説明

吐出容器

【課題】内容物を吐出孔から正確な位置に付着させる。
【解決手段】吐出容器1であって、内部に容器本体11が収容され、かつ吐出ヘッド17が固定される外ケース23と、容器本体の口部に装着される装着キャップ14と、外ケースの内部に対して進退自在に配設された操作ボタン24と、連係部材25と、を備え、該連係部材は、操作ボタンの押下突片31b〜31dに該押下突片の下方から当接する被押下部32と、装着キャップに該装着キャップの下方から当接する押上げ部33と、これらの被押下部と押上げ部とを連結する揺動軸部34と、を備えるとともに、操作ボタンが外ケースの内部に向けて押し込まれ、押下突片が被押下部を押下したときに、押上げ部が、装着キャップを容器本体とともにステム15および吐出ヘッドに対して押上げるように揺動軸部回りに揺動自在に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内容物を吐出孔から吐出して被付着部分に付着させる吐出容器として、従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、内容物が収容される容器本体と、容器本体の口部に装着され内容物が吐出される吐出孔が形成された吐出器と、を備え、吐出器は、容器本体の口部に装着される装着キャップと、装着キャップに上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有する吐出器本体と、ステムの上端部に固定されるとともに、頂壁部に前記吐出孔が形成された有頂筒状の吐出ヘッドと、を備える構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平06−13053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の吐出容器では、内容物を被付着部分に付着させるときに、吐出ヘッドを容器本体に対して押し下げ、内容物を吐出孔から吐出するので、この吐出時に吐出ヘッドが移動することにより、内容物を正確な位置に付着させることが困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、内容物を吐出孔から正確な位置に付着させることができる吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の吐出容器は、内容物が収容される容器本体と、該容器本体の口部に装着され内容物が吐出される吐出孔が形成された吐出器と、を備え、該吐出器は、前記容器本体の口部に装着される装着キャップと、該装着キャップに上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有する吐出器本体と、前記ステムの上端部に固定されるとともに、頂壁部に前記吐出孔が形成された有頂筒状の吐出ヘッドと、を備える吐出容器であって、内部に前記容器本体が収容され、かつ前記吐出ヘッドが固定される外ケースと、該外ケース内に向けて突出する押下突片を備えるとともに、該外ケースの内部に対して進退自在に配設された操作ボタンと、該操作ボタンおよび前記装着キャップに連係する連係部材と、を備え、該連係部材は、前記操作ボタンの押下突片に該押下突片の下方から当接する被押下部と、前記装着キャップに該装着キャップの下方から当接する押上げ部と、これらの被押下部と押上げ部とを連結する揺動軸部と、を備えるとともに、前記操作ボタンが前記外ケースの内部に向けて押し込まれ、前記押下突片が前記被押下部を押下したときに、前記押上げ部が、前記装着キャップを容器本体とともに前記ステムおよび吐出ヘッドに対して押上げるように前記揺動軸部回りに揺動自在に配設されていることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、操作ボタンを外ケースの内部に向けて押し込んだときに、連係部材の押上げ部により、装着キャップが外ケースの内部で容器本体とともにステムおよび吐出ヘッドに対して押上げられるので、内容物の吐出時に、吐出ヘッドおよび外ケースは上下動させないままにしておくことにより、吐出孔の被付着部分に対する位置を安定させることが可能になり、内容物を正確な位置に付着させることができる。
