説明

吐出容器

【課題】収容室の内圧を安定的に高め、操作性に優れた吐出容器を提供する。
【解決手段】高圧ガスGを収容するガス缶40と、ガス缶に上方付勢状態で貫設された噴出ステム41と、を有し、噴出ステムがガス缶に対して相対的に下降することで、ガス缶内の高圧ガスを噴出ステムから噴出させて容器2内に導入させるガスボンベ4と、噴出ステムに上方から係合するステム係合部5と、ガス缶及びステム係合部のうちの何れか一方を他方側に向けて付勢し、収容室21内の内容物Xの吐出に伴い一方を他方側に向かって移動させる付勢部材7と、が備えられ、容器は、その内部空間を、収容室と、ガスボンベから高圧ガスが導入されるガス導入室27と、に区画する可動隔壁部26を備え、可動隔壁部は、ガス導入室に導入された高圧ガスの圧力によって、収容室の内容積を減縮させ、かつガス導入室の内容積を増大させるように移動可能に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の吐出容器として、従来、例えば下記特許文献1に記載されているような、容器と、この容器の上部に設けられた口部に装着されたポンプ状の吐出器と、を備える構成が知られている。上記した容器には、筒状の胴部の内側に配設された可動隔壁部が備えられており、この可動隔壁部よりも上方の空間、つまり、胴部の上端に設けられた肩部の下面と胴部の内周面と可動隔壁部の上面とで囲まれた空間が、内容物を収容する収容室となっている。可動隔壁部の外周面は、容器胴部の内周面に対して液密に摺接されており、可動隔壁部は、容器の内周面に沿って容器軸方向に移動可能に設けられている。このような構成の吐出容器では、吐出器によって収容室内の内容物を吐出させたとき、収容室内の内容物の収容量の減少に伴い、可動隔壁部が口部側に移動し、収容室の内容積が縮小される。
これにより、前記吐出器の下端から内容物を吸上げて外部に吐出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−255326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した前者の従来の吐出容器では、可動隔壁部の外周面と容器胴部の内周面との間のシール性を確保するため、可動隔壁部の外周面と容器胴部の内周面と密接力を高くする必要がある。この場合、可動隔壁部の外周面と容器胴部の内周面との摩擦抵抗が高くなり、可動隔壁部が移動しにくくなり、内容物の吐出に伴う収容室の内容積の縮小が行われなくなり、吐出器の下端から内容物を吸上げることができなくなるおそれがあるという問題が存在する。
【0005】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、内容物を収容した収容室の内圧を安定的に高めることにより、操作性に優れた吐出容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る吐出容器は、内容物を収容する収容室を有する容器と、該容器の口部に装着され、前記収容室内の内容物を吐出する吐出器と、を備える吐出容器であって、高圧ガスを収容するガス缶と、該ガス缶に上方付勢状態で貫設された噴出ステムと、を有し、前記噴出ステムが前記ガス缶に対して相対的に下降することで、前記ガス缶内の高圧ガスを前記噴出ステムから噴出させて前記容器内に導入させるガスボンベと、前記噴出ステムに上方から係合するステム係合部と、前記ガス缶及び前記ステム係合部のうちの何れか一方を他方側に向けて付勢し、前記収容室内の内容物の吐出に伴い前記一方を前記他方側に向かって移動させる付勢部材と、が備えられ、前記容器は、その内部空間を、前記収容室と、前記ガスボンベから高圧ガスが導入されるガス導入室と、に区画する可動隔壁部を備え、該可動隔壁部は、前記ガス導入室に導入された高圧ガスの圧力によって、前記収容室の内容積を減縮させ、かつ前記ガス導入室の内容積を増大させるように移動可能に配設されていることを特徴としている。
【0007】
このような構成の吐出容器では、吐出器によって収容室内の内容物を吐出し、収容室内の内容物の収容量が減少したとき、付勢部材によってガス缶及びステム係合部のうちの何れか一方が他方側に向かって移動する。このとき、ステム係合部に噴出ステムが係合されているため、噴出ステムがガス缶に対して相対的に下降する。これにより、ガス缶内の高圧ガスが噴出ステムから噴出して容器内に導入され、その結果、内容物の吐出に伴う収容室の内圧減少が抑えられる。
【0008】
また、本発明に係る吐出容器は、前記吐出器には、前記口部に装着された装着キャップと、該装着キャップに上方付勢状態で貫設された吐出ステムと、該吐出ステムの上端に設けられているとともに該吐出ステムに連通する吐出口が形成された押下ヘッドと、が備えられ、前記収容室の内圧を外気圧よりも高くするとともに前記吐出ステムを前記装着キャップに対して相対的に下降させることで、前記吐出ステムの内側と前記収容室の内側とが連通され、前記収容室の内圧と外気圧との圧力差によって前記収容室内の内容物が前記吐出ステムを通って前記吐出口から吐出されることが好ましい。
【0009】
