説明

吐出容器

【課題】内容液収容部への微生物の侵入を防止することができ、構造が簡単でコンパクトな吐出容器を提案する。
【解決手段】吐出容器1は、外層体3と内層体5とからなり、外層体3の口部3aに外層体3および内層体5相互間に外気を導入するための外気導入孔7を形成してなる二重容器9と、該二重容器9の口部9aに組み付けられ、内層体5内の内容液を吐出する栓体11とを備える。栓体11には、内層体5内に収容された内容液を吐出するための吐出孔31と、外気導入孔7につながる吸気孔33とが形成されるとともに、吐出孔31を閉塞する一方、液圧で弾性変形して押し開かれる吐出弁部35と、吸気孔33を閉塞する一方、内容液が吐出した際の内層体5の減容に伴う外層体3内の負圧により弾性変形して吸気孔33を開放する吸気弁部37とを一体に有する、弾性材からなる弁部材が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内部に収容された内容液を吐出する容器に関し、とくに、一旦吐出した液が容器内に逆流して微生物等により汚染されることを防止できる吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
点眼薬等を収容、吐出する容器としては、容器胴部を圧搾することによりノズルから内容液を吐出する、いわゆるスクイズボトル型の容器が知られている。このような吐出容器では、容器胴部を圧搾して内容液を吐出した後、該容器胴部の復元に伴って、ノズルに残留した内容液や外気が容器内部に引き込まれるため、大気中の微生物やノズルに付着した微生物が一緒に取り込まれ、容器内の内容液が微生物により汚染され易いという問題があった。このため、通常は、点眼薬等に予め防腐剤を配合して微生物による汚染を防止する措置が施されているが、防腐剤の使用は目の炎症やアレルギー反応をしばしば引き起こすなどの欠点がある。
【0003】
この点に関して、特許文献1には、微生物が容器内に侵入することを防止するため、ノズル手前に、液体の通過を許容する一方で微生物の通過を阻止するメンブレンフィルターを設け、開封後の容器内を無菌状態に保つようにした容器が提案されているが、メンブレンフィルターのみならずそれを取り付けるための部材も必要となって部品点数が増大し、構造が複雑となり、キャップ自体も大型化するという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平09−510629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ、この発明は、内容液収容部への微生物の侵入を防止することができ、構造が簡単でコンパクトな吐出容器を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上記課題を解決するためになされものであり、この発明の吐出容器は、外層体と外層体の内側に該外層体から剥離可能に積層された内層体とからなり、外層体の口部に外層体および内層体相互間に外気を導入するための外気導入孔を形成してなる二重容器と、該二重容器の口部に組み付けられ、内層体内の内容液を吐出する栓体とを備える吐出容器であって、前記栓体に、内層体内に収容された内容液を吐出するための吐出孔と、前記外気導入孔につながる吸気孔とを形成するとともに、前記吐出孔を閉塞する一方、液圧で弾性変形して押し開かれる吐出弁部と、前記吸気孔を閉塞する一方、内容液が吐出した際の内層体の減容に伴う外層体内の負圧により弾性変形して前記吸気孔を開放する吸気弁部とを一体に有する、弾性材からなる弁部材を設けてなることを特徴とするものである。
【0007】
なお、この発明の吐出容器にあっては、前記栓体は、二重容器の口部に保持されるとともに前記弁部材を保持するベースを有し、前記ベースは、前記吸気孔を開口する天壁と、該吸気孔の半径方向内方にて該天壁から起立するとともに先端が閉塞し、その側壁に前記吐出孔を開口する筒体とを有することが好ましい。
【0008】
また、この発明の吐出容器にあっては、前記吐出弁部は、前記筒体の周りを取り囲んで筒体との間に吐出経路を形成する筒形状を有し、該筒形状の吐出弁部の上端内周縁は、前記筒体の外表面に前記吐出孔よりも先端側の位置にて弾性当接することが好ましい。
【0009】
さらに、この発明の吐出容器にあっては、前記筒体は、その先端部に先端に向かうに連れて径が漸減する縮径部を有し、前記吐出弁部の上端を前記縮径部まで延設してなることが好ましい。
【0010】
しかも、この発明の吐出容器にあっては、前記吐出容器は、前記栓体を覆い隠して二重容器に保持されるキャップを備え、前記キャップは、その内側に前記吐出弁部の上端内周縁を前記筒体の外表面に押し付ける押え部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