また、連係部材が前述のように揺動自在に配設されていることから、押上げ部により装着キャップを容器本体とともにステムおよび吐出ヘッドに対して押上げる際に、操作ボタンに要する押下力を低く抑え易くすることが可能になり、吐出孔の被付着部分に対する位置を確実に安定させることができる。
【0008】
ここで、前記連係部材は、前記押上げ部が水平方向に延在し、かつ前記被押下部が前記押上げ部および揺動軸部から上方に向けて延びるように、該吐出容器の側面視でL字状に形成されてもよい。
【0009】
この場合、連係部材が吐出容器の側面視でL字状に形成されているので、簡易な構成で前述の作用効果を確実に奏功させることができる。
【0010】
また、前記被押下部は、前記側面視で、下方から上方に向かうに従い漸次、水平方向のうち前記押上げ部から離間する離間方向に延在し、該被押下部の上端部には、前記側面視で、前記離間方向と反対側の反対方向に向けて突の曲面をなしつつ膨出する膨出部が形成され、該膨出部は、上方から下方に向かうに従い漸次前記反対方向に向けた突出量が大きくなるように形成され、前記操作ボタンは、前記外ケースの内部に対して容器軸方向に沿って進退自在に配設されるとともに、前記押下突片が、前記膨出部における前記反対方向を向く端縁に摺接するように配設されてもよい。
【0011】
この場合、操作ボタンが、外ケースの内部に対して容器軸方向に沿って進退自在に配設されるとともに、押下突片が、膨出部における前記反対方向を向く端縁に摺接するように配設されているので、操作ボタンを外ケースの内部に対して進退移動させるときに、押下突片と被押下部とを互いに引っ掛けることなくスムーズに摺接させ合うことが可能になり、動作不良の発生を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、内容物を吐出孔から正確な位置に付着させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る一実施形態として示した吐出容器の一部断面側面図である。
【図2】図1に示す吐出容器を左側から見た一部断面側面図である。
【図3】図1に示す吐出容器において、容器本体、装着キャップおよび吐出器本体を二点鎖線で表し、かつ操作ボタンを押下する前の待機状態を示す縦断面図である。
【図4】図3に示す吐出容器の待機状態から操作ボタンを押下した状態を示す縦断面図である。
【図5】図3に示す吐出容器のA−A線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態に係る吐出容器1は、図1から図5に示されるように、内容物が収容される容器本体11と、容器本体11の口部に装着され内容物が吐出される吐出孔12が形成された吐出器13と、を備えている。
容器本体11は、図1に示されるように、口部、肩部11b、胴部11cおよび底部11dを備え、これらが、それぞれの中心軸線を共通軸上に位置させた状態で、この順に連設された概略構成となっている。
【0015】
以下、前記共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿って口部側を上側、底部11d側を下側といい、また、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
口部は、容器軸Oに直交する横断面視形状が円形状に形成されている。口部には雄ねじ部が形成されている。
肩部11b、胴部11cおよび底部11dはそれぞれ、容器軸Oに直交する横断面視形状が長方形状に形成されている。
【0016】
吐出器13は、容器本体11の口部に装着される装着キャップ14と、装着キャップ14に上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステム15を有する吐出器本体16と、ステム15の上端部に固定されるとともに、頂壁部17aに前記吐出孔12が形成された有頂筒状の吐出ヘッド17と、を備えている。
【0017】
装着キャップ14は、有頂筒状の本体部14aと、本体部14aの天壁部から上方に向けて立設された縦筒部14bと、を備えている。
本体部14aの内周面には、容器本体11の口部に螺合する雌ねじ部が形成されている。本体部14aの天壁部は、容器軸Oと同軸に位置する環状に形成され、この天壁部の開口周縁部に縦筒部14bが容器軸Oと同軸に配設されている。縦筒部14bは多段筒状に形成され、下方に位置する部分が上方に位置する部分より大径に形成されている。
