説明

吐出容器

【課題】内容物を吐出孔から正確な位置に付着させること。
【解決手段】内部に容器本体11が収容され、かつ吐出ヘッド19が固定される外ケース13と、該外ケース13の内部から外部に向けて露出する操作ボタン14と、を備え、該操作ボタン14は、外ケース13に弾性連結片30を介して、容器軸Oに交差する押込み方向に沿って外ケース13の内側に向けて押し込み可能に連結され、該操作ボタン14には、押込み方向に沿った前側に向けて押上げ突片34が突設され、該押上げ突片34には、押込み方向に沿った前側から後側に向かうに従い漸次、下方から上方に向けて延在し、装着キャップ15に該装着キャップ15の下方から当接する押上げ部35が設けられている吐出容器10を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物を吐出孔から吐出して被付着部分に付着させる吐出容器として、従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、内容物が収容される容器本体と、該容器本体内の内容物を吐出する吐出器と、を備える構成が知られている。該吐出器は、容器本体の口部に装着される装着キャップと、装着キャップに上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有する吐出器本体と、ステムの上端部に固定されるとともに、内容物が吐出される吐出孔が頂壁部に形成された有頂筒状の吐出ヘッドと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平6−13053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の吐出容器では、内容物を被付着部分に付着させるときに、吐出ヘッドを容器本体に対して押し下げて内容物を吐出孔から吐出するため、この吐出時に吐出ヘッドが移動することで、内容物を正確な位置に付着させることが困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、内容物を吐出孔から正確な位置に付着させることができる吐出容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る吐出容器は、内容物が収容される容器本体と、該容器本体内の内容物を吐出する吐出器と、を備え、該吐出器は、前記容器本体の口部に装着される装着キャップと、該装着キャップに上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有する吐出器本体と、前記ステムの上端部に固定されるとともに、内容物が吐出される吐出孔が頂壁部に形成された有頂筒状の吐出ヘッドと、を備える吐出容器であって、内部に前記容器本体が収容され、かつ前記吐出ヘッドが固定される外ケースと、該外ケースの内部から外部に向けて露出する操作ボタンと、を備え、該操作ボタンは、前記外ケースに弾性連結片を介して、容器軸に交差する押込み方向に沿って前記外ケースの内側に向けて押し込み可能に連結され、該操作ボタンには、前記押込み方向に沿った前側に向けて押上げ突片が突設され、該押上げ突片には、前記押込み方向に沿った前側から後側に向かうに従い漸次、下方から上方に向けて延在し、前記装着キャップに該装着キャップの下方から当接する押上げ部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
この発明では、操作ボタンを外ケースの内側に向けて押し込むと、弾性連結片が弾性変形しながら、操作ボタンが、押上げ突片とともに押込み方向に沿った前側に移動する。このとき、押上げ突片の押上げ部と、装着キャップと、が互いに摺接した状態で、押上げ突片が押込み方向に沿った前側に移動することとなり、装着キャップが、押上げ部上を摺動して上方に向けて移動する。これにより、装着キャップが、容器本体とともに外ケースの内部でステムおよび吐出ヘッドに対して押し上げられ、容器本体内の内容物が吐出孔から吐出される。
その後、操作ボタンの押し込みを解除すると、ステムに作用する付勢力により、装着キャップが容器本体とともにステムおよび吐出ヘッドに対して押し下げられる。このとき装着キャップが、押上げ突片の押上げ部に摺接しながら下方に移動することで、押上げ突片が、操作ボタンとともに押込み方向に沿った後側に向けて復元移動させられる。またこのとき、弾性連結片が復元変形することで、操作ボタンには弾性連結片の弾性復元力も作用する。
【0008】