このような構成の吐出容器では、押下ヘッドを押し下げると、吐出ステムが軸方向下側へ移動し、吐出ステムの内側と収容室とが連通される。これにより、吐出ステム及び吐出口を介して収容室が外部に連通される。このとき、収容室の内圧が外気圧よりも高くなっているので、収容室の内圧と外気圧との圧力差によって収容室内の内容物が、吐出ステムの内側を通って吐出口から吐出される。すなわち、ポンプなどのような複雑な機構を用いることなく、収容室内の内容物を吐出させることが可能である。このとき、内容物と共に収容室内の圧力が抜けていくが、容器内に高圧ガスが導入されることによって、内容物と共に収容室内の圧力が抜けた分だけ収容室が加圧されるので、収容室の内圧は、外気圧よりも高い圧力で維持される。
【0010】
また、本発明に係る吐出容器は、前記容器の下端部に、前記ガスボンベを収容するボンベ収容部材が、前記容器に対して相対的に昇降可能に装着されていることが好ましい。
【0011】
このような構成の吐出容器では、ボンベ収容部材を容器に対して相対的に下降させると、噴出ステムとステム係合部とが離間され、噴出ステムとステム係合部との係合が解除される。これにより、噴出ステムがガス缶に対して相対的に下降することがなく、高圧ガスの噴出が防止される。一方、ボンベ収容部材を容器に対して相対的に上昇させると、噴出ステムとステム係合部とが係合される。これにより、付勢部材によってガス缶及びステム係合部のうちの何れか一方が他方側に向かって移動すると、噴出ステムがガス缶に対して相対的に下降し、噴出ステムから高圧ガスが噴出される。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る吐出容器によれば、内容物の吐出に伴う収容室の内圧減少が抑えられるので、内容物を収容した収容室の内圧を安定的に高めることができる。これにより、吐出器による収容室内の内容物の吐出が行われ易くなり、吐出容器の操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態を説明するための吐出容器の縦断面図であり、使用開始前の状態を表した図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を説明するための吐出容器の縦断面図であり、使用準備完了後の状態を表した図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を説明するための吐出容器の縦断面図であり、使用中の状態を表した図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態を説明するための吐出容器の縦断面図であり、使用後の状態を表した図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を説明するための吐出容器の縦断面図であり、使用開始前の状態を表した図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態を説明するための吐出容器の縦断面図であり、使用準備完了後の状態を表した図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態を説明するための吐出容器の縦断面図であり、使用中の状態を表した図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態を説明するための吐出容器の縦断面図であり、使用後の状態を表した図である。
【図9】本発明の他の実施の形態を説明するための吐出容器の縦断面図である。
【図10】本発明の他の実施の形態を説明するための吐出容器の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る吐出容器の第1、第2の実施の形態について、図面に基いて説明する。
【0015】
[第1の実施の形態]
まず、発明に係る吐出容器の第1の実施の形態について、図1から図4に基いて説明する。
図1から図4は本実施の形態における吐出容器1の縦断面図である。
なお、本実施の形態では、容器2の口部20側(図1における上側)を上方とし、その反対側(図1における下側)を下方とする。また、上下方向に延在する図1に示す符号Oは、吐出容器1の中心軸線を示しており、以下、この中心軸線を単に「軸線O」と記す。
また、軸線Oに沿った方向を「軸方向」とし、軸線Oに直交する方向を「径方向」とし、軸線O回りの方向を「周方向」とする。
【0016】
図1に示すように、吐出容器1は、内容物Xを収容する収容室21を有する容器2と、容器2の上部に設けられた口部20に装着され、収容室21内の内容物Xを吐出する吐出器3と、容器2内に高圧ガスGを導入させるガスボンベ4と、を備えている。
【0017】
容器2は、円筒状の胴部22と、胴部22の上端部に設けられた円環状の肩部23と、肩部23の内縁から立設された円筒状の口部20と、胴部22の下端部に設けられた底部24と、底部24から垂下されているとともに外周面に雄ねじが形成された円筒状の装着筒部25と、胴部22の内側に配設された可動隔壁部26と、を備えている。
【0018】
容器2の内部空間のうち、可動隔壁部26よりも上方の空間、つまり、肩部23の下面と胴部22の内周面と可動隔壁部26の上面とで囲まれた空間が、内容物Xを収容する収容室21となっている。なお、収容室21に収容される内容物Xは、例えば液体や、液体と高圧気体とが混合された気液混合体、ペースト状、クリーム状等の流体である。一方、容器2の内部空間のうち、可動隔壁部26よりも下方の空間、つまり、底部24と可動隔壁部26との間の空間は、ガスボンベ4から高圧ガスGが導入されるガス導入室27となっている。すなわち、容器2の内部は、可動隔壁部26によって収容室21とガス導入室27とに区画されている。なお、高圧ガスGは、少なくとも外気圧よりも高い圧力の気体である。
