説明

吐出容器

【課題】未開封状態における内容物の漏出を防止し易くすること。
【解決手段】吐出容器10は、内容物を吐出する吐出口12が形成された吐出キャップ13と、吐出口12と容器本体11内との連通を遮断する遮断板14とを備え、外容器17に、内容器16との間に外気を吸入する吸気孔23が形成され、遮断板14に、吐出口12と容器本体11内とを連通する連通開口36が形成され、連通開口36は、吐出口12側から被覆体37により被覆され、被覆体37は、連通開口36を囲繞するとともに周方向の一部分が開口した固着部を介して遮断板14の表面に固着され、被覆体37における遮断板14の表面との非固着部41は、遮断板14の表面に離間可能に液密に密接するとともに、該表面から離間したときに、連通開口36と吐出口12とを連通させるように構成され、吐出キャップ13に、吐出口12を閉塞する抜栓部47が離脱可能に連設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、天壁部上に設けられたフィルム部材の変形を利用して内容物の吐出およびその遮断を切り替える吐出容器が知られている。この吐出容器では、フィルム部材が、天壁部に形成された流出開口を通して流出した内容物に押圧されて変形し、フィルム部材において天壁部上に密接している密接部分が天壁部から離反して上側に浮き上がった状態となり、内容物がこの浮き上がった部分を通して吐出口から外部に吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−198300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の吐出容器では、製品輸送時や流通時等の未開封状態において、フィルム部材が例えば内容物に押圧される等して変形し、内容物が漏出するおそれがあった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、未開封状態における内容物の漏出を防止し易くすることができる吐出容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る吐出容器は、内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器、および該内容器が内装される外容器を備える容器本体から、内容物を吐出する吐出容器であって、前記容器本体の口部に装着されるとともに、内容物を吐出する吐出口が形成された吐出キャップと、前記吐出口と前記容器本体の内部との連通を遮断する遮断板と、を備え、前記外容器には、該外容器と前記内容器との間に外気を吸入する吸気孔が形成され、前記遮断板には、前記吐出口と前記容器本体の内部とを連通する連通開口が形成され、該連通開口は、前記吐出口側から被覆体により被覆され、該被覆体は、前記連通開口を囲繞するとともに少なくとも周方向の一部分が開口した固着部を介して、前記遮断板において前記吐出口側を向く表面に固着され、該被覆体における前記遮断板の前記表面との非固着部は、前記遮断板の前記表面に離間可能に液密に密接するとともに、該表面から離間したときに、該表面との間を通して前記連通開口と前記吐出口とを連通させるように構成され、前記吐出キャップには、前記吐出口を閉塞する抜栓部が離脱可能に連設されていることを特徴とする。
【0007】
この発明では、製品輸送時や流通時等の未開封状態では、抜栓部が吐出口を閉塞しており、内容物が吐出口を通して外部に漏出することが抑制される。
【0008】
一方、使用時には、抜栓部を吐出キャップから離脱させ、吐出口を開放する。
その後、例えば容器本体を傾けたり、スクイズ変形させたり等して、容器本体の内容器内の内容物を連通開口から流出させる。すると、連通開口から流出する内容物によって被覆体が押圧され、被覆体のうちの非固着部が遮断板の表面から離間して吐出口側に凸となるドーム状に膨出する。これにより、内容物が、被覆体の非固着部と遮断板の表面との間を通して固着部の開口位置から流出し、吐出口から外部に吐出される。
その後、例えば容器本体を元の正立姿勢に戻したり、スクイズ変形を停止または解除したり等して、連通開口からの内容物の流出を停止させる。すると、被覆体に付与されていた内容物からの押圧力が解除され、遮断板の表面から離間していた被覆体の非固着部が、元の状態に復元されて遮断板の表面に密接する。これにより、被覆体の非固着部と遮断板の表面との間を通した連通開口と吐出口との連通が遮断され、連通開口がシールされる。
【0009】
