説明

吐出方法、カラーフィルタの製造方法、有機EL発光素子の製造方法、電気光学装置の製造方法、電子機器

【課題】吐出ムラを低減して液状体を付与することが可能な吐出方法、この吐出方法を用いたカラーフィルタの製造方法、有機EL発光素子の製造方法、電気光学装置の製造方法、電子機器を提供すること。
【解決手段】本発明の液状体の吐出方法は、2つのノズル列22a,22bが膜形成領域Aの長手方向(X方向)に対して平行となるように配置する。そして、主走査の方向(Y方向)から見て膜形成領域Aに掛かる複数のノズルa1,a2,b1,b2,b3のうち膜形成領域Aの最も中央に近い1つのノズルb2から膜形成領域Aに液状体を液滴Lとして吐出する第1吐出工程を行う。続いて、ノズルb2以外の複数のノズルa1,a2,b1,b3から膜形成領域Aに液状体の液滴Lを複数吐出する第2吐出工程を行う。また、第1吐出工程では、膜形成領域A11,A12,A13に対してそれぞれ異なる1つのノズルから液滴Lを吐出してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性を有する液状体の吐出方法、液滴吐出法を用いたカラーフィルタの製造方法、有機EL発光素子の製造方法、電気光学装置の製造方法、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
流動性を有する液状体の吐出方法として、色要素となるべき複数の区画が形成された基体と、液滴を吐出する複数のノズルを有する液滴吐出手段とを相対的に移動させ、色要素形成用の液状材料をノズルから液滴として吐出して区画に付与する吐出走査を複数回行う液滴付与方法が知られている(特許文献1)。
【0003】
上記液滴付与方法は、複数のノズルからなるノズル列を区画の長軸方向に沿うように液滴吐出手段と基体とを配置する。そして、1つの区画につき長軸方向に間隔を置いて互いに重ならないように異なるノズルから液滴を付与する。次に同一の区画の長軸方向において先に着弾した液滴の間に着弾するように再び液滴を付与する。これにより、色要素が比較的大きい場合であっても、容易に形成が可能であるとしている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−218918号公報 頁4
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記液滴付与方法は、色要素を形成する区画の長軸方向にノズル列が沿うように液滴吐出手段と基体とを配置して、複数のノズルから液状体を区画に向けて吐出する所謂横描画と呼ばれる方法である。このような横描画は、ノズル列を有効に用いて描画することが可能であるが、液状体が吐出される各区画ごとに掛かるノズルの位置は、該長軸方向において必ずしも一定にならない。したがって、上記液滴付与方法を用いて液滴を付与しても、先に着弾した液滴の濡れ広がり方が各区画ごとに異なるという課題があった。また、同様に各区画に掛かるノズルの数も必ずしも一定にならない。よって、1回の吐出走査で各ノズルからおよそ同量の液状体を吐出しても、各区画ごとに着弾する液状体の吐出量が異なるという課題があった。これらの課題は、結果的に吐出ムラに繋がり、色要素が部分的に形成されない白抜けや色ムラとなるという不具合があった。
【0006】
本発明は、上記課題を考慮してなされたものであり、吐出ムラを低減して液状体を付与することが可能な吐出方法、この吐出方法を用いたカラーフィルタの製造方法、有機EL発光素子の製造方法、電気光学装置の製造方法、電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の吐出方法は、複数のノズルを有する液滴吐出手段とワークとを対向させて相対移動させる主走査に同期して、ワーク上の複数の膜形成領域に対して複数のノズルから膜形成材料を含む液状体を吐出する吐出方法であって、各膜形成領域における最初の主走査において掛かる複数のノズルのうちの1つのノズルから各膜形成領域に液状体を液滴として吐出する第1吐出工程と、主走査の方向に対して直交する方向に液滴吐出手段とワークとを相対移動させる副走査と、各膜形成領域に掛かる複数のノズルから各膜形成領域に液状体の液滴を複数吐出する主走査とを行う第2吐出工程とを備えたことを特徴とする。
【0008】
所定量の液状体を複数回の主走査により各膜形成領域に付与するにあたり、1回の主走査で各膜形成領域ごとに掛かる複数のノズルから液状体を吐出する場合は、各膜形成領域ごとに同一な位置で液滴を着弾させ、且つ同一な吐出量の液状体を付与することは困難である。よって、最初の主走査が行われた状態では吐出ムラが発生し易い。複数回の主走査を行っている間に着弾した液状体が自然乾燥して、後から液状体を付与しても上記吐出ムラを改善することは難しい。この方法によれば、第1吐出工程では、各膜形成領域における最初の主走査において掛かる複数のノズルのうちの1つのノズルから各膜形成領域に液状体を液滴として吐出する。その後、第2吐出工程において各膜形成領域に複数の液滴を吐出する。したがって、第1吐出工程であらかじめ1つのノズルから液滴を吐出してワーク全体にほぼ均一に少量の液状体を付与し、液状体に含まれる溶媒成分の蒸気圧分布をほぼ一定にした状態で、第2吐出工程で膜形成に必要な主たる量の液状体を付与することができる。すなわち、吐出ムラが発生し難い状態で液状体を付与することが可能な吐出方法を提供することができる。
【0009】
上記第1吐出工程では、各膜形成領域に掛かる複数のノズルのうちの主走査の方向から見て、各膜形成領域の中央に最も近いノズルから当該各膜形成領域のそれぞれに少なくとも1滴の液滴を吐出することが好ましい。これによれば、第1吐出工程であらかじめ各膜形成領域の中央付近に少量の液状体を付与するので、第2吐出工程で複数のノズルから液状体を液滴として吐出する位置が多少変動しても、先に吐出された液滴を含むようにして液状体を付与することができる。すなわち、より吐出ムラを低減して液状体を付与することができる。
【0010】
また、上記第1吐出工程では、各膜形成領域に掛かる複数のノズルのうち主走査の方向から見て、異なる位置のノズルから当該各膜形成領域のそれぞれに少なくとも1滴の液滴を吐出してもよい。これによれば、第1吐出工程では、1つのノズルに特定せずに異なる位置のノズルから少なくとも1滴の液滴を吐出する。したがって、各膜形成領域ごとに主走査方向に異なる位置で液滴が着弾する。よって、最初に付与される液滴の分布をワーク全体により均一化することができる。ゆえに、液状体の蒸気圧分布をワーク全体に渡ってより均一化して、より吐出ムラが発生し難い状態で液状体を付与することができる。
【0011】
また、上記第1吐出工程では、第2吐出工程で吐出する液状体の吐出量を補うように液状体を吐出することが好ましい。各膜形成領域に掛かる複数のノズルから液状体を液滴として複数吐出した場合、各膜形成領域ごとに掛かるノズル数が変動すると吐出量が各膜形成領域ごとに変動する。これによれば、第1吐出工程では、あらかじめ第2吐出工程で吐出する液状体の吐出量を補うように液状体を吐出するので、安定した吐出量で各膜形成領域に液状体を付与することができる。すなわち、吐出量の変動による吐出ムラを低減して液状体を付与することができる。
【0012】
また、上記第1吐出工程では、第2吐出工程で吐出する液状体の着弾位置の偏りを補うように液状体を吐出することが好ましい。各膜形成領域に掛かる複数のノズルから液状体を液滴として複数吐出した場合、各膜形成領域ごとに掛かるノズルの位置が必ずしも一定ではないので、着弾した液滴が濡れ拡がっても各膜形成領域内に偏って液状体が付与される可能性がある。これによれば、第1吐出工程では、第2吐出工程で吐出する液状体の着弾位置の偏りを補うように液状体を吐出するので、第2吐出工程で液滴を吐出すると各膜形成領域にほぼ均一に液状体を付与することができる。すなわち、吐出位置の偏りによる吐出ムラを低減して液状体を付与することができる。
