内容器内とを連通する連通孔が形成され、前記連通孔内には、当該連通孔の軸線方向に沿って摺動可能に嵌合され、前記軸線方向に沿って弾性変位して当該連通孔を開閉する弁体部が配設されていることを特徴とする。
【0007】
この発明では、当該吐出容器から内容物を吐出するときには、例えば、吐出口が下方を向くように吐出容器を傾けて吐出姿勢にし、吐出容器をその径方向の内側に押し込んで内容器内の圧力を上昇させることで、内容器内の内容物に弁体部を押圧させる。すると弁体部が、前記軸線方向に沿って内容器の外側に向けて弾性変位させられて、連通孔を開放する。これにより、内容器内の内容物が、連通孔および吐出口を通して外部に吐出される。
【0008】
その後、吐出容器を元の正立姿勢に戻しつつ、吐出容器の押し込みを停止、解除することで、内容器内の内容物による弁体部への押圧力を弱めると、弁体部が前記軸線方向に沿って内容器の内側に復元変位する。
このとき、弁体部が連通孔内に進入すると、弁体部が連通孔の内周面に摺接して連通孔が閉塞される。これにより、本体筒部材と中栓部材との間に、内容器に戻されなかった内容物が残存する内空間が形成される。この内空間は、吐出口に連通するとともに弁体部を画壁の一部とし、該弁体部により連通孔との連通が遮断されている。
【0009】
そして、このように内空間が形成された後、該弁体部が復元変位を継続して連通孔内を前記軸線方向に沿って摺動すると、弁体部の復元変位に伴って内空間の内容積が増大することとなる。これにより、吐出口内の内容物を内空間内に引き込むことが可能になり、吐出口内に外部から空気を吸引することができる。
【0010】
以上より、当該吐出容器によれば、内容物の吐出後、吐出口内の内容物を内空間内に引き込んで、吐出口内に外部から空気を吸引することができるので、内容器に戻されなかった内容物が吐出口内に残存するのを抑えることが可能になる。これにより、内容物の吐出後、内容物が吐出口から漏出するのを抑制することができる。
【0011】
また、前記中栓部材は、外周縁部が前記口部の開口端上に配置されるとともに、前記内容器内に開口する貫通孔が貫設された栓本体と、該栓本体から立設されるとともに、内部に前記貫通孔が開口し該内部が前記連通孔とされた連通筒部と、を備え、前記貫通孔は、前記連通孔よりも小径であってもよい。
【0012】
この場合、貫通孔が、連通孔よりも小径なので、弁体部が、意図せずに前記軸線方向に沿った内容器の内側に変位しようとしても、弁体部が、栓本体において連通筒部よりもその径方向の内側に位置する部分に当接することとなり、弁体部の前述の変位を規制することができる。
【0013】
なお、当該吐出容器の未操作時に、弁体部が栓本体に当接している場合には、弁体部により連通孔と貫通孔との連通を遮断することができる。
さらにこの場合、前述のように内容物を吐出して前記内空間が形成された後、弁体部が復元変位するときに、該弁体部に連通孔内を前記軸線方向の全長にわたって摺動させることができる。これにより、内空間の内容積を確実に増大させることが可能になり、前述の作用効果を顕著に奏功させることができる。
尚、本願発明における摺動(摺接)とは、前述の作用効果が奏される範囲であれば、弁体部と連通孔との間に若干の隙間が形成されていてもよい。
【0014】
また、弁体部が、弾性変形する弾性連結片によって、連通筒部と同軸上に配置された筒状部材に連結されていることも好ましい。弾性連結片は、弾性変形することによって、弁体部が軸線方向に沿って変位するのを許容する。
【0015】
この場合、複数の弾性連結片が、連通孔の軸線方向を中心として周方向に等間隔に配置されていることが好ましい。このような吐出容器においては、軸線方向に対して弁体部が傾斜した状態(こじれた状態)とならないようにしながら、当該弁体部が軸線方向に沿って変位するのを許容することができる。
【0016】
さらに、この吐出容器において、弾性連結片は周方向に沿って湾曲していることも好ましい。このような吐出容器によれば、弾性連結片は弁体部と連通筒部と同軸上に配置された筒状部材との間に簡潔に収容された状態となりうる。また、弁体部が軸線方向に沿って変位する際、弾性連結片自体は捻(ねじ)られた状態となり、当該弾性連結片の弾性が、弁体部を変位前の位置へ復元変位させる力として作用する。
【0017】
また、軸線方向に沿って摺動可能な弁体部に当接して当該弁体部の弾性変位量を規制する変位量規制部が、本体筒部材に形成されていることも好ましい。変位量規制部によって、吐出口が閉塞されないように弁体部の最上昇位置(変位限界位置)を定めることができる。
【0018】
また、吐出容器は、前記吐出キャップに着脱可能に装着されたオーバーキャップを備え、該オーバーキャップには、前記吐出口内に着脱可能に嵌合されたシール部が設けられていてもよい。
【0019】
この場合、オーバーキャップにシール部が設けられているので、オーバーキャップを閉じた状態で吐出口から内容物が不意に漏出するのを抑制することができる。
また前述のように、内容物の吐出後、内容器に戻されなかった内容物が吐出口内に残存し難くなっているので、内容物の吐出後にオーバーキャップを吐出キャップに装着させ、シール部を吐出口内に嵌合させたときに、シール部により内容物が吐出口から外部に押し出されたり、シール部に内容物が付着したりするのを抑制することができる。