【0018】
吐出器本体16は、前記ステム15と、内部にステム15の下部が上下動自在に配設されたシリンダ16aと、ステム15の下部に設けられるとともにシリンダ16a内を上下摺動自在に配設された図示されないピストン部材と、ステム15およびピストン部材を上方に付勢する図示されない付勢部材と、を備えるポンプ機構となっている。
ステム15は、容器軸Oと同軸に配設されるとともに、シリンダ16aから上方に突出して、装着キャップ14の縦筒部14b内に挿通されている。図示の例では、ステム15は、縦筒部14bよりも上方に突出している。シリンダ16aの下端には、容器本体11の底部11dに向けて延びるパイプ16bが連結されている。
【0019】
吐出ヘッド17は、吐出孔12が形成された頂壁部17aを有する有頂筒状のヘッド本体21と、ヘッド本体21内に配設されるとともに、頂壁部17aから下方に向けて延在し、下端開口部がステム15の上端部に連結された連結筒22と、を備えている。
吐出孔12および連結筒22は容器軸Oと同軸に配設されていて、連結筒22は、吐出孔12とステム15内と連通している。頂壁部17aは、少なくともその外周縁部分が上方に向けて突の曲面状に形成されている。連結筒22の下部における内周面には、ステム15の上端開口縁が当接する段部が形成されている。
【0020】
そして本実施形態では、吐出容器1は、内部に容器本体11が収容され、かつ吐出ヘッド17が固定される外ケース23と、外ケース23の内部に対して進退自在に配設された操作ボタン24と、操作ボタン24および装着キャップ14に連係する連係部材25と、を備えている。
【0021】
外ケース23は、容器軸Oと同軸に配設されるとともに、図5に示されるように、上面視長方形状をなす有底筒状に形成され、この長方形状を画成する4つの側壁23a、23b、23c、23dはそれぞれ、径方向の外側に向けて僅かに膨出している。4つの側壁23a〜23dのうち、前述の長方形状の長辺をなす長側壁23a、23bの内面には、第1縦リブ26が突設され、短辺を画成する短側壁23c、23dの内面には、その周方向の中央部に第2縦リブ27が突設されている。第1縦リブ26および第2縦リブ27は、容器軸O方向に沿って延在し、これらの両縦リブ26、27により、容器本体11の胴部11cの外周面が支持されている。第1縦リブ26の長側壁23a、23bの内面からの突出量は、第2縦リブ27の短側壁23c、23dの内面からの突出量よりも大きくなっている。
【0022】
ここで、吐出ヘッド17には、図1〜図4に示されるように、ヘッド本体21の下端部から径方向の外側に張り出すフランジ部28、およびフランジ部28の外周縁から下方に向けて延びる周壁部29を備える有頂筒状の固定筒部30が配設されている。この固定筒部30の周壁部29が、外ケース23の上端部に固定されている。図示の例では、周壁部29における容器軸O方向の中間部に、全周にわたって連続して延びる横突条部29aが径方向の外側に向けて突設されており、この横突条部29aが外ケース23の上端開口縁上に配置された状態で、周壁部29のうち、横突条部29aより下方に位置する部分が外ケース23の上端部内に嵌合されている。固定筒部30は、外ケース23と同様に、上面視長方形状に形成されるとともに、この長方形状における長手方向の両端部には、短手方向および容器軸O方向の双方向に一体に貫き、かつ長手方向に沿う固定筒部30の外側に向けて開口する開口部30aが形成されている。
【0023】
そして、各開口部30a内に操作ボタン24が下降移動自在に配設されている。
操作ボタン24は、図5に示されるように、上面視長方形状の有頂筒状に形成されていて、その周壁部31は、外ケース23内に向けて突出し、かつ一対の長側壁31a、31bと、一対の短側壁31c、31dと、を備えている。そしてこの操作ボタン24は、その上面視において、一対の長側壁31a、31bが、吐出ヘッド17および外ケース23の前記短手方向に沿って延在し、かつ一対の短側壁31c、31dが、吐出ヘッド17および外ケース23の前記長手方向に沿って延在するように配設されている。これら4つの側壁31a〜31dのうち、吐出ヘッド17および外ケース23の前記短手方向に沿って延在し、かつ径方向の内側に位置する内長側壁31aの下端は、図1、図3および図4に示されるように、他の側壁(以下、押下突片という)31b〜31dの下端よりも上方に位置している。操作ボタン24のうち、天面部24aと、押下突片31b〜31dの上端部と、が開口部30aを通して固定筒部30の外部に露出している。