この発明の吐出容器にあっては、使用者が外層体の胴部をスクイズ(圧搾)すると、内層体が収縮して、内層体内の内容液の液圧が高まり、この液圧によって吐出弁部によって閉塞されていた吐出孔が開放され、内層体内の内容液が吐出孔を通って吐出する。内容液の吐出が終了し、外層体のスクイズを解放すると外層体はその復元性により元の形状に復帰する一方、吐出孔は吐出弁部によって閉塞するため内層体と外層体との間が負圧となり、該負圧により吸気弁部が弾性変形して吸気孔が開放され、外気が吸気孔および外気導入孔を通って内層体と外層体との間に流入する。
【0012】
したがって、この発明の吐出容器によれば、吐出弁部によって、一旦吐出された内容液の内層体内へ逆流が阻止されるとともに、内容液の減少に伴って内層体が収縮し、外気は外層体と内層体との間のみに流入するため、内容液への微生物の混入および内容液と外気との接触を阻止することができる。また、吐出弁部と吸気弁部とを一体成形品としたことから、構造が簡単でありコンパクトな吐出容器とすることができる。また、外層体の胴部の圧搾終了(吐出終了)と同時に吐出弁部が閉鎖するため、液切れの良好な吐出容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明にしたがう実施の形態の吐出容器の要部を一部断面で示した正面図である。
【図2】図1の吐出容器の使用状態(外層体の胴部をスクイズした状態)を示す図である。
【図3】図1の吐出容器の使用状態(外層体の胴部のスクイズを解放した状態)を示す図である。
【図4】この発明にしたがう他の実施の形態の吐出容器の要部を一部断面で示した正面図である。
【図5】この発明にしたがう他の実施の形態の吐出容器の要部を一部断面で示した正面図である。
【図6】この発明にしたがう他の実施の形態の吐出容器の要部を一部断面で示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。なお、この発明の吐出容器は、点眼容器などの各種薬剤容器として用いることができる他、化粧品容器等その他の容器としても用いることができる。
【0015】
図1に示すように、この吐出容器1は、外層体3と外層体3の内側に該外層体3から剥離可能に積層された薄肉の内層体5とからなり、外層体3の口部3aに外層体3および内層体5相互間に外気を導入するための外気導入孔7を形成してなる二重容器(デラミ容器)9と、該二重容器9の口部9aに組み付けられ、内層体5内の内容液を吐出する栓体11とを備えるものである。
【0016】
二重容器9は、上記口部(外層体3の口部を符号3aで示し、内層体5の口部を符号5aで示す。)9aと、口部9aの下端に繋がる肩部(外層体3の肩部を符号3bで示し、内層体5の肩部を符号5bで示す。)9bと、肩部9bに繋がる筒状の胴部(外層体3の胴部を符号3cで示し、内層体5の胴部を符号5cで示す。)9cと、該胴部9cの下端を閉塞する底部(図示省略)とを有している。外層体3の胴部3cは、スクイズ変形可能な肉厚を有しており、外層体3をスクイズ変形させることにより内層体5が圧縮され(外層体3と内層体5との間に空気が存在する場合には該空気が加圧されることによって内層体5が圧縮される。)、これにより内層体5内の内容液が栓体11を通って吐出することになる。内層体5は内容液の減少に伴って収縮(すなわち減容)することができる。このような二重容器9は例えば、高密度ポリエチレン製樹脂からなる外層体3と高密度ポリエチレン製樹脂との相溶性がないナイロン製樹脂からなる内層体5を、積層状に共押し出ししてブロー成形する、または、同種の合成樹脂製の外層プリフォームと内層プリフォームとを剥離層を介在して密着、積層してなる積層プリフォームを2軸延伸ブロー成形する等により製造することができる。
【0017】
栓体11は、二重容器9の口部9aに保持されるベース13と該ベース13に保持される弁部材15とを有している。ベース13は、下面が口部9aの突端に当接する天壁17と、該天壁17の外縁から垂下し外層体3の口部3a外壁に嵌合保持される装着筒19と、該装着筒19の半径方向内側で天壁17から垂下し内層体5の口部5a内に嵌入されるインナーリング21とを有している。装着筒19の下端部は外層体3の口部3a下端の拡径部23に気密に当接しシールされている。なお、この例では、装着筒19は外層体3の口部3aにねじ嵌合により保持されているが、ねじに代えてアンダーカットのような係合手段により口部3aに保持されてもよい(図示省略)。
【0018】