【0020】
また、このような吐出容器におけるシール部は、オーバーキャップを閉じた被蓋状態のときに弁体部の弾性変位を抑える抑え部として機能することが好ましい。この場合、被蓋状態における弁体部の変位が抑えられ、流通や保管状態において、予期せぬ外力などによって容器本体が押圧された場合においても連通孔の閉塞状態を維持することができる。
【0021】
さらに、シール部が設けられたオーバーキャップを備えている吐出容器にあっては、弁体部の弁座のうち当該弁体部と接触する部位の一部に、内容物の流通を許容する流通許容溝が形成されていることも好ましい。この流通許容溝により、弁体部が弁座に着座した閉塞状態の後も、前記内空間に残留した内容物を内容器内に戻すことができる。また、流通許容溝の大きさは内容物に応じて設定することができ、最終的には表面張力により内容物が該流通許容溝内に留まり、この溝を介した空気の連通を阻止するように設定されている。このため、前記内空間における内容物の残留を少なくすることができ、オーバーキャップを閉じて被蓋状態としてシール部が吐出口に入り込んで嵌合した際にも、当該シール部の体積に応じて内容物を押し出す作用が生じることを回避することができる。したがって、オーバーキャップを閉じて被蓋状態とする際に内容物が溢れてオーバーキャップの内側や吐出キャップが汚れるのを回避することができる。
【0022】
また、前記本体筒部材における前記吐出口の開口周縁部には、内部が該吐出口に連通する補助筒部が、前記連通孔側に向けて突設されていてもよい。
【0023】
この場合、本体筒部材における吐出口の開口周縁部に、内部が該吐出口に連通する補助筒部が、連通孔側に向けて突設されているので、内容物の吐出後、吐出口内に外部の空気が吸引された際、この空気が吐出口から更に連通孔側に向けて引き込まれたときに、空気は補助筒部内に引き込まれることとなる。このように補助筒部内に引き込まれた空気は、該吐出口の軸線方向に深く連通孔側に向けて引き込まれることとなり、吐出口の径方向に拡散し難くなる。
したがって、吐出口内だけでなく補助筒部内に至るまで空気を吸引し、内容物の吐出後、内容器に戻されなかった内容物が吐出口および補助筒部の各内部に残存するのを抑えることにより、内容物が吐出口から漏出するのを効果的に抑制することができる。
【0024】
なお当該吐出容器が、吐出キャップに着脱可能に装着されたオーバーキャップを備え、該オーバーキャップに、吐出口内に着脱可能に嵌合されたシール部が設けられている場合には、前述のように、内容物の吐出後、内容器に戻されなかった内容物が吐出口および補助筒部の各内部に残存するのを抑えることにより、シール部を、吐出口内までではなく、補助筒部内にまで至らせても、シール部により内容物が吐出口から外部に押し出されたり、シール部に内容物が付着したりするのを抑制することができる。
そしてこのように、シール部を補助筒部内にまで至らせて、吐出口および補助筒部の両内部に一体に嵌合させることにより、オーバーキャップを閉じた状態で吐出口から内容物が不意に漏出するのを確実に抑制することができる。
【0025】
また、前記中栓部材は、内部が前記連通孔とされた連通筒部を備え、該連通筒部には、前記弁体部が弾性連結片を介して連結された外嵌筒部が外嵌され、前記弾性連結片は、前記弁体部側から前記外嵌筒部側に向かうに従い漸次、前記軸線方向に沿って前記内容器の外側に向かっていてもよい。
【0026】
この場合、弾性連結片が、弁体部側から外嵌筒部側に向かうに従い漸次、前記軸線方向に沿って内容器の外側に向かっているので、弁体部が、前記軸線方向に沿って内容器の外側に向けて弾性変位したときに、弁体部に対して弾性復元力を効果的に加えることができる。
【0027】
このように、弁体部に対して弾性復元力を効果的に加えることができるので、例えば、吐出容器がその径方向の内側に向けて不意に僅かに押し込まれた場合などに、弁体部が作動するのを抑制することが可能になる。これにより、内容物が誤操作により吐出するのを抑制することができる。
【0028】
また前述のように、弁体部に対して弾性復元力を効果的に加えることができるので、内容物を吐出する際、内容器内の内容物による弁体部への押圧力が弱められたときに、弁体部を前記軸線方向に沿って内容器の内側に円滑に復元変位させることが可能になり、前述の作用効果を確実に奏功させることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る吐出容器によれば、内容物の吐出後、内容器に戻されなかった内容物が吐出口から漏出するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る吐出容器の要部を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す吐出容器を構成する連結体の縦断面図である。
【図3】図2に示す連結体の上面図である。
【図4】図1に示す吐出容器の作用を説明する縦断面図である。
【図5】図1に示す吐出容器の作用を説明する縦断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る吐出容器の変形例における要部を示す縦断面図である。