以上より、操作ボタンを押し込むことで、内容物を吐出孔から吐出させることができるので、内容物の吐出時に、吐出ヘッドおよび外ケースは上下動させないままにしておくことが可能になり、吐出孔の被付着部分に対する位置を安定させ、内容物を正確な位置に付着させることができる。
また、操作ボタンの押し込みを解除したときに、操作ボタンに、ステムに作用する付勢力と、弾性連結片の弾性復元力と、の両方を作用させながら、操作ボタンを復元移動させることができるので、操作ボタンを円滑に復元移動させることができる。
【0009】
また、前記弾性連結片は、前記外ケース内に設けられた支持部により、前記押込み方向に沿った後側から支持されていてもよい。
【0010】
この場合、弾性連結片が、支持部により押込み方向に沿った後側から支持されているので、操作ボタンを押し込んでいない待機状態で、操作ボタンが外ケースの外部に向けて意図せず大きく張り出すのを抑えることが可能になり、操作ボタンが不用意に押し込まれるのを抑制することができる。
【0011】
また、前記操作ボタンは、前記装着キャップを間に挟むように一対配設されていてもよい。
【0012】
この場合、操作ボタンが、装着キャップを間に挟むように一対配設されているので、両操作ボタンを、それぞれ外ケースの外部から同時に押し込んで、両操作ボタンにおける押上げ突片の各押上げ部上で、装着キャップを同時に摺動させることで、装着キャップの水平方向の位置を安定させた状態で、装着キャップを押し上げることが可能になり、内容物を確実に吐出させることができる。
【0013】
なお、両操作ボタンにおける押上げ突片同士のうちの押上げ部同士がそれぞれ、装着キャップのうち、容器軸を間に挟んで互いに反対側に位置する各部分に当接する場合には、両操作ボタンを同時に押し込んだときに、装着キャップを各押上げ突片により、容器軸を間に挟んだ両側から押し上げることが可能になり、装着キャップを一層安定に押し上げることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る吐出容器によれば、内容物を吐出孔から正確な位置に付着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る吐出容器の部分縦断面図である。
【図2】図1に示す吐出容器の部分縦断面図である。
【図3】図1に示す吐出容器のA−A断面矢視図である。
【図4】図1に示す吐出容器を構成する連結体の斜視図である。
【図5】図1に示す吐出容器の作用を説明するための部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る吐出容器を説明する。
図1および図2に示すように、吐出容器10は、内容物が収容される容器本体11と、該容器本体11内の内容物を吐出する吐出器12と、内部に容器本体11が収容される外ケース13と、該外ケース13の内部から外部に向けて露出する操作ボタン14と、を備えている。該吐出容器10は、例えば内容物としての点鼻剤を鼻孔内に吐出する点鼻容器などとして用いられる。
【0017】
ここで、容器本体11および外ケース13は有底筒状に形成され、これらの容器本体11および外ケース13の各中心軸線は、共通軸上に位置している。以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸Oに沿って外ケース13の底部13a側を下側といい、その反対側を上側という。なお図3に示すように、外ケース13は、容器軸O方向から見た平面視において略長方形状に形成されており、長手幅方向に沿った大きさが、長手幅方向に直交する短手幅方向に沿った大きさよりも大きい形状とされている。
【0018】
図1および図2に示すように、吐出器12は、容器本体11の口部11bに装着される装着キャップ15と、該装着キャップ15に上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステム16を有する吐出器本体17と、ステム16の上端部に固定されるとともに、内容物が吐出される吐出孔18が頂壁部19aに形成された有頂筒状の吐出ヘッド19と、を備えている。該吐出器12は、吐出ヘッド19を押し下げてステム16を下方に移動させ、吐出器本体17を作動させることにより、容器本体11内の内容物を、吐出ヘッド19内を通して吐出孔18から吐出させる。
【0019】
装着キャップ15は、容器軸Oと同軸に配置されるとともに容器軸O方向の両側に開口し容器本体11の口部11bに外装された本体筒部20と、該本体筒部20の外周面に突設された軸部21と、を備えている。