【0019】
口部20及び胴部22は、それぞれ軸線Oを中心軸とする筒部であり、軸方向にそれぞれ延設されている。
底部24は、上方側に窪んだ逆皿形状に形成されているとともに、その中央部分から円筒部が垂下された形状を成している。詳しく説明すると、底部24は、胴部22の下端部から全周に亘って径方向内側に突出された円環状の外周部10と、外周部10の内縁に立設されているとともに上方に向かうに従い漸次縮径された筒状のテーパー部11と、テーパー部11の上端から全周に亘って径方向内側に突出された円環状の内周部12と、内周部12の内縁から垂下された円筒状のシリンダー部13と、を備えている。上記したテーパー部11及びシリンダー部13は、軸線Oを共通軸にして胴部22と同軸上に配設されている。
【0020】
また、上記した底部24には、後述する噴出ステム41に上方から係合するステム係合部5が設けられている。このステム係合部5は、シリンダー部13の上部の内側に配設されている筒部50と、筒部50とシリンダー部13とを連結する複数の連結部51と、を備えている。筒部50は、上端が開放された有底筒状の筒部であり、軸線Oを共通軸にしてシリンダー部13と同軸上に配設されている。また、筒部50は噴出ステム41の上方に配置されており、筒部50の底部には噴出ステム41に連通する貫通孔52が形成されている。連結部51は筒部50の上端部外周面とシリンダー部13の上端部内周面との間に架設されている。複数の連結部51は筒部50の周りに周方向に間欠的に配設され、隣り合う連結部51の間には隙間があけられている。
【0021】
可動隔壁部26は、上記した底部24の上に載せられているとともに胴部22の内周面に沿って軸方向に移動可能な板部であり、上記した底部24の上面形状に対応した形状を成すピストン状の部材である。詳しく説明すると、可動隔壁部26は、上記した底部24の内周部12の上面に載置される円盤状の板部14と、胴部22の内側に軸方向に摺動可能に嵌合された筒部15と、板部14の外縁と筒部15の軸方向中間部とを全周に亘って連結する連結部16と、を備えている。板部14の下面には、径方向に延在する凸リブ14aが突設されている。筒部15は、上記した底部24のテーパー部11の外周面と胴部22の下端部の内周面との間に嵌め込まれるように配置されている。筒部15の軸方向の両端部は、それぞれ拡径されており、この筒部15の両端部の外周面は、胴部22の内周面にそれぞれ液密に摺接されている。
【0022】
吐出器3は、容器2の口部20に装着された有頂筒状の装着キャップ30と、装着キャップ30の内側に配設されているとともに口部20の内側に嵌合された有底筒状のシリンダ31と、装着キャップ30の天壁部80に上方付勢状態で貫設された吐出ステム32と、吐出ステム32の上端に設けられた押下ヘッド33と、吐出ステム32を上方に向けて付勢する付勢部材34と、を備えている。
【0023】
装着キャップ30は、円環状の天壁部80と、天壁部80の外縁から垂下された円筒状の外筒部81と、天壁部80の内縁から垂下された内筒部82と、を備えている。外筒部81は口部20の径方向外側に凹凸嵌合(アンダーカット嵌合)されている。また、外筒部81及び内筒部82は、軸線Oを共通軸にして口部20と同軸上に配設されている。
【0024】
シリンダ31は、下方に向かうに従い多段状に縮径された筒部であり、口部20の上部の内側に嵌合された円筒状の上筒部83と、上筒部83よりも小径であって上筒部83の下端に連結された円筒状の下筒部84と、下筒部84の下端部に設けられた円盤状の底壁部85と、上筒部83の上端部から全周に亘って径方向外側に突出された円環状のフランジ部86と、を備えている。上筒部83の内側には、装着キャップ30の内筒部82が嵌合されている。底壁部85には、シリンダ31の内側と上記した収容室21とを連通させる連通孔85aが形成されている。フランジ部86は、口部20の上端面に掛止されている。上記した上筒部83及び下筒部84は、軸線Oを共通軸にして口部20と同軸上に配設されている。
【0025】
吐出ステム32は、軸方向に延在する円筒状の部材であり、上端が開放されているとともに下端がピン状の底部32aで閉塞されており、装着キャップ30の内筒部82の内側に軸方向に摺動可能に挿通されている。この吐出ステム32の上部は、装着キャップ30の天壁部80よりも上方に突出されている。吐出ステム32の下部には、周方向に間欠的に配設された複数の貫通孔状の連通口37が形成されている。連通口37の外周側の開口部は、後述するシール部材35によって閉塞されており、吐出ステム32の下降に伴いシリンダ31(下筒部84)の内側に向けて開放される。これにより、シリンダ31の底壁部85の連通孔85a、シリンダ31の下筒部84の内側及び上記した連通口37を介して吐出ステム32の内側と上記した収容室21の内側とが連通される。また、吐出ステム32の底部32aは、シリンダ31の下筒部84の内側に配設されており、この底部32aの外周面には、複数の凸部32bが突設されている。これら複数の凸部32bは、周方向に間欠的に配設されており、隣り合う凸部32bの間には隙間が形成されている。また、凸部32bの先端面は下筒部84の内周面に摺接されている。
【0026】