【0013】
また、上記第1吐出工程では、第2吐出工程で吐出する液状体の吐出量を補うと共に着弾位置の偏りを補うように液状体を吐出することがより好ましい。これによれば、吐出量の変動による吐出ムラと吐出位置の偏りによる吐出ムラとを低減してより安定的に液状体を付与することができる。
【0014】
また、上記第1吐出工程と上記第2吐出工程とでは、液滴吐出手段とワークとの相対移動速度を変えることを特徴とする。この方法によれば、第1吐出工程と上記第2吐出工程とでは、液滴吐出手段とワークとの相対移動速度を変えるので、着弾後の液状体の溶媒の蒸発速度を考慮して液状体を付与することができる。すなわち、適正化された吐出条件で液状体を付与することができる。
【0015】
また、第2吐出工程における相対移動速度に対して第1吐出工程における相対移動速度を速めることが好ましい。これによれば、第1吐出工程では、第2吐出工程に比べて液滴吐出手段とワークとの相対速度を速めた状態で液滴を吐出するので、ワーク全体によりすばやく液滴を付与して液状体の溶媒の蒸気圧分布を均一化することができる。すなわち、より適正化された吐出条件で液状体を付与することができる。
【0016】
また、上記液滴吐出手段が複数のノズルを有する複数の液滴吐出ヘッドにより構成されていることを特徴とする。この方法によれば、1つの液滴吐出ヘッドにより複数回の主走査を行って液状体を付与する場合に比べて、よりすばやくワーク全体に渡って各膜形成領域に吐出ムラを低減して液状体を付与することができる。
【0017】
また、上記複数のノズルからなるノズル列が、膜形成領域の長手方向に対して略平行となるように、液滴吐出手段とワークとを対向配置して、該長手方向に対して直交する方向に主走査することが好ましい。これによれば、膜形成領域の長手方向に対してノズル列が交差するように配置される場合に比べて、ノズル列を構成する複数のノズルを有効に用いて各膜形成領域に吐出ムラを低減して液状体を付与することができる。すなわち、該長手方向の吐出ムラによる主走査の方向に平行なスジ状ムラを低減することができる。
【0018】
本発明のカラーフィルタの製造方法は、基板と、基板上の複数の区画領域に形成された複数色の着色層とを有するカラーフィルタの製造方法であって、上記発明の吐出方法を用い、異なる着色層形成材料を含む複数種の液状体を複数の区画領域に吐出して乾燥することにより複数色の着色層を形成することを特徴とする。
【0019】
この方法によれば、上記発明の吐出方法を用いて異なる着色層形成材料を含む複数種の液状体を複数の区画領域に吐出するので、液状体の吐出ムラを低減して着色層の白抜けや色ムラ等の不具合が少ないカラーフィルタを歩留まりよく製造することができる。
【0020】
本発明の有機EL発光素子の製造方法は、基板と、基板上の複数の区画領域に形成された有機発光層を有する有機EL発光素子の製造方法であって、上記発明の吐出方法を用い、発光層形成材料を含む液状体を複数の区画領域に吐出して乾燥することにより有機発光層を形成することを特徴とする。
【0021】
この方法によれば、上記発明の吐出方法を用いて発光層形成材料を含む液状体を複数の区画領域に吐出するので、液状体の吐出ムラを低減して有機発光層の発光ムラや輝度ムラ等の不具合が少ない有機EL発光素子を歩留まりよく製造することができる。
【0022】
本発明の電気光学装置の製造方法は、一対の基板と、一対の基板により挟持された電気光学材料としての液晶とを備えた電気光学装置の製造方法であって、一対の基板のうちの一方を上記発明のカラーフィルタの製造方法を用いて製造することを特徴とする。
【0023】
この方法によれば、一対の基板のうちの一方を上記発明のカラーフィルタの製造方法を用いて製造するので、着色層の白抜けや色ムラ等の不具合が少ないカラーフィルタを備えた高い表示品質を有する電気光学装置を製造することができる。
【0024】
本発明の他の電気光学装置の製造方法は、複数の有機EL発光素子を有する基板を備えた電気光学装置の製造方法であって、有機EL発光素子を上記発明の有機EL発光素子の製造方法を用いて製造することを特徴とする。
【0025】
この方法によれば、有機EL発光素子を上記発明の有機EL発光素子の製造方法を用いて製造するので、有機発光層の発光ムラや輝度ムラ等の不具合が少ない有機EL発光素子を備えた高い発光品質を有する電気光学装置を製造することができる。
【0026】
本発明の電子機器は、上記発明の電気光学装置の製造方法を用いて製造された電気光学装置が搭載されたことを特徴とする。この構成によれば、高い表示品質を有する電気光学装置または高い発光品質を有する電気光学装置を備えているので、高品質な電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(実施形態1)
本実施形態は、膜形成材料を含む液状体を液滴として吐出可能な液滴吐出ヘッドを有する液滴吐出装置を用いた液状体の吐出方法を例に説明する。
【0028】
<液滴吐出装置>
まず、液滴吐出装置について図1〜図4を基に説明する。図1は、液滴吐出装置を示す概略斜視図である。各部の構成は、適宜縮尺して表示している。
【0029】
図1に示すように、本実施形態の液滴吐出装置10は、液状体を液滴として吐出してワークW上に液状体からなる膜を形成するものである。そしてワークWが載置されるステージ4と、載置されたワークWに液状体を液滴として吐出する複数の液滴吐出ヘッド20(図2参照)を有するヘッドユニット1とを備えている。
【0030】
また液滴吐出装置10は、ヘッドユニット1を副走査方向(X方向)に駆動するためのX方向ガイド軸2と、X方向ガイド軸2を回転させるX方向駆動モータ3とを備えている。また、ステージ4を主走査方向(Y方向)にガイドするためのY方向ガイド軸5と、Y方向ガイド軸5に係合して回転するY方向駆動モータ6とを備えている。そしてX方向ガイド軸2とY方向ガイド軸5とが上部に配設された基台7を備え、その基台7の下部には、制御部8を備えている。
【0031】
さらに、ヘッドユニット1の複数の液滴吐出ヘッド20をメンテナンス(回復処理等)するためのメンテナンス機構9および吐出された液状体を加熱し溶媒を蒸発・乾燥させるためのヒータ12とを備えている。またメンテナンス機構9にもY方向駆動モータ11が備えられている。
【0032】
ヘッドユニット1には、液状体をノズル22(吐出口)から吐出してワークWに塗布する複数の液滴吐出ヘッド20(図2参照)を備えている。そして、これら複数の液滴吐出ヘッド20により、制御部8から供給される吐出電圧に応じて個別に液状体を吐出できるようになっている。この液滴吐出ヘッド20とその配置については後述する。
【0033】
X方向駆動モータ3は、これに限定されるものではないが例えばステッピングモータ等であり、制御部8からX軸方向の駆動パルス信号が供給されると、X方向ガイド軸2を回転させ、X方向ガイド軸2に係合したヘッドユニット1をX方向に移動させる。
【0034】
同様にY方向駆動モータ6,11は、これに限定されるものではないが例えばステッピングモータ等であり、制御部8からY軸方向の駆動パルス信号が供給されると、Y方向ガイド軸5に係合して回転し、Y方向駆動モータ6,11を備えたステージ4およびメンテナンス機構9をY軸方向に移動させる。
【0035】
メンテナンス機構9は、液滴吐出ヘッド20を回復処理する際には、ヘッドユニット1を臨む位置に移動し、液滴吐出ヘッド20のノズル面に密着して不要な液状体を吸引するキャッピング、液状体等が付着したノズル面を拭き取るワイピング、液滴吐出ヘッド20の全ノズルから液状体の吐出を行う予備吐出あるいは不要となった液状体を受けて排出させる処理を行う。また、メンテナンス機構9には、重量測定ユニット13が備えられており、各液滴吐出ヘッド20の各ノズル22から所定の回数(数千から数万回)吐出された液状体の吐出量を各液滴吐出ヘッド20ごとに測定可能となっている。測定結果を該所定の回数で除すれば1回に吐出される液状体の吐出量を求めることができる。測定は、ノズル22を指定して行うことによりノズル22間の吐出量のバラツキも求めることができる。