本体筒部20は、下方から上方に向かうに従い漸次、縮径する多段の筒状に形成されており、本体筒部20のうちの下段部が、前記口部11bに外装されている。
図3に示すように、軸部21は、本体筒部20の前記下段部の外周面から、前記短手幅方向に沿って突設されるとともに、容器軸Oを間に挟むように一対配設されている。これらの軸部21同士の容器軸O方向の位置は、互いに同等となっている。
【0020】
図1および図2に示すように、吐出器本体17は、前記ステム16と、装着キャップ15から下方に向けて延在するとともに容器本体11内に収容され、内部にステム16の下端部が上下動自在に配設された図示しないシリンダと、ステム16の下端部に設けられるとともに前記シリンダの内部に上下摺動自在に配設された図示しないピストン部材と、ステム16と前記シリンダとの間に介装されるとともに、ステム16を上方付勢する図示しない付勢部材と、を備えており、本実施形態では吐出器本体17として、いわゆるポンプ機構を採用している。
ステム16は、容器軸Oと同軸に配置され、ステム16の上端部は、本体筒部20の上端から上方に突出している。
【0021】
吐出ヘッド19は、容器軸Oと同軸に配置されるとともに、下端から上端に向かうに従い漸次、縮径しており、例えば前記鼻孔内に挿入容易に構成されている。
吐出ヘッド19の頂壁部19aには、前記吐出孔18が、容器軸Oと同軸に配設されている。また該頂壁部19aには、容器軸Oと同軸に配置され内部が吐出孔18と連通するノズル筒部22が、下方に向けて延設されており、該ノズル筒部22の下端部内には、吐出器本体17のステム16の上端部が嵌合されている。
【0022】
吐出ヘッド19の下端部は、装着キャップ15における本体筒部20のうちの上段部に上下動自在に外挿されており、該下端部には、環状のフランジ部23の内周縁が連結されている。フランジ部23の外周縁は、前記外ケース13の口部13bの開口端縁上に配置されている。またフランジ部23には、外ケース13の口部13b内に嵌合される嵌合筒部24が、下方に向けて延設されており、これにより、外ケース13に吐出ヘッド19が固定されている。
【0023】
なお図示の例では、フランジ部23には、前記長手幅方向に延在するガイド部材25が設けられている。ガイド部材25は、フランジ部23から下方に向けて延設されており、下端縁が前記長手幅方向に沿って延在する板状に形成されている。該ガイド部材25の前記長手幅方向の両端部は、嵌合筒部24の内周面に各別に連結されている。
【0024】
外ケース13の底部13aには、該底部13aの上方から前記容器本体11の底部11aが近接または当接している。また外ケース13の底部13aには、容器軸Oと同軸に配置されるとともに容器本体11よりも大径な筒状に形成された被装着部26が立設されている。
また外ケース13には、該外ケース13を前記長手幅方向に貫通する開口部27が、容器軸Oを前記長手幅方向に挟むように一対配設されている。開口部27は、外ケース13においてその口部13bよりも下方に配設されている。これらの開口部27には、前記操作ボタン14が各別に配設されており、該操作ボタン14は、装着キャップ15を間に挟むように一対配設されている。
【0025】
両操作ボタン14はそれぞれ、外ケース13に弾性連結片30を介して、容器軸Oに直交する押込み方向に沿って外ケース13の内側に向けて押し込み可能に連結されている。なお図示の例では、両操作ボタン14の中心軸線は共通軸上に位置し、両操作ボタン14の各押込み方向は、該共通軸に沿う方向で互いに一致し、前記長手幅方向と平行となっている。
操作ボタン14は、表裏面が押込み方向を向く押圧板部28と、該押圧板部28の外周縁から、押込み方向に沿った前側に向けて突設された補強筒部29と、を備えている。
補強筒部29の周面は、押込み方向に沿って延在しており、補強筒部29は、吐出ヘッド19の前記ガイド部材25に、該ガイド部材25の下方から近接または当接している。
【0026】
弾性連結片30は、表裏面が押込み方向を向きかつ容器軸O方向に沿う板状に形成されている。弾性連結片30の上端部は、操作ボタン14の補強筒部29において、押込み方向に沿った前側に位置する前端部に、該前端部の下方から連結されている。これにより操作ボタン14は、弾性連結片30よりも押込み方向に沿った後側に向けて張り出している。
また弾性連結片30の下端部は、外ケース13の前記被装着部26に装着された装着部材31を介して外ケース13に連結されている。装着部材31は、被装着部26に外嵌された筒状に形成されている。
