説明

吐出容器

【課題】空気の浸入を防止するとともに、吐出口に付着する付着物の逆流を防止することで、内容物の劣化を防ぐことができる。
【解決手段】内容器2が内装された外容器3を備える容器本体4の口部4aに装着され、内容物を吐出する吐出口5が形成された吐出キャップ6と、吐出キャップ6内に配設され、吐出口5と内容器2の内部とを接続する接続通路7Aを有する弁筒体7とを備え、外容器3には、内容器2との間に外気が吸入される吸気孔4eが形成され、吐出キャップ6には、外部と吸気孔4eとを連通する外気導入孔10が形成され、弁筒体7は、吸気孔4eと外気導入孔10との連通およびその遮断を切替える空気弁7aと、接続通路7A内と吐出口5との連通およびその遮断を切替える吐出弁7bとを備え、吐出弁7bは、吐出口5側から接続通路7A側への流通を規制し、かつその逆に向けた流通を許容する逆止弁となる構成の吐出容器1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
目薬容器等の吐出容器として、従来、例えば下記特許文献1に示されているような、内容物が収容される容器本体と、容器本体の口部に装着される吐出キャップとを備えた構成が知られており、例えば、前記容器本体を内方に押圧(スクイズ)して、該容器本体を弾性変形させることで内容物を吐出させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−155928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の吐出容器では、前記押圧を解除すると、容器本体の復元変形によって外気が容器本体内に吸入されるため、容器内の内容物が劣化し、保存性が低下するおそれがあった。
また、吐出した内容物等が吐出口に付着している場合に、その付着物が吐出後の前記吸入時において容器内に逆流することがあり、この場合、外気に触れている付着物とともに雑菌が容器内に浸入するおそれがあり、その点で改良の余地があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、空気の浸入を防止するとともに、吐出口に付着する付着物の逆流を防止することで、内容物の劣化を防ぐことができる吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明に係る吐出容器は、内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器、および該内容器が内装される外容器を備える容器本体と、該容器本体の口部に装着され、前記内容物を吐出する吐出口が形成された吐出キャップと、該吐出キャップ内に配設され、前記吐出口と前記内容器の内部とを接続する接続通路を有する弁筒体と、を備え、前記外容器には、前記内容器との間に外気が吸入される吸気孔が形成されるとともに、前記吐出キャップには、外部と前記吸気孔とを連通する外気導入孔が形成され、前記弁筒体は、前記吸気孔と前記外気導入孔との連通およびその遮断を切替える空気弁と、前記接続通路内と前記吐出口との連通およびその遮断を切替える吐出弁と、を備え、該吐出弁は、前記吐出口側から前記接続通路側への流通を規制し、かつその逆に向けた流通を許容する逆止弁となっていることを特徴としている。
【0007】
本発明に係る吐出容器によれば、容器本体の内容器に収容された内容物を吐出させる際、例えば、容器本体の外容器をスクイズ変形(弾性変形)させる。これにより、内容器が外容器とともに変形して減容される。そして、この減容変形に伴い内容器の内圧が正圧となり、この正圧によって吐出弁が開けられ、吐出口と内容器の内部とが接続通路を通じて連通される。
【0008】
その後、内容器の内圧が低下すると、吐出弁が閉じられ、吐出口と内容器の内部とが遮断されて内容器が密封され、さらに前述したスクイズ変形を解除すると、外容器は復元変形しようとする。このとき、外容器と内容器との間に発生した負圧が吸気孔を通して空気弁に作用することにより、この空気弁が作動して、吸気孔と外部とが外気導入孔を通して連通され、外気が外容器と内容器との間に吸入される。