【図7】図6に示す吐出容器の作用を説明する縦断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る吐出容器の変形例を構成する連結体を示す縦断面図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る吐出容器を構成する連結体などの断面構造の一例を示す斜視図である。
【図10】図9に示す弁体部が弾性変位した状態を示す斜視図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る吐出容器の変形例における要部を示す縦断面図である。
【図12】図11に示す吐出容器の要部の一部を拡大して示す図である。
【図13】(A)本発明の一実施形態に係る中栓部材の斜視図と、(B)該中栓部材の連通筒部に形成された流通許容溝を示す拡大斜視図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る吐出容器の変形例における要部を示す縦断面図である。
【図15】図14に示す弁体部が弾性変位した状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る吐出容器について説明する。
図1に示すように、吐出容器10は、内容物M(図4参照)が収容されるとともに内容物Mの減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器11、および内容器11が内装されるとともに弾性変形可能な外容器12を備える容器本体13と、容器本体13の口部13aに装着され、内容物Mを吐出する吐出口14が形成された吐出キャップ15と、吐出キャップ15に着脱自在に配設されたオーバーキャップ16と、を備えている。
【0032】
ここで、容器本体13は有底筒状に形成され、オーバーキャップ16は有頂筒状に形成され、オーバーキャップ16の被蓋状態において、これらの容器本体13およびオーバーキャップ16の各中心軸が共通軸上に配置されている。以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿ってオーバーキャップ16側を上側、容器本体13の図示しない底部側を下側といい、また容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸Oを中心に周回する方向を周方向という。
【0033】
容器本体13は、内容器11が外容器12の内面に剥離可能に積層されたいわゆるデラミボトルとなっている。該容器本体13は、例えば、共押出し成形した二層構造のパリソンをブロー成形することにより成形される。外容器12は、例えばポリエチレン樹脂製やポリプロピレン樹脂製等とされるとともに、内容器11は、例えば外容器12を形成する樹脂に対して相溶性のないポリアミド系の合成樹脂製やエチレンビニルアルコール共重合樹脂製等とされている。
【0034】
容器本体13の口部13aは、上側に位置する上筒部17と、下側に位置し上筒部17よりも大径に形成された下筒部18と、を備える二段筒状に形成されている。
上筒部17のうち、外容器12で構成された部分(以下、外上筒部という)17aの外周面には雄ねじ部29が形成されている。また、外上筒部17aにおいて、雄ねじ部29より下側に位置する部分には、内容器11との間に外気が吸入される吸気孔19が形成されている。雄ねじ部29において吸気孔19の上側に位置する部分には、容器軸O方向に延在する連通溝20が形成されている。
【0035】
外上筒部17aの内周面は円筒面とされ、この内周面に、上筒部17のうち、内容器11で構成された部分(以下、内上筒部という)17bが積層されている。また、内上筒部17bの上端部は、径方向の外側に折り返されて外上筒部17aの開口端上に配置されている。
【0036】
吐出キャップ15は、容器本体13の口部13aを閉塞する中栓部材21と、該中栓部材21を覆うとともに吐出口14が形成された有頂筒状の本体筒部材23と、を備えている。
中栓部材21は、外周縁部が容器本体13の口部13aの開口端上に配置された栓本体47と、該栓本体47から立設された連通筒部22と、を備えている。
【0037】
栓本体47は、容器本体13の口部13a内に、該口部13aとの間に隙間をあけて配置された有底筒状の内筒部24と、内筒部24の上端から径方向の外側に向けて突設され、容器本体13の口部13aの開口端上に配置されたフランジ部25と、フランジ部25の外周縁から上方に向けて延設された外筒部26と、内筒部24を径方向の外側から囲繞するようにフランジ部25から下方に向けて延設され、容器本体13の口部13a内に液密に嵌合された中間筒部27と、を備えている。
【0038】
これらの内筒部24、フランジ部25、外筒部26および中間筒部27は、容器軸Oと同軸に配設されている。また外筒部26の下端部には、径方向に貫通し、かつ下方に向けて開口する外気流通孔28が形成されている。
【0039】
内筒部24の底壁部には、前記連通筒部22が配設されている。またこの底壁部には、内容器11内および連通筒部22内の双方に開口する貫通孔42が貫設されている。該貫通孔42は、容器軸Oと同軸に配置されるとともに連通筒部22の内径よりも小径であり、貫通孔42の容器軸O方向に沿った大きさは、連通筒部22の容器軸O方向に沿った大きさよりも小さくなっている。
【0040】