【0027】
さらに弾性連結片30は、外ケース13内に設けられた支持部32により、押込み方向に沿った後側から支持されている。本実施形態では、弾性連結片30と外ケース13の内周面との間には、押込み方向の隙間33があいており、該隙間33に前記支持部32が配設されている。支持部32は、外ケース13の内周面から、押込み方向に沿った前側に向けて突設されており、容器軸O方向に長い縦リブ状に形成されている。支持部32は、操作ボタン14の補強筒部29に、該補強筒部29の下方から近接または当接しており、支持部32の上端縁は、押込み方向に沿って延在している。なお図示の例では、支持部32の下端は、外ケース13の底部13aに連結されている。
【0028】
そして本実施形態では、操作ボタン14には、押込み方向に沿った前側に向けて押上げ突片34が突設されており、該押上げ突片34には、押込み方向に沿った前側から後側に向かうに従い漸次、下方から上方に向けて延在し、装着キャップ15に該装着キャップ15の下方から当接する押上げ部35が設けられている。
図1および図3に示すように、押上げ突片34は、表裏面が容器軸O方向および押込み方向の両方向に沿って延在する板状に形成されており、装着キャップ15の本体筒部20に対して、前記短手幅方向にずらされた位置に配設されている。
【0029】
図1に示すように、押上げ部35は、押上げ突片34の端縁により構成されており、図示の例では、押上げ突片34のうち、押込み方向に沿った前側に位置する前端部における上端縁により構成されている。押上げ部35は、当該吐出容器10を前記短手幅方向から見た正面視で、容器軸Oを押込み方向に跨るように延在している。また押上げ部35は、装着キャップ15の軸部21に、該軸部21の下方から当接しており、図示の例では、押上げ部35のうち、前記正面視で容器軸Oよりも押込み方向に沿った後側に位置する部分が、装着キャップ15の軸部21に当接している。
【0030】
また図3に示すように、各操作ボタン14には、押上げ突片34が1つずつ設けられており、両操作ボタン14における押上げ突片34同士は、容器軸Oを前記短手幅方向に挟んで互いに反対側に位置するとともに、容器軸O方向の位置が互いに同等となっている。そして、両操作ボタン14における押上げ突片34同士のうちの押上げ部35同士がそれぞれ、装着キャップ15のうち、容器軸Oを間に挟んで互いに反対側に位置する各部分である各軸部21に当接している。
【0031】
なお本実施形態では、図4に示すように、操作ボタン14、押上げ突片34、弾性連結片30、および装着部材31は、一体成形されてなる。これらの操作ボタン14、弾性連結片30および装着部材31からなる連結体36は、直線状に列をなして連結された状態で成形され、その後、操作ボタン14が、弾性連結片30の下端部を起点として、押込み方向に沿った前側に向けて回動された状態で、外ケース13に組み付けられる。
【0032】
次に、以上のように構成された吐出容器10を用いて内容物を吐出するときには、図5に示すように、一対の操作ボタン14を、それぞれ外ケース13の内側に向けて同時に押し込む。すると、弾性連結片30が弾性変形しながら、各操作ボタン14が、押上げ突片34とともに押込み方向に沿った前側に移動する。このとき図示の例では、弾性連結片30が、その下端部を起点として押込み方向に弾性変形するとともに、操作ボタン14が、前記ガイド部材25および前記支持部32にガイドされながら押込み方向に沿って移動させられる。
【0033】
すると、押上げ突片34の押上げ部35と、装着キャップ15の軸部21と、が互いに摺接した状態で、押上げ突片34が押込み方向に沿った前側に移動することとなり、装着キャップ15の軸部21が押上げ部35上を摺動し、装着キャップ15が上方に向けて移動する。これにより、装着キャップ15が、容器本体11とともに外ケース13の内部でステム16および吐出ヘッド19に対して押し上げられ、ステム16が、容器本体11に対して相対的に下方に向けて移動させられる。このとき、ステム16の移動に追従して前記ピストン部材が前記シリンダの内周面に摺接しつつ下方に移動し、該シリンダ内の内容物が圧縮され、ステム16内および吐出ヘッド19の前記ノズル筒部22内を流通して吐出孔18から吐出される。
【0034】