外気が吸入されることにより、外容器と内容器との間の内圧が大気圧まで上昇すると、空気弁が復元変形して吸気孔と外気導入孔とを遮断する。このように、外容器と内容器との間に外気が吸入されることにより、内容器の減容形状が保持される。そのため、吐出後の吐出口から内容器内に外気が流入することがなく、吐出口から吐出された内容物が内容器内に逆流することが防止される。
【0009】
この状態から、再び容器本体の外容器をスクイズ変形させると、空気弁は遮断状態とされていることから外容器と内容器との間の内圧が正圧となり、この正圧によって内容器が減容変形される。内容器が減容変形されることにより、前述同様の作用が得られ、内容物が吐出される。
【0010】
また、容器本体を逆さにすることで内容物の重力により吐出弁が開けられ、吐出口と内容器の内部とが連通される場合においても、内容器に収容された内容物が吐出口から吐出されるので、上記容器本体の外容器をスクイズ変形させる場合と同様の作用が得られる。
【0011】
また、上記本発明の吐出容器において、前記弁筒体は、内部が前記接続通路とされた基筒部を備え、該基筒部において、吐出口側の上端部に前記吐出弁が配設されるとともに、容器本体側の下端部に前記空気弁が配設され、前記基筒部において、前記吐出弁と前記空気弁との間に位置する部分には、前記接続通路に開口する連通孔が形成されるとともに、該連通孔と前記空気弁との間に位置する部分には、前記吐出キャップ内に嵌合して、該吐出キャップ内と当該基筒部との間の環状空間を上下方向に区画する区画壁が突設されていることが好ましい。
【0012】
この場合には、弁筒体に区画壁が配設されているので、内容器内の内容物が、弁筒体の接続通路を上方に向けて流動して連通孔から前記環状空間のうち吐出弁と区画壁との間に位置する部分(以下、上方部分という)に流入した内容器内の内容物が、容器本体側に向けて漏れるのを抑制することが可能になる。
【0013】
また、上記本発明の吐出容器において、前記基筒部において前記区画壁と前記空気弁との間に位置する部分には、径方向の外側に向けて突出して前記吐出キャップの内周面に当接するシール突片が配設されていることが好ましい。
【0014】
この場合には、例えば、内容器の内圧が上昇することで前記環状空間の上方部分が加圧されたり、あるいは内容器の内容物が前記環状空間の上方部分に流入したりしたとき等に、仮に、前記環状空間の上方部分の空気や内容物が、吐出キャップの内周面と区画壁との間を通って容器本体側に向けて漏れ出たとしても、この流れをシール突片によりせき止めることが可能になり、前記環状空間の密封状態を確実に保持することができる。
【0015】
また、上記本発明の吐出容器において、前記シール突片は、径方向の内側から外側に向かうに従い漸次上方に向けて延在していることが好ましい。
【0016】
この場合には、前記環状空間の密封状態をより一層確実に保持することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る吐出容器によれば、空気の浸入を防止するとともに、吐出口に付着する付着物の逆流を防止することで、内容物の劣化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態による吐出容器の全体構成を示す側断面図である。
【図2】図1の吐出容器を側方から見た側断面図である。
【図3】図1の突出容器の要部を示す側断面図である。
【図4】本発明の実施形態の変形例による吐出容器の要部を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る吐出容器の実施形態について図面を参照して説明する。
【0020】
図1及び図2に示すように、本実施形態の吐出容器1は、内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器2、および内容器2が内装されるとともに弾性変形可能な外容器3を備える容器本体4と、容器本体4の口部4aに装着され、内容物を吐出する吐出口5が形成された吐出キャップ6と、吐出キャップ6内に配設され、吐出口5と内容器2の内部とを接続する接続通路7Aを有する弁筒体7と、吐出キャップ6に着脱自在に配設されたオーバーキャップ8と、を備えている。