なお、以上のように内容物を吐出するときに、内容器が減容変形することにより、内容器と外容器との間で負圧が発生すると、外気が、外気導入孔および吸気孔を通して内容器と外容器との間に吸入されることとなる。これにより、容器本体から内容物を吐出した後、内容器の形状を減容変形した状態で保持しつつ、外容器の形状を未使用状態と同等の形状に維持し易くなる。
【0010】
以上のように、前記抜栓部を備えているので、未開封状態において、仮に内容物が連通開口を流通して固着部の開口位置から流出したとしても、吐出口からの内容物の漏出を防止し易くすることができる。
【0011】
また、前記連通開口と前記固着部の開口位置とは、径方向に離間して配置され、前記抜栓部には、前記非固着部のうち、前記連通開口と前記固着部の開口位置との間に位置する部分を、前記遮断板の前記表面に押し付ける押付部が突設されていてもよい。
【0012】
この場合、抜栓部に前記押付部が突設されているので、未開封状態で、仮に内容物が連通開口から流出したとしても、被覆体の非固着部のうち、連通開口と固着部の開口位置との間に位置する部分が、内容物の押圧力によって遮断板の表面から離間するのを抑えることが可能になり、非固着部と遮断板の表面との間を通して連通開口と吐出口とが連通されるのを抑制することができる。これにより、未開封状態における内容物の漏出を確実に防止し易くすることができる。
【0013】
また、前記吐出キャップには、前記吸気孔と外部とを連通する外気導入孔が形成されるとともに、前記吐出口を覆うオーバーキャップが装着され、該オーバーキャップは、前記外気導入孔と外部との連通を遮断していてもよい。
【0014】
この場合、オーバーキャップが、外気導入孔と外部との連通を遮断しているので、オーバーキャップが装着された状態で、外気導入孔内に、例えば埃などの異物が入り込むのを抑制することが可能になり、外気導入孔を清浄な状態に維持し、外気導入孔を通した吸気孔と外部との連通を確保し易くすることができる。
【0015】
また、前記吐出口は、前記口部の径方向の内側に位置するとともに、前記抜栓部が前記吐出キャップから離脱させられた状態で容器軸方向の両側に向けて開口するように構成され、前記吐出キャップには、前記口部に外装された外装筒部と、該外装筒部から径方向の内側に向けて突設され前記口部の開口端縁上に配置されたリング部と、が備えられるとともに、前記吸気孔と外部とを連通する外気導入孔が形成され、前記リング部の外表面には、容器軸方向に窪むとともに周方向に延在する周溝部が形成され、前記外気導入孔は、前記周溝部の底面に、前記口部と前記外装筒部との間に連通するように形成されていてもよい。
【0016】
この場合、外気導入孔が、周溝部の底面に形成されているので、リング部の外表面上の内容物が、外気導入孔内に入り込むためには、周溝部内を通り周溝部の底面に到達する必要がある。したがって、例えば外気導入孔が、リング部の外表面に形成されている場合などに比べて、外気導入孔内に内容物を入り込ませ難くすることが可能になり、外気導入孔を清浄な状態に維持し、外気導入孔を通した吸気孔と外部との連通を確保し易くすることができる。
【0017】
また、前記外気導入孔は、前記固着部の開口位置を周方向に回避するように配設され、前記周溝部の底面において、前記固着部の開口位置と前記外気導入孔との周方向の間に位置する部分には、突リブ部が突設されていてもよい。
【0018】
この場合、外気導入孔が、固着部の開口位置を周方向に回避するように配設されているので、固着部の開口位置から流出して吐出口から吐出される内容物が、周溝部のうち、外気導入孔が位置する部分(以下、孔形成部分という)の内部に入り込み難くすることができる。さらに、周溝部の底面において、固着部の開口位置と外気導入孔との周方向の間に位置する部分に、突リブ部が突設されているので、周溝部内の内容物が、周溝部を周方向に流通して前記孔形成部分の内部に入り込むのを抑制することができる。
以上のように、内容物を、前記孔形成部分の内部に入り込み難くすることが可能になり、外気導入孔を清浄な状態に一層維持し易くすることができる。
【0019】
また、前記突リブ部は、前記外気導入孔を周方向の両側から挟み込むように複数配設されていてもよい。
【0020】
この場合、突リブ部が、外気導入孔を周方向の両側から挟み込むように複数配設されているので、前記孔形成部分が、周方向の両側から突リブ部により挟み込まれることとなる。これにより、リング部の外表面から前記孔形成部分の内部に直接、内容物が入り込むのを効果的に抑制することが可能になり、外気導入孔を清浄な状態により一層維持し易くすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る吐出容器によれば、未開封状態における内容物の漏出を防止し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る吐出容器の縦断面図である。