本体筒部材23は、容器軸Oと同軸に配置された有頂筒状に形成されている。
本体筒部材23の周壁部23aの内周面には、容器本体13の口部13aの雄ねじ部29に螺着された雌ねじ部30が形成されている。また周壁部23aのうち、雌ねじ部30が形成されたねじ部分よりも下側に位置する下端部内には、容器本体13の口部13aにおける下筒部18が気密状態で嵌合され、前記ねじ部分よりも上側に位置する上端部内には、中栓部材21の外筒部26が嵌合されている。
【0041】
本体筒部材23の天壁部23bは、周壁部23aの上端から径方向の内側に向けて延設された環状の下板部31と、下板部31の内径よりも小径とされ、下板部31よりも上方に配置された上板部32と、下板部31の内周縁と上板部32の外周縁とを連結する連結環部33と、を備えている。これらの下板部31、上板部32および連結環部33は、容器軸Oと同軸に配置されている。
【0042】
連結環部33には、本体筒部材23内と外部とを連通する外気導入孔34が形成されている。また上板部32には、下方に向けて延設され、内径が中栓部材21の内筒部24の内径と同等とされた受け筒部35が形成されている。
さらに上板部32には、内部が前記吐出口14とされた吐出筒36が貫設されている。
【0043】
なお該吐出口14内には、オーバーキャップ16から下方に向けて延設された内シール筒部(シール部)37が嵌合されている。また吐出筒36には、オーバーキャップ16から下方に向けて延設された外シール筒部38が外嵌されている。さらに図示の例では、吐出筒36の軸線は、容器軸Oから径方向にずらされており、容器軸Oを径方向に挟んだ吐出筒36の反対側には、吐出キャップ15とオーバーキャップ16とを連結するヒンジ部39が設けられている。
このように吐出口14の軸線方向は、容器軸O方向と一致している。
【0044】
ここで中栓部材21と本体筒部材23との間には、中栓部材21の連通筒部22に外嵌された外嵌筒部40が配設されている。該外嵌筒部40は、容器軸Oと同軸に配置されており、外嵌筒部40の下端部は、連通筒部22に外嵌されるとともに中栓部材21の内筒部24内に嵌合し、外嵌筒部40の上端部は、本体筒部材23の受け筒部35内に嵌合している。
【0045】
外嵌筒部40の容器軸O方向における中間部分には、径方向の外側に向けて突設された環状の空気弁部41が形成されている。空気弁部41は、受け筒部35と連結環部33との間の空間を下方から覆うように配設されている。空気弁部41は、弾性変形可能とされ、吸気孔19と外気導入孔34との連通およびその遮断を切り替える。
【0046】
また中栓部材21には、吐出口14と内容器11内とを連通する連通孔43が形成されている。連通孔43は、連通筒部22の内部により構成され、容器軸Oと同軸に配置されている。これにより、容器軸O方向と、連通孔43の軸線方向とは一致している。また図示の例では、連通孔43は、吐出口14よりも下側、つまり容器軸O方向に沿った内容器11の内側に位置している。さらに連通孔43の内容積は、吐出口14の内容積よりも大きくなっている。
【0047】
そして本実施形態では、連通孔43内には、容器軸O方向に沿って摺動可能に嵌合され、容器軸O方向に沿って弾性変位して当該連通孔43を開閉する弁体部44が配設されている。
弁体部44は、容器軸Oと同軸に配置された有底筒状に形成され、弁体部44の底面は、中栓部材21における栓本体47のうち、内筒部24の底壁部において連通筒部22よりも径方向の内側に位置する部分に当接している。そして該底面は、貫通孔42の上端開口面上に位置し、貫通孔42と連通孔43との連通を遮断している。
【0048】
また弁体部44の上端は、連通筒部22の上端よりも上側に位置しており、図2および図3に示すように、弁体部44の上端(図9に示す実施形態では、弁体部44のフランジ部44a)には、弁体部44と外嵌筒部40とを連結する弾性連結片45の一端が連結されている。弾性連結片45は、周方向に間隔をあけて複数、図示の例では3つ設けられており、各弾性連結片45は、周方向に沿って湾曲して延在している。また弾性連結片45の両端部の容器軸O方向の位置は同等となっている。
なお弁体部44、外嵌筒部40、弾性連結片45および空気弁部41は一体に成形され、連結体48を構成している。
【0049】
弾性連結片45は、弾性変形することによって、弁体部44が容器軸O方向に沿って変位することを許容する(なお、本明細書では、このように弾性連結片45が弾性変形しつつ弁体部44が変位することを弾性変位と表現している)。弾性連結片45が本実施形態のごとく複数(図示の例では3つ)である場合、これら弾性連結片45は周方向に等間隔に配置されていることが好ましい(図3参照)。このように弾性連結片45が等間隔に配置されていれば、弾性変位するときの弁体部44が、容器軸Oに垂直な面に対して傾斜した状態(こじれた状態)とならないようにして当該弁体部44の円滑な変位を補助することができる(図9、図10等参照)。
【0050】
弁体部44が弾性変位する際、弾性連結片45は、一部に撚(ひね)りが加えられて弾性変形しながら全体として傾斜した状態となる(図10参照)。このとき、弾性連結片45自体は一部が捻(ねじ)られた状態となり、尚かつ状態に応じて全体が伸長した状態となり、当該弾性連結片45の弾性復元力が、弁体部44を変位前の位置へ復元変位(復帰)させる力として作用する。なお、弾性変位あるいは復元変位する際、弁体部44が容器軸Oを中心として周方向(時計回り又は反時計回り)に回転しても差し支えない。