【0036】
重量測定ユニット13は、例えば電子天秤等を採用して測定結果を制御部8にフィードバックすることができる。液状体の吐出量の測定は、ワークWに液状体を吐出する前、または吐出工程の途中、あるいは液滴吐出ヘッド20のメンテナンスを実施した後など定期的に実施する。
【0037】
ヒータ12は、これに限定されるものではないが例えばランプアニールによりワークWを熱処理する手段であり、ワークW上に吐出された液状体の蒸発・乾燥を行うとともに膜に変換するための熱処理を行うようになっている。このヒータ12の電源の投入及び遮断も制御部8によって制御される。
【0038】
液滴吐出装置10の塗布動作は、制御部8から所定の駆動パルス信号をX方向駆動モータ3およびY方向駆動モータ6とに送り、ヘッドユニット1を副走査方向(X方向)に、ステージ4を主走査方向(Y方向)に相対移動させる。そして、この相対移動に同期して制御部8から吐出電圧を供給し、ヘッドユニット1の液滴吐出ヘッド20からワークWの所定の領域に液状体を液滴として吐出し塗布を行う。
【0039】
液滴吐出ヘッド20から吐出される液滴の吐出量は、制御部8から供給される吐出電圧の大きさによって調整することができる。
【0040】
<液滴吐出ヘッド>
次に本発明の一実施形態である液滴吐出ヘッドについて図2に基づいて説明する。同図(a)は液滴吐出ヘッドの要部構造を示す概略斜視図、同図(b)は複数のノズルの配列を示す平面図である。
【0041】
図2(a)に示すように液滴吐出ヘッド20は、複数のノズル22を有するノズルプレート21と、各ノズル22に対応してこれを区画する区画部24を含む液状体の流路が形成されたリザーバプレート23と、エネルギー発生手段としての圧電素子(ピエゾ)29を有する振動板28とからなる3層構造の所謂ピエゾ方式インクジェットヘッドである。ノズルプレート21とリザーバプレート23の区画部24および振動板28によって複数の圧力発生室25が構成されている。各ノズル22は、各圧力発生室25にそれぞれ連通している。また、圧電素子29は、各圧力発生室25に対応するように振動板28に複数配設されている。
【0042】
リザーバプレート23には、振動板28に形成された供給孔28aを通じてタンク(図示省略)から供給される液状体が一時的に貯留される共通流路27が設けられている。また共通流路27に充填された液状体は、供給口26を通じて各圧力発生室25に供給される。
【0043】
液滴吐出ヘッド20は、電気信号としての駆動波形が圧電素子29に印加されると圧電素子29自体が歪んで振動板28を変形させる。これにより、圧力発生室25の体積変動が起こり、これによるポンプ作用で圧力発生室25に充填された液状体が加圧され、ノズル22から液状体を液滴Lとして吐出することができる。尚、ノズル22から液状体を液滴Lとして吐出させるエネルギー発生手段は、圧電素子29に限定されず、加熱素子としてのヒータや電気機械変換素子としての静電アクチュエータ等でもよい。
【0044】
図2(b)に示すように、液滴吐出ヘッド20は、複数のノズル22が略等間隔(ノズルピッチP1)でノズルプレート21に配置された2つのノズル列22a,22bを有している。また、ノズル列22a,22bに直交する方向から見たときに、複数のノズル22が略等間隔(ノズルピッチP1の半分のノズルピッチP2)で配列するように、一方のノズル列22aに対して他方のノズル列22bがずれて配置されている。
【0045】
この場合、各ノズル列22a,22bには、それぞれ180個のノズル22が配設されており、ノズル列22a,22bに直交する方向から見ると、360個のノズル22が略等間隔で配置されている。ノズル22の直径は、およそ28μmである。ノズルピッチP1はおよそ140μm、ノズルピッチP2はおよそ70μmである。ノズル列22aとノズル列22bとの間隔は、およそ2.54mmである。
【0046】
次にヘッドユニット1に備えられた複数の液滴吐出ヘッド20の配置について説明する。図3は、液滴吐出ヘッドの配置を示す概略平面図である。
【0047】
図3に示すように、ヘッドユニット1には、複数(6個)の液滴吐出ヘッド20をワークに向けて保持する四角形のキャリッジ1aを有している。キャリッジ1aには、ノズル列22a,22bが主走査方向(Y方向)に直交するように3つの液滴吐出ヘッド20が所定の間隔を置いて配設されている。前述したように液滴吐出ヘッド20は、360個のノズル22を有している。そのノズル長はLnである。そして、実際の液状体の吐出の際には、ノズル列22a,22bの両端側の10個のノズル22を用いていない。これは、両端側に位置するノズル22からの吐出量が他のノズル22に比べて安定しにくいことを考慮したものである。よって、両端側の10個のノズル22を除いた有効ノズル長をLnpとする。6個の液滴吐出ヘッド20a,20b,20c,20d,20e,20fは、Y方向に配列した3個ずつの液滴吐出ヘッド20がX方向に有効ノズル長Lnpの間隔を置いて配設されている。このような液滴吐出ヘッド20の配置は、有効ノズル長Lnpに相当する距離でヘッドユニット1をX方向に副走査(改行)すれば、Y方向に配列した3つの液滴吐出ヘッド20に対応する描画幅で液状体をワークWに対してX方向に連続的に吐出描画することが可能である。ワークW上の複数の膜形成領域の大きさやその配置により、膜形成領域に着弾させる液滴Lの吐出量や1回の主走査による着弾密度を考慮して、ノズル列22a,22bが主走査方向(Y方向)に対して交差するように複数の液滴吐出ヘッド20をキャリッジ1aに傾斜させて配設してもよい。
【0048】
また、キャリッジ1aに搭載する液滴吐出ヘッド20の数は、これに限定されるものでない。さらには、ヘッドユニット1に複数のキャリッジ1aを所定の間隔で備える構成としてもよい。
【0049】
図4は、制御部および制御部に関連する各部との電気的な構成を示すブロック図である。図4に示すように制御部8は、液状体の吐出データを外部情報処理装置から受け取る入力バッファメモリ14と、入力バッファメモリ14に一時的に記憶された吐出データを記憶手段(RAM)15に展開して関連する各部に制御信号を送る処理部16とを備えている。また処理部16からの制御信号を受けてX方向駆動モータ3とY方向駆動モータ6,11とに位置制御信号を送る走査駆動部17と、同じく処理部16からの制御信号を受けて液滴吐出ヘッド20に駆動電圧パルス(駆動波形)を送るヘッド駆動部18とを備えている。さらに、重量測定ユニット13での液状体の吐出量の測定結果の出力を検出して、一時的に記憶手段15に保存し、該測定結果に基づいて各液滴吐出ヘッド20ごとおよびノズル22ごとの1回の吐出量の設定値に対する差を演算することができる。また、制御部8は、重量測定ユニット13に測定開始、停止、測定結果リセット、再測定等の制御信号を送信することができる。
【0050】
入力バッファメモリ14に受け取られる吐出データは、ワークW上の膜形成領域の相対位置を表すデータと、膜形成領域に液状体の液滴をどのような着弾密度で吐出するかを示すデータと、液滴吐出ヘッド20のノズル列22a,22bのうちどのノズル22を駆動(ON−OFF)するかを指定するデータと、を含んでいる。
【0051】
処理部16は、記憶手段15に格納された吐出データの中から膜形成領域に関する位置の制御信号を走査駆動部17に送る。走査駆動部17は、この制御信号を受けてX方向駆動モータ3に位置制御信号を送ってヘッドユニット1(液滴吐出ヘッド20)を副走査方向であるX軸方向に移動させる。またY方向駆動モータ6,11に位置制御信号を送ってワークWが保持されたステージ4やメンテナンス機構9を主走査方向であるY軸方向に移動させる。これによってワークWの所望の位置に液滴吐出ヘッド20から液状体の液滴が吐出されるようにヘッドユニット1とワークWとを相対移動させる。