【図2】図1に示す吐出容器であって、吐出キャップからオーバーキャップおよび抜栓部を離脱させた状態を示すA−A断面矢視図である。
【図3】図1に示す吐出容器の要部の拡大縦断面図である。
【図4】図3に示すB−B断面矢視図である。
【図5】図1に示す吐出容器の作用を説明する縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る吐出容器を説明する。
図1に示すように、吐出容器10は、例えば液状など流動性を具備する内容物が収容される容器本体11と、容器本体11の口部11aに装着されるとともに、内容物を吐出する吐出口12が形成された吐出キャップ13と、吐出口12と容器本体11の内部との連通を遮断する遮断板14と、吐出口12を覆うように吐出キャップ13に装着されたオーバーキャップ15と、を備えており、容器本体11から内容物を吐出する。
【0024】
なお、これらの容器本体11、吐出口12、吐出キャップ13、遮断板14およびオーバーキャップ15の各中心軸線は、共通軸上に位置している。以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿ったオーバーキャップ15側を上側といい、その反対側を下側といい、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0025】
容器本体11は、内容物を収容するとともに内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器(内層)16と、該内容器16が内装される外容器(外層)17と、を備えている。なお図示の例では、容器本体11は、外容器17に対して内容器16が剥離可能に積層されたデラミボトル(積層剥離型容器)とされている。
なお、外容器17を弾性変形可能に形成してもよい。
【0026】
容器本体11の口部11aは、内容器16の口部16aと外容器17の口部17aとが積層された構成とされ、上側に位置する上筒部18と、上筒部18の下側に位置し該上筒部18よりも大径に形成された中間筒部19と、中間筒部19の下側に位置し上筒部18と略同径に形成された下筒部20と、からなる三段筒状に形成されている。上筒部18のうち、外容器17の口部17aで構成された部分の外周面には、係合突部21が全周にわたって突設されている。係合突部21には、前記容器軸O方向に延在する縦溝22が形成されている。
【0027】
外容器17には、該外容器17と内容器16との間に外気を吸入する吸気孔23が形成されている。吸気孔23は、外容器17の口部17aに形成されており、図示の例では、容器本体11の口部11aにおける上筒部18のうち、外容器17の口部17aで構成された部分において前記係合突部21よりも下側に位置する部分に形成されている。
【0028】
吐出キャップ13には、容器本体11の口部11aに外装された外装筒部24と、外装筒部24から径方向の内側に向けて突設され前記口部11aの開口端縁上に配置されたリング部25と、リング部25の内周縁に連設されるとともに容器本体11の口部11aに内装された内装筒部29と、該内装筒部29内に配置された流通筒部30と、流通筒部30から径方向の内側に向けて突設された環状の口部材35と、が備えられている。これらの外装筒部24、リング部25、内装筒部29、流通筒部30および口部材35は、一体に成形されている。
【0029】
外装筒部24の下端部は、容器本体11の口部11aの前記中間筒部19に気密状態で外嵌しており、外装筒部24の下側を通した吸気孔23と吐出容器10の外部との連通を遮断している。また、外装筒部24において下端部よりも上側に位置し、容器本体11の口部11aの上筒部18と径方向に対向する対向部分には、該口部11aの前記係合突部21が係合する係合凹部26が形成されている。
なお、前記対向部分と上筒部18との間には、前記吸気孔23に連通する環状空間S1が画成されている。環状空間S1は、全周にわたって延在している。
【0030】
リング部25は、外装筒部24の上端から径方向の内側に向けて突設され、リング部25の径方向の内端部が、容器本体11の口部11aの開口端縁上に位置している。また、リング部25の上面(リング部の外表面)には、下方(容器軸方向)に窪むとともに周方向に延在する周溝部27が形成されており、本実施形態では、周溝部27は、前記容器軸Oと同軸となるように、全周にわたって延設されている。