【0051】
また、本実施形態の弾性連結片45は、上述したように周方向に沿って湾曲して延在しており、弁体部44が貫通孔42の上端開口面上に位置した状態(容器軸O方向に沿って内容器11の内側に復元変位した状態)において、当該弁体部44と外嵌筒部40との間(図9における実施形態では、弁体部44のフランジ部44aと外嵌筒部40の内周面との間)の狭い隙間に簡潔に収容された状態となる。
【0052】
次に、以上のように構成された吐出容器10の作用について説明する。
図4に示すように、当該吐出容器10から内容物Mを吐出するときには、まず、吐出キャップ15からオーバーキャップ16を外す。その後、吐出口14が下方を向くように吐出容器10を傾けて吐出姿勢にした状態で、吐出容器10を径方向の内側に押し込んでスクイズ変形(弾性変形)させ、内容器11を外容器12とともに変形させ減容させる。
【0053】
すると、内容器11内の圧力が上昇し、内容器11内の内容物Mが貫通孔42を通して弁体部44を押圧することとなり、弾性連結片45が弾性変形させられて弁体部44が容器軸O方向に沿って内容器11の外側に向けて弾性変位させられて、連通孔43が開放される。これにより、内容器11内の内容物Mが、貫通孔42、連通孔43、外嵌筒部40内および吐出口14を通して外部に吐出される。
【0054】
その後、吐出容器10の押し込みを停止したり解除したりすることで、内容器11内の内容物Mによる弁体部44への押圧力を弱めると、弾性連結片45の弾性復元力により、弁体部44が、容器軸O方向に沿って内容器11の内側に復元変位させられる。
【0055】
このとき図5に示すように、弁体部44が、連通孔43内に進入すると、弁体部44の外周面が連通孔43の内周面に摺接して連通孔43が閉塞される。これにより、本体筒部材23と中栓部材21との間に、内容器11に戻されなかった内容物Mが残存する内空間46が形成される。この内空間46は、吐出口14に連通するとともに弁体部44を画壁の一部とし、該弁体部44により連通孔43との連通が遮断されている。
【0056】
そして、このように内空間46が形成された後、該弁体部44が復元変位を継続して連通孔43内を容器軸O方向に沿って摺動すると、弁体部44の復元変位に伴って内空間46の内容積が増大することとなる。これにより、吐出口14内の内容物Mを内空間46内に引き込むことが可能になり、吐出口14内に外部から空気Aを吸引することができる。
【0057】
ここで、弁体部44により連通孔43が閉塞された状態で容器本体13の押圧を解除すると、内容器11が減容変形したまま外容器12が復元変形しようとする。このとき、内容器11と外容器12との間に負圧が発生し、この負圧が、吸気孔19を通して空気弁部41に作用することにより、空気弁部41が開状態となる。すると、外気導入孔34、外気流通孔28、連通溝20および吸気孔19を通して外容器12と内容器11との間に外気が吸入される。そして、外容器12と内容器11との間の内圧が大気圧まで上昇すると、空気弁部41が復元変形して吸気孔19と外部とを遮断する。これにより、内容物Mの吐出後に内容器11の減容形状が保持される。
この状態から、再び容器本体13の外容器12をスクイズ変形させると、空気弁部41は遮断状態とされていることから外容器12と内容器11との間の内圧が正圧となり、この正圧によって内容器11が減容変形され、前述の作用により内容物Mが吐出される。
【0058】
なお、内容物Mを吐出した後、弁体部44により連通孔43が閉塞される前に、吐出容器10の押し込みを停止するだけでなく解除もした場合、内容器11が外容器12に追従して復元変形しようとする。すると、内容器11内の圧力が低下し負圧が生じることとなり、この負圧が弁体部44に作用することで、弁体部44が、容器軸O方向に沿って内容器11の内側に向けて円滑に復元変位させられることとなる。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係る吐出容器10によれば、内容物Mの吐出後、吐出口14内の内容物Mを内空間46内に引き込んで、吐出口14内に外部から空気Aを吸引することができるので、内容器11に戻されなかった内容物Mが吐出口14内に残存するのを抑えることが可能になる。これにより、内容物Mの吐出後、内容物Mが吐出口14から漏出するのを抑制することができる。
【0060】
また、貫通孔42が、連通孔43よりも小径なので、弁体部44が、意図せずに前記軸線方向に沿った内容器11の内側に変位しようとしても、弁体部44が、栓本体47において連通筒部22よりも径方向の内側に位置する部分に当接することとなり、弁体部44の前述の変位を規制することができる。
【0061】
また本実施形態のように、当該吐出容器10の未操作時に、弁体部44が栓本体47に当接している場合には、弁体部44により連通孔43と貫通孔42との連通を遮断することができる。
さらにこの場合、前述のように内容物Mを吐出して前記内空間46が形成された後、弁体部44が復元変位するときに、該弁体部44が、連通孔43内を容器軸O方向の全長にわたって摺動することができる。これにより、内空間46の内容積を確実に増大させることが可能になり、前述の作用効果を顕著に奏功させることができる。