押下ヘッド33は、吐出ステム32を指等で押し下げるための部材であり、吐出ステム32の上端部に装着されている。この押下ヘッド33には、連通路33aを介して吐出ステム32に連通する吐出口36が形成されている。また、押下ヘッド33の上端面には、指等で押圧する押圧面33bが形成されている。
付勢部材34は、シリンダ31の底壁部85と吐出ステム32の凸部32bとの間に圧縮された状態で介装されたコイルスプリング(圧縮ばね)である。
【0027】
また、上記したシリンダ31の上筒部83の内側には、弾性材料からなるリング状のシール部材35が嵌合されている。このシール部材35は、シリンダ31の内周側の段差面と内筒部82の下端面との間に介在されているとともにその内側に吐出ステム32が挿通されており、シール部材35の外周面は上筒部83の内周面に液密に密接されており、シール部材35の内周面は吐出ステム32の外周面に液密に密接されている。
【0028】
ガスボンベ4は、高圧ガスGを収容するガス缶40と、ガス缶40に上方付勢状態で貫設された噴出ステム41と、を備えている。このガスボンベ4は、噴出ステム41がガス缶40に対して相対的に下降することで、ガス缶40内の高圧ガスGが噴出ステム41の先端から噴出するものであり、容器2の底部24の下方に配設されている。詳しく説明すると、ガス缶40は、高圧ガスGが封入された円筒形状の容器であり、その底部44は上方に向けてドーム状に窪んだ形状に形成されている。また、ガス缶40の天壁部45には、口部42が突設されており、この口部42の内側に噴出ステム41が軸方向に移動可能に挿通されている。この噴出ステム41は、上記したステム係合部5の下方に配設されており、ステム係合部5の貫通孔52の軸線延長線(軸線O)上に配設されている。
なお、上記したガス缶40としては、金属缶が用いられるが、樹脂ボトルやガラス瓶を用いることも可能である。
【0029】
また、噴出ステム41の上部は口部42の上端面から上方に向けて突出されており、この噴出ステム41の上部には容器2の底部24のシリンダー部13内において軸方向に摺動可能なピストン9が外装されている。このピストン9は、シリンダー部13の内側に軸方向に摺動可能に嵌合された外筒部90と、外筒部90の内側に配設された内筒部91と、外筒部90と内筒部91とを全周に亘って連結する連結部92と、を備えている。外筒部90の軸方向の両端部は、それぞれ拡径されており、この外筒部90の両端部の外周面は、シリンダー部13の内周面にそれぞれ液密に摺接されている。内筒部91の下端面は、ガス缶40の口部42の上端面に当接可能となっている。なお、内筒部91と噴出ステム41との摩擦抵抗が外筒部90とシリンダー部13との摩擦抵抗よりも大きい場合には、ガス缶40内に押し込まれた噴出ステム41がガス缶40に対して相対的に上昇したとき、内筒部91の下端面がガス缶40の口部42の上端面から離間される。また、内筒部91の内側には、噴出ステム41が軸方向に摺動可能に挿通されており、この内筒部91の内周面には、噴出ステム41の外周面に装着されたOリング状のシール部材43が液密に密接されている。
なお、噴出ステム41と内筒部91とをアンダーカット嵌合や螺合などの手段によって上下摺動不能に連結してもよい。この場合、噴出ステム41から高圧ガスGを噴出させていない状態(噴出ステム41がガス缶40内に押し込まれていない状態)のとき、内筒部91の下端面がガス缶40の口部42の上端面から離間される。
【0030】
上記したガスボンベ4は、容器2の装着筒部25に装着された有底筒状のボンベ収容部材6の内側に軸方向に移動可能に収容されている。このボンベ収容部材6は、容器2に対して相対的に昇降可能な部材である。詳しく説明すると、ボンベ収容部材6は、軸線Oを中心軸とする円筒状の周壁部60と、周壁部60の下端部に設けられた底部61と、を備えている。周壁部60の上部の内周面には、装着筒部25の雄ネジに螺合される雌ネジが形成されており、ボンベ収容部材6は装着筒部25に螺着されている。これにより、ボンベ収容部材6と容器2とを相対的に軸線O回りに回転させることで、ボンベ収容部材6は、容器2に対して相対的に昇降する。
【0031】
上記したボンベ収容部材6の内側には、ガス缶40をステム係合部5側(上方)に向けて付勢する付勢部材7が収容されている。この付勢部材7は、軸方向に付勢するコイルスプリング(圧縮ばね)であり、ボンベ収容部材6の底部61に固定されたスプリング保持部62とガス缶40の底部44との間に介装されている。
なお、この付勢部材7は、底部61と一体に成形される弾性片(樹脂ばね)とすることも可能である。
【0032】
次に、上記した構成からなる吐出容器1の作用について説明する。
【0033】
使用開始前の吐出容器1は、図1に示すように、ボンベ収容部材6が容器2に対して相対的に下降した状態で装着されている。詳しく説明すると、ボンベ収容部材6が装着筒部25に緩んだ状態で螺着されており、ボンベ収容部材6の上端面と容器2の胴部22の下端面との間に隙間があけられている。このとき、噴出ステム41の先端は、ステム係合部5の筒部50の下端面から離間されているので、噴出ステム41がガス缶40に対して相対的に下降することがなく、高圧ガスGが噴出されることがない。この時、噴出ステム41がガス缶40に対して相対的に下降されない状態であれば、噴出ステム41の先端をステム係合部5の筒部50の下端面に当接させてもよい。
【0034】