また、ベース13の天壁17には、その中央位置にて該天壁17から起立するとともに先端が閉塞した筒体25と、該筒体25を取り囲み該筒体25との間に内側環状溝m1を形成する内周壁27と、該内周壁27を取り囲み該内周壁27との間に外側環状溝m2を形成する外周壁29とが設けられている。筒体25の側壁には、内層体5内と後述する吐出経路Pとを連通し、内層体5内の内容液を吐出する吐出孔31が形成されている。この例では、吐出孔31は周上の対向する2箇所に設けられているが、吐出孔31の個数は1つでも3つ以上でもよい。筒体25は、その先端部に、先端に向かうに連れて径が漸減する縮径部25aを有しており、ここでは縮径部25aは半球状である。
【0019】
また、ベース13の天壁17の内周壁27と外周壁29との間(外側環状溝m2の溝底)には外気導入孔7に繋がる吸気孔33が形成されており、二重容器9の口部9aの突端面は該吸気孔33を塞がないよう半径方向外側部分に凹部Sが形成されている。これにより、内層体5内の内容液の減少に伴って内層体5が収縮すると、吸気孔33、外層体3の口部3aの外壁と装着筒19との間にねじに沿って形成される螺旋状の通路、および外気導入孔7を通って内層体5と外層体3との間に外気が流入する。
【0020】
弁部材15は、シリコンゴムのような弾性材で構成されるとともに、筒体25に形成された吐出孔31(吐出経路P)を閉塞する一方、液圧で弾性変形して押し開かれる吐出弁部35と、天壁17に形成された吸気孔33を閉塞する一方、内容液が吐出した際の内層体5の減容に伴う外層体3内(外層体3と内層体5の間)の負圧により弾性変形して吸気孔33を開放する吸気弁部37とを一体に有するものである。
【0021】
より詳細には、吐出弁部35は、筒体25の周りを取り囲んで筒体25との間に吐出経路Pを形成する筒形状を有し、該筒形状の吐出弁部35の上端内周縁は、筒体25の外表面に吐出孔31よりも先端側の位置にて密に弾性当接している。吐出弁部35の基部(下部)は、筒体25と内周壁27との間の内側環状溝m1内に挿入、保持されている。吐出弁部35は、外層体3をスクイズ変形させることにより内層体5が圧縮され内容液の液圧が高まると、内容液の液圧によってその上部(後述の移行部39よりも上側部分)が弾性変形して押し開かれ内容液の吐出を許容する一方で、外層体3のスクイズが解放され内層体5の圧縮が解除されると元の形状に復元し再び筒体25の外表面に密に当接し吐出された内容液の逆流および外気の侵入を阻止する。このように吐出弁部35は逆止弁としての機能を果たすものである。
【0022】
吸気弁部37は、吐出弁部35の外周壁29に連設された移行部39から下方に向けて傾斜しながら延在する円錐テーパー形状を有し、その下端外周縁がベース13の外周壁29の内面に気密に弾性当接している。吸気弁部37は、内容液を吐出させるために外層体3をスクイズ変形させた際に、内層体5と外層体3内の圧縮空気が吸気孔33を通って外部に漏れ出すのを阻止する一方、外層体3のスクイズの解放により外層体3と内層体5との間が負圧となると、該負圧により移行部39との連結位置を基点に弾性変形して吸気孔33を開放し外気の導入を許容する。このように吸気弁部37は逆止弁としての機能を果たすものである。
【0023】
また、この実施形態では、吐出容器1は、栓体11を覆い隠して二重容器9(ここでは外層体3の肩部3b)に嵌合、保持されるキャップ41を備えており、該キャップ41は、栓体11を覆い隠す有蓋筒状の本体壁43と、本体壁43の内側でベース13の内周壁27に対応して垂下され、キャップ41を装着した状態にて該内周壁27との間に弁部材15の移行部39を挟み込む環状壁45とを有しており、該環状壁45には、吐出弁部35の上端内周縁を筒体25の外表面に押し付けてシール機能を高める、押え部としてのリブ47が周方向の間隔をおいて複数設けられている。
【0024】
このような構成になる吐出容器1にあっては、キャップ41を外し、使用者が外層体3の胴部3cをスクイズ(圧搾)すると、図2に示すように、内層体5が収縮して(外層体3と内層体5との間に空気が存在する場合は吸気孔33は吸気弁部37によって閉鎖されているので外層体3と内層体5との間の空気が加圧されて内層体5が収縮する。)、内層体5内の内容液の液圧が高まり、この液圧によって吐出弁部35によって閉塞されていた吐出孔31が開放され、内層体5内の内容液が吐出孔31および吐出経路Pを通って吐出する。内容液の吐出が終了し、図3に示すように、外層体3のスクイズを解放すると外層体3はその復元性により元の形状に復帰する一方、吐出孔31は吐出弁部35によって閉塞するため内層体5と外層体3との間が負圧となり、該負圧により吸気弁部37が弾性変形して吸気孔33が開放され、外気が吸気孔33、外層体3の口部3aの外壁と装着筒19との間に形成される螺旋状の通路、および外気導入孔7を通って内層体5と外層体3との間に流入する。
【0025】