【0052】
また処理部16は、記憶手段15に格納された吐出データの中から膜形成領域に液状体の液滴をどのような着弾密度で吐出するかを示すデータを、ノズル22毎の4ビットの吐出ビットマップデータに変換してヘッド駆動部18に送る。また、液滴吐出ヘッド20のノズル列22a,22bの内どのノズル22を駆動(ON−OFF)するかを指定するデータに基づいて、液滴吐出ヘッド20の圧電素子29に印加する駆動電圧パルスをいつ発信するかの「タイミング検出信号」であるラッチ信号とチャンネル信号をヘッド駆動部18に送る。ヘッド駆動部18は、これらの制御信号を受けて液滴吐出ヘッド20に適正な駆動電圧パルスを送って、ノズル22から液状体の液滴Lを吐出させる。
【0053】
<液状体の吐出方法>
次に、本発明の一実施形態である液状体の吐出方法について図5および図6を基に説明する。図5(a)〜(c)は実施例1の液状体の吐出方法を示す概略平面図、図6(a)は実施例2の液状体の吐出方法を示す概略平面図、図6(b)は実施例2の液状体の吐出方法を示す概略断面図である。本実施形態の液状体の吐出方法は、液滴吐出装置10を用い、複数のノズル22を有する液滴吐出手段としてのヘッドユニット1とワークWとを対向させて相対移動させる主走査に同期して、ワークW上の複数の膜形成領域に対して複数のノズル22から膜形成材料を含む液状体を液滴Lとして吐出する方法である。
【0054】
(実施例1)
実施例1の液状体の吐出方法は、まず、図5(a)に示すように、複数のノズル22からなる2つのノズル列22a,22bが膜形成領域Aの長手方向(X方向)に対して略平行となるように、ワークWをステージ4に載置する。そして、各膜形成領域A(A11,A12,A13)に掛かる複数のノズルa1,a2,b1,b2,b3のうち、主走査方向(Y方向)から見て膜形成領域Aの最も中央に近い1つのノズルb2から各膜形成領域A11,A12,A13に液状体を液滴Lとして吐出する第1吐出工程を行う。なお、膜形成領域Aは、ワークW上のXおよびY方向にマトリクス状に複数配置されており、図5(a)〜(c)では、Y方向に配列する一部を表示している。
【0055】
そして、図5(b)に示すように、第1吐出工程の後に、各膜形成領域Aに掛かるノズルb2以外の複数のノズルa1,a2,b1,b3から各膜形成領域Aに液状体の液滴Lを複数吐出する第2吐出工程を行う。この場合、第1吐出工程では、主走査方向(Y方向)に対して液滴Lを複数滴吐出したが、少なくとも1滴を吐出すればよい。また、第2吐出工程では、主走査方向に対して直交する方向(X方向)にヘッドユニット1とワークWとを相対移動させる副走査を行ってから液状体を液滴Lとして複数吐出する主走査を行ってもよい。
【0056】
さらには、図5(c)に示すように、第1吐出工程では、各膜形成領域A11,A12,A13ごとに異なる位置のノズル22から液滴Lを吐出することが好ましい。例えば、膜形成領域A11にはノズルa1から吐出し、膜形成領域A12にはノズルb2から吐出し、膜形成領域A13にはノズルa2から吐出する。このようにすれば、実際には、X方向に配列する複数の膜形成領域Aに掛かるノズル22の位置は必ずしも一定でないので、液状体を吐出するノズル22を膜形成領域Aごとに変えることにより、ワークW上により均一に液状体を付与することが可能である。この場合、第2吐出工程では、各膜形成領域A11,A12,A13ごとに、第1吐出工程で使用したノズル以外のノズルを使用して液状体の液滴Lを吐出する。あるいは副走査を行ってから液状体を液滴Lとして吐出する。
【0057】
このような実施例1の液状体の吐出方法を用いれば、あらかじめワークW上のすべての膜形成領域Aごとに少量の液状体をほぼ均一に付与して、ワークW上に着弾した液状体の溶媒の蒸気圧をほぼ一定にしてから主たる液状体を吐出することが可能となる。
【0058】
なお、第1吐出工程で液状体を吐出するノズル22は1つに限定せず、膜形成領域Aが比較的大きな場合には、中央に近い2つのノズル22から各膜形成領域Aごとに液状体を吐出してもよい。これによれば、第1吐出工程で1回の主走査により付与可能な液状体の吐出量を増やすことができる。
【0059】
(実施例2)
実施例2の液状体の吐出方法は、図6(a)に示すように、まず実施例1と同様に複数のノズル22からなる2つのノズル列22a,22bが膜形成領域Aの長手方向(X方向)に対して略平行となるように、ワークWをステージ4に載置する。D1〜D3は、第1吐出工程において各膜形成領域A11,A21,A31に液状体を吐出する選択された1つのノズルを示している。C1〜C13は、第2吐出工程においてY方向から見た複数のノズル22の配置を示しており、各ノズルC1〜C13は、略等間隔(ノズルピッチP2)で配置されている。X方向に配列した膜形成領域A11,A21,A31は、それぞれ隔壁部Kにより区画されている。膜形成領域Aは、Y方向にも配列しているが図示省略する。
【0060】
図6(b)に示すように、第1吐出工程では、各膜形成領域A11,A21,A31に掛かる選択された各ノズルD1,D2,D3から、第2吐出工程で吐出する液状体の吐出量を補うと共に着弾位置の偏りを補うように液状体を吐出する。より具体的には、第2吐出工程では、X方向においてほぼ均等な位置で膜形成領域A11に掛かった4つのノズルC1〜C4から液状体を液滴として吐出する。着弾した液状体Lc1は、複数の液滴が合体することにより盛り上がる。よって、第1吐出工程では、膜形成領域A11のほぼ中央に位置するノズルD1から第2吐出工程で吐出する液状体の吐出量を補う量の液状体Ld1を吐出する。
【0061】
また、第2吐出工程では、X方向においてノズルC5が隔壁部Kに掛かるので使用されず、膜形成領域A21に掛かった3つのノズルC6〜C8から液状体を液滴として吐出する。着弾した液状体Lc2は複数の液滴が合体してなるも、吐出量は液状体Lc1よりも少なく、やや膜形成領域A31側に偏って盛り上がる。よって、第1吐出工程では、ノズルC5側に位置するノズルD2から液状体Lc2の吐出量を補う量の液状体Ld2を膜形成領域A21に吐出する。
【0062】
同様にして第2吐出工程では、X方向においてノズルC9,13が隔壁部Kに掛かるので使用されず、膜形成領域A31に掛かった3つのノズルC10〜C12から液状体を液滴として吐出する。着弾した液状体Lc3は複数の液滴が合体してなるも、吐出量は液状体Lc1よりも少なく、やや膜形成領域A21側に偏って盛り上がる。よって、第1吐出工程では、ノズルC13側に位置するノズルD3から液状体Lc3の吐出量を補う量の液状体Ld3を膜形成領域A31に吐出する。
【0063】
なお、この場合、第1吐出工程で選択されたノズルD1〜D3の位置は、これに限定されず、例えば、ノズルD1は、隔壁部Kに近いノズルを選択してもよい。これにより、あらかじめ隔壁部Kの付近に液状体を付与して濡れ広げておくことができる。
【0064】
このような実施例2の液状体の吐出方法を用いれば、第1吐出工程では、ワークW上のすべての膜形成領域Aごとに第2吐出工程で吐出される液状体の吐出量を補正すると共に着弾位置の偏りを補正するように液状体を付与する。よって、ワークW上の膜形成領域Aごとに安定した吐出量でより均一に液状体を吐出することが可能となる。なお、第2吐出工程で各膜形成領域Aごとに吐出される液状体の吐出量または着弾位置の偏りのいずれかを補うように液状体を吐出してもよい。
【0065】
また、上記実施例1および上記実施例2の液状体の吐出方法において、第1吐出工程での主走査の速度(ヘッドユニット1とワークWとの相対移動速度)と第2吐出工程での主走査の速度とを液状体に含まれる溶媒の蒸発速度に応じて変えることが好ましい。より好ましくは、第1吐出工程の主走査の速度を第2吐出工程に比べて速めることにより、ワークWの複数の膜形成領域Aに渡ってすばやく液状体を付与する。これにより、ワークW上の液状体の蒸気圧をより均一にした状態で第2吐出工程を行うことが可能となる。また、液状体を付与する効率も向上する。