吐出容器1を使用する際には、まず、図2に示すように、ボンベ収容部材6を容器2に対して相対的に上昇させて、内容物Xを吐出する準備を行う。具体的に説明すると、ボンベ収容部材6と容器2とを相対的に軸線O回りに回転させ、ボンベ収容部材6の上端面と容器2の胴部22の下端面とが当接するまで、装着筒部25に螺着されたボンベ収容部材6を締め込む。これにより、ボンベ収容部材6と共にガスボンベ4が容器2に対して相対的に上昇し、噴出ステム41の先端面がステム係合部5の筒部50の底部に当接されるとともに付勢部材7が圧縮される。そして、圧縮された付勢部材7によってガス缶40が上方に向かって付勢されることで、噴出ステム41がステム係合部5によって下方に押圧され、噴出ステム41がガス缶40に対して相対的に下降してガス缶40内に押し込まれる。噴出ステム41がガス缶40内に押し込まれると、噴出ステム41の先端から高圧ガスGが噴出する。
【0035】
噴出ステム41から噴出された高圧ガスGは、ステム係合部5の筒部50の底部に形成された貫通孔52から筒部50内に流入し、筒部50の上端開口部から容器2のガス導入室27(底部24と可動隔壁部26との間)に流入し、さらに、ステム係合部5の隣り合う連結部51間の隙間からシリンダー部13内に流入する。これにより、ガス導入室27に導入された高圧ガスGの圧力によって可動隔壁部26が押し上げられ、収容室21の内容積が減縮されるとともにガス導入室27の内容積が増大し、収容室21の内圧が上昇していき、収容室21の内圧が外気圧よりも高くなる。
【0036】
また、シリンダー部13内に高圧ガスGが流入すると、その高圧ガスGの圧力によってシリンダー部13内のピストン9が下向きに押圧され、このピストン9の内筒部91の下端面がガス缶40の口部42の上端面を押圧する。したがって、シリンダー部13の内圧の上昇に伴い、ピストン9と共にガス缶40が下方へ移動し、噴出ステム41がガス缶40に対して相対的に上昇する。そして、シリンダー部13内の内圧と付勢部材7の付勢力(圧縮力)とが等しくなった時点で、ガス缶40の下降が停止されるとともに噴出ステム41からの高圧ガスGの噴出が停止され、そして、可動隔壁部26の上昇が停止される。
【0037】
次に、図3に示すように、吐出器3を操作して収容室21内の内容物Xを吐出させる。
詳しく説明すると、指等で押下ヘッド33の押圧面33bを押圧して押下ヘッド33を押し下げる。これにより、押下ヘッド33と共に吐出ステム32が軸方向下側へ移動するとともに付勢部材34が圧縮される。吐出ステム32が軸方向下側へ移動することで、吐出ステム32の下部に形成された連通口37がシール部材35の下方に配置され、連通口37の外周側の開口部が開放される。これにより、吐出ステム32の内側とシリンダ31の下筒部84の内側とが連通される。この下筒部84の内側は、シリンダ31の底壁部85に形成された連通孔85aを介して収容室21に連通されているので、この連通孔85a、下筒部84の内側及び上記した連通口37を介して収容室21と吐出ステム32の内側とが連通された状態となる。また、吐出ステム32の内側は、吐出口36を介して外部に連通されているので、収容室21が外部に連通された状態となる。これにより、収容室21内の内容物Xが、収容室21の内圧と外気圧との圧力差によって、シリンダ31の底壁部85の連通孔85aを通ってシリンダ31の下筒部84内に流入した後、連通口37を通って吐出ステム32内に流入し、さらに、吐出ステム32の上端開口部から押下ヘッド33の連通路33aに流入し、吐出口36から外部に吐出される。
【0038】
このとき、内容物Xと共に収容室21内の圧力が抜けていき、また、収容室21内の内容物Xが減少するため、可動隔壁部26が上昇し、その結果、ガス導入室27の容積が増大してガス導入室27及びシリンダー部13内の内圧が低下する。これにより、ピストン9を介してガス缶40を押し下げる力が小さくなるので、付勢部材7の付勢力によってガス缶40が上方に移動し、ステム係合部5に係止された噴出ステム41がガス缶40に対して相対的に下降してガス缶40内に押し込まれる。これにより、噴出ステム41の先端から高圧ガスGが噴出してガス導入室27及びシリンダー部13内に導入され、この高圧ガスGの圧力によって可動隔壁部26が押し上げられる。このため、内容物Xの吐出による収容室21の内圧低下が抑えられる。つまり、収容室21内の内容物Xの吐出時における収容室21の内圧変動が抑えられ、収容室21の内圧が安定した正圧状態(内圧が外気圧よりも高い状態)で維持される。
【0039】
次に、図4に示すように、吐出器3の操作を解除して内容物Xの吐出を停止させる。詳しく説明すると、押下ヘッド33の押圧面33bの押圧を解除すると、付勢部材34の付勢力(圧縮力)によって吐出ステム32が上方に押し上げられ、連通口37の外周側の開口部がシール部材35の内周面によって閉塞される。これにより、収容室21が密封され、収容室21内の内容物Xが吐出ステム32内に流入しなくなり、吐出口36からの内容物Xの吐出が停止される。そして、内容物Xの吐出が停止すると、ガスボンベ4からシリンダー部13内に導入された高圧ガスGによってシリンダー部13内の内圧が上昇する。
このシリンダー部13内の内圧上昇に伴いピストン9が押し下げられる。そして、このピストン9によってガス缶40が下向きに押圧され、ガス缶40が下降するとともに付勢部材7が圧縮され、噴出ステム41がガス缶40に対して相対的に上昇する。そして、シリンダー部13内の内圧と付勢部材7の付勢力(圧縮力)とが等しくなった時点で、ガス缶40の下降が停止されるとともに噴出ステム41からの高圧ガスGの噴出が停止される。