なお、吐出ヘッド17のフランジ部28の内周縁部には、下方に向けて延びる案内筒部17bが、容器軸Oと同軸に配設されており、この案内筒部17bの外面と、操作ボタン24の内長側壁31aの外面と、が互いに近接若しくは当接している。
【0024】
連係部材25は、操作ボタン24の押下突片31b〜31dに該押下突片31b〜31dの下方から当接する被押下部32と、装着キャップ14に該装着キャップ14の下方から当接する押上げ部33と、これらの被押下部32と押上げ部33とを連結する揺動軸部34と、を備えている。
そしてこの連係部材25は、操作ボタン24が外ケース23の内部に向けて押し込まれ、押下突片31b〜31dが被押下部32を押下したときに、押上げ部33が、装着キャップ14を容器本体11とともにステム15および吐出ヘッド17に対して押上げるように揺動軸部34回りに揺動自在に配設されている。
なお、図1から図3に示されるような、操作ボタン24を外ケース23の内部に向けて押し込む前の待機状態では、押下突片31b〜31dと被押下部32とを、並びに装着キャップ14と押上げ部33とを、それぞれ互いに近接させても、あるいは隙間をあけて配設してもよい。
【0025】
本実施形態では、連係部材25は、押上げ部33が水平方向に延在し、かつ被押下部32が押上げ部33および揺動軸部34から上方に向けて延びるように、図1、図3および図4に示されるような該吐出容器1の側面視でL字状に形成されている。
図示の例では、前記側面視において、被押下部32の長さは、押上げ部33の長さより長くなっている。
【0026】
被押下部32は、前記側面視で、下方から上方に向かうに従い漸次、水平方向のうち押上げ部33から離間する離間方向に延在している。この被押下部32の上端部には、前記側面視で、前記離間方向と反対側の反対方向に向けて突の曲面をなしつつ膨出する膨出部32aが形成されている。該膨出部32aは、上方から下方に向かうに従い漸次前記反対方向に向けた突出量が大きくなるように形成され、操作ボタン24は、押下突片31b〜31dが、膨出部32aにおける前記反対方向を向く端縁に摺接するように配設されている。
【0027】
ここで、吐出ヘッド17の固定筒部30には、図2から図4に示されるように、上端がフランジ部28に接続され、かつ下端が周壁部29から下方に突出する板状の支持突片35が配設されており、この支持突片35の下端部に下方に向けて開口する孔部35aが形成されている。
この孔部35aと、第1縦リブ26の上端縁と、は容器軸O方向で対向しており、両者間に揺動軸部34が挟まれ回転自在に支持されている。
装着キャップ14の本体部14aの下端部には、径方向の外側に向けて張り出した被押上げ部14cが配設されており、連係部材25の押上げ部33は、被押上げ部14cに該被押上げ部14cの下方から当接している。
押上げ部33において、揺動軸部34側と反対の端部は、前記側面視で突の曲面状に形成されている。
また、揺動軸部34は、押上げ部33における前記長手方向の端部の、外ケース23側を向く表面に配設され、被押下部32は、下方から上方に向かうに従い漸次、前記長手方向に沿う外ケース23の外側に向けて延在している。揺動軸部34は、外ケース23および吐出ヘッド17の前記短手方向に延在している。
【0028】
さらに本実施形態では、連係部材25、支持突片35および第1縦リブ26は、外ケース23および吐出ヘッド17の前記長手方向に間隔をあけて一対ずつ配設されている。これら一対の連係部材25、一対の支持突片35および一対の第1縦リブ26はそれぞれ、外ケース23および吐出ヘッド17の前記短手方向に、容器本体11および装着キャップ14を挟んで互いに対向する位置に配設されていて、二組ずつ配設されている。
そして、1つの操作ボタン24について、外ケース23および吐出ヘッド17の前記短手方向で互いに対向する2つの連係部材25が連係するようになっている。
4つの連係部材25のうち、外ケース23および吐出ヘッド17の前記長手方向で隣り合う一対の連係部材25は、折曲変形自在な連結片25aを介して一体に形成されている。また、これら一対の連係部材25は、前記側面視で容器軸Oを基準に線対称形状をなしている。
【0029】