【0066】
さらには、上記実施例2の液状体の吐出方法において、第1吐出工程で各膜形成領域A21,A31に吐出される液状体Ld2,Ld3の吐出量は、第2吐出工程で吐出される液状体Lc1に対して不足している液状体Lc2,Lc3の吐出量を補う量に限定されない。液滴吐出装置10は、前述したようにメンテナンス機構9に重量測定ユニット13を備えており、ヘッドユニット1に備えられた複数の液滴吐出ヘッド20a,20b,20c,20d,20e,20fのそれぞれの吐出量を測定可能である。また、ノズル22間の吐出量バラツキを測定可能である。したがって、ワークW上の複数の膜形成領域Aに掛かる各液滴吐出ヘッド20a,20b,20c,20d,20e,20fに対応して、そのノズル22間の吐出量バラツキを考慮し各液状体Ld1,Ld2,Ld3を吐出することも可能である。
【0067】
上記実施形態1の効果は、以下の通りである。
(1)上記実施形態1の実施例1の液状体の吐出方法では、第1吐出工程において各膜形成領域A11,A12,A13ごとに少量の液状体を膜形成領域Aの中央に近い1つのノズルb2から付与する。そして、第2吐出工程において膜形成領域Aに掛かる複数のノズルa1,a2,b1,b3から液状体を複数の液滴Lとして吐出する。したがって、最初に複数のノズル22から液状体を吐出する場合に比べて、あらかじめ膜形成領域Aごとにほぼ一定量の液状体をほぼ均一に付与してから、主たる液状体を付与することができる。すなわち、最初の液状体の付与分布をほぼ一定にすることにより、着弾した液状体の蒸気圧分布を均一とし、後の液状体の付与による吐出ムラの発生を低減することができる。このような吐出方法を用い、付与された液状体を乾燥すれば、膜形成領域Aに均一な膜を形成することができる。
【0068】
(2)上記実施形態1の実施例2の液状体の吐出方法では、各膜形成領域A11,A21,A31に掛かる選択された各ノズルD1,D2,D3から、第2吐出工程で吐出する液状体の吐出量を補うと共に着弾位置の偏りを補うように液状体を吐出する。したがって、ワークW上の膜形成領域A11,A21,A31ごとに安定した吐出量でより均一に液状体を吐出することができる。このような吐出方法を用い、付与された液状体を乾燥すれば、膜形成領域Aにより均一な膜を形成することができる。
【0069】
(実施形態2)
次に上記実施形態1の液状体の吐出方法を適用した、電気光学装置としての液晶表示装置とその製造方法について図7〜図9を基に説明する。
【0070】
<液晶表示装置>
図7は、液晶表示装置の構造を示す概略斜視図である。図7に示すように、本実施形態の液晶表示装置100は、TFT(Thin Film Transistor)透過型の液晶表示パネル120と、液晶表示パネル120を照明する照明装置117とを備えている。液晶表示パネル120は、着色層を有するカラーフィルタ110と、画素電極111に3端子のうちの1つが接続されたTFT素子112を有する素子基板108と、これらの一対の基板108,110によって挟持された電気光学材料としての液晶(図示省略)とを備えている。また、液晶表示パネル120の外面側となる一対の基板108,110の表面には、透過する光を偏向させる上偏光板115と下偏光板116とが配設される。
【0071】
カラーフィルタ110は、透明なガラス等からなる基板101と、複数の区画領域としての着色領域をマトリクス状に区画する隔壁部104と、複数の着色領域に形成されたRGB3色の着色層105R,105G,105Bとを備えている。隔壁部104は、Crなどの遮光性を有する金属あるいはその酸化膜からなる下層バンク102と、下層バンク102の上(図面では下向き)に形成された有機化合物からなる上層バンク103とにより構成されている。また、隔壁部104と着色層105R,105G,105Bとを覆う平坦化層としてのオーバーコート層(OC層)106と、OC層106を覆うように形成されたITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電膜からなる対向電極107とを備えている。着色層105R,105G,105Bは、後述するカラーフィルタの製造方法を用いて製造されている。
【0072】
素子基板108は、同じく透明なガラス等の材料からなり、絶縁膜109を介してマトリクス状に形成された画素電極111と、画素電極111に対応して形成された複数のTFT素子112とを有している。TFT素子112の3端子のうち、画素電極111に接続されない他の2端子は、互いに絶縁された状態で画素電極111を囲むように格子状に配設された走査線113とデータ線114とに接続されている。
【0073】
照明装置117は、例えば光源として白色のLED、EL、冷陰極管等を用い、これらの光源からの光を液晶表示パネル120に向かって出射することができる導光板や拡散板、反射板等の構成を備えたものであれば、どのようなものでもよい。
【0074】
尚、液晶表示パネル120は、スイッチング素子としてTFT素子112に限らずTFD(Thin Film Diode)素子を有したものでもよく、さらには、少なくとも一方の基板に着色層を備えるものであれば、画素を構成する電極が互いに交差するように配置されるパッシブ型の液晶表示装置でもよい。また、上下偏光板115,116は、視角依存性を改善する目的等で用いられる位相差フィルムなどの光学機能性フィルムと組み合わされたものでもよい。
【0075】
(カラーフィルタの製造方法)
次にカラーフィルタ110の製造方法について図8および図9に基づいて説明する。図8は、カラーフィルタの製造方法を示すフローチャート、図9(a)〜(e)はカラーフィルタの製造方法を示す概略断面図である。
【0076】
図8に示すように、本実施形態のカラーフィルタ110の製造方法は、基板101の表面に隔壁部104を形成する工程(ステップS1、ステップS2)と、隔壁部104によって区画された着色領域を表面処理する工程(ステップS3)とを備えている。また、液滴吐出装置10を用いて表面処理された着色領域に異なる着色層形成材料を含む3種(3色)の液状体を付与する液状体吐出工程(ステップS4)と、付与された液状体を乾燥して成膜化する乾燥工程(ステップS5)とを備えている。さらに隔壁部104と着色層105R,105G,105Bとを覆うようにOC層106を形成する平坦化層形成工程(ステップS6)を備えている。
【0077】
実際のカラーフィルタ110の製造工程では、1つの液晶表示パネル120に対応するカラーフィルタ110がマトリクス状に配置されるよう設計されたマザー基板が用いられる。マザー基板は、液晶表示パネル120を効率的かつ安価に製造するために大型化している。このような大型のマザー基板に複数色の着色層を形成する方法として、着色層形成材料を無駄なく使用して着色層を効率的に形成するために液滴吐出法(インクジェット法)を用いている。
【0078】
図8のステップS1は、第1バンクとしての下層バンク102を形成する工程である。ステップS1では、図9(a)に示すように、下層バンク102を基板101上に形成する。下層バンク102の材料は、例えば、Cr、Ni、Al等の不透明な金属、あるいはこれらの金属の酸化物等の化合物を用いることができる。下層バンク102の形成方法としては、蒸着法あるいはスパッタ法で上記材料からなる膜を基板101上に成膜する。膜厚は、遮光性が保たれる膜厚を選定された材料に応じて設定すればよい。例えば、Crならば、100〜200nmが好ましい。そして、フォトリソグラフィ法により開口部102aに対応する部分以外をレジストで膜を覆い、上記材料に対応する酸等のエッチング液を用いて膜をエッチングする。これにより開口部102aを有する下層バンク102が形成される。そして、ステップS2へ進む。
【0079】