これにより、収容室21の内圧が安定した正圧状態で維持される。
【0040】
上記した構成からなる吐出容器1によれば、内容物Xの吐出に伴う収容室21の内圧減少が抑えられるので、内容物Xを収容した収容室21の内圧を安定的に高めることができる。これにより、吐出器3による収容室21内の内容物Xの吐出が行われ易くなり、吐出容器1の操作性を向上させることができる。また、内容物Xの吐出量の低減を抑えることができるので、最後まで一定の吐出量で内容物Xを吐出させることができる。
【0041】
また、上記した構成からなる吐出容器1によれば、収容室21の内圧を外気圧よりも高くし、収容室21の内圧と外気圧との圧力差によって内容物Xを吐出させるので、吐出器3を簡単な構成にすることができ、吐出器3の部品数を削減することができる。
【0042】
また、上記した構成からなる吐出容器1では、押下ヘッド33を押し下げて吐出ステム32の内側と収容室21とを連通させている状態のとき、ガスボンベ4からガス導入室27に高圧ガスGが導入されることで収容室21内が加圧され、収容室21の内圧が外気圧よりも高い状態で維持されているので、吐出ステム32の内側と収容室21とが連通されている限り、内容物Xが一定の吐出量で吐出され続ける構成とすることもできる。つまり、内容物Xの吐出時において、ガスボンベ4による高圧ガスGの噴出量と吐出器3による内容物Xの吐出量とのバランスが、ガス導入室27の加圧速度が収容室21の減圧速度以上になるように設定されている場合、押下ヘッド33を押し下げたままにすることにより、内容物Xを一定の吐出量で連続吐出させることができる。
【0043】
また、上記した構成からなる吐出容器1では、容器2に対して相対的に昇降可能なボンベ収容部材6にガスボンベ4が収容されており、使用開始前の吐出容器1においては、ボンベ収容部材6を容器2に対して相対的に下降させ、噴出ステム41とステム係合部5とが離間され、噴出ステム41とステム係合部5との係合が解除されているので、流通段階において、振動や衝撃などによってガスボンベ4の高圧ガスGが噴出される不具合を防止することができる。
【0044】
[第2の実施の形態]
次に、発明に係る吐出容器の第2の実施の形態について、図5から図8に基いて説明する。
図5から図8は本実施の形態における吐出容器201の縦断面図である。
なお、上述した第1の実施の形態と同様の構成については第1の実施の形態と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0045】
図5に示すように、本実施の形態における吐出容器201の容器2の底部224は、容器2の胴部22の下端部から全周に亘って径方向内側に突出された円環状の外周部210と、外周部210の内縁に立設されているとともに上方に向かうに従い漸次縮径された筒状のテーパー部211と、テーパー部211の上端を閉塞する円盤状の平板部212と、平板部212の下面から垂下された円筒状のシリンダー部213と、を備えている。上記したテーパー部211及びシリンダー部213は、軸線Oを共通軸にして胴部22と同軸上に配設されている。また、底部224には、底部224の下方に形成された後述するガス流通空間229とガス導入室27とを連通する連通口217が形成されている。この連通口217は、テーパー部211の上部から平板部212の外周部にかけて延設された開口であり、平面視においてシリンダー部213の周囲に間欠的に複数配設されている。
【0046】
また、容器2の装着筒部25の内側には、上記した底部224を下方側から覆う下皿部材228が嵌合されている。下皿部材228は、底部224との間に隙間をあけて配設された板部であり、この下皿部材228と上記した底部224との間には、ガスボンベ4の噴出ステム41から噴出された高圧ガスGをガス導入室27まで流通させるガス流通空間229が形成されている。下皿部材228は、シリンダー部213の下端面との間に隙間をあけて配設された円環状の底板部232と、底板部232の外縁部から立設された外筒部231と、底板部232の内縁部から立設された内筒部230と、を備えている。外筒部231は、装着筒部25の上端部の内側にアンダーカット嵌合されている。内筒部230の内側には、ガスボンベ4の噴出ステム41が軸方向に摺動可能に挿通されている。
【0047】
また、上記したシリンダー部213の内側には、シリンダー部213内において軸方向に摺動可能なピストン209が収容されている。このピストン209は、噴出ステム41に上方から係合するステム係合部であり、シリンダー部213の内側に軸方向に摺動可能に嵌合された外筒部290と、外筒部290の内側に配設された内筒部291と、外筒部290と内筒部291とを全周に亘って連結する連結部292と、を備えている。外筒部290の軸方向の両端部は、それぞれ拡径されており、この外筒部290の両端部の外周面は、シリンダー部213の内周面にそれぞれ液密に摺接されている。内筒部291は、有底筒状の筒部であり、その下端面には、平面視十字形状に形成された凹溝291aが形成されている。
【0048】
また、上記したシリンダー部213の内側には、ピストン209をガス缶40側に付勢する付勢部材207が収容されている。この付勢部材207は、軸方向に付勢するコイルスプリング(圧縮ばね)であり、容器2の底部224の平板部212とピストン209の連結部292との間に介装されている。