なお図示の例では、周溝部27の径方向の内側には、該周溝部27に連なるとともに周溝部27よりも浅い浅溝部28が、全周にわたって延設されている。
【0031】
内装筒部29の外周面には、リング部25の内周縁が連結されており、内装筒部29においてリング部25よりも下方に位置する部分は、容器本体11の口部11a内に液密状態で嵌合している。
流通筒部30は、内装筒部29内に、該内装筒部29との間に全周にわたって延在する装着空間S2をあけて配置されている。流通筒部30の下端は、内装筒部29の下端よりも上側に位置するとともに、流通筒部30の上端は、内装筒部29の上端よりも上側に位置しており、流通筒部30の外周面には、内装筒部29の上端が連結されている。なお図示の例では、流通筒部30は、前記容器軸O方向の全長にわたって下方から上方に向かうに従い漸次、拡径しているが、前記容器軸O方向の全長にわたって同径であってもよい。
【0032】
口部材35は、流通筒部30において内装筒部29の上端よりも下側に位置する部分に配設されており、該口部材35の内部が、前記吐出口12となっている。
吐出口12は、容器本体11の口部11aの径方向の内側に位置しており、前記容器軸O方向から見た平面視において、該口部11aの内側に位置している。また吐出口12は、後述する抜栓部47が吐出キャップ13から離脱させられた状態で、前記容器軸O方向の両側に向けて開口するように構成されている。
【0033】
遮断板14の上下両面は、径方向に沿って延在しており、遮断板14は、流通筒部30を下方から閉塞している。
また遮断板14は、吐出キャップ13に装着されている。本実施形態では、遮断板14の外周縁は、吐出キャップ13の内装筒部29内に嵌合された装着筒部34の内周面に連結されており、遮断板14は、装着筒部34を介して吐出キャップ13に装着されている。なお、装着筒部34において遮断板14よりも上側に位置する部分は、前記装着空間S2内に挿入されており、流通筒部30に外嵌されている。また、これらの遮断板14および装着筒部34は一体に成形されるとともに、遮断板14と吐出キャップ13とは別体で形成されている。
【0034】
ここで図1および図2に示すように、遮断板14には、吐出口12と容器本体11の内部とを連通する連通開口36が形成されている。
連通開口36は、遮断板14に、前記容器軸Oと同軸に貫設されるとともに、前記平面視において円形状をなしている。連通開口36の内径は、吐出キャップ13の流通筒部30の内径よりも小さくなっている。
【0035】
そして連通開口36は、上方(吐出口側)から被覆体37により被覆されている。被覆体37は、遮断板14の上面(遮断板において吐出口側を向く表面)に固着されており、連通開口36を開閉可能にシールして容器本体11を密閉している。該被覆体37は、可撓性を具備する膜状に形成され、遮断板14の上面に載置されるとともに前記容器軸Oと同軸に配置されている。また図2に示すように、被覆体37は、前記平面視において、遮断板14よりも小さく形成され、図示の例では、角部が面取りされた正方形状に形成されている。
【0036】
該被覆体37は、連通開口36を径方向の外側から囲繞するとともに周方向の一部分が開口した固着部38を介して遮断板14の上面に固着されている。
固着部38は、連通開口36の外周縁との間に間隔をあけて配置され、かつ被覆体37の外周縁に沿って連続して延在するとともに、被覆体37の外周縁に沿った周方向の一部分で開口しており、前記平面視においてU字状をなしている。これにより、被覆体37の外周縁、図示の例では、該外周縁のうちの前記平面視における辺部に、固着部38が開口する固着部38の開口位置39が形成されることとなる。該固着部38の開口位置39と連通開口36とは、径方向に離間して配置されている。
【0037】
また、被覆体37における遮断板14の上面との非固着部41は、固着部38の内側に位置するとともに、遮断板14の上面に離間可能に液密に密接しており、上方に例えば弾性的に膨出(反転変形)することで、遮断板14の上面から離間する。そしてこのとき、非固着部41は、遮断板14の上面との間に画成され、固着部38の開口位置39で径方向の外側に向けて開口する連通路40を通して連通開口36と吐出口12とを連通させるように構成されている。
【0038】
なお、遮断板14の上面に対する被覆体37の固着方法としては、例えば接着用シーラントや接着剤等による接着や、熱溶着等の溶着が考えられる。また被覆体37としては、破れ難い一般的なフィルムや、可撓性を有する樹脂製シート或いは金属箔等が挙げられ、層構成としても単層や積層のものが挙げられ、これらの各種構成を、伸縮性の有無に関係なく適用可能である。