図8のステップS2は、第2バンクとしての上層バンク103を形成する工程である。ステップS2では、図9(b)に示すように、下層バンク102の上に上層バンク103を形成する。上層バンク103の材料としては、アクリル系の感光性樹脂材料を用いることができる。また、感光性樹脂材料は、遮光性を有することが好ましい。上層バンク103の形成方法としては、例えば、下層バンク102が形成された基板101の表面に感光性樹脂材料をロールコート法やスピンコート法で塗布し、乾燥させて厚みがおよそ2μmの感光性樹脂層を形成する。そして、着色領域Dに対応した大きさで開口部が設けられたマスクを基板101と所定の位置で対向させて露光・現像することにより、上層バンク103を形成する方法が挙げられる。これにより基板101上に複数の着色領域Dをマトリクス状に区画する隔壁部104が形成される。そしてステップS3へ進む。
【0080】
図8のステップS3は、表面処理工程である。ステップS3では、O2を処理ガスとするプラズマ処理とフッソ系ガスを処理ガスとするプラズマ処理とを行う。すなわち、着色領域Dが親液処理され、その後感光性樹脂からなる上層バンク103の表面(壁面を含む)が撥液処理される。そしてステップS4へ進む。
【0081】
図8のステップS4は、着色領域Dに着色層形成材料を含む液状体を付与する液状体吐出工程である。ステップS4では、着色領域Dの長手方向がノズル列22a,22bと平行となるように、隔壁部104が形成された基板101を液滴吐出装置10のステージ4に載置する。そして、図9(c)に示すように、液滴吐出ヘッド20から表面処理された各着色領域Dのそれぞれに、対応する液状体31,32,33を液滴として付与する。液状体31はR(赤色)の着色層形成材料を含み、液状体32はG(緑色)の着色層形成材料を含み、液状体33はB(青色)の着色層形成材料を含むものである。液状体31,32,33の吐出方法は、上記実施形態1の液状体の吐出方法を用いている。したがって、各着色領域Dごとに吐出ムラが低減され均一に液状体が付与される。そして、ステップS5へ進む。
【0082】
図8のステップS5は、付与された液状体31,32,33を乾燥して成膜化する乾燥工程である。ステップS5では、図9(d)に示すように、液滴吐出装置10のヒータ12を用い、付与された液状体31,32,33から溶剤成分を除去して着色層105R,105G,105Bを成膜する。付与された液状体31,32,33を一括乾燥する方法としては、これに限らず、溶剤成分を均質に乾燥可能な減圧乾燥法が望ましい。そしてステップS6へ進む。
【0083】
図8のステップS6は、平坦化層形成工程である。ステップS6では、図9(e)に示すように、上層バンク103と着色層105R,105G,105Bとを覆うようにOC層106を形成する。OC層106の材料としては、透明なアクリル系樹脂材料を用いることができる。形成方法としては、スピンコート法、オフセット印刷などの方法が挙げられる。OC層106は、着色層105R,105G,105Bが形成された基板101の表面の凹凸を緩和して、後にこの表面に膜付けされる対向電極107を平担化するために設けられている。また、対向電極107との密着性を確保するために、OC層106の上にさらにSiO2などの薄膜を形成してもよい。
【0084】
上記のカラーフィルタ110の製造方法を用いて着色層105R,105G,105Bを形成すれば、液状体31,32,33の吐出ムラによる白抜けや色ムラ等の不良を低減して歩留まりよくカラーフィルタ110を製造することが可能である。
【0085】
<液晶表示装置の製造方法>
本実施形態の液晶表示装置100の製造方法は、一対の基板108,110のうちのカラーフィルタ110を上記カラーフィルタ110の製造方法を用いて製造する。したがって、カラーフィルタ110と素子基板108とを所定の間隔を置いて接着剤で接着し、その隙間に液晶を充填すれば、白抜けや色ムラ等の不良が低減された見映えのよい表示品質を有する液晶表示装置100を製造可能である。なお、カラーフィルタ110に対向電極107を形成する方法、素子基板108に画素電極111、TFT素子112、走査線113、データ線114等を形成する方法は、公知の方法を用いればよい。
【0086】
上記実施形態2の効果は、以下の通りである。
(1)上記実施形態2のカラーフィルタ110の製造方法は、上記実施形態1の液状体の吐出方法を用い、着色領域Dに異なる着色層形成材料を含む3種の液状体を吐出して乾燥することにより、着色層105R,105G,105Bを形成する。したがって、吐出ムラによる白抜けや色ムラの不良を低減して歩留まりよくカラーフィルタ110を製造することができる。
【0087】
(2)上記実施形態2の液晶表示装置100の製造方法は、一対の基板108,110のうちカラーフィルタ110を上記カラーフィルタ110の製造方法により製造する。したがって、カラーフィルタ110と素子基板108とを所定の間隔を置いて接着剤で接着し、その隙間に液晶を充填すれば、白抜けや色ムラ等の不良が低減された見映えのよい表示品質を有する液晶表示装置100を製造することができる。
【0088】
(実施形態3)
次に上記実施形態1の液状体の吐出方法を適用した、他の電気光学装置としての有機EL表示装置とその製造方法について図10を基に説明する。
【0089】
<有機EL表示装置>
図10は、有機EL表示装置の要部構造を示す概略断面図である。図10に示すように本実施形態の有機EL表示装置200は、発光素子部217を有する基板201と、基板201と空間220を隔てて封着された封止基板219とを備えている。また基板201は、素子基板202上に回路素子部203を備えており、発光素子部217は、回路素子部203上に重畳して形成され、回路素子部203により駆動されるものである。発光素子部217には、3色の有機発光層217R,217G,217Bがそれぞれの区画領域Aに形成され、ストライプ状となっている。基板201は、3色の有機発光層217R,217G,217Bに対応する3つの区画領域Aを1組の絵素とし、この絵素が素子基板202の回路素子部203上にマトリクス状に配置されたものである。本実施形態の有機EL表示装置200は、発光素子部217からの発光が素子基板202側に出射するものである。
【0090】
封止基板219は、ガラス又は金属からなるもので、封止樹脂を介して基板201に接合されており、封止された内側の表面には、ゲッター剤219aが貼り付けられている。ゲッター剤219aは、基板201と封止基板219との間の空間220に侵入した水又は酸素を吸収して、発光素子部217が侵入した水又は酸素によって劣化することを防ぐものである。なお、このゲッター剤219aは省略しても良い。
【0091】
基板201は、素子基板202の回路素子部203上に複数の区画領域Aを有するものであって、複数の区画領域Aを区画すると共に、壁面に段差を有するバンクとしての二層バンク213と、複数の区画領域Aに形成された電極212と、電極212に積層された正孔注入輸送層216とを備えている。また複数の区画領域A内に発光層形成材料を含む3種の液状体を付与して形成された有機発光層217R,217G,217Bを有する発光素子部217を備えている。二層バンク213は、下層バンク214と区画領域Aを実質的に区画する上層バンク215とからなり、下層バンク214は、区画領域Aの内側に張り出すように設けられて、二層バンク213の壁面に段差を形成している。
【0092】