したがって、この吐出容器1によれば、吐出弁部35によって、一旦吐出された内容液の内層体5内へ逆流が阻止されるとともに、内容液の減少に伴って内層体5が収縮し、外気は外層体3と内層体5との間のみに流入するため、内容液への微生物の混入および内容液と外気との接触を阻止することができる。また、吐出弁部35と吸気弁部37とを一体成形品としたことから、構造が簡単でありコンパクトな吐出容器1とすることができる。
【0026】
また、この実施形態の吐出容器1によれば、ベース13の天壁17に筒体25を立設し、該筒体25の側壁に吐出孔31を開口する構成を採用したことから、吐出容器1のさらなるコンパクト化を図ることができる。
【0027】
さらに、この実施形態の吐出容器1によれば、吐出弁部35の上端内周縁を、吐出孔31よりも先端側の位置にて筒体25の外表面に弾性当接させる構成を採用したことから、吐出弁部35が弾性変形し易くなり、スムーズな吐出および良好な液切れを実現することができるとともに、筒体25が吐出弁部35によって覆われる面積を増大させることができるので、筒体25の外部への露出面積を減らすことができ、微生物の付着、繁殖面積を減らすことができる。
【0028】
しかも、この実施形態の吐出容器1によれば、キャップ41に、吐出弁部35の上端内周縁を筒体の外表面に押し付ける、押え部としてのリブ47を設けたことから、流通時等における吐出弁部35からの内容液の漏出を防止することができる。
【0029】
次いで、この発明の他の実施形態について図4を参照して説明する。なお、図4に示す実施形態の吐出容器1において、図1を参照して説明した吐出容器1と同様の部材には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0030】
この吐出容器1は、筒体25の先端部の形状が図1の吐出容器1のものとは異なる。すなわち、この吐出容器1では、筒体25は先端部に縮径部25aが設けられているものの、その形状は、直線テーパー状の側壁面49aと平坦な先端面49bとからなる略裁頭円錐形状である。
【0031】
この実施形態によれば、縮径部25aの側壁面49aを直線テーパー状としたことから、図1の吐出容器1による効果に加えて、吐出された内容液の、筒体25の外表面上での移動速度を高めることができるので、吐出容器1の液切れ性を向上させることができる。
【0032】
次いで、この発明のさらに他の実施形態について図5を参照して説明する。なお、図5に示す実施形態の吐出容器1において、図1を参照して説明した吐出容器1と同様の部材には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0033】
図1に示した実施形態では、天壁17に外周壁29を設け、この外周壁29の内壁面に吸気弁部37の下端外周縁を当接させる構成を採用していたが、図5に示す実施形態では、外周壁29の代わりに、装着筒19を天壁17上方まで延出させるとともにその上部で吸気弁部37および移行部39を覆い隠すよう構成している。この場合、吸気弁部37の下端外周縁は、装着筒19の内周面に気密に弾性当接する。
【0034】
この実施形態によれば、装着筒19で吸気弁部37を覆う構成を採用したことから、図1の吐出容器1による効果に加えて、装着筒19によって、弁部材15が脱落するのを防止することができるとともに、内容液等の侵入を防止でき弁機能を阻害することがない。
【0035】
次いで、この発明のさらに他の実施形態について図6を参照して説明する。なお、図6に示す実施形態の吐出容器1において、図1を参照して説明した吐出容器1と同様の部材には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0036】
この実施形態では、弁部材15の構成が図1で示した吐出容器1とは異なる。すなわち、吐出弁部35の上端は筒体25の縮径部25aまで延設されており、筒体25の縮径部25aはその先端の一部が外部に露出するのみであって、筒体25の大部分は弁部材15によって覆われている。また、弁部材15はその全体形状が末広がりの筒状に形成されており、吐出弁部35と吸気弁部37との間の移行部39は筒体25の吐出孔31下方に形成された、先端部に比べて径の大きい中間部25bに保持されている。また、弁部材15の吸気弁部37の外面(移行部39近傍)には、半径方向外側に突出する凸部51が設けられている。ここでは凸部51は環状の形態をとるが、吸気弁部37の外面に複数点在させてもよく(図示省略)、その場合の凸部の個数にも限定はない。
【0037】