その後、操作ボタン14の押し込みを解除すると、ステム16に作用する付勢力により、装着キャップ15が容器本体11とともにステム16および吐出ヘッド19に対して押し下げられる。このとき、装着キャップ15の軸部21が、押上げ突片34の押上げ部35に摺接しながら、装着キャップ15が下方に移動することで、押上げ突片34が、操作ボタン14とともに押込み方向に沿った後側に向けて復元移動させられる。またこのとき、弾性連結片30が復元変形することで、操作ボタン14には弾性連結片30の弾性復元力も作用する。
【0035】
以上説明したように、本実施形態に係る吐出容器10によれば、操作ボタン14を押し込むことで、内容物を吐出孔18から吐出させることができるので、内容物の吐出時に、吐出ヘッド19および外ケース13は上下動させないままにしておくことが可能になり、吐出孔18の被付着部分に対する位置を安定させ、内容物を正確な位置に付着させることができる。
また、操作ボタン14の押し込みを解除したときに、操作ボタン14に、ステム16に作用する付勢力と、弾性連結片30の弾性復元力と、の両方を作用させながら、操作ボタン14を復元移動させることができるので、操作ボタン14を円滑に復元移動させることができる。
【0036】
また、操作ボタン14が前記補強筒部29を備えており、この補強筒部29により押圧板部28を補強することができるので、操作ボタン14を押し込むときに、例えば操作ボタン14が変形するのを抑制すること等が可能になり、操作ボタン14を安定に押し込むことができる。これにより、内容物の吐出時に吐出容器10の姿勢を安定させ、内容物を一層正確な位置に付着させることができる。
【0037】
また弾性連結片30が、支持部32により押込み方向に沿った後側から支持されているので、操作ボタン14を押し込んでいない待機状態で、操作ボタン14が外ケース13の外部に向けて意図せず大きく張り出すのを抑えることが可能になり、操作ボタン14が不用意に押し込まれるのを抑制することができる。
【0038】
また操作ボタン14が、装着キャップ15を間に挟むように一対配設されているので、図5に示すように、両操作ボタン14を、それぞれ外ケース13の内側に向けて同時に押し込んで、両操作ボタン14における押上げ突片34の各押上げ部35上で、装着キャップ15の両軸部21を同時に摺動させることで、装着キャップ15の水平方向の位置を安定させた状態で、装着キャップ15を押し上げることが可能になり、内容物を確実に吐出させることができる。
【0039】
なお本実施形態のように、両操作ボタン14における押上げ突片34同士のうちの押上げ部35同士がそれぞれ、装着キャップ15のうち、容器軸Oを間に挟んで互いに反対側に位置する各軸部21に当接する場合には、両操作ボタン14を同時に押し込んだときに、装着キャップ15を各押上げ突片34により、容器軸Oを間に挟んだ両側から押し上げることが可能になり、装着キャップ15を一層安定に押し上げることができる。
【0040】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、ガイド部材25はなくてもよい。
また前記実施形態では、操作ボタン14は、装着キャップ15を間に挟むように一対配設されているものとしたが、これに限られるものではなく、操作ボタン14が1つだけ配設されていてもよい。
【0041】
また前記実施形態では、押上げ部35が、押上げ突片34の上端縁により構成されているものとしたが、これに限られない。例えば、押上げ突片34に前記短手幅方向に貫通するとともに、押上げ突片34の押込み方向に沿った前側から後側に向かうに従い漸次、下方から上方に向けて延在する貫通溝が形成され、この貫通溝を画成する端縁が、押上げ部35とされてもよい。
【0042】
また前記実施形態では、両操作ボタン14の中心軸線が共通軸上に位置し、両操作ボタン14の各押込み方向が、該共通軸に沿う方向で互いに一致しているものとしたが、装着キャップ15を間に挟むように一対配設されていれば、これに限られない。例えば、両操作ボタン14の各押込み方向が一致していなくてもよく、また両操作ボタン14の中心軸線が共通軸上に位置していなくてもよい。
【0043】
さらに前記実施形態では、操作ボタン14の押込み方向が、前記長手幅方向と平行であるものとしたが、これに限られず、例えば短手幅方向と平行であってもよい。
さらにまた、前記実施形態では、操作ボタン14の押込み方向が、容器軸Oに直交する方向であるものとしたが、容器軸Oに交差する方向であれば、これに限られない。
【0044】
また前記実施形態では、押上げ部35が、装着キャップ15の軸部21に、軸部21の下方から当接しているものとしたが、これに限られるものではない。例えば装着キャップ15の本体筒部20に、該本体筒部20の下方から当接していてもよい。