【0049】
次に、上記した構成からなる吐出容器201の作用について説明する。
【0050】
使用開始前の吐出容器201は、図5に示すように、ボンベ収容部材6が容器2に対して相対的に下降した状態で装着されている。詳しく説明すると、ボンベ収容部材6が装着筒部25に緩んだ状態で螺着されており、ボンベ収容部材6の上端面と容器2の胴部22の下端面との間に隙間があけられている。このとき、噴出ステム41の先端は、ピストン209の内筒部291の下端面から離間されている。
【0051】
吐出容器201を使用する際には、まず、図6に示すように、ボンベ収容部材6を容器2に対して相対的に上昇させて、内容物Xを吐出する準備を行う。具体的に説明すると、ボンベ収容部材6と容器2とを相対的に軸線O回りに回転させ、ボンベ収容部材6の上端面と容器2の胴部22の下端面とが当接するまで、装着筒部25に螺着されたボンベ収容部材6を締め込む。これにより、噴出ステム41の先端面がピストン209の内筒部291の下端面に当接されるとともに付勢部材207が圧縮されてピストン209が下方に向かって付勢され、噴出ステム41がピストン209によって押圧されてガス缶40内に押し込まれ、噴出ステム41の先端から高圧ガスGが噴出する。
【0052】
噴出ステム41から噴出された高圧ガスGは、ピストン209の内筒部291の凹溝291aからシリンダー部213内に流入し、このシリンダー部213の下端開口部からガス流通空間229内に流入し、ガス流通空間229内から連通口217を通ってガス導入室27に流入する。これにより、ガス導入室27に導入された高圧ガスGの圧力によって可動隔壁部26が押し上げられて収容室21の内圧が上昇していき、収容室21の内圧が外気圧よりも高くなる。また、シリンダー部213内に流入した高圧ガスGの圧力によってシリンダー部213内のピストン209が上向きに押圧されて上昇し、噴出ステム41がガス缶40に対して相対的に上昇する。そして、シリンダー部213内の内圧と付勢部材207の付勢力(圧縮力)とが等しくなった時点で、ピストン209の上昇が停止されるとともに噴出ステム41からの高圧ガスGの噴出が停止され、そして、可動隔壁部26の上昇が停止される。
【0053】
次に、図7に示すように、吐出器3を操作して容器本体103(収容室21)内の内容物Xを吐出させる。このとき、内容物Xと共に収容室21内の圧力が抜けていき、また、収容室21内の内容物Xが減少するため、可動隔壁部26が上昇し、その結果、ガス導入室27の容積が増大してガス導入室27、ガス流通空間229及びシリンダー部213内の内圧が低下する。これにより、ピストン209を押し下げる付勢部材207の付勢力(圧縮力)に抵抗する力が小さくなるので、付勢部材207の付勢力によってピストン209を介して噴出ステム41が押し下げられ、噴出ステム41がガス缶40内に押し込まれる。これにより、噴出ステム41の先端から高圧ガスGが噴出してシリンダー部213内、ガス流通空間229及びガス導入室27に導入され、この高圧ガスGの圧力によって可動隔壁部26が押し上げられる。このため、内容物Xの吐出による収容室21の内圧低下が抑えられ、収容室21の内圧が安定した正圧状態で維持される。
【0054】
次に、図8に示すように、吐出器3の操作を解除して内容物Xの吐出を停止させる。
内容物Xの吐出が停止すると、ガスボンベ4からシリンダー部213内及びガス流通空間229に導入された高圧ガスGによってシリンダー部213内及びガス流通空間229の内圧が上昇する。このシリンダー部213内の内圧上昇に伴いピストン209が押し上げられるとともに付勢部材207が圧縮され、噴出ステム41がガス缶40に対して相対的に上昇する。そして、シリンダー部213内(ガス流通空間229内)の内圧と付勢部材207の付勢力(圧縮力)とが等しくなった時点で、ピストン209の上昇が停止されるとともに噴出ステム41からの高圧ガスGの噴出が停止される。これにより、収容室21の内圧が安定した正圧状態で維持される。
【0055】
上記した構成からなる吐出容器201によれば、上述した第1の実施の形態における吐出容器1と同様に、内容物Xを収容した収容室21の内圧を安定的に高めることができるので、吐出容器201の操作性を向上させることができるとともに内容物Xの吐出量の低減を抑えることができ、さらに、内容物Xを一定の吐出量で連続吐出させることができる。
【0056】
以上、本発明に係る吐出容器の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記した第1、第2の実施の形態では、収容室21を有する容器2や容器本体103が1つの部品で構成されており、収容室21を開放させることができない構成になっているが、本発明は、図9に示すように、容器302の上部を着脱可能にした構成にすることも可能である。詳しく説明すると、この容器302は、胴部22、底部24及び装着筒部25を一体に形成した有底筒状の容器本体302Aと、肩部23及び口部20を一体に形成し、容器本体302Aの上端部に螺着された蓋体302Bと、から構成されている。胴部22の上端部の外周面には雄ネジ22aが形成されており、肩部23の外縁部には装着筒部28が垂下され、この装着筒部28の内周面には上記雄ネジ22aに螺合される雌ネジ28aが形成されている。このような構成の容器302を備える吐出容器1によれば、蓋体302Bを容器本体302Aから取り外すことにより収容室21が開放されるので、収容室21内の内容物Xの詰め替えを行うことができる。