素子基板202は、例えばガラス等の透明な基板からなり、素子基板202上にシリコン酸化膜からなる下地保護膜202aが形成され、この下地保護膜202a上に多結晶シリコンからなる島状の半導体膜204が形成されている。尚、半導体膜204には、ソース領域204a及びドレイン領域204bが高濃度Pイオン打ち込みにより形成されている。なお、Pイオンが導入されなかった部分がチャネル領域204cとなっている。さらに下地保護膜202a及び半導体膜204を覆う透明なゲート絶縁膜205が形成され、ゲート絶縁膜205上にはAl、Mo、Ta、Ti、W等からなるゲート電極206が形成され、ゲート電極206及びゲート絶縁膜205上には透明な第1層間絶縁膜207と第2層間絶縁膜208が形成されている。ゲート電極206は半導体膜204のチャネル領域204cに対応する位置に設けられている。また、第1層間絶縁膜207および第2層間絶縁膜208を貫通して、半導体膜204のソース領域204a、ドレイン領域204bにそれぞれ接続されるコンタクトホール209,210が形成されている。そして、第2層間絶縁膜208上に、ITO(Indium Tin Oxide)等からなる透明な電極212が所定の形状にパターニングされて配置され(電極形成工程)、一方のコンタクトホール209がこの電極212に接続されている。また、もう一方のコンタクトホール210が電源線211に接続されている。このようにして、回路素子部203には、各電極212に接続された駆動用の薄膜トランジスタ203aが形成されている。尚、回路素子部203には、保持容量とスイッチング用の薄膜トランジスタも形成されているが、図10ではこれらの図示を省略している。
【0093】
発光素子部217は、陽極としての電極212と、電極212上に順次積層された正孔注入輸送層216、各有機発光層217R,217G,217Bと、上層バンク215と各有機発光層217R,217G,217Bとを覆うように積層された陰極218とを備えている。この場合、機能層は、正孔注入輸送層216とこれに積層された有機発光層217R,217G,217Bとを含む。なお、陰極218と封止基板219およびゲッター剤219aを透明な材料で構成すれば、封止基板219側から発光する光を出射させることができる。
【0094】
有機EL表示装置200は、ゲート電極206に接続された走査線(図示省略)とソース領域204aに接続された信号線(図示省略)とを有し、走査線に伝わった走査信号によりスイッチング用の薄膜トランジスタ(図示省略)がオンになると、そのときの信号線の電位が保持容量に保持され、該保持容量の状態に応じて、駆動用の薄膜トランジスタ203aのオン・オフ状態が決まる。そして、駆動用の薄膜トランジスタ203aのチャネル領域204cを介して、電源線211から電極212に電流が流れ、更に正孔注入輸送層216と各有機発光層217R,217G,217Bとを介して陰極218に電流が流れる。各有機発光層217R,217G,217Bは、これを流れる電流量に応じて発光する。有機EL表示装置200は、このような発光素子部217の発光メカニズムにより、所望の文字や画像などを表示することができる。また有機EL発光素子を複数備えた発光素子部217は、後述する有機EL発光素子の製造方法を用いて製造されており、各有機発光層217R,217G,217Bの膜厚がほぼ一定であるため、膜厚が不均一による発光ムラ、輝度ムラ等の不具合の少ない高い表示品質を有している。
【0095】
<有機EL発光素子の製造方法>
本実施形態の有機EL発光素子の製造方法は、上記実施形態1の液状体の吐出方法を用い、二層バンク213によって区画された区画領域Aに異なる発光層形成材料を含む液状体を液滴吐出ヘッド20から液滴として吐出する液状体吐出工程と、付与された液状体を乾燥して有機発光層217R,217G,217Bを形成する乾燥工程とを備えている。したがって、吐出ムラによる発光ムラ、輝度ムラ等の不具合の少ない複数の有機EL発光素子を備えた発光素子部217を製造することが可能である。
【0096】
<有機EL表示装置の製造方法>
次に本実施形態の有機EL表示装置200の製造方法について説明する。本実施形態の有機EL表示装置200の製造方法は、複数の有機EL発光素子を備えた発光素子部217を上記有機EL発光素子の製造方法を用いて製造する。したがって、発光素子部217が形成された基板201と封止基板219とを接着剤を用いて接合すれば、吐出ムラによる発光ムラ、輝度ムラ等の不具合の少ない見映えのよい有機EL表示装置200を製造することが可能である。なお、素子基板202の表面に回路素子部203、電極212、二層バンク213、正孔注入輸送層216等を形成する方法は、公知の方法を用いればよい。
【0097】
上記実施形態3の効果は、以下の通りである。
(1)上記実施形態3の有機EL発光素子の製造方法は、上記実施形態1の液状体の吐出方法を用い、正孔注入輸送層216が形成された区画領域Aに異なる発光層形成材料を含む液状体を吐出して乾燥することにより、有機発光層217R,217G,217Bを形成する。したがって、吐出ムラによる発光ムラや輝度ムラを低減して歩留まりよく複数の有機EL発光素子を備えた発光素子部217を製造することができる。
【0098】
(2)上記実施形態3の有機EL表示装置200の製造方法は、発光素子部217を上記有機EL発光素子の製造方法を用いて製造する。したがって、発光素子部217が形成された基板201と封止基板219とを接着剤を用いて接合すれば、吐出ムラによる発光ムラ、輝度ムラ等の不具合の少ない見映えのよい有機EL表示装置200を製造することができる。
【0099】
(実施形態4)
次に上記実施形態2の液晶表示装置または上記実施形態3の有機EL表示装置を搭載した電子機器の具体例について図11を基に説明する。図11は、電子機器としての携帯電話機を示す概略斜視図である。
【0100】
図11に示すように、本実施形態の電子機器としての携帯電話機1000は、数字や文字の入力が可能な本体1002と、本体1002に対して折りたたみ可能な状態に取り付けられた表示部1001とを有している。表示部1001には、液晶表示装置100または有機EL表示装置200が搭載されている。
【0101】
上記実施形態4の効果は、以下の通りである。
(1)上記実施形態4の携帯電話機1000は、実施形態2の液晶表示装置100または実施形態3の有機EL表示装置200を搭載しているため、色ムラや発光ムラ等の不具合の少ない高い表示品質で文字や画像等の情報を確認することが可能な携帯電話機1000を提供することができる。
【0102】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記各実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。例えば上記各実施形態以外の変形例は、以下の通りである。
【0103】
(変形例1)上記実施形態1の液状体の吐出方法は、膜形成領域Aの長手方向に対してノズル列22a,22bが平行になる所謂横描画方法であるが、膜形成領域Aの短手方向に対してノズル列22a,22bが平行になる所謂縦描画方法においても適用可能である。
【0104】
(変形例2)上記実施形態1の液状体の吐出方法は、カラーフィルタ110の着色層105R,105G,105Bや有機EL発光素子の有機発光層217R,217G,217Bの製造方法に適用することに限定されない。例えば、液晶表示装置100の配向膜の形成方法、有機EL表示装置200の薄膜トランジスタ203aに接続される金属配線等の形成方法など薄膜を有するデバイスの製造方法に適用可能である。
【0105】
(変形例3)上記実施形態2のカラーフィルタ110の着色層105R,105G,105Bの配置は、これに限定されない。図12は、着色層の配置を示す平面図である。例えば、着色層105R,105G,105Bの配置は、同図(a)に示したストライプ状であるが、同図(b)に示すように同一色の着色層が斜め方向に配置されたモザイク状、あるいは同図(c)に示すように三角形の頂点の位置に着色層が配置されたデルタ状でも、本発明の液状体の吐出方法を適用することができる。なお、上記実施形態3の有機EL表示装置200の有機発光層217R,217G,217Bの配置においても同様である。また、着色層は3色に限定されず、RGB以外に色再現範囲を拡大する他の色を加えた多色の構成としてもよい。
【0106】
(変形例4)上記実施形態3の有機EL表示装置200の封止基板219は必ずしも必要としない。例えば、基板201の発光素子部217を覆うように遮光性を有する樹脂等からなる封着剤によって封止してもよい。