【0062】
また、オーバーキャップ16に内シール筒部37が設けられているので、オーバーキャップ16を閉じた状態で吐出口14から内容物Mが不意に漏出するのを抑制することができる。
また前述のように、内容物Mの吐出後、内容器11に戻されなかった内容物Mが吐出口14内に残存し難くなっているので、内容物Mの吐出後にオーバーキャップ16を吐出キャップ15に装着させ、内シール筒部37を吐出口14内に嵌合させたときに、内シール筒部37により内容物Mが吐出口14から外部に押し出されたり、内シール筒部37に内容物Mが付着したりするのを抑制することができる。
【0063】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、図6に示す吐出容器50のように、吐出口14を容器軸Oと同軸に配置してもよい。さらに、吐出口14の軸線が容器軸Oに対して傾斜していてもよい。
【0064】
また図6に示す吐出容器50のように、本体筒部材23における吐出口14の開口周縁部に、内部が該吐出口14に連通する補助筒部51が、連通孔43側に向けて突設されていてもよい。該補助筒部51は、容器軸O方向に沿った連通孔43側である下方に向けて突設されており、該補助筒部51内には、内シール筒部37の下端部37aが嵌合されている。つまり内シール筒部37は、吐出口14および補助筒部51の両内部に一体に嵌合されている。
【0065】
この吐出容器50によれば、本体筒部材23における吐出口14の開口周縁部に、内部が該吐出口14に連通する補助筒部51が、連通孔43側に向けて突設されているので、図7に示すように、内容物Mの吐出後、吐出口14内に外部の空気Aが吸引された際、この空気Aが吐出口14から更に連通孔43側に向けて引き込まれたときに、空気Aは補助筒部51内に引き込まれることとなる。このように補助筒部51内に引き込まれた空気Aは、該吐出口14の軸線方向である容器軸O方向に深く連通孔43側に向けて引き込まれることとなり、吐出口14の径方向に拡散し難くなる。
したがって、吐出口14内だけでなく補助筒部51内に至るまで空気Aを吸引し、内容物Mの吐出後、内容器11に戻されなかった内容物Mが吐出口14および補助筒部51の各内部に残存するのを抑えることにより、内容物Mが吐出口14から漏出するのを効果的に抑制することができる。
【0066】
またこのように、内容物Mの吐出後、内容器11に戻されなかった内容物Mが吐出口14および補助筒部51の各内部に残存するのを抑えることができるので、内シール筒部37を、吐出口14内までではなく、補助筒部51内にまで至らせても、内シール筒部37により内容物Mが吐出口14から外部に押し出されたり、内シール筒部37に内容物Mが付着したりするのを抑制することができる。
そしてこのように、内シール筒部37を補助筒部51内にまで至らせて、吐出口14および補助筒部51の両内部に一体に嵌合させることにより、オーバーキャップ16を閉じた状態で吐出口14から内容物Mが不意に漏出するのを確実に抑制することができる。
【0067】
また前記実施形態では、弾性連結片45の両端部の容器軸O方向の位置は同等となっているものとしたが、これに限られない。例えば図8に示す連結体60のように、弾性連結片45が、弁体部44側から外嵌筒部40側に向かうに従い漸次、容器軸O方向に沿って内容器11の外側に向かっていてもよい。
【0068】
この連結体60を備える吐出容器によれば、弾性連結片45が、弁体部44側から外嵌筒部40側に向かうに従い漸次、容器軸O方向に沿って内容器11の外側に向かっているので、弁体部44が、容器軸O方向に沿って内容器11の外側に向けて弾性変位したときに、弁体部44に対して弾性復元力を効果的に加えることができる。
【0069】
このように、弁体部44に対して弾性復元力を効果的に加えることができるので、例えば、前記吐出容器が径方向の内側に向けて不意に僅かに押し込まれた場合などに、弁体部44が作動するのを抑制することが可能になる。これにより、内容物Mが誤操作により吐出するのを抑制することができる。
【0070】
また前述のように、弁体部44に対して弾性復元力を効果的に加えることができるので、内容物Mを吐出する際、内容器11内の内容物Mによる弁体部44への押圧力が弱められたときに、弁体部44を容器軸O方向に沿って内容器11の内側に円滑に復元変位させることが可能になり、前述の作用効果を確実に奏功させることができる。
【0071】
また前記実施形態では、吐出容器10から内容物Mを吐出するときには、吐出口14が下方を向くように吐出容器10を傾けて吐出姿勢にした状態で、吐出容器10を径方向の内側に押し込んでスクイズ変形させるものとしたが、これに限られるものではない。例えば、単に吐出容器10を傾けて吐出姿勢にすることにより、内容物Mを吐出口14から吐出させる構成としてもよい。この場合、例えば、吐出姿勢時に弁体部44に作用する内容物Mの自重により、弾性連結片45が弾性変形させられる構成を採用することができる。
【0072】
また前記実施形態では、オーバーキャップ16は、吐出キャップ15にヒンジ部39を介して連結されているものとしたが、これに限られるものではなく、吐出キャップ15に着脱可能にアンダーカット嵌合された構成などを採用することもできる。