【0021】
ここで、容器本体4は有底筒状に形成され、吐出キャップ6及びオーバーキャップ8はそれぞれ有頂筒状に形成され、これら4、6、8が共通軸と同軸に配置されている。
以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿ってオーバーキャップ8側を上側、容器本体4の底部側を下側といい、また容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸Oを中心に周回する方向を周方向という。
【0022】
図示の例では、容器本体4は、内容器2が外容器3の内面に剥離可能に積層されたいわゆるデラミボトルとなっている。
容器本体4の口部4aは、上側に位置する上筒部4Aと、下側に位置し上筒部4Aよりも大径に形成された下筒部4Bと、を備える二段筒状に形成されている。
【0023】
図3に示すように、上筒部4Aのうち、外容器3で構成された部分(以下、外上筒部という)4bの外周面に周方向に間隔をもって設けられる係止片4cと、係止片4cより下側に位置する部分に周方向にわたって延在するシール片4dと、が形成されている。また、外上筒部4bにおいて、係止片4cとシール片4dとの間に位置する部分には、内容器2との間に外気が吸入される吸気孔4eが形成されている。
【0024】
外上筒部4bの内周面は円筒面とされ、この内周面に、上筒部4Aのうち、内容器2で構成された部分(以下、内上筒部という)4gが積層されている。また、内上筒部4gの上端部は、径方向の外側に折り返されて外上筒部4bの上端開口縁上に配置されている。
容器本体4は、例えば、共押出し成形した二層構造のパリソンをブロー成形することにより成形され、外容器3はポリエチレン樹脂製とされるとともに、内容器2はポリエチレン樹脂に対して相溶性のないポリアミド系の合成樹脂製とされている。
【0025】
また、吐出キャップ6は、周壁部6Aと、周壁部6Aの上端部から上方に向けて膨出するようにドーム状の頂壁部6Bと、を備える有頂筒状に形成されている。周壁部6Aは、頂壁部6Bに連なる上周壁部6Dと、下側に位置し上周壁部6Dよりも大径に形成され容器本体4の外上筒部4bに外嵌する嵌合筒部6Cが設けられ、上周壁部6Dと嵌合筒部6Cとが連設部6eを介して接続されている。また、吐出口5は頂壁部6Bの径方向中央に形成されている。
この頂壁部6Bには、吐出口5の開口周縁部から下方に向けて吐出筒9aが垂設されている。吐出筒9aの内下部に周方向に間隔をあけて配置され径方向内側に向けて突設した複数の支持リブ9bが設けられ、これら支持リブ9bを介して係止柱9cが垂設されている。
【0026】
上周壁部6Dには、外周面に雄ねじ部6aが形成されている。また、上周壁部6Dにおいて、雄ねじ部6aより下側に位置する部分で、かつ上周壁部6Dと嵌合筒部6Cとの接続部分(詳細には、上周壁部6Dと連設部6eとの接続部分)には、外部と吸気孔4eとを連通する外気導入孔10が周方向に間隔をあけて複数(例えば2つ)形成されている。尚、吸気孔4eおよび外気導入孔10は、それぞれ1つ以上形成されていればよい。吐出口5は、外気導入孔10より上方に位置している。
また、上周壁部6Dの上部内周面には、周方向に沿って延びる環状の吐出弁座6gが突設され、吐出弁座6gの下側の位置に弁筒体7(正確には後述する区画壁7f)を係止させる突条部6dが周設されている。
【0027】
嵌合筒部6Cの内周面には、その上端から下方に延在する通気溝6bが周方向に間隔をあけて配置されている。その通気溝6bの下端位置における嵌合筒部6Cの内周面には、係止片4cをアンダーカット嵌合させる凹部6fが設けられている。通気溝6bの下端(凹部6fの位置)は、通気孔4eよりも上方に位置している。また、嵌合筒部6Cの下端部内に、外上筒部4bのシール片4dが気密状態で嵌合されている。これにより、吸気孔4eが、嵌合筒部6Cの下側からこの吐出容器1の外部と連通することが防止されている。
【0028】
弁筒体7は、吸気孔4eと外気導入孔10との連通およびその遮断を切替える空気弁7aと、接続通路7A内と吐出口5との連通およびその遮断を切替える吐出弁7bと、を備えている。