【0107】
(変形例5)上記実施形態3の有機EL表示装置200の構成はこれ限定されず、例えば、封止基板219の替わりにカラーフィルタ110を用い、陰極218を透明な状態に形成して、白色発光可能な有機発光層を有する発光素子部217を備えた基板201と封止することにより、所謂トップエミッション型の有機EL表示装置200とすることも可能である。
【0108】
(変形例6)上記実施形態2の液晶表示装置100または上記実施形態3の有機EL表示装置200を搭載した電子機器としては、実施形態4の携帯電話機1000に限定されない。例えば、PDA(Personal Digital Assistants)と呼ばれる携帯型情報機器や携帯端末機器、携帯型パーソナルコンピュータ、ワープロ、デジタルスチルカメラ、車載用モニタ、デジタルビデオカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワークステーション、テレビ電話機、POS端末機等、電気光学装置である液晶表示装置や有機EL表示装置を用いる機器が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】液滴吐出装置を示す概略斜視図。
【図2】(a)は液滴吐出ヘッドの要部構造を示す概略斜視図、(b)は複数のノズルの配列を示す平面図。
【図3】液滴吐出ヘッドの配置を示す概略平面図。
【図4】制御部および制御部に関連する各部との電気的な構成を示すブロック図。
【図5】(a)〜(c)は実施例1の液状体の吐出方法を示す概略平面図。
【図6】(a)は実施例2の液状体の吐出方法を示す概略平面図、(b)は実施例2の液状体の吐出方法を示す概略断面図。
【図7】液晶表示装置の構造を示す概略斜視図。
【図8】カラーフィルタの製造方法を示すフローチャート。
【図9】(a)〜(e)はカラーフィルタの製造方法を示す概略断面図。
【図10】有機EL表示装置の要部構造を示す概略断面図。
【図11】電子機器としての携帯電話機を示す概略斜視図。
【図12】(a)〜(c)は着色層の配置を示す平面図。
【符号の説明】
【0110】
1…液滴吐出手段としてのヘッドユニット、20…液滴吐出ヘッド、22…ノズル、22a,22b…ノズル列、31,32,33…異なる着色層形成材料を含む複数種の液状体、100…電気光学装置としての液晶表示装置、101…基板、105R,105G,105B…着色層、108…一対の基板としての素子基板、110…一対の基板としてのカラーフィルタ、200…電気光学装置としての有機EL表示装置、201…複数の有機EL発光素子を有する基板、217R,217G,217B…有機発光層、1000…電子機器としての携帯電話機、A…膜形成領域および区画領域、D…膜形成領域としての着色領域、W…ワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルを有する液滴吐出手段とワークとを対向させて相対移動させる主走査に同期して、前記ワーク上の複数の膜形成領域に対して前記複数のノズルから膜形成材料を含む液状体を吐出する吐出方法であって、
各膜形成領域における最初の前記主走査において掛かる前記複数のノズルのうちの1つのノズルから前記各膜形成領域に前記液状体を液滴として吐出する第1吐出工程と、
前記主走査の方向に対して直交する方向に前記液滴吐出手段と前記ワークとを相対移動させる副走査と、前記各膜形成領域に掛かる前記複数のノズルから前記各膜形成領域に前記液状体の液滴を複数吐出する前記主走査とを行う第2吐出工程とを備えたことを特徴とする吐出方法。
【請求項2】
前記第1吐出工程では、前記各膜形成領域に掛かる複数のノズルのうちの前記主走査の方向から見て、前記各膜形成領域の中央に最も近いノズルから当該各膜形成領域のそれぞれに少なくとも1滴の液滴を吐出することを特徴とする請求項1に記載の吐出方法。
【請求項3】
前記第1吐出工程では、前記各膜形成領域に掛かる複数のノズルのうち前記主走査の方向から見て、異なる位置のノズルから当該各膜形成領域のそれぞれに少なくとも1滴の液滴を吐出することを特徴とする請求項1に記載の吐出方法。
【請求項4】
前記第1吐出工程では、前記第2吐出工程で吐出する液状体の吐出量を補うように液状体を吐出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の吐出方法。
【請求項5】
前記第1吐出工程では、前記第2吐出工程で吐出する液状体の着弾位置の偏りを補うように液状体を吐出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の吐出方法。
【請求項6】
前記第1吐出工程では、前記第2吐出工程で吐出する液状体の吐出量を補うと共に着弾位置の偏りを補うように液状体を吐出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の吐出方法。
【請求項7】
前記第1吐出工程と前記第2吐出工程とでは、前記液滴吐出手段と前記ワークとの相対移動速度を変えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の吐出方法。
【請求項8】
前記第2吐出工程における前記相対移動速度に対して前記第1吐出工程における前記相対移動速度を速めることを特徴とする請求項7に記載の吐出方法。
【請求項9】
前記液滴吐出手段が複数のノズルを有する複数の液滴吐出ヘッドにより構成されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の吐出方法。
【請求項10】
前記複数のノズルからなるノズル列が、前記膜形成領域の長手方向に対して略平行となるように、前記液滴吐出手段と前記ワークとを対向配置して、該長手方向に対して直交する方向に主走査することを特徴とする請求項9に記載の吐出方法。
【請求項11】
基板と、基板上の複数の区画領域に形成された複数色の着色層とを有するカラーフィルタの製造方法であって、
請求項1ないし10のいずれか一項に記載の吐出方法を用い、異なる着色層形成材料を含む複数種の液状体を前記複数の区画領域に吐出して乾燥することにより前記複数色の着色層を形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項12】
基板と、基板上の複数の区画領域に形成された有機発光層を有する有機EL発光素子の製造方法であって、
請求項1ないし10のいずれか一項に記載の吐出方法を用い、発光層形成材料を含む液状体を前記複数の区画領域に吐出して乾燥することにより前記有機発光層を形成することを特徴とする有機EL発光素子の製造方法。
【請求項13】
一対の基板と、前記一対の基板により挟持された電気光学材料としての液晶とを備えた電気光学装置の製造方法であって、
前記一対の基板のうちの一方を請求項11に記載のカラーフィルタの製造方法を用いて製造することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項14】
複数の有機EL発光素子を有する基板を備えた電気光学装置の製造方法であって、
前記有機EL発光素子を請求項12に記載の有機EL発光素子の製造方法を用いて製造することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項15】
請求項13または請求項14に記載の電気光学装置の製造方法を用いて製造された電気光学装置が搭載されたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−190507(P2007−190507A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−12054(P2006−12054)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】