【0039】
ここで図3に示すように、吐出キャップ13には、吸気孔23と外部とを連通する外気導入孔31が形成されている。外気導入孔31は、周溝部27の底面に、前記環状空間(口部と外装筒部との間)S1に連通するように形成されている。また図2に示すように、外気導入孔31は、固着部38の開口位置39を周方向に回避するように複数(図示の例では2つ)配設されている。
【0040】
そして、周溝部27の底面において、固着部38の開口位置39と外気導入孔31との周方向の間に位置する部分には、突リブ部32A、32Bが突設されている。突リブ部32A、32Bは、外気導入孔31を周方向の両側から挟み込むように複数配設されている。本実施形態では、突リブ部32A、32Bは、周溝部27のうち、外気導入孔31が位置する孔形成部分S3を周方向の両側から挟み込む一対の内突リブ部32Aと、該内突リブ部32Aを周方向の両側から挟み込む一対の外突リブ部32Bと、を備えている。
【0041】
これらの内突リブ部32Aおよび外突リブ部32Bは、いずれも同形同大に形成されており、突リブ部32A、32Bにおける径方向の内端縁と外端縁とは、前記容器軸O方向の全長にわたって周溝部27の側壁面に連結されている。また図3に示すように、突リブ部32A、32Bの上端縁は、リング部25の上面よりも下方に位置し、図示の例では、浅溝部28の底面よりも下方に位置している。
【0042】
なお図4に示すように、外気導入孔31の周方向に沿った大きさは、外気導入孔31から内突リブ部32Aまでの周方向に沿った距離、および内突リブ部32Aの周方向に沿った大きさのどちらよりも大きくなっている。
また図2に示すように、前記浅溝部28の底面のうち、前記突リブ部32A、32Bと周方向に対応する部分には、補助突リブ33が突設されている。図3に示すように、補助突リブ33の径方向の内端縁は、前記容器軸O方向の全長にわたって浅溝部28の側壁面に連結されており、補助突リブ33の上端縁は、前記リング部25の上面と面一となっている。
【0043】
図1に示すように、オーバーキャップ15は、有頂筒状に形成されており、オーバーキャップ15の周壁部42は、吐出キャップ13の内装筒部29において前記リング部25よりも上側に位置する部分に、例えば螺合などにより装着されている。また、オーバーキャップ15の頂壁部43には、吐出キャップ13の流通筒部30において内装筒部29の上端よりも上側に位置する部分内に嵌合される筒状の第1シール部44が、下方に向けて突設されている。
【0044】
またオーバーキャップ15は、外気導入孔31と外部との連通を遮断している。
本実施形態では、オーバーキャップ15の周壁部42の下端は、吐出キャップ13のリング部25上に位置しており、該下端には、径方向の外側に向けて突出するとともに前記浅溝部28および前記周溝部27を上方から覆う外フランジ部45が配設されている。外フランジ部45は、環状に形成され、外フランジ部45の径方向の外端部の下面は、リング部25の上面に全周にわたって当接している。また、外フランジ部45の下面には、前記周溝部27の側壁面のうち、径方向の内側を向く側壁面内に嵌合される筒状の第2シール部46が、下方に向けて突設されている。そして、これらの外フランジ部45および第2シール部46により、周溝部27と外部との連通が遮断されている。
【0045】
そして本実施形態では、吐出キャップ13には、吐出口12を閉塞する抜栓部47が、上方に向けて離脱可能に連設されており、図示の例では、抜栓部47は、破断容易な弱化部48を介して吐出キャップ13に連結されている。
抜栓部47は、遮断板14の上方に、被覆体37を間に挟んで前記容器軸O方向に対向するように配設されている。該抜栓部47は、表裏面が径方向に沿って延在する板状に形成され、抜栓部47の外周縁は、全周にわたって前記弱化部48を介して前記吐出口12の内周面に連結されている。なお弱化部48は、薄肉に形成されること等により破断容易となっており、周方向に連続して延在し前記容器軸O方向に非開口となっている。
【0046】
また抜栓部47には、抜栓部47の離脱時に操作するプルリング部49が連設されている。プルリング部49は、前記容器軸Oと同軸に配置されるとともに、例えば指などを掛けることが可能とされ、抜栓部47から上方に向けて突設された支柱部50を介して、抜栓部47に連結されている。支柱部50は、抜栓部47のうち、固着部38の開口位置39に前記容器軸O方向に対向する部分に配設されており、前記容器軸Oに対して径方向にずらされている。
【0047】