また、この実施形態では、図1で示した吐出容器1の内周壁27および外周壁29に代えて、ベース13には、天壁17の外縁から筒体25の基部を取り囲むように起立し、該基部との間に環状溝m3を形成する周壁53が設けられており、吸気弁部37の下端外周縁は該周壁53の内周面に気密に弾性当接して吸気孔33を閉塞している。また、装着筒19は、吸気弁部37および移行部39を覆い隠すよう天壁17上方まで延在し、装着筒19の上部内面には凸部51の上面に当接して弁部材15を抜け止め保持する当接面fが形成されている。該当接面fには、外気の流通路を確保するため周上の複数個所に切欠き55が設けられている。
【0038】
さらに、この実施形態では、外層体3の口部3aの外壁にその上部から外気導入孔7の位置あるいは外気導入孔7よりも僅かに下方位置まで延びる溝状の通路gが形成されており、吸気孔33を通って流入した外気はこの通路gを通って外気導入孔7に導かれる。
【0039】
なお、この実施形態では、キャップ41の環状壁45を吐出弁部35の上端に当接させることにより、吐出弁部35の上端内周縁を筒体25の外表面に押し付ける押え部を構成している。
【0040】
この実施形態によれば、吐出弁部35の上端を縮径部25aまで延長したことから、図1の実施形態の吐出容器1による効果に加えて、筒体25の外部への露出面積を減らすことができ、微生物の付着、繁殖面積をより一層減らすことができる。また、弾性材からなる弁部材15で筒体25の先端部を覆う構成としたことから、使用時に筒体25の先端が眼球に触れてしまった場合でも筒体25で眼球を傷つけてしまう虞がない。さらに、弁部材15の外周面に凸部51を設け、装着筒19でこの凸部51を押さえ込む構成を採用したことから、弁部材15の脱落を防止することができる。さらに、外層体3の口部3aの外壁に、吸気孔33と外気導入孔7を連通する通路gを設けたことから、外層体3と内層体5との間に外気を導入する際の抵抗を低減することができ、すなわち、外層体3が元の形状に復元する際の内層体5に加わる負圧を緩和して、吐出弁部35からの外気の侵入をより確実に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
かくして、この発明により、内容液収容部への微生物の侵入を防止することができ、構造が簡単でコンパクトな吐出容器を提案することが可能となった。
【符号の説明】
【0042】
1 吐出容器
3 外層体
5 内層体
7 外気導入孔
9 二重容器
11 栓体
13 ベース
15 弁部材
17 天壁
25 筒体
25a 縮径部
31 吐出孔
33 吸気孔
35 吐出弁部
37 吸気弁部
41 キャップ
47 リブ(押え部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外層体と外層体の内側に該外層体から剥離可能に積層された内層体とからなり、外層体の口部に外層体および内層体相互間に外気を導入するための外気導入孔を形成してなる二重容器と、該二重容器の口部に組み付けられ、内層体内の内容液を吐出する栓体とを備える吐出容器であって、
前記栓体に、内層体内に収容された内容液を吐出するための吐出孔と、前記外気導入孔につながる吸気孔とを形成するとともに、前記吐出孔を閉塞する一方、液圧で弾性変形して押し開かれる吐出弁部と、前記吸気孔を閉塞する一方、内容液が吐出した際の内層体の減容に伴う外層体内の負圧により弾性変形して前記吸気孔を開放する吸気弁部とを一体に有する、弾性材からなる弁部材を設けてなることを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
前記栓体は、二重容器の口部に保持されるとともに前記弁部材を保持するベースを有し、前記ベースは、前記吸気孔を開口する天壁と、該吸気孔の半径方向内方にて該天壁から起立するとともに先端が閉塞し、その側壁に前記吐出孔を開口する筒体とを有する、請求項1に記載の吐出容器。
【請求項3】
前記吐出弁部は、前記筒体の周りを取り囲んで筒体との間に吐出経路を形成する筒形状を有し、該筒形状の吐出弁部の上端内周縁は、前記筒体の外表面に前記吐出孔よりも先端側の位置にて弾性当接する、請求項2に記載の吐出容器。
【請求項4】
前記筒体は、その先端部に先端に向かうに連れて径が漸減する縮径部を有し、前記吐出弁部の上端を前記縮径部まで延設してなる、請求項3に記載の吐出容器。
【請求項5】
前記吐出容器は、前記栓体を覆い隠して二重容器に保持されるキャップを備え、
前記キャップは、その内側に前記吐出弁部の上端内周縁を前記筒体の外表面に押し付ける押え部を有する、請求項3または4に記載の吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−95439(P2013−95439A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237801(P2011−237801)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】