さらに前記実施形態では、前記待機状態で、押上げ部35が、装着キャップ15に当接しているものとしたが、操作ボタン14が押し込まれたときに、押上げ部35が装着キャップ15に当接する構成であれば、前記待機状態で、押上げ部35が、装着キャップ15に当接せずに近接していたり、離間していたりしてもよい。
【0045】
さらに前記実施形態では、1つの操作ボタン14に、1つの押上げ突片34が設けられているものとしたが、これに限られるものではない。例えば、1つの操作ボタン14に、複数の押上げ突片34を、容器軸O方向、前記短手幅方向の位置を互いに異ならせて設けることも可能である。特に、操作ボタン14を1つだけ配設した場合、押上げ突片34を、装着キャップ15を間に挟むように操作ボタン14から一対突設させることで、装着キャップ15の安定した押し上げが可能となる。
【0046】
また前記実施形態では、前記隙間33に支持部32が設けられているものとしたが、これに限られるものではない。例えば、弾性連結片30と外ケース13との間に前記隙間33を設けずに、弾性連結片30を、支持部としての外ケース13の内周面により、押込み方向に沿った後側から支持してもよい。
【0047】
また前記実施形態では、操作ボタン14が、押圧板部28と補強筒部29とを備えるものとしたが、これに限られるものではなく、他の構成を適宜採用することが可能である。
さらに前記実施形態では、外ケース13は、前記長手幅方向に沿った大きさが前記短手幅方向に沿った大きさよりも大きくなっているものとしたが、内部に容器本体11が収容され、かつ吐出ヘッド19が固定される構成であれば、適宜変更することが可能である。例えば、外ケース13を、前記平面視で、外形状が真円をなす円筒状に形成してもよい。
さらにまた前記実施形態では、吐出器本体17として、いわゆるポンプ機構を採用したが、これに代えて、例えばエアゾール機構などの他の構造を採用してもよい。
【0048】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 吐出容器
11 容器本体
11b 口部
12 吐出器
13 外ケース
14 操作ボタン
15 装着キャップ
16 ステム
17 吐出器本体
18 吐出孔
19 吐出ヘッド
19a 頂壁部
30 弾性連結片
32 支持部
34 押上げ突片
35 押上げ部
O 容器軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体と、
該容器本体内の内容物を吐出する吐出器と、を備え、
該吐出器は、
前記容器本体の口部に装着される装着キャップと、
該装着キャップに上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有する吐出器本体と、
前記ステムの上端部に固定されるとともに、内容物が吐出される吐出孔が頂壁部に形成された有頂筒状の吐出ヘッドと、を備える吐出容器であって、
内部に前記容器本体が収容され、かつ前記吐出ヘッドが固定される外ケースと、
該外ケースの内部から外部に向けて露出する操作ボタンと、を備え、
該操作ボタンは、前記外ケースに弾性連結片を介して、容器軸に交差する押込み方向に沿って前記外ケースの内側に向けて押し込み可能に連結され、
該操作ボタンには、前記押込み方向に沿った前側に向けて押上げ突片が突設され、
該押上げ突片には、前記押込み方向に沿った前側から後側に向かうに従い漸次、下方から上方に向けて延在し、前記装着キャップに該装着キャップの下方から当接する押上げ部が設けられていることを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
請求項1記載の吐出容器であって、
前記弾性連結片は、前記外ケース内に設けられた支持部により、前記押込み方向に沿った後側から支持されていることを特徴とする吐出容器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の吐出容器であって、
前記操作ボタンは、前記装着キャップを間に挟むように一対配設されていることを特徴とする吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−246045(P2012−246045A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121602(P2011−121602)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】