さらに前記実施形態では、吐出口14内に嵌合される内シール筒部37が筒状であるものとしたが、筒状でなくてもよく、例えば中実のピン状であっても良い。
さらにまた、内シール筒部37、外シール筒部38およびオーバーキャップ16はなくてもよい。
【0073】
また前記実施形態では、弁体部44が、有底筒状に形成されているものとしたが、これに限られるものではない。例えば、中実の塊状や、板状、底壁部を有さない有頂筒状などに形成されていてもよく、吐出口14と内容器11との連通、遮断を切り替えることができれば、その形状は限定されない。
【0074】
また前記実施形態では、連通孔43が、容器軸Oと同軸に配置されているものとしたが、これに限られるものではない。例えば連通孔43の軸線と容器軸Oとが平行で、かつ径方向にずらされていてもよい。また、連通孔43の軸線が容器軸Oに対して傾斜していてもよく、この場合、連通孔内に、その軸線方向に沿って摺動可能に嵌合され、該軸線方向に沿って弾性変位して当該連通孔を開閉する弁体部を配設することができる。
【0075】
さらに前記実施形態では、連通孔43が、連通筒部22の内部により構成されているものとしたが、これに限られるものではなく、例えば連通筒部22が設けられておらず、連通孔43が貫通孔42により構成されていてもよい。この場合、貫通孔内に、その軸線方向に沿って摺動可能に嵌合され、該軸線方向に沿って弾性変位して当該連通孔を開閉する弁体部を配設することができる。
【0076】
また前記実施形態では、吐出キャップ15の本体筒部材23の雌ねじ部30が、容器本体13の口部13aの雄ねじ部29に螺着されることとしたが、これに限定されるものではない。例えば容器本体13の口部13aと本体筒部材23とにそれぞれ嵌合凸部を形成してこれらをアンダーカット嵌合させることにより、吐出キャップ15を口部13aに装着することとしてもよい。
【0077】
また前記実施形態では、吸気孔19が、外上筒部17aに形成され、空気弁部41が、外嵌筒部40の容器軸O方向における中間部分に設けられ、外気導入孔34が、連結環部33に形成されているものとしたが、これに限られない。例えば、吸気孔が、外容器の底部に形成され、該外容器の底部に、外気導入孔が形成された有底筒状体が密封状態で外装され、該有底筒状体に空気弁部が設けられた構成を採用することも可能である。
【0078】
また前記実施形態では、容器本体13は、内容器11が外容器12の内面に剥離可能に積層されたいわゆるデラミボトルであるとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、内容器と外容器とが別体に形成された二重容器であってもよい。
【0079】
また前記実施形態では、オーバーキャップ16から下方に向けて延設された内シール筒部37の具体的形状について言及しなかったが、この内シール筒部37を、オーバーキャップ16を閉じた被蓋状態のときに弁体部44の弾性変位を抑える程度の長さ及び形状とすることも好ましい。例えば図11に示す吐出容器70では、被蓋状態のときに内シール筒部37の端部(下端部37a)が弁体部44の一部に当接するようになっている。弁体部44には、当該内シール筒部37の端部が当接する突出部44bが形成されている(図11参照)。
【0080】
また、前記実施形態のごとくオーバーキャップ16を備える吐出容器10にあっては、オーバーキャップ16を閉じて被蓋状態とする際に内容物Mが溢れるのを回避するための構造を備えていることも好ましい。以下、このような構造について具体例を挙げて説明する(図10等参照)。
【0081】
図10等に示す吐出容器70においては、連通筒部22の環状の上端面が、弁体部44の上端部から径方向外方に突設された環状のフランジ部44aと当接して該弁体部44を受ける弁座(弁押さえ)22aとして機能する。このとき、弁体部44の底面は、栓本体47において連通筒部22よりも径方向の内側に位置する部分に当接しなくてもよい。この弁座22aのうち、当該弁体部44と接触する部位の一部には、内容物Mの流通を許容する流通許容溝22bが形成されていてもよい(図10、図12、図13等参照)。前記流通許容溝22bは、弁体部44が弁座22aに着座した後、前記内空間46に残留した内容物Mを内容器11内に戻し、且つその最終段階において、表面張力により該内容物Mが該流通許容溝22bを閉塞(空気の流通を阻止)する大きさに設定することが好ましい。尚、少なくとも内空間46に残留した内容物の一部が、前記流通許容溝22bによって内容器に戻されるように構成すればよい。
また、流通許容溝22bの具体的な形状や個数も特に限定されない。
【0082】
一般に、オーバーキャップ16を閉じて被蓋状態とする際、前記内空間46に内容物Mが残留している場合には、吐出口14に入り込んで嵌合しようとする内シール筒部37により、内容物Mを押し出す作用が生じうる。しかし、図10等に示す吐出容器において、吐出口14の付近や内空間46に溜まっていた内容物Mは、流通許容溝22bを流通し、貫通孔42を通って内容器11に戻ることができる。したがって、オーバーキャップ16を閉じて被蓋状態とする際、内容物Mが溢れてオーバーキャップ16の内側や吐出キャップ15の表面が汚れるのを回避することができる。
【0083】