さらに抜栓部47には、非固着部41のうち、連通開口36と固着部38の開口位置39との間に位置する部分を、遮断板14の上面に押し付ける押付部51が突設されている。該押付部51は、遮断板14において前記支柱部50に対応する部分から、下方に向けて突設されている。
なお、これらの抜栓部47、プルリング部49、支柱部50、押付部51は、吐出キャップ13と一体に成形されている。
【0048】
また前記抜栓部47と、吐出キャップ13の口部材35および流通筒部30と、遮断板14と、の間に画成された画成空間S4内には、例えば窒素ガス等からなり、内容物の劣化を抑制する不活性ガスが充填されている。該不活性ガスは、例えば当該吐出容器10の製造過程において、吐出キャップ13と抜栓部47との連結体と、遮断板14と装着筒部34の連結体と、を、不活性ガス雰囲気下で組み付けること等により、前記画成空間S4内に充填される。なお該画成空間S4は、吐出口12と連通開口36を連通可能とされている。
【0049】
以上のように構成された吐出容器10では、製品輸送時や流通時等の未開封状態では、抜栓部47が吐出口12を閉塞するとともに、オーバーキャップ15が吐出口12を覆っており、内容物が吐出口12を通して外部に漏出することが抑制される。
【0050】
一方、使用時にはまず、オーバーキャップ15を離脱させるとともに、抜栓部47を、例えばプルリング部49に指を掛けて上方に向けて引き抜く等して弱化部48を破断させることにより、吐出キャップ13から離脱させ、吐出口12を開放する。
【0051】
その後、図5に示すように、容器本体11を傾けて、容器本体11の内容器16内の内容物を連通開口36から流出させる。すると、連通開口36から流出する内容物によって被覆体37が押圧され、被覆体37のうちの非固着部41が遮断板14の上面から離間して上側に凸となるドーム状に膨出する。これにより、内容物が、被覆体37の非固着部41と遮断板14の上面との間の前記連通路40を通して固着部38の開口位置39から流出して画成空間S4内に流入し、吐出口12から外部に吐出される。
【0052】
その後、容器本体11を元の正立姿勢に戻して、連通開口36からの内容物の流出を停止させる。すると、被覆体37に付与されていた内容物からの押圧力が解除され、遮断板14の上面から離間していた被覆体37の非固着部41が、例えば被覆体37の弾性復元力や、内容器16内が負圧になること等により、元の状態に復元されて遮断板14の上面に密接する。これにより、前記連通路40が閉塞され、被覆体37の非固着部41と遮断板14の上面との間を通した連通開口36と吐出口12との連通が遮断されて、連通開口36がシールされる。
【0053】
ここで、以上のように内容物を吐出するときに、内容物の吐出によって内容器16が減容変形し、内容器16と外容器17との間に負圧が発生する。すると外気が、外気導入孔31、環状空間S1および吸気孔23を通して内容器16と外容器17との間に吸入され、内容器16と外容器17との間に図示しない隙間空間が形成されることとなる。これにより、容器本体11から内容物を吐出した後、内容器16の形状を減容変形した状態で保持しつつ、外容器17の形状を未使用状態と同等の形状に維持し易くなる。
【0054】
なお本実施形態では、容器本体11を傾けることで内容物を吐出させたが、傾けながら容器本体11を径方向の内側に押し込んで圧搾(スクイズ変形)することで容器本体11の内圧を上昇させ、内容物の吐出を促すようにしても構わない。また、容器本体11を傾けずに、容器本体11をスクイズ変形させることで内容物を吐出させても構わない。
またこのように、当該吐出容器10では、種々の操作方法により内容物を吐出させることが可能であるが、各操作方法に応じて内容物が円滑に吐出されるように、例えば、外気導入孔31の大きさを変更し、内容器16と外容器17との間への外気の吸入され易さを調整したり、外気導入孔31に、内容器16と外容器17との間への外気の流入を許容し、流出を阻止する空気弁を設けたりする等してもよい。
【0055】
以上説明したように、本実施形態に係る吐出容器10によれば、前記抜栓部47を備えているので、未開封状態において、仮に内容物が連通開口36および前記連通路40を流通して固着部38の開口位置39から流出し、画成空間S4内に流入したとしても、内容物を画成空間S4内に留め、吐出口12からの内容物の漏出を防止し易くすることができる。
また抜栓部47が、破断容易な弱化部48を介して吐出キャップ13に連結されているので、前記抜栓部47の有無によって、未開封状態であることを容易かつ確実に視認することもできる。
【0056】