弁筒体7は、内部が接続通路7Aとされた基筒部7cを備えている。基筒部7cにおいて、下端部に前記空気弁7aが配設されるとともに、上端部に前記吐出弁7bが配設されている。基筒部7cは、上端が天板部7dによって閉塞されている。天板部7dには、上側から吐出キャップ6の係止柱9cが当接している。
【0029】
空気弁7aは、基筒部7cの下端部から径方向外方に向けて突出するとともに周方向に沿って延びる環状をなしており、弾性変形可能となっている。空気弁7aは、径方向の内側から外側に向かうに従い漸次上方に向けて傾斜し、外縁部が吐出キャップ6の連設部6eの下面に下側から当接しているとともに、空気弁7aの弾性変形によって下方へ向けて離間可能とされている。
【0030】
吐出弁7bは、基筒部7cの天板部7dから径方向外方に向けて突出するとともに周方向に沿って延びる環状をなしており、弾性変形可能となっている。吐出弁7bは、外縁部が吐出キャップ6の吐出弁座6gに上側から当接しているとともに、内容器2の例えば内圧変動等により弾性変形によって上方へ向けて離間可能とされている。つまり、吐出弁7bは、吐出弁座6gに対して開閉自在であり、吐出口5側から接続通路7A側への流通を規制し、かつその逆に向けた流通を許容する逆止弁となっている。
【0031】
基筒部7cにおいて、吐出弁7bと空気弁7aとの間に位置する部分には、接続通路7Aに開口する連通孔7e(1つ以上設ければよい)が形成されるとともに、連通孔7eと空気弁7aとの間に位置する部分には、吐出キャップ6内に嵌合して、吐出キャップ6内と基筒部7cとの間の環状空間を上下方向に区画する区画壁7fが突設されている。尚、連通孔7eは、吐出弁7bに軸方向で隣接(近接)するように配置され、区画壁7fは、連通孔7eに軸方向で隣接(近接)するように配置されている。区画壁7fは、外縁部が上周壁部6Dの内周面に気密状態に当接し、吐出キャップ6の突条部6dによって下側から係止されている。
【0032】
また、基筒部7cにおいて、区画壁7fと空気弁7aとの間に位置する部分には、径方向の外側に向けて突出して吐出キャップ6(上周壁部6D)の内周面に当接する2つのシール突片7gが上下方向に間隔をあけて配設されている。シール突片7gは、径方向の内側から外側に向かうに従い漸次上方に向けて延在している。
【0033】
基筒部7cの下端から、容器本体4の口部4a内に嵌合する内筒部11が下方に垂設されている。内筒体11は、天壁部11a及び周壁部11bを備える有頂筒状に形成されている。周壁部11bにおける上端部には、径方向外方に向けて突設されるとともに周方向に沿って延びる環状の鍔部11cが形成されている。鍔部11cは、口部4aの上端開口縁に上側から当接している。
【0034】
オーバーキャップ8は、天壁部8a及び周壁部8bを備える有頂筒状に形成されている。周壁部8bの下側の大径部8cには、内周面に吐出キャップ6の雄ねじ部6aに螺着する雌ねじ部8dが形成されている。天壁部8aにおける径方向の中央下面には、吐出筒9a内に着脱可能に嵌着する突栓部8eが形成されている。
【0035】
以上説明した本実施形態による吐出容器1によれば、以下の作用効果を奏する。
この吐出容器1では、図3に示すように、容器本体4の内容器2に収容された内容物を吐出させる際、オーバーキャップ8を吐出キャップ6から取り外し、吐出口5が下方に向くような吐出姿勢とした状態で、容器本体4の外容器3をスクイズ変形(弾性変形)させる。これにより、内容器2が外容器3とともに変形して減容される。
【0036】
そして、この減容変形に伴い内容器2の内圧が正圧となり、この正圧によって吐出弁7bが弾性変形するとともに吐出弁座6gから離間して開けられ、吐出口5と内容器2の内部とが弁体筒7の接続通路7Aを通じて連通される。これにより、内容器2に収容された内容物が、図3の二点鎖線で示すように接続通路7A、連通孔7e及び吐出筒9aを通って吐出口5から吐出される。
【0037】