また前記実施形態では、弁体部44の弾性変位量を規制することについて特に詳しい説明はしなかったが、例えば本体筒部材23に、当該弁体部44の弾性変位量を規制する変位量規制部(弁ストッパ)23cを形成してもよい(図11、図14、図15参照)。変位量規制部23cは、例えば、有頂筒状である本体筒部材23の天壁部23bの裏面(内部を向く面)において吐出口14の周囲に形成された複数の突起(例えば3箇所)で構成することができる(図11等参照)。
このように、複数の突起によって変位量規制部23cを構成することにより、弁体部44の変位限界位置を制限することができ、当該位置においても吐出口が塞がれることなく、前記突起間から確実に内容物Mを流出させることができる。
【0084】
また前記実施形態では、弾性連結片45によって弁体部44と外嵌筒部40とを連結していたが、これは好適な構成の一例にすぎず、吐出容器10の構成によっては、連通筒部22と同軸上に配置された、外嵌筒部40以外の筒状部材と弁体部44とを連結していてもよい。要は、弾性連結片45によれば弁体部44と該弁体部44を摺動可能に収容する筒状部材とを連結することができるのであって、前記実施形態における外嵌筒部40は当該筒状部材の一例にすぎない。
【0085】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0086】
M 内容物
O 容器軸(軸線)
10、50、70 吐出容器
11 内容器
12 外容器
13 容器本体
13a 口部
14 吐出口
15 吐出キャップ
16 オーバーキャップ
19 吸気孔
21 中栓部材
22 連通筒部
22a 弁座
22b 流通許容溝
23 本体筒部材
23c 変位量規制部
34 外気導入孔
37 内シール筒部(シール部)
41 空気弁部
42 貫通孔
43 連通孔
44 弁体部
45 弾性連結片
47 栓本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器、および該内容器が内装されるとともに該内容器との間に外気を吸入する吸気孔が形成された外容器を有する容器本体と、
該容器本体の口部に装着され、内容物を吐出する吐出口が形成された吐出キャップと、
外部と前記吸気孔とを連通する外気導入孔と、
該外気導入孔と前記吸気孔との連通およびその遮断を切り替える空気弁部と、を備える吐出容器であって、
前記吐出キャップは、前記口部を閉塞する中栓部材と、該中栓部材を覆うとともに前記吐出口が形成された有頂筒状の本体筒部材と、を備え、
前記中栓部材には、前記吐出口と前記内容器内とを連通する連通孔が形成され、
前記連通孔内には、当該連通孔の軸線方向に沿って摺動可能に嵌合され、前記軸線方向に沿って弾性変位して当該連通孔を開閉する弁体部が配設されていることを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
請求項1記載の吐出容器であって、
前記中栓部材は、
外周縁部が前記口部の開口端上に配置されるとともに、前記内容器内に開口する貫通孔が貫設された栓本体と、
該栓本体から立設されるとともに、内部に前記貫通孔が開口し該内部が前記連通孔とされた連通筒部と、を備え、
前記貫通孔は、前記連通孔よりも小径であることを特徴とする吐出容器。
【請求項3】
前記弁体部が、弾性変形する弾性連結片によって、前記連通筒部と同軸上に配置された筒状部材に連結されていることを特徴とする、請求項2に記載の吐出容器。
【請求項4】
複数の前記弾性連結片が、前記連通孔の軸線方向を中心として周方向に等間隔に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の吐出容器。
【請求項5】
前記弾性連結片は周方向に沿って湾曲していることを特徴とする請求項4に記載の吐出容器。
【請求項6】
前記軸線方向に沿って摺動可能な前記弁体部に当接して当該弁体部の弾性変位量を規制する変位量規制部が、前記本体筒部材に形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の吐出容器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の吐出容器であって、
前記吐出キャップに着脱可能に装着されたオーバーキャップを備え、
該オーバーキャップには、前記吐出口内に着脱可能に嵌合されたシール部が設けられていることを特徴とする吐出容器。
【請求項8】
前記シール部は、前記オーバーキャップを閉じた被蓋状態のときに前記弁体部の弾性変位を抑える抑え部として機能することを特徴とする請求項7に記載の吐出容器。
【請求項9】
前記弁体部の弁座のうち当該弁体部と接触する部位の一部に、内容物の流通を許容する流通許容溝が形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−192975(P2012−192975A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153262(P2011−153262)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【出願人】(000004477)キッコーマン株式会社 (212)
【Fターム(参考)】