また、抜栓部47に前記押付部51が突設されているので、未開封状態で、仮に内容物が連通開口36から流出したとしても、被覆体37の非固着部41のうち、連通開口36と固着部38の開口位置39との間に位置する部分が、内容物の押圧力によって遮断板14の上面から離間するのを抑えることが可能になり、非固着部41と遮断板14の上面との間を通して連通開口36と吐出口12とが連通されるのを抑制することができる。これにより、未開封状態における内容物の漏出を確実に防止し易くすることができる。
【0057】
また、オーバーキャップ15が、外気導入孔31と外部との連通を遮断しているので、オーバーキャップ15が装着された状態で、外気導入孔31内に、例えば埃などの異物が入り込むのを抑制することが可能になり、外気導入孔31を清浄な状態に維持し、外気導入孔31を通した吸気孔23と外部との連通を確保し易くすることができる。
【0058】
また外気導入孔31が、周溝部27の底面に形成されているので、リング部25の上面上の内容物が、外気導入孔31内に入り込むためには、周溝部27内を通り周溝部27の底面に到達する必要がある。したがって、例えば外気導入孔31が、リング部25の上面に形成されている場合などに比べて、外気導入孔31内に内容物を入り込ませ難くすることが可能になり、外気導入孔31を清浄な状態に維持し、外気導入孔31を通した吸気孔23と外部との連通を確保し易くすることができる。
【0059】
さらに外気導入孔31が、固着部38の開口位置39を周方向に回避するように配設されているので、固着部38の開口位置39から流出して吐出口12から吐出される内容物が、周溝部27の前記孔形成部分S3の内部に入り込み難くすることができる。さらに、周溝部27の底面において、固着部38の開口位置39と外気導入孔31との周方向の間に位置する部分に、突リブ部32A、32Bが突設されているので、周溝部27内の内容物が、周溝部27を周方向に流通して前記孔形成部分S3の内部に入り込むのを抑制することができる。
以上のように、内容物を、前記孔形成部分S3の内部に入り込み難くすることが可能になり、外気導入孔31を清浄な状態に一層維持し易くすることができる。
【0060】
さらにまた、突リブ部32A、32Bが、外気導入孔31を周方向の両側から挟み込むように複数配設されているので、前記孔形成部分S3が、周方向の両側から突リブ部32A、32Bにより挟み込まれることとなる。これにより、リング部25の上面から前記孔形成部分S3の内部に直接、内容物が入り込むのを効果的に抑制することが可能になり、外気導入孔31を清浄な状態により一層維持し易くすることができる。
【0061】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、オーバーキャップ15が、外気導入孔31と外部との連通を遮断しているものとしたが、遮断していなくてもよい。またオーバーキャップ15はなくてもよい。
【0062】
また押付部51、前記補助突リブ33、前記浅溝部28、および前記突リブ部32A、32Bはなくてもよい。
さらに前記実施形態では、外気導入孔31が、周溝部27の底面に形成されているものとしたが、これに限られない。この場合、周溝部27はなくてもよい。
【0063】
また前記実施形態では、外気導入孔31は、固着部38の開口位置39を周方向に回避するように配設されているものとしたが、これに限られない。
さらに外気導入孔31は、1つのみ形成されていてもよいし、3つ以上形成されていてもよい。
【0064】
また前記実施形態では、固着部38は、連通開口36の外周縁との間に間隔をあけて配置されているものとしたが、これに限られない。例えば、固着部38が、連通開口36の外周縁との間に間隔をあけずに配置され、遮断板14の上面における連通開口36の開口周縁部に沿って配置されていてもよい。さらに、固着部38の開口位置39が、遮断板14の上面における連通開口36の開口周縁部に沿って配置されることで、連通開口36に径方向に隣接(近接)していてもよい。
【0065】
また前記実施形態では、固着部38は、連通開口36を囲繞するとともに周方向の一部分が開口しているものとしたが、これに限られるものではない。例えば、固着部38の開口位置39を周方向に間隔をあけて複数形成し、前記連通路40を複数形成してもよい。つまり、被覆体37が、連通開口36を囲繞するとともに少なくとも周方向の一部分が開口した固着部38を介して遮断板14の上面に固着される他の構成に、適宜変更することが可能である。
【0066】
また前記実施形態では、吐出キャップ13に外気導入孔31が形成されているものとしたが、これに限られず、例えば、吸気孔23が外容器17の底部に配設され、吸気孔23が直接、外部に連通するように構成されていてもよい。