その後、内容器2の内圧が低下すると、弾性復元力により復元変形し吐出弁座6gに着座して吐出弁7bが閉じられ、吐出口5と内容器2の内部とが遮断されて内容器2が密封され、さらに前述したスクイズ変形を解除すると、外容器3は復元変形しようとする。このとき、外容器3と内容器2との間に発生した負圧が吸気孔4eを通して空気弁7aに作用することにより、この空気弁7aが作動し、弾性変形するとともに吐出キャップ6の連設部6eの下面から離間することにより下向きに開いて、吸気孔4eと外部とが外気導入孔10を通して連通され、図3の破線で示すように外気が外気導入孔10、通気溝6bを通して吸気孔4eから外容器3と内容器2との間に吸入される。
【0038】
外気が吸入されることにより、外容器3と内容器2との間の内圧が大気圧まで上昇すると、空気弁7aが復元変形して吸気孔4eと外気導入孔10とを遮断する。このように、外容器3と内容器2との間に外気が吸入されることにより、内容器2の減容形状が保持される。そのため、吐出後の吐出口5から内容器2内に外気が流入することがなく、吐出口5から吐出された内容物が内容器2内に逆流することが防止される。
【0039】
この状態から、再び容器本体4の外容器3をスクイズ変形させると、空気弁7aは遮断状態とされていることから外容器3と内容器2との間の内圧が正圧となり、この正圧によって内容器2が減容変形される。内容器2が減容変形されることにより、前述同様の作用が得られ、内容物が吐出される。
【0040】
また、容器本体4を逆さにすることで内容物の重力により吐出弁7bが開けられ、吐出口5と内容器2の内部とが連通され、内容器2に収容された内容物が吐出口5から吐出される場合においても上記容器本体4の外容器3をスクイズ変形させる場合と同様の作用が得られる。
【0041】
また、弁筒体7に区画壁7fが配設されているので、弁筒体7の接続通路7Aを上方に向けて流動して連通孔7eから前記環状空間のうち吐出弁7bと区画壁7fとの間に位置する部分(以下、上方部分7Bという)に流入した内容器2内の内容物が、容器本体4側に向けて漏れるのを抑制することが可能になる。
【0042】
さらに、例えば、内容器2の内圧が上昇することで前記上方部分7Bが加圧されたり、あるいは内容器2の内容物が前記上方部分7Bに流入したとき等に、仮に、前記上方部分7Bの空気や内容物が、吐出キャップ6の内周面と区画壁7fとの間を通って容器本体4側に向けて漏れ出たとしても、この流れをシール突片7gによりせき止めることが可能になり、前記環状空間の密封状態を確実に保持することができる。しかも、シール突片7gが径方向の内側から外側に向かうに従い漸次上方に向けて延在しているので、前記環状空間の密封状態をより一層確実に保持することができる。
また、前記シール突片7gは、弁筒体7を吐出キャップ6内に挿入する際のガイドとしても機能する。
【0043】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0044】
例えば、前記実施形態では、吐出弁7bを吐出弁座6gから離間することで吐出口5と内容器2の内部とを連通させる構成としているが、これに限定されるものではない。例えば、図4に示すように、弁筒体7の天板部7dには、上面中央部から吐出筒9a内に向けて立設する弾性変形可能な筒状の吐出弁7hが設けられるとともに、上面外周に吐出筒9a内に連通する凹溝7iが径方向に沿って形成されている。
そして、吐出キャップ6の頂壁部6Bに設けられる吐出口5には、吐出筒9aの開口周縁部に周方向に間隔をあけて配置され径方向内側に向けて突設した複数の支持リブ9dが設けられ、これら支持リブ9dを介して係止柱9eが下方に向けて垂設されている。係止柱9eは、容器軸Oに同軸に設けられ、筒状の吐出弁7hの内側に径方向の隙間をもった状態で挿入されている。吐出筒9aの内周下部には、拡径部9fが形成されており、この拡径部9fを介して吐出口5と前記凹溝7iとが連通している。
すなわち、上述した径方向外方に向けて突出する吐出弁7bを用いる代わりに、外周上端部が吐出筒9aの内周上部に径方向外側に向けて当接しているとともに、内容器2の内圧変動により弾性変形によって径方向内側(係止柱9e側)へ向けて離間可能とされる構成の吐出弁7hとしてもよい。
【0045】