【0057】
また、上記した第1、第2の実施の形態では、吐出器3の装着キャップ30が容器2の口部20に凹凸嵌合(アンダーカット嵌合)されており、口部20から吐出器3を取り外すことができない構成となっているが、本発明は、吐出器3を口部20に着脱可能に装着させた構成にすることも可能である。例えば、図10に示すように、装着キャップ30の外筒部81の内周面に、雌ネジ81aを形成するとともに、口部20の外周面に、上記雌ネジ81aに螺合される雄ネジ20aを形成し、装着キャップ30を口部20に螺着させた構成であってもよい。これにより、吐出器3を口部20から取り外すことにより口部20の上端部が開放されるので、この口部20から収容室21内の内容物Xの詰め替えを行うことができる。
【0058】
また、上記した第1、第2の実施の形態では、容器2の底部24,224が容器2の胴部22と一体に形成されているが、本発明は、容器2の底部が容器2の胴部22と別体に形成されていてもよい。例えば、図10に示すように、容器2の底部424の外周部10の外縁から円筒状の嵌合筒部417が垂下され、この嵌合筒部417が装着筒部25の内側にアンダーカット嵌合された構成であってもよい。
さらに、上記した第1、第2の実施の形態では、胴部22の内側に可動隔壁部26が設けられているので、容器2の底部24,224を省略することも可能である。
【0059】
また、上記した第1、第2の実施の形態では、ボンベ収容部材6が容器2に対して相対的に昇降可能に装着されているが、本発明は、ボンベ収容部材が容器に固定された構成であってもよい。例えば、ボンベ収容部材6が容器2の装着筒部25にアンダーカット嵌合されていてもよい。
【0060】
また、上記した第1、第2の実施の形態における吐出容器1,201は、収容室21の内圧を外気圧よりも高くし、収容室21の内圧と外気圧との圧力差によって収容室21内の内容物Xを吐出するエアゾール式の吐出容器であるが、本発明は、ポンプ式の吐出容器であってもよい。すなわち、容器2の口部20に装着される吐出器にポンプ機構が備えられていてもよい。
【0061】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1、201 吐出容器
2 容器
3 吐出器
4 ガスボンベ
5 ステム係合部
6 ボンベ収容部材
7、207 付勢部材
20 口部
21 収容室
40 ガス缶
41 噴出ステム
209 ピストン(ステム係合部)
G 高圧ガス
X 内容物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する収容室を有する容器と、該容器の口部に装着され、前記収容室内の内容物を吐出する吐出器と、を備える吐出容器であって、
高圧ガスを収容するガス缶と、該ガス缶に上方付勢状態で貫設された噴出ステムと、を有し、前記噴出ステムが前記ガス缶に対して相対的に下降することで、前記ガス缶内の高圧ガスを前記噴出ステムから噴出させて前記容器内に導入させるガスボンベと、
前記噴出ステムに上方から係合するステム係合部と、
前記ガス缶及び前記ステム係合部のうちの何れか一方を他方側に向けて付勢し、前記収容室内の内容物の吐出に伴い前記一方を前記他方側に向かって移動させる付勢部材と、
が備えられ、
前記容器は、その内部空間を、前記収容室と、前記ガスボンベから高圧ガスが導入されるガス導入室と、に区画する可動隔壁部を備え、
該可動隔壁部は、前記ガス導入室に導入された高圧ガスの圧力によって、前記収容室の内容積を減縮させ、かつ前記ガス導入室の内容積を増大させるように移動可能に配設されていることを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
請求項1に記載の吐出容器において、
前記吐出器には、前記口部に装着された装着キャップと、該装着キャップに上方付勢状態で貫設された吐出ステムと、該吐出ステムの上端に設けられているとともに該吐出ステムに連通する吐出口が形成された押下ヘッドと、が備えられ、
前記収容室の内圧を外気圧よりも高くするとともに前記吐出ステムを前記装着キャップに対して相対的に下降させることで、前記吐出ステムの内側と前記収容室の内側とが連通され、前記収容室の内圧と外気圧との圧力差によって前記収容室内の内容物が前記吐出ステムを通って前記吐出口から吐出されることを特徴とする吐出容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吐出容器において、
前記容器の下端部には、前記ガスボンベを収容するボンベ収容部材が、前記容器に対して相対的に昇降可能に装着されていることを特徴とする吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−60236(P2013−60236A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−274825(P2012−274825)
【出願日】平成24年12月17日(2012.12.17)
【分割の表示】特願2008−199087(P2008−199087)の分割
【原出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】