【0067】
また前記実施形態では、容器本体11は、内容器16が外容器17の内面に剥離可能に積層されたいわゆるデラミボトルであるとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、内容器16と外容器17とが別体に形成された後に組合わされた二重容器であってもよい。
【0068】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0069】
10 吐出容器
11 容器本体
11a 口部
12 吐出口
13 吐出キャップ
14 遮断板
15 オーバーキャップ
16 内容器
17 外容器
23 吸気孔
24 外装筒部
25 リング部
27 周溝部
31 外気導入孔
32A、32B 突リブ部
36 連通開口
37 被覆体
38 固着部
39 開口位置
41 非固着部
47 抜栓部
51 押付部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器、および該内容器が内装される外容器を備える容器本体から、内容物を吐出する吐出容器であって、
前記容器本体の口部に装着されるとともに、内容物を吐出する吐出口が形成された吐出キャップと、
前記吐出口と前記容器本体の内部との連通を遮断する遮断板と、を備え、
前記外容器には、該外容器と前記内容器との間に外気を吸入する吸気孔が形成され、
前記遮断板には、前記吐出口と前記容器本体の内部とを連通する連通開口が形成され、
該連通開口は、前記吐出口側から被覆体により被覆され、
該被覆体は、前記連通開口を囲繞するとともに少なくとも周方向の一部分が開口した固着部を介して、前記遮断板において前記吐出口側を向く表面に固着され、
該被覆体における前記遮断板の前記表面との非固着部は、前記遮断板の前記表面に離間可能に液密に密接するとともに、該表面から離間したときに、該表面との間を通して前記連通開口と前記吐出口とを連通させるように構成され、
前記吐出キャップには、前記吐出口を閉塞する抜栓部が離脱可能に連設されていることを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
請求項1記載の吐出容器であって、
前記連通開口と前記固着部の開口位置とは、径方向に離間して配置され、
前記抜栓部には、前記非固着部のうち、前記連通開口と前記固着部の開口位置との間に位置する部分を、前記遮断板の前記表面に押し付ける押付部が突設されていることを特徴とする吐出容器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の吐出容器であって、
前記吐出キャップには、前記吸気孔と外部とを連通する外気導入孔が形成されるとともに、前記吐出口を覆うオーバーキャップが装着され、
該オーバーキャップは、前記外気導入孔と外部との連通を遮断していることを特徴とする吐出容器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の吐出容器であって、
前記吐出口は、前記口部の径方向の内側に位置するとともに、前記抜栓部が前記吐出キャップから離脱させられた状態で容器軸方向の両側に向けて開口するように構成され、
前記吐出キャップには、前記口部に外装された外装筒部と、該外装筒部から径方向の内側に向けて突設され前記口部の開口端縁上に配置されたリング部と、が備えられるとともに、前記吸気孔と外部とを連通する外気導入孔が形成され、
前記リング部の外表面には、容器軸方向に窪むとともに周方向に延在する周溝部が形成され、
前記外気導入孔は、前記周溝部の底面に、前記口部と前記外装筒部との間に連通するように形成されていることを特徴とする吐出容器。
【請求項5】
請求項4記載の吐出容器であって、
前記外気導入孔は、前記固着部の開口位置を周方向に回避するように配設され、
前記周溝部の底面において、前記固着部の開口位置と前記外気導入孔との周方向の間に位置する部分には、突リブ部が突設されていることを特徴とする吐出容器。
【請求項6】
請求項5記載の吐出容器であって、
前記突リブ部は、前記外気導入孔を周方向の両側から挟み込むように複数配設されていることを特徴とする吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−71782(P2013−71782A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214791(P2011−214791)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】