また、前述の実施形態における容器本体4は、内容器2が外容器3の内面に剥離可能に積層されたいわゆるデラミボトルであるとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、内容器2と外容器3とが別体に形成された二重容器であってもよい。
【0046】
また、前述したオーバーキャップ8は、吐出キャップ6の周壁部6Aに螺着することにより着脱自在に設けられるねじ式キャップとしているが、これに限定されることはなく、例えば、ヒンジを中心に回動して吐出キャップに着脱自在に配設されるヒンジ式キャップや、押し込み操作により吐出キャップに着脱自在に配設される打栓式キャップであってもよい。
さらに、前記吐出キャップ6を、容器本体4の口部4aに螺着してもよい。
【0047】
さらに、前述の実施形態では、弁筒体7に区画壁7fやシール突片7gを設けているが、これらを省略することも可能である。また、シール突片7gの配置数も本実施形態のように2つであることに限定されることはなく、1つあるいは3つ以上であっても良いし、径方向の内側から外側に向かうに従い漸次上方に向けて傾斜することに制限されることもない。
さらにまた、吐出容器は、目薬容器に限定されるものではない。
【0048】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 吐出容器
2 内容器
3 外容器
4 容器本体
4a 口部
4e 吸気孔
5 吐出口
6 吐出キャップ
7 弁筒体
7A 接続通路
7a 空気弁
7b、7h 吐出弁
7c 基筒部
7e 連通孔
7f 区画壁
7g シール突片
7i 凹溝
8 オーバーキャップ
9a 吐出筒
10 外気導入部
O 容器軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器、および該内容器が内装される外容器を備える容器本体と、
該容器本体の口部に装着され、前記内容物を吐出する吐出口が形成された吐出キャップと、
該吐出キャップ内に配設され、前記吐出口と前記内容器の内部とを接続する接続通路を有する弁筒体と、
を備え、
前記外容器には、前記内容器との間に外気が吸入される吸気孔が形成されるとともに、前記吐出キャップには、外部と前記吸気孔とを連通する外気導入孔が形成され、
前記弁筒体は、
前記吸気孔と前記外気導入孔との連通およびその遮断を切替える空気弁と、
前記接続通路内と前記吐出口との連通およびその遮断を切替える吐出弁と、
を備え、
該吐出弁は、前記吐出口側から前記接続通路側への流通を規制し、かつその逆に向けた流通を許容する逆止弁となっていることを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
請求項1に記載の吐出容器であって、
前記弁筒体は、内部が前記接続通路とされた基筒部を備え、
該基筒部において、吐出口側の上端部に前記吐出弁が配設されるとともに、容器本体側の下端部に前記空気弁が配設され、
前記基筒部において、前記吐出弁と前記空気弁との間に位置する部分には、前記接続通路に開口する連通孔が形成されるとともに、該連通孔と前記空気弁との間に位置する部分には、前記吐出キャップ内に嵌合して、該吐出キャップ内と当該基筒部との間の環状空間を上下方向に区画する区画壁が突設されていることを特徴とする吐出容器。
【請求項3】
請求項2に記載の吐出容器であって、
前記基筒部において前記区画壁と前記空気弁との間に位置する部分には、径方向の外側に向けて突出して前記吐出キャップの内周面に当接するシール突片が配設されていることを特徴とする吐出容器。
【請求項4】
請求項3に記載の吐出容器であって、
前記シール突片は、径方向の内側から外側に向かうに従い漸次上方に向けて延在していることを特徴とする吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−49479(P2013−49479A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189488(P2011−189488)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】