次に、以上のように構成された吐出容器1の作用について説明する。
【0030】
操作ボタン24を外ケース23の内部に向けて押し込むと、操作ボタン24の押下突片31b〜31dが、連係部材25の被押下部32を膨出部32aに摺接しながら押下することで、連係部材25が揺動軸部34回りに揺動し、連係部材25の押上げ部33が、装着キャップ14の被押上げ部14cを突き上げることにより、この装着キャップ14が容器本体11とともにステム15および吐出ヘッド17に対して押し上げられる。これにより、ステム15が、シリンダ16aに対して前記付勢部材の上方付勢力に抗して相対的に下降移動することとなり、シリンダ16a内の内容物が、ステム15および連結筒22を通して吐出孔12から吐出される。
【0031】
ここで図示の例では、前記側面視において、被押下部32の長さが、押上げ部33の長さより長くなっているので、押上げ部33の曲げ剛性の低下を抑えつつ、操作ボタン24に加えた押下力を、梃子の原理により、押上げ部33に増幅させて伝達することが可能になる。したがって、操作ボタン24に大きな押下力を加えなくても、装着キャップ14の被押上げ部14cに押上げ部33から大きな押上げ力を付与することが可能で、しかもこの押上げ部33の弾性変形を抑えることも可能になり、内容物の吐出孔12からの吐出をより一層安定させることができる。
【0032】
そして、操作ボタン24の押下を解除すると、吐出器本体16の前記付勢部材の付勢力により、装着キャップ14が容器本体11とともにステム15および吐出ヘッド17に対して下方に復元変位する。この際、装着キャップ14の被押上げ部14cが、連係部材25の押上げ部33を押下することで、連係部材25を揺動軸部34回りに揺動させ、連係部材25の被押下部32が、操作ボタン24の押下突片31b〜31dに膨出部32aを摺接させつつ、操作ボタン24を外ケース23の外部に向けて押し出す。
【0033】
以上説明したように、本実施形態による吐出容器1によれば、操作ボタン24を外ケース23の内部に向けて押し込んだときに、連係部材25の押上げ部33により、装着キャップ14が外ケース23の内部で容器本体11とともにステム15および吐出ヘッド17に対して押上げられるので、内容物の吐出時に、吐出ヘッド17および外ケース23は上下動させないままにしておくことにより、吐出孔12の被付着部分に対する位置を安定させることが可能になり、内容物を正確な位置に付着させることができる。
また、連係部材25が前述のように揺動自在に配設されていることから、押上げ部33により装着キャップ14を容器本体11とともにステム15および吐出ヘッド17に対して押上げる際に、操作ボタン24に要する押下力を低く抑え易くすることが可能になり、吐出孔12の被付着部分に対する位置を確実に安定させることができる。
【0034】
さらに、連係部材25が吐出容器1の側面視でL字状に形成されているので、簡易な構成で前述の作用効果を確実に奏功させることができる。
また、操作ボタン24が、外ケース23の内部に対して容器軸O方向に沿って進退自在に配設されるとともに、押下突片31b〜31dが、膨出部32aにおける前記反対方向を向く端縁に摺接するように配設されているので、操作ボタン24を外ケース23の内部に対して進退移動させるときに、押下突片31b〜31dと被押下部32とを互いに引っ掛けることなくスムーズに摺接させ合うことが可能になり、動作不良の発生を防ぐことができる。
【0035】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0036】
例えば、前記実施形態では、操作ボタン24を2つ、連係部材25を4つそれぞれ配設したが、例えば一つずつでもよく、個数は適宜変更してもよい。
また、前記実施形態では、4つの連係部材25のうち、外ケース23および吐出ヘッド17の前記長手方向で隣り合う一対の連係部材25を、折曲変形自在な連結片25aを介して連結し一体に形成したが、連結片25aを有しない互いに独立した部材としてもよい。
前記実施形態では、操作ボタン24を外ケース23の内部に対して進退させる方向を容器軸O方向としたが、例えば径方向にする等適宜変更してもよい。
前記実施形態では、連係部材25として前記側面視でL字状に形成された構成を示したが、これに限らず適宜変更してもよい。
また被押下部32として、前記側面視で、下方から上方に向かうに従い漸次、水平方向のうち押上げ部33から離間する方向に延在させた構成を示したが、例えば容器軸O方向に沿って延在させる等適宜変更してもよい。
さらに被押下部32に膨出部32aは形成しなくてもよい。
また、装着キャップ14に被押上げ部14cを配設せず、押上げ部33を、例えば装着キャップ14の本体部14aの下端開口縁に、該本体部14aの下方から当接させるようにしてもよい。
さらに、前記側面視において、被押下部32の長さを押上げ部33の長さ以下としてもよい。
【0037】
またこの吐出容器1は、吐出ヘッド17を例えば鼻、耳、口等の孔内に差し込んで使用してもよいし、あるいは露出した外面に吐出孔12から内容物を吐出して付着させて使用してもよい。
さらに吐出器本体16として、ポンプ機構を示したが、これに限らず例えば、エアゾール機構等を採用してもよい。
【0038】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
内容物を吐出孔から正確な位置に付着させることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 吐出容器
11 容器本体
11a 口部
12 吐出孔
13 吐出器
14 装着キャップ
15 ステム
16 吐出器本体
17 吐出ヘッド
17a 頂壁部
23 外ケース
24 操作ボタン
25 連係部材
31b〜31d 押下突片
32 被押下部
32a 膨出部
33 押上げ部
34 揺動軸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体と、
該容器本体の口部に装着され内容物が吐出される吐出孔が形成された吐出器と、
を備え、
該吐出器は、
前記容器本体の口部に装着される装着キャップと、
該装着キャップに上方付勢状態で下方移動可能に貫設されたステムを有する吐出器本体と、
前記ステムの上端部に固定されるとともに、頂壁部に前記吐出孔が形成された有頂筒状の吐出ヘッドと、
を備える吐出容器であって、
内部に前記容器本体が収容され、かつ前記吐出ヘッドが固定される外ケースと、
該外ケース内に向けて突出する押下突片を備えるとともに、該外ケースの内部に対して進退自在に配設された操作ボタンと、
該操作ボタンおよび前記装着キャップに連係する連係部材と、
を備え、
該連係部材は、
前記操作ボタンの押下突片に該押下突片の下方から当接する被押下部と、
前記装着キャップに該装着キャップの下方から当接する押上げ部と、
これらの被押下部と押上げ部とを連結する揺動軸部と、
を備えるとともに、
前記操作ボタンが前記外ケースの内部に向けて押し込まれ、前記押下突片が前記被押下部を押下したときに、前記押上げ部が、前記装着キャップを容器本体とともに前記ステムおよび吐出ヘッドに対して押上げるように前記揺動軸部回りに揺動自在に配設されていることを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
請求項1記載の吐出容器であって、
前記連係部材は、前記押上げ部が水平方向に延在し、かつ前記被押下部が前記押上げ部および揺動軸部から上方に向けて延びるように、該吐出容器の側面視でL字状に形成されていることを特徴とする吐出容器。
【請求項3】
請求項2記載の吐出容器であって、
前記被押下部は、前記側面視で、下方から上方に向かうに従い漸次、水平方向のうち前記押上げ部から離間する離間方向に延在し、
該被押下部の上端部には、前記側面視で、前記離間方向と反対側の反対方向に向けて突の曲面をなしつつ膨出する膨出部が形成され、該膨出部は、上方から下方に向かうに従い漸次前記反対方向に向けた突出量が大きくなるように形成され、
前記操作ボタンは、前記外ケースの内部に対して容器軸方向に沿って進退自在に配設されるとともに、前記押下突片が、前記膨出部における前記反対方向を向く端縁に摺接するように配設されていることを特徴とする吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−246047(P2012−246047A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121604(P2